惑星ラテシア。
宇宙海賊バンカーの巨大ロボット兵器・ブラストが、レジスタンス兵士たちを追いつめている。
ブラストのパイロットは、バンカー兵のバースト。
レジスタンスは、キルケル、フォーク、仮面で素顔を覆ったスケルトンの3人。
バースト「レジスタンスの諸君! この星はバンカーのものです」
キルケル「許さんぞ、バンカーめ! お前たちを、必ずこの星から叩き出してやる!」
バースト「フフフ、あくまでも戦うというのなら、死あるのみ」
そこへダンガイオーが飛来し、ビームを放ってブラストの腕を叩き砕く。
ロール「ダンガイオー、見参!!」
キルケル「ダンガイオー!?」
スケルトン「噂に聞いたことはある。バンカーに反旗を翻した、宇宙最強のロボットの名を」
ロール「この惑星ラテシアから、早々に退却しろ!」
バースト「何!? あなたは…… ロール・クラン!?」
ロール「そうだ! 俺はロール。この星は俺の──」
バースト「生まれ故郷だとでも言うのですか? 笑わせないでほしい。あなたはこの星へ戻って来る資格など無いはず。それとももう一度、地獄へ送り返してあげましょうか?」
ロール「何だとぉ!?」
ブラストの放った強烈な電撃が、ダンガイオーを襲う。
ロール「うわぁぁっ!!」
バースト「フフフ……」
ロールは反撃どころか、次第に表情が強張ってゆく。
パイ「どうなってんだ!? 反撃しねぇのかよ!?」
ミア「ロールの様子がおかしいわ!」
ブラストはダンガイオーを地面に蹴り落とすや、空の彼方へ飛び去る。
パイ「ロール! 何やってんだ!」
ランバ「ロール、どうしたの!?
ミア「ロール、ロール!」
ミアたち一同は、宇宙船ダル・ダルに帰還する。
パイ「戦いたくないって!? どういうことさ! バンカーに制圧されてんのは、ロールの星だろう!? 昔はレジスタンスの一員として戦ってたっていうのは、間違いなのかい!?」
ロール「い、いや…… 僕は本当に、バンカーと戦っていた」
パイ「だったら、もう少し真剣になって戦いな!」
ミア「待って、パイ」
パイ「うるっせぇな、ミアは!! いつもしゃしゃり出てきやがって!」
ミア「で、でもロールは記憶が戻ったばかりで、混乱してるのよ、きっと」
ランバ「そうよ、ロールのせいじゃないのよ」
ロール「すまない、みんな…… でも、それだけじゃない。今回の敵には、何か不吉なものを感じたんだ」
ラテシア地表に築かれたバンカー基地。
四天王の1人の妖将ダァティラ、先ほどのバーストと、同じくバンカー兵のフラッシュ。
ダァティラ「バースト、フラッシュ。首尾はどうだ?」
バースト「第一段階は成功です。ロール・クランは予想通りの反応を見せました」
ダァティラ「よし。今後の作戦は、あの男の指示に従うのだ」
フラッシュ「ダァティラ様。私には彼が、ダンガイオーへの復讐心だけで動こうとしているのが、気に入りません」
ダァティラ「それでいいのだ。ダンガイオーチームの内、1人でも欠ければ我々の作戦は成功する。元々そのためだけに甦らせたのだ。わかったな? バースト、フラッシュ」
バーストたち「はい、ダァティラ様」
ロールは単身、ラテシアのレジスタンスのアジトを訪れる。
キルケルとフォークが銃を構え、ロールを包囲する。
フォーク「動くな!」
キルケル「こっちもだ。何者だ!?」
同じくレジスタンス兵の少女、ミドーが現れる。
ミドー「ロール! ロール・クランね?」
キルケルが、ロールを殴り飛ばす。
キルケル「ふざけるな! お前なんかに、仲間呼ばわりされる憶えはないぞ!」
ミドー「キルケル!?」
