機動戦士クロスボーン・ガンダム DUSTのプロローグ

宇宙が黄昏に包まれる頃──



おそらく… “宇宙世紀(せかい)”は…
どこかでゆっくりと終わり始めていたのだ…

どこから語り始めようか?

U.C.169年──

“最後の大戦”ザンスカール建国戦争は
16年前に終結した

だがこの時 戦局の決定力となったのが
リガ・ミリティア(レジスタンス)だったということが
結果的に内外に
地球連邦にかつての勢力がないという事実を
知らしめることになった

連邦という巨大な“力の歯止め”を失った
各コロニーの独立運動hは
次第に暴走を始め──
気付けば いつしかそれらは
互いに覇権を奪い合うだけの
泥沼のような混戦へと移り変わっていた…

戦乱の長期化は 人々の生活の安定を妨げ
技術力の低下を招く
もはや かつてのように
新型のMS(モビルスーツ)を設計する能力も
量産する体力も
どこのコロニーにも残されてはいなかった

戦力の中心は次第に
整備の難しい新型から
それの容易な旧型へと移り始めた──

一年戦争より90年
断続的に繰り返された戦乱により
地球圏の至るところに撒き散らされた
数知れぬMSが改修され 修復され
再び戦場に送り込まれたのだ

……さながら それは死霊の軍団を思わせた

戦力低下に伴い 以前のような
大規模な“戦争”は起きなくなった
それでも絶え間なく続く
“小さな争い”はいつ果てるともなく
人々の世界を小さく分断し
傷口を広げ続けていたのだ…

“おそらく”
こうして“宇宙世紀”は少しずつ…
血を流しながら終わっていくのだろう…
誰しもが… そう思い始めていた…
そう── “このまま”ならば──

だが── それに抗うように動き始める
数多(あまた)の“(DUST)”達の姿も また確かに存在した──


例えば この男──
戦う穀物王“鋼鉄の農夫” タガナス・タヤカ

例えば 不敗の舞姫“月下の白鶴(しらつる)
カグヤ・シラトリ

あるいは さまよう“幽霊(ゴースト)”が…

そして ここにもまたもうひとり



薄暗い部屋に、2人の男がいる。
扉が開き、物語の主人公、浅黒い肌の青年が現れる。

「行くぞ── お前達… 仕事だ!」
「待ってやした! オヤブン! それで? どちらに?」
「27バンチ… コロニーに穴を開けた悪党(バカヤロウ)がいる!」
「そいつをぶっつぶす仕事っすね!」
「何度も言わすんじゃねぇ おれ達は傭兵じゃない! 仕事はあくまで逃げ遅れた住人の救出と輸送だ… ……だから… 悪党をぶっつぶすのは仕事じゃねぇ! ただのついでだ! 行くぜ!」



武装輸送団“無敵運送”の(おさ)
“燃えつきぬ灰” アッシュ・キング

そう── 物語はここから始めよう



新たなクロスボーン伝説がいま始まる!



※ この続きは機動戦士クロスボーンガンダム DUSTの第1話をご覧ください

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最終更新:2021年06月12日 21:52