ソードアート・オンライン オーディナル・スケール(漫画版)の第1話

かつてのアインクラッドでの一夜。
キリトとアスナは空を見上げていた。
アスナ「アインクラッドは星が見えなくて残念だね」
キリト「・・・この景色も悪くないけどな」
アスナ「私、流星って見たことないの。現実世界で住んでるところは夜空が明るくて」
キリト「へぇ・・・アスナは都会っ子だったんだな」
アスナ「もーキリトくん、茶化さないでよ!」
キリト「ははは・・・俺の地元にそこそこ有名な観測スポットがあるよ。ちっちゃいけど天文台もあるんだ」
アスナ「じゃあ約束ね!いつかそこに流星を見に行こうよ」
キリト「・・・そうだな。いつか・・・な」
アスナ「そのためにも。必ず生きてこのゲームをクリアしないとね」
キリト「ああ・・・もし生きて帰れたら、向こうでも指輪をプレゼントするよ―――」


Chapter1


現実世界。
青年、エイジが夜空を見上げていた。

空を飛ぶドローンの1基から、少女、ユナが映し出された。
ユナ「やっほ―!みんな集まってくれてありがと―!」

ユナの下には、様々な装備を付けた「プレイヤー」達が集まっていた。
プレイヤー達「?」
「おい、あれユナじゃねぇ!?」
「マジだ!!」
「ボスイベじゃなかったのかよ?」

ユナ「準備はいいかな?それじゃー戦闘開始!」
プレイヤー「!?」

そして出現したボスは―――

プレイヤー「・・・嘘だろ。こいつはまさか・・・」
「アインクラッド第1層ボス、〈〈インファング・ザ・コボルドロード〉〉!!」


――――2022年11月6日、フルダイブ型仮想現実ゲーム機〈〈ナーブギア〉〉のソフト、『ソードアート・オンライン』のユーザー1万人はサービス開始初日、開発者・茅場昌彦の手によって、ログアウト不能、「ゲームオーバー」=「現実の死」という過酷なるデスゲームに追いやられた。
圧倒的な絶望のなか、ゲームクリアを目指し剣を取る者、恐怖に負け他者との接触を断つ者、なかにはプレイヤー同士で命を奪い合う者さえいた。


かつてのアインクラッドでの、インファング・ザ・コボルドロードとのボス戦。
キリト「はッ!!」
キリトはインファング・ザ・コボルドロードの攻撃を弾いた。
アスナ「やあッ!!」
体勢が崩れたインファング・ザ・コボルドロードにアスナがレイピアでの突きを当てた。
キリト「おおおおォオッ!!!」
キリトの一撃がインファング・ザ・コボルドロードを切り裂いた。

―そして、永遠とも思える時間が過ぎた2年後の2024年11月7日、1人のプレイヤーの英雄的な行動によりゲームはクリアされ人々は解放されることになる。


暗い部屋の中で、1人の男が「SAO事件」について書かれた本を読んでいた。
?「最終的に4千人もの人々が犠牲となり、首謀者である茅場昌彦の死で事件はその幕を閉じた・・・生き残ったプレイヤーたちはSAO帰還者と呼ばれ、今は現実世界で普通の生活を取り戻している――――」


ユナ「あーあ、もっと歌いたかったなぁ・・・」
ユナは空の壺を持っていた。
その側にエイジもいた。
エイジ「歌えるさ、明日も明後日も」
ユナ「ほんと!?」
エイジ「ああ・・・だって・・・まだはじまったばかりだからね。僕たちの復讐は――――」


2026年4月24日 東京都西東京市

ファミレス内で、明日奈、里香、桂子の3人は、パックマンをプレイしていた。
明日奈達「えいっ!」
「やっ!」

和人「・・・・あのさ・・・」


桂子「よっしゃ―クリアです!!」
里香「これで無料スイーツゲットよ―!!」
明日奈「勝ったねシリカちゃん!ナイスアシスト、リズ!」
和人「君たちちょっとゲームしすぎじゃないか?」

桂子「うっ、キリトさんにそんなこと言われるなんて」
里香「だっていろんなお店でポイントもらえるのよ。やらなきゃソンでしょ!」
明日奈「ほんとはキリトくんも一緒にやりたかったんじゃないの?」
和人「む・・・」

里香達は左耳にとあるゲーム機を付けていた。
里香「・・・でもさ、実際便利なのよねコレ。どこでもテレビ見れるし、ナビや天気予報も使えるしで」
和人「〈〈オ―グマ―〉〉ねぇ・・・」


アナウンサ―「発売されるや否や、あっという間に大人気になりました次世代ウェアラブル・マルチデバイス、オ―グマ―ですが・・・」
男性コメンテーター「このオ―グマ―にはフルダイブ機能がないということで先発の《アミュスフィア》から退化しているように思えますが、それは大間違いです。覚醒状態で使用できるというのは、大きなアドバンテージといえるでしょう」
アナウンサ―「仮想世界にフルダイブするアミュスフィアと現実を拡張するオ―グマ―、まったく別物であると思ったほうがよさそうですねぇ」
男性コメンテーター「そのとおりですね。何よりオ―グマ―にはフルダイブマシンについてまわる諸々の危険性が存在しません。むしろ、フィットネスやけんぅかんりをゲ―ム感覚で楽しんでいるユーザーも増えているようです」
アナウンサー「あはは」