キルケル「今さら何のつもりだ! 自分のやったことに対して、償いでもしに来たのか!? ロール・クラン。レジスタンスの中では、映えぬきの戦士だった、ラテシアの英雄とまで呼ばれたお前が、この星を守り抜くことを、兵たちは信じて疑わなかった。だが突然、お前は俺たちの前から消えた。指導者を失い動揺する兵たちでは、バンカーの攻撃に勝てるはずもない。お前の片腕だったフラッシュ、バーストも死んでいった! なぜだ!?」
ミドー「キルケル、何を言い出すのよ!?」
キルケル「答は簡単だ! お前は俺たちを見捨てたんだ! 自由のための戦いなんて馬鹿馬鹿しいってな! 立て! 残された俺たちが、どれほど惨めだったか、お前にわからせてやる!」
スケルトン「待て、キルケル。この男、元は戦士だったと言ったな?」
キルケル「そうだが…… まさか、こいつを?」
スケルトン「そうだ、俺のパートナーにする。捕われている兵士たちを解放し、軍勢を立て直すには、バンカーの要塞工場に潜入せねばならん」
ロール「……」
スケルトン「ロール・クラン! 俺の名はスケルトン。見ての通り、宇宙傭兵だ。お前の過去に何があったかはどうでもいい。今は1人でも多くの力を、俺たちは必要としている。お前の中にまだ、ラテシアのために戦う気持ちが残っているのなら、この俺と組め」
宇宙船ダル・ダルのミアのもとに、ロールの通信が入る。
ミア「何ですって!?」
ロール「これから、昔の仲間と一緒に、バンカーの基地に潜入するんだ」
ミア「でも、そんな無茶なことを……」
ロール「やっと、記憶が戻りかけてきたんだ。でも、何かがはっきりしない。それが何なのか、自分で確かめてみたいんだ」
ミア「……わかった。みんなには黙っておくね。でも、気を付けて、ロール」
ロール「あぁ。ありがとう、ミア」
通信を終えたロールのもとに、ミドーがやって来る。
ミドー「ロール」
ロール「ミドー?」
ミドー「さっきはごめんなさい。キルケルもフォークも興奮して、あんな……」
ロール「そんなこと、もういいんだよ」
ミドー「突然あなたがいなくなってからというもの、私たち、どうしたらいいかわからなかったの」
ロール「すまなかった……」
ミドー「でも私、嬉しい。ロールが帰って来てくれて」
ロール「ミドー!」
ロール、スケルトン、キルケル、フォークの4人が基地に潜入する。
途中で二手に分かれ、ロールとスケルトンが通路を突き進む。
スケルトン「バンカーは捕えた兵士たちを順々に、生体コンピューターのパーツとして使用している。人間の持つ生命エネルギーを増幅して吸収する電脳システムが、この要塞内を駆け巡っているんだ。そうなってしまっては、もう手遅れだ。意思を持たない機械の一部となって、永遠に死ぬこともできん。その前に、1人でも多く助け出す!」
一方のミアたち。
パイ「ったく、今度は家出かよ!?」
ミア「そんな言い方、しなくたって……」
ランバ「そうよ! パイはロールに厳しすぎるわよ」
パイ「フン! 大体あんな神経の細かい奴が、このチームにいるってこと自体ダサいんだよ! だからこっちまで、おかしくなっちまうんだ!」
ミア「パ、パイ…… あのね」
ターサン博士が、話に加わる。
ターサン「あ──…… そのことについては、わしが話そう」
ミア「博士!」
ターサン「ロールがこの星でバンカーと戦っていたレジスタンスだったことは話したが…… 実は彼は一度、死んでいるんじゃ」
ミア「死んだ……!? ロールが!?」
ターサン「そうじゃ。まぁ、正確には『殺された』というところなんじゃが、その犯人が同じレジスタンスの仲間ということもあって、ロールの心には死への恐怖が、深く染み付いてしまっているのじゃ。バンカーとの戦いに疲れた者たちの中には、金で友を売ったり、自分たち可愛さに人殺しをする奴も出る。戦うことに純粋過ぎたロールは、そのショックからまだ立ち直れずにいるんじゃよ」
ミア (ロール…… 大変!)
