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孤島。
スマートブレイン本社が、衛宮の人間の家が、ポケモン達の休息所がある島。
殺人者キラを捜査するための警察施設、見滝原中学校、飛行戦艦の発着場も存在している。
雑種多様な、同一世界にあるはずのない要素が入り混じった空間。

参加者達の記憶、知識から継ぎ接ぎのように作られた島。
継ぎ接ぎであるがゆえに安定させるための多数の要素が会場には備えられていた。
例えば孤島であるポケモン城の奥、ナイトオブラウンズや古代種の巨大オルフェノクが守る先に隠された時空神の眷属の珠。
柳洞寺の奥に隠された聖杯戦争の管理システムたる魔術炉心、大聖杯。
他にも複数の施設に小分けにされた制御装置が潜まされていた。

しかし、小分けにされた制御装置は参加者の戦闘に巻き込まれた会場施設の破壊に巻き込まれ、また最終的にはランスロットsiNのフレームコートの一撃によって大多数が破壊。
大聖杯はそこに携えられた魔力によって生み出された使い魔も敗れ、イリヤスフィールの約束された勝利の剣によって崩壊。
ポケモン城の奥にある白金珠、白珠も城に潜り込んだポケモン達の奮戦により奪取。

ポケモン城の出来事が最後となるだろう。
スザク、イリヤがマリアンヌと、桜、まどかがほむらと戦っている頃に最後の鍵が開いた形となる。

空間に走った亀裂が大きくなり、会場の形が維持できなくなっていく。
海辺の水は消滅していき、亀裂の中に荒れた陸地がこぼれ落ちていく。

ポケモン城に残った最後の守り手、凶獣エラスモテリウムオルフェノクの咆哮が響き渡った時。
崩れた会場の中にいたまだ命を持った者たちは、会場とは別の空間にあった場所に集まっていった。




「何、この鳴き声!?」

後ろに下がりながら周囲の風景が切り替わっていること、耳に届く巨大な鳴き声に意識を向けるイリヤ。
一見隙だらけとなってしまうが、相対していたマリアンヌもまた、その様子に気を取られていた。

周囲は無のように真っ暗な、地平の先も見えない場所なのに自分たちの姿はしっかり見える。
ある方向には、巨大な花びらを連想する巨大なオブジェが存在し、その近くでは暗い影や光が飛び交っているのが見える。
そして鳴き声の聞こえた方向に目を向けると、ランスロットの機体全長以上に巨大な怪物が、ポケモン達と戦っている。

「あの珠が取られたってことは…、へぇ、あのポケモン達、ビスマルクに勝ったのね。
 なかなか頑張ったじゃない」

感心する声を漏らすマリアンヌ。
ビスマルク・ヴァルトシュタイン。ナイト・オブ・ワンの名を冠した騎士であり、ラウンズ達の中では最も高い技量、力量を備えた者だった。
シャルルのデッドライズで蘇らされて以降もその技量は衰えることはなく、かつてはゼロとも拳を交えた騎士。
その技量からこの儀式に蘇らされてからはエラスモテリウムオルフェノクの管理と弩級ナイトメアフレーム、エクウスを扱うことを任されていた。
知性を持たないエラスモテリウムオルフェノクはともかく、彼を倒さずに金剛珠、白珠を奪取することは不可能だろう。

スザクやゼロのような参加者であればいざ知らず、ポケモン達にとっては荷が重い相手だとも思っていたが。

(そういえば、アクロマがキュゥべえに言っていたわね。今を生きようとする命は、参加者だろうとポケモンだろうと違いはないって)

思い返すのはキュゥべえとアクロマの会話。どういった流れだったかは思い出せないが、ポケモンを支給品として扱うことを徹底しようとするキュゥべえとの会話の中で出てきた言葉だったと思う。
図らずもその言葉が正しいことが証明されたわけだ。

しかし、まだ終わってはいない。
ポケモン、そしてそれを操る参加者にとって最後の壁として残った怪物がいる。

(そして、私も)

