――崩壊したビル、呻く声。
そんな中に、車が一台。
上品な車ではない。災害時に出動するような、迷彩柄の施されたジープ。
スタァッ
その中から、一人の女性が降り立つ。
救助隊「――ああ!宙(そら)さん!こっちですこっち!要救助者はここです!」
宙と呼ばれた女性は、声をかけた隊員の方を見る。……そして頷く。
宙と呼ばれた女「ああ、ありがとうございます。ここですね……。状況は?」
救助隊「ハッ!コンクリートのビルが全壊し、中に男女数名が生き埋めとなっております!
また、中からの声によると、うち2名が骨を折るなどの重傷、出血も酷く一刻を争う状態です!」
宙「分かりました。よし、ちょっと下がっててくださいね。」
宙「――『レイィ・オブ……ライトォオオオッ!』いくぞォォオオオ―――――ッ!!」
ギャルルルルルウウウウアアアアア
女性の左手に、リボルバーの弾倉のようなものがくっ付いた機械製の『篭手』が現れる。
弾倉は一気に回転速度を上げ……
バヂッ バヂヂッ
徐々に光を帯びる。そして女性は拳を勢いよく突き出す。
宙「『シュゥゥゥゥゥ――――トッ!』」 カッ
ドグオオオオオン!
救助隊「要救助者確認!救助します!」
宙「私も手伝います!」
たっ、助かったァー! い、生きてる…… ありがとう!ありがとう!
―――この『レイ・オブ・ライト』という奇妙なパワーが私に目覚めたのは、今から「8年前」……。
私が高校一年生になったばかりの春のことだ。当時、私はまだ世界の汚い部分も綺麗な部分もしらない、世間知らずな子供だった。
学友に囲まれ、極普通の生活を送る私の”世界”はあの日の事件を境に終わりを告げた――。
女1「宙ちゃんおはよー。」
宙「ミカちゃんおはよ!」
女2「星野さんおはようございます。」
宙「泉子さんおはよ!」
紹介が遅れたけど、私の名前は「星野 宙(ホシノ ソラ)」。この年入学したばかりの出来立てホヤホヤの高校生。
高校に入学してはや一ヶ月、憧れの高校生活はやっぱり私の憧れの通りで、私はすっかり浮かれていた。
……浮かれていたから、私は気づかなかったのだ。普通なら、いや普段の私なら、絶対にいの一番に気づけていた『異常』に。
――私は、いわゆる”霊感が強い”という体質の人間で、小さい頃から幽霊をよく見る性質だった。
幽霊というのは、墓地にいるイメージが強いけど、それは間違い。そういうところにいる霊は手厚く葬られているから、
大抵成仏してる。本当に霊が強いのは「学校」……。学校というのは、少年・少女時代の最も濃い記憶。
だから死ぬ間際の人の未練として一番残りやすいのは、「学校」なのだ。私は霊感が強かったから、学校ではよく幽霊を見た。
定年間際のオジサンの霊もいたし、私とそう歳のかわらなそうな女の子の霊もいた。皆、普通の人が想像してるよりもずっと
フレンドリーで、人を呪い殺したり、凄まじい傷を負ってたりもしてない。普通に見る分には私とかと本当に違いがない人たち。
……いや、そんなことは今はどうでもよくって。今重要なのは、「学校」に幽霊がたくさんいる、ということ。
そして、『異常』とは、そのたくさんいるはずの幽霊たちが、私の通う高校には一人たりともいなかった、という点。
もちろん、浮かれていた私でも、二ヶ月もしたら流石に気づけていたと思う。でも、結局それはあの時おきてしまった。
私は今でも後悔する。”もし、あの時私が異常に気づけて、いち早く行動できていたなら……”と。
幽霊1「うぐああああああッ!くそ!ああああ―――」ボッシアアア!
??「……駄目だ。こいつも違う。まったく『ボス』も面倒な命令してくれる……。
『この街にあるもう一つの『矢の欠片』を見つけ出せ!』……。とりあえず傘下を作るために、
手当たり次第に『幽霊』を『矢の欠片』で傷つけているが……。」
ガラッ
??「!!」 サッ
宙「失礼しまー……あれ?君……」
??「は、はじめまして、……確かあなた、1-Bの「星野 宙」さんよね?」
宙「うんっ!はじめまして。確かあなたは……」
宙「恵理ちゃん。板倉 恵理ちゃんだよね?1-Cの。」
恵理「ええ。はじめまして。ところで星野さん、あなたどうしてこんな遅い時間に図書室に?
