全一幕

(内庭。宮殿の背面と僕婢たちの住む下家の低い建物とで見切る。左手前寄り、汲み井戸の側に婢たち。その中に婢頭も交わっている。)


第一の婢
(水甕を持ちあげながら)
エレクトラさまはどこだろうね。

第二の婢
ほんにあの方の時刻だわ
なくなられた父御のために壁という壁が
がんがんいうほどわめき立てる時刻だわ。

(エレクトラ、もう暗くなった下家の表廊下から走り出る。みなはふとその方をふり向く。エレクトラは片腕を顔にあてたまま、獣のようについと巣のなかへ飛び帰る。)


第一の婢
皆さん見たかい、ひいさまがわたしたちをみたあの目つきを。

第二の婢
毒のある目だ。野猫のような。

第三の婢
いつかもあそこに横になって、呻き声を立ててさ、

第一の婢
いつだって、お日さまが沈むと、横になってうめいているのさ。


第三の婢
そこへわたしたちは二人で行って、それもあんまりお傍へ行き過ぎた。

第一の婢
ひとに様子を見られたら、あの方はとても我慢はなさらない。

第三の婢
そうだよ、わたしたちは、あんまり傍へ行き過ぎたのだよ。
するとあの方は猫のように、ふうといううなり声を立ててさ。
「出で行け、蝿め、出て行け」と、どなった。

第四の婢
「糞蝿め、出て行け」ってね。

第三の婢
「わたしの傷にさわっておくれでない」こう言って、藁だわしを持って打ってかかるじゃないか。

第四の婢
「糞蝿め、出て行け」と。

第三の婢
「お前たちは苛責から甘味を吸い取る事はならないぞ。
痙攣の泡に舌鼓を打つことはならないぞ」と。


第四の婢
「行ってしまえ。這いずり込め」と、こうもわめいた。「脂っこいものを食べて、舌ったるいものを食べて、男を寝床に引きずり込め」とこうじゃないか。するとこの人は

第三の婢
わたしもまけてはいなかった。

第四の婢
この人はひいさまに遣り返したのだよ。

第三の婢
ああ、あたしはこう遣り返してやった、「はい、はい、あなたもおなかがお空きなら、御一緒に召上がれ。」ってね、するとあの人はいきなり跳ね起きて、恐しい目で睨みつけて、爪のように指をまげて、わたしたちの方へかかって来そうな風をしながら、「わたしはからだの中に隼をかっているのだぞ」と、どなるではないか。

第二の婢
で、お前さんは。

第三の婢
「まあ、それであなたはいつもいつも、腐れ肉の臭いのする中に這いつくばったり、古い死骸をほじくり返したりなさるのでございますね。」と、こう遣り返してやったわな。

第二の婢
ひいさまはするとなんて言っだの。

第三の婢
あの人は、ううとうなっただけで、隅っこへごろりとなった。

第一の婢
女王さまはなんと思し召して、あのような悪魔を御殿の中に野放しにして、勝手な真似をさせてお置きになるのだろうね。

第二の婢
御自分のお子だもの。

第一の婢
あれがわたしの子だったら、わたしはきっと、それはきっと、厳重に押し込めて置くのだけれど。

第四の婢
でもひいさまは、随分むごたらしい目に遭わされているとは思わないかい。ひいさまは犬に遣る食べ物を、お皿から食べているのではないかい。お前はまだ、王さまがあの方をお打ちになるところを見たことはなかったか。

第五の婢
(ごく若い娘。情の迫ったふるえ声で)
わたしはひいさまのお前にひれふしておみ足に接吻したいと思うわ。
あの方はまさしく王さまのお胤ではないか。それがそんなはずかしい目をお忍びなさるとは。
わたしはあの方のおみ足に香油をぬってあげて、その後をわたしの髪の毛でふいてあげたい。

婢頭
おはいり。
(女をこづく)

第五の婢
世界中のどこをたずねたって、あの方ほど王族らしい方は一人もない。あの方は敷石の上でぼろにくるまって寝ていらしっても、それは誰だって、誰だって、ここの御殿のなかの誰だって、あの方をまともに見返せるものがあるものか。

婢頭
さあ、おはいりというに。
(左手前寄りの開いた低い扉の中へつき入れる)

第五の婢
(扉の中に押し入れられて)
お前たちはみんな、あの方と同じ空気を吸うねうちもないものだ。
ああ、お前たちみんな、エレクトラさまにした悪事のむくいで首をしめられて、納屋の暗闇にぶら下げられてしまうがいいのだ。


婢頭
(扉をぴったり閉めて)
お前さんたち聞いたかい。わたしたちがひいさまに何をした。
あの方はわたしたちと一緒に食事をさせれば卓の上の皿をはねとばしてしまうではないか、わたしたちの前で唾をはきかけて、わたしたちのことを牝犬だと言うではないか。

第一の婢
ほんにさ。あの人はいうのだ、
どんな屈従に馴らされた犬だってお前たち程の屈辱を受けはしないとか、お前たちは、水で、いつも新しい清水で、床についた人殺しの永劫な血を、洗い清めているのだとか


第三の婢
それから汚辱だ、とあの人は言う、昼に夜に新しくなって行く汚辱だ、それをせっせと隅っこで洗っている…と。

第一の婢
あの人は叫び立てる、お前たちのせっかくの肉体も、塵あくたの中に追いつかわれている中に硬ばってしまったと。

(婢たち水甕をかかえて、左手下家の中へはいりかける。)

婢頭
(婢たちのために戸を開けてやって)
それからあの人は、わたしたちが子供を連れているのに出会うと、こういってどなり立てる、
まあ何がのろわしいといって、お前たちが階段に流れた血の中に、犬のように這いつくばいながら、この御殿のうちで、はらんで生ませた子供ほどの、のろわしいものがあるか。とこういうのだ。
さああの人はそういったか、いわなかったか。

婢たち
(引っ込みかけて)
言ったとも、言ったとも。

婢頭
あの人はそういったか、いわなかったか。

婢たち
(全員内に引っ込んで)
言ったとも、言ったとも。

一人の婢
(中で)
あれ、みんながわたしをぶつ。

(婢頭はいる。扉がしまる。下家の中からエレクトラが出て来る。)

エレクトラ
一人ぼっちだ。ああほんとうに一人ぼっちだ、
おとうさまは行っておしまいなさった、
つめたい穴のなかに追い込まれておしまいなさった。
(地に向って)
アガメムノン!アガメムノン!
どこにいらっしゃるのです、おとうさま。
あなたのお顔を仰むけて見せて下さる
お力はないでしょうか。
今はあの時刻ですよ。わたしたちの時刻ですよ。
あの人たちがあなたな殺して、
あなたのお妃とあの男とが一つ寝を、
あなたの王さまの寝床に一つ寝をした時ですよ。
あの人たちはあなたをお湯殿で殺しました、
あなたのお血は目よりも高く上がりました。
あなたのお血でお湯がわき上がりました。
それから臆病者のあいつはあなたの肩をつかんで
部屋から外へ、
顔を前に、足をうしろにひきずって行きました、
あなたのお目は、開いたまま据わっていて、
奥をじっと見込んでいらっしゃいました。
あのままの姿であなたはもう一度帰っていらっしゃいます、
片足づつを踏み出して、きっとそこにお立ちなさいます。
二つの目を大きく見開いて、
紫色の王冠は額に大きくあいた傷口に
喰い入っています。
アガメムノン!おとうさま、
わたしはあなたのお顔が見とうございます。
今日はわたしを一人ぼっちにして下さいますな。
どうぞ昨日と同じように、あそこの塀のすみに、
影でなりとお姿をあなたの娘にお見せなすって下さいませ。
おとうさま、アガメムノン!
あなたの日はやがて参りますぞえ。
星のめぐりから一切の時が流れて出るように
幾百人の咽喉から血があなたのお墓の上に流れ出すでしょう。
またはくつがえった水甕から水が流れ出るように、
つながれた人殺しどものからだから血が流れ出して、
それが怒濤にも激流にもなって、
あれらの命のなかの命は流れ出してしまうでしょう。
さてわたしたちはあなたのためにみ館にある乗馬どもを屠ります。
あれらを残らず、お墓の前まで追って行きます。
そこであれらは死を感じて、死の気息の中にいななきながら
死んで行くでしょう。
それからわたしたちはあなたのために猟犬どもを屠ります。
あれらは昔あなたのお足をなめたり、
あなたのお猟のお供をしたり、
あなたから食物を投げて戴いたのですから、
あなたへの御奉公には、血を流さねばならぬものでございます。
さてわたしたちは、あなたの息子のオレストと
二人の娘たちとお血を分けたわたしたち三人は、
万事を首尾よくなし遂げて、
血潮の煙からは、紫色の雲がたなびき、
それが日の近くまで昇って行った時、お血を分けたわたしたちは、
お墓のまわりをまわって舞踏をするでしょう。
(熱狂的な情念で)
その時わたしは高く足を上げて、死骸の上を
おどり越え、おどり越えしてやります。
さてわたしの舞踏ぶりを見るものは、
遠くからただわたしの舞踏する影だけを見るものは、
こう言うでしょう。
あれあれ大王のために今こそ盛んな饗宴を
骨肉の人々が開いている、
尊い御墓をめぐって、かほど王者らしい勝利の舞踏をおどる、
子供たちを持った大王はさても幸福な人であったと。
アガメムノン!アガメムノン!

