ウルトラマンXの最終回

(前回のハイライト)
グルマン「こいつは全くの『無』なんだ」
マモル「ヤバイっしょ、これ絶対……!」

宇宙空間で謎の発光体と遭遇したスペースマスケッティが消息を絶った。

タケル「スペースマスケッティ、レーダーから消えました!」
ルイ「探していたのはこいつだよ!」
橘「あの発光体がダークサンダーエナジーの発生源だと、すぐにUNVER本部に知らせて!」

発光体の正体はウルトラマンエックスの宿敵・虚空怪獣グリーザ。
UNVERネバダ支部に現れたグリーザは、ネバダ支部に保管されているスパークドールズを吸収して人型に変身した。

タケル「UNVERネバダ支部に直撃!半径1キロが消失……!」
神木「スパークドールズが引き寄せたのか……」

さらにグリーザはXioの艦隊を壊滅させ、日本を目指す。
この最大の危機に、エックスは自ら日本支部の隊員たちにグリーザの脅威を説明した。

グリーザは惑星の生体エネルギーを吸収し、全てを「無」に変える性質を持っている。
15年前、宇宙で発生した異変をキャッチしたエックスは、その元凶であるグリーザを追って太陽系までやって来た。
エックスはグリーザを太陽に突き落とし、辛うじて倒した。
だがその時に発生した膨大なエネルギーが、地球各地に眠るスパークドールズを実体化させた「ウルトラフレア」の原因になってしまったのだ。

グリーザは強い生体エネルギーを秘めたスパークドールズに目をつけたからこそ、UNVERネバダ支部を襲った。
つまり……

エックス「次に狙われるのは、Xio日本支部です」

そして、ついにグリーザがXio日本支部に現れた。グリーザがスカイマスケッティに狙いを定める。

大地「間に合わない!」

大地はやむなくアスナの目の前でエックスとユナイト。

大地「今まで黙っててごめん!俺とエックスであいつを止めてみせる!」

ウルトラマンエックスがグリーザに挑む!

アスナ「大地が……大地がエックスだったんです!」

エクシードエックスに変身し、サイバーゴモラと共に立ち向かうエックスだったが、グリーザにはあらゆる攻撃が通じない。
スカイマスケッティもサイバーゴモラも戦線離脱を余儀なくされ、エクシードエックスはグリーザに吸収されてしまった!

アスナ「大地!大地――!!」

グリーザは爆発と共に姿を消し、現場にはエックスのカラータイマーだけが残っていた。
アスナがカラータイマーに駆け寄る……。


虹の大地


神木「大地……」
アスナがカラータイマーに触れると、何かに気づいたのか耳を近づける。
アスナ「大地!大地は……!」

アスナ「これを聞いてください!」
アスナのジオデバイザーから、微かに心音が聞こえてきた。
アスナ「エックスは……大地は生きてます!」

神木「あの中に、大地が……」
橘「何か、助け出す方法を」
グルマン「うーん……以前エックスを救うために大地を電脳空間に転送した事があった。
あれを応用して誰かをエックスの中に転送すれば、大地を連れ戻す事が出来るかもしれん!」
神木「本当にそんな事が?」
グルマン「理論上は、な。大きな危険を伴うのは確かだ……」
橘「私が行きます!」
アスナ「いえ、私に行かせてください!」
神木「アスナ……」
アスナ「私が必ず救い出します!」

ベットに寝かされたアスナに、装置が接続される。
橘「無茶はしないようにね、いいわね」
グルマン「このαX波が限界値を越えたら、命の危機だ」
ルイ「そうなる前に私が強制解除する。
ずっと側にいてあげるから安心して……ダイくんの事、頼んだよ」
アスナ「……ガッテンテン」
グルマン「準備はいいか?」
アスナ「はい」
グルマン「転送開始!」

アスナの意識がエックスのデータの中に送り込まれた。
アスナ「ここがエックスの中……!大地!どこにいるの、大地!」


大地は暗闇の中にいた。
大地はエックスが居るはずのエクスデバイザーを取り出すも、機能停止していた。
大地「エックス!おい、返事をしてくれ!」

次の瞬間、大地は母・遥のいる研究室にいた。
大地「母さん!これは……あの夜?」

遥「私の研究では、15年後の地球には生命の発する電波がなかった。
全ての生き物が消滅しているとしか思えませんでした」
「しかし、これを手に入れて以来、微かに未来の音が受信できたのです」
遥が持っている鉱物の結晶体は、大地の持つエクスラッガーと同じ形をしていた。


