たこやきプリンセスの最終回

第5話 たこやきよ、永遠なれ!

あかり「できた—-!新作たこ焼き完成や☆」
(お久しぶりや☆道野辺あかりやで♡覚えとるか?今日は行成に新作たこやきを食うてもろてるんや☆)
行成「うん!うまい!」
あかり「ホンマ!?ほなもっとやくわ!!油ひいて・・・うあっちぃい」
行成「あかり!?大丈夫か!?」
あかり「油はねただけや。たいしたことあらへん」
行成「アホっ、早く冷やせ!」
あかり「わわっ」
行成「ちゃんと冷やしとかないとあとがのこっちまう」
行成が、あかりの手をひいて、蛇口の下へ持って行った。
あかり「行成っ、エエよ。もう手ェはなして」
行成「ダメだ」
あかり「た・・・っ、たこやきコゲるし」
行成「その言い訳にはのらん!大人しくしてろ!」
あかり(行成・・・)

夜、あかりが店の掃除をしていた。
あかり「あーーーッ、ホンマにドキドキしたわ—-っ、行成があんな強気でくるなんてな」
(はーーーー、なんや、まだ心臓バクバクゆうとるわ)
そこで電話が鳴り、あかりが受話器を取った。
あかり「まいど!「ひめたこ」東京店・・・」
父「おかりか!?」
あかり「オトン!」
父「今スグ大阪に帰ってこい!!」
あかり「---え」
父「最近ウチの店をツブそうと企むふどどき者がおってな、おまえの力が必要なんや」
あかり「いっ、今スグか!?」
父「ああ、それからな、これを機におまえには本店をついでもらう。これからはずっと大阪におれ!!」
あかり(ウチを「ひめたこ」本店の店長に!?)
「そ、そんな急な」
父「ほな荷物まとめて帰れよ」
あかり(大阪に・・・帰る。大阪に帰ったら行成と会えんくなる—ーー!?)

翌日。
あかり(全然ねむれんかった・・・・はよ帰らなオトンまってるのに・・・)
行成「あかり、元気ないな」
あかり(どないしよ、行成に言うべきか))「あ・・・」
店員「あかりさん大変です!!あの人が勝手に店でたこやきをやいてるんです」
店の中で、着物の少女がたきやきを焼いていた。
少女「はいおまち」
あかり(なっ)「おまえ誰や!何勝手に店入っとんねん」
少女「ウチか?ウチはな・・・・」
「世界をおおいつくす黒いたこやき、「黒たこ」のたこやき姫」
「通常「B・T・D」(ブラック・タコホール・団)の日下部ほたるや」
ほたるが、鉄板の上に腰掛け、ポーズを取った。
あかり「「B・T・D」・・・・!?」
店員「てか、鉄板熱くないんでしょうか・・・上にすわってますけど」
ほたる「我が目的はすべてのたこやき屋を支配すること・・・今の日本一は「ひめたこ」のたこやきやと、きいた。ならばそれをたおせば、我々がナンバーワンや!!」
あかり「そうか!おまえか!オトンのゆうてたふとどき者は!ウチをカンタンにたおせる思たら大ちがいや」
ほたる「ほな勝負開始といくか!!」
あかり「うわっ」
ほたるがあかりを押しのけて、調理を始めた。
ほたる「そら!もうやきあがるでェ—----!」
あかり(なっ、なんちゅうすばやい手つきや)
ほたる「これがウチのたこやきや!!」
あかり(!?)
店員「なっ、なんですか、あのたこやきは!?ソースも何もかけないなんて」
行成「あれは・・・!たこやきでもダシにつけて食べる、明石やきだ—-!!」

客たち「明石やきってオレはじめて食う!」
「私も!」
客たちが、ほたるのたこ焼きを食べた。
客たち「卵がたっぷりで、やわらかくふわふわの生地。アツアツのダシ汁に身も心もプカプカ浮かんでゆく」
「なんて軽い食感なの!!」
「ここは雲の上。空をおさんぽするわ—-!!」