クリソテミス
(エレクトラの妹、下家の扉口に立つ。)
エレクトラ。

(エレクトラ夢中遊行者が名を呼ばれたようにクリソテミスを見回す。

エレクトラ
ああ、その顔だ。

クリソテミス
(扉口に釘づけにされたように突っ立つ。)
わたしの顔がそんなにいやなものに見えますの。

エレクトラ
お前何の用です。
さあお言い、お話し、はき出しておしまい、
それがすんだらすぐ行ってしまってお呉れ。

クリソテミス
(ふせぐように両手を上げる)

エレクトラ
何と思って手を上げるの。
そんな風におとうさまも両手をお上げなすった、
そこへ斧が打ちおろされて、おとうさまの肉をつんざいたのだ。
なんの用があるのだ、
おかあさまの娘が。
クリテムネストラの娘が。

クリソテミス
あの人たちは何か恐ろしいことをたくらんでいるのよ。

エレクトラ
あの二人の女がかい。

クリソテミス
誰がえ。

エレクトラ
ふん、一人はわたしのおかあさまさ、
それからあのもう一人の女だよ、臆病者だよ、
ふん。エギストだよ、あのあっぱれな暗殺者だ、
あの男だ、寝床の中だけで勇士の名を揚げたあの男だよ。
その人たちが全体何をたくらむと言うのだい。

クリソテミス
あの人たちはもう、日も月も光を見せぬ塔の中に、
お前を投げ込もうとしているのだよ。

エレクトラ
(笑う)

クリソテミス
きっとあの人たちはそれをする。わたしはそれを聞いたのだもの。

エレクトラ
それをどうしてお前が聞いたのだろうね。

クリソテミス
扉の傍でさ。エレクトラ。

エレクトラ
まあこの家の中では、一枚の扉もお開けでないよ。
おさえ付けられるような気息、ああいやだ、
しめ殺される者のあえぎ、
そのほかにはなんにもこの部屋のなかにありはしない。
けして扉をお開けでない、
そこらをうそうそお歩きでない。
わたしのように地びたに座ったなり、
あの女とあの男の上に、死と審判の下るのを待っておいで。

クリソテミス
わたしはお前のように座ったなり、
闇のなかをじっと見詰めていることは出来ないわ。
わたしは胸のなかに火が燃えているようだわ。
もうそれはしきりなしに家の中じゅう追い廻されているのだよ。
どの部屋にもいたたまらないのだよ、
それはこちらの敷居から次の敷居へと出て行かなければならないのだよ。ああ。段々の上がりおりにも絶えずわたしはうしろから呼びかけられているようで、わたしが出るその後から、がらんどうの部屋がわたしをじっと見ているようなのだよ。
そんなにもわたしは苦しい思をしている。
夜も昼も膝がふるえる。
喉をしめられているようだ。
わたしはもう体のどこもここも石になったようで、泣く事も出来ないわ。ねえさま、かわいそうだと思って下さい。

エレクトラ
誰をさ。

クリソテミス
鉄の槌でわたしというものを
大地に堅く打ち付けたのはお前です。
お前という人さえなかったら、
あの人たちもわたしをうっちゃっておいてくれたろう、
お前のにくみのために、
お前の止むことのない煩悩のために、
あの人達がふるえ戦いているのでなかったなら、
ああもう、それこそわたし達はこの牢屋からとうに解放されていたのですよ、ねえさま。
わたしはここから出たいのです。
わたしは毎晩、毎晩、もう死ぬ迄ここでは眠ることは出来ないわ。
でも死ぬ前に一度はわたしだって生きて見たい。
わたしの体のしなびないうちに、子供をわたしは持ちたいのですわ。それはあの人達の授けてくれる相手が、たとえ百姓男であろうとも、その男のために子供を産んでやります。
冬の夜嵐が小屋を吹き倒すような寒い夜な、夜な、
この体の暖みで、わたしは子供達を暖めてやります。
お前聞えて。物を言って下さいよ、ねえさま。

エレクトラ
かわいそうな人間ね。

クリソテミス
お前自分のこともわたしのことも思って下さいよ。
全体そんな苦しい思いをして何の役に立つと言うの。
おとうさまのためだというの。おとうさまと言って、それは死んだ人でしょう。にいさまは帰って来ない。
それをわたしたちはいつもいつも繋がれた小鳥のように止まり木の上にとまったなり、もうもう右に左に首を向けて見ても、
誰も人は来はしない、にいさまは来はしない、
にいさまの使も来やしない、
その使の使も来やしない、
もうもうなんにも来やしないのだ。
小刀で、その日その日があなたの顔にもわたしの顔にも
刻まれて行く、
その間によそでは日が上がっては沈んで、
わたしが痩せこけたその体を知っていた女までが、
いつかめでたく身重になり、
井戸の水をくみ上げるにも釣瓶が上がらぬ程になり、
やがて身二つになって重荷を下ろすと、
また井戸へ出て来て、
自分の体から甘い乳の汁をほとばしらせ、
自分を力にすがる一つの命を育んでやる、
見る見る子供は大きくなって行くのです。
そうです、わたしだって女だもの、
一人の女に定った運命にはついて行きたいのですわ。
生きていても生きがいのないよりはいっそ死んだ方がましですわ。
(はげしく泣き出す)

エレクトラ
何をお前は吠えるのだい。
行ってしまえ。はいれ。あそこがお前のいる処だ。
騒ぎが始まった。
きっとあの人達が、お前のために、御婚礼のしたくをしているのかも知れない。駈けて歩く音がする。
家中が立ち騒いでいる。
お産の苦しみか、人殺しか。
それを枕に眠る死骸が足りなくなると、
あの人達はまた人殺しをせずばなるまい。

クリソテミス
さあ、行って下さい。隠れて下さい。
おかあさまがお前を見ては悪い。
今日だけはおかあさまの前へ出ないで下さい。
おかあさまが目を光らすたんびに血がほとばしる。
おかあさまは夢を見ているのですよ。
(中で大勢やって来る足音が段々近くなる。)

さあここから出て行って下さい。
ね、みんな廊下を通ってやって来ます。
みんなここへ出て来るのです。
おかあさまは夢を見る。
おかあさまは夢を見る。
どんな夢だかわたしは知らないけれど、
確かな話を召使の女から聞きました。
その話ではおかあさまは
オレストにいさまの夢を見るのですって。
夢を見ながら
まるで絞め殺される人のような声を立てるのですって。
(焚松と人影が扉の左手の廊下に一ぱいになる。)


クリソテミス
みんなもうやって来た。
おかあさまは女達残らずに焚松を持って先に立たせている。
犠牲に使う獣と肉切刀を後ろに引かせている。
ねえさま。
おかあさまがあれあの通り、体をふるわせておいでの時が
一番恐ろしい時だから、今日だけは行って下さい。
せめてこの一時だけは隠れていて下さい。

