215 : 転生八犬士封魔録 ◆l1l6Ur354A : : 2006/06/14(水) 03:31:18 ID:??? [692回発言]
   すぐでなく、期間を置いてからでも良いので、
   八犬士のメインストーリーを教えて頂けませんか?
   何か攻略スレざざっと読んだ限りでは、
   (以下改行後ネタバレ)










   主人公が親友の身代わりのための取替え子状態で
   だから八犬士も実は親友付きの存在で
   ぶっちゃけ主人公は部外者で後半イラネ扱いみたいな流れが
   読み取れるんですが…(((((゚Д゚;)))))

   ………実は買ってあるんですが、そんなん見たらもう
   プレイする気になれなくなったのでおながいします…orz

216 : 名無しって呼んでいいか? : : 2006/06/14(水) 16:45:12 ID:??? [692回発言]
   >>215
   じゃあ私が予約しておく
   章タイトルは書いた方がいい?

217 : 名無しって呼んでいいか? : : 2006/06/14(水) 22:30:12 ID:??? [692回発言]
   >>216
   どうも有難うございます、おまかせします。
   萌えが無い訳ではないであろうので、
   主人公が最終的に恋愛以外の部分できちんと救いがあったり
   報われたりの流れがあれば自分でも頑張ってプレイしようと思っていますので
   よろしくお願いします。


219 : 転生八犬士封魔録 ◆l1l6Ur354A : : 2006/06/21(水) 19:17:18 ID:??? [692回発言]
   ~プロローグ~

   「この姫には、呪いがかかっておる。」

   無表情の幼い姫に重い口調で語る老人。
   彼が姫にあるもの見せると、生まれてから一度も表情を変えたことのなかった姫が笑った。

   「姫よ、おぬしの身に刻まれた呪いは途方もなく強い。
   しかし、その八つの石はおぬしを永劫に守ってくれるじゃろう。
   そしていつか……遠い先、呪いというくびきからおぬしを解き放ってくれるかもしれん。
   大切に、するんじゃぞ。」


   ~1章 転生、八犬士~

   高校の入学式当日、鏡に向かって制服姿をチェックしてる少女がいた。
   彼女の名前は桐沢結奈。
   2年前に両親をなくし、現在はペットの飼い犬“ナポリタン”と二人暮し。

   そこへ近所に住んでおり、昔から家族ぐるみで交際している親友の八尋香澄がやってくる。
   香澄はやっぱり私の家で一緒に暮らさないかと提案するが
   いくら両親が友達同士でも、そこまではお世話になるのは悪いと結奈は断る。

   「私にはナポリタンもいるし、亡くなった両親、おばあちゃん。
   それからおばあちゃんが残してくれた代々伝わるペンダントもあるから。
   これをおばあちゃんだと思って大切にしている。だから、ひとりじゃないんだよ。」

   新たな学園生活の舞台となる高校の話題で盛り上がりながら
   高校に着いた結奈と香澄。しかし校門の前に辿り着くと、突如空が犬が降ってくる。
   いきなり大勢の野犬に取り囲まれるあせる二人。しかもなぜか野犬は
   逃げる他の生徒たちには目もくれず、結奈たちだけを狙ってくるのだった。

   剣道の心得がある結奈は、カバンで応戦してみるが
   香澄を守りながら竹刀もない状態で戦うには限界がある。
   そのとき、祖母から受け継いだペンダントが光り、なぜか野犬が怯む。
   一瞬の隙を突いて急いで逃げるものの、しつこく二人を追いかけ続ける野犬たち。

   光らなくなったペンダントへの期待を捨て
   どこかに武器になるものはないかと結奈が考えたときだった。

   「勇ましい姫君だな。貴方がそんなことをする必要はない。」

220 : 転生八犬士封魔録 ◆l1l6Ur354A : : 2006/06/21(水) 19:18:23 ID:??? [692回発言]
   学園の生徒会長である飼葉万珠が現れ、簡単な自己紹介を済ませると
   野犬はただの凶暴な犬ではなく、“業羅”という異常な力で生み出されたもので
   普通の人間では倒せない存在であると解説。そして上着を脱いで上半身裸になった。

