その正体は
魔界の
瘴気を浴びて魔物化しながらも知性を残した
魔人である。
普段は人間の姿をしているが、戦いになれば咆哮と共に闇紫色の瘴気が全身を覆い、瞳が深紅に輝くと言う。
鍛え抜かれた身体から繰り出される攻撃は魔人化した事で更に強力となり、
魔力と瘴気を纏わせた拳は石壁をも簡単に粉砕する。
その上で最適な戦術を立てる思考力も兼ね備え、戦況把握にも長けていたようだ。
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一挙手一投足で壁や床を抉っていくガラクの猛攻を、所持する全ての武器や道具を全て使いきる勢いで迎え撃つ覇道丸。
しかし覇道丸の 気功と 闘気を纏わせた全ての攻撃を、ガラクはそれ以上の闇と瘴気を纏わせた豪腕で跳ね除け圧し返す。
投げつけた爆薬等も全く意に介さないその魔人の姿に、覇道丸は且つて アッシュラで対峙して敗北した 強き鬼の姿を思い起こしていた。
そうして死合いが始まり四半刻、場に持ち込んでいた槍や太刀は全て尽き、残りは手にしている刀一本となった覇道丸の鳩尾にガラクの強烈な蹴りが叩き込まれた。
血反吐を吐きながら石壁に激突し、意識を失った覇道丸にガラクがトドメを刺そうと飛びかかるが…。
次の瞬間、全身から 黒い炎が吹き上がると、その眼を赤く光らせ咆哮と共に飛び起きる覇道丸。
刀に黒炎を纏わせ、先程とは比べ物にならない程の速度と力でガラクを襲う。
そして赤熱する程に闘気の込められた覇道丸の太刀が、それを受け止め防御しようとしたガラクの腕ごと袈裟切りにした事で決着となった。
だが戦いが終わっても覇道丸は野獣のような唸り声を上げ続け、その場の討伐軍の声にも一切反応しない。
やがて爛々と赤く光る眼で 廃城の一点を睨みつけると、 敵の首魁が居るであろう場所を目指して走り去ったのであった。
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最終更新:2024年06月02日 22:23