ラテシアのバンカー基地内。ロールはスケルトンとも別れ、単身で奥へと進む。
ロール (この奥が囚人たちの牢だと、スケルトンは言っていた。でも、行き止まりになっている。どういうことだ?)
暗がりの中に、キルケルとフォークが立っている。
ロール「フォーク、キルケル!」
キルケルたちが倒れる。すでに事切れている。
ロール「フォーク…… キル……ケル? ──誰だ!?」
気配を感じて振り向くと、かつての同胞、現在はバンカー兵のフラッシュ。
ロール「フ、フラッシュ!?」
挟み撃ちするように、バーストも現れる。
バースト「久しぶりね、ロール・クラン」
ロール「バースト!?」
フラッシュ「僕たちのこと、憶えててくれたよね? ロール・クラン」
ロール「あ…… あ、あ……」
そこへ、スケルトンも現れる。
ロール「スケル……」
素顔を覆っていたスケルトンの仮面が、真っ二つに割れる。
ロール「……トン!?」
その正体はなんと、第1話で死んだはずのギル・バーグ。
ロール「あ……!?」
ギル「スケルトン? 知らんな。俺はギル・バーグ。お前のよく知っている男さ」
ロール「ギ、ギル!? どうして!?」
ギル「貴様らを皆殺しにするために、こうして生まれ変わったのよ」
ギルが鋼の義手で、ロールの首を捩じ上げ、壁面に叩きつける。
朦朧とするロールの意識の中で、過去の記憶が甦る。
バーストがロールを羽交い絞めにし、フラッシュがナイフを抜く光景──
(バースト『フフフ、苦しいでしょう? ロール』)
(フラッシュ『お別れだね』)
ギル「終ったか?」
バーストとフラッシュに囲まれ、ロールは人形のように無表情に成り果てている。
ギル「お前はエサだ、ロール。ミア・アリスをおびき出すためのな。それに、お前はもう戦えまい。フフフフフ……」
ターサン博士やミアたちのもとに、ギルからの通信が入る。
ギル「フフフ。また会えたな、ダンガイオーチームの諸君。貴様らの仲間ロール・クランは、我らバンカーの手中にある。奴を生かすも殺すも、俺の心一つってわけだ」
ミア「ロール!」
ギル「ミア・アリス!」
ミア「は、はい!」
ギル「お前1人で、我がバンカーの移動要塞へやって来い。無論、他の者の手出しは一切なしだ。来なければ、ロールはバンカーの超能力兵士として改造する。手遅れにならんようにな。フフフ……」
ダン・メカニックのミア機が単身、ダル・ダルから飛び立つ。
ミア「(ギル、生きていたなんて……) 怖いけど…… でも、行くしかないか」
ミア機が、惑星ラテシアのバンカー基地上空に飛来する。
ギル「そこで着陸しろ」
ミア機が着陸。ロールはバーストとフラッシュに捕われており、ギルが待ち構えている。
ミア「ロール!?」
ギル「よし。降りて、ここへ来るんだ」
ミアは、その指示に従う。
ミア「約束です。ロールを返して!」
ギル「会いたかったぞ…… ミア・アリス!」
ギルの義手から、鋭い鉤爪が飛び出す。
ミア「やっぱり……!」
一方のターサン博士たち。
ターサン「な、何じゃとぉ!? おお、お前たちまで勝手に行くっちゅうのか!?」
パイ「ターサン博士、悪いけど行かせてもらうぜ」
ランバ「ほっとけないもんね」
ターサン「し、しかし、お前たちが行けば、ギルはどんな手に出てくるかわからんぞ」
パイ「このまま何もしないでいたら、2人は殺される。その次は、ダンガイオーの無い私たちの番さ。そうなる前に、こっちから出向いて行ってやるんだよ!」
ラテシアでは、ミアが抵抗もできず、ギルに一方的に痛めつけられている。
ギル「俺の肉体は千切れ、裂け、バラバラになった。だが、俺の魂は叫んでいた。貴様らと、俺を裏切ったターサンを八つ裂きにするまで、死ぬわけにはいかんとな! 特にミア・アリス、貴様をな」
ミア「あぁ──っっ!!」
ギル「お前たちは俺を憐れみ、情けをかけようとした。戦士としてのプライドを汚し、嘲笑ったのだ」
ミア (ロール…… ロール! しっかりして、ロール!)
