男性が手を縛られながら逃げていた。
男性(英語)「なぜ私がこんな目に クソッ‼︎」
レポーター(英語)「間もなくWSGボストンが始まりますが 未だにスタジアム(英語)が完成しておりません 果たして当日までに完成するのでしょうか」
アナウンサー(英語)「未完成のままならば 全米中の国民が許さないでしょうね」
キャスター(英語)「そのとおり!」
男性は駅にやってきてホームを飛び越える。
男性(英語)「どいてくれ!」
ようやく列車に乗り込むが、背中を撃たれて倒れてしまう。
他の乗客が逃げる中、男性がホームから男を見送る。
エリー「この真空超電導リニアライナーは、最高速度がなんと時速1000キロ!」
客「すごい。一瞬だ」
史郎「素晴らしい……」
ジョン「早く乗りたいですね……」
エリー「皆さま、寛大な拍手、誠にありがとうございます。この新たに作られた真空超電導リニアは、新名古屋駅と東京の芝浜駅のを間をなんと、25分で走り抜けまーす!」
元太「スッゲェ!」
舞子「それでは今から……」
元太「でも、芝浜駅ってどこだ?」
光彦「えっ? 知らないんですか? 元太くん」
元太「うん……」
歩美「お姉さんが今から説明してくれるって……」
元太「おおっ、ちょうどよかったぜ……」
舞子「まず最初に、川品駅と岡松町駅の間にできた芝浜駅は、真空超電導リニア発着用に建設されました…… そして本日の会場でもある芝浜ビューホテルと駅は地下道で繋がっており、また来月WSG東京の開会式が行われる芝浜スタジアムとはそのまま直結しています! 芝浜周辺のWSG東京の開幕後も真空超電導リニアの始発駅として人々の拠点になるでしょう……」
元太「WSGってどういう意味だ?」
歩美「歩美、わかんない……」
光彦「えっと、確か……」
コナン「何悩んでんだ?」
コナンが哀や蘭とやってくる。
歩美「あっ。コナンくん、哀ちゃん」
光彦「トイレ長かったですね……」
哀「探すのに迷っただけよ」
蘭「みんな、待たせてごめんね……」
元太「なぁ、コナン……」
コナン「ん?」
元太「WSGって知ってるか?」
コナン「ああ、もちろん。『WORLD SPORTS GAMES』…… 略してWSG。4年に1回開かれるスポーツ大会のことだよ」
哀「世界中のアスリートが国の威信をかけて競うのよ……」
エリー「ついに真空超電導リニアが開通します!」
舞子「それに乗るのは、本日出席されているWSG東京のスポンサーの皆様、そして各国のWSG協会の皆さまです……」
両脇の画面にスポンサーと協会の写真が写し出される。
エリー「また本日は代表として、WSG協会会長のアラン・マッケンジーさんよりコメントが届いています」
コナン(FBI長官?)
画面にアランが映し出される。
アラン「日本のみなさん、こんにちは……」(英語)「WSG東京の開会式を皆さんと観られることを そして世界初の真空超電導リニアに乗車できることを楽しみにしています」
コメントが終わる。
舞子「アランさん、ありがとうございました。そしてここで皆さんにお知らせしたいことがあります!」
元太「いいな。俺も乗りてぇな……」
光彦「僕ら庶民には無理ですよ……」
舞子「なんと、このリニアに抽選で一般の方々も乗れることが決定しました!」
探偵団「やった‼︎」
哀「あらあら……」
コナン「こいつら、もうもらった気でいやがる」
蘭「でも、喜ぶのはまだ早いんじゃない?」
歩美「えっ、なんで?」
哀「抽選だって言ったでしょ?」
コナン「どんだけ倍率高いと思ってんだよ」
元太「なんだよ、けちんぼ大魔王!」
光彦「いえ、まだ方法はあります。確か鈴木財閥の会社のいくつかがWSG東京のスポンサーだったはず」
歩美「そっか。園子お姉さんに頼めばいいんだ!」
園子「『いいんだ』じゃないわよ! そんなプラチナチケット、簡単に手に入るはずないでしょう? 世の中そんなに甘くないんだからね……」
史郎「まぁまぁ園子。一応頼んでみようか?」
朋子「そうねぇ。子供たちの分くらいなら……」
探偵団「うわーっ!」
園子「ったく…… ガキンチョたちを甘やかしすぎなんじゃない?」