剣を振り抜く。
神速の一撃、そこいらの騎士であればいざ知らず、騎士王の直感と経験を身にした者に受けられないものではない。
イリヤの五感が殺気を感じ取り、打ち込まれた剣を受け止める。

トリスタンもまたランスロットとの距離を離されすぎない程度に張り付いてハーケンと剣の乱舞でスザクを翻弄している。

「余所見をしている暇はあるのかしら」
「っ…」


目の前に剣を押し付けられた状態。
抗うイリヤは剣に風を纏う。迫ったマリアンヌを吹き飛ばして攻めに転じるためだ。
しかしそんな目論見は届かず、剣から風が拭き上げた瞬間大きく飛び上がったマリアンヌからの上段斬りに翻弄される。
辛うじて避けたイリヤの背に冷や汗が流れる。

ルビーも何かアドバイスをしようとしているが、相手の技量ゆえに下手な口出しは逆効果になることが分かってしまい口を噤んでいる。

(考えろ、何か、絶対に突破口があるはず…)

踏み込み突き出してきた剣。これはこちらが避けることを前提とした一撃、本命はその後の追撃。
しかしそこが本当の決め手となるか先に体術を使った体制崩しが入るか。
その体勢からは足を使った体術は不可能。もう一方の手に握られた剣がその後に来る。
だとするとその剣を受け流して返す刃で切り伏せる。

瞬時に脳内でそのシミュレートを行うイリヤ。
しかし。

剣を振るい受け止め。その後の追撃の剣を警戒したところで、その手には剣が握られていなかった。
至近距離、刃の奥まで潜り込んだアーニャはその距離で拳での掌打を放って意識と体勢を揺るがし。
さらに手放して地面に突き立てた剣を軸に遠心力をかけて回し蹴りを放ちこちらの姿勢を大きく崩させる。

対応できない。
そう感じたイリヤは瞬時に生き残るための行動方針に切り替える。
剣に纏った風王結界の風圧でアーニャの前進を阻みつつ一気に後ろへと距離を取る。

(ダメだ…、攻撃が読めない…)

剣技はカードを通した経験が身に宿っている。それを振るう身体能力も今は充分にある。
しかしそれを活かすだけの己自身の経験が欠けていた。
初めて戦う相手、剣技だけで圧倒できぬ高技量の敵に対して、剣技をもって如何に倒すかどうか。相手の手に対してどの札を切るべきなのか。

(…もっとよく見て、もっとよく考えて―――)

――剣は考えて振るものではありません。

ふと、どこからかそんな声が聞こえた気がした。

――考えるのではなく、ただ相手の動きをよく見て、そこから己の直感を信じて剣を振るのです。
  私の力を宿したその身であれば、あとはあなた自身の直感が勝利への手を導き出せるはずです。

(考えるんじゃなくて、自分の直感を信じて……)

一呼吸置いて、肩の力を抜くイリヤ。それでいて決して相手から目を離すことはなく。


そんなイリヤの様子に、どこか空気が変わったようなものを感じ取ったマリアンヌ。

(これは…そろそろ決めないとまずいかしら)

手を抜いてきたつもりはなかったが、本気で刺しにいってもいなかったかもしれない。
だがこれ以上時間をかけるのもまずい。
隣で動かしているトリスタンも枢木スザクに対して有効打といえる攻め手は打ち込めていない現状だ。

幾度も踏み込んでは手を止めて、を繰り返していたのも相手を警戒してのことだった。
長く打ち込み続けると手元を狂わせる確率が僅かに表出する。並の相手なら気にすることはないが、騎士王相手では危険だった。
英霊としての超常的な身体能力も厄介だった。普通の人間であればこれまでの斬り合いの中で6回は刻んでいると思う。それが未だに生きているのはその膂力と耐久力あってのものだ。

