アクマ族の総師団長ゲベルが、大魔王ガルバーから「不滅の盾」を受け取る。
大魔王「ゲベルよ、不滅の盾は王者の盾なのだ」
ゲベル「ありがたく頂戴致します、大魔王ガルバー様」
大魔王「では行け、アクマイザー3を倒し、全地球を基地にしなければ、ダウンワールドを追われたお前たちに、もう生きる場所はないのだ!」
ゲベル「ははっ!」
都会のビル街に、ゲベルが現れる。
ゲベル「悪魔力・大爆破!」
ビル群が次々に爆破されてゆく。
さらにゲベルは、住宅街にも現れる。
ゲベル「フフフ、次はこの団地だ」
声「待てぇ!!」
アクマイザー3の仲間となったアクマ族のバスカル、ナメナメーダ、ノッペラー親子が現れる。
ゲベル「また出たか、うるさい虫ケラめ」
一同「子連れ浪人ノッペラー!」「その一子、ノッペラーJr.!」「続いて、ナメナメーダ!」「ダウンワールド平和党委員長、バスカル!」「我ら、平和党4人衆!」
ゲベル「貴様たちなどに、用はない!」
バスカル「そっちになくても、こちらにはある! その不滅の盾をよこせ! 行くぞ!」
ゲベル「この身の程知らずめが! 悪魔力・竜巻起こし!」
バスカルたち4人がゲベルに立ち向かう。
しかし、不滅の盾の巻き起こした竜巻で、はるか遠くへ吹き飛ばされる。
さらにゲベルのもとから、兵士アグマーたちが現れる。
ゲベル「お前たちは行って、今の4人衆の始末をせよ」
バスカル「くッ、小癪な! 追撃隊とはな!」
バスカルたちは連携して、無数に群がるアグマーたちを蹴散らす。
バスカル「大丈夫か?」
ノッペラー「あぁ、大丈夫だ」
ゲベル「見事だ、4人衆……と褒めてやりたいところだが、わしから見ればまだほんの子供。悪魔力・金縛り!」
不滅の盾の力で、バスカルたちの動きが封じられる。
一同「くそぉ、気をつけろ!」「体が動かない……!」
ゲベル「そぉら、ゲベル軍団、思う存分串刺しにしてやれ」
兵士アグマーたちが、身動きできないバスカルたちに迫る。
そこへ光彦が、なぜか杖を手にして現れる。
ゲベル「まま、待て、小僧」
光彦「なぁに、おじさん?」
ゲベル「お、おじさん!? 貴様、ここへ何しに来た?」
光彦「僕? へへっ、たいしたことじゃないよ。たとえば、こんなこと。えぇい!」
光彦が杖を振るうや、バスカルたちの金縛りが解ける。
ゲベル「ぬぬっ!? 小僧、貴様何者だ!?」
光彦「魔法力・戻るんだらぁ~!」
光彦に化けていたザビタンが、正体を現す。
ゲベル「むむっ!?」
杖の声「驚くのはまだ早いぞ。魔法力・戻るんだらぁ~! イビルッチョ!」
杖に化けていたイビルが正体を現し、ザビタンと共にアグマーたちを蹴散らす。
ノッペラー「ははっ、ザビタンにイビルか!」
バスカル「ザビタン、恩に着るぞ!」
ザビタン「礼はゲベルを倒してからだ」
一同「心得た!」「行くぞ、父ちゃん!」「行くぞ!」
ゲベル「子供騙しはそのくらいにせぇ! 悪魔力・地獄ゴマ!」
ゲベルが盾を振るうと、ザビタンたちの体がコマのように回り始める。
一同「何だ、これは!?」「これでは戦えん!」
ガブラの化けたガブラッチョが顔を出す。
ガブラッチョ「ありゃりゃ、遅かったのぉ~」
ガブラッチョが参戦してゲベルに挑むが、逆に弾き飛ばされ、変身が解ける。
ゲベル「地獄パ──ンチ!」
ゲベルの盾の攻撃で、ザビタンたちが次々に吹き飛ばされる。
ゲベル「ハハハ。所詮、無駄なことよ」
ザビタン「おのれ、ゲベル! ザビタンノヴァ!」
ゲベル「ノヴァ返し!」
ザビタンの必殺攻撃もまた、盾に跳ね返される。
ゲベル「フハハハハハ!」
花吹雪と共に、ダルニアが現れる。
ダルニア「ハハハハ! しばらくね、ゲベル」