エレクトラ
わたしは今不思議におかあさまと話をして見たい心が起っている。

(ぎらぎらとかがやいている窓について、せわしそうな行列が軋むように、またひきずるように進んで行く。獣を引き出す音、引きずる音、しずめた叱咤の声、急な息ぐるしい叫び声、ぴしりぴしりという鞭の音、引きもどす音、よろめき進む音。)


クリソテミス
わたしは聞きたくない。
(中庭の扉口から駈けてはいる。)

(広い窓の中に王妃クリテムネストラの姿が現われる。その青白い、むくみ上がった顔はきらきらする焚松の光に照らされて、一層青白く猩々緋皮の上着と封映する。王妃は暗紫色の服を着たお側付きの侍女の肩によりかかって、宝石を鏤めた象牙の杖をついている。エジプト人のように黒い毛をうしろへかき上げ、直立した蛇のようなすべっこい顔をした黄いろづくめの侍女が、その裳裾を捧げている。王妃はいやが上に宝石の護符にかざられている。両腕には一ぱい腕輪をはめ、指は指輪でこわばっている。その目ぶたは途方もなく大きく見え、それを明けていることが彼女に取って恐いしい程の努力を要するように見える。エレクトラ、窓の方に顔を向けたまますっくと棒のように立ち上がる。クリテムネストラ、ふと目を見開く。憤怒にふるえながらつと窓際に寄り、杖を上げてエレクトラを指さす。)






クリテムネストラ
何をお前はしようというのだ。
まあごらんあれを。まあ、あれをさ。
あの通り、ふくれ上がった鎌首を持ち上げて、
わたしに向って舌をはきかけるあのざまを。
それをわたしは家のなかに野放しにして置くのだ。
あれはあの目付でわたしを殺せると思っているのか知ら。
おお、神々さま、なぜあなたはそんなにわたくしの上にのしかかるようになさるのです。
なぜこんなにもわたくしを弱らせて下さるのです。
なぜ、わたくしの心の力を刈り取っておしまいなさるのです。
なぜわたくしはこの生きながらのむくろを荒野のようにさせて、
あのような醜草(しこぐさ)を心の奥にはびこらせ、しかもそれを
刈り取る力をわたくしに下さらないのでございましょう。永遠の神々さま、なぜわたくしはこんな目に遭うのでございましょう。

エレクトラ
神々ですと。
でもあなたは御自分がもう女神ではないの。
そのままがもう神さまではないの。

クリテムネストラ
あれのいうことを聞きましたか。
あれの言うことがお前達には分かったかい。

お側付の侍女
あなたさまもやはり神々のお末だということでございましょう。

裳裾持の侍女
(つぶやく)
たくらみがあって言うのだよ。

クリテムネストラ
(クリテムネストラ重い目蓋を落しながら)
いや、あの言葉がわたしにはなつかしく聞える。
もうそれは、久しく忘れていた言葉のように。
あれはわたしをよく知っている。
もっともあれが腹で何事をたくらんでいるかそれは知らないが。

(お側付の侍女と裳裾持の侍女と囁き合う。)


エレクトラ
(クリテムネストラの方へ歩み寄る)
あなたはもうあなた自身ではありません。
毒虫が絶えずあなたにまとい付いています。
それがあなたの耳のはたで囁くと、あなたのお考がいつか二つに分れてしまって、あなたはうっとり気が遠くなる、まるで夢のなかにいる人のようになるのです。

クリテムネストラ
わたしはおりて見よう。
お離し、わたしはあれと話しがして見たい。
(窓からはなれて、扉の中に姿を現す。そのわきにお側付の侍女が、二人のうしろに裳裾持の侍女が焚松を手に持って従う。)
今日はあれがそう厭でない。
お医者のようなことを言ってくれる。

お側付の侍女
あの方のおっしゃることは心とは裏うえでございますよ。

裳裾持の侍女
一語一句みんな嘘ですよ。

クリテムネストラ
(むっとして)
わたしは何も聞きますまい。
お前達のロからもれて来るものは、
エギストどのの息ばかりだ。
だから夜中に起された時、
お前達は、てんでに何かいつもと違ったことを言わないだろうか。
お前達は、
わたしの目蓋がふくれ上がっているとか、
わたしが肝臓の病気にかかっているとかわめかないだろうか。
それから
長い尖った嘴でわたしの生血を吸う悪魔を見たと、
仲間同士の耳に囁きはしないだろうか。
その跡がそれだと言って、わたしの体に残る古傷を指さないであろうか。そしてわたしはその言葉について犠牲に犠牲の獣を重ねて、屠りに屠りはしないであろうか。
お前達はいろいろに言い立てたり、あらがったり、
とうとうわたしを死にまで引きずり込むのではないか。
わたしはもう、聞きませぬ。
真実もあれば嘘もある。
それは真実などということは
どんな人間だって言えるものではない。
あれがわたしに向ってわたしの耳に快いことを言ってくれるなら、
そのいうままをわたしは聞いてやる積りだ。
わたしの耳に快いことを言って呉れるなら、
それをいうのが娘であっても、何によらず快いことなら、
わたしは心の上にかかる膜を残らずめくり捨てて、
やさしい風をあてるのだよ。
どこから吹き込む風であろうとかまわない、
病人が池のほとりに佇みながら、
腫物の膿痕に夕方の冷たい風を
あてるようなものさ。
それはなんでも、苦痛をやわらげたいと思う
心のほかはないのだよ。
わたしを置いてみんな行ってお呉れ。

(我慢がならないように杖を上げて、お側付と裳裾持の侍女に家の中にはいれという。ニ人はためらいながら扉の中にはいって行く。それとともに焚松の火も消える。ただ下家の中から表廊下を通して、弱い光が中庭のそこここに線を放射して、二人の女の上に落ちる。クリテムネストラ下りて来る。



クリテムネストラ
わたしは夜もおちおち眠らないのだよ。
お前なにか夢を見ない工夫を知っておいでかい。

エレクトラ
(側近く寄リながら)
夢を見るのだって、おかあさま。

クリテムネストラ
年を取ると夢を見るものだよ。
けれどそれは癒るものなのだよ。
何事にも儀式があるのだよ。
何につけても正しい儀式があるものなのだよ。
だからわたしは宝石を体につけている。
その石の一つ一つには確かに一つの力が備わっているのだからね。
わたしたちはただそれを利用する道を知らなければならない。
お前はきっと、それをわたしがどう利用すればいいか、
言おうと思えば言えるのですよ。

エレクトラ
わたしが。おかあさま、わたしがですって。

クリテムネストラ
そうだとも、お前がです。お前は賢い子だもの。
お前の頭には何もかもはっきり分かっている。
お前はわたしの為になることをたんと言うことができる筈だ。
それは言葉だけでは何にもならぬようなものだけれど。
では人間のつく呼吸は何だ。
昼となく夜となく
わたしが目を見ひらいて寝ていると、
何物かきっとわたしの胸の上にしのび込むのだ。
それは言葉でもない、
痛みでもない、
それもわたしを圧しつけるようにはしない、
咽喉を絞め上げるのでもない、
それは何でもない、
決して夢の魔というものでもないのだよ。
それでいて、それが実に恐しい、
わたしの霊魂はいっそ縊り上げられてしまいたいほどに思うのだよ。節々という節々が死を叫び立てるようなのだよ。
そのくせわたしは生きている、病みついたことさえないのだ。
お前わたしの顔を見るね。
わたしは病人のように見えるかい。
人間は全体生きていながら、あざれて腐れて行くということがあるものかしら。人間はもう、まるで煩いもしないで倒れることがあるものかしら。衣類が虫のために蝕まれるように、
人間の心も蝕まれて行くものかしら。
それからわたしはうとうとと眠る。夢を見る、夢を見る、
骨の髄までとろけてしまった夢を見る。
ふと醒めてまたよろめき出る、
水時計はまだ十分の一しか落ちてはいない、
戸張の外にロを開けているのは
鉛色の朝ではない、
やはり相変らず扉の前に有明にのこる焚松の火だ。
それは生きているもののように、
気味わるく瞬きをしてわたしの寝顔をのぞいている焚松なのだ。
だがどうせ、こんな夢ももうおしまいにならずばなるまい。
だがその夢を終始送るものが誰にもせよ、
正しい血が流されると共に、どんな悪魔でもすぐ離れてしまわなければならないのだ。

