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『誓い』

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匿名ユーザー

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「でね、そっちもいいけど聖だからこそこっちがいいと思うんだ。」
目の前で私、六道聖の最愛の人である彼が言う。といってもこの”六道”という名字とももうすぐお別れなのだが。
「そうか? 寺に生まれた私には無縁のものだと思っていたが。」
テーブルの向かいの席でカタログを眺める彼を見て微笑む。
「聖の着物姿はそれはもう暴力的なほど似合ってるけどさ、生涯に一度のことだしさ思い切ってこっちがいいんじゃないかな?」
ここまで来れば察しのいい人は私と彼が何について話しているのか分かっただろう。
そう、私と彼は今年のオフシーズンに結婚するのだ。
私が球団に入団して3年、彼はチームを引っ張るエースとなり、私も正捕手として彼の球を受けている。
「確かに、憧れはあるぞ。・・・その”うぇでぃんぐどれす”というやつにはな。」
「でしょ?! うん、決まり! 式は派手なものより親族と仲のいい友人、それから恩人だけでやりたいんだけど。」
彼がカタログの1ページを指差し、私を見ながらたずねてくる。
「あぁ、私もそれがいい。何より私たちらしいだろう?」


『誓い』


「じゃあ誰を呼ぼうか? とりあえず僕たちの共通の知り合いのチームメイトや神楽坂グループの人たちだよね。」
「うむ。男前田監督やCEOには世話になったからな。」
「僕はあとは社会人野球時代の友人くらいかな。聖は他に呼びたい人いる?」
「あぁ、みずきと白川先輩だな。」
そこで彼が驚いた様子で私を見る。

「あのみずき選手と白川選手?」
「そうだ、私の高校時代のチームメイトだ。」
私の高校時代、聖タチバナ学園野球部に所属していたころのチームメイトの中でこの二人は私の中で特別な存在だった。
「へぇ~あの二人とチームメイトだったんだ・・・すごいねぇ。」
彼が素直に感心している。確かに無理も無い話だ。
みずきは初の女性プロ野球選手である早川あおい選手に負けない結果を残し、女性選手の可能性をつないだ。
そして白川先輩はかつての野球への純粋な情熱を失わずチームを引っ張り続ける球界屈指の名捕手であり、
私の尊敬に値する数少ない人物の一人でもある。ちなみにみずきの旦那である。
私とみずきや先輩との年齢は1歳しか変わらないが
この二人は高校卒業と同時にプロの世界に入った。いわば経験値が私や彼よりはるかに上だ。
「う~ん、意外とゲストが豪華だぞ・・・」
彼が苦笑する。まだ全員が来てくれると決まったわけではないが確かにそうだ。
カタログに書いてある式場やドレスの値段とにらめっこをしている。
「さて、私はそろそろ買い物に行ってくるぞ。」
私が財布を手に取り、席を外そうとする。
「あ、僕も行くよ。」
といって彼もついてくることになった。


ふと思い返す、彼と出会ってからのこと。そして今年のシーズンの開幕前の彼のプロポーズのこと。
以前矢部が彼に、
「水無瀬くんと六道さんは誰にもつけ入る隙のない絆で結ばれているでやんす。」だとか言っていた。
発言者が矢部だというのが少し気に入らないが私はこの”絆”という言葉の響きがとても気に入っている。
今では正真正銘の恋人同士である私たちだが彼がまだ神楽坂にいたころはまさにこの言葉が一番ふさわしかっただろうと思う。
友情とはまた違う純粋な信頼関係だ。
今まで人知れず交際を続けてきた私たちだが、いよいよ運命の瞬間とも言うべき時が来た。

昨年のオフシーズンのことだ、ある日彼が真剣は面立ちで私にたずねてきた。
「ねぇ聖、大事な話があるんだ。」
「・・・なんだ?」

俗に言うデートの最中だった私たち、彼がこの話を振ったのは奇しくもあの公園だった。
私たちにとってあの公園はいつの間にか特別な意味を持つようになっていた。
それが意識的なものかそれとも無意識的なものなのかは分からない。
でも大切な言葉や約束を交わすのは決まってこの公園だったのだ。

「僕と、一緒に暮らして欲しい。」

断る理由などどこにも存在しなかった。私は満面の笑みを浮かべてこれを快諾したと思う。
式を次のオフシーズンに約束し、いつの日かのように口付けを交わす。
このときは尾行に気を使った。大丈夫、目撃者は0だ。