だが、そろそろ決める時だろう。

意志を固めたマリアンヌは、これまで通りにイリヤに向けて踏み込む。
小振りの剣を幾度も打ち込み、時折体術を混ぜて攻め続ける。

素早く、フェイントも混ざった攻撃に翻弄されていた今までに比べて、一つ一つを的確に受け止め続けるイリヤ。
致命打になる一撃は剣で受け、そうでなければ流すかその体で受けて対応する。

それでも生まれる僅かな隙の中に、差し込むように大ぶりの一撃を叩き込む。
剣で受けられたところに更にもう一方の剣で突きを放つ。
二刀の特性を生かしての、的確な動き。

それを、目の前の騎士王は受けきった。
受けたこと自体を驚きはしない。この程度はできて当然だろう。

(動きに無駄が消えている…)

ただ、これまでにあった、受けてからの反撃に転じる際にあった僅かな隙がその剣筋から消えていた。
受けた剣を、梃子のように大ぶりの剣で弾き飛ばす。
マリアンヌの手元から弾かれる剣。

こちらの武器の片方が抜け落ちたところで攻めに転じるイリヤ。
離れた場所に刺さった剣を取りに行く暇はない。残ったもう一本の剣でその剣を受け止める。

(…やっぱり、ダメね)

高速で繰り出される連撃を受け止めるたびに、剣が軋んでいるのが分かる。膂力が違いすぎるのだ。
だから真っ向から受けなければならない状況に陥らぬよう、適宜イリヤの隙を突く形で攻めていたはずだったのだが、逆にこちらの手をこじ開けられてしまった。

「はあああああああっ!!」

もはやこちらから隙は作れない。
大きく剣を振り下ろす少女の姿に、一瞬金髪の女騎士の姿が被ってみえた。

受けた衝撃で大きく後ろに下がる体。
サーヴァントの馬力を受け止め続けた剣は刃が砕け散っていた。

アーニャの視線の先には、騎士王と被った一瞬の間にまとった鎧を変えたイリヤの姿があった。
白を基調としたドレスから、銀の鎧と体を覆うようなマントをまとった姿。

「…姫騎士から騎士王に、その心を変えたわけね」
「あなたがどんな思いで戦ってるのか、何をしたくて戦ってるのかは分からないけど。
 私達も負けるわけにはいかない、負けられない。だから、前に進み続けるの!」

その手の聖剣をマリアンヌに向けるイリヤ。
マリアンヌの手元の剣は刃が割れており、弾かれたもう一本は少し逸れた位置の地面に突き刺さっている。
いくらマリアンヌの技量があっても素手で騎士王と戦うなど正気の沙汰ではない。あれを拾いにいかねば戦えないだろう。

そう思ってイリヤは、マリアンヌがその方向に動き出せばいつでも飛び出せるように構え、マリアンヌを注視していた。

「そう。そうよね。
 でも、残念だけど―――」


と、動いたマリアンヌ。
しかしその方向は剣のある場所ではなく。
スザクのランスロットから距離を取ったトリスタンの背へと飛び乗っていた。

「騎士王相手にまともに戦おうって思えるほど、無謀じゃないのよ私も」

素早くトリスタンのコックピットへと入り込み、起動を変えてイリヤとスザクの双方に挟まれない位置へと下がり。
スザクに向けてその手に持っていた剣を投擲した。

回避して両手のMVSを振りかざして接近するランスロット。
同時にイリヤも剣を構えて前進する。
スザクの剣を受けつつ接近してきたイリヤに対しては剣が間合いに入る前に足を振るって吹き飛ばした。

「ぐっ…」

騎士王の力といえど巨体相手との間合いをどうにかできる能力はなく、スザクの剣を受けた相手ということで油断していたこともあり宙を舞う。
それでも体勢を立て直す。視線を戻すと先の足での攻撃で剣を受け損ねた様子で、攻め手に転じられぬまま後退しながらランスロットの連撃を受け止めている。