エレクトラ
どんな悪魔でもね。

クリテムネストラ
それから地を這う、
空をとぶ、動物という動物の限りを刺絡して、
その血けむりの中に突っ立って、いつも血汐の紅の霧の中に住む
極界の人間たちのように眠らなければならぬとしても、
わたしはもう夢を見まいと思う。

エレクトラ
正しい血の犠牲が、斧の下に倒れたら、
その時こそあなたはもう夢を見ないのでしょう。

クリテムネストラ
ではそれに捧げる聖められた獣には何を。

エレクトラ
いいえ、聖められぬ獣です。

クリテムネストラ
ではあそこにつないである獣かい。

エレクトラ
いいえ、放し飼いにされているのです。

クリテムネストラ
してどんな儀式で。

エレクトラ
ふしぎな儀式でございます。
しかもそれは厳格に守られねばなりません。

クリテムネストラ
ではお話し。

エレクトラ
推察はつきませんか。

クリテムネストラ
ああ、だから聞くのだよ。
その犠牲の獣の名をお言い。

エレクトラ
一人の女。

クリテムネストラ
(急いで)
わたしの召使女の一人か、さあお言い、
子供か、娘か、
男を知った女か。

エレクトラ
そう。知った女です。
そうですとも。

クリテムネストラ
ではその犠牲をどうするのだ。時刻はいつだ。場所はどこだ。

エレクトラ
どの場所でも、どの時刻でも、
昼でも夜でも。

クリテムネストラ
その儀式をお話し。
それはどういう風にやるのだい。わたしは自分でそれを

エレクトラ
いいえ、こんどはあなたは網をもって、
斧をもって、猟に行くには及びません。

クリテムネストラ
では誰が、誰がそれをやるのだ。

エレクトラ
一人の男です。

クリテムネストラ
エギストかい。

エレクトラ
(笑う)
わたしはただ一人の男と言いました。

クリテムネストラ
誰だ。返事をおし。
この家のなかの誰かか。
それともよその他国者か。

エレクトラ
(放心したように、地をじっと見詰めたまま)
そう、そう、他国者。
けれど実はこの家の人。

クリテムネストラ
謎をおかけでない。
エレクトラ、話してお聞かせ。
わたしは今日お前が初めて強情でないのを見て
喜んでいるのだよ。

エレクトラ
弟を内へ入れてやっては下さいませんか、おかあさま。

クリテムネストラ
あれのことをいうことをわたしは止めてあるではないか。

エレクトラ
ではあなたはあの人が恐しいのですね。

クリテムネストラ
誰がそんなことを言いました。

エレクトラ
でもおかあさま、その通りふるえているではありませんか。

クリテムネストラ
馬鹿者には誰もおじる。

エレクトラ
どうして。

クリテムネストラ
あれは吃ってロもきけないのだ、庭の上に犬と一緒に寝ころんで、
人と獣の差別さえつかないのだという。

エレクトラ
あの子はあくまで健康です。

クリテムネストラ
こうもいう。人はあれにむさくるしい住居を与えて、
外で獣と一緒に飼ってある。

エレクトラ
まあ。

クリテムネストラ
(目蓋を伏せて)
わたしは度々、沢山のお金を送ってやったのだよ、
あの子をせめて王子らしく扱わせたいと思ったから。

エレクトラ
嘘です。
あなたがお金を送ったのは、あの人の首を絞めさせるためでした。

クリテムネストラ
誰がそんなことを言った。

エレクトラ
わたしはそれをあなたの目付で読んだのです。
しかし同じあなたのその目付で、
あの人のまだ生きていることも知りました。
あなたは夜も昼も、あの人のことよりほかに何も考えていないことをも知りました。あの人が帰るということを知ってその恐しさにあなたの心臓の血が枯れたことも知りました。

クリテムネストラ
家出をしているもののことで、わたしが何の気をもむことがあろう。わたしはこの御殿の主人です。
門を守らせる家来も沢山ある。
そう、望めば、
昼でも夜でも、部屋の外に三人の得ものをもった番兵が、
大きな目を開いて番をしてくれるのだ。
それにもうこれでお前の本音は
吐かしてあるのだ。
お前は正しい犠牲を知っているといった、
わたしが用いる儀式のある事も言った、
お前がそれを自由の身ではいわぬというなら、
鎖につないでもいわせて見せよう。
腹がふくれていては言わぬというなら、
ひもじい目を見せても言わせて見せよう。
夢ぐらい止めようと思えばいつでも止められる。
夢見の悪いのに苦しみながら、
それをなおす工夫を知らぬのはとんだたわけ者。
わたしはもう一度睡眠を回復するために、誰の血を
流さねばならないのか、そのくらい分からなくてどうするものか。

エレクトラ
(暗やみのなかから一とびにクリテムネストラに近づき、いよいよぴつたりと寄り添い、だんだん薄気味悪い様子を見せる)
誰の血が流されなければならないと。
猟人がかかって来れば
血を流すものはあなた御自分の頭ですよ。
あの人がずんずん部屋をあるいて行く音もきこえる、
寝床の戸張をあける音もきこえる。
眠っている犠牲の獣を誰がころす。
猟人はあなたにかかります。
おかあさまは金切声をあげてとびおきるけれど、
あの人はもううしろに廻っている。
猟人はあなたをこの館中追いまわす。
あなたが右の方へ逃げれば、そこには寝床がある。
左の方へ逃げれば、そこには湯が血のように泡立っている。
闇と焚松とは赤黒い死の網を
あなたの頭の上に投げる。

(クリテムネストラ、言葉にいえない恐怖を感じて家の中に逃げ込もうとする。)
階段を下りて迫持を抜けて、次の迫持を、
また次の迫持を抜けてどこまでも猟人は追う。
わたしだよ。わたしだよ。それを見せたのはわたしだよ。
犬のようにわたしはおかあさまの踵にくっついて、どこか穴を見つけてかくれようとすると、わたしは横手からとびついて追い出してしまう、その中壁で道をのこらず断ち切られる。
するとそこのまっ暗闇の中に、おとうさまはおいでになる、
影のように、でも手足も、目の白味もよくわかる、
おとうさまは何とも思ってはいらっしゃらないが、
するだけはしなくてはね、で、わたしたちはあなたをおとうさまの
すぐ足もとまで追いつめる。
あなたは叫び声を立てるでしょう、けれど空気は生れない叫び声を絞めつけてしまいます。そして声を得立てさせず、あなたを地の上に倒してしまうでしょう。
正気を失った人のように、あなたは首をのばします、刄の切尖が生命の玉座をふるわせるのを感じます、

けれどもあの人はその刄を差し控えます。
儀式はまだ済まないのですよ。
みんな静まり返っています。あなたは御自分の心臓の音が肋骨にひびくのが聞える位です、
この時がそれはあなたの前には、何年も長い暗黒の淵のように、続くでしょうが、
この時がちょうど、難船に逢った人達の絶望の叫びが雲の闇と死の闇を突きやぶる時の心持を思い知るために、あなたに与えられるでしょう。

この時が、ちょうど、牢屋のなかにつながれた人達、井戸の底から死の解放を求めて叫んでいる人達を羨むために、あなたに与えられるでしょう。

なぜというにあなたは、鉄火に赤く灼けた獣の腸の中にいるように自分自身の心につながれていて、その期になっても叫び声も立て得ないのです。
その時わたしはあなたの前に立つ、
そこであなたはこわばった目でわたしの顔に書かれたおそろしい言葉を読むのです。
あなたの霊魂は自分でかけたわなにかかって吊し上げられます。
がたりという音がして、斧が上から落ちて来ます。
そこでわたしはとうとう、あなたの死んだ姿をそこに立って見ることになるのです。そうなればもうあなたは夢も見ないでしょう。
そうなればもうわたしも夢を見る事がないでしょう。
そしてその後までまだ生き永らえている人達が、
歓びの声をあげて、自分たちの生命の万歳を歌うでしょう。