鷹志「母さんを連れて来るから絶対にここを動くな!いいな!」
大地の父・鷹志は、幼かった大地を残し、研究所へ入った。

遥「やはりこれは未来に影響しています。やはりこれは……!」
鷹志が研究室に入った。

鷹志「何をしてる!急ぐんだ」
遥「これを見て!今日になって光り出したの、未来の音が今までで一番はっきり聞こえた」
鷹志「何が聞こえたんだ?」
遥「たぶん……大地の声」

大地「とおさーん!!かあさーん!!」

遥「大地……」
鷹志「この光が希望……」
遥と鷹志が消滅していく。

大地「母さん!父さん!」
大地の意識も消滅に巻き込まれていく……。


一方、現実空間。
タケル「隊長!グリーザが再生を始めました!」

グリーザが再び出現した。
神木「ハイパーエナジーシールドを再起動!
使用可能なエネルギーを全て使ってラボを守れ!」

グルマン「これはマズいぞ!」
グリーザの光線がシールドに当たり、基地を揺らす。

神木「サイバーゴモラを起動しろ!私が行く!」
ハヤト「隊長!……自分にやらせてください」
神木「ハヤト……」


アスナ「大地!お願い、応えて!」
アスナの手が強く輝く。そしてエクスラッガーが現れた。
アスナがエクスラッガーを手に取る。


大地「どこに行っちゃったんだ、エックス……」
大地が自分の両手を見ると、透けかかっていた。
大地はそのまま倒れてしまう。大地の体が消えようとしていた。


現実空間。サイバーゴモラが実体化する。
ハヤト「ゴモラー!大地がピンチなんだ!力を貸してくれ――!!」

サイバーゴモラがグリーザと戦うも、圧倒される。
グリーザの光の触手がサイバーゴモラを切り刻み、衝撃でワタルが吹き飛ぶ。
グリーザはさらに光線を放ち、サイバーゴモラを消滅させ、ハイパーエナジーシールドまで破壊した。
基地もダメージを受け、各所で爆発が起き出す。

グルマン「ルイ!アスナを連れて逃げろ!」
ルイ「でも博士!」
グルマン「ここは私に任せろ!いいか、何があってもアスナを……」
グルマンは爆発に巻き込まれてしまった。

ルイ「博士――!」
橘「ルイ!アスナを連れて逃げるわよ!」
ルイ「……はい!」


ハイパーエナジーシールドが破壊され、実体化したEXゴモラ、EXレッドキング、ツルギデマーガが地面から現れた。
それぞれのスパークドールズが、グリーザの力でパワーアップしたのだ。

グリーザが光の触手を無数に伸ばし、実体化しなかったスパークドールズと、EXレッドキング、ツルギデマーガを吸収していく。
最後にEXゴモラもスパークドールズに戻されてから吸収された。

全てのスパークドールズを吸収したグリーザは、複数の突起を生やしたより凶悪な姿へ変化した。


橘とルイがアスナを外に運び出す。
橘「気をつけて」
ルイ「ハイ」

傷ついたハヤトが近くにいた。
橘「ハヤト!大丈夫!?つかまって」

外へ出てきた神木とタケル、チアキがウルトライザーを構える。
ハヤト「隊長!」
神木「アスナが必ず大地を連れ帰る!我々が最後の砦だ!」


一方、電脳空間。アスナは懸命に呼びかけ続ける。
アスナ「聞いて大地!大地は私が守ってあげなくちゃって、すっと頑張ってきたんだけど……守られてたのは私の方だったんだよね。
ずっとエックスと戦ってたんだ……すごいよ、大地……」
大地「アスナ……」

現実空間では、Xioの面々がウルトライザーでグリーザに抵抗していたが、装置はアスナのαX波が危険値にある事を知らせていた。

アスナ「私ね……怪獣たちと共に生きるって大地の夢、絶対に無理って思ってたの。
けど大地はいつもまっすぐで、どんな時もあきらめなかった。
今は一緒に私も夢を追いかけたいって思ってるよ!
どんな夢も、未来がなきゃ叶わないんだよ!
今立ち向かわないと未来だって来ないんだよ!大地!!」