人形のように無表情のロールの、眉が微かに動く。
ギル「ハハハハ! テレパシーでいくら呼び掛けても、無駄なことだ。奴の戦闘意欲は恐怖という感情によって、完全に封じ込められている。奴自身の持つ、過去の記憶と一緒にな」
ギルが鋼の義手で、ミアの首を絞め上げる。
ミア「あ、あ……」
ギル「どうした? あのときのように、力を使ってみろ! だがそのとき、ロールは確実に死ぬことになるぞ」
ミア (ロール…… 目を覚まして! ロール、ロール……)
ロールの唇がピクピクと動き、全身に脂汗が滲む。
ロール「……め……ろ……」
フラッシュ「むっ?」
ロール「や……め……ろ…… やめろおおぉぉ──っっ!!」
ロールが自我を取り戻し、ギル目がけて飛び出す。
ロール「ミアああぁぁ──っっ!!」
ギル「貴様!?」
ロールが全身に衝撃波を漲らせて突進、大爆発──!
パイとランバはそれぞれの機体で、ラテシア上空を訪れている。
パイ「何なんだ、今の爆発は!?」
ランバ「見て、パイ! ミアよ、ミアのメカよ!」
ミア機が、爆炎の中から飛び立つ。
パイ「ミア! 生きているなら、返事しろ!」
ランバ「ロールは大丈夫なの!? ミア!」
ミア「ふ、2人とも…… 大丈夫よ。このまま、合体しましょう!」
ダァティラ「ギルの馬鹿者共めが、失敗しおって! バースト、フラッシュ、ダンガイオーを迎え撃て!」
バーストたち「お任せください」
ミア「クロス・ファイト! ダンガイオ──ッッ!!」
ギル「くそぉ…… あと一息というところで!」
ダン・メカニックが4機合体、ダンガイオーとなって地上に降り立つ。
ギル「ダ、ダンガイオー!?」
ロール「覚悟しろ、ギル・バーグ!」
パイ「ロール、右後方から来るよ!」
バーストの乗るブラスト、フラッシュの乗るライドール、2体のロボットが現れる。
バースト「ギル・バーグ、今の内です!」
フラッシュ「この場は我らに任せて、早く!」
ギル「くそっ!」
ギルが飛び去る。
ロール「邪魔だぁ──っっ!!」「ダンガイビーム!」
ダンガイオーがライドールに、パンチとビームの連続攻撃。
しかい、ブラストがダンガイオーを背後から羽交い絞めにする。
ロール「何っ!?」
バースト「フフフ。もう一度、殺してあげる!
フラッシュ「あの頃の負け戦を聖戦だなんて信じていたのは、あなただけよ、ロール。あのときと同じように、あなたの未来も、理想も、粉々にされるのよ」
ロール「……そうだ、あれは聖戦などではなかった。それがわかった今、貴様らに遠慮するつもりはない!」
捕われのダンガイオーを目がけ、フラッシュが突進する。
ロール「でやあぁぁ!!」
バースト「バ、馬鹿な!?」
ダンガイオーは力ずくで拘束を振りほどき、ブラストを投げ飛ばし、ライドールに叩きつける。
ロール「サイキック・ウェ──イブ!!」
ダンガイオーの放った念動力が、ブラストとライドールを捉える。
バースト「フ、フラッシュ──!!」
フラッシュ「バースト──!!」
2機が強力な念動力で宙に持ち上げられ、機体がどんどん砕けてゆく。
バースト「こ、こんな……」
フラッシュ「死に方ぁぁ──!!」
2人が歪んでいく機体に押しつぶされつつ、ブラストとライドールが大爆発する。
