オリスタ @ wiki

ゲーマー姉弟の日常

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orisuta

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「寝坊だーっ」
制服とカバンをひっつかんで階段を降りて来る弘樹に、優子が言った。
「何よ、朝っぱらから騒々しいわね」
トーストを頬張る優子を恨めしげに見て、歯ブラシに歯磨き粉を出しながら弘樹が言った。
「何で起こしてくれなかったんだよ!うわっ出しすぎた」
「知ったこっちゃないわよ」
紅茶を飲みながら優子が言った。
「ちくしょー!なんでこんな日に限ってクエストが難しいんだよー!」
弘樹のスタンドである「マイ・クエスト」は、ゲーム機のような見た目で、クエストをひとつクリアするごとに一定時間空中を走ることができる。
弘樹はこのスタンドを通学に使っているのだ。
「だいたいあんたは夜遅くまでゲームしてるから朝起きられないんじゃないの」
「う、うるせーなー!オラクエが面白すぎるんだよ!」
制服のベルトを締めながら弘樹が言った。焦っているため手元が狂う。
「あれ…?プリンがない…?」
冷蔵庫を覗き込み、優子が言った。
(やっべー!あれ姉貴のだったのか!)
弘樹は昨晩、風呂上りに冷蔵庫にあったプリンを食べたのだった。
(ばれたら殺されるっ…)
弘樹は一目散に玄関に走った。
「ねえ弘樹、あたしのプリン知らない?」
リビングから優子が言った。
「さ、さあ〜?知らねーな!おれ急いでっから!」
弘樹は慌てて靴をはくと、大空へと飛び出した。

「あー姉貴怒ってんだろなー…」
学校が終わり、弘樹は憂鬱な気分で家のドアノブに手をかけた。
優子の怒り狂う様が目に浮かんだ。
「あ、あれ…?」
握っているドアノブが、何故だかゲームに出てくるようなドットで構成されているように見えた。
「うわっ!」
突如ドアが開き、弘樹は玄関に引きずりこまれた。
「いってえー…」
思いっきり打った腰をさすりつつ
顔を上げると、こめかみに青筋を立て黒いゲーム機を持って弘樹を睨みつける優子と、豪華なワンピースを着たスタンドの姿があった。
優子のスタンド「ドット・マザー」は、スタンドの周囲にあるものをドットにし、それを優子がゲーム機で操ることができるのだ。
「お母さんに聞いたわよ、あんたが昨日の夜あたしのプリン食べてたって」
「バレてたか…」
冷や汗をかきつつ弘樹は逃げる方法を必死に考えた。
「逃げようってんじゃないでしょうね」
優子が弘樹の足元を指差す。
見ると、弘樹の足がドットになっていた!
「バ、バレてたか…ハハ…」
力なく笑う弘樹に、優子は頬を引きつらせて言った。
「買ってきなさい、あたしのプリン」
「いや、えっと…姉貴のだって知らなかったんだよ、」
「買ってきなさい!」
弘樹が言い終わらないうちに優子が言い、ゲーム機を操作した。
「うわっ」
弘樹の足が勝手に動いた。優子のスタンドだ。
「5分以内に帰ってくること!」
優子がゲーム機を操作すると、弘樹の足は走り出した。
「ち、ちくしょー!あんな姉貴いらねーぜー!」
弘樹はドット絵になったまま、勝手に動く足を見て心に誓った。
身に覚えのない美味しそうなプリンがあっても、これからは絶対に食べないと。
 
 
 
 
終わり


使用させていただいたスタンド


No.4850
【スタンド名】 ドット・マザー
【本体】 優子
【能力】 スタンドの周りを徐々にドット絵に変えて行く

No.5471
【スタンド名】 マイ・クエスト
【本体】 弘樹
【能力】 スタンドのゲーム機でクエストを1つクリアすると一定時間空中を「走る」ことができる









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