橘「アスナの脳が限界値を超える!ルイ、強制解除を」
ルイ「……ハイ」
ルイが装置を強制解除しようとしたその時、意識のないはずのアスナの手がルイを止めた。


アスナ「一緒にこんな戦い終わらせよう?一緒に無茶な夢を追いかけようよ!
だから、帰って来て……大地!!」

エクスラッガーが輝き、大地が現れる。
まだ希望があると信じた大地が、アスナの隣にたどり着いたのだ。
大地「アスナ!」
アスナ「大地!」


神木「食い止めるんだ!!」
神木たちが一斉にウルトライザーを撃つも、グリーザに吸収されてしまう。
神木「エネルギーが全て吸収されている!」

グリーザが巨大な光弾を作り出す。
ハヤト「もう、ダメだ……」
ワタル「びびってんじゃねぇ!!」

グリーザが背中から攻撃される。
行方不明になっていたワタルとマモルの乗るスペースマスケッティ2号機が戻って来たのだ。

ワタル「マスケッティ・リジェクト!」
前部のマスケッティユニットがジオアラミスから分離し、グリーザの光弾と激突、爆発。
グリーザの光弾は暴発し、グリーザが怯む。

ワタル「ざまぁみやがれ!」
マモル「折角の2号機が~~!」
ハヤト「……ったく、おめーら!どこで何してた!」
マモル「すみません!エンジンがいかれて、月の裏側を……」
ワタル「着陸しまーす!」
マモル「うわぁぁぁ!!」
ジオアラミスは地面に不時着した。

ワタルとマモルも神木たちに合流し、ウルトライザー、ジオバズーカを構える。
神木「あの光を狙うんだ!」
隊員たち「了解!!」
神木「胸のコアに攻撃を集中しろ!撃て!!」


大地「アスナ……」
アスナ「……このバカ!死んだかと思ったじゃん」
大地「ありがとう、アスナ。君の思いが俺を呼び戻してくれた」
アスナ「思い……」
大地のエクスデバイザーが輝く。

エクスデバイザーを手に取る大地。
大地「そうか!エックスもずっとここにいる……俺の思いと共に!
エックスと共に過ごしてきた記憶が、育んできた絆が全て俺の中に刻まれてるんだ」


アスナの意識が現実に戻った。
ルイ「アスナ!」
橘「アスナ?」

エックスのカラータイマーも光りだした。
大地「エックス!帰って来てくれ、もう一度つながろう!
もう一度……俺とユナイトしてくれ!!」
エクスデバイザーの輝きがより強くなる。


神木「帰って来てくれ……大地……エックス」


そしてついに、エクスデバイザーにエックスのデータが戻って来た。
大地「エックス!」
エックス「大地!君たちの記憶が、君たちの思いの強さが、私を甦らせてくれた。ありがとう!」
大地「よし……行くぞエックス!」
エックス「行くぞ、大地!」
大地・エックス「「ユナイトだ!!」」


エクスデバイザー「ウルトラマンエックスと ユナイトします」
大地「エックス――!!」
エクスデバイザー「エックス ユナイテッド」
大地とユナイトする事で、ウルトラマンエックスが復活を果たした!

間髪入れずにエクスラッガーをX字に振るう大地。
大地「エクシードエックス!!」
エックスがエクシードエックスへ強化変身する。

大地・エックス「「エクスラッガー!」」
エクシードエックスがグリーザに立ち向かう。
エレキングの電撃、EXレッドキングのフレイムロード、デマーガの火炎弾で波状攻撃をかけるグリーザ。

神木「エックスを援護しろ!」
隊員たち「了解!!」
神木「撃てーっ!!」
アスナたちも合流し、Xio全隊員が一斉にグリーザを攻撃するも、グリーザに目からの光線を撃ち返され、吹き飛ばされた。


グリーザはゴモラの超振動波でエクシードエックスを吹き飛ばし、ゼットンのメテオ火球を撃つ。

大地・エックス「「エクシード・エクスラッシュ!」」
エクシードエックスは爆煙を突き抜けて、エクシードエクスラッシュで迫るもグリーザに片手で弾かれる。
エクシードエックスは倒れ、エクスラッガーが地面に突き刺さる。
アスナ「大地――!」

