小波「さあ、僕を倒してよ」
さき「え・・・」
小波「『魔法少女 俺』は後生まで語り継がれるアイドルになるんだ」
桜世は「ボスのへや」の扉の前で一人戦っていた。
桜世「敵が多すぎる・・・だけど、この後ろではさきも戦っている。
さきの姿は見えなくても・・・一緒に戦ってることに変わりない!」
「うお―――っ!」
桜世が3体の妖魔を吹っ飛ばした。
桜世「来な妖魔!私のラブパワーはまだまだ枯れないよ!愛のためならめげない!くじけない!私達は誰にも負けない!」
さき「・・・・・」
小波「・・・はは、大丈夫!確かにこの後一戦交えることになるけど・・・僕そんな強くないから!3段バトルとか、真の真の姿とかハデなイベント起こせなくて申し訳ないけど・・・だから君は思う存分僕を倒してくれていいんだよ。君達の成功を支えることが僕の仕事なんだから!」
さきがステッキを出したが、動けずにいた。
小波「・・・どうしたの?・・・もしかして僕に情がわいちゃったりしてる?それなら尚のこと倒してほしいな」
小波が指を鳴らすと、縛られた桃拾に電撃が流れた。
桃拾「――――っ・・・・」
さき「やめて!桃拾ちゃんを傷つけないで!」
小波「「魔法少女の敵」なんてそれこそ夢みたいだもの。それにファンとしてアイドルのかっこいい所を見たいと思うのは当たり前だろ?・・・少しでも僕を思いやってくれるのなら、僕に、勝つところを見せてよ」
再び桃拾に電撃が流れ、桃拾が倒れた。
小波「・・・・どうしてわかってくれないの?」
ライトがさきを照らした。
さき「・・・わかりました」
小波「ふふ、嬉しいよ、それでこそプロ・・・」
さきは周りの映像機器を壊しだした。
小波「!?ちょっ・・・ちょちょっ・・・何して・・・」
さきは小波を平手打ちで張り飛ばした。
小波「いったぁ~~~~!」
さきがステッキの先で小波の足を突く。
小波「ちょっ・・・痛っ・・痛い!致命傷に至らないレベルで地味に痛い!!」
さき「・・・・確かに、私達がここまでアイドルとして有名になれたのは魔法少女のおかげです。でも、関係ない人を巻き込んで、大事な人を傷つけて、そんなの私のなりたかったアイドルじゃない!そんなヒーローなんて、本物のヒーローじゃない!・・・どうしてマネージャーがそれをわかんないですか」
さきがステッキで小波の頭を小突いた。
小波「・・・さきちゃん・・・痛いよ」
さき「うっ、うぅつ」
小波「アイドルとしてNGな顔になってるし」
さきはステッキを放り投げ、大泣きしだした。
さき「うわ~~~~~ん!マネジヤーのバカァ~~~~~~~、マネージャーのしたことは許せないしっ、皆も助けだいけどっ、でもっ、でもでもっ、マネージャーと戦いたくないよお――――」
小波「・・・・ムリだよ。これを計画した時点で、人間界にしろ魔界にしろ、僕の居場所はなくなったんだ」
「だから、僕にはもう、これくらいしか君達にしてあげられることはない」
小波は電撃を自分の頭上の鍾乳洞に流し、さきを電撃で弾き飛ばした。
さき「!!」
そして鍾乳洞が小波に落ちていく――――
さき「マ・・・マネージャ――――ッ」
さき「・・・!」
鍾乳洞は小波の目の前に落ちた。
小波「・・・っ、何が・・・」
桃拾が、小波が持っていた自分を縛る縄にかぶりつき、小波を引っ張っていた。
さき「桃拾ちゃん!大丈夫!?どうして・・・」
桃拾は声が出せず、さきの手に文字を書き出した。
桃拾『あなたの役に立ちたかったから』
『いつも俺達をあなたが守ってくれたように』
『あなたの大切な人を俺も守りたかった』
さき(あ、まただ、結局また私、桃拾ちゃんに助けてもらってる)
「・・・違う、私は何もしてない、そもそも今までも何も・・・」
桃拾『そんなことない』
『あなたは今まで何度も危険を省みず、皆を救ってくれた』
『それで十分』
『間違いなく「魔法少女 俺」は』
『俺のヒーローなんだだから』
さき「―――――っ・・・」
(桃拾ちゃ・・・)
さきと桃拾が見つめ合い―――
兵衛「ハイッ、そこまで――――魔法少女は不純異性交遊禁止だから」
兵衛がさきと桃拾の顔を引き離した。
さき「!?」
兵衛「助けに来たんだけど・・・必要なかったみたいだね―――」
兵衛は893の兵隊、もとい妖精の皆さんを連れてきていた。
ココロ「わしが案内したんやでコラァ」
兵衛「こっちはギリギリアウトの手つかって妖精界と連携とったっていうのに・・・やっと侵入できたと思ったらこの有様だよ、うちの業界ホントはそういうのダメだから」
「・・・・・桃拾、待たせて悪かった」
桃拾(なぜ兵衛がここに?)