失礼だけど星野さんって……アンマリ図書室とかっていうイメージなくって。」
時計は既に午後6時半を指していた。
宙「えへへ~。やっぱそう思う?」
恵理「ええ。(何せ入学式初日に滑って転んでガラス砕き割って、それで無傷だったって伝説作ってるからな。)」
宙「ふふ。でもざんねーん。今日は先生にお使い頼まれてきたんだー。」
恵理「『お使い』?」
宙「うん、『お使い』。……ていうか、罰なんだけどね、アハハ。実はさー……図書委員の担当の先生の、
半家 桂(ハゲ カツラ)先生いるでしょ?昨日雨降ってて廊下が滑っちゃって……
転んだとき、とっさに先生の頭に手がひっかかっちゃってさ」
恵理「え……もしかして?うそ!もしかして!」
宙「ふふ……そうなのよ……半家先生ヅラだったのよー!」
プルプル
恵理「あはは!」
宙「あはは!」
恵理「にしても……それで『お使い』って?」
宙「それがねー……。これ。」
ド スン
宙「『お前みてーな不届きな生徒はこの今日届いた本全部図書室に並べて来い!』っていわれちゃってさ……。」
恵理「ひどい話ね……。私も手伝うわ。」
宙「ありがとう恵理ちゃん!」
宙「ところで、恵理ちゃんはどうしてこんな遅い時間に?」
恵理「(ドキッ!)え……私?私はホラ……図書委員の仕事。」
宙「なるほどねー。」
―――数十分後
宙「でねー。私、昔っから幽霊が見えるもんだから、そのときは本当にビックリしちゃって!」
恵理「アハハ!宙ちゃんってお話上手ね!」
宙「あーッ!信じてないでしょ!嘘じゃあないんだからね!」
恵理「えー信じてるわよー!」
(……勿論信じているとも。『幽霊』は実在するしさっき攻撃したからな……。
それにしても『幽霊』が見えるってことは彼女もスタンドの素質がある……。いや、既に目覚めているのかも……。)
恵理「もしかして、宙ちゃんって超能力とかも持ってたりする?」
宙「……………………。」
恵理(……?まさかのビンゴ?)
宙「まっさかあーっ!超能力なんて持ってるわけないじゃん!メルヘンやファンタジーじゃあるまいし!」
恵理「だ、だよねぇーっ……。アハハ。」
(な、何ださっきの間は…………。)
宙「あっ、でも、夏なのに静電気がバチバチ言ったりして、中学のときはみんなから「静電気女ー」ってバカにされてたなー。」
恵理「へぇー」(な、夏に静電気……!?やはり無自覚のスタンド使いか……。面白い。非常に面白い。)
恵理(これは行動に出る必要があるみたいだな…………。)
「はい、これで終わり。私の用事ももう終わってるから、今日は帰るわね。バイバイ。」
宙「ばいばい恵理ちゃん――っ。」
この日、私は素敵な友達が出来たと浮かれて、喜んで家に帰っていった。
でも、それが間違いだった。あのとき私は気づくべきだったんだ。彼女の嘘に。気づける材料はあった。
用件を聞いたときの彼女の慌て具合、図書委員の仕事中というには片付きすぎた図書室内、
そして仕事中だったにもかかわらずさっさと退散した彼女。でも、どんなに後悔しても取り返しはつかない。
「それ」は、翌日に起きてしまう。
ワーワー ガヤガヤ バーバ ヤーガ
宙(……?どうしたのかな?なんか騒がしいけど…………)
その日、私はいつもどおりの時間に学校に来た。普段なら人もまばらなんだけど、
この日に限って何故か人だかりができていて、騒がしかった。
半家先生「生徒はみな帰りなさい!『負傷』事件だッ!ウイルスのようなものが校内にあると思われる!