ゲベル「むっ、ダルニア!?」
ザビタン「ダルニア!?」
ダルニア「ゲベル。あなた、副師団長が欲しくない?」
ゲベル「何?」
ザビタン「何、まさか!?」
ゲベル「ハハハ! ダルニア、お前も利口な女だ。ザビタンに勝ち目はないと見て、このゲベル様の部下になるというのか?」
ダルニア「その返事は、2人きりになってからするわ」
一同「ダルニア!?」「なんちゅうことを!?」
ゲベル「グフフフ、こいつらの前では言いにくいというのか? よかろう」
ゲベルが魔法で、自動車を出現させる。
ゲベル「さぁ、行くぞ。さぁ、乗るがいい、ダルニア」
ダルニア「ありがと」
ゲベルがダルニアと共に、車で走り出す。
ザビタンたちも、バイクで追う。
ゲベル「えぇい、うるさいハエどもめ。悪魔力・尾行返し!」
不滅の盾が爆発を起こし、ザビタンたちは足止めされる。
ゲベルはザビタンたちの追撃を撒き、ダルニアと2人きりとなる。
ゲベル「さぁ、ダルニアちゃん、返事を聞かせてもらおうか?」
ダルニア「やぁねぇ、今さら聞くまでもないでしょ? 返事は『ノー』よ」
ゲベル「な、何だと!?」
ダルニア「だぁれが、あんたなんかの部下に? ドロンコで顔を洗って来るといいわ」
ゲベル「むぅ! 貴様、ザビタンたちを救うために!?」
ゲベルが不滅の盾を構える。
ダルニア「おっと! ゲベル、私にはダルニアビームがあることを忘れないでね」
ゲベル「くッ!」
ダルニア「その不滅の盾、ダルニアビームに勝てるかしらね?」
ゲベル「……この不滅の盾は、どんな力にも負けないはずだ。行くぞ!」
ダルニア「あいにくね。だったらダルニアビームも、負けることはないの。やってみればわかるわ。行くわよ、ダルニアビーム!」
ダルニアがビームを放つ。
ビームは不滅の盾に跳ね返され、ダルニア自身の足元に炸裂する。
ダルニア「きゃあっ!?」
ゲベル「ハハハ! 大口を叩きよって、ダルニア! 貴様の命もこれまでだ!」
ゲベルが剣を抜いてダルニアに迫る。
そこへ、ザビタンたちが追いついて来る。
ザビタン「待て、ダルニアに触るな!」
ダルニア「ザビタン!」
ゲベル「おのれぇ!」
一同「正義の貴公子、イビル参上!」「良い子の味方、ガブラちゃんも来たでぇ!」
ゲベル「えぇい、しぶといヤツらめ!」
ザビタン「ゲベル、ダルニアから離れろ!」
ゲベル「フフフ、性懲りもなくまだやるというのか?」
ザビタン「よし、ニューライトアタック! 行くぞ!」
3人の連携技、ニューライトアタックが炸裂する。
ザビタンが剣撃でゲベルに挑むが、不滅の盾で跳ね返される。
一同「ザビタン!」「大丈夫か!?」
ザビタン「大丈夫だ!」
ゲベル「ハハハ! もう貴様らとの戦いには飽きた。盾の力で片付けてやるわ。悪魔力・火炎の舞い!」
ザビタンたちを、炎の壁が取り囲む。
一同「熱い!」「熱い!」「この火から外に出られん!」
ゲベル「ハハハ、仲良く黒焦げになれ!」
ザビタン「くッ! イビル、頼む!」
イビル「任してくれ! 魔法力・変わるんだらぁ~! イビルッチョ! イビル消火器!」
イビルが消火器に化けて火を消す。
ザビタンたちは危機を脱して、ひとまず一平の家へ帰還する。
光彦「ゲベルって、そんなに強いの?」
一平「アクマイザー3は無敵だ。なぁ、ザビタン?」
ザビタン「うむ…… あの不滅の盾がある限り、ゲベルを倒すことは不可能だ」
一平「なんだよ、なんだよ。まったく、だらしがねぇぞ、おい。よく考えてみろよ。何か手はあるはずだ」
バスカル「一平くん。君は、あの盾の恐ろしさを知らないのだ」
ダルニア「あ~あ、お父さんさえ来てくれたらな」
一平「お父さん?」