兵衛「えっ・・・待って、まだ現状把握してないのこの子」
さき「みたいっスね・・・」
兵衛「さすがにオレも心配になってきたんだけど。どんだけ察する気ないの」
「・・・・さて」
兵衛が魔法陣を出し、小波を拘束した。
小波「!」
兵衛「君を異界侵略の罪で拘束させてもらう」
小波「ハァ~~~~・・・こんな結果になるとはな~」
兵衛「いいとこどりみたいで申し訳ないけど、ここまで大々的にされたら、妖精界も直に動かざるを得なかったって訳さ」
「あと連行よろしく」
妖精たち「「ウ―――ス」」
小波を連れた妖精が異界ゲートを開いたがすぐに消えてしまった。
妖精「何やこれ・・・」
兵衛「まさか」
兵衛もゲートを開こうとしたが、これも消えてしまう。
桜世が倒れた。
桜世(ごめんさき・・・一人で守れ・・・なかっ・・た・・・)
妖魔の目が赤く光り出し、「ボスの部屋」への階段を歩き出した。
兵衛が部屋の奥のコンソールを叩くと、壁に各所の映像が映った。
その中には、倒れている桜世も映った。
さき「桜世!桜世を助けに行かなきゃ!」
兵衛「行かせてあげたいけど・・・だめだ」
さき「え?」
兵衛「小波さん、妖魔には何と命令しました?」
小波「え?あっ、魔法少女達を殺さず攻撃しろと。ただ雑魚妖魔の戦闘力はそんなに高くないよ」
兵衛「妖魔は厳密に言えば、魔法生命体、だっけ?」
小波「ああ。学習能力も一世帯のみの複製だから、強くなることもあり得ない・・・あっ」
兵衛「?」
小波「妖魔達があまりに魔法少女に倒されたから、再生成の期間が短くなったのは事実かも」
さき「は、はあ?」
兵衛「生命体の中には己の存続観望もあるはずだ。倒れた妖魔は物質に戻り複製されるが
その中に少しずつ伝達因子を作成し、魔法少女を倒す使命だけが増殖されていたったら・・・」
小波「あり得るね」
さき「何を話してるのかさっぱり分からん」
小波「再生成までの期間が短い分、前の世帯の情報がゴミとして残っちゃった。で、結果がこれ」
兵衛「そう。魔法少女を倒せば己が存続できるかも・・・という可能性を導き出した」
小波「僕たちをここに閉じ込めてってことだね」
兵衛「卯野さきをここに閉じ込めることも意味がある。二人の力を分散させればおのずと勝率は上がるからね」
さき「そんな・・・!」
兵衛「ココロ、兵隊の数は?」
ココロ「私を含めて13名」
兵衛「後は、僕と卯野さきと・・・」
桃拾は相変わらずボーッとしていた。
兵衛「まっ、あれは見ないことにして・・・・」
兵衛が指を鳴らすと、小波の拘束が解けた。
小波「あっ・・・」
兵衛「戦ってくれるよね?」
さき「マネージャー」
小波「ああ、もちろん。雑魚妖魔にやられる魔法少女なんて見たくもないからね」
三百体の妖魔(再生可)が「ボスの部屋」にやって来た。
ココロ「行くぜヤロウ共――――!」
ココロ達がマジカルチャカで妖魔達を撃ち、
さきはステッキでなぎ倒していく。
小波の電撃と兵衛の風魔法も次々に妖魔達を倒していったが・・・
兵衛「どういうこと?ちっとも減らないような・・・」
小波「自己再生の効率化も学習してるのかもね・・・」
兵衛「しているのかもって・・・お前がボスだろ」
小波「立場の無いボスなんだよ・・・」
さき「桃拾ちゃん・・・どんなに敵が居ようと関係ない。
最後までめげないくじけない!それが俺のモットーなんだ!」
妖魔が辺りを埋め尽くす程に現れ、さき達を取り囲んだが・・・
その時、壁が爆発した。
さき「あれは!」
変身したPRISMAの2人、魔法少女エターナルデンジャラスプリティこと未散と魔法少女エブリシングクレイジービューティーこと瑠可が、桜世を連れてやってきた。
未散「いえーいギリギリセーフ!若いもんだけに任せてられるかって!ばっちり見せ場作っちゃうよ!
