【OPデモ】
魔物の追撃から逃れるため天空を彷徨っていたイースは、700年の時を経て、今はエステリアと名を変えたその地に再び帰還を果たした。
そして、赤毛の冒険家・アドル=クリスティンと、魔の元凶・ダームの最後の戦いが幕を開ける。
「我々魔物は、魔法から生まれた生き物。貴様らの魔法など私の足元にも及ばぬ。貴様に魔物の本当の恐ろしさを思い知られてくれるわ!!」
双子の女神・フィーナとレアがアドルの勝利を祈る。
6神官トバとジェンマの末裔・ゴーバンとルタもそれを見届けている。
熾烈を極めた戦いの末、アドルの手にしたクレリアソードがダームの本体=黒真珠を打ち砕く。
魔は魔法と共に永久に葬られ、エステリアに平和が戻った──。
【ゲーム本編開始】
…あれから2年。
エステリアへ向かう船の上。
ドギ「もうすぐだな、アドル。もうすぐエステリアだ。
しかし早いものだな。あれから2年も経つのか・・・きっとどこも変わっちまってるんだろうな。
何よりも、あのゴーバンのおかしらが、ミネアで店を始めたってんだから、変わってねえ訳がねえよな。早くこの目で見てえぜ。
・・・お、そろそろバルバドの港へ入るぜ。」
そして、船は港に着いた。
船員達が下船の準備をし、アドルとドギは船を降りる。
すろとそこにゴーバンが通りかかる。
ゴーバン「ドギ! ドギじゃねえか!! ・・・それにそっちは・・・アドルか!」
ドギ「ゴーバンのおかしら!」
ゴーバン「久しぶりじゃねえかこの野郎!!」
体当たりを食らわす。
ゴーバン「黙って出ていったきり、2年間もどこほっつき歩いてやがった!?」
更にもう一度体当たり。
ドギ「・・・何するんだよおかしら! おかしらが店を始めたって聞いて、会いに来たって言うのに!!」
ゴーバン「・・・へへ。そうか。だったら許してやるぜ。アドルも、よく来てくれたな・・・ついて来いよ! みんな驚くぜ!!」
そして3人は、ミネアの街へと足を急がせる。
ゴーバン「2人とも、元気そうじゃねえか。エステリアはすっかり、変わっちまったぜ。」
ドギ「それにしちゃあおかしらは、昔のままじゃねえか。それで本当に盗賊から足を洗ったのかね? ま、少し安心したけどな!」
ゴーバン「ナマ言うんじゃねえ。盗賊からは足を洗っても、お前が俺の子分だってことは、変わらねえんだからな。」
ドギ「くっ、調子いいなおかしらは。もう勝手にしてくれや。」
ゴーバン「その『おかしら』ってのは止めろよ。今は『取引所のゴーバンさん』だぜ?」
ドギ「ははは・・・似合わねえな・・・」
ゴーバン「うるせえ、この野郎・・・」
ミネアの街のゲートを開く。
ゴーバン「・・・みんな聞けぇーい!! アドル達が戻って来たぞー!!」
「戻って来たんだね、アドルさん! 君の噂は、今でも絶えないよ。」
「お兄ちゃんがあの、アドルさん? ・・・かっこいい!」
「もう会えないと思ってましたよ。何か良いことがありそうね!」
「よく来たな、アドル君! 憶えているかね? 医者のクラーゼだよ! 元気そうで何よりだ。・・・んっ、そうだ! 君が戻った事を、リリアさんにも伝えないとな。今から、呼びに行って来よう!」
アドルが来た途端に人だかりができ、街の人々も上機嫌だ。
ゴーバン「それじゃあ、俺たちはオーマンの酒場にいるからな。みんなに挨拶したら、お前も来いよ。」
ゴーバンとドギが揃って酒場へ。
(外にいる住人1人1人に話しかける。)
「この先は、バルバドの港です。せっかく来たのに、もう帰るとは言わせませんよ!」
「きゃっ! アドルさんに話しかけられちゃった・・・」
「行方不明だった占い師のサラさんも、この前突然帰って来たのよ。」
「地上に降りてきたイースの人たちとは、みんな仲良くやっているわ。」
「おかげで、平和に暮らしているよ。何とお礼を言ったら良いのか・・・」
「サラさんが、お兄ちゃんに会いたがってたわ。サラさんの家は、町の隅にあるのよ。」
「僕たち、大きくなったでしょ? これからも、ずーっと一緒にいるんだ!」
「ランスの村のフレア先生を憶えてるかい? あの人は「万能の薬の材料を探す」と言って大陸に渡ったよ。今頃どうしてるかなぁ?」
「ゴーバンさんて、怖い顔してるけど、本当はとっても優しい人なのよ。」
(「武器屋『ロゼッティ』」に入る。)