今の一撃を受けてしまったのはずっと生身相手に剣を交えていた時の感覚が抜けていなかったためだ、と意識を切り替え。
再度剣を構えたところで。

巨大な咆哮と共に地響きが横から迫ってくるのを感じ取った。

思わず横を見たイリヤ。
視線の先には顔の側面に剣を突き立てた灰色の怪物が、怒りを放つかのようにこちらに迫ってきていた。



空間が割れ、会場の風景が壊れ始めると同時。
アヴァロンに乗っていたNの周囲も変わり始めていた。

風景が虚無に侵食されていくように、アヴァロンの艦橋の景色が消えていく。

気がついた時には、ポケモン達がいる近くの場所に足を付けていた。

「…!みんな、大丈夫か?!」

生き残っていたポケモン達が振り向く。

リザードン、ゾロアーク。クローンのリザードン、サザンドラ、ポッチャマ、ピンプク。
皆自分の出現に驚いたように振り向く。その姿は戦いでのダメージ、怪我こそあれ大きな問題を持っているようには見えなかった。
景色の崩壊に巻き込まれ何かおかしなことになっていないかを心配したが何もないようで安心するN。

しかし消えた景色の中には、風景やアヴァロン、ポケモン城といった施設と共に戦って散っていったポケモン達の亡骸も含まれていた。
見ることも辛く痛々しいものだったポケモン達の変わり果てた姿、しかし存在した証すらもなくなるかのように消滅することなど望んではいなかった。

視線をそらすと、2つの巨人が剣を交えている姿が目に入る。
おそらく片方は会場の別の場所で戦っていた参加者、もう片方は自分たちが戦ったようなアカギの手下、あるいは協力者だろう。

別の場所で戦っていたものがこれほど近くにいる。つまり会場の風景と共に位置関係も崩壊している。
アヴァロンから降りたことで禁止エリアのことが気がかりだったが、おそらくは問題なくなったと思われる。

気がかりな点をいくつか脳内で解決させたところで、ピカチュウのキョダイバンライを受け麻痺で動きを止めていたエラスモテリウムオルフェノクが吠えた。
あの巨体に見合うとてつもないスタミナと生命力が状態異常から復帰させたのだろう。
よろけながらもバランスを取るように起き上がり、こちらに意識を向けた。

飛び寄ってきたクローンのリザードンがその背に乗れと自身の背中をNに向ける。
その背に乗ったと同時に、ポケモン達は一斉に散開。エラスモテリウムオルフェノクが走り出した。

統制を失ったエラスモテリウムオルフェノクはもはや何にも縛られず周囲を破壊するだけの怪物と化している。
だが敵が編隊を組んでいた先ほどと違い、今のこれには誤射に巻き込まれる味方がいない。ただこちらを殺し尽くすために暴れるだけだ。

これを前に生身で地面に立っていることは危険極まりない。しかし飛んでいたとしても相手は射出攻撃を持っている以上油断できない。
空から火炎放射や竜の波動を放つリザードンやサザンドラに対して、額から撃ち出した巨大な針が飛来する。
避け続ける中で、サトシのリザードンが大きく吠えながら接近する。
ピカチュウやニャースといった仲間を失ってきた悲しみをぶつけるように、その巨体に迫り抑え込む。

高熱を放ちながら迫ってきた敵に意識を向けるエラスモテリウムオルフェノク。
角を突き出して突撃するエラスモテリウムオルフェノクに対し、リザードンは角の先から体を反らしつつ体に取り付く。
しかし巨体を抑え込むことはできず逆に押し込まれてしまう。

翼を広げ空中で踏み耐えるリザードン、その足元でポッチャマやゾロアークが、空中からサザンドラとNの乗ったリザードンが遠距離からその動きを留めるように攻撃を行う。
足を止め反撃のため首を動かそうとするも、リザードンが抑え込んでいることで針の射出口をポケモン達に向けることができない。
力を入れて頭部を抑えるリザードン。