光彦「口を挟まないでください!」
歩美「いい感じだったのに……」
元太「邪魔すんなよな」
園子「あんたたちねぇ…… ここにこられただけでも感謝しなさい!」
探偵団「はーい……」
ホテルマン「お取り込み中すいません。今からこちらにお食事用のワゴンを並べてみよろしいでしょうか?」
園子「あっ、はーい……」
蘭「すぐどきます……」
テーブルにはたくさんの料理が並んでいた。
探偵団「美味しそう!」
蘭「みんな、ご飯取り終わったら扉の前に集合ね」
探偵団「はーい!」
元太「よーし、行こうぜ‼︎」
光彦、歩美「おーっ!」
元太「いっぱい食って元取るぞ」
コナン「切り替え早ぇな……」
哀「そうねぇ。私たちより若いもの……」
コナン「若いって、俺もお前もまだ10代……」
哀「じゃあ臨機応変で無邪気な子供たちに乾杯……」
すると電気が消えてしまう。
園子「停電?」
元太「なんだ?」
コナン「何が起こったんだ?」
アナウンス「芝浜ビューホテルよりおしらせします……」
一瞬だけ史郎の後ろが光る。
コナン「(なんだ? あの光) 悪い、灰原。グラス持っててくんねぇか?」
哀「あっ、ちょ、ちょっと。江戸川くん!」
コナンはグラスを哀に渡して去ってしまう。
哀「まったくもう…… ふん」
コナン「確かこの辺で光が……」
すると蘭がコナンの腕を掴む。
蘭「コナンくん、大丈夫?」
コナン「蘭、姉ちゃん…… あ、うん……」
非常灯が復旧する。
蘭「ついた……」
アナウンス「芝浜ビューホテルよりお知らせします」
蘭「次は子供たち、探さないと……」
園子「パパ、パパ? いたら返事して!」
蘭「園子、どうしたの?」
園子「あ、蘭! 実はパパがいなくなっちゃって……」
朋子「電話も繋がらないのよ」
蘭「さっきまで一緒にいたじゃない……」
園子「うん、そうなんだけど…… 非常灯がついたらいなくなってて……」
朋子「ほんと、どこに行ったのかしら?」
園子「あっ、ジョンさんだ! ジョンさん。お話中すいません…… 少しお時間いただけませんか?」
ジョン「おお、園子さん。どうしました?」
園子「あの、さっきまで一緒だったうちの父なのですが、どこに行ったか知りませんか?」
するとジョンの表情が険しくなる。
園子「あ、あの。ジョンさん?」
ジョン(英語)「知らない‼︎」
園子「あっ、ジョンさん!」
ジョンが飛び出していく。
ホテルマン「お客様、走らないでください!」
園子「蘭、私、なんか変なこと言った?」
哀「江戸川くん…… 停電は30秒ぐらいだったわよね?」
コナン「ああ…… その短い間にこの広い会場から消えるってのは……」
元太「ってことはこれたちの出番だな!」
光彦「久しぶりですね」
歩美「そうだね……」
光彦「僕たち……」
歩美「私たち……」
元太「俺たちは……」
探偵団「なんたって少年探偵団なんだから‼︎」
3人「はぁ……」
コナン「園子姉ちゃん、ホテルの人に探してもらおう……」
目暮「待たせてすまんな……」
高木、佐藤「目暮警部!」
目暮「状況はどうだ?」
高木「鈴木会長はまだ見つかりません」
目暮「そうか……」
佐藤「館内側からの呼び出しにも応答がないままです……」
目暮「うむ…… 身代金を目的とした誘拐事件かもしれんな……」
高木「それとパーティーにコナンくんたちが来ていまして、停電になってすぐ青白い火花のような光を見たと言っています」
目暮「話を聞こう……」
コナン「それって多分あれだと思う。ほら、テレビドラマとかで悪い人がビリビリってやって人を気絶させちゃうやつ」
高木、佐藤「スタンガン!」
目暮「まさか! 鈴木会長もスタンガンで拉致されたってことか……」
コナン「鈴木会長も?」
佐藤「でも気絶した人をここから連れ出すなんて、30秒じゃ無理ですよ」
目暮「防犯カメラは確認したんですよね?」
ホテルマン「ええ…… 非常電源がついた後、怪しい動きをしてる人はいませんでした」
コナン(確かに。気絶した人間を人目がある中でどうやって連れ出したんだ? そしてその目的的は一体)
元太「やっぱりそうだ……」
光彦「どうしました?」
歩美「何か見つかったの?