(エレクトラは狂気のような酣醉にひたり、クリテムネストラは苛責の前に怯えて喘ぎながら、二人は目と目とを見合わせて立つ。この瞬間家の中は明るくなって、お側付の侍女が走って来る。何事かクリテムネストラの耳にささやく。その言葉は初めは正常に理解されないらしく見える。だんだんに彼女は、しかし自分を回復して来る。彼女は目配せをする。「明りを」という。焚松を持った侍女が駈け出してくる、クリテムネストラのうしろに立つ。クリテムネストラが目配せをする、「もっと明りを」という。こうなると、彼女の表情はだんだんに変わって緊張が緩んで、悪意をもった勝利の誇にかわって行く。いよいよ沢山の侍女たちが出て来て、クリテムネストラのうしろにならぶ。やがて中庭は光に満ち、赤黄色の光は壁のまわりに溢れる。彼女は使者の女の口上を耳にささやかせつつ目は片時もエレクトラから離れない。もう首の根まで狂乱じみた歓喜に飽き足りながら、両手をば脅かすように、エレクトラに対して差し伸べる。その時お側付の侍女は彼女に落ち散った杖を拾って捧げる、杖と侍女の肩と両方にすがりながら、急ぎ足に貪欲らしく、階段の上に衣の裾を引き上げながら、彼女は家の中に駈け入る。焚松をもった侍女たち、追われるように、後について中に入る。)





エレクトラ
一体何を言って来たのだろう。あの人は嬉しそうな様子をした。
ああ、この頭め。わたしには何も分からなくなった。
何を喜んでいるのだろうあの人は。
EINZIGER AKT

Der innere Hof, begrenzt von der Rückseite des Palastes und niedrigen Gebäuden, in denen die Diener wohnen. Dienerinnen am Ziehbrunnen, links vorne. Aufseherinnen unter ihnen

ERSTE MAGD
ihr Wassergefäss aufhebend:
Wo bleibt Elektra?

ZWEITE MAGD
Ist doch ihre Stunde,
die Stunde, wo sie um den Vater heult,
dass alle Wände schallen.

Elektra kommt aus der schon dunkelnden Hausflur gelaufen. Alle drehen sich nach ihr um. Elektra springt zurück wie ein Tier in seinen Schlupfwinkel, den einen Arm vor dem Gesicht

ERSTE MAGD
Habt ihr gesehn, wie sie uns ansah?

ZWEITE MAGD
Giftig wie eine wilde Katze.

DRITTE MAGD
Neulich lag sie da und stöhnte ―

ERSTE MAGD
Immer, wenn die Sonne tief steht, liegt sie und stöhnt.

DRITTE MAGD
Da gingen wir zu zweit und kamen ihr zu nah ―


ERSTE MAGD
sie hält's nicht aus, wenn man sie ansieht.

DRITTE MAGD
Ja, wir kamen ihr zu nah.
Da pfauchte sie wie eine katze uns an.
"Fort, Fliegen!", schrie sie, "fort!"

VIERTE MAGD
"Schmeissfliegen, fort!"

DRITTE MAGD
"Sitzt nicht auf meinen Wunden!" und schlug nach uns mit einem Strohwisch.

VIERTE MAGD
"Schmeissfliegen, fort!"

DRITTE MAGD
"Ihr sollt das Süsse nicht abweiden von der Qual. Ihr sollt nicht schmatzen nach meiner Krämpfe Schaum."

VIERTE MAGD
"Geht ab, verkriecht euch," schrie sie uns nach. "Esst Fettes, und esst Süsses und geht zu Bett mit euren Männern" schrie sie, und die ―

DRITTE MAGD
ich war nicht faul ―

VIERTE MAGD
die gab ihr Antwort!

DRITTE MAGD
Ja: "wenn du hungrig bist," gab ich zur Antwort, "so isst du auch," da sprang sie auf und schoss grässliche Blicke, reckte ihre Finger wie Krallen gegen uns und schrie: "Ich füttre mir einen Geier auf im Leib."

ZWEITE MAGD
Und du?

DRITTE MAGD
"Drum hockst du immerfort," gab ich zurück, "wo Aasgeruch dich hält und scharrst nach einer alten Leiche!"

ZWEITE MAGD
Und was sagte sie da?

DRITTE MAGD
Sie heulte nur und warf sich in ihren Winkel.

ERSTE MAGD
Dass die Königin solch einen Dämon frei in Haus und Hof sein Wesen treiben lässt.

ZWEITE MAGD
Das eigne Kind!

ERSTE MAGD
Wär' sie mein Kind, ich hielte, ich ― bei Gott! ― sie unter Schloss und Riegel.

VIERTE MAGD
Sind sie dir nicht hart genug mit ihr?
Setzt man ihr nicht den Napf
mit Essen zu den Hunden?
Hast du den Herrn nie sie schlagen sehn?

FÜNFTE MAGD
ganz jung, mit zitternder erregter Stimme
Ich will vor ihr mich niederwerfen und die Füsse ihr küssen.
Ist sie nicht ein Königskind und duldet solche Schmach!
Ich will die Füsse ihr salben und mit meinem Haar sie trocknen.

DIE AUFSEHERIN
Hinein mit dir!
Stösst sie

FÜNFTE MAGD
Es gibt nichts auf der Welt, das königlicher ist als sie. Sie liegt in Lumpen auf der Schwelle, aber niemand, niemand ist hier im Haus, der ihren Blick aushält!


DIE AUFSEHERIN
Hinein!
Stösst sie in die offene niedrige Tür links vorne

FÜNFTE MAGD
in die Tür geklemmt
Ihr alle seid nicht wert, die Luft zu atmen, die sie atmet! O, könnt' ich euch alle, euch, erhängt am Halse, in einer Scheuer Dunkel hängen sehn um dessen willen, was ihr an Elektra getan!

DIE AUFSEHERIN
schlägt die Tür zu
Hört ihr das? wir, an Elektra!
die ihren Napf von unserm Tische stiess, als man mit uns sie essen hiess, die ausspie vor uns und Hündinnen uns nannte.

ERSTE MAGD
Was? Sie sagte:
keinen Hund kann man erniedern, wozu man uns hat abgerichtet: dass wir mit Wasser und mit immer frischem Wasser das ewige Blut des Mordes von der Diele abspülen ―

DRITTE MAGD
"und die Schmach," so sagte sie, "die Schmach, die sich bei Tag und Nacht erneut, in Winkel fegen..."

ERSTE MAGD
"unser Leib," so schreit sie, "starrt von dem Unrat, dem wir dienstbar sind!"

Die Mägde tragen die Gefässe ins Haus links

DIE AUFSEHERIN
die ihnen die Tür aufgemacht
Und wenn sie uns mit unsern Kindern sieht,
so schreit sie:
"nichts kann so verflucht sein, nichts, als Kinder, die wir hündisch auf der Treppe im Blute glitschernd, hier in diesem Haus empfangen und geboren haben."
Sagt sie das oder nicht?

DIE DIENERINNEN
im Abgehen
Ja! ja!

DIE AUFSEHERIN
Sagt sie das oder nicht?

DIE DIENERINNEN
Alle schon drinnen
Ja, ja.

DIE EINE
innen
Sie schlagen mich!