あかり「ウチかて、ウチのたこやきかて負けへん!」
あかりが、たこやきを作り始める。
ほたる「へぇ、けっこうエエ手さばきやな。あんたが大阪に帰ってきたらエエライバルになるわ。あんたが「ひめたこ」の後継者なんやろ?」
あかり「せや!ウチが大阪帰ったらあんたらなんかスグやっつけたる・・・!!」
(大阪に帰ったら—-行成、そうや、ウチが大阪行ったら行成とはなればなれになるんや・・・本店をつげるなんて料理人としてめっちゃうれしい。けど、そのために行成とはなれるなんて—--・・・)
行成「あかり!コゲてるぞ!!」
あかり「にょわあああっ、くっ」
行成「あかり!?ど、どうしたんだいったい!?」

あかり「はい・・・おまち」
あかりが完成したたこやきを出すが・・・
行成「い・・・いただきます・・・」
「・・・これは」
客たち「オレ・・・もういいや」
「オレも」
「明石やきもう一皿くれる?」
「あー—私も」
ほたる「勝負あり・・・やな。さあ!とっとと出ていけ!」

行成「あかり!どうしたんだ、さっきのたこやきは!?いつもの味が全然出てなかったぞ。たこやきやいてる最中に何考えてた。おい!あかり!!あいつらに店をとられてもいいのか!?」
あかり「エエねん・・・別に店がのうなっても、ウチはたこやきさえ、やければどこにおってもエエんや」
行成「おまえがそんなこと言うなんて・・・・見損なったぞあかり!!」


その後、「ひめたこ」東京店を乗っ取った「B・T・D」は繁盛していた。
レポーター「それでは今日は「B・T・D」の日下部ほたるさんをインタビューです。「B・T・D」はずいぶん店をふやしてますね」
ほたる「あたりまえや!「B・T・D」がオンリーワンでナンバーワンなんや!」
あかりは、それを見かねて、離れようとした所を転んでしまう。
あかり「あっ」
メイ「まったく・・・こんなことになるなんて、本っっ当なさけない人ね」
メイ、シンディ、ライラ、アーサー。これまであかりが料理勝負を通して出会ってきたみんなが来ていた。
ライラ「あかりちゃん大丈夫ですか!?ヘルプに来まシタ」
シンディ「おまえはわたしがたおす!こんな所でへたってんじゃないよ」
アーサー「姫のピンチとあらば火星だろうと地獄だろうと参りますよ」
あかり(みんな—-・・。)

あかり「よう・・・来てくれたな・・・!」
アーサー「もちろんです姫♡」
シンディ「あたしはたまたまニッポンに観光に来ただけだ!お前のためじゃない」
メイ「負けてだまって逃げるなんて、あんたいったいどーしたのよ」
あかり「ウチ・・・どないしてエエかわからんくて、行成ともケンカするし、店ものっとられてもーて・・・」
メイ「バカねえ!とられたら、とりかえしなさいよ」
シンディ「そうだ!それでもキサマ、ヤマトナデシコか!!」
ライラ「おふたりとも、コトバがすぎマス。あかりちゃんでも逃げ出したくなることあるんデスね。うちあけてくれて、うれしいデス」
アーサー「さあ姫!僕の胸にとびこんでおいで!」
シンディがアーサーを押しのける。
アーサー「あん」
シンディ「キサマかってに逃げ出すなんてゆるさんぞ!キサマともう一度戦うためにうみ出した中華風ホットドックだ!!」
あかり「うまそうやな」
メイ「ちょっとやめてよ、中華料理のイメージがくずれるじゃない。まあ、何よ、このパサパサのパン!ゆるせないわ」
シンディ「なんだと!」
あかり(そうや、みんなこうして料理でぶつかりあって・・・わかりあってできた・・・大切な仲間や。みんなみんなたこやきを通じて出会った仲間なんや—――・・・よっしゃ)
メイ「ちょっと!どこへ行くのよ」