倒れたエクシードエックスにグリーザは超振動波を連続して流し込む。
大地「……ゴモラの超振動波!?」
それを受けて、大地はある事に気づく。


スパークドールズがグリーザに吸収された事を知った大地は、吸収されたスパークドールズの心に呼びかけようと試みた。
大地「ゴモラ!俺の声、聞こえるだろ!共に生きるんだ、この地球で!思い出してくれ!」

エクシードエックスがグリーザを蹴り飛ばし、エクスラッガーを拾い、グリーザの胸に突き立てる。
その時、エクスデバイザーからゴモラの鳴き声が響いた。
大地「ゴモラ!」
エックス「答えているんだ……大地の声に!」

エクシードエックスが通常のエックスに戻り、エネルギーを流し込むとグリーザの胸から光の奔流が溢れ出した。
そして、ゴモラを初めとするグリーザに吸収された全スパークドールズがグリーザから脱出、エックスの方へ向かう。
エックスはスパークドールズを受け入れ、一体化する。


大地の前に無数のサイバーカードが現れた。
エックス「怪獣たち……私に力を貸してくれるのか?」

大地「みんな、一緒にユナイトだ!」
大地のエクスデバイザーに全てのサイバーカードが融合していく。

エックスの胸と右肩にゴモラアーマー、
左肩にエレキングアーマー、
左手にベムスターアーマー、
右手にゼットンアーマーがそれぞれ装着された。
大地・エックス「「ハイブリッドアーマー、アクティブ!!」」

グリーザは無数の光弾をエックスに放つも、エックスはアーマーで防ぎ、エクスラッガーで切り払う。
大地「行くぞ、みんな!」
エックスがハイブリッドアーマーを輝かせながら、ザナディウム光線の体勢を取る。

大地・エックス「「ウルティメイトザナディウム!!」」
エックスのカラータイマーから放たれた光線がグリーザに直撃した。
さらにエックスは渾身の力を込めてエクスラッガーを投げつける。
エクスラッガーはグリーザの腹に突き刺さり、大爆発!

隊員たち「やった――!!」


ハイブリットアーマーが解除される。
大地「ゴモラ……」
ゴモラのスパークドールズは光り、鳴き声を返した。

エックス「やったな!大地」
大地「ああ。みんな、ありがとう!」

大地の前に遥と鷹志の幻が浮かんだ。
大地「父さん……母さん!」
遥「よくがんばったわね、大地」
鷹志「いい仲間を持ったな……」

グルマンも瓦礫の中から出てきた。
グルマン「ぶはー!死ぬかと思った」


ユナイトを解除した大地に、仲間たちが駆け寄ってくる。
アスナたち「大地ー!」
大地「アスナ、みんな、ありがとう。みんなのおかげで……」

アスナは大地のエクスデバイザーを奪い取り、エックスに話しかける。
アスナ「びっくりしたよ、エックス。まさか、大地のデバイスの中に……」
ハヤト「このヤロー、なんで俺じゃなくて大地なんだよ」
マモル「え、エックスが大地のデバイスの中に?……え?全然状況が見えないっすよ!?」
ルイ「今度は私とユナイトしよ♪」
エックス「是非とも」
大地「ちょっと!みんな、俺の話聞いてよ!」
神木「大地!お前はまた勝手な行動をとり、チームに多大な迷惑をかけた」
橘「エックスと出会ってから今までの事を、全て報告書にして提出するように」
大地「全て!?」
アスナ「も~、あたしが手伝ってあげるから」
エックス「Xioの皆さん、こんな大地ですがこれからもお手柔らかにお願いします」

神木「よし、基地の損害把握と後片付けだ」
マモル「えー!ちょっと休みましょうよ」
橘「文句言わない。一刻も早く基地機能を回復しないとね」
神木「よし、行くぞ!」
隊員たち「了解!」


最大の戦いを経て、大地とエックス、Xioの絆はより一層深まった。
大地「エックス……最高のユナイトだったね」
エックス「ああ。大地、空を見てみろ」


大地が見上げた大空には、大きな虹がかかっていた。


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最終更新:2016年05月03日 13:45