Die Aufseherin geht hinein. Die Tür fällt zu. Elektra tritt aus dem Hause

ELEKTRA
Allein! Weh, ganz allein.
Der Vater fort,
hinabgescheucht in seine kalten Klüfte.
gegen den Boden
Agamemnon! Agamemnon!
Wo bist du, Vater?
Hast du nicht die Kraft, dein Angesicht herauf
zu mir zu schleppen?
Es ist die Stunde, unsre Stunde ist's!
Die Stunde, wo sie dich geschlachtet haben,
dein Weib und der mit ihr in einem Bette,
in deinem königlichen Bette schläft.
Sie schlugen dich im Bade tot,
dein Blut rann über deine Augen,
und das Bad dampfte von deinem Blut,
da nahm er dich, der Feige, bei den Schultern,
zerrte dich hinaus aus dem Gemach,
den Kopf voraus, die Beine schleifend hinterher:
dein Auge, das starre, offne,
sah herein ins Haus.
So kommst du wieder,
setzest Fuss vor Fuss und stehst auf einmal da,
die beiden Augen weit offen,
und ein königlicher Reif von Purpur ist um deine Stirn, der speist sich aus des Hauptes offner Wunde.
Agamemnon! Vater!
Ich will dich sehn,
lass mich heute nicht allein!
Nur so wie gestern, wie ein Schatten,
dort im Mauerwinkel zeig dich deinem Kind!
Vater! Agamemnon,
dein Tag wird kommen!
Von den Sternen stürzt alle Zeit herab, so wird das Blut aus hundert Kehlen stürzen auf dein Grab!
So wie aus umgeworfnen Krügen wird's
aus den gebunden Mördern fliessen,
und in einem Schwall, in einem geschwollnen Bach wird ihres Lebens Leben aus ihnen stürzen ―
und wir schlachten dir die Rosse, die im Hause sind,
wir treiben sie vor dem Grab zusammen,
und sie ahnen den Tod und wiehern in die Todesluft und sterben,
und wir schlachten dir die Hunde,
die dir die Füsse leckten,
die mit dir gejagt,
denen du die Bissen hinwarfst,
darum müss ihr Blut hinab, um dir zu Dienst zu sein,
und wir, wir, dein Blut, dein Sohn Orest
und deine Töchter, wir drei,
wenn alles dies vollbracht
und Purpurgezelte aufgerichtet sind,
vom Dunst des Blutes, den die Sonne nach sich zieht, dann tanzen wir, dein Blut, rings um dein Grab: in begeistertem Pathos
und über Leichen hin werd' ich das Knie hochheben Schritt für Schritt,
und die mich werden so tanzen sehn,
ja, die meinen Schatten von weiten nur so werden tanzen sehn, die werden sagen:
einem grossen König wird hier ein grosses Prunkfest angestellt von seinem Fleisch und Blut,
und glücklich ist, wer Kinder hat, die um sein hohes Grab so königliche Siegestänze tanzen!
Agamemnon! Agamemnon!

CHRYSOTHEMIS
die jüngere Schwester, steht in der Haustür
Elektra!

Elektra fährt zusammen und starrt zuerst wie aus einem Traum erwachend auf Chrysothemis

ELEKTRA
Ah, das Gesicht!

CHRYSOTHEMIS
steht an die Tür gedrückt
Ist mein Gesicht dir so verhasst?

ELEKTRA
Was willst du?
Rede, sprich, ergiesse dich,
dann geh und lass mich!

CHRYSOTHEMIS
hebt wie abwehrend die Hände

ELEKTRA
Was hebst du die Hände?
So hob der Vater seine beiden Hände,
da fuhr das Beil hinab und spaltete sein Fleisch.
Was willst du,
Tochter meiner Mutter,
Tochter Klytämnestras?

CHRYSOTHEMIS
Sie haben etwas Fürchterlichtes vor.

ELEKTRA
Die beiden Weiber?

CHRYSOTHEMIS
Wer?

ELEKTRA
Nun, meine Mutter
und jenes andre Weib, die Memme,
ei, Aegisth, der tapfre Meuchelmörder,
er, der Heldentaten nur im Bett vollführt.
Was haben sie denn vor?

CHRYSOTHEMIS
Sie werfen dich in einen Turm, wo du von Sonn' und Mond das Licht nicht sehen wirst.

ELEKTRA
lacht

CHRYSOTHEMIS
Sie tun's, ich weiss es, ich hab's gehört.

ELEKTRA
Wie hast denn du es hören können?

CHRYSOTHEMIS
An der Tür, Elektra.

ELEKTRA
Mach keine Türen auf in diesem Haus!
Gepresster Atem, pfui!
und Röcheln von Erwürgten,
nichts andres gibt's in diesen Mauern.
Mach keine Türen auf!
Schleich nicht herum.
Sitz an der Tür wie ich und wünsch
den Tod und das Gericht herbei auf sie und ihn.

CHRYSOTHEMIS
Ich kann nicht sitzen
und ins Dunkel starren wie du.
Ich hab's wie Feuer in der Brust,
es treibt mich immerfort herum im Haus,
in keiner Kammer leidet's mich,
ich muss von einer Schwelle auf die andre,
ach! treppauf, treppab, mir ist, als rief' es mich,
und komm ich hin,
so stiert ein leeres Zimmer mich an.
Ich habe soche Angst,
mir zittern die Knie bei Tag und Nacht,
mir ist die Kehle wie zugeschnürt,
ich kann nicht einmal weinen, wie Stein ist Alles!
Schwester, hab Erbarmen!

ELEKTRA
Mit wem?

CHRYSOTHEMIS
Du bist es, die mit Eisenklammern
mich an den Boden schmiedet.
Wärst nicht du,
sie liessen uns hinaus.
Wär nicht dein Hass,
dein schlafloses, unbändiges Gemüt,
vor dem sie zittern,
ah, so liessen sie uns ja heraus aus diesem Kerker, Schwester!
Ich will heraus!
Ich will nicht jede Nacht bis an den Tod hier schlafen! Eh ich sterbe, will ich auch leben!
Kinder will ich haben, bevor mein Leib verwelkt,
und wärs ein Bauer, dem sie mich geben,
Kinder will ich ihm gebären
und mit meinem Leib sie wärmen in kalten Nächten,
wenn der Sturm die Hütte zusammenschüttelt!
Hörst du mich an? Sprich zu mir, Schwester!

ELEKTRA
Armes Geschöpf!

CHRYSOTHEMIS
Hab Mitleid mit der selber und mit mir!
Wem frommt denn solche Qual?
Der Vater, der ist tot.
Der Bruder kommt nicht heim.
Immer sitzen wir auf der Stange wie angehängte Vögel, wenden links und rechts den Kopf
und niemand kommt kein Bruder ―
kein Bote von dem Bruder,
nicht der Bote von einem Boten.
Nichts ―
Mit Messern gräbt Tag um Tag
in dein und mein Gesicht sein Mal
und draussen geht die Sonne auf und ab,
und Frauen, die ich schlank gekannt hab',
sind schwer von Segen,
mühn sich zum Brunnen heben kaum die Eimer,
und auf einmal sind sie entbunden ihrer Last
kommen zum Brunnen wieder
und aus ihnen selber quillt süsser Trank
und säugend hängt ein Leben an ihnen,
und die Kinder werden gross ―
Nein, ich bin ein Weib
und will ein Weiberschicksal.
Viel lieber tot als leben und nicht leben.
Sie bricht in heftiges Weinen aus

ELEKTRA
Was heulst du?
Fort, hinein! Dort ist dein Platz.
Es geht ein Lärm los.
Stellen sie vielleicht für dich die Hochzeit an?
Ich hör sie laufen.
Das ganze Haus ist auf.
Sie kreissen oder sie morden.
Wenn es an Leichen mangelt, drauf zu schlafen,
müssen sie doch morden!

CHRYSOTHEMIS
Geh fort, verkriech dich!
dass sie dich nicht sieht.
Stell dich ihr heut' nicht in den Weg:
sie schickt Tod aus jedem Blick.
Sie hat geträumt.
Der Lärm von vielen Kommenden drinnen, allmählich näher
Geh fort von hier.
Sie kommen durch die Gänge.
Sie kommen hier vorbei.
Sie hat geträumt:
Sie hat geträumt,
ich weiss nicht, was,
ich hab' es von den Mägden gehört,
sie sagen, dass sie von Orest,
von Orest geträumt hat,
dass sie geschrien hat aus ihrem Schlaf,
wie einer schreit, den man erwürgt.
Fackeln und Gestalten erfüllen den Gang links von der Tür.

CHRYSOTHEMIS
Sie kommen schon.
Sie treibt die Mägde alle mit Fackeln vor sich her.
Sie schleppen Tiere und Opfermesser.
Schwester,
wenn sie zittert, ist sie am schrecklichsten,
geh ihr nur heut,
nur diese Stunde geh aus ihrem Weg!