   いきなり半裸になった生徒会長に慌てる少女たちをよそに
   あくまで冷静に飼葉は結奈に告げる。

   「僕の身体のどこかへ痣があるだろう? 君には見えるはずだ!」

   飼葉の言う通り、結奈が彼の身体を見ると確かに右脇腹に痣をあった。
   するとなぜか飼葉は喜び、
   「やはり君で間違いない。八犬伝の物語は本当にあったのか。」と一人で納得し
   その痣に触ってくれとまで言い出す。

   知らない男の人の肌になんて触れないと嫌がる結奈に対し
   このままでは君も君の友達も犬に襲われてしまう、それでもいいのかと痛いところを付く飼葉。
   触れれば香澄のことも助けてくれると了承され、恥ずかしながら触ってみることに。

   痣に触れると、視界が揺らめき不思議な感覚に襲われる。

   (……不思議な形の痣、なにかの花みたい。
   ……なんだろう、この感触。ずっと昔に、どこかで……)

   結奈に触れられたことにより、力を解放した飼葉は野犬を倒すことに成功。
   入学式の後に生徒会室で詳しい説明をしてくれる約束をし、飼葉とは一旦別れる。

   説明を聞くために生徒会室にやってきた結奈と香澄。
   飼葉は君たちは南総里見八犬伝という物語を知っているか?と質問する。

   飼葉によると、江戸時代に滝沢馬琴によって書かれた小説の南総里見八犬伝とは別に
   この地にはひとつの八犬伝の伝説があると言うのだ。

   「伏姫が八房の妻となった後、八房が玉梓の転生であると気づいた伏姫は、
   里見家への恨みに満ちた八房を何とか救いたいと考え、彼を慈み愛情を注いだ。
   また、八房も真摯な伏姫の愛に心を開き、次第に恨みを忘れていった。
   ところが、伏姫たちが暮らす山の近くに住む、八房に恐怖心を抱く村人たちが
   村を訪れた尼の言葉に扇動され、八房を殺そうと行動を起こした結果、八房を庇った伏姫を殺してしまう。
   愛する妻を失った八房は怒り狂い、伏姫によって静まりかけた恨みが
   里見家だけでなく、人間すべてに対するものに変わり、周りのすべてを攻撃し始めた。

   そこで立ち上がったのが伏姫の幼馴染で
   八房に嫁いだ伏姫の無事を祈るため、若くして出家した灯如尼という女性だ。
   彼女は伏姫の形見であり、姫の魂が宿る首飾りを使って八房を封印。
   その際、首飾りから八つの光りが日本の各地に飛び散り、八人の人間がこの光りを受けた。
   その八人は首飾りに宿る伏姫の魂が選んだ、封印を守るための存在、すなわち八犬士なんだよ。」

   飼葉の語ったもうひとつの伝説。だが、それも架空の話のはず。今の状況と何の関係があるというんだろう…。
   結奈に疑問に、飼葉は幼い頃から見ていた夢について語り始める。

221 : 転生八犬士封魔録 ◆l1l6Ur354A : : 2006/06/21(水) 19:20:50 ID:??? [692回発言]
   ひとりの姫が犬を庇って殺され、ひとりの女性が光り輝く首飾りを掲げて
   何かを封印する光景と、迫ってきた光が自分の腰を強く打った後
   そこに牡丹の形をした痣と「信」という文字が浮かぶ夢。

   幾度なく見続けた夢の影響で八犬伝について調べるうちに、この地にあった八犬伝は
   過去に実際に起きたことで、南総里見八犬伝はその伝承を元に作られた話ではないか、
   そして自分は八犬士の生まれ変わりなのではないかと考えるようになったと話す。
   それでも確信があったわけではなかった。結奈に出会うまでは…。