あかり「きけ!日下部ほたる。そこはウチの店や!このままおまえのモンにはさせん!!もう一回ウチと勝負せエ!今度こそウチが勝つ!!」
レポーター「おおっと!「ひめたこ」の店員のようです。日下部ほたるさんに戦いをいどんでいます!たこやきvsたこやきです」
その中継を、行成が見ていた。
行成「あかり!?」

あかり「ちょおマイクかりるで」
レポーター「えっ、ちょっと!」
あかり「この勝負ウチの東京での修行の集大成や。勝っても負けてもウチは大阪に帰る。でもその前に行成、あんたにウチの本気のたこやき食うてもらいたいんや」

ほたる「ま、何回勝負しても同じやろうけどな。うけてたったるわ! 来週の秋祭りでどっちが人気あるたこやきを作れるか、アイデアたこやきで勝負や!!」

秋祭り当日。
レポーター「さあ!世界同時中継、たこやきVSたこやき。まずは「B・T・D」日下部ほたる!!」

ほたる「はいおまちっ」
客「な、なんだあ?フツーのたこやきじゃねェのか?」
ほたる「フフフ」
客たちが、ほたるのたこやきを食べた。
客たち「!!!」
「なんだこれは!?ぷにぷにモチモチしている!!」
「たこやきを食べているのにこの弾力!!食感が気持ちいい~~っ」

ほたる「これは生地に片栗粉うぃ入れたんや。そうすることでモチっとした食感を出すことができる!韓国のチヂミの追うようやな」
客たち「へぇ―――っ」
「この食感は新しいよ」
ほたる「トーゼンや!ん?なっ、なんや、あのたこやきは」

あかり「はいおまちっ」
ほたる(まるで虹や、七色の虹や――――!)
レポーター「七色のたこやき・・・いったいどんな味なんだろう!?」
客たちが、あかりの七色のたこやきを食べた。
客たち「こっちは赤、こっちはグリーン。ひと口ひと口、次々に豊かな自然の味がやってくる。まさに心にかかった大きな虹のかけはしをかけおりていくよう・・・!」

あかり「これはな、野菜で生地に色をつけたんや☆」
明石さん「紫キャベツやほうれん草など色の濃い野菜を使ってね。紫キャベツはゆがき汁を使っていろんな色が出せるよ」
あかり「虹の色は仲間のイメージや、たこやきが多くの人との出会いをくれた」
(そう・・・たとえ大阪と東京で場所がはなれとっても、たこやきが心と心を結んでくれる)
「これがウチの究極のたこやきや!!」

ほたる「~~~くっ」
レポーター「すごいすごい!両者一歩もゆずらず同点!!さあ!いよいよ最後のたこやきになりました。これですべてがきまります!運命を握る最後のお客さもどうぞ!!」

行成「あかり・・・よく・・・やったな」
最後の客は、行成だった。
あかり「・・・ゆき・・・なり」
行成「うまかった!サイコーのたこやきだ!」
行成があかりを抱きしめた。
アーサーは驚愕するが、メイは優しい眼差しで見ていた。

レポーター「101VS100ということは・・・」

客たち「あかりちゃんの勝ちだ―――――真のたこやき姫はあかりちゃんだ――――」
ほたる「野望・・・ついえたり・・・・か。ウチは考えもせんかったわ、たこやきが人と人とのきずなを結ぶなんてな・・・」


翌日、あかりは行成達に見送られて、大阪行きの電車に乗ろうとしていた。
あかり「みんな世話んなったな」
ライラ「あかりちゃん元気でね・・・」
メイ「心配しなくても元気でしょーけど」
アナウンス「新大阪行きが発車します」
行成「・・・・あ」
「あかり・・・!オレは毎日大阪に行くぞ!!オレはあかりのたこやきも、あかり自身も大好きなんだ!!」
あかり「ウチも・・・ウチも大好きや!!」

(たこやきとウチらのきずなは永遠やーーーーー!!)


数日後
あかりは東京に出戻りしてきた。
あかり「オトンにまだまだ修行が足りん言われた。またよろしゅうな」

また新しいたこやき伝説がはじまる!

(おわり)

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最終更新:2017年03月25日 23:40