元太「うーん…… うなぎの匂いがこの辺からする」
高木「あの子たち、部屋からついてきちゃったのか……」
佐藤「すぐに戻ってもらいましょう……」
元太「うなぎの匂いは残っている…… なのになんでうなぎがねぇんだ?」
コナン「そういうことか…… ねぇ、ここ。ちょうどワゴン1つ分空いてる。ここにも何か料理があったんじゃない?」
ホテルマン「えーっと…… そこにはうなぎの蒲焼とタレで蒸したおこわ飯があったはずです」
元太「なにそれ。超うまそうじゃん!」
光彦「ウンウン」
ホテルマン「でも変だな。ご飯ものは出したばかりなのになんでないんだろう?」
光彦「美味しすぎて人気だからすぐなくなっちゃったとかですかね?」
コナン「違う。見て、ここなら人が乗れる……」
高木「まさか、それで鈴木会長を運んだ?」
佐藤「確かにこれなら、気づかれずに運び出せます。だとすると、犯人はホテルマンかその格好をしている可能性が高いのではないでしょうか?」
目暮「うむ。ここからワゴンを押して出て行ったホテルマンがいたか目撃者を探せ。ホテル内の防犯カメラも再確認だ」
高木、佐藤「はい!」
目暮「君たちはすぐに部屋に戻るんだぞ……」
探偵団「はーい! へへへ………」
元太は匂いを嗅いでいた。
元太「こっちだ、うなぎの匂いはこっちからするぞ!」
歩美「元太くん、すごい。警察犬みたい!」
光彦「こんな才能があったなんて!」
元太「へっへへ! お前ら、知らなかったのかよ」
コナン(知ってた気がする……)
元太「もう近いぞ。匂いがだんだん強くなってきた!」
探偵団がたどり着いたのは調理場だった。
歩美「誰もいないね……」
コナン「従業員は事情聴取中だろ?」
光彦「元太くん、どうですか?」
元太「うーん、この部屋にあるのは確かなんだけどな……」
哀「見つけたわ……」
光彦「本当ですか? 灰原さん」
哀「あの奥にあるワゴン、パーティー会場にあったものと一緒じゃないかしら?」
光彦「おおっ!」
元太「はは、見つけた!」
コナン「ん?」
コナンは従業員の制服の上着を見つける。
コナン(なんでこんなところに男物の制服が……)
哀「江戸川くん! ワゴンの中に鈴木会長はいないわ……」
コナン「わかった」
元太「クンクン…… スッゲェ美味そう……」
光彦「証拠品ですから食べちゃダメですよ」
元太「えっ?」
コナンは扉の汚れを臭う。
コナン「蒲焼のタレ……」
扉を開けるとそこで史郎が眠っていた。
コナン「見つけた……」
医務室。
佐藤「では犯人の顔は?」
史郎「見てません…… 停電が起きて気がついたらこの子たちが……」
元太「俺たち少年探偵団のおかげだな!」
光彦「ですね……」
歩美「うんうん」
高木「警部、三塚社長と同じ供述です……」
コナン「えっ? (つまり、三塚社長って人も同じ目にあったということか……)」
史郎「じゃあやっぱりあれは事件だったんですか?」
園子「ねぇパパ、なんの話?」
史郎「先週会った友達が急にいなくなった話、覚えてるかい?」
園子「ああ…… パパが最近よくゴルフコース一緒に回ってる女性社長よね」
朋子「そうなの? パパ」
史郎「あっ、いや。2人きりじゃないからね……」
園子「でも警察が来てすぐにゴルフ場のトイレで見つかったのよね?」
史郎「そう。だけど彼女はこの時のことは僕たちに何も話してくれなくて…… 今日のパーティーも来なかったしね」
コナン「あれ? じゃあその三塚っていう女性社長さんもWSG東京のスポンサーなの?」
史郎「ああ、そうだよ……」
立ち聞きしていたジョンが去る。
阿笠邸。
博士「三塚映子…… 三塚製菓の社長じゃな」
元太「おっ、俺、このマーク知ってる。仮面ヤイバーチョコレートにこのマークがついてるからよ」
博士「そうじゃな……」
コナン「そんなことより気になるのが……」
歩美「あっ、見て。仮面ヤイバーショーだって!」
光彦「リニアが初めて走る日に芝浜駅でやるみたいですねぇ……」
元太「なにそれ? 超行きてぇ……」
光彦「ですねぇ……」
哀「残念だけど、観覧の募集はとっくに終わったみたいよ……」
歩美「ええっ?」
元太「なんだよもう!」
光彦「ショックです……」
哀「そんなことよりあなたが気になってるのは…… これね」
哀が映し出したのはWSGのマークである。
コナン「ああ…… この会社も鈴木会長の会社もWSG東京のスポンサーだ。その会社のトップ2人が相次いで拉致された…… これって偶然か?」
工藤家で沖矢がコナンの会話を盗聴していた。
すると昴のスマホが鳴り出す。
沖矢「はい」
ジェイムズ「私だ。突然だが、15年前のWSG連続拉致事件を知ってるね?」
沖矢「もちろんです……」
ジェイムズ「あの忌まわしい事件が今度は東京で起きたかもしれん……」
沖矢「ええ…… そのようですね」
最終更新:2023年11月23日 06:53