オリスタ @ wiki

○○怖い

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orisuta

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ここはとある国にある織須田村・・・

人口500人に満たないこの小さな村で、今日は男たちの会合が行われていた。




―ガヤガヤガヤ・・・



―ざわざわ・・・

―ざわざわざわ・・


「柏んがぁ田んぼに
水引いて・・・

「いや!重松どんの田んぼが先だべや!

「にしゃあ馬鹿か!?順番ってもんがあんだべやッ!

「何をーッ!?

「やんのかコラーッ!




「・・・・はぁ。(本当にこの村は・・馬鹿ばっかりだぜ。



ゴゴゴゴゴ・・・

俺の名は琢磨。
織須田村にある桶屋の三男。
店は兄が継ぐ事が決まっているので、俗に言う【冷や飯喰い】って奴だ。
ま、もともとこんな小さな村で一生を終える気などないし
俺の鋭い洞察力と、高い知性を活かす仕事などここには無い。
よって、夏が来る前に村を出て行く事にした。



俺が冷ややかな目で会合を眺めていると、村の若い男たちが声を掛けてきた。



「ところでよぉ、琢磨。
お前、なんか怖いものとかない訳?


コイツは丈二。
いっつも煙草を吸ってる喫煙厨。
肺癌になって氏ね。

「ヌファファ!俺にも教えてくれよッ!


コイツは悠。
牛飼いの変態野郎。
クセエから近寄んな、氏ね。

「なぁなぁ、教えろよ!


コイツは靖成。
陶芸家を気取っちゃあいるが、仕事をしてる所を見たことがない。
働けよ、氏ね。


ウザいくらい、怖いものを聞いてくるリア充共を見ていて、俺は気付いた。



琢磨「(ははぁ~ん・・・コイツら、俺が村を出る事を聞いたのか。
鋭い洞察力と知性を以て、さんざん馬鹿にしてやったからな。
余程悔しかったんだろう・・・
それで、俺が村を出る前に仕返しをするつもりだな?


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
 
 
 




琢磨「(フンッ・・!そうはいくか。)

俺の怖いものか?
そうだな・・・【女性】が怖いかな。
ここだけの話・・若くて美人な女性に、触られただけで気絶しちまうくらい、怖いんだ。


丈二「そうか!女だな!

靖成「へぇ~、意外だぜ。

悠「人生損してんなぁ~。


そう言うと、ファッキン糞野郎共はニヤニヤと笑いながら去っていった。

琢磨「(フン!怖がらせてやろうって魂胆が見え見えだぜ!
俺の予想が正しければ、これで若くて美人な女が・・・クククッ!





――翌朝。



―コンコン。

扉を叩く音で琢磨は目を覚ました。

琢磨「(お?来た来た!フヒヒヒヒ・・・)
今、開ける!!

―ガラ・・・



扉を開けるとそこには若くて美しい女【達】が立っていた。


琢磨「(おおッ!?コイツは当たりじゃねえか!
それにしても、こんなたくさん寄越しやがって・・・フヒヒヒ。
全員足腰立たなくしてやるぜッ!!)

女達「・・・・?

怪訝そうな顔の女達。
いけない、下心が顔に出たか。


琢磨「あ、いや・・何でもない。
君たち、名前は?

「那由多です
「遥です
「ジョルナータです
「泉です
「静香です
「譲華です


琢磨「あ、あ~・・・(そんないっぺんに覚えられねえよ・・)
じゃあ、皆。とりあえず中へどうぞ。



女性陣を中へ通したところで、琢磨は気付いた。

ドドドドドド・・・


琢磨「(何てこった・・・6畳一間6人だと、かなり狭いぞ。


―キャッキャッ!!

―ウフフ!!


琢磨「(何よりうるせえぜ・・・
女三人寄れば囂しいと言うが・・
 
 
 




いったいどうしたものかと、思案を巡らせていると
一人の女性が琢磨の前に立つ。


琢磨「(ッ!・・か、蟹だ!蟹頭だ!!


譲華「コレ、アンタに渡してくれって。

―・・スッ。

そう言って手紙を差し出す蟹頭。


琢磨「あ、あぁ・・・。

―ガサガサ。

手紙を開く琢磨。


琢磨「なになに?・・・
【親愛なる琢磨へ】
明日、お前が村を出ると聞いて
三人でお前が喜ぶ事をしようと考えたんだ。
普通に聞いても、お前の性格じゃあ教えてくれないだろうから、怖いものを聞けば、喜ぶものを教えてもらえると思ってな。
当然だが、彼女達には話をつけてある。出発まで楽しんで、思い出を作っていってくれ。
たまには村に帰って来いよ!!
【丈二より】


譲華「状況を理解したかしら?


琢磨「・・・・ぅッ、うぐぅ・・!


とめどなく涙が溢れ、手紙を濡らす。


自分は、さんざん見下してきたはずなのに、あの三人は俺の為を思ってこんなサプライズを用意してくれていただなんて・・・
俺はなんと愚かだったのか!


床に膝をつき、琢磨は泣いた。
女性たちがいる事も気にせず、大声で泣いた。


しばらく泣いたのち・・落ち着きを取り戻した琢磨が顔をあげると

服を脱ぎ、琢磨へ微笑みを投げかける女性たちの姿があった。


琢磨「みんな・・・ありがとう。
・・・ありがとう。
でも、もう帰ってくれて構わない。
気持ちだけで充分だよ。


譲華「・・・本当に良いの?
私たちは、そのつもりで来てるのよ?
 
 
 




琢磨「いいんだよ。
自分がいかに愚かだったか・・・ようやく気付いた。
本当に、俺は幸せだ。



譲華「テメー、今何つった?

ゴゴゴゴゴゴ・・・



琢磨「え?
自分がいかに愚かだったか・・・


譲華「あたしの髪型が蟹みてえだとーッ!?

味噌汁に入れたら良いダシが取れそうだって言ったよなぁーッ!?


琢磨「い、言ってないッ!!


譲華「いいや!言葉の裏側に邪悪な意思が感じられたッ!
TVショッピングで8杯10500円で売っていそうとも聞こえたぞッ!!
この髪型をけなす奴ぁ~・・誰であろうと絶対許さねえッ!!


「譲華ちゃんを苛めるなんて・・・許せないッ!

「アンタ、ブン殴るわ。

「ケツの穴に電池突っ込んだろか。

「燃やしてやる。

「腹ん中めちゃくちゃにするわ。



琢磨「えええええぇええ~ッ!?











―ガラガラガラ・・

牛車に乗って、琢磨の家へ向かう男が三人・・・

丈二「琢磨、楽しんでるかなぁ~?

悠「くぅ~!羨ましすぎるぜ・・・

靖成「お?見えてきた・・・
何か・・・家が揺れてねえか?

丈二「あぁ・・・お楽しみ中だな。

悠「混ぜてくんねぇかなぁ~。

靖成「おし、ちょっくら見てくるわッ!


牛車を飛び降り、家の様子を伺う靖成・・・

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

靖成「ッ!!
オー・・マイ・・・!



そこには顔面が紫色に腫れ上がり、それでも尚、殴られ続ける琢磨の姿があった。



結局、琢磨は怪我のため村から出られず、
傷はトラウマとなって
本当に・・・女性が怖くなってしまった。
 
 
 

終わり









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