第2幕
第1場
旅ご籠の部屋。あかりのともった小さなテーブルなど。
ドン・ジェローニオと詩人が座って飲んでいる。
レチタティーヴォ
詩人
さあ…何になりましょう? もはや
あきらめるしかありません。あの方もまもなく
お供を引き連れて
ここで夕食をとりにやって来ます。その時に
現場を押さえればよいのです。今は飲んで、追いやろうではありませんか ほんの一瞬なりとも
気まぐれな妻も、その色男のことも。
ジェローニオ
愛しい詩人殿、壁に頭を打ち付けたい気分だ、
彼女の気まぐれや、
自分の愚かさに思いを巡らせると…
詩人
辛抱が必要ですよ。
(酒を注ぎながら)
もう一杯どうぞ。
(何かひと波乱ありそうだな。ワインがこの愚か者に
少しは勇気を与えてくれるかもしれん、
さもなければ私の劇はここで終わりだからな。)
ジェローニオ
本当にこの宿屋に
あの狂った女がやって来ると思うかね?
詩人
ええ、それどころか夕食が
あの方のために用意されています
実に見事なものが。商談を兼ねた宴を張り
仲間たちとお祭り騒ぎで過ごすはずです。
ジェローニオ
しっかり邪魔をしてやるぞ。
詩人
(酒を注ぎながら)
もう少しどうぞ。
第2場
セリム、および前出の者たち。
セリム
ちょうどよかった、友よ。
探し回らずとも、ここで会えるとは。
大事な話があるのだ。
詩人
(新たな陰謀か。)
ジェローニオ
そして私も大事なことを
ちょうどあなたに申し上げたかったのです。
詩人
(私は身を引いてややこしい事を避け、すべてを観察するとしよう。)
身を隠し、時折姿を見せて様子を探る
セリム
聞こう。
ジェローニオ
お話しください。
セリム
では座るとしよう。
ジェローニオ
お望みのままに。
セリム
さあ、望むなら始めてくれ。
ジェローニオ
いえ、あなたからどうぞ。
セリム
よろしい、私から始めよう。何年になるのだ
フィオリッラ殿と
結婚してから?
ジェローニオ
もうすぐ6年になります。(落ち着け、ジェローニオ。)
セリム
5年を過ぎた愛というのは
かなり飽きがくるものだ。
ジェローニオ
実際、私は
飽き飽きしています、心の底から。
セリム
そして結婚とは
お前たちにとって大きな重荷だな。
ジェローニオ
誰でも知っていますよ
背中にそれを背負っている者なら。
セリム
(よろしい、実に見事だ。)
ジェローニオ
(なんて言い草だ!)
セリム
その上さらに
一風変わった、気まぐれな女に当たれば
お前の妻のようなな、
哀れな夫は…
ジェローニオ
台無しです。
セリム
(うまく誘導するとしよう。)
では、お前は自分の今の境遇に
相当不満を抱いているに違いない。
ジェローニオ
お見通しの通りです。
セリム
私は友として来たのだ、
お前に解決策を提示し、
面倒から救い出すために。自分の平穏のために
大して苦労する必要もない。
ジェローニオ
しかし…なんと!…説明してください。
セリム
お聞き。
ジェローニオ
拝聴しましょう。
[第8曲 二重唱]
セリム
トルコの素晴らしい慣習について
たぶん話を聞いたことがあるだろう。
重荷になった妻を
夫は売り払うのだ。
ジェローニオ
それはたいそう結構な風習でしょうが、
イタリアにはもっと良い風習があります。
夫は鼻柱を叩き折るのですよ
恥知らずな誘惑者のね。
セリム
それもまた悪くはあるまいが、
我々の間にそれを取り入れるべきではない。
ジェローニオ
いやむしろ、あっちのやり方よりこちらのやり方を
私は採用したいものですな。
セリム
だがなぜだ?
ジェローニオ
我が国のしきたりを
私は今も守りたいのですよ。
二重唱(同時に)
セリム
(奴もみんなが言うほど
そこまでの愚か者ではないな。
さあ頭よ、分別を働かせろ、
ここでは思慮と勇気が必要だ。)
ジェローニオ
(わしもみんなが言うほど
そこまでの愚か者ではないぞ。
さあ頭よ、分別を働かせろ、
ここでは思慮と勇気が必要だ。)
セリム
もしフィオリッラを売りたいのなら、
これ以上無駄話は抜きにして
私に売り渡すがよい、金を即金で出そう
要り用ならあと3人買えるほどの金をな。
ジェローニオ
トルコのお方、言ったはずですし繰り返します、
私は妻を誰にも売りはしません、
ですから悪妻だろうと良妻だろうと、
わが妻は…自分のために娶ったのです。
セリム
(忌々しい!) だが考え直せ…
ジェローニオ
(大声で立ち上がりながら)
考え抜きました。
セリム
熱くなっているな…
ジェローニオ
熱くもなりますよ、当然です。
セリムとジェローニオ
(これほど変怪で頑固な頭脳は
世の中に他とないと賭けてもいい。)
セリム
(怒って)
承知せぬというのか?
ジェローニオ
ええ、断固として。
セリム
拒絶するのか?
ジェローニオ
ええ、拒絶します。
セリム
お前の意に反してでも手に入れてやる。
ジェローニオ
思い通りにはさせん…
セリム
私には別の手がある…
ジェローニオ
それはいったい…
セリム
拐ってしまうことだ、
そして代金を払う代わりに、
邪魔をする~ 道化者を、
手っ取り早く、ぶち殺すことだ。
ジェローニオ
だが覚悟してもらいましょう、
殺すどころかかえって
この場所で自分が~ 殺されて
転がる羽目になるやもしれんことを。
セリムとジェローニオ
(互いに脅し合い、後ずさりしながら)
勝負だ、前に出ろ…
さあ、~ ほら、~ 試してみろ…
身の程知らずめ! ほんの数分後に
別の場所でまみえようぞ。
ナイフの突き合いになり、
鉄砲の撃ち合い、~ 銃撃戦だ。
脅しなどに私が怯むことはないと
思い知るがいい。
(それぞれ反対の方向へ退場)
第3場
詩人、一人。
レチタティーヴォ
詩人
この場面で物語の結末が
早まるかと思っていたのだが、
事態は長引いている。ここではなんとか
早急に展開をもたらす必要がある、
それも自然な形でな。
あとはちょっとした教訓で締めくくることだ。
おお、私の頭脳よ、知恵を絞って汗をかけ、
私の劇の結末をどう仕立てるか考え出せ。
退場
第4場
フィオリッラ、お供を引き連れて。
[第9曲 合唱とカヴァティーナ]
合唱
完全な喜びなどありはしない
愛がそれをもたらさぬ限りは。
楽しみに戯れ、
愛こそがその生みの親なのだ。
フィオリッラ
そよ風が舞い降りて
花を優しく愛でるなら、
百合から薔薇へと飛んでゆく
気まぐれな蝶もまた然り、
蝶もそよ風も
愛の力で動かされる。
合唱
楽しみに戯れ、
愛こそがその生みの親なのだ。
フィオリッラ
春が訪れて
最初の曙光が微笑むとき、
自然のすべてが
初々しい装いを纏うとき、
それこそ歓喜の息吹なのだ
愛が地上に振りまく。
合唱
完全な喜びなどありはしない
愛がそれ生み出さぬ限りは。
合唱隊は遊び始める
レチタティーヴォ
フィオリッラ
なんて生意気なトルコ女でしょう! このフィオリッラから
愛しい人を奪おうとするなんて! 私だってしっかり
復讐してやるわ。あの子を私の勝利の場に
立ち会わせてやるの。何としても
あの愚か者の高慢ちきをへし折ってやるわ。
あんなトルコ人、もういらないから譲ってあげるわ。
私はあの子をこの宿屋に招待させておいたの、
セリムの名を語ってね。来ればわかるわ、
私たちのどちらが勝つか。
第5場
ザイダ、および前出のフィオリッラ。
ザイダ
(扉のところでためらいながら)
ごめんなさい…間違えましたわ…
フィオリッラ
お入りなさい、どうぞお入りなさい。お招きしたのは私よ。
ザイダ
(入りながら)
あなたが!
フィオリッラ
ええ。ほんの数分後に
ここでセリムにお会いになるわ。彼の心に対して
あなたの不在が私に何かしら有利に働いたとは
思われたくないの。さあ今こそ、私たちは
正々堂々と彼をかけて競い合うのよ。
二人のうち、彼が気に入った方を選ぶでしょう。
ザイダ
選択など無用です
義務が、そして名誉が語るのですから。
フィオリッラ
何もかも、愛の前には屈するのよ、ご存知でしょう。
あら、ちょうどセリムが来たわ。
第6場
セリム、および前出の者たち。
セリム
お前一人だけに会えると
ついに思っていたのだよ、美しいフィオリッラ、
だがひと時も一人ではいられないのだな。
フィオリッラ
もっとお喜びになりますわ、
お客様がたを全員
お見極めになれば。
セリム
(ザイダに気づいて)
ザイダ!
ザイダ
不実な方。
セリム
え…なぜ! この宿屋に!
これはいかなることだ?
