さて、何から書いたものか
私が体験した「奇妙な物語」の事を、説明出来る言葉は少ない
今こうしてこれまでの物語を纏めているのも、私自身、一息つけたからだろうか
とりあえず、こう書き出してみよう
2010年、ある春の日
その男性と出会ったのは、春の陽射しが暖かい昼下がりの事だった
私は入学式の帰り道、幾らかブルーな気持ちで歩いていた
「(高校生…かぁ)」
入学式、新しいクラス
その中で私は皆に「無口な娘」「ちょっと近寄り難い娘」として認識されてしまったらしい
やたらとパンチラをしていた変わった女の子(本当に女の子だろうか?)は男子が群がっていたが…
「…………」
突然だが、貴方は他人が「自分とは違う絶対的な何か」を持っていたとして、その他人と「友達になりたい」等と考えるだろうか?
「………はぁ」
突如、少女の掌に近未来的な装飾の銃が現れる
数年前から私に付きまとう、「悪霊」と呼ぶに相応しい
「(本当、何なのかしら、『コレ』……)」
この銃は、私以外には見えないらしい
一度この事を友達に話した事があるのだが、その友達は以後二度と自分から私に話しかける事はなくなり、私もこの事を親にすら話さなくなった
「……やれやれだわ」
──トンッ
「あ……」
「おっと」
考えごとをして歩いていたせいか、私は前方から歩いて来た男性にぶつかってしまった
「あ、すいませ…」
「いや、俺の不注意だ。すまないな」
白い髪に蒼い瞳を持った、どう見ても日本人ではない男性だった
そして初対面のこの男性は、突然私に物騒な事を言ったのだ
「ところで君──後をつけられているぞ?」
「──えッ?!」
思わず後方を振り返る
だが、其処には猫の一匹すら見当たらない
この人は何を言っているのか、と思い再び前を向く
「(別に何も──……ハッ!?)」
今、“余分な視線”を感じなかったか──?
「気付いたか。どうやら奴の『スタンド』は『ダルマさんが転んだ』が好みらしい」
──ヒタ…ヒタ…ピタッ
感じた気配の方向へ素早く振り返る
しかし、其処には誰も居ない
「(ま、前を向くと!何かが近付いて来る!)」
「上条恵、これから君は君が『悪霊』と呼ぶ、多くの『スタンド』そしてそれを操る『スタンド使い』達に出会うことだろう」
「(えっ?なんでこの人私の名前を――……ッ!?)」
┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛.....
男性の傍らに佇む、人型の『何か』が、私にパズルのピースのような物を差し出した
「君ハコノ出会イヲ忘レル。シカシ、何レ思イ出ス」
何が何だか理解出来ないまま、私はそれを受け取った
「ソノ『ぴーす』ハ、キット君ノ『力』ニナルダロウ」
「あ……?」
意識が遠退き、私はそのまま気絶してしまった
最後に聞こえたのは、二人の男性の声だった
「さて…『バックヤード・ベイビーズ』、貴様には悪いがこの娘は準備が出来ていない
そこに貴様が現れると言うのはアンフェアだ。お前達はまだ出会うべきではない」
「な、なんだ貴様ッ!『暗殺対象』にはお前のような男は……ッ!」
「『ザ・エッジ・オブ・ヘブン』。この出会いは俺が管理しよう」
気が付いたとき、私は自宅のソファーに横たわっていた
「あれ…私…?」
何か夢を見ていたような気分だったが、直ぐに眠気は吹き飛んだ
「(これ……何かしら?)」
握り締めていた『SAILIN' SHOES 』と書かれたピースに、予感めいたものを感じて
使用させていただいたスタンド
No.1347 | |
【スタンド名】 | コミュニケーション・ブレイクダンス |
【本体】 | 上条恵 |
【能力】 | 本体の感情を弾丸にして撃ち出す |
No.1802 | |
【スタンド名】 | バックヤード・ベイビーズ |
【本体】 | 元パントマイム師の殺し屋の男 |
【能力】 | 「ダルマさんが転んだ」の要領で対象の背後に忍び寄る |
No.1431 | |
【スタンド名】 | ワム!:ザ・エッジ・オブ・ヘブン |
【本体】 | 男性。組織に追われている |
【能力】 | 時の『ピース』を管理する |
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