鳥人戦隊ジェットマン 天駆ける戦士の最終回

かつてジェットマンに敗れた裏次元伯爵ラディゲが、トランザの肉体を乗っ取って甦り、ジェットマンに挑む。
ジェットマンたちはグリーンイーグル・ジェフリィ剣崎(ジェフ)を新メンバーとして、鳥人戦隊を再結成する。
だがラディゲは竜を苦しめるため、竜と香の娘・綾をさらい、洗脳して悪の女戦士に仕立て上げる。
綾を取り戻そうと竜たちが苦戦する中、ジェフは綾とともにラディゲの凶刃に倒れる。
元の記憶を取り戻した綾は、バイラムのロボット・ミーナの力でジェフを蘇生させ、自らは絶命する。
綾の死という大きな犠牲と引き換えに、ジェットマンたちは戦いの末、ラディゲを倒す。
ジェフは、自身の肉体に残留したミーナの力とバードニックウェーブにより、綾を蘇生させることを提案する。


最終話 蒼空


ジェットマンたちの乗った巨大ロボ・グレートイカロスが、スカイフォース基地に帰還する。

「グレートイカロス帰還しました」「オペ開始前 最終チェック」
「照射装置オールグリーン」「抽出装置異常ナシ」「プログラム・ランスルーOK」
「準備全て良し」「そのまま待機」

小田切「はじめにいっておくわ 酷だけど このオペが成功する可能性はほとんどない 生存中にバードニックウェーブを浴びたジェフと同じ効果を 綾ちゃんに期待することはできないのよ」
竜「……わかってます ないに等しい可能性でも 何もしないままあきらめたくありません」
小田切「それから…… ジェフ」
ジェフ「はい」
小田切「このオペが あなたの命を奪う可能性があるってコト…… わかっているわね?」

一同の間に衝撃が走る。

アコ「ジェフ」
ジェフ「はい! 携帯ラジオの電池抜くよーなマネする訳っスから 承知の上っス 俺の命は綾ちゃんにもらったものっスから わずかでも返せるアテがあるのなら やらせて下さい」
アコ「ジェフ」
竜「すまん ジェフ 俺は……」
ジェフ「何も言わんで下さい 天堂さん 俺が望んでやるコトっスから」
アコ「バカよ どうしてあんたってヘビメタのくせに浪花節なのよ 本当にバカなんだから 悟りきった笑顔なんかしてんじゃないわよ」

笑顔のジェフに対し、アコが涙を流し、ジェフの胸を叩き続ける。

アコ「いいコト 絶対ハッピーエンドよ 二人とも生きて帰ってくるのよ でなきゃ許さないから! いいわね!」
ジェフ「はい 必ず生きて戻りマス」


手術室で、綾の蘇生措置が開始される。

処置開始!(オペレーションスタート)

「天堂綾の容態に変化なし」「照射続行しますか」

ジェフ「綾ちゃん 長官! オレのエネルギーを彼女に」
小田切「駄目よ それではあなたの命まで」
ジェフ「起爆剤になるかもしれない やって下さい」
小田切「……わかったわ 照射は続行 合わせてジェフ剣崎の処置を──」
ジェフ「ミーナ 頼むぜ」

「エネルギー抽出開始」
「体温・血圧・脈拍 急激に低下──」「脳波に乱れが」

小田切「ジェフのエネルギーを綾に ジェフにもバードニックウェーブの照射を

「ジェフ剣崎の心臓停止 天童綾・依然変化なし」「処置続行しますか」

小田切「続けて!

アコ「ジェフのバカァ 約束したんだから 根性で生き返れよォ ジェフ──!!


精神世界?のジェフ。

ジェフ「──あ マズイ状況になってるな── アコさん 怒ってるだろーなぁ ミーナぁ なんとかならねーかぁ」

ジェフの体からミーナが分離し、飛び出す。

ジェフ「……ミーナ! あ・おい どこへ行くんだ!」

その先には、綾がいる。

ジェフ「あ 綾ちゃん……」
綾「バカね 何故こんなトコへ来たの? あたしなんかほっとけばよかったのに」
ジェフ「綾ちゃん 帰ろう 皆待ってる」
綾「ムリよ 戻るにはすごく力がいるのよ エネルギーが足りないの あなたも私ももう戻れないわ」
ジェフ「だめだよ あきらめちゃ 何か方法があるかもしれない あきらめたら できるものもできないよ」
綾「だめよ だめだわ 戻れる訳ないわ 私はとりかえしのつかないことをしてしまった 私のせいで沢山の人が死んだのよ どう償えばいいの……!」
ジェフ「君のせいじゃない! 君は悪くない! それに…… 罪がどーの償いがどーのなんて 考えなくていいんだよ」
綾「え」
ジェフ「死んだら何もできないけど 生きていればそれだけでもいいんだよ」
綾「でも でももう」
ジェフ「きっと方法が ……あ?」

どこからか、エネルギーが流れてくる。

ジェフ「エネルギーの流れ? あ! 皆が俺達に力を分けてくれるんだよ」
綾「……! パパ ママ……!」

竜、香、雷太、アコの4人が、渾身の力でバードニックウェーブをジェフと綾に送っている。

ジェフ「きっと今なら戻れる! さぁ! 一緒に戻ろう!」
綾「でも だって」
ジェフ「さぁ」

「そうよ 戻りなさい綾ちゃん」

2人の男女が現れる。

「帰りな パパとママのところへ」
「生きて…… そして幸せになって 私達の分まで」

もとの赤ん坊の姿に戻った綾を、2人は優しく抱く。

「愛してるわ いつも見守ってるわ」
「泣くのはもうやめて 待ってる人たちの所へ帰りな この子を頼んだぜ 早く戻りな」

赤ん坊となった綾を、男がジェフの腕に預ける。

ジェフ「あ……あ あなたたちはもしかして」

かつてのジェットマンの仲間、ブラックコンドル・結城 凱。
バイラムに利用されて命を落とした、竜の恋人・藍 リエ。

凱「俺達は仲間さ」
リエ「さぁ 目覚めなさい」
凱「あばよ」
ジェフ「あ 結城さん リエさ……」

凱とリエの姿が消えてゆく──


ジェフが気付くと、そこは手術台の上。アコが涙を流しながら抱きつく。

アコ「ジェフ」
ジェフ「……? !?」
アコ「心配かけやがって バカヤロがぁ」
ジェフ「あ? 天国?」

アコがジェフの頬をつねる。

アコ「おバカ 痛いでしょ ホラ 生きてんのよ 生きてんのよ ジェフ!」
ジェフ「あ…… 綾ちゃん……は?」

竜と香に抱かれた綾が、無邪気な笑顔でジェフに手を伸ばす。
ジェフが大粒の涙をこぼしつつ、その手を受け止める。

アコがジェフの手を引き、外へ連れ出す。
竜、香、アコ、雷太たちも、小田切長官やネオジェットマンたちも駆け出す。

彼らの視線の先には、澄み切った青空がどこまでも広がっている。



見に行こう 青空を
見に行こう 皆で守った青空を

そして 守っていこう
平和な空を力を合わせて

これからもずっと──



鳥人戦隊ジェットマン 天駆ける戦士 完

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最終更新:2016年08月08日 08:08