フィオリッラ
この宿屋は今や
彼女の美しいご存在で飾られていますわ、
私と彼女のどちらに
優先権をお与えになるか見届けるためにね。お決めなさい。
ザイダ
お話しなさって。
セリム
えらい難問を突きつけてくれるな。
ザイダ
不実な方! わかりましたわ。私に対する仕打ちを自分自身で
目撃するためにここへ来させられたのね。
セリム
ああ! 違う…
フィオリッラ
ではお行きなさい
彼女と一緒に。
セリム
いや、それも…
ザイダ
さあ、いらして。
セリム
だがちょっと待ってくれ、
考える時間を…
ザイダ
考える? いいえ…私と一緒に立つか、
さもなくば私を諦めてちょうだい、セリム。
フィオリッラ
私をも諦めることね、
ここに残らないのなら。
(フィオリッラはつれなく離れる。セリムは困惑し考え込む)
セリム
(これほどの弱り目はないな。)
ザイダ
残酷な方! もう結構です。よくわかりました、
私にどんな愛を抱いておられるか。あなたを
恋敵の腕の中に委ねますわ。いつの日かきっと
あなたは後悔なさるでしょう、でも遅すぎるのです、
私の愛情をこれほどまでに侮辱したことを。
あの女に裏切られたその時にね。
退場
第7場
フィオリッラとセリム。
セリム
(かわいそうなザイダ! 私は彼女に
哀れみを覚える。これほど冷たくされる筋合いはない。)
フィオリッラ
(独り言を言っているわ。私の勝利は怪しくなってきたわ。)
動揺なさっているようですわね。何もおっしゃらないの?…
さあ、あの方の後を追いかけて、
嘆く美女を慰めておあげなさいな。
セリム
いや…行ってしまって構わん…だがせめて 彼女を哀れむことくらいは許しておくれ。彼女は私を愛しているのだから…
フィオリッラ
私にも思えますわ、
あなたもまだあの方を愛しておられると。
セリム
私の愛の
初めての対象はザイダだった…
フィオリッラ
では、それが最後になればよろしいわ。
セリム
最後に!
フィオリッラ
さようなら、二度とお会いすることはありませんわ。
セリム
ああ!…許しておくれ…
フィオリッラ
心を二人の女に分けるような
男など、恋人としてお断りよ。
セリム
何を言うのだ? 私が愛を感じるのはお前だけだ。
お願いだ、機嫌を直しておくれ、
怒りを鎮めてくれ…
フィオリッラ
お行きなさい、お行きなさい…私にふさわしくありませんわ。
セリム
薄情者め! 私を追い払うのか…
よろしい…立ち去ろう。
フィオリッラ
それがおよろしいわ。
セリム
さようなら…(本当に行かせる気か!)
フィオリッラ
(本当に行ってしまうわ!)
セリム
(駆け引きが必要だ。)
フィオリッラ
(手管を使わねば。)
[第10曲 二重唱]
セリム
(脇に寄り、独白のように)
女たちの言うことを信じるとは
愛しているなどという!
些細なことで腹を立て、
見捨てると脅しかける。
女の愛など
消え去る炎だ
輝いた途端にな。
フィオリッラ
(同様に独白のようにしながら)
周りに群がる男たちの
言うことを信じるとは!
誰にでも溜息をつき、
一日たりとも愛しはしない。
夏の微風のようなもの、
もう見つかりはしない
吹き過ぎてしまえば。
セリム
(少し近づきながら)
愚痴をこぼすのは不当というものだ
忠実な心を無にするのなら。
フィオリッラ
(少し振り向きながら)
立ち去るなんて身勝手なことね
不実だと言われないために。
セリム
(駆け寄り、力込めて)
私は不実ではない!
フィオリッラ
あなたに言ったのではありません。
セリム
なんだと!
フィオリッラ
ええ。
セリム
そう聞こえたが。
フィオリッラ
イタリアでは間違いなく…
セリム
(腹を立てて)
トルコでは確実に…
フィオリッラとセリム
こんな愛し方はしないもの。
(二人とも傍白で)
(だがこの議論が長引けば
こじれて、去ってしまうだろう。
優しく話し合うとしよう
そうすれば落ち着くだろう。)
セリム
(懇願するように)
では、望みはないというのか!…
フィオリッラ
(心を動かされて)
では、私は馬鹿にされているのね!…
セリム
(手にキスしようとして)
お前の手を…
フィオリッラ
(やっとの思いで手を引き込めながら)
だめですわ。
セリム
愛しい人よ、許しておくれ!…
フィオリッラ
(優しく)
許す価値がおありなの?
セリム
(情熱的に)
お前を愛している。
フィオリッラ
私を愛し続けてくださる?…
セリム
いつまでも。
溢れんばかりの喜びと優しさをもって
二重唱(同時に)
フィオリッラ
あなたが私を愛しているとわかります、
信頼し、信じますわ。
でも愛しい人よ、
もう一度そう言ってちょうだい。
もし私が不実であったり、
あなたを見捨てるようなことがあれば、
心に安らぎなど
二度と訪れませんように。
セリム
お前が私を愛しているとわかる、
信頼し、信じよう。
だが愛しい人よ、
もう一度そう言ってくれ。
もし私が不実であったり、
お前を見捨てるようなことがあれば、
心に安らぎなど
二度と訪れませんように。
二人とも退場
第8場
ドン・ジェローニオ、次いで詩人、その後陰からドン・ナルチーゾ。
レチタティーヴォ
ジェローニオ
一体どこへ行ってしまったんだ? もう1時間近くも
夕食の食卓が整っているというのに、
まだ姿を見せないとは。もしかすると、
あのトルコ人に捧げられた舞踏会にいるのかもしれん。
(出かけようとして)
詩人
お待ちください。
ジェローニオ
何事だ?
詩人
大ニュースですよ。
ジェローニオ
説明してくれ。
詩人
計画されています、
友よ、駆け落ち(略奪)が。
ジェローニオ
何と言った? それは本当なのか?
ドン・ナルチーゾが登場
ナルチーゾ
(フィオリッラは行ってしまったのに、ここに奴らが!
何をしているんだ? 少し聞き耳を立ててみよう。)
詩人
舞踏会へ
フィオリッラが行くことになっています。そこで待っているのです、変装したセリムが。彼は彼女を言いくるめて
トルコへ一緒に連れ出そうと目論んでいます。
ナルチーゾ
(なんてことだ!)
ジェローニオ
ああ情けない!…情けない我が妻よ!…
詩人
お聞きください、私はザイダの元へ駆けつけ
事の顛末をすべて話しました。彼女と同じ扮装をして
彼女も舞踏会へ行くのです。ですからフィオリッラは
仮面を付けた彼女のように見えるでしょう。
あなた様はトルコ人の格好をしてそこへ潜り込むのです。
ジェローニオ
そうしたらどうなる?…
詩人
その時あなた様は
騙されているフィオリッラを…
ジェローニオ
分かった…行こう…
もう時間を無駄にはできん。
詩人
ああ! 心配いりません、
最後に姿を現すのは
セリムになるでしょう。我々の友人の多くが
奴を足止めするために
途中の道で待ち構えています。あなたはその間に
仮面と衣裳を手に入れに行ってください。
ジェローニオ
急いで行ってくる。
退場
詩人
(これで私の劇も完成に向かうといいのだが。)
退場
[第11曲 伴奏付きレチタティーヴォとアリア]
ナルチーゾ
(ドン・ジェローニオと詩人が立ち去った後、嬉しそうに急いで現れる)
分かったぞ、ああ! すべて聞き取った。この宿屋に
幸運が私を導いてくれたのだ。薄情な女よ、
私から逃げられはしないぞ。あらゆる手段を
尽くして彼女を手に入れるのだ。
かつて約束した誓いを私に守らせてやる。
我が企てを助けたまえ、
甘き愛よ、私に湧き上がる者よ。
ああ! かつて私に与えてくれた幸福を、
他の誰にも与えないでおくれ。
ライバルを出し抜き!
移り気な女を欺けるのなら!
傷つけられた恋人にとって
これほどの復讐はあるまい。
ああ! そうだ、
心に感じる希望は、
慈悲深き愛よ、
お前からもたらされるのだ。
退場
第9場
詩人、次いでアルバザール。
レチタティーヴォ
詩人
おお! なんて苦労だ! なんて分からずやの頭なんだ!
ほぼ確信しているが
あの調子ではセリフを間違えて、
私の第2幕をぶち壊しにして台無しにするだろう。
だが占い師(ザイダ)を頼りにするとしよう。
ああ、ちょうどアルバザールが来た。どうだ、見つかったか
ザイダの衣装は?
アルバザール
見つけました。
詩人
でかした! 私の劇で大活躍だな。
アルバザール
私の望みはただひとつ、あの哀れな少女が
幸せになることだけです。
詩人
そしてお前の役柄も、
崇高とまではいかなくとも、
全く興味を惹かないというわけではないぞ、
我々の苦労の果実を手にできればな。
アルバザール
今、ザイダが私をここへ来させたのです、
宴の場所がどこか確かめるために。
詩人
その通りだった! ああ、なんてこった!