ロゼッティ「アドルさんじゃないか! 武器屋のロゼッティだよ。私も鼻が高いよ。うちの店の剣があんたの役に立ったんだからな。何かあったら、いつでも来てくれよな!」
(「防具屋『ディオス』」に入る。)
ディオス「ディオスの防具屋へようこそ。久しぶりだね、アドルさん。もう魔物はいないから、防具もあんまり売れませんよ。ま、平和の方が大事だけどね・・・」
(「クラーゼの病院」に入る。)
看護婦「あら、アドルさん!戻って来たのですね。平和なエステリアを、ゆっくりと楽しんで行って下さいね。」
(「取引所『ピム』」に入る。)
ピム「おっ、英雄さんのお帰りだな・・・久しぶりだね。ピムだよ。ゴーバンの野郎がこの店の隣で、同じ取引所を始めやがってな。おかげで、ちっとも客が来なくなっちまったよ・・・くそっ!」
(「占いの店『サラ』」に入る。)
サラ「アドルさん! 占い師のサラです。お元気でしたか? 私は戻ってきました。あなたにお会いするために・・・ぜひとも、お話ししたい事があるのです。聞いていただけませんか?」
(「はい」を選択。)
サラ「二年前、私はダルク=ファクトの手の者から逃れ、大陸に渡りました。でも、それにはもう一つの理由があったのです。
この水晶に浮かんだ、邪悪な光の源を探るため・・・その光からは、あのダームすらも及ばぬ、強い波動を感じました。
水晶が示したのは、深き樹海に覆われた地、セルセタ・・・しかし、いまだに魔物が出没し、結局私には入り込めませんでした。
アドルさん。あなたなら、セルセタに入ることができるはずです。セルセタ地方は大陸の港町、プロマロックの先にあります。
戻ったばかりのあなたに、お願いするのは心苦しいのですが・・・セルセタに・・・向かってくれませんか・・・」
(全員に話し終えてから「オーマンの酒場」に入る。)
ゴーバン「・・・それでな、へへ・・・俺は言ってやったんだよ・・・」
ドギ「勘弁してくれよおかしら・・・あれはひょっとして・・・お、やって来たな?」
ゴーバン「よお! アドル!! 遅かったじゃねえか!! ・・・?・・・何難しい顔してるんだよ。さあここに座れよ。旅の話をたっぷりと聞かせてもらうぜ。」
酒盛りが終わって外に出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。
ゴーバン「いやーははは・・・今日は楽しかったなあ・・・さあ、俺の店に行こうぜ。」
揃って店に行く途中、3人は足を止める。
ゴーバン「今日はゆっくり休んで、明日は久しぶりのエステリアを見て回るといいぜ。」
ドギはその場で飛び回っている。
ゴーバン「・・・さあ着いたぜ。ここが俺の店だ。遠慮しねえで入ってくれ。」
3人が店に入り、消灯。
翌日の早朝。街にやって来たリリアがゴーバンの店を通り過ぎる。
そして、店を見つけて玄関をノックする。
リリア「ゴーバンさん、開けて下さい。ゴーバンさん!」
ゴーバン「・・・? ふぁぁ・・・誰だ、こんな時間に・・・」
玄関を開ける。
ゴーバン「おお、リリアじゃないか。」
リリア「朝早くにすみません。アドルさん達が戻ったと聞いて・・・」
ゴーバン「ははは・・・アドルさん達じゃなくて、アドルに会いたいんだろ。ああ分かってるって。待ってろ。今起こしてやるよ。おーい! アドル!」
明かりをつけて、大声でアドルを呼ぶ。
ゴーバン「アドル!! おいドギ。アドルはどこだ?」
ドギ「・・・ん・・・何だいおかしら・・・アドルならそこに・・・ん? おいアドル! ・・・どこに行ったんだ!? アドル! アドル!!」
アドルは人知れずセルセタ地方へと向かっていた。
一方その頃──。
洞窟の奥で怪しげな儀式が行われている。
祭壇の中央で蠢く人の形をした物体。やがてその周囲で炎が燃えだす。
おぞましい唸り声をあげると、小指が崩れ落ち、次第に人の形を留められなくなっていく。
そして高台から光の柱が伸び、儀式は失敗に終わる。
「・・・」
「またしても失敗か・・・やはり、あの力なしでは、無理のようだな・・・」
それを見ながら、黒いローブと仮面の者同士が会話している。
光が消えた後に残ったドロドロの肉塊。
ローブの者達が次々に飛び去る。
今、深き樹海の地にて、アドルの新たな冒険が始まろうとしている。
最終更新:2020年09月16日 00:05