男性コメンテーター「その最たる例ががこちらの最新鋭ゲーム、《オーディナル・スケール》です。オーディナル・スケールではゲームのプレイによるポイント獲得でプレイヤーごとに順位が割り振られています。この順位が上位になるとさまざまな特典を受け取ることができるんですね」
アナウンサー「牛丼の無料サービスなんていうのも!?これは若者には魅力的ですね」
男性コメンテーター「また、サービス開始直後から通信状況緩和のために各地で飛んでいるドローンも、新たな景観を生んでいるようです」
「そして、ゲームの人気拡大に一役買っているのが、イメージキャラクターの《ユナ》です。世界初の《ARアイドル》としてデビューした彼女はプログラムによって動くAIなんですが、言葉や表情のリアルさから生身の人間が演じているとの噂が絶ちません」
アナウンサー「確かに」
男性コメンテーター「かくいう私もユナちゃんの大ファンでして、先日ようやく初ライブのチケットを・・・」
アナウンサー「オーグマーとオーディナル・スケールの勢いはますます加速していきそうですね」
男性コメンテーター「ひどいや・・・」


それから、和人達はデパートの中を歩いていた。
明日奈「オーグマーがあれば、ユイちゃんともたくさんお出掛けできるね」
ユイ「はい!」
「もちろんパパの作ってくれた《通信プローブ》も大好きですよ」
和人「・・・・・・」
明日奈「はは・・・キリトくんったら、機械にやきもち妬いてる」

明日奈のオーグマーに、近くに居た里香からのメッセージが届いた。
里香『目標ポイントまでどのくらいになった?』

明日奈(リズ・・・)
明日奈が里香にメッセージを返す。
明日奈『半分くらいかな―』
里香『バイトできないとつらいね―、お嬢さまは』
明日奈『もう!そんなんじゃないよ』
里香『キリトへのプレゼント楽しみね!』
明日奈『うん、、がんばるね』
和人「?」

里香「くふふ・・・」
桂子「それにしても・・・ユナのファーストライブに帰還者学校のみんなが無料招待されるとは思いませんでしたね!」
里香「オーグマーをくれるだけじゃ飽き足らずね。太っ腹だこと。ユナの大ファンでよかったわねー、桂子」
桂子「そ、そこまでじゃないですよ!」
里香「こやつめ、この間カラオケで熱唱してたじゃないの、直葉と」
「みんなにも聴かせてあげなさいよ」

里香の操作で、桂子の周りにライトと音響機器が出現した。
桂子「わっ!わわっ!ちょっと!里香さん!?」
里香「ほらほら、ミュージックスタート!」

BGMが流れ出した。
桂子「え?ちょ・・・うぅ・・・」
桂子がマイクを出現させ、歌い出した。

周りの人達がその様を見て、歌い終わった桂子に拍手を送った。
桂子「!は、はわ・・・」

桂子が里香達の所に、慌てて戻ってきた。
里香「おつかれー!」
ユイ「すごくお上手でした!」
桂子「うぅ、そうだ!キリトさんもユナのライブ行きますよね?」
和人「え、うーん・・・俺は別にそこまでファンってわけじゃないし」
桂子「えー、みんなで一緒に行きましょうよー!」
和人「まぁ、気が向いたらな」

落ち込む桂子を里香が慰める。
里香「よしよし」

和人「・・・確かに。面白そうなガジェットではあると思うよ、こいつは。でも・・・俺はフルダイブのほうがいいかな」
里香「・・・戻りたい、なんて言わないでよね」

桂子「そ、そういえば!」
「アインクラッドっていえば、例の噂は本当なんでしょうか?オーディナル・スケールに旧SAOのボスモンスターが現れるっていう・・・」
和人「!」
(SAO・・・だって・・・!?)

里香「ナゾのイベントバトルね」
明日奈「へぇ、何かのプロモーションとかなの?」
里香「うーん、それはわからないけど。出てくる場所がギリギリまでわからないから、足がない私たちには難しいのよね・・・」
明日奈「あら、移動手段ならあるじゃない」

明日奈達が和人を見た。
和人「ん?」
明日奈「ね-、キリトくん」
和人「んん!?」

夜の東京都千代田区 秋葉原。秋葉原UDX。
和人は明日奈を後ろに乗せて、バイクでそこへ来た。

集まっているプレイヤーの中には、クライン達風林火山がいた。
クライン「!、おう!おせぇぞキリの字!」
明日奈「クラインさん!ナイシタイミングでした!」

あの後、和人にクラインからのメッセージが来ていた。
クライン『一緒にOSのボス戦やろうぜ!!』

和人「・・・・・」
クライン「おろ、アスナも一緒なんか?」
明日奈「キリトくんがあんまり乗り気じゃなかったので引っ張って来ちゃいました。あと、じゃんけんで勝ったので!」
明日奈はチョキの手で、里香と桂子とのじゃんけんに勝ったのだ。
クライン「?・・・まぁ、いいや」
「おーし!みんなアスナにいいとこ見せてやろうぜ!」
風林火山「「「おぉー!!」」

和人「どこかで見たような~」


そして――――
明日奈「キリトくん、そろそろだよ」
和人「あぁ・・・」

和人と明日奈がオーグマーを取り出した。

和人・明日奈「「オーディナル・スケール起動!」」

和人と明日奈にオーディナル・スケールでの装備が装着された。


(続く)

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最終更新:2020年05月30日 06:23