いいか繰り返す!3度は言わん!校内に入るな!みな帰りなさい!」
宙(ふ、負傷事件……!?ウイルス……!?一体……。)
このとき、私は自然と半家先生の言うとおり「帰る」という選択肢はまったく考えなかった。
今考えると、まったくおかしなことだけれど、同時に当然のことだった。
何故なら、あのときの私は「矢の引力」っていう、途轍もないパワーにひっぱられるだけの魚だったのだから。
その「運命的パワー」に逆らうだけの力を持たない、ただの子供だったのだから。
宙「ハア、ハア、わ、私…………一体何して…………に、逃げないと……帰らないといけないのにッ!」
ダッダッ……
頭では、ここにいちゃいけない、って分かってる。でも、体はなぜか図書室に向かっていく。
何故、何故図書室に。私はあのときそう思った。でも、頭の片隅では気づいてた。
――恵理ちゃんだ。恵理ちゃんが、今回の事件の犯人なんだ……。
ってね。理屈?そんなものないよ。虫の知らせだったのかもね…………。
ガラッ
宙「ぁ…………あ…………。」
恵理「あら?よくきたわね『宙ちゃん』?」
宙「恵理……………………ちゃん………………。」
このとき、彼女の周りには1人の幽霊と、4人の死体が転がっていた。
4人は全員女子。私も見知った顔が2人いた。でも、不思議と涙は出なかった。
宙「なん…………で…………。」
恵理「アハハ!何そのバカ面!笑っちまうな!それよりもこの『矢の欠片』すごいぞ!
今までただのボロイゴミクズ程度にしか思ってなかったが、フフ!
『お前が欲しい』って思って傷つけた途端、急にスタンド使いが生まれるようになりやがった!
それでも4人は死んじまったけどな!」
宙「なんで…………なんで…………なんでそんな…………。」
恵理「正義のヒロイン気取ってんじゃあねーぞ!星野!この際だから言っちまうがオレの名前は「板倉恵理」なんて
チャチィ名前じゃあない。本名『エリー・バンクロフト』。とある組織から『矢の欠片』を回収するために
派遣された『スタンド使い』――おおっと、お前にも分かりやすく言い直すと『超能力者』だ。」
宙「超……能力…………?」
恵理「ああそうさ!『超能力』!それはお前にも備わっている!昨日「静電気」がどーたらと言っていたな……。
それに「幽霊が見える」とも言っていた!それは全て「スタンド」が使えるからだ!
オレはお前がほしい!昨日話してみたときの態度は偽りではあったが面白かったのは本心だ!だからお前がほしい!
だからさ……『友情』深めようぜ?『親友になろうぜ』ェェ……。」
宙「ひッ……!いや……アンタみたいな人と…………。」
恵理「おおッ?抵抗するのか?いいな!その心意気!ますます気に入った!そうでなきゃなあ!
だが、オレは既に幽霊を『親友』にしてるぜ?『スタンド』をもらうっていうのは、最高に絆が深まるよなァー!」
幽霊2「UOOOOOOOOMMM……『エリー様』…………指示ヲォオオオオ………………与えてくださいィィィ!」
恵理「死なない程度に、再起不能にならない程度にいたぶってやりな!」
幽霊2「御意ィィイヤアアアアアッ!『フーバスタンク』ッ!」
ギャッ!
フーバ『WOOOOOOOOOOMMッ!』
ギャッ
宙「えっ?えっ?な、何これ!私!何を見ているの!?」
フーバ『かわさないならヨオオオオオ……WWWOOOOOOMMMッ!』
バギッ
宙「あうっ」
恵理「おい……顔を狙うのはやめろ!顔は!カワイイカワイイカワイイカワイイ娘なんだから…………。」
幽霊2「御意。申し訳なイィィ……。」
宙「ううう……これが……『スタンド』……」
幽霊2「そうダ。これでモウ諦めはついたカ?お前の心に根付く「『エリー様』への抵抗心」……消させてもらうゾ……。」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
宙「うう……『スタンド』……「見える」ってことは……私も……?」グググ・・・
ガクゥ
宙「!? た……立てない!立ち上がれない!」
幽霊2「フハハハハァ!そのためニまずはお前の行動を封じル!食らエィ!」
このとき、私は知る由も……いや、知る余裕もなかったけど、幽霊の彼のスタンド、『フーバスタンク』の能力は
「抵抗力」をなくす事で、私は「重力」に対する抵抗力をまったく奪われていた。だから、立ち上がることができなかったのだ。
私は、地面にうつぶせに押し付けられた状態のまま、幽霊の彼に攻撃されることになる。
でも、あの時の私は、流石に「もう駄目だ」と思っていたかというと、全然そうではなく、まだまだ諦めの気持ちは微塵もなかった。
彼女が自分をこの一連の事件の犯人だと打ち明けたときに、私が「超能力」を持っているといった時と同時に、
私は「それ」の存在を理解していたから。どんなことがあっても、彼女のような人間の精神に負けることはないって確信していたから。
バ ヂィ ッ
フーバ『ブゲッ!ぴ……ピリッときたァァ~~~ッ!』
ドビャアア――ッ!