一番肝心なことを忘れていたよ。
さようなら、すぐにザイダのもとへ駆けつけよう。
退場
第10場
アルバザール、一人。
アルバザール
不幸なザイダよ! ようやく自分の潔白が
証明されて恋人を見つけたというのに、
その男が別の女に惚れ込んでいるのを見る羽目になるとは。
これが彼女の長年の操に対する報いなのか?
[第12曲 アリア]
ああ! あまりに甘美なことだろう、
愛の神に仕えることが
もしその神が同じ情熱を呼び覚ましてくれるなら
まだそれを知らぬ胸の中に。
しかしあまりに気まぐれなのだ、
我々が仕えるあの神は。
望まぬ相手を与え、
焦がれる相手は決して与えてくれぬ。
退場
第11場
舞踏会のために華やかに照明された広間。仮装した合唱隊、ダンサーたち、フィオリッラ、ドン・ナルチーゾ、次いでザイダとセリム、最後にドン・ジェローニオ。
[第13曲 合唱]
合唱
愛が踊りを導き、
愛が音楽を司れ、
喜びを見出すのは
心が打ち震えるときのみ。
音楽と歌声のただ中に
盲目の神(キューピッド)が現れれば、
恋する女たちもまた目を奪われ、
心をなびかせてしまうのだ。
レチタティーヴォ
フィオリッラ
セリムが見当たらないわ!
これほど大勢の人々の中で
まだ見つけられないなんて…どこにいるのかしら!
(ドン・ナルチーゾが登場し、彼女をじっと見つめる)
ナルチーゾ
(あれがフィオリッラだ。)
フィオリッラ
(ナルチーゾを見て、セリムだと思い込みながら)
ああちょうどよかった、おいでになったわ。
セリム…
(二人とも小声で)
ナルチーゾ
フィオリッラ…
フィオリッラ
こんなに
お待たせになるなんて?
ナルチーゾ
許しておくれ…
フィオリッラ
腕を貸して、一緒に行きましょう。
(彼らは人混みの中に消え、合唱が歌う。)
合唱
愛が踊りを導き、
愛が音楽を司れ、
喜びを見出すのは
心が打ち震えるときのみ。
(セリムを従えてザイダが登場)
レチタティーヴォ
セリム
愛しいフィオリッラ、なぜ黙っているのだ?
もしかして腹を立てているのかい
少し遅くなったからか?
周りに大勢の仮面がまとわりついてだな…
ザイダ
せめてもっと早く
振り払ってくるべきでしたわ。
セリム
まあまあ、許しておくれ…
フィオリッラ…
ザイダ
(不実な人! 怒りで身が焦げそうだわ。)
セリム
腕をお取り、少し歩こう。
(彼らもまた人込みに消える)
合唱
音楽と歌声のただ中に
盲目の神が現れれば、
恋する女たちもまた目を奪われ、
心をなびかせてしまうのだ。
ドン・ジェローニオが登場
レチタティーヴォ
ジェローニオ
やれやれ着いたぞ。仮装して舞踏会になんて
来たのは生まれて初めてだ。
哀れなドン・ジェローニオめ!
呪われよ、愛も結婚も。
(再びフィオリッラがドン・ナルチーゾと登場)
ジェローニオ
おや、何てことだ! フィオリッラはもう着いている。
そしてもうセリムが一緒だ。
(反対側からザイダとセリムが登場)
ジェローニオ
だが…どういうことだ? もう一人の
セリムがここにいるぞ、
フィオリッラ…いったい全体どういう混乱だ?
(代わる代わる双方を見つめながら)
どちらが私の妻なのだろう?
(フィオリッラとナルチーゾが右側から、セリムとザイダが左側から現れ、ドン・ジェローニオはやや中央奥に立つ)
[第14曲 五重唱]
ジェローニオ
おお! なんて災難だ!
自分の妻すら分からん!
全く同じトルコ人、全く同じ服。
すべてが同じ…どうすればいいんだ?
ナルチーゾ
いいえ、ここを立ち去るわけにはいかない
あなたなしでは、私のフィオリッラ。
ザイダ
ですが全く理解できませんわ
私の運命がどうなるのか。
セリム
さあ! 私についてトルコへおいで、
向こうで私の妻にしてあげよう。
フィオリッラ
心は納得したがっているけれど、
決心がつかないわ。
五重唱(同時に)
ザイダ
(ああ! 助けておくれ、哀れみ深き愛よ、
私の罪のない偽りを。)
ああ! もしも私があなたにとって愛しいなら、
他の幸福など何も望みません。
ナルチーゾ
(ああ! 助けておくれ、哀れみ深き愛よ、
私の罪のない偽りを。)
ああ! もしも私があなたにとって愛しいなら、
他の幸福など何も望みません。
フィオリッラ
(ああ! 抑えておくれ、哀れみ深き愛よ、
我が心のあふれる情動を。)
ああ! もしも私があなたにとって愛しいなら、
他の幸福など何も望みません。
セリム
(ああ! 抑えておくれ、哀れみ深き愛よ、
我が心のあふれる情動を。)
ああ! もしも私があなたにとって愛しいなら、
他の幸福など何も望みません。
ジェローニオ
わしは本当に見事な夫だ、
どちらが自分の妻なのか
さっぱり分からん。
声をかけるべきか、かけるまいか?
ナルチーゾとセリム
さあ、私についておいで。
フィオリッラとザイダ
よろしい、あなたと一緒に行きます。
ジェローニオ
わしは呆然として、
目が見えなくなりそうだ。
フィオリッラ、ザイダ、ナルチーゾ、セリム
(立ち去ろうとして)
行きましょう。
ジェローニオ
(引き止めながら)
行ってしまう!
まて…そこを動くな。
セリム
何の用だ?
何を望んでいるのだ?
ザイダ
自分のことにだけ
かかわっておいでなさい。
ナルチーゾ
こいつはジェローニオだ、
さあ早くおいで。
フィオリッラ
あらあら、分かったわ、
私の夫ね。
ジェローニオ
ここにとどまるのだ、
行かせはせんぞ。
わしの妻を返せ、
ここにいるはずだ。
フィオリッラ、ザイダ、ナルチーゾ、セリム
ここに奥さんが?
頭がおかしくなったのか!
ジェローニオ
わしの妻を返せ。
合唱
(割って入るために駆けつける)
なんだ、この騒ぎは!
フィオリッラ、ザイダ、ナルチーゾ、セリム、合唱
どこか別の場所で
見つけるといい。
ジェローニオ
止まれ! 誰ひとり
立ち去ることは許さん。
フィオリッラ、ザイダ、ナルチーゾ、セリム
この忌々しいジジイめが
我々に疑いを抱かせるやもしれん。
静かに、静かに、外へ出よう
難癖をつけられる前に。
ジェローニオ
ああ! 忌々しいトルコ奴め!
怒りと腹立たしさで身が震える…
だが聞きなされ、皆さん、
わしに喋らせてくれ。
合唱
この忌々しいジジイが
暴れて、叫んで、迷惑をかけている。
黙れ、黙れ、外に出て行け。
我々を煩わせるんじゃない。
(出て行こうとする。狂わんばかりのドン・ジェローニオが二人の間へ飛び込んで邪魔をする。二組のカップルはそれぞれ反対側へと退く。合唱が割って入り、混乱の最中に以下が続く。)
フィオリッラ、ザイダ、ナルチーゾ、セリム
こいつは気狂いだ…聞こえるだろ?
(ずらかるのが賢明だな。)
ああ、捕まえておけ…引き止めろ…
(愛しい人よ、心配なさるな。)
その女でもない、
こいつの錯覚だ、自分のかん違いで
女たちの間におると思い込んでいるだけだ。
ジェローニオ
わしは狂っちゃいない! 聞いてくれ…
お前たちはわしをぶち殺す気か…
わしの妻が欲しいのだ、分からんか!…
わしに喋らせてくれ…
あの女か、
この女、
二人の間から選び出せんのだ。
合唱
あんた狂ってるよ…聞きなよ…
邪魔しにくるもんじゃない…
あんたの言うことも本当かもしれないが、
今のところはおとなしくしていろ…
その女でもない、
あんたの錯覚さ、自分のかん違いで
女たちの間におると思い込んでいるだけさ。
(セリムとザイダは一方向へ、ナルチーゾとフィオリッラは別の方向へ退場。続いて合唱も退場。息を切らし自暴自棄になったジェローニオが残される。)
第12場
ドン・ジェローニオ、次いで詩人。
レチタティーヴォ
ジェローニオ
うひゃあ! なんて暑さだ! 一言も
喋る言葉さえ
口から出やしない。頭を壁に
打ち付けたい…ああ! もはや何の救いも
この大難に見つからん…
妻を失ってしまう…これ以上の災難があろうか?
ああ! 詩人殿…あんたは知らないだろうが。
詩人
いいえ、すべて知っていますよ。すれ違いました
セリムと一緒にいるザイダとね。私に合図をしてくれたので
わかりました。
ジェローニオ
だがフィオリッラも
ここにいたんだ、
あのトルコ人にそっくりな
仮装の連れがいたのだ。
詩人
一体誰でしょう?
一緒にいらっしゃい、
(二人とも退場)
第13場
最初と同じ旅籠の部屋。
アルバザール、セリムの荷物を運ぶためにやって来た荷かつぎたちを伴って。
アルバザール
宴とその主催者に祝福あれ!