ELEKTRA
Ich habe eine Lust, mit meiner Mutter zu reden
wie noch nie!
An den grell erleuchteten Fenstern klirrt und schlürft ein hastiger Zug vorüber: es ist ein Zerren, ein Schleppen von Tieren, ein gedämpftes Keifen, ein schnell ersticktes Aufschreien, das Niedersausen einer Peitsche, ein Aufraffen, ein Weitertaumeln

CHRYSOTHEMIS
Ich will's nicht hören.
Stürzt ab durch die Hoftür

In dem breiten Fenster erscheint Klytämnestra. Ihr fahles, gedunsenes Gesicht, in dem grellen Licht der Fackeln, erscheint noch bleicher über dem scharlachroten Gewand. Sie stützt sich auf eine Vertraute, die dunkelviolett gekleidet ist, und auf einen elfenbeinernen, mit Edelsteinen geschmückten Stab. Eine gelbe Gestalt, mit zurückgekämmtem schwarzem Haar, einer Egypterin ähnlich, mit glattem Gesicht einer aufgerichteten Schlange gleichend, trägt ihr die Schleppe. Die Königin ist über und über bedeckt mit Edelsteinen und Talismanen, die Arme sind voll von Reifen, ihre Finger starren von Ringen. Die Lider ihrer Augen scheinen übermässig gross und es scheint ihr eine furchtbare Anstrengung zu kosten, sie offen zu halten. Elektra richtet sich hoch auf. Klytämnestra öffnet jäh die Augen, zitternd vor Zorn tritt sie ans Fenster und zeigt mit dem Stock auf Elektra

KLYTÄMNESTRA
Was willst du?
Seht doch, dort! so seht doch das!
Wie es sich aufbäumt mit geblähtem Hals
und nach mir züngelt!
und das lass ich frei in meinem Hause laufen!
Wenn sie mich mit ihren Blicken töten könnte!
O Götter,
warum liegt ihr so auf mir?
Warum verwüstet ihr mich so?
warum muss meine Kraft in mir gelähmt sein,
warum bin ich lebendigen Leibes wie ein wüstes Gefild und diese Nessel wächst aus mir heraus,
und ich hab' nicht die Kraft zu jäten!
Warum geschieht mir das, ihr ew'gen Götter?

ELEKTRA
Die Götter!
bist doch selber eine Göttin!
bist, was sie sind.

KLYTÄMNESTRA
Habt ihr gehört?
habt ihr verstanden, was sie redet?

DIE VERTRAUTE
Dass auch du vom Stamm der Götter bist.

DIE SCHLEPPENTRÄGERIN
zischend:
Sie meint es tückisch.

KLYTÄMNESTRA
Klytämnestras schwere Augenlider fallen zu
Das klingt mir so bekannt.
Und nur als hätt ich's vergessen, lang und lang.
Sie kennt mich gut.
Doch weiss man nie, was sie im Schilde führt.

Die Vertraute und die Schleppträgerin flüstern miteinander

ELEKTRA
nähert sich langsam Klytämnestra
Du bist nicht mehr du selber.
Das Gewürm hängt immerfort um dich.
Was sie ins Ohr dir zischen, trennt dein Denken fort und fort entzwei, so gehst du hin im Taumel, immer bist du als wie im Traum.

KLYTÄMNESTRA
Ich will hinunter.
Lasst, lasst, ich will mit ihr reden.
Sie geht vom Fenster weg und erscheint mit ihren Begleiterinnen in der Türe von der Türschwelle aus
Sie ist heute nicht widerlich.
Sie redet wie ein Arzt.

DIE VERTRAUTE
Sie redet nicht, wie sie's meint.

DIE SCHLEPPENTRÄGERIN
Ein jedes Wort ist Falschheit.

KLYTÄMNESTRA
auffahrend
Ich will nichts hören.
Was aus euch herauskommt,
ist nur der Atem des Aegisth.
Und wenn ich nachts euch wekke,
redet ihr nicht jede etwas andres?
Schreist nicht du,
dass meine Augenlider angeschwollen
und meine Leber krank ist,
und winselst nicht du ins andre Ohr,
dass du Dämonen gesehen hast mit langen spitzen Schnäbeln, die mir das Blut aussagen?
zeigst du nicht die Spuren mir an meinem Fleisch,
und folg' ich dir nicht und schlachte, schlachte, schlachte Opfer um Opfer?
Zerrt ihr mich mit euren Reden
und Gegenreden nicht zu Tod?
Ich will nicht mehr hören:
das ist wahr und das ist Lüge.
Was die Wahrheit ist,
das bringt kein Mensch heraus.
Wenn sie zu mir redet, was mich zu hören freut,
so will ich horchen, auf was sie redet.
Wenn einer etwas Angenehmes sagt,
und wär' es meine Tochter, wär es die da,
will ich von meiner Seele alle Hüllen abstreifen und das Fächeln sanfter Luft,
von wo es kommen mag, einlassen,
wie die Kranken tun, wenn sie der kühlen Luft, am Teiche sitzend, abends ihre Beulen und all ihr Eiterndes der kühlen Luft preisgeben abends,
und nichts andres denken,
als Linderung zu schaffen.
Lasst mich allein mit ihr.

Ungeduldig weist sie mit dem Stock die Vertraute und die Schleppträgerin ins Haus. Diese verschwinden zögernd in der Tür. Auch die Fackeln verschwinden und nur aus dem Innern des Hauses fällt ein schwacher Schein durch den Flur auf den Hof und streift hie und da die Gestalten der beiden Frauen Klytämnestra kommt herab

KLYTÄMNESTRA
Ich habe keine guten Nächte.
Weisst du kein Mittel gegen Träume?

ELEKTRA
näher rückend
Träumst du, Mutter?

KLYTÄMNESTRA
Wer älter wird, der träumt.
Allein es lässt sich vertreiben.
Es gibt Bräuche.
Es muss für alles richtige Bräuche geben.
Darum bin ich so behängt mit Steinen.
Denn es wohnt in jedem ganz sicher eine Kraft.
Man muss nur wissen, wie man sie nützen kann.
Wenn du nur wolltest, du könntest etwas sagen,
das mir nützt.

ELEKTRA
Ich, Mutter, ich?

KLYTÄMNESTRA
Ja, du! denn du bist klug.
In deinem Kopf ist alles stark.
Du könntest vieles sagen, was mir nützt.
Wenn auch ein Wort nichts weiter ist!
Was ist denn ein Hauch!
und doch kriecht zwischen Tag und Nacht,
wenn ich mit offnen Augen lieg',
ein Etwas hin über mich,
es ist kein Wort,
es ist kein Schmerz,
es drückt mich nicht,
es würgt mich nicht,
nichts ist es,
nicht einmal ein Alp,
und dennoch es ist so fürchterlich,
dass meine Seele sich wünscht, erhängt zu sein,
und jedes Glied in mir schreit nach dem Tod,
und dabei leb' ich und bin nicht einmal krank;
du siehst mich doch:
seh' ich wie eine Kranke?
Kann man denn vergehn, lebend, wie ein faules Aas?
kann man zerfallen, wenn man garnicht krank ist?
zerfallen wachen Sinnes, wie ein Kleid,
zerfressen von den Motten?
Und dann schlaf' ich und träume, träume!
dass sich mir das Mark in den Knochen löst,
und taumle wieder auf, und nicht der zehnte Teil der Wasseruhr ist abgelaufen,
und was unter'm Vorhang hereingrinst,
ist noch nicht der fahle Morgen,
nein, immer noch die Fackel vor der Tür,
die grässlich zuckt wie ein Lebendiges
und meinen Schlaf belauert.
Diese Träume müssen ein Ende haben.
Wer sie immer schickt:
ein jeder Dämon lässt von uns,
sobald das rechte Blut geflossen ist.

ELEKTRA
Ein jeder!

KLYTÄMNESTRA
Und müsst' ich jedes Tier,
das kriecht und fliegt, zur Ader lassen
und im Dampf des Blutes aufsteh'n und schlafen gehn wie die Völker des letzten Thule in blutroten Nebel: ich will nicht länger träumen.

ELEKTRA
Wenn das rechte Blutopfer unter'm Beile fällt,
dann träumst du nicht länger.

KLYTÄMNESTRA
Also wüsstest du, mit welchem geweihten Tier ―

ELEKTRA
Mit einem ungeweihten!

KLYTÄMNESTRA
Das drin gebunden liegt?

ELEKTRA
Nein! es läuft frei.

KLYTÄMNESTRA
Und was für Bräuche?

ELEKTRA
Wunderbare Bräuche,
und sehr genau zu üben.

KLYTÄMNESTRA
Rede doch!

ELEKTRA
Kannst du mich nicht erraten?

KLYTÄMNESTRA
Nein, darum frag' ich.
Den Namen sag des Opfertiers.

ELEKTRA
Ein Weib.

