ガールズ&パンツァー最終章 継続高校はらぺこ食事道の最終回

10 納豆料理とごちそうさま


前回までのあらすじ 「食事路」の旅路を経て無限軌道杯への参加を決めたミカたちは、
大洗女子で開催されるガイダンスへ赴いたのだった・・・
だが・・・

大洗の学園艦の船底に、ミッコとアキがいた。

ミッコ「え―っと、これは・・・」
アキ・ミッコ(迷った)

アキ「また「いい風の気配がこっちから」とか言ってふらっと消えた」
ミッコ「ミカを追って船底奥へ、奥へと探しに来たら・・・」
アキ「あ!この扉!まだ調べてないんじゃない?」

2人がその扉を開いた。
ミッコ「うわ!すごい熱気!」
「なにこの部屋?湿度もすごい・・・」

アキ「ミカ~?いる?」
ミッコ「この器は・・なんだこれ?」

ミッコが器の一つを取ると、サイレンが鳴った。
ミッコ「!!」

ムラカミ「侵入者か!」

扉を開いてフリント・ムラカミ・ラムの3人が出てきた。

フリント「盗人か!?」
ムラカミ「ギンバイか!?」
ラム「豚の餌にしてやろうかしら」

アキ・ミッコ「「ひえ~~~~~っ!?」」
アキ「あ、あの私たち・・・」
ミッコ「そ、そのね?人探しを・・・」

そこへ、カンテレの音色が聞こえてきた。

ミカ「ただ感じる風のままに、誘われてやってきただけさ・・・」
アキ・ミッコ「「ミカ!?」」

その部屋にミカがいた。

ミカ「力強いが・・・どことなく不思議な風を」

ムラカミ「あ!?なに言って・・・」
お銀「待ちな。その口ぶり・・・どうやら「わかってる」人とお見受けする」
ムラカミ「お銀姐さん!!」
部屋にお銀が来た。

お銀「風ってなんのことか全然分かんないけど!!」

ラム「つ、つまり姐さんが言いたいのは、こいつらにもこれを振る舞ってやれってことね!」
ムラカミ「そういうことか!そんなら話は簡単だ!こっちへこい!」
アキ「え!?」
ミッコ「ええ!?」
ムラカミ「グズグズするな!」


ミカ達は、バー「どん底」の席に座らされた。

ミッコ「えっと・・・」
ラム「ここはねぇ・・・バー「どん底」、私たちハミ出しモノの吹き溜まりさ」

フリント「だが・・・」
お銀「一目置いた奴に手を差し伸べるのはやぶさかじゃない。あんたたちは私たちの「宝」を探し当てた・・・やるじゃない」
ムラカミ「まったく・・・この間陸から来た連中への対応といい姐さんは甘いな。あのセンシャ?を持っておかれたおかげで燻製も作れなくなっちまったし」
お銀「ハッハ、まあいいじゃないか」
アキ「あの~・・・お話が見えませんが・・・」
お銀「ああ、ウチは燻製を名物にしてたんだが・・・無限軌道杯に出るとかで「燻製室」が使えなくなってね」
アキ「あ、私たちも今度出るんです!!」

お銀「で、新しい名物を開発中なのさ。それが・・・これさ」
カトラス「お待ち」

カトラスが出したのは――――

「納豆・・・!」

フリント『YO-HO!そう!これぞ「どん底」新名物!、自家製納豆!!納豆は高温多湿の閉鎖環境が大好き♪そこであたしらは考えた♪学園艦のボイラーからスチームをちょいとぶん捕り、自家製納豆の大量生産に乗り出したのさ!』

アキ「えーっとつまり・・・うちのミカが名物を褒めたからお礼にご馳走してくれると・・・?」

お銀「そういうことだ。ちなみにこの料理はそぼろ納豆といってね、納豆に切り干し大根と醤油を混ぜた茨城の家庭料理さ。スイスイ食えてうまいぞ・・・だが今日はせっかくのお客さんだあし・・ちょっと変わったモノをふるまうか」
「カトラス!」
カトラス「了解」

カトラス「それでは・・・アジ納豆を作る」
「材料は、ムラカミ達の釣ってきたアジの切り身。ネギ、大葉。ゴマ、卵黄、醤油・・・・匂いが気になる人はおろした生姜やニンニクなどを加えてもいい」
「まずはよく洗って水気を切ったアジの切り身を、細かく刻む」
「それに刻んだネギと大葉を加えて納豆と和え・・・」
「最後に醤油とゴマを加えたら・・・」
「アジ納豆、お待ち」

ムラカミ「おっ、いいなあ」
ラム「味わって食べるのヨン。あたしたちはそぼろ納豆お茶漬けにして食べるから」

ミッコ(魚と納豆・・・なんだか不思議な組み合わせだけど・・・どんなもんだろ?)