   香澄から
   「あなたが痣に触れるまでは、先輩に痣は見当たらなかった。けどあなたが触ったら途端、急に浮かんできたの。」
   と告げられた結奈は、どうして自分だけが痣をハッキリ確認できたのか…私は一体何なのかと戸惑う。

   伝承では伏姫の首飾りは灯如尼の手から里見家に戻され、大切に祭られたらしい。
   夢で首飾りを見ていた飼葉は、結奈が持っているペンダントがそれと全く同じものであり
   結奈にしか痣が見えなかった事実を挙げる。
   結奈は里見家の遠い子孫で伏姫の生まれ変わり、だから狙われたのだろう。

   「そして、八犬士として君を守るのが僕の使命なんだ。」

   仮に私が伏姫、先輩が八犬士の生まれ変わりだったとしても
   なぜ私が狙われて、先輩の使命が伏姫を守ることなのか分からない結奈に
   飼葉は再び説明を始める。

   この地のどこかに封印された八房だが、その封印は完全なものではなく
   解けてしまう可能性も十分にある。
   近頃、業羅(恨みや憎しみによって作られた化け物)と思われる野犬が出没始め
   行方不明者や幽霊の目撃談が急増し、妙な占いと呪いが流行り出したのは
   八房の封印が解けかかっているせいかもしれない。
   八房が復活すれば、人間すべてに向けられた憎しみで世界を滅ぼそうとするだろう。
   だが、万が一八房の封印が解かれてしまっても
   八犬士と伏姫が揃えば、再封印することも可能である。

   しかしこの事実は熱心に調べれば、簡単ににわかってしまうことであるため
   伝承を知った誰かが八房の復活を企み、再封印されないために
   封印の要となる伏姫を消してしまおうとしていても不思議ではない。
   もう一度封印を行うためには、伏姫の転生である結奈を失うわけにはいかない。
   だから、八犬士の使命は、伏姫を守ることでもある。

222 : 転生八犬士封魔録 ◆l1l6Ur354A : : 2006/06/21(水) 19:27:12 ID:??? [692回発言]
   「八房の復活を望む者がいて、君を狙っている。もう始まってしまった。
   君を守り、そして一刻も早く八犬士を集めることが、事態を収める一番いい方法なんだよ。」

   「先輩、結奈の気持ちも考えてください。協力しろとか守るとか
   今日初めて会った人に言われたって信じられません」

   香澄の反論と、結奈の少し考えさせて欲しいという言葉を聞きいた飼葉は
   「確かに急にこんなことを言われても困るのは当然だと同意した飼葉は
   返事はそれほど急がなくてもいい、考えがまとまったらいつでも来てくれ」と告げた。

   家に帰った後、今日の出来事について結奈は考えていた。
   そこへ香澄から電話がかかってくる。
   八犬伝について、家族の話、そして励まし…。
   香澄との会話は、結奈にある決断を下させた。

   (私のこと、必要とする人がいて、支えてくれる友達もいる。
   生まれ変わりとか、前世とか、関係ない。困っている人を助ける、それでいいじゃない。
   明日、飼葉先輩のところに行こう。)

   次の日の放課後、協力を承諾をしに来た結奈に飼葉は礼を言う。

   「ありがとう。でも、危険は承知の上なのかい?」

   「もちろんです。けど、なにかわからないで狙われるのもすっきりしないし
   私にできることがあるのなら、お手伝いします」

   「君は強い子だな。正直、お姫様の生まれ変わりだから
   もっと気の弱い子を想像してたんだけど、いい意味で想像を裏切られた。
   これからなにが起こるか分からないし、命の危険もあると思う。
   僕は、八犬士のひとりとして、この身をかけて君を守るよ。」

   結奈が大変な目にあってるのに知らん顔できない、私も協力しますと言い張る香澄を交えて
   今後の行動について話し合うことにする三人。
   敵の正体も出方も分からない今、とりあえずは八犬士集めに専念するに決まる。