KLYTÄMNESTRA
hastig
Von meinen Dienerinnen eine sag!
ein Kind? ein jungfäuliches Weib?
ein Weib, das schon erkannt vom Manne?

ELEKTRA
Ja! erkannt!
das ist's!

KLYTÄMNESTRA
Und wie das Opfer? und welche Stunde, und wo?

ELEKTRA
An jedem Ort, zu jeder Stunde
des Tags und der Nacht.

KLYTÄMNESTRA
Die Bräuche sag!
Wie brächt' ich's dar? ich selber muss ―

ELEKTRA
Nein. Diesmal gehst du nicht auf die Jagd
mit Netz und mit Beil.

KLYTÄMNESTRA
Wer denn? wer brächt es dar?

ELEKTRA
Ein Mann.

KLYTÄMNESTRA
Aegisth?

ELEKTRA
lacht:
Ich sagte doch: ein Mann!

KLYTÄMNESTRA
Wer? gib mir Antwort.
Vom Hause jemand?
oder muss ein Fremder herbei?

ELEKTRA
zu Boden stierend, wie abwesend:
Ja, ja, ein Fremder.
Aber freilich ist er vom Haus.

KLYTÄMNESTRA
Gib mir nicht Rätsel auf.
Elektra, hör mich an.
Ich freue mich, dass ich dich heut einmal nicht störrisch finde.

ELEKTRA
Lässt du den Bruder nicht nach Hause, Mutter?

KLYTÄMNESTRA
Von ihm zu reden hab' ich dir verboten.

ELEKTRA
So hast du Furcht vor ihm?

KLYTÄMNESTRA
Wer sagt das?

ELEKTRA
Mutter, du zitterst ja!

KLYTÄMNESTRA
Wer fürchtet sich vor einem Schwachsinnigen.

ELEKTRA
Wie?

KLYTÄMNESTRA
Es heisst, er stammelt, liegt im Hofe bei den Hunden und weiss nicht Mensch und Tier zu unterscheiden.

ELEKTRA
Das Kind war ganz gesund.

KLYTÄMNESTRA
Es heisst, sie gaben ihm schlechte Wohnung
und Tiere des Hofes zur Gesellschaft.

ELEKTRA
Ah!

KLYTÄMNESTRA
mit gesenkten Augenlidern
Ich schickte viel Gold und wieder Gold,
sie sollten ihn gut halten als ein Königskind.

ELEKTRA
Du lügst!
Du schicktest Gold, damit sie ihn erwürgen.

KLYTÄMNESTRA
Wer sagt dir das?

ELEKTRA
Ich seh's an deinen Augen.
Allein an deinem Zittern seh' ich auch,
dass er noch lebt.
Dass du bei Tag und Nacht an nichts denkst als an ihn. Dass dir das Herz verdorrt vor Grauen, weil du weisst: er kommt.

KLYTÄMNESTRA
Was kümmert mich, wer ausser Haus ist.
Ich lebe hier und bin die Herrin.
Diener hab ich genug, die Tore zu bewachen,
und wenn ich will,
lass ich bei Tag und Nacht vor meiner Kammer drei Bewaffnete mit offenen Augen sitzen.
Und aus dir bring' ich so oder so
das rechte Wort schon an den Tag.
Du hast dich schon verraten, dass du das rechte Opfer weisst und auch die Bräuche, die mir nützen.
Sagst du's nicht im Freien,
wirst du's an der Kette sagen.
Sagst du nicht satt,
so sagst du's hungernd.
Träume sind etwas, das man los wird.
Wer dran leidet und nicht das Mittel findet,
sich zu heilen, ist nur ein Narr.
Ich finde mir heraus, wer bluten muss,
damit ich wieder schlafe.

ELEKTRA
mit einem Sprung aus dem Dunkel auf sie zu, immer näheran ihr, immer furchtbarer anwachsend:
Was bluten muss?
Dein eigenes Genick,
wenn dich der Jäger abgefangen hat!
Ich hör ihn durch die Zimmer gehn,
ich hör ihn den Vorhang von dem Bette heben:
Wer schlachtet ein Opfertier im Schlaf!
Er jagt dich auf,
schreiend entfliehst du.
Aber er, er ist hinterdrein,
er treibt dich durch das Haus!
willst du nach rechts, da steht das Bett!
nach links, da schäumt das Bad wie Blut!
das Dunkel und die Fakkeln werfen
schwarzrote Todesnetze über dich ―

Klytämnestra von sprachlosem Grauen geschüttelt

Hinab die Treppen durch Gewölbe hin,
Gewölbe und Gewölbe geht die Jagd
Und ich, ich, ich, ich, ich, die ihn dir geschickt,
ich bin wie ein Hund an deiner Ferse, willst du
in eine Höhle, spring ich dich von seitwärts
an. So treiben wir dich fort, bis eine Mauer
Alles sperrt, und dort ― im tiefsten Dunkel,
doch ich seh ihn wohl, ein Schatten, und doch Glieder
und das Weisse von einem Auge doch, da sitzt
der Vater, er achtet's nicht, und doch muss es geschehn,
zu seinen Füssen drücken wir dich hin.
Du möchtest schreien, doch die Luft erwürgt
den ungebornen Schrei und lässt ihn lautlos
zu Boden fallen, wie von Sinnen hälst du
den Nacken hin, fühlst schon die Schärfe zukken
bis an den Sitz des Lebens, doch er hält
den Schlag zurück: die Bräuche sind noch nicht erfüllt.
alles schweigt, du hörst dein eignes Herz
an deinen Rippen schlagen: diese Zeit
― sie dehnt sich vor dir wie ein finstrer Schlund
von Jahren ― diese Zeit ist dir gegeben
zu ahnen, wie es Scheiternden zu Mute ist,
wenn ihr vergebliches Geschrei die Schwärze
der Wolken und des Tods zerfrisst, diese Zeit
ist dir gegeben, alle zu beneiden,
die angeschmiedet sind an Kerkermauern,
die auf dem Grund von Brunnen nach dem Tod
als wie nach Erlösung schrei'n ― denn du,
du liegst in deinem Selbst so eingekerkert,
als wär's der glühnde Bauch von einem Tier
von Erz ― und so wie jetzt kannst du nicht schrein!
da steh' ich
vor dir, und nun liest du mit starrem Aug'
das ungeheure Wort, das mir in mein
Gesicht geschrieben ist:
erhängt ist dir die Seele in der selbst-
gedrehten Schlinge, sausend fällt das Beil,
und ich steh' da und seh' dich endlich sterben!
Dann träumst du nicht mehr, dann brauche ich
nicht mehr zu träumen, und wer dann noch lebt,
der jauchzt und kann sich seines Lebens freun!

Sie stehn einander, Elektra in wilder Trunkenheit, Klytämnestra grässlich atmend vor Angst, Aug' in Aug'. In diesen Augenblick erhellt sich die Hausflur. die Vertraute kommt hergelaufen. Sie flüstert Klytämnestra etwas ins Ohr. Diese scheint erst nicht recht zu verstehen. Allmählich kommt sie zu sich. Sie winkt: Lichter! Es laufen Dienerinnen mit Fackeln heraus, und stellen sich hinter Klytämnestra. Sie winkt: Mehr Lichter! Nun verändern sich ihre Züge allmählich und die Spannung weicht einem bösen Triumph. Es kommen immer mehr Dienerinnen heraus, stelle sich hinter Klytämnestra, so dass der Hof voll von Licht wird undrotgelber Schein um die Mauern flutet. Klytämnestra lässt sich die Botschaft abermals zuflüstern und verliert dabei Elektra keinen Augenblick aus dem Auge. Ganz bis an den Hals sich sättigend mitwilder Freude, streckt Klytämnestra die beiden Hände drohend gegen Elektra. Dann hebt ihr die Vertraute den Stock auf und, auf beide sich stützend, eilig, gierig, an den Stufen ihr Gewand aufraffend, läuft sie ins Haus. Die Dienerinnen mit den Lichtern,wie gejagt, hinter ihr drein

ELEKTRA
Was sagen sie ihr denn? sie freut sich ja!
Mein Kopf! Mir fällt nichts ein. Worüber freut sich
das Weib?
最終更新:2023年09月20日 16:00