瑠可「強気なセリフ最高っス!異空間トンネル入るまで、ブツブツしてたとは思えない程のキャラチェンジ!」
未散「うるせえ!黙ってろ瑠可!」
さき「桜世!」
桜世「・・・・っ」
未散と瑠可がさき達の前に飛び降りた。
未散「ここは私達に任せて!」
瑠可「最後の見せ場はお願いします!」
さき「うん、分かった。行ける、桜世!」
桜世「OKさき!とう!」
桜世がさきの元へ飛び降りる。
さき「とあ!」
さきもステッキを持ち、桜世の元へ飛び上がった。
さきと桜世が手を取り合う。
さき・桜世「「ラブパワーアルティメット最強デンジャラス最終回レインボーミラクルスーパーデリシャスプリティーハイパーラブパワー
マックススペシャル・・・」」
光に包まれた2人が妖魔達へ突っ込んでいく。
桜世「愛があれば!」
さき「愛があれば!」
桜世「愛こそあれば!」
さき「愛ゆえに!!」
さきと桜世が妖魔達の元へ突撃し、その威力は妖魔達を一掃した。
そして、その余波が光となって、東京タワーから人間界に降り注ぎ、
妖魔の侵攻によって、作画が崩壊していた人や街が元に戻っていった。
桜世「さき!」
桜世がさきに抱きついた。
さき「わっ・・・桜世!大丈夫!?ケガは・・・」
桜世「大したことない・・・さきのプロマイドのおかげ」
さき「プロ・・・えっ、何?」
桜世「あっ・・・何でもない、気にしないで。あっでもしばらくこのままで。さきの胸筋の力で回復するから・・・」
さき「胸筋ってそんないやしのパワーあんの?」
桜世「あるある、大あり」
さき「少し、手加減して・・・」
兵衛「ふっ・・・」
小波は再度拘束され、ハッピー達に連行されていった。
さき「あっ、あのっ、マネージャーは・・・」
兵衛「ああ・・・彼は・・・これから妖精界の監視下に置かれる。もう人間界に戻ることはないだろう・・・酷いことはしないよ。今回実害は殆ど無かった。本当にパフォーマンスの一環として妖魔をうまくコントールしてたんだろうね」
さき「桃拾ちゃんと兵衛さんが居なかったら・・・結局何も・・・」
兵衛「そんなことないよ。彼の心を救ったのは君だ。そして君のあの涙・・・」
小波「もうちょっと優しく押してよ・・・」
さき「マネージャー!私達・・・絶対本物になりますから!」
小波がゲートに押し込まれるも、上半身を出した。
小波「・・・楽しみにしてるよ。じゃあ・・・僕からも一つだけ・・・握手してもらってもいいかな?」
小波がさきと桜世と握手を交わした。
小波「・・・ありがとう。じゃあね、2人とも。応援してる・・・」
小波がゲートの向こうに消え、ゲートも消えていった。
桜世「帰ろう」
さき「うん!」
その後の人間界。
さき「みんなー!今日はありがとー!!」
元の姿のさきと桜世がライブをしていたが、誰も来てなかった。
さき「うう・・・また1枚も売れなかった・・・」
ココロ「お前・・・ほんっまダンスキモイぞ・・」
桜世「キモくないよ」
さき「心底から言うのやめて・・・」
ココロ「それにしても・・・「魔法少女アイドル」引退、えらい騒ぎやったなぁ。正直おしいことしたとか思ってへん?」
さき「うーん・・・・・・だからこそ魔法少女の私に追いつかなきゃって・・・マネージャーとも約束したし」
ココロ「そうか・・・・」
女性「すみません、一枚ください」
さき「ええっ!?」
さきと桜世「「あ、ありがとうございます!」」
PRISMAは喫茶店にいた。
未散「あーあ、魔法少女が引退なんて・・・『俺』さんどこ行っちゃったのかな?」
瑠可「あのさー、私達もあんな感じで変身できた訳じゃん。もしかして俺さんの正体って私達と同じなんじゃない」
未散「えーまさかー」
瑠可「あるでしょ、可能性」
未散「えっ!?私の初恋そういうことなの!?」
瑠可「えっ?今まで気づいても無かったの!バカ!可愛い!飲み物もう一杯おごってあげる!」
未散「ん?」
喫茶店の外で、さきと桜世がライブをしていた。
瑠可「意外とあの子達が『俺』さんだったり」
未散「んな訳ねーだろ!」
ココロ「・・む?この反応・・・2丁目でチンピラやな。おい行くで」
さき「えっ、まだライブの途中・・・・」
ココロ「魔法少女がそんな簡単に引退できるか!」
「ちなみに襲われとるのは・・・」
ココロのスマホに、4人のチンピラに囲まれてた桃拾が映っていた。
さき「ま・・・また桃拾ちゃん!?」
ココロ「あいつ死兆星の下に生まれついとんちゃうか」
桜世「はやく行かなきゃね」
さき「うん!!」
さきと桜世が桃拾の元へ向かい、
その後をライブの道具を持ったココロが追った。
チンピラ達と桃拾の所に光が降り注ぎ、
桃拾が笑みを浮かべた。
駆けつけたさきと桜世が、魔法少女に変身した。
変身したさきと桜世の姿に、魔法少女の服を着た元の姿が重なる。
さき「魔法少女 俺!! 参上!!」
(完)
最終更新:2019年07月21日 07:16