ついにザイダが勝利を収め、
セリムと共に旅立つ。
(荷かつぎたちに)
さあ早く。トランクを
遅れずに海辺へ運ぶのだ。
宿屋の主人に知らせに行くとしよう。
(中へ入る)
第14場
ドン・ジェローニオと詩人、次いで戻ってくるアルバザール。
詩人
すべて判明しました。あれはナルチーゾでした。
ジェローニオ
どうして
ナルチーゾがそんなことを?…
詩人
あの方もまたフィオリッラの
愛人だったのですよ。
ジェローニオ
何と言った? そしてこのわしは、愚か者め、
自由に出入りさせていたというのか!
詩人
なんという盲目ぶり!
ジェローニオ
何一つ気づかなかった。
そして今、どこにいるのだ
あの色目使いの女は?
詩人
ナルチーゾだと
見破ったあと、
仲間を探しに戻りましたよ。
今はトルコ人の足取りを追っています。
ジェローニオ
で、わしはどうすればいいんだ?
詩人
私が教えましょう。劇的な事件の解決策として
すでに心の中に段取りを立ててあります。
ある日、私におっしゃいましたね、
彼女の非道に耐えかねて、
彼女を自分の元から
追い出すことを提案し、
離婚の裁定さえ取りつけたと。
ジェローニオ
本当だ、そしてその判決状を
代書人に預けたのだ。
詩人
結構。
では今すぐ代書人のところへ駆けつけ、
容赦なく突っぱねるフリをするのです、
フィオリッラを親元へ送り返すフリをね。
ジェローニオ
だがもし彼女が頑固にも
わしの狂言離婚をバカにし、
一緒に去る決意をしてしまったら、
万事休す(おしまい)だ。
(アルバザールが荷かつぎやトランクなどを伴って登場)
アルバザール
いいえ、皆さん、フィオリッラ様は残られます。
ジェローニオ
なぜだ?
アルバザール
セリム様はザイダ様と和解なさいました。
ご本人が私を遣わされたのです、
宿屋からお荷物を引き取るために。
(退場)
ジェローニオ
運が味方してくれたぞ。
詩人
どんなことがあっても
毅然とした態度を保ちなさい。
(これ以上の結末の解きほぐし方はあるまい。)
(二人とも退場)
第15場
ドン・ジェローニオの別荘のある広場。
仮面を付けた者たちを伴ったフィオリッラ
フィオリッラ
(ナルチーゾがあんなに大胆なことをするなんて
誰が予想したかしら!) あら、夫だわ。実に何だか
少し気まずいわね。でも、
彼相手ならどれくらいまで
高飛車に出られるか分かっているもの。
ジェローニオ
(登場して)
(あの狂女めが来たぞ。腹が立って煮えくり返りそうだ。)
フィオリッラ
ごきげんよう、
ジェローニオ
お召し使いいたしますよ
フィオリッラ
それで、
こうしてバカにするおつもり?
あんな大騒ぎをして!…
ジェローニオ
(今にもはらわたが煮えくり返りそうだ。)
心配なさるな、
もう二度とバカになどさせませんよ…
わしが落とし前をつけましょう…ひとまずお伝えしておきますが、わしは思いのほか目を覚ましましたのでね、
わしの家には二度と一歩も足を踏み入れさせませんぞ。
(家に入り、鍵をかける)
第16場
フィオリッラ、次いで執行吏を伴った詩人。
フィオリッラ
あんなにぶっきらぼうな彼を見たことがないわ。
なんだかちょっと怖くなってきたわ。
ああ詩人さん、
セリムはどこ?
詩人
執行吏に小声で
(行って
手紙と荷物を取ってきなさい。)
フィオリッラ
教えてちょうだい、セリムはどこ?
詩人
あの方はお忙しいのです。
フィオリッラ
なぜ?
詩人
ザイダ様と和解なさいました。
それどころか、
彼女と一緒にトルコへね。
(すべてを書き留め、観察せよ、我がミューズよ。)
フィオリッラ
ではあの女が勝ったというの? 薄情者! そして私は
彼のために意にも介さなかったというの、
千人の愛人の群れも、
夫の腹立ちも?…
詩人
(もう一押しで、効果が出る)
フィオリッラ
お友達のみなさん、
よろしければ我が家で
お休みになっていかれては…
(家から書面を持った執行吏と、荷物を運ぶ二人の使用人が出てくる)
詩人
お待ちください!
この手紙はお手元へ夫君がお送りになったものです。
フィオリッラ
なんて気まぐれでしょう! 読んでみるわ。
(読んでいる間に執行吏は退場。詩人は見つからないように身を引く。衣装などの荷物を持った使用人たちが残る。)
[第15曲 伴奏付きレチタティーヴォとアリア]
フィオリッラ
「お前のボロ着を送る。わしの家にはもうお前はいらない。家はお前に閉ざされている。わしの妻であったことは忘れろ。そしてお前の恥辱はソレントに埋めるがよい。ドン・ジェローニオ」
なんて衝撃! ああ! 何てことでしょう!
詩人さん…行っちゃったわ…ああ神様! 閉ざされているわ
我が家の扉が…
怒り狂った夫は
永久に私を追い払ったのね…ではソレントへ
帰らねばならないの? おお我が恥辱! ああ! 一体どんな
どんな隠れ家を見つければいいの! すべてを失ってしまったわ。心の平穏も、
荷物を見せる使用人たちに向かって
ああ! これらは
私の落ちぶれた姿の
証人なのね…空しい装飾品よ、
今さら私とあって何になろう! みんな失せて頂戴、
地面に散らばって失せてしまいなさい。あなたたちを踏みつけてやるわ、私のあやまとの原因よ、
身に着けている装飾品を脱ぎ捨てる。詩人が時折姿を見せ、
見すぼらしく、
苦悩と悔恨の衣こそが、
唯一の装飾となるでしょう
私の身にまとわれる。
どんな喪に服しても足りはしない
貞操(名誉)を失った者には。
詩人
(事態はうまくいった、
もう何も恐れることはない。)
合唱
友よ、
遠くへ立ち去るのがよかろう。
フィオリッラ
愛する父上、
どんなに苦しまれることでしょう、
たった一人で、
あなたの娘が戻ってくるのをご覧になれば、
悲しみにうちひしがれて
昔の貧しい暮らしへと?
合唱
夫に助けを求めなさい、
我々からの情けなど期待するんじゃない。
詩人
よろしい! でかした! 責め苦! 悔恨!
これで私の劇は完成するぞ。
フィオリッラ
偽りの友達ね、
ああ! あなたたちの正体がすっかり分かったわ。
空が晴れていれば居座り、
かき曇れば逃げ出してしまうのね。
不幸に押しつぶされた哀れな者には、
もはや支えも慰めもないのね。
合唱
自ら破滅を招いた者は、
自分の愚かさだけを責めるがいい。
詩人
教訓も含まれた。おお、なんて確実な場面だ!
おお、劇場で大ウケすること間違いなしだ!
(フィオリッラは荷物を持った使用人たちを従えて一方へ退場)
第17場
詩人、次いでドン・ジェローニオ。
レチタティーヴォ
詩人
なんて見事な劇だ! 満足だぞ。
これ以上素晴らしい題材は
見つからなかっただろうし、
複雑な紛糾を編み出すこともできまい。
友よ! 実に見事でしたよ。涙、
悲劇さながらの悔恨でした。
ジェローニオ
心から感謝するよ、
我が詩人殿。彼女は悔い改め、
本当に改心したと思うかね?
詩人
思うかですって?
それどころか、これからはずっと賢い妻になりますとも。
ジェローニオ
で、どうすればいい?
詩人
彼女の後を追うのです
姿を見せないようにね。そして彼女が嘆き、
涙を流し、
行いを改めて立派に生きると約束するなら、
私たちは彼女を許してやり、そして叱らなければならない。
(二人とも退場)
第18場
第1幕と同じ海岸。錨を下ろしたセリムの船が見え、トルコの水兵たちが雇われて出航の準備をしている。
フィオリッラ、次いでドン・ジェローニオと詩人。
フィオリッラ
ええ、去らねばならないの。あの人の前に出る
勇気なんてないわ。私の過ちは重すぎるもの。
港にほど近い
この寂れた海岸には、いつも
ナポリとソレントの間を行き来する
小船が整っているわ…ここね…あの船は
セリムの船よ。こんな海岸に
上陸しなければよかった、不吉な船め!
詩人
ご覧なさい、彼女はため息をついていますよ。
ドン・ジェローニオ
彼女は反省している、
本当に反省しているようだ。
詩人
私がそう言ったでしょう?