「聖、僕は・・・いや、なんでもない。」
なんとも嫌な話の切り方だ、場の空気がなおさらもどかしさに拍車をかける。
「そう言われて気にならない人はいないぞ。」
「いや、いいんだ忘れてくれ。それよりもこれから改めてよろしく。」
といった具合に上手くはぐらかされてしまった。



それから彼との同棲生活が始まった。同棲すると相手の本性が垣間見えるというが彼は変わらず優しかった。
他愛のない話もしたし、例のスライダーの話もしたし、彼が登板した日はデータをよく一緒に研究したものだ。
疲れていても彼のためにスタミナのつく料理をたくさん作った。
そしてそんな日常の出来事があるたびに私は感じる。やはり私は今幸せだ、彼以外は考えられないと。
一回冗談でこんなことを言ったことがある。確かプロポーズされてまだ日が浅かった頃だ。
アルコールに勢いをまかせたからか、後半の記憶が非常にあいまいだが。
飲酒は普段しないが彼と一緒にチームメイトの結婚式に呼ばれた際、つい飲んでしまったのだ。
そして家についたときのことだ。

「浮気なんてしたら、承知しない・・・ぞ?」
ふふ、と少し意地悪く言ってみる。彼だから言える軽い冗談のつもりだった。
・・・いやもちろん浮気は許さないし第一彼がそんなことするはずないと信じているが。
彼はこの言葉に目をパチクリさせ、何故か顔を紅潮させて
「まさか、そんなことするくらいなら僕は野球を辞める! ・・・はは、でも参ったな。」
絶対の決意の宿った強いまなざしに急に戸惑いの色が見える。頭をぽりぽりとかいている。
私が不思議そうに首を傾げる。
「お酒飲んだからかもしれないけど、今の聖すごい色っぽかった。」
「え? あ、あぁう、うん・・・?」
完全に予想外の言葉に、言葉にならない声を発することしか出来なくなってしまう。
「あーっ! もうっ!!」
急に大きな声を出され、思わずびくっと身を引いてしまう。
しかし私は次に何かアクションを起こす前に身動きが取れなくなった。
・・・彼に、抱きしめられたから。
「ど、どうしたんだ?」
「もう聖と付き合って随分経つのにいちいち可愛いから自制するのが大変なんだよ! っていうか今回は無理。」
そう言われ、彼と深い口付けをして・・・そこからは覚えていない、ということにしておいてくれ、頼む。



そして、式当日。招待状を送ったほとんどの人が式に来てくれた。
CEOは流石に多忙だったためにこれなかったが代わりに秘書の日和さんが来た。
彼女にも私は色々と世話になった、あとで挨拶に行くとしよう。

「やっほー聖! 久しぶり! 元気にしてた・・ってねぇダーリンはやく! こっち!」
ドレスに身をつつんだ私のもとに来たのは今も昔も元気なみずき。ころころと表情が変わる様は相変わらずだ。
というか本気で先輩のことをダーリンと呼んでいるのか・・・少ししてスーツを着た男性が入ってくる。
「久しぶりだね。」
「お久しぶり、だぞ白川先輩。」
「私たち3人が揃うのは高校以来よね、懐かしいわね。」
「そうだな。」

「それにしても聖といえば着物だったけど、すっごいきれいよ聖。」
まぶしいほどの笑顔でみずきが言う。そういってくれると嬉しい。
「うん似合ってるよ。全然関係ないけど誕生日会のこと思い出しちゃったよ。」
先輩もみずきにつられてか、笑顔になる。・・・懐かしいな。

「さて、じゃあそろそろ行くわ、旦那さんを待たせちゃってるみたいだし、またあとでね聖!」
「式場で会おう。」
二人がその場を去り、入れ替わりで彼が入ってくる。
いつも柔らかい落ち着いた空気をまとう彼だが流石に今日ばかりは少し緊張しているようだ。
白のタキシードをまとった彼はいつもとは違う雰囲気をかもし出していた。
「すまない、気を使わせてしまったな。」
「・・・・・・・・・」
私をみつめたまま黙ったままの彼、一体どうしたというのだ。
「あっ! いや、ごめんみとれてた・・・」
顔を赤くして彼が言う。私まで顔が赤くなってきたのが分かった。
「色々言いたいことはあるが、それは式のときにな。」
「うん。行こう聖。」