   飼葉が言うには、最近学園で起こる事件は、業羅によって引き起こされることはほぼ間違いなく
   結奈を狙っている何者かが業羅を利用していることを考えれば
   事件の原因を調べていけば、誰かに行き着くに違いない。
   そして、八犬士も自然と事件に関わってくるんではないだろうか…

   すると、そこへまたも突然業羅が現れ、三人を襲う。

   「ここでも業羅か…。
   ひょっとしたら相手は、僕たちよりも事態をよく知っているのかもしれないな。」

   業羅を倒すが、部屋はガラスが割れめちゃくちゃになってしまう。
   入学式に続いて事件に巻き込まれたら、言い逃れができずに面倒なことになるため
   話の続きは明日にして、結奈たちはその場を後にする。


   その夜、屋上には謎の人物が立っていた。

   「あれが伏姫と、八犬士のひとり。ようやく八犬士を集める気になってくれたか。
   道化たちはすでに放たれた。あとは、踊りだすのを待つだけ……。」

224 : 名無しって呼んでいいか? : : 2006/06/21(水) 19:35:37 ID:??? [692回発言]
   ×「確かに急にこんなことを言われても困るのは当然だと同意した飼葉は
   ○「確かに急にこんなことを言われても困るのは当然だ。

   ゴメン。消すの忘れた 

231 : 転生八犬士封魔録 ◆l1l6Ur354A : : 2006/06/23(金) 19:05:55 ID:??? [692回発言]
   二章 八犬士を探せ

   結奈と香澄が登校すると、騒いでる生徒たちの姿が目に入る。
   その原因は高校生徒会主催の中高合同の水泳大会を知らせたポスターにあるらしい。
   話しかけたきたクラスメイトは、季節外れの大掛かりな水泳大会を不思議がる。

   奇妙な事件を追うと話し合ったばかりだというのに、飼葉先輩は一体何を考えてるの?
   結奈から問い詰められた飼葉は、水泳大会の目的は八犬士集めだと答える。

   「八犬士の証は君にしか見えない。つまり、君が裸を見て痣を確認するのが唯一の方法なんだ。
   だからって、事件に関わる人間を手当たりしだいに脱がせるわけにもいかないだろう?
   水泳大会なら、全員が水着になるから労することなく、この学校のほとんどの生徒の身体を確認できる。
   これで少なくとも学校内に犬士がいた場合には、対応できるんだ。」

   要するに「周りの水着姿をチェックしろ」、そういうことだった。

   最初は拒絶する結奈だが、他にいい方法も思いつかないため、渋々承諾する。
   そして痣を確認しやすくするため、結奈、それから香澄も
   大会運営側に回るということになる。

   水泳大会で痣をチェックしなければならないことでどんよりしながら、香澄と帰る途中、
   朝知り合ったばかりの上級生、江積と遭遇する二人。
   二人がこの街に引っ越してきたばかりだと知った江積は、世話好きの性格からか
   案内を申し出るが、ふと香澄を見ると彼女の表情は暗い。

   「結奈……。あっち、見て。」

   香澄が示した方向にいたのは、野犬の姿をした業羅がいた。
   しかも、必死で飼葉のところまで逃げよう二人を、なぜか江積までも追いかけくる。

   「なんで先輩までついてくるんですか!?」

   「バカ、ほっとけるか! 大体こいつら、なんでお前らを追っかけてんだよ!」

   業羅はいきなり違う方向から襲ってくるが、江積が庇ってくれてたおかげで
   結奈は難を逃れる。けれど江積は業羅に噛み付かれて制服が破れてしまう。

   だが破れた制服から露出した江積の肌を見た結奈は驚く。
   江積の脇腹には牡丹の形をした痣が浮かんでいた。

   「江積先輩が……八犬士?」

   説明してる暇がない結奈は簡単に謝ると、江積の肌を触り彼を覚醒させる。
   事情がわからないままの江積と共に業羅を倒し、ホッと息をつくと、タイミングよく飼葉が現れる。
   嫌な予感がしたので先に帰った結奈たちを追いかけてみると、江積を覚醒した所を見つけた。
   すぐに現れなかったのは、江積の力がどれくらいなのか様子見したのだという。
   そして飼葉は手短に八房と八犬士のことを江積に説明するが、あまり反応は良くない。
   江積は少し黙った後、結奈に問いかける。