何をためらっているのです?前へお進みなさい。
フィオリッラ
(私を見て、近づいてくるわ。)
詩人
あなたに気づいて、見つめていますよ。
フィオリッラ
(私に味方して、
誰か知ら?昔の愛が彼に語りかけているのかもしれないわ。)
[第16曲 第2幕フィナーレ]
フィオリッラ
私は野原でしおれた葡萄の木、
愛しい支柱を失ってしまったの。
ドン_ジェローニオ
わしは葡萄の木を奪われ、
葉を奪われて裸にされた楡(ニレ)の木だ。
詩人
私は親切な農夫、
二人を再び結びつけることができる者だよ。
(全員で)
フィオリッラ
私の周りをうろついて、
私を見てため息をついているわ。
前へ進み出ましょう、
お怒りも解けたようだし。
ドン・ジェローニオと詩人
あなたの周りをうろついて、
あなたを見てため息をついている。
さあ前へ進み出なさい、
反省しているように見える。
ドン・ジェローニオ
愛しい葡萄の木よ…
フィオリッラ
懐かしい楡の木様…
詩人
おお、なんと素晴らしい比喩(アレゴリー)だ!
ドン・ジェローニオ
わしの心に…
フィオリッラ
私の魂に…
フィオリッラとドン・ジェローニオ
…お前(あなた)は戻ってきてくれるかもしれない。
詩人
結末(フィナーレ)が外れるはずがない。
(全員で)
フィオリッラ
ええ、この腕の中に戻ってきて、
愛しい楡の木様、青々と茂って頂戴。
ドン・ジェローニオ
そうとも、この腕の中に戻ってきて、
愛しい葡萄の木よ、青々と茂っておくれ。
詩人
素晴らしい、実に結構!お役に立ててよかった!
これで我が劇に欠けるものは何もない。
大詰(最終場)
セリム、ザイダ、ジプシー男女およびトルコ人の合唱、次いで戻ってくるドン・ジェローニオ、フィオリッラ、詩人、最後にナルチーゾ。
合唱
穏やかな空があなた方に微笑み、
風があなた方のために静かであり、
満足のうちに
故郷へと連れ戻して呼吸させてくれますように。
セリム
愛しいイタリアよ、私はお前を去るが、
永遠に心に抱き続けよう。
お前のおかげで私は幸せであったと、
毎日思い出すことにしよう。
ザイダ
フィオリッラが来ますわ。すでに彼女とは
ドン・ジェローニオ様が和解なさいました。
詩人
(トルコ人が来たぞ…嫌だな…
この鉢合わせは困ったことだ。)
フィオリッラ
(ドン・ジェローニオへ小声で)
あの人の顔なんてもう見たくもないわ。
ドン・ジェローニオ
(フィオリッラへ小声で)
義理として挨拶くらいはして…
それからあいつらを置き去りにすればいい。
ザイダとセリム
(近づきながら)
私たちの過ちをお許しください。
フィオリッラとドン・ジェローニオ
すでに許しておりますよ。
ドン・ナルチーゾ
皆様、お許しください、
私からもお許しを乞わせてください!
ああ、皆様が示してくださるお手本が
私をしっかりと改心させてくれるでしょう。
詩人
これにて絡み合った筋書きは終わり、
私の戯曲はハッピーエンドを迎えた。
私と同じように満足して、
観客の皆さんも喜んでくれることだろう。
全員
どうか満足して、
幸せにお暮らしください。
そして皆に教えてあげてください、
過ちは軽いものなのだと、
そこから生まれてくるならば、
より美しい愛が。
(その間にセリムとザイダは人々に見送られジプシーたちに付き添われながら乗船のために海岸へ近づいていく。その間に幕が下りる。)
ATTO SECONDO
Scena prima
Camera in una locanda. Tavolini con lumi, ecc.
Don Geronio ed il Poeta seduti, e bevendo.
Recitativo
POETA
Via… cosa serve? Omai
bisogna darsi pace; ella fra poco
co' la sua compagnia
a cenar qui verrà: potrete allora
corla sul fatto; ora bevete, e in bando
vadano un solo istante
la moglie capricciosa, ed il galante.
GERONIO
Caro Poeta mio, darei la testa
nella muraglia, se a' capricci suoi,
e alla mia cecità volgo il pensiero…
POETA
Sofferenza ci vuole.
versandogli da bere
Anche un bicchiero.
(Prevedo qualche incontro: il vin potrebbe
porger qualche coraggio al scimunito,
altrimenti il mio dramma è già finito.)
GERONIO
Credi che in questo albergo
verrà certo la pazza?
POETA
Anzi, una cena
è per lei preparata
splendida veramente, e questa notte
passerà coi compagni in festa, e in gioco.
GERONIO
Saprò ben disturbarla.
POETA
versandogli da bere
Un altro poco.
Scena seconda
Selim e detti.
SELIM
A proposito, amico,
senza molto cercarti io qua ti trovo.
Gran cose debbo dirti.
POETA
(Intrigo nuovo.)
GERONIO
E grandi cose anch'io
bramava dirvi appunto.
POETA
(Io mi ritiro per schivare ogni impegno e notar tutto.)
si ritira, e di tanto in tanto si fa vedere esplorando
SELIM
Io t'ascolto.
GERONIO
Parlate.
SELIM
Dunque possiam seder.
GERONIO
Come bramate.
SELIM
Or principia, se vuoi.
GERONIO
No, principiate voi.
SELIM
Ebben, principierò: quanti anni sono
che con donna Fiorilla
vi unisce il matrimonio?
GERONIO
Fra poco saran sei. (Calma, Geronio.)
SELIM
Amor che passa un lustro
deve stancare assai.
GERONIO
Di fatti io sono
stanco, ma stanco molto.
SELIM
E il matrimonio
è un gran peso fra voi.
GERONIO
Lo sa ciascuno
che lo sente sul dorso.
SELIM
(Va bene: a meraviglia.)
GERONIO
(Qual discorso!)
SELIM
Quando si trova poi
una donna bizzarra, e capricciosa
come la vostra sposa,
il povero marito…
GERONIO
È rovinato.
SELIM
(Seguitiam polito.)
Or dunque del tuo stato
trovar ti devi malcontento assai.
GERONIO
L'avete indovinato.
SELIM
Io vengo amico,
ad offrirti un rimedio,
a cavarti d'impiccio; e non dovrai
per il riposo tuo faticar molto.
GERONIO
Ma… come!… vi spiegate.
SELIM
Odi.
GERONIO
Vi ascolto.
[N. 8 Duetto]
SELIM
D'un bell'uso di Turchia
forse avrai novella intesa;
della moglie che gli pesa
il marito è venditor.
GERONIO
Sarà l'uso molto buono,
ma in Italia è più bell'uso:
il marito rompe il muso
all'infame tentator.
SELIM
Anche questo sarà bello,
ma fra noi non deve entrare.
GERONIO
Anzi, questo più di quello
mi conviene d'abbracciare.
SELIM
Ma perché?
GERONIO
Le nostre usanze
piace a me serbare ancor.
Insieme
SELIM
(Non è poi cotanto sciocco
come vogliono ch'ei sia.
Su, giudizio, testa mia,
qui ci vuol prudenza e cor.)
GERONIO
(Non son poi cotanto sciocco
come vogliono ch'io sia.
Su, giudizio, testa mia,
qui ci vuol prudenza e cor.)
SELIM
Se Fiorilla di vender bramate,
senza fare più lungo discorso
io la compro, e denaro vi sborso
da comprarne al bisogno anche tre.
GERONIO
Signor turco, l'ho detto, e il ripeto,
io non vendo mia moglie a persona,
e perciò, sia cattiva o sia buona,
io… mia moglie l'ho presa per me.
SELIM
(Maledetto!) Ma pensi…
GERONIO
forte ed alzandosi
Ho pensato.
SELIM
Lei si scalda…
GERONIO
Mi scaldo, sicuro.
SELIM E GERONIO
(Un cervello più strano e più duro
io scommetto che al mondo non è.)
SELIM
arrabbiato
Non volete?
GERONIO
No, cospetto.
SELIM
Ricusate?
GERONIO
Sì, ricuso.
SELIM
Voglio averla a tuo dispetto.
GERONIO
Non l'avrà…
SELIM
Conosco altr'uso…
GERONIO
E sarebbe…
SELIM
D'involarla,
ed in vece di pagarla,
il buffone ~ che s'oppone,
per far presto, d'ammazzar.
GERONIO
Ma dovrete paventare,
ch'ella invece d'ammazzare
succedesse ~ che dovesse
ammazzato qui restar.
SELIM E GERONIO
minacciando e ritirandosi a vicenda
Alle prove, venga avanti…
Presto, ~ via, ~ si provi un poco…
Temerario! in pochi istanti
ci vedremo in altro loco;
e saranno coltellate,
schioppettate, ~ moschettate;
e vedrà che non mi lascio
da minacce spaventar.
via da parte opposta
Scena terza
Poeta solo.
Recitativo
POETA
Credea che questa scena
dovesse accelerar la conclusione;
ma l'affare va in lungo, e qui fa d'uopo
cercar che venga presto lo sviluppo,
e venga naturale;
poi finir con un poco di morale.
O mio cervello, ti affatica e suda,
inventa il dramma mio come si chiuda.
parte
Scena quarta
Fiorilla con Séguito.
[N. 9 Coro e cavatina]
CORO
Non v'è piacer perfetto
se no 'l procura amor;
de' giochi e del diletto
amore è genitor.
FIORILLA
Se il zefiro si posa
a carezzare un fior,
se va da giglio a rosa
vaga farfalla ognor,
farfalla e zefiretto
move il poter d'amor.