ロール「バースト…… フラッシュ…… くっそおおぉぉ──っっ!!」
ロールは怒りに任せ、眼下のバンカー基地に掌を突き立て、サイキック・ウェーブを放つ。
基地が激しく揺れ、次々に砕けてゆく。
ダァティラ「こ、これは一体!? 一体、何事が起こったのだ!?」
ロール「ぐううぅぅ──っっ!!」
ダァティラ「ガ、ガリモス大船長おおぉぉ──っっ!!」
ダァティラ諸共、ラテシア地上のバンカー基地が大爆発を遂げる。
ミドー「ロール……」
ダンガイオーが爆発の中から飛び立ち、衛星軌道上の宇宙船ダル・ダルのもとへ帰還してゆく。
ミアたちは皆、機内で疲弊しきっている。
ターサン「みんな、無事か!?」
ロール「はぁ、はぁ…… はい、博士」
パイ「ちゃんと生きてるよ……」
ランバ「私、疲れたぁ~!」
ミア「は、博士…… フフッ」
ターサン「良かった…… 良かったのぉ! 一時はどうなることかと思ったぞ」
ロール「ミア、ありがとう。おかげで助かったよ!」
ミア「うぅん、私こそ……」
ロール「でも、あのとき僕が正気に戻らなかったら、ミアは……」
ミア「私、信じてたもん。ロールのこと」
ロール「ミア……!」
ランバ「おぉ、おぉ! 熱い熱い熱~い!」
ミア「や、やだぁ!」
ターサン「い、いかん!」
突然のビーム攻撃が、ダンガイオーに炸裂する。
一同「ああぁぁ──っっ!!」
攻撃の主は、ギルの乗る巨大ロボ、ギル・ギア。
ターサン「あ、あやつは…… ギルか!?」
ギル「このまま地獄へ旅立たせてやるぜ、ダンガイオー」
ロール「奴め、生きていたのか!」
ランバ「ダンガイオーは大丈夫なの!?」
ミア「今の状態じゃ、まともに戦える相手じゃないわ!」
パイ「ヤバいぜ、こいつは!」
ギル・ギアが、容赦なく突進してくる。
ロール「やるしかない! 行くぞぉっ!!」
ダンガイオーが攻撃を放つが、ギル・ギアはたやすくそれを跳ね返す。
ギル「無駄だ、無駄だぁ!」
ダンガイオーが剣を抜くが、その剣身がギル・ギアの刀に叩き折られてしまう。
ギル「もらった!」
ロール「速い!?」
剣撃でダンガイオーの肩の装甲が砕け散り、火花が飛び散る。
ギル「終わりだ…… ダンガイオー!」
ターサン博士が宇宙船ダル・ダルからの砲撃で、必死に援護する。
ギル「何!?」
ギルは、ダル・ダルに矛先を向ける。
ターサン「わぁぁ、ヤバい!」
ギル「ターサン、貴様も死ね!」
ギル・ギアのビームが、ダル・ダルの船体を貫く。
音声『警告します。メインエンジン部に被弾。本船は5分以内に爆発します』
ターサン「な、何じゃと!? だ、脱出じゃあ! 脱出!」
ミア「大変! ダル・ダルが!?」
パイ「早く助けないと!」
ダンガイオーがダル・ダルを救おうとするものの、その前にギル・ギアが立ち塞がる。
ギル「どこへ行く? フフフ」
ギル・ギアの銃撃の連射で、ダンガイオーの装甲が、薄紙のように砕かれてゆく。
パイ「ロールぅ! 何とか反撃できねぇのかよぉ!?」
ロール「駄目だ! パワーが上がらない!」
ギル「くたばれぇぇ!!」
ギル・ギアの放った強烈なビームが、ダンガイオーに直撃する。
一同「ああぁぁ──っっ!!」
ダンガイオーが制御を失い、ラテシア上空を赤熱化しながら落下してゆく。
ミア (いけない…… このまま墜ちたら!)