   「なあ、お前は、自分が伏姫だって言われてどうだったんだ?」

   「……最初は、困りました。けれど、私のことを必要とする人がいて、その人の手助けになりたいから。
   今は生まれ変わりとか前世とか関係なく、困っている人を助けるつもりで……います。」

   結奈の飾らない答えを気に入った江積は、困ってる人を助けるってのは俺だって同じ、
   だから俺がお前を助けてやると承諾する。

   「桐沢は俺が守ってやる。文句は言わせねーからな。」

   「は、はいっ! ありがとうございます!」

232 : 転生八犬士封魔録 ◆l1l6Ur354A : : 2006/06/23(金) 19:06:45 ID:??? [692回発言]
   後日、水泳大会運営の手伝いのために生徒会室を結奈と香澄が訪れると、飼葉の他に
   風紀委員長で飼葉の幼馴染でもある矢尾がいた。彼は開催された水泳大会についての小言を始めるが
   他の生徒たちが来たため、その場から立ち去る。

   その場に集まったのは、運営を担当することができない水泳部のかわりに
   協力を申し出てくれた弓道部の代表者である高等部3年の坂下と
   同じく剣道部の代表として来た中等部2年の袴田、救護係を務める校医の村崎、
   臨時で手伝うことになった江積、結奈、香澄。
   そして主催者である飼葉を含んだ7人。

   坂下は入学したばかりで生徒会の役員でもない結奈たちが手伝うことを不思議がるが
   うまくごまかして坂下を納得させ、表向きの水泳大会運営話し合いは無事に終わる。

   一方、結奈たちだけの話し合いでは、飼葉は独自に調べた
   「水着姿を確認しやすいチェックポイントの場所」を書き記した結奈専用の資料を渡し
   それをちゃんと暗記するよう指示する。

   「まさか大会中にその資料を持ってウロウロするわけにもいかないだろう?
   それにそのデータは、万が一他人に知られたら悪用される可能性が高い。
   だから君が覚えたらすぐに処分したいんだ。」

   「がんばってね! 結奈」

   「うん、がんばる……。」

233 : 転生八犬士封魔録 ◆l1l6Ur354A : : 2006/06/23(金) 19:08:39 ID:??? [692回発言]
   いよいよやってきた、水泳大会当日。
   結奈はプールで出くわした袴田の太ももに、飼葉や江積と同じような牡丹型の痣があるのを発見するもが
   位置が位置だけに、一体どうやって切り出せばいいのかと悩む。

   そのとき、突然プールの水が渦巻きはじめ、生徒たちはパニックに陥る。
   その上、飼葉と江積、どちらの姿も見当たらないことに結奈は気づく。

   (もしかしてこれも業羅の仕業で、先輩たちは巻き込まれたの?)

   結奈は香澄に更衣室の見張りを頼み、袴田を更衣室に連れて行く。
   袴田を覚醒させるために…。

   説明もそこそこに袴田を覚醒させた結奈が再びプールに戻ってみると
   水が飼葉と江積を襲っていた。やはり今回の騒ぎは業羅の仕業なのだと結奈は考える。

   「先輩! プールサイドに誰かいます! みんな避難したはずなのに。」

   袴田の言うとおり、プールサイドにはクラスメイトの夏見あかねが突っ立っている。
   今まで事態を見ていた香澄によると、あかねが水を操って飼葉たちを襲ったという。

   「水を操るって、そんなこと……あかねちゃんが業羅だって言うの!?」

   「否定。私は業羅ではない。私は私の主のためにこの力を行使する、
   その意思を持っている。これでこの二人は戦えない。残る排除対象は、あなた。」

   普段の内気で大人しいあかねとは全く違う、機械的な喋り。
   あかねの言う「主」が今まで業羅を使って結奈を襲ってきた人物なのか。
   しかしだとしても、なぜあかねがこのような力を使えるのかまでは結奈にはわからない。
   ただひとつわかっているのは、あかねを止めようとしたら、攻撃体勢に移り襲ってきたこと。