恵理「ちょっと!何スタンド引っ込めてんだ!さっさと攻撃しろ!
『オレに対する抵抗心』を消さないと『親友』にできないだろ!」
幽霊2「申し訳ありマせン『エリー様』……。しかシですネ……見テくダさイこの手。」
恵理「な……手が焼け爛れている!?まるで電気が走ったみたいにジグザグに!」
幽霊2「ソうなンでスよ……。ナんだかよク分からなイですガ、
あのアマ何カ既に能力に目覚めてイるようでスよ。見てくダさいあノ目。」
恵理「なるほどあの目……さっきみたいにビビリ散らしていた顔じゃあねーな。」
宙「……『一つ』……。」
恵理「?」
宙「一つだけ……忠告するね……恵理ちゃん…………。『その幽霊を直して』。
人を殺しちゃったのは駄目だけど……ちゃんと警察に行って、罪を償えばきっと許してもらえる。
恵理ちゃんはまだ若いんだし、色々と言われることはあるかもしれないけど……まだ『手遅れ』じゃあない。」
グググ・・・・・・
恵理(こいつ……立ち上がって……いや、こいつの力で立ち上がってるんじゃあない。こいつが纏っている『オーラ』のような……
……『スタンドパワー』!……それがこいつの力を助けているというのか!)
「フン、やっぱりアマちゃんだな、どこまでいってもさ!お前は!さっき言ったろう!オレはとある組織の構成員!
ドジっちまえばたとえ刑務所だろーと殺されるに決まってる!さあどうする?お前の言うとおり自首したら、
きっとオレは始末されちまうよなあ?それともオレを倒して警察に突き出す?それもいいかもなあ!」
宙「う……。」
このとき、私はこれ以上誰にも死んで欲しくなかった。それは命が大切なものだからとか、そんな高尚な理由ではなくて、
人の死を直接見ることに、もう精神が耐えられなかったから。仕方がないことだと思う。幽霊が見えていたとはいえ、当時の私は
なんの変哲もないただの高校一年生。人の死に慣れてるっていう人の方がよっぽど奇特な人だと思う。
世の中のでき方も何も知らない、ただの小娘。それがそのときの私だった。だから、きっとこんなことがいえたんだと思う。
宙「……え、恵理ちゃんを倒して!それでその『組織』も倒す!誰も死なせない!」
恵理「……。プッ。」
恵理「アハハ、クク、アハハハハハハハ!お前やっぱいいよ!面白い!んなことできるわけないだろうッ!
『組織』はとてつもなく強大で、お前みたいなチッポケなクソガキが敵うようなモンじゃねえッ!
……だが、結構面白かったよ。やっぱお前話上手だな。だがそのためにはまず『幽霊』を倒さないと、なあッ!」
幽霊2「WWWOOOOOOOOMMッ!」
恵理「そらァ!私の『親友』が襲い掛かってくるぞォ!触れられたら最後ッ!お前も私の『親友』だァ!」
宙「さっきから思ってたんだけどさ……」
宙「それ、「親友」じゃなくて『奴隷』だよね……彼が可哀想。」
ピグッピグッ
恵理「てッ、てめェェ~~~ッ。やっちま……ハッ!何だ宙の腕についているあの『篭手』はッ!」
宙「これが、私の『スタンド』。不思議と分かる……このスタンドがどういうものなのか。」
私の左腕には、いつの間にか『銃みたいに黒光りする篭手』があった。手首は拳銃の弾倉のように
大きくなっていて、中には何かが詰まりそうだった。そして、「それ」は静かに回転を始める。
ギャルン……
ギャルン……
ギャルンギャルン
ギャルンギャルンギャルンギャルオオオオオオオオオオ
宙「私の『スタンド』はッ!「静電気」は!」 バヂバヂバヂィ!