ミアの超能力が発動── ダンガイオーがラテシア地上に落下。もうもうと土煙が上がる。
ギル「フフフ…… 終わったな、ダンガイオー!」
ダンガイオーは、どうにか地上への直撃は避けたものの、ミアたちは気を失っている。
ターサン「ダンガイオーチーム! ダンガイオーチーム!」
ミア「……は、博士!?」
ターサン「おぉ、何とか持ち堪えたようじゃの」
ランバ「は、博士…… 早く、脱出しないと」
ターサン「その…… 脱出装置も、やられたんじゃよ」
宇宙船ダル・ダルは、船体各所から火を吹き、もはや最期を迎えようとしている。
ターサン「もう、おしまいじゃ」
ミア「そんな!?」
ランバ「博士!?」
パイ「何だって!?」
ターサン「ワープ・ビームを発射する。ダンガイオーの残る全エネルギーを使ってギルを吹っ飛ばし、バンカーの追っ手が来る前に脱出するのじゃ」
ミア「博士! ダル・ダルから出る方法は、何か無いんですか!?」
ターサン「無駄じゃ。それより今、サイキック・パワーを使えば、ダンガイオーも耐えられぬかもしれん。お前たちが生きるか死ぬかの賭けなのじゃぞ」
ロール「ワープ・ビームで、僕たちを……」
ターサン「お前たちは、わしの最高傑作じゃからな」
ランバ「は、博士……」
ギル「よくぞ耐えたものだなぁ、ダンガイオー。だが次の一撃こそ、貴様の本当の最期だ。ハハハハハ!」
ギル・ギアが地上に降下してゆく。
ロール「やるぞ、みんな!」
ミア「駄目よ、博士を助けないと!」
パイ「ミア…… 博士は、命を賭けたんだ」
ターサン「その通りじゃ。さぁ、4人の力を合せてダンガイオーの強さを、わしに見せてくれ」
ミア「は、博士…… 博士……」
ギル・ギアが地上に降り立ち、ダンガイオー目がけて突進して来る。
パイ「来るぜ!!」
ロール「立て、ダンガイオー!!」
ダンガイオーが全身ボロボロの身で、土煙を上げつつ立ち上がる。
ロール「サイキック──!!」
ギル「とどめだぁ、ダンガイオー!!」
ロール「ウェェ──イブゥゥ!!」
ダンガイオーの放った凄まじい念動力が、ギル・ギアを捉える。
ギル「があっっ!! バ、馬鹿なぁ! 奴のどこにこんな力が残っていたというのだ!?」
ダンガイオーも超能力の放出に耐えきれず、火花が飛び散り、次々に装甲が砕けてゆく。
ロール「だああぁぁ──っっ!!」
ギル「い、いかん!!」
渾身の念動力により、ギル・ギアの機体がどんどん歪み、炎に包まれ、大爆発──!!
ターサン「見事じゃぞ、ダンガイオー!」
ダンガイオーが力を使い果たし、ガックリと膝をつく。
ロール「こっちも爆発するぞ!」
ミア「ダンガイオー、みんなを守って!」
ミアの超能力が発動し、ダンガイオーが光に包まれる。
ターサン「ワープ・ビーム、発射ぁ!」
宇宙船ダル・ダルのワープビームが、ラテシアの地表目がけて放たれる。
ダンガイオーが爆発の寸前、地上から姿を掻き消す。
ターサン「さらばじゃ、ミア、ロール、ランバ、パイ…… そして、ダンガイオーよ……」
そして、ダル・ダルも大爆発──
地上では、ギルが深手を負いながらも、ギル・ギアからすんでのところで脱出していた。
ギル「ワープ・ビームか。ターサンの奴……」
ギルは単身、宇宙海賊バンカーのガリモス大船長のもとへ帰還する。
ギル「お許しを。ガリモス大船長。残る4人は必ず捜し出し、息の根を止めてご覧にいれます」
ガリモス「ダァティラを失ったとは言え、ダンガイオーとターサンを葬った働きは見事」
ギル「はっ!」
ガリモス「ギル・バーグ! ダァティラに変わり、貴様を四天王の1人に加えよう」
ギル「ありがとうございます、ガリモス大船長! (ミア・アリス。どこへ逃げようと、必ずお前を殺す) フフフ……」
宇宙空間。ダンガイオーは原型を留めないバラバラの残骸と化し、宇宙を漂っている。
無数の残骸の中、コクピットブロックのパーツの中で、ロール、ランバ、パイ、ミアが眠り続けている……
最終更新:2018年08月07日 19:24