ザビタン「あぁ。ダウンワールド平和党の、大臣さ」
一平「ダルニアのお父さんが?」
バスカル「魔法陣アタックに代るニューライトアタックを教えてくれたのも、大臣なんだ。大臣は、ゲベル軍団との戦い方をすべて研究し尽くしている」
一平「呼べばいいじゃないの。呼びましょ、呼びましょ! なんだったら俺、その人に電報でも打ってこようか?」
ダルニア「お父さんは今、病気で歩くこともできないのよ」
バスカル「『不滅の盾との戦い方だけでも教えてくれ』と、使いを出したんだが……」
ザビタン「……伏せろ!」
窓から、奇妙な鳥が飛びこむ。
大臣の声「ダルニア── バスカル── そしてザビタン──」
ダルニア「お父さんの声だわ!」
ザビタン「大臣の声の通信か!」
大臣の声「君たちの質問に答えよう── 不滅の盾を破る方法は、ひとつだけある──」
ザビタン「そ、それは!?」
大臣の声「ただし、これを行なう者は、死を覚悟しなければならない──…… 不滅の盾には、大魔王ガルバーの呪いがかけられている── 盾を破る者は、その魂を小さなカプセルに閉じ込められ、永遠に葬り去られてしまうのだ── だがザビタン、私は君たちに、これをやってもらいたい──」
ダルニア「お父さん、ザビタンに死ねって言うの!?」
大臣の声「地球を救うにはゲベルを敗るしかないのだ──」
ザビタン「大臣…… やらせて頂きます!」
ダルニア「ザビタン!?」
大臣の声「聞け、ザビタン── 不滅の盾を破る方法は── アクマイザーアタックだ!」
ザビタン「アクマイザー……アタック?」
大臣の声「そのやり方は──」
ザビタン、イビル、ガブラの3人は、
その日から、血の出るような
アクマイザーアタックの訓練を始めた。
ザビタンたち3人が、草原で特訓を続ける。
「行くぞ!」「よっしゃ!「それぃ!」
「ジョイント、行くぞ! ジョイント・1!」「2!」「3!」
3人が大ジャンプし、空中でフォーメーションを組むが、体勢が崩れ、そのまま墜落する。
ザビタン「組み立て方がもうひとつ、よくわからん。やり直しだ。行くぞ!」
一同「さぁ、行くぞ!」「行くぞ!」「行くぞ!」
時を同じくして……
ただ一人、ゲベルの基地へ向かう
ダルニアの姿があった。
(大臣『不滅の盾を破る方法は、ひとつだけある── ただし、これを行なう者は、死を覚悟しなければならない──』)
声「待てぇ、ダルニア!」
バスカル、ナメナメーダ、ノッペラーの3人が現れる。
ダルニア「あなたたち!?」
バスカル「ザビタンを死なせまいと、君1人で行く気だな? よせ、ダルニア!」
ダルニア「イヤよ」
バスカル「アクマイザーアタックは、私たちがやる!」
ダルニア「えっ、あなたたちが!?」
バスカル「私たち3人、充分訓練した。私たちならできる」
ダルニア「そんな……!? あれをやると、死ぬわよ!?」
バスカル「ザビタンたちは、これからの地球になくてはならぬ人物だ。ゲベルは私たちで倒す!」
ダルニア「待って! ノッペラー、あなたには子供が、Jr.がいるじゃないの?」
ノッペラー「ダルニア、Jr.はとても強い子だ。あとはよろしく頼むぜ」
一同「幸せにな、ダルニア」「ザビタンと、仲良くやるんだぞ」
ダルニア「そんな……」
一同「ザビタンたちに、よろしく伝えてくれたまえ。お父さんにもよろしく」「じゃ!」
ダルニア「あっ…… ザビタンに知らせなくちゃ!」
特訓を続けるザビタンたちのもとへ、ダルニアが駆けて来る。
ザビタン「どうもうまくいかんな…… もう一度だ」
ダルニア「ザビタ──ン! ザビタァン!」
ザビタン「どうした、ダルニア?」