CORO
De' giochi, e del diletto
amore è genitor.
FIORILLA
Quando la primavera
ride il primiero albor,
quando natura intiera
riveste il primo onor,
è l'aura del diletto
che sparge in terra amor.
CORO
Non v'è piacer perfetto
se no 'l produce amor.
il coro si pone a giocare
Recitativo
FIORILLA
Che turca impertinente! osa a Fiorilla
l'amante disputar! saprò ben io
vendicarmi di lei: voglio che sia
presente al mio trionfo. Ad ogni costo
di quella sciocca abbasserò l'orgoglio.
Abbia il suo turco poi che non lo voglio.
Io l'ho fatta invitar a questo albergo
a nome di Selim; venga, e vedremo
di noi chi vincerà.
Scena quinta
Zaida e detta.
ZAIDA
sulla porta indecisa
Scusate… errai…
FIORILLA
Entrate, entrate pure: io v'invitai.
ZAIDA
entrando
Voi!
FIORILLA
Sì: fra pochi istanti
qui vedrete Selim. Sul cor di lui
non voglio che la vostra lontananza
mi apporti alcun vantaggio. Ora dovremo
disputarcelo in pace:
sceglierà di noi due chi più gli piace.
ZAIDA
Inutile è la scelta
dove parla il dovere, e parla onore.
FIORILLA
Tutto, tutto, si sa, cede all'amore.
Ecco appunto Selim.
Scena sesta
Selim e dette.
SELIM
Trovarvi sola
finalmente io credea, bella Fiorilla,
ma non potete star sola un momento.
FIORILLA
Sarete più contento,
quando tutti osservati
avrete i convitati.
SELIM
accorgendosi di Zaida
Zaida!
ZAIDA
Infedel.
SELIM
Ma… come! in questo albergo!
Che vuol dir ciò?
FIORILLA
Questa locanda ornai
di sua bella presenza,
per veder se a me date,
o a lei, la preferenza. Decidete.
ZAIDA
Parlate.
SELIM
In gran cimento mi mettete.
ZAIDA
Perfido! intendo: de' miei torti io stessa
qui venni spettatrice.
SELIM
Ah! no…
FIORILLA
Partite
dunque con lei.
SELIM
Neppure.
ZAIDA
Ebben: venite.
SELIM
Ma lasciate ch'io possa
un momento pensar…
ZAIDA
Pensar? No… parta
meco Selim, o a me rinunzi.
FIORILLA
E a me,
se qui non resta.
Fiorilla si allontana disdegnosa. Selim rinane incerto e pensoso
SELIM
(Impiccio egual non v'è.)
ZAIDA
Crudel! non più: comprendo
qual per me serbi amor; io ti abbandono
alla rivale in braccio. Un giorno forse
ti pentirai, ma tardi,
d'aver l'affetto mio così schernito;
allor che da costei sarai tradito.
parte
Scena settima
Fiorilla e Selim.
SELIM
(Povera Zaida! io sento
pietà per lei: tanto rigor non merta.)
FIORILLA
(Parla fra sé: la mia vittoria è incerta.)
Mi sembrate commosso: non parlate?…
Via: corretele dietro,
e la bella dolente consolate.
SELIM
No… vada pure… ma lasciate almeno
ch'io la compianga: ella m'adora…
FIORILLA
E parmi
che l'adoriate ancor.
SELIM
Il primo oggetto
dell'amor mio fu Zaida…
FIORILLA
E sia l'estremo.
SELIM
L'estremo!
FIORILLA
Addio: mai più ci rivedremo.
SELIM
Deh!… perdonate…
FIORILLA
Amante alcun non voglio
che abbia diviso fra due donne il core.
SELIM
Che dite? per voi sola io sento amore.
Per carità, placatevi,
calmate il vostro sdegno…
FIORILLA
Andate, andate… di me siete indegno.
SELIM
Ingrata! mi scacciate…
Ebbene… io partirò.
FIORILLA
Farete bene.
SELIM
Addio… (Mi lascia andar!)
FIORILLA
(Davvero ei parte!)
SELIM
(Politica ci vuol.)
FIORILLA
(Ci vuol dell'arte.)
[N. 10 Duetto]
SELIM
in disparte come parlando fra sé
Credete alle femmine
che dicon d'amarvi!
Di un nulla si sdegnano,
minaccian lasciarvi.
Di donna l'amore
è un foco che more
appena brillò.
FIORILLA
facendo il medesimo gioco
Credete a questi uomini
che avete d'intorno!
Per tutte sospirano,
non amano un giorno.
Son l'aura d'estate
che più non trovate
appena spirò.
SELIM
avvicinandosi un poco
E ingiustizia lamentarsi
se si sprezza un cor fedele.
FIORILLA
volgendosi un poco
Bella cosa allontanarsi
per non dir che si è infedele.
SELIM
correndo, e con forza
Io no 'l sono.
FIORILLA
A voi non parlo.
SELIM
Come!
FIORILLA
No.
SELIM
Parea di sì.
FIORILLA
In Italia certamente…
SELIM
con dispetto
In Turchia sicuramente…
FIORILLA E SELIM
Non si fa l'amor così.
a parte tutti e due
(Ma se dura la questione
prende foco, e se ne va;
si discorra colle buone
ed allor si placherà.)
SELIM
supplichevole
Dunque sperar non posso!…
FIORILLA
commossa
Dunque schernita io sono!…
SELIM
per baciarle la mano
La vostra man…
FIORILLA
ritirandola a fatica
Non posso.
SELIM
Idolo mio, perdono!…
FIORILLA
con tenerezza
Lo meritate?
SELIM
con trasporto
Io v'amo.
FIORILLA
E mi amerete?…
SELIM
Ognor.
con tutta la gioia e tenerezza
Insieme
FIORILLA
Tu m'ami, lo vedo,
mi fido, ti credo;
ma torna, mia vita,
a dirmelo ancor.
Se infida ti sono,
se mai t'abbandono,
sia sempre la pace
straniera al mio cor.
SELIM
Tu m'ami, lo vedo,
mi fido, ti credo;
ma torna, mia vita,
a dirmelo ancor.
Se infido ti sono,
se mai t'abbandono,
sia sempre la pace
straniera al mio cor.
partono
Scena ottava
Don Geronio, indi il Poeta, poi Don Narciso in disparte.
Recitativo
GERONIO
Dove diamine è andata? è quasi un'ora
che la tavola è pronta per la cena,
e non si vede ancor? forse al festino,
che a quel turco si dedica, sarà.
per uscire
POETA
Fermate.
GERONIO
Cosa ci è?
POETA
Gran novità.
GERONIO
Spiegati.
POETA
È preparato,
amico, un rapimento.
GERONIO
Che dici? e il vero io sento?
esce Don Narciso
NARCISO
(È partita Fiorilla, e qui costoro!
che fanno? udiamo un poco.)
POETA
Ad un festino
Fiorilla deve andar: ivi l'attende
mascherato Selim, che di ridurla
spera a partir con lui per la Turchia.
NARCISO
(Che ascolto!)
GERONIO
Me infelice!… oh moglie mia!…
POETA
Udite, a Zaida io corsi
tutto a narrar; vestita al par di lei
ella al festino andrà; talché Fiorilla
co' la maschera in volto sembrerà.
Voi da turco dovete entrar colà.
GERONIO
E allora?…
POETA
Allor potrete
l'ingannata Fiorilla…
GERONIO
Ho inteso… andiamo…
più tempo non perdiamo.
POETA
Eh! non temete,
l'ultimo a comparire
Selim sarà: molti de' nostri amici
onde tenerlo a bada
troverà per la strada; andate intanto
a procacciarvi maschera, e vestito.
GERONIO
Io corro.
parte
POETA
(Il dramma mio spero compito.)
parte
[N. 11 Recitativo accompagnato ed aria]
NARCISO
partiti Don Geronio ed il Poeta, esce lieto e frettoloso
Intesi: ah! tutto intesi. In questo albergo
mi guidò la fortuna. Ingrata donna,
non fuggirai da me. Tutto vogl'io
tentar perché mi resti;
la fé mi serberai, che promettesti.
Tu seconda il mio disegno,
dolce amor, da cui mi viene.
Deh! ricusa a tutti un bene,
che accordasti un giorno a me.
Se il mio rival deludo!
Se inganno un'incostante!
Per un offeso amante
vendetta egual non v'è.
Ah! sì; la speme
che sento in core,
pietoso amore,
mi vien da te.
parte
Scena nona
Il Poeta, indi Albazar.
Recitativo
POETA
Oh! che fatica! che cervello duro!
Sono quasi sicuro
che sbaglia la lezione,
e il secondo atto mio guasta e rovina;
ma confido però nell'indovina.
Ecco appunto Albazar. Ebben: trovasti
il vestito per Zaida?
ALBAZAR
Lo trovai.
POETA
Bravo! gran parte nel mio dramma avrai.
ALBAZAR
Altro io non bramo, che veder felice
la povera ragazza.
POETA
E il tuo carattere,
benché non sia sublime,
non sarà privo d'interesse in tutto,
se del nostro operar corremo il frutto.
ALBAZAR
Or qui Zaida mi manda
per saper dov'è il luogo della festa.