   袴田と一緒にあかねと戦い、彼女を追いつめるが
   あかねはまたも不思議な力を使ったのかあっさりその場から消えてしまう。
   とりあえず消えたあかねは放っておき、急いで先輩たちを村崎に診てもらうことにした。
   村崎の診断によると、病院に行くほどでもなくどちらも大丈夫とのこと。
   無事だったことに安心して、話は自然に袴田が犬士だったことへと移る。

   「結奈先輩、僕、貴方を守ります。
   遠い昔からの約束なんて、とてもすてきな話じゃないですか。
   先輩方、これからもよろしくお願いします!」

   「くぁー。なんつーか恥ずかしいやつだな。でもまあ、よろしくな。」

   「よろしくね、遥平くん。」

   そんな中、飼葉だけはあることを考えていた。

   「同じ学校内に三人も犬士がいるなんて。……気になるな。」

234 : 転生八犬士封魔録 ◆l1l6Ur354A : : 2006/06/23(金) 19:09:35 ID:??? [692回発言]
   その日の夜の屋上

   「……あの、これでよろしかったのですか?
   あの場で、犬士と姫、四人とも葬ることも可能でしたが。」

   「お前は黙って命令を遂行していればいい。それが、役目だろう?」

   「申し訳ございません。」

   「今後、姫や犬士たちとの接触を絶て。そろそろ、ひとりめの道化が踊りだす頃だ。
   お前はそのサポートに回れ。後始末役はまた別に用意したからな。」

   「了解いたしました。」

235 : 転生八犬士封魔録 ◆l1l6Ur354A : : 2006/06/23(金) 19:10:08 ID:??? [692回発言]
   二章終わり。今回はここまで 
238 : 転生八犬士封魔録 ◆l1l6Ur354A : : 2006/06/25(日) 21:56:21 ID:??? [692回発言]
   三章 ~共通パート~

   水泳大会以来、あかねは学校に来なくなった。
   飼葉の話によると、あかねは自らの意思で家を出て
   警察に家出として捜索願いが届け出されたらしい。

   (誰かに操られてるのではなく、自分の意思で行動してるのかな? それとも巻き込まれただけ?)

   結奈は精神集中するために一人で剣道の稽古をするが、あかねのことが気になって練習に身が入らない。
   そこへ飼葉から「すぐに生徒会室に来て欲しい」と結奈に伝えるよう頼まれた香澄がやってくる。
   香澄と一緒に生徒会室に行くと、飼葉だけでなく江積と袴田も待っており
   この間の事件について話し合いが始まる。

   水泳大会の事件は排水機械の故障による事故ということで処理されることや
   あかねは依然として行方不明なことを飼葉が報告し終わると、
   話題は八犬士が瀧田学園で三人も見つかったことへと移る。

   袴田は伏姫である結奈が学園に来たから、八犬士も周りから選ばれたのではないかと言うが
   飼葉が八犬士は生まれたときから決まっているようだからそれはないと否定する。
   そもそも結奈が瀧田学園の入学を決めたのも、奨学金制度があったからに過ぎない。
   それにあかねのこともある。

   偶然にしては出来すぎてる以上、学園で何かが起こってると考えるのが自然だが
   これ以上話し合っても結論は出ないため、この件は一旦保留となり、
   八犬士集めのため学園で起こっている妙な噂や事件を追うことになった。














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最終更新:2011年05月15日 01:44