ミッコは、アジ納豆を食べてみて―――

ミッコ「あ・・ああ~、おいしい・・・なんていうんだろ、フシギな感じ・・・ムニュッとしてプリっとして・・・ただ・・・ただ、これはすごく・・・」
「ご飯が欲しくなる味ッ!!」

ミッコはご飯をかきこんだ。

ミッコ「ご・・・ご飯おかわりっ」
カトラス「了解、「斗」で炊いてあるから問題なく対応できる」

ミッコ「う、うまく言えないんだけど、どんどんご飯が消えていくっ!」

ミカ(ミッコがああにでもなるアジ納豆・・・海と陸の合わさったその力、味わってみようじゃないか)
ミカもアジ納豆を食べてみた。

ミカ(これは・・すごい!!納豆とアジという力強い突風のような旨味のポリフォニーを、アジの脂身のプリプリとした食感が包み込んで・・・)
(ご飯を求めずにいられない!)


ムラカミ「なんだ、オマエは手をつけてないな」
アキ「えーと、私ネバネバの食感が苦手・・・」
ラム「あ―――ん!?私たちの納豆が食えないと!?」

カトラス「よしな、そんな人のための新メニュー、お待ち」

カトラス「水戸名物、納豆のかき揚げ」
「具は匂いを抑えるためネギや玉ねぎなどの香味野菜を増やしてるわ」
「作り方は普通のかき揚げと同じ。水気を切った具と納豆をボウルに入れ、小麦粉をボウルに加え少しずつ水を加えていく、まだ粘気の残るくらいのゆるさで。
適切な大きさに分けて170度の油で1分程揚げて出来上がり。
具は舞茸やミツバ、紅ショウガなどがマッチ」

アキ「へ、へぇ・・・納豆のかき揚げ、どんなもんだろ」
アキは納豆のかき揚げを食べてみた。

アキ「ネバネバが程よく抑えられて・・・おいしい!衣のサクサク感と相まって不思議な感じ!アツアツだから納豆の旨味が強く感じられるのもいいね!」

ムラカミ「だろぉー?」

ミカ(魚と納豆、揚げ物と納豆・・か・・・思えば不思議な出会いだ)
(そして今日も戦車と船という、とても不思議な出会いがあった。
そう――――食事道とは出会い。食事は私たちに様々な出会いをもたらしてくれた。
そしてそれはこれからも・・・」


ミカ・アキ・ミッコ「「「ごちそうそうまでしたっ」」」

お銀「行くのかい――――」
ミカ「食事道の「出会い」を体現したような料理、素晴らしかったよ」
お銀「いい目をしている―――無限軌道杯に出ると言ってたね」
「会場で逢おう」

こうして、継続高校の食事道の旅は一段落がついた。
そして大会当日―――


アキ「ご飯できたよ~」
ミッコ「お、そんな時間かぁ!」

用意された昼食は、色とりどりの料理だった。

食事道――――食べることは戦車道の勝利につながると言われているが、
それに苦戦するチームがあった――――
いや、かってあった

アキ・ミッコ「「いただきまーす!」」

ミッコ「ウデを上げたね」
アキ「ミッコが安くていい素材調べてくれるからね!!」
ミカ(いい風が吹いている・・・いい日だ。食事道から、そしてその出会いから本当に様々なことを学べた。今日はそれを証すにはとてもいい日だ)

アナウンス「次は継続高校対ヨーグルト学園の試合です」
ミカ・アキ・ミッコ「「「ごちそうさまでしたっ」」」

ミカ「――――さあ」
アナウンス「選手のみなさんは準備を・・・」

ミカ「新たな風を吹かせに行こう」



おわり

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最終更新:2020年08月30日 10:11