この時点で、私は自分のスタンドの全てを理解していた。体は重力に負けそうで、あと数秒もしたら
地面にお尻がついちゃうくらいギリギリだったけれど、負ける気はまったくしなかった。
恵理「……くそ……!こいつのスタンド「何かヤバイ」!今は退け!『親友』!」
幽霊2「……無理でス……『エリー様』……既に……攻撃ノ体勢に……!」
宙「この『スタンド』が起こしていた!『レイ・オブ・ライト』ッ!おおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
幽霊2「WOOOOOAAAAAAAAAHHHHH……!」
宙「『シュゥゥゥゥウウウ――――ト』ッ!!」
ズギュゥウウウウ――――ン!
幽霊2「ABEEEEEEEEEEEEEEEッ」
ドッジュオオオオオ―――!
恵理「……ゆ、幽霊が……そんな……。やられた…………。」
宙「死んじゃったわけじゃないけどね。」 へたっ
恵理「……フフ、でもその様子じゃあもう動けなさそうだな。抵抗できない重力にスタンドパワーで無理やり抗ってたんじゃ、
当然体への負担も大きい。しかもさっきの攻撃……スゴイパワーだったな。
あれだけの攻撃をしたんだから、もう力尽きたろう。」
宙「『シュート』」
ズギュゥン!
恵理「ごばっ……!何……!?」
宙「勘違いしないでよ、恵理ちゃん。さっきの『シュート』は私の力じゃあない。私がしたことは、
スタンドを回転させることと、エネルギーを放つこと。あと、「電気」をスタンドパワーに変換させただけ。
それだけで、私は何一つ消費してないんだから。」
恵理「な……!」
宙「ごめんね……。ちょっと痛いかもしれないけど……『鉄拳制裁』……いッくッぞッ…………
……ォォォォォオオオオオオオォオオオォォオオォオオッ!!」
恵理「う、うわ……」
宙「オオオオオオオオッウリィイイヤアアアアアアアアアアアアアッ!」グオオオアアアア
左腕に装備された『レイ・オブ・ライト』から輝く光が後方に噴出され、私の体が前方に引っ張られる。
これも『レイ・オブ・ライト』の能力。後方から出すことで、超光速のスピードで拳を放つ。
恵理「ぐ ばぁッ……」
ドッギュゥウウ―――ドジャッ
恵理ちゃんは殴られた衝撃で体を強く壁に打ち付けられ、気絶した。
…………その後、私は何が何をしたのかは、あまりよく覚えてない。
確か、あのあとまだ疲労の残る体を引きずって、家に帰って……。その後のその日の記憶はない。
唯一つだけ、確かなのは、次の日私が自分の顔を鏡で見たら、一晩中泣いてたって一目で分かるくらい目が赤くなってたってこと。
そして、制服のポケットの中に――『矢の欠片』が入っていたこと。
この『矢の欠片』のせいで、この後私の人生は大きく変わってくるんだけど、それはまた別のお話ってことで。
続かない。
使用させていただいたスタンド
No.918 | |
【スタンド名】 | レイ・オブ・ライト |
【本体】 | 星野 宙(ホシノ ソラ) |
【能力】 | 回転によって起こした電気を『スタンドエネルギー』にし、扱う |
No.882 | |
【スタンド名】 | インポッシブル・キープ・シークレット |
【本体】 | 板倉 恵理(エリー・バンクロフト) |
【能力】 | 本体と極限まで絆を深めた「友人」は『スタンド使い』でなくとも『I・K・S』を見ることができる |
No.71 | |
【スタンド名】 | フーバスタンク |
【本体】 | 幽霊2 |
【能力】 | 触れたものの抵抗一つを無くす |
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