ダルニア「あ、あのね、バスカルが、バスカルたちが!」
ザビタン「バスカルたちがどうしたんだ?」
ザビタンたちは事情を知って、特訓を中止し、ザイダベック号で飛び立つ。
ザビタン「幽霊船からザイダベックへチェンジ!」「スクリュースイッチ・オン」
イビル「高度34000、進路1620」
ザビタン「目標、ゲベル基地!」
バスカルたち3人が、ゲベルに立ち向かう。
ゲベル「ハハハ、さぁ来い!」
バスカル「よし、アクマイザーアタックだ!」
地面に魔法陣が浮かび上がる。
バスカルたちはそれに沿って三角形を描きつつ走り、さらに3人が宙に舞う。
一同「行くぞ! ジョイント・1!」「2!」「3!」「アクマイザーアタッ──ク!!」
バスカルたち3人が、ゲベルの盾目がけて連続攻撃を繰り出す。
だが攻撃は通じず、逆に吹き飛ばされてしまう。
バスカルたち「うぅぅっ!?」
ゲベル「ハハハ、やったぞ!」
ようやくザビタンたちが到着する。
しかしすでに時は遅く、バスカルたちは大爆発と共に、最期を遂げる。
一同「バスカル……」「みんな、えぇヤツやったのになぁ」「負けた…… アクマイザーアタックでも勝てなかったわ」
ザビタン「いや、違う」
ダルニア「えっ?」
ザビタン「見たか?」
ガブラ「あぁ、見たでぇ」
イビル「バスカルたちは、魔法陣の組み立て方をほんの少し間違えたんじゃ」
ザビタン「彼らは、魔法陣のクロスする2つの三角形のうち、1つしか使用しなかったのが原因だ。そうだ…… これで、どうにもわからなかったコツが掴めた! 行くぞ!」
ダルニア「あぁっ、待って!」
ザビタン「止めるな、ダルニア。わかってくれ…… 地球の平和を守るにはもう、最後のこの手しかないんだ。イビル、ガブラ!」
ゲベル「ハハハ! まだ、かかってくるというのか! よほど死にたいと見えるな。やれぇ!」
ザビタン「ゲベル、貴様の悪だくみもこれまでだ! 行くぞ!」
ゲベルの部下たちが、襲いかかるが、ザビタンたちは1人残らず蹴散らす。
残るはいよいよ、ゲベル1人。
ゲベル「このぉ……!」
ザビタン「よし、アクマイザーアタックだ!」
イビル「よっしゃ!」
ガブラ「おぅ!」
地面に魔法陣が浮かび上がり、ザビタンたちは三角形を描きつつ走る。
さらに交錯する三角形を描いて3人が走り、その軌跡が六芒星を成し、3人が宙に舞う。
ザビタン「ジョイント1!」
ガブラ「2!」
イビル「3!」
3人「アクマイザーアタック!!」
大回転した3人が巨大な火の玉と化し、ゲベルに炸裂する。
ダルニア「ザビタン……!」
ゲベル「ぐわあああっっ!?」
その威力は不滅の盾をも破り、ゲベルを吹っ飛ばす。
ゲベル「おのれ、アクマイザー3……め……」
ゲベルが大爆発し、最期を遂げる。
しかしザビタンたちもその威力で吹き飛ばされ、大地に叩きつけられる。
そして、大爆発──
ダルニア「あぁっ……!?」
爆炎がやみ、地面には3つのカプセルが転がっている。
ザビタンは勝った。
しかし3人は大魔王ガルバーの呪いを受け、
その魂を小さなカプセルの中へ
閉じ込められてしまったのである。
3つのカプセルはひとりでに宙に浮き、空の彼方へと飛んでゆく。
ダルニア「……ザビタァァ──ン!!」
一平、光彦、ノッペラーJr.も駆けつける。
一平「イビル──っ!」
光彦「ガブラぁ──!」
再び アクマイザー3が帰ることはない。 だが、泣くのはよそう。 ザビタン、イビル、ガブラの魂は、いつまでも いつまでも生きているのだから──
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最終更新:2014年01月06日 04:18