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スパイダー vs エツィオ・クラーツ

最終更新:

orisuta

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無人の集落の中にひっそりと建つ廃病院。
ここはかつて、突然変異を遂げた巨大蜘蛛『スパイダー』がその命を散らした場所。
そう、確かにスパイダーは死んだはずだった。
しかし…


エツィオ・クラーツは以前出場した『トーナメント』の運営から、一つの依頼を受けその地に立った。
それは自然保護官という職業柄、生物のついての知識が豊富なこと、
そしてスタンド使いとしての力量を評価されてのことだった。

エツィオ「ここに化け物蜘蛛がいるのか…さて、どんなものか楽しみだな。

運営から聞いた話では、以前のトーナメントで死んだはずの巨大蜘蛛『スパイダー』のスタンド『アトール』が、
最近再び目撃されたとのことだった。
依頼内容は『スパイダーの駆除』。
しかし生物に敬意を表するエツィオは-実のところ好奇心もあってだが-生け捕りにするつもりでいた。

エツィオが廃病院へ足を踏み入れると、そこはヒドイ有様だった。
二階の床が崩れ、抜け落ちていたのだ。
足場が悪く、化け物蜘蛛はともかく、人間には非常に戦い辛い場所となっていた。
が、相手がここに“生息”しているというだけで、別に戦う場所を指定されているわけではない。

エツィオ「外で戦った方が懸命だな。この入り口付近でデートの相手を待つとするかね。」

しばしの時間が経過し、それはおもむろに現れた。
建物の奥の方から聞こえるカサカサという音。そして迫り来る巨大な一つの影。
いや、それは数十匹の拳大の蜘蛛の大群。それが集まって、巨大な影を形成していた。

エツィオ「な…これは!?」

スパイダーは死亡したが、その前に自らの形質を受け継いだ子供たちを遺していたのだ。
言わば『スパイダー・ジュニアーズ』。
突然変異がその子孫に遺伝するなど、進化論から考えればあり得ないことだったが、
彼らは確かにそこに存在している。
更に言えば、蜘蛛は基本的に蟻や蜂のような集団生活は行わない。
しかし彼らは明らかに互いに協力し合い、敵対者へ対処しようとしていた。

エツィオ「何でもありか、こいつら!」

今はまだ小さいが、やがて成長し繁殖を繰り返していくだろう。
そうなれば、この集落の外への被害が必ず起こる。

エツィオ「なるほどね、これは“駆除”する以外に選択肢はないようだ…
運営め、最初からこれを知っていて…!
だが、やってやろうじゃあないかッ!」

ボヒュヒュヒュンッ!

エツィオが決意を固めると同時に、いくつかの白い塊が横を通り過ぎた。
振り返ると、入り口がネット状に散開した蜘蛛の巣によって塞がれてしまっていた。
前方に向き直ると、数十体のジュニアたちの上に、有機的なデザインのラジコンヘリが1体、浮遊していた。

エツィオ「ありゃあ運営から聞かされたスパイダーのスタンド『アトール』そのものだな。
スタンドまで受け継いでいるとはね…
ハッ、面白いッ!ツリートップ・ロック!」

梟を擬人化したような姿のエツィオのスタンド『ツリートップ・ロック』が現れ、
その指先から種子の弾丸がアトール目掛けて発射される。

ボヒュッ!

しかしそれは、アトールが放った蜘蛛の糸の性質を持った粘着弾に包み込まれ、あっさりと落下した。

エツィオ「フフッ、特殊弾対決と言うわけだな?変異種君!
(…しっかし、スタンドを狙ってもあの粘着弾に落とされちまう。
あとは本体を狙うしかないようだが…この数から本体を探すのはどう考えても…)

エツィオが思考を巡らせている間に、ジュニアたちが一斉に前進を始めた。
更にアトールによる粘着弾攻撃。

エツィオ「クソッタレ!ツリートップ・ロック!」

ドシュドシュドシュッ!

エツィオは瓦礫だらけの足元に注意しつつなんとか粘着弾をよけ、
同時に迫るジュニアーズの前方の床に3発の種子を撃ち込んだ。
種子の形をした弾丸から枝を生やすのが、ツリートップ・ロックの能力。
撃ち込まれた種子はみるみる成長を遂げ枝が張り巡らされる。

しかしジュニアたちは瓦礫と枝を縫うように進み、侵攻を止められない。

エツィオ「甘いな!変異種君ッ!」

止まらないように思えたジュニアたちの侵攻だったが、だんだんとスピードが落ちていく。

エツィオ「それはゴムの木。その樹液は空気に触れると凝固する。
悪いね、粘着トラップはこちらも使い慣れているんだよ!
これで1匹ずつ潰していけば…
…!!アレは!?」
 
 
 


 
 
エツィオは目を疑った。
『アトール』がそのプロペラ部分でゴムの樹液を切断していったのだ。

エツィオ「ぬうぅ、そういう使い方もできるってわけか!

一部全身を固められたものたちを除き、
再び自由を得たジュニアたちは、今度は放射状に広がり三方向からエツィオに迫る。

カサカサカサカサ…
その様はさながらパニックホラー。
虫には慣れているエツィオだったが、流石にこれには背筋に冷たいものを感じた。

エツィオ「冗談じゃあない!こんな奴らに食い殺されたら、死んでも死に切れんぞッ!

ドシュ!