POETA
Hai ragione: oh! che testa!
Avea dimenticata la cosa più importante.
Addio: corro da Zaida in un istante.
parte
Scena decima
Albazar solo.
ALBAZAR
Zaida infelice! or che trovò l'amante
dell'innocenza sua fatto già certo,
di un'altra donna innamorato il vede:
è questo il premio di sua lunga fede?
[N. 12 Aria]
Ah! sarebbe troppo dolce
il servir al dio d'amore
s'ei destasse egual ardore
in quel sen che no 'l provò.
Ma cotanto capriccioso
è quel nume a cui serviamo,
che ci dà chi non bramiamo,
e giammai chi si bramò.
parte
Scena undicesima
Sala vagamente illuminata per festa da ballo.Don Geronio ed il Poeta, esce lietoCoro di Maschere, Ballerini e Ballerine, Fiorilla, Don Narciso, poiZaida e Selim, per ultimo Don Geronio.
[N. 13 Coro]
CORO
Amor la danza mova,
presieda ai suoni Amor,
solo piacer ritrova
quando è commosso il cor.
Se in mezzo ai suoni, e ai canti
il cieco nume appar,
son cieche ancor le amanti,
si lasciano piegar.
Recitativo
FIORILLA
E Selim non si vede!
Fra tanta gente ancora
non lo posso trovar… ove sarà!
esce don Narciso, e la considera attentamente
NARCISO
(Quella è Fiorilla.)
FIORILLA
vedendo Narciso, e credendolo Selim
Oh appunto, eccolo qua.
Selim…
sottovoce tutti e due
NARCISO
Fiorilla…
FIORILLA
E tanto
aspettar vi faceste?
NARCISO
Perdonate…
FIORILLA
Datemi il braccio, e meco passeggiate.
si perdono tra la folla, ed il coro canta
CORO
Amor la danza mova,
presieda ai suoni Amor,
solo piacer ritrova
quando è commosso il cor.
esce Zaida seguita da Selim
Recitativo
SELIM
Cara Fiorilla mia, perché tacete?
Forse sdegnata siete
perché venni un po' tardi?
Mille maschere intorno io mi trovai…
ZAIDA
Disimpegnarvi almeno
dovevate più presto.
SELIM
Eh! via, perdono…
Fiorilla…
ZAIDA
(Traditor! son tutta in foco.)
SELIM
Prendete il braccio, e passeggiamo un poco.
si perdono anch'essi
CORO
Se in mezzo ai suoni, e ai canti
il cieco nume appar,
son cieche ancor le amanti,
si lasciano piegar.
esce don Geronio
Recitativo
GERONIO
Eccomi qui: la prima volta è questa
che in maschera mi trovo ad un festino.
Povero don Geronio!
Maledetto l'amore, e il matrimonio.
esce di nuovo Fiorilla con don Narciso
GERONIO
Ma che vedo! Fiorilla è già arrivata.
E già seco è Selim.
escono da parte opposta Zaida e Selim
GERONIO
Ma… come? un altro
Selim qui vedo, e quella pur mi sembra
Fiorilla… che pasticcio è questo qua?
guardando or gli uni, or gli altri
Quale di lor la moglie mia sarà?
Fiorilla, e Narciso verranno dalla parte dritta, Selim, e Zaida alla sinistra; don Geronio un poco più in fondo, enel mezzo
[N. 14 Quintetto]
GERONIO
Oh! guardate che accidente!
non conosco più mia moglie!
Egual turco, eguali spoglie.
Tutto eguale… che farò?
NARCISO
No, partir di qui non posso
senza voi, Fiorilla mia.
ZAIDA
Ma comprendere non posso
qual sarà la sorte mia.
SELIM
Deh! seguitemi in Turchia,
là mia sposa vi farò.
FIORILLA
Persuadermi il cor vorria,
ma risolvermi non so.
Insieme
ZAIDA
(Deh! seconda, amor pietoso,
l'innocente inganno mio.)
Ah! se cara a te son io,
altro ben bramar non so.
NARCISO
(Deh! seconda, amor pietoso,
l'innocente inganno mio.)
Ah! se caro a te son io,
altro ben bramar non so.
FIORILLA
(Deh! raffrena amor pietoso
tanti affetti del cor mio.)
Ah! se cara a te son io,
altro ben bramar non so.
SELIM
(Deh! raffrena amor pietoso
tanti affetti del cor mio.)
Ah! se cara a te son io,
altro ben bramar non so.
GERONIO
Son davvero un bello sposo,
non capisco più qual sia
di lor due la moglie mia;
parlar deggio, sì o no?
NARCISO E SELIM
Dunque seguitemi.
FIORILLA E ZAIDA
Ebben, son teco.
GERONIO
Io resto attonito,
divento cieco.
FIORILLA, ZAIDA, NARCISO E SELIM
per partire
Andiamo.
GERONIO
fermandoli
Partono!
Ferma… alto là.
SELIM
Cosa domanda?
Cosa desia?
ZAIDA
Ai fatti suoi
attento stia.
NARCISO
Geronio è questo:
venite presto.
FIORILLA
Ah! ah! ho capito:
è mio marito.
GERONIO
Qui resterete,
non partirete;
voglio mia moglie,
che qui si sta.
FIORILLA, ZAIDA, NARCISO E SELIM
È qui sua moglie?
Diventa pazzo!
GERONIO
Voglio mia moglie.
CORO
accorre a frapporsi
Quale schiamazzo!
FIORILLA, ZAIDA, NARCISO, SELIM E CORO
In altro loco
la troverà.
GERONIO
Alto! nessuno
se n'anderà.
FIORILLA, ZAIDA, NARCISO E SELIM
Questo vecchio maledetto
potria dar di noi sospetto;
zitti, zitti, andiamo fuori
pria che n'abbia a cimentar.
GERONIO
Ah! turcaccio maledetto!
Fremo d'ira e di dispetto…
ma sentitemi, signori,
ma lasciatemi parlar.
CORO
Questo vecchio maledetto
smania, grida, fa dispetto.
Zitto, zitto, andate fuori.
Non ci state ad inquietar.
vogliono uscire: don Geronio fuori di sé si scaglia fra loro per opporsi; le due coppie si ritirano entrambe daparte opposta: il coro si frappone, e durante questa confusione segue:
FIORILLA, ZAIDA, NARCISO E SELIM
Egli è un pazzo… lo sentite?
(Ci conviene di scappare.)
Ah, tenetelo… impedite…
(Idol mio, non dubitare.)
Non è quella, non è questa…
Lei s'inganna; è la sua testa
che l'immagina fra lor.
GERONIO
Non son pazzo! ma sentite…
mi volete assassinare…
Vo' mia moglie, mi capite?…
ma lasciatemi parlare…
Sarà quella, sarà questa…
questa, quella… la mia testa
non può scegliere fra lor.
CORO
Siete pazzo… ma sentite…
Non si viene a disturbare…
sarà vero quel che dite,
ma per or lasciate stare…
Non è quella, non è questa…
lei s'inganna; è la sua testa
che l'immagina fra lor.
Selim e Zaida partono da un lato, Narciso e Fiorilla dall'altro: indi il coro. Resta Geronio affannato, e disperato
Scena dodicesima
Don Geronio, indi il Poeta.
Recitativo
GERONIO
Uh! che caldo! non posso
una parola sola
nemmeno articolar. Darei del capo
nella muraglia… ah! più riparo alcuno
a tanto mal non veggio…
Perdo la moglie… si può dar di peggio?
Ah! Poeta… non sai.
POETA
Sì, so tutto; incontrai
Zaida insieme a Selim: l'ho conosciuta
al segno che mi fece.
GERONIO
Ma Fiorilla
era qui pure, e avea
una maschera seco
che quel turco parea.
POETA
Chi mai sarà?
Venite meco, tutto si saprà.
partono
Scena tredicesima
Camera della locanda come prima.
Albazar, con Facchini che vengono per trasportare la roba di Selim.
ALBAZAR
Benedetta la festa, e chi la diede!
Alfin ha vinto Zaida, e in pochi istanti
partirà con Selim.
ai facchini
Presto; i bauli
si trasportino al mar senza indugiare.
Andiamo il locandiere ad avvisare.
entra
Scena quattordicesima
Don Geronio ed il Poeta, indi Albazar che ritorna.
POETA
Tutto è scoperto. Era Narciso.
GERONIO
E come
poté Narciso?…
POETA
Di Fiorilla amante
era anch'egli.
GERONIO
Che dici? ed io, buffone,
io lo lasciava entrar liberamente!
POETA
Gran cecità!
GERONIO
Non m'accorgea di niente.
E adesso ove si trova
quella civetta?
POETA
Dopo aver scoperto
Narciso, l'ha piantato, ed è tornata
al festino i compagni a ricercare;
or va in traccia del turco.
GERONIO
E che ho da fare?
POETA
Io ve 'l dirò: l'ho già disposto in mente
come fosse un drammatico accidente.
Un giorno mi diceste
che stanco di soffrir gli oltraggi suoi,
di allontanar da voi
Fiorilla proponeste,
e di fare un divorzio anche otteneste.
GERONIO
È vero, e la sentenza
diedi al Paglietta.
POETA
Bene.