「グォォォォォォォォ!!!」

激情の雄叫びを上げるリザードン。
やがてその尻尾の炎が青白い色へと変化していき。
青い炎を体から放出しながら、抑え込んでいた頭部に思い切り拳を叩き付けた。

悲鳴のような鳴き声を上げながら頭を反らすエラスモテリウムオルフェノク。
動きが止まった一瞬を見て、リザードンは更に前進に青い炎をまとってその顔面へと突撃をかける。
高熱と突撃の勢いでその巨体が後退する。

青い炎が収まった時、リザードンの体は炎を思わせるオレンジがかった赤から、黒い体に青い炎を纏った姿へと変化していた。

仲間を奪ったもの達への強い激情、そしてより強い力の渇望。それがリザードンの姿をメガリザードンXへと変化させた。

「リザードン!!」

Nにしてみれば得体のしれない変化。不安を感じ呼びかける。
リザードンは振り返り、大丈夫だと答えた。意識を奪われ暴走しているといった様子がないことに安堵するN。

ピンプクとポッチャマを乗せたサザンドラはNの指示で距離を取る。ここから先は自分と2匹のリザードンで抑えると。

その角を振り回して、目の前を浮遊するリザードンに再度突撃をかけようとしたエラスモテリウムオルフェノク。

次の瞬間、エラスモテリウムオルフェノクの頭部側面に、Nの意識してなかった方角から飛来した一本の剣が突き立った。
リザードンにとってもNたちにとっても、エラスモテリウムオルフェノクにとっても不意の攻撃。

不意打ちされたことで怒りをかった様子で、エラスモテリウムオルフェノクはそのまま剣が飛来した方向、巨人2人、ランスロットとトリスタンが剣を交えている方へと吠えながら直進していた。


突撃を避けるイリヤ。
しかし突撃はその先のランスロットとトリスタンの元に辿り着くまで止まることなく。
予めその姿を見ていたトリスタンが大きく後ろに跳び、ランスロットが避けきれず突撃の衝撃で吹き飛ばされる。

エラスモテリウムオルフェノクに急接近したトリスタンは、その頭部に刺さっていた剣を引き抜く。
痛みで吠え、怒りを周囲に振りまく。

「両方は相手にできないものね。だから片方の子にはそれと遊んでいてもらうわ」

言いながらマリアンヌはエラスモテリウムオルフェノクの気がイリヤの方に向くよう音を鳴らして刺激し。
自身はランスロットに向けて剣を押し込み、その巨体の意識から逃れられる場所まで動き始めた。

「っ、スザクさん!!」
「こっちは大丈夫だ!片付けたらすぐに合流する!!」

咄嗟に出た言葉。
スザク自身相手がすぐに片付けられる相手ではないと分かっていたはずなのに。あるいは戦いの中でこちらに気を取られぬように気遣ったのかもしれない。

ただ、マリアンヌと剣を交えたからこそイリヤも同じことは感じていた。こちらを意識しながら戦って勝てる相手ではないと。
エラスモテリウムオルフェノクの噛み付きと振り下ろされた腕を避けながら、スザクに向けて大声で叫んでいた。

「スザクさん!!死なないで、絶対に”生きて”ください!!」

どうしても、嫌な予感が抜けなかったから。
それでもただ言葉を伝えるしか現状でできることがなかったから。

その気持ちを拭うため、イリヤはそう叫んで、エラスモテリウムオルフェノクへと向き合った。




スザクは意識の中で感覚が鋭く研ぎ澄まされていくのを感じた。
ただイリヤはこちらを心配しての言葉を伝えたというだけだろう。
それでも、その言葉はスザクの生存本能を、己にかけられた呪縛を引き出させた。


「生きろ、か。そうだな、こんなところで負けている場合じゃないからな」

目の前で体勢を直し剣を構えるトリスタン。
その姿を見据えながら、スザクの瞳に赤い光が宿った。

「俺は、生きる!!」

手に構えた剣を振るってトリスタンの元へと迫り。
互いの武器がぶつかり合って火花を散らした。


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