エツィオは種子弾を足元へ撃ちこむ。
それは再び瞬く間に樹木へ成長し、エツィオを上へ押し上げていく。

エツィオ「そして植物の成長は、時にコンクリートですら押しのける!

樹木は元から崩れていた二階の床部分を通り越し、その天井を突き破り屋上へ到達した。

エツィオ「これで、とりあえず足場の問題は解決したな。

カサカサカサカサ…
ジュニアたちが樹木を上ってくる。
その時、

ブシュブシュブシューッ!!

突然樹木に生えた“別の枝”が、幾匹ものジュニアたちを串刺しにした。

エツィオ「その木が成長する途中に別の種子を撃ち込んでおいた。
東南アジアの一部では蜘蛛の串焼きを食べるそうだが、俺はゲテモノ食いの趣味はないんで遠慮しておこう。

しかし、エツィオが悠長に一人ウンチクを披露しているその背後に、いつの間にか『アトール』が浮かんでいた。

ボヒュボヒュッ!
粘着弾がエツィオに命中する。

エツィオ「うおぉ!?いつの間に後ろに!?
チクショウ!動けんぞッ!

スタンドは物体を自由にすり抜けられる。
そして遠隔操作型に分類される『アトール』は、
たとえ本体が1階にいたとしても屋上程度の距離ならば問題なく活動することができた。

エツィオ「クソッ!どうすりゃあいいんだッ!!

アトールは動けないエツィオに対し更に粘着弾を発射、エツィオの身体は繭のように包まれてしまった。
そして、未だ数十体を残すジュニアたちが屋上へ到達し、エツィオへと這い寄っていく…
一匹、また一匹と“繭”に取り付いていくジュニアたち。

やがて真っ白だった“繭”は、拳大の蜘蛛の大群に覆われ真っ黒に様変わりしていた。
ジュニアたちは、こぞって食事の準備をし始める。
蜘蛛の食事と言えば、消化液を獲物の体内に注入しドロドロに溶解、それを吸い取るというものだ。
ジュニアたちが“繭”に噛みつき、消化液を注入していく…

エツィオ「クッ!このままじゃ、溶かされちまうぞ…!!

……なぁーんちゃってなぁ!」

エツィオの声は、繭の中からしたものではなかった。

エツィオ「撃て!ツリートップ・ロックッ!!」

いつの間にか、今度はエツィオがアトールの背後を取っていた。
放たれた種子弾はアトールに命中、直後に成長した枝がその身体を貫いた。

エツィオ「説明が欲しいかな?ん?
じゃあ教えてやろうッ!

物言わぬスタンドと蜘蛛たちにむかって、エツィオは一人語りを始める。

エツィオ「俺は君に“繭”にされた後、身体の周りに枝を張り巡らせ糸を断ち切ったのさ。
またその枝は、繭の形を保つ役割も果たしてくれた。
俺が抜け出たことがバレちゃあ意味がないからな!
その上で屋上の床に種を撃ち込んで根を張らせて崩し、
その穴から生やした枝を伝って下の階に下りた。
後は裏手の窓から外壁伝いに木を生やし、それを登って君の後ろを取ったというわけさ。
ま、言っても理解はできんだろうがなッ!
 
 
 


 
 
そこまで言い切ったところで、エツィオは違和感を覚えた。
再起不能になったかに思えたアトールが、未だに動いている。
いやそれどころか、貫かれたはずの傷が、既になくなっていた。

エツィオ「オイオイオイオイ、どういうことだこりゃあ!?

見れば、繭に取り付いていた数匹が体液を流して死んでいる。

エツィオ「こいつは…まさかなぁ。
いや、そうとしか考えられんッ!」

通常スタンドは一人一体だが、一人のスタンド使いが複数の『群体型』のスタンドを持つことがあるという。
これはその逆だ。つまり群体型の本体。
複数の本体が、一つのスタンドを共有している。
だから、スタンドの致命傷も本体の何匹かが犠牲になることで、軽症になってしまう。

エツィオ「じゃあこの変異種全てを倒さんと、あのスタンドは消えないってぇことになるな…
ったく、ホントに何でもありだなコイツはッ!

標的の生存に気付いたアトールとジュニアたちが、一斉にエツィオへと向かってくる。

エツィオ「…だが、パニックホラーにももう飽きた頃だ。
そろそろお終いにさせてもらおうッ!

一斉に動き出したジュニアたちだったが、その全てがことごとく、エツィオに辿り着く前に倒れていく。
そしてアトールもその浮力を失い落下、やがて空気に溶けるように消えていった。

エツィオ「繭を断ち切るのに使ったのは、梅の木だ。
俺が脱出した後にも成長を続け、その実をならした。
そして実が成熟する前に成長を止めてやった。
有名だが、未成熟の梅の実には毒がある。
君たちは食中毒で死んでしまったと言うわけだな。
しかし…」

しかし、すまなかったな。
君たちも生きるのに必死だっただけだろうに…

エツィオは心の中で、彼らの冥福を祈った。
 
 
 
 
 
★勝者★
 本体名  :エツィオ・クラーツ       
 スタンド名:『ツリートップ・ロック』    


使用させていただいたスタンド


No.6670
【スタンド名】 アトール
【本体】 スパイダー
【能力】 本体が生成した糸を弾丸代わりに発射する

No.5307
【スタンド名】 ツリートップ・ロック
【本体】 エツィオ・クラーツ
【能力】 指先から種を撃ちだし、着弾地点から枝を生やす









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