Or dovete ricorrere al Paglietta,
e fingere senz'altri complimenti
di rimandar Fiorilla ai suoi parenti.
GERONIO
Ma se ostinata sprezza
il mio finto divorzio, e se col turco
ella partir risolve, ah! caro amico,
è finita la festa.
Esce Albazar con Facchini, bauli, ecc.
ALBAZAR
No, signori: con voi Fiorilla resta.
GERONIO
Perché?
ALBAZAR
Selim con Zaida ha fatto pace;
egli stesso mi manda
a prender la sua roba alla locanda.
parte
GERONIO
La sorte ci seconda.
POETA
Conservate
fermezza in ogni evento.
(Non si può dar migliore scioglimento.)
partono
Scena quindicesima
Piazza con casino di don Geronio.
Fiorilla con Maschere, indi don Geronio.
FIORILLA
(Chi avria creduto a questo segno audace
Narciso!) Ecco il marito. Inver mi sento
un po' mortificata. Ma, coraggio!
Io so con lui di quanto
comprometter mi posso.
GERONIO
esce
(Ecco la pazza: ho mille furie addosso.)
FIORILLA
Serva, signor marito.
GERONIO
Schiavo, signora mia.
FIORILLA
Dunque pensate
di farmi corbellar sempre così?
Tanto rumore!…
GERONIO
(Adesso io crepo qui.)
Non tema signorina,
che corbellar mai più non la farò…
Rimedio ci porrò… l'avviso intanto
che ravvisto mi son più che non crede,
che in casa mia più non si mette il piede.
entra in casa e chiude
Scena sedicesima
Fiorilla, indi il Poeta con un Usciere.
FIORILLA
Non l'ho veduto mai burbero tanto.
Comincio quasi a spaventarmi alquanto.
Oh Poeta, a proposito venite:
dov'è Selim?
POETApiano all'usciere
(Andate
a prendere la lettera e il fardello.)
FIORILLA
Dite: dov'è Selim?
POETA
Egli è occupato.
FIORILLA
Come?
POETA
Con Zaida si è pacificato.
Anzi, fra poco ei parte
con essa per Turchia.
(Nota tutto, ed osserva, o musa mia.)
FIORILLA
Vinto dunque ha colei? perfido! ed io
nulla per lui curava
lo stuol di mille amanti,
del marito il dispetto?…
POETA
(Un altro colpo, ed otteniam l'effetto.)
FIORILLA
Amici, un sol momento,
possiam, se lo bramate,
riposarci in mia casa…
esce di casa l'usciere con un foglio e due servitori che portano un fardello
POETA
Alto! aspettate.
Questa lettera a voi manda il marito.
FIORILLA
Qual capriccio! Leggiam.
durante la lettura l'usciere parte; il Poeta si ritira senza essere veduto. Restano i servitori colle robe
[N. 15 Recitativo accompagnato ed aria]
FIORILLA
«I vostri cenci vi mando, e in casa mia più non vi voglio: essa è chiusa per voi, dimenticate d'essermi stata moglie, e il rossor vostro seppellite in Sorrento. Don Geronio.»
Qual colpo! ohimè! che sento?
Poeta… egli è partito… oh dio! son chiuse
della casa le porte…
L'irritato consorte
per sempre mi scacciò… Dunque a Sorrento
degg'io tornar? o mia vergogna! ahi! quale,
quale asilo trovar! tutto ho perduto.
Pace, marito, onor, intendo…
ai servitori che mostrano le robe
Ah! questi
i testimoni sono
della miseria mia… Vani ornamenti,
che fate meco omai! itene tutti,
itene sparsi a terra; io vi calpesto,
cagioni de' miei falli, e vi detesto.
si spoglia degli ornamenti che avrà intorno. Il Poeta si mostra di tanto in tanto, le maschere sorprese siguardano fra loro
Squallida veste, e bruna,
d'affanno e pentimento,
fia l'unico ornamento
che si vedrà con me.
Lutto non v'ha che basti
a chi l'onor perdé.
POETA
(L'affare è andato bene,
più da temer non v'è.)
CORO
Amici, a noi conviene
volger lontano il piè.
FIORILLA
Caro padre, madre amata,
quale affanno sentirete,
quando sola e disprezzata
vostra figlia rivedrete
far ritorno sconsolata
all'antica povertà?
CORO
Al marito chiedete soccorso,
ma da noi non sperate pietà.
POETA
Bene! bravi! rampogne! rimorso!
Il mio dramma compito sarà.
FIORILLA
Falsi amici, voi pur mi lasciate!
Ah! comincio a conoscervi appieno.
Voi restate, se il cielo è sereno,
voi fuggite, se nero si fa.
L'infelice, che opprime sventura,
più sostegno e conforto non ha.
CORO
Chi rovina a sé stesso procura
solo accusi la sua cecità.
POETA
Ci è morale; ~ oh che scena sicura!
Oh che incontro al teatro farà!
Fiorilla parte da un lato, seguita dai servitori, che portano le robe, le maschere dall'altro
Scena diciassettesima
Poeta, indi don Geronio.
Recitativo
POETA
Che dramma! son contento:
un miglior argomento
trovar non si potea, né in miglior modo
avviluppar si cercherebbe un nodo.
Amico! a meraviglia: pianti, strida,
rimorsi da tragedia.
GERONIO
Io ti ringrazio,
poeta mio. Credi che sia pentita,
e corretta davvero?
POETA
Se lo credo?
Anzi saggia per sempre io la prevedo.
GERONIO
Ed or, che far bisogna?
POETA
Seguitarla
senza farsi vedere; e se si lagna,
se piange, se promette
di mutare costume, e viver bene,
perdonarle, e riprenderla conviene.
partono
Scena diciottesima
Spiaggia come nell'atto primo. Si vede sull'ancore la nave di Selim, eMarinari turchi che si dispongono alla partenza.
Fiorilla, indi don Geronio col Poeta.
FIORILLA
Sì, mi è forza partir; non ho coraggio
di presentarmi a lui: grave è il mio torto.
Questa vicina al porto
spiaggia rimota, provveduta è sempre
di battelli che vengono e che vanno
da Napoli a Sorrento… è qui… La nave,
è quella di Selim. Non fossi a questa
spiaggia approdata mai, nave funesta!
POETA
Miratela: sospira.
GERONIO
Ella è pentita,
è pentita davver.
POETA
No 'l ve 'l dicea?
Perché state indeciso? andate innanzi.
FIORILLA
(Mi guarda e si avvicina.)
POETA
V'ha scoperto, e vi mira.
FIORILLA
(In mio favore
chi sa? forse gli parla il primo amore.)
[N. 16 Finale secondo]
FIORILLA
Son la vite sul campo appassita,
che del caro sostegno mancò.
GERONIO
Io son l'olmo a cui venne rapita
la sua vite, ed ignudo restò.
POETA
Il cultore son io, di buon cuore,
che di nuovo congiunger li può.
Insieme
FIORILLA
D'intorno mi gira
mi guarda e sospira;
facciamoci avanti,
placato mi par.
GERONIO E POETA
D'intorno vi gira
vi guarda e sospira;
via fatevi avanti,
pentita mi par.
GERONIO
Cara vite…
FIORILLA
Olmo diletto…
POETA
Oh che bella allegoria!
GERONIO
Al mio cuore…
FIORILLA
All'alma mia…
FIORILLA E GERONIO
…tu potresti ritornar.
POETA
Il final non può sbagliar.
Insieme
FIORILLA
Torna, sì, fra queste braccia,
olmo caro, a verdeggiar.
GERONIO
Torna, sì, fra queste braccia,
cara vite, a verdeggiar.
POETA
Bravi, sì, buon pro vi faccia!
Nulla al dramma può mancar.
Scena ultima
Selim, Zaida, coro di Zingari, Zingare e Turchi, indi Geronio, Fiorilla e Poeta che ritornano, in ultimo Narciso.
CORO
Rida a voi sereno il cielo,
sian per voi tranquilli i venti,
e vi portino contenti
nella patria a respirar.
SELIM
Cara Italia, io t'abbandono,
ma per sempre in cor t'avrò.
Che per te felice io sono,
ogni di rammenterò.
ZAIDA
Vien Fiorilla. Già con lei
don Geronio ha fatto pace.
POETA
(Ecco il turco… non vorrei…
quest'incontro mi dispiace.)
FIORILLA
piano a Geronio
Non lo posso più vedere.
GERONIO
piano a Fiorilla
Un saluto per dovere…
poi va ben piantarli qua.
ZAIDA E SELIM
appressandosi
Perdonate i nostri errori.
FIORILLA E GERONIO
Perdonati già vi sono.
NARCISO
Permettetemi, signori,
che vi chieda anch'io perdono!
Ah, l'esempio che mi date
ben correggermi saprà.
POETA
È l'intreccio terminato,
lieto fine ha il dramma mio;
e contento qual son io
forse il pubblico sarà.
TUTTI
Restate contenti,
felici vivete.
E a tutti apprendete
che lieve è l'error,
se sorge da quello
più bello l'amor.
intanto Selim e Zaida, salutati dagli altri, e corteggiati dai zingari si vedranno appressare alla marina perimbarcarsi: in questo tempo cala il sipario