「ねぇ、あそこの教会見て。結婚式やってるみたいだよ。」
教会の外、一人の女性がそばにいる男性に言う。
「あぁ、そうみたいだな。おっ新郎新婦が出てきたな、ちょっと見てみるか?」
「うん。」


誓いの儀式が終わり、教会の扉が開かれ、彼とともにゆっくりと歩いていく。
この結婚式にかけつけてくれた人たちが惜しみない拍手で私たちを祝福してくれている。
「聖。」
彼に耳元で囁かれ、彼のほうを見る。
「あのとき、公園で僕が言うのをやめた言葉。ここで言うべきだと思ったから。」
私は何もいわずに彼の言葉を待った。
「聖、僕は――――――――。」
彼が微笑む。視界がぼやけて見えなくなる。ああ私は泣いているのか。嬉し涙はこれで何回目かな。
そのほとんどが彼のおかげで流されたものだ。
ちなみに彼が私になんて囁いたかは教えるつもりはない。ヒントをあえて与えるなら彼は私に誓いを立てた。
といってもこれは皆さんのご想像にお任せするとしよう。
「ありがとう。」
私はこれだけ言って彼の手をとりなおし、ゆっくりと進んでいく。


「ふふ、幸せそうだね。」
女性が微笑む。
「あぁ、彼らは大丈夫だろうな、生涯を通して良きパートナーとしてやっていけるだろう。」
「お、キミが断定するなんてね。どうしてそう思うの?」
「俺の勘だ。」
すっぱりと言い切る男に女性は軽くためいきをつき
「だからどっからその根拠がくるかなぁ・・・キミの勘は恐ろしいほど的中するからさ。」
女性がくすくすと笑う。
「さぁな。お、ブーケトスが始まるみたいだぞ?」


ブーケトス、新婦が投げたブーケを手にした人は幸せになれるそうだ。
「いっそランナーを刺すみたいに思いっきり投げたら?」
そばの彼がからから笑う。
「馬鹿を言うな。」
私は微笑み、目を閉じてブーケを一応言っておくがちゃんと下手投げで投げた。
目をあけると我先にとブーケを狙う人たち、・・・みずき、お前はもう結婚しているだろう?
そばの彼と目の前の光景に微笑みあう。ああこういうささいな瞬間がたまらなく幸せなんだ。


「あらら・・・。」
男が笑っている。
「・・・ボクもう結婚してるんだけどなぁ。」
困ったような照れくさいような表情で男に笑いかける女性。
流麗な緑髪が風でたなびく。その手には新婦が投げたブーケが。
「あーーーーーーっ!! あおい先輩!!!」
半径数百メートルに響き渡るくらいのみずきの声が響く。となりの白川が耳を抑えて卒倒しそうになっている。
「もう引退したのに・・・みずき、久しぶりだね。」
女性ことあおいがみずきに笑いかける。
「どうしてここに?」
みずきの問いに答えたのはあおいではなく、となりの男だった。
「単なる偶然だ。だが思ったより知ってる顔が多いみたいだな。」
「え? あ!! 小波選手!?」
みずきがまた大声で言う。


「ゲストが豪華だとは思ってたけど、思わぬスペシャルゲストが来たみたいだね。偶然とはいえさ。」
彼が驚いた様子で言う。野球界だけに限定して言えば違いないと思う。
あおい選手、もはや説明不要の女性プロ野球選手第1号だ。全ての女性選手の尊敬の対象といえるだろう。
もう引退をして結構な年数が経つが未だに彼女に憧れプロを目指す選手がいるくらいだ。
彼女が野球界に与えた影響はすさまじいものがあるだろう。
そして小波選手、歴代のOBが残した数々の記録を塗り替えた球界一といっても過言ではない大打者。
高校時代の恋々高校奇跡の春夏連覇もそうだがあおい選手がプロの世界に名を残せているのは
彼とそのチームメイトたちの必死の署名活動の賜物だろう。
この二人も私が尊敬する人物たちだ。
かつての日本シリーズでの猪狩守選手と小波選手の戦いはそれはそれはすさまじい白熱ぶりだった。
私も感動のような、驚嘆のような思いで二人を見る。
あの小波選手も署名活動のために走り回ったときがあったんだな。
そばの彼と小波選手を見て私はとても温かい気持ちになった。

「挨拶しに行こうよ、偶然とはいえ折角来てもらったんだし。」
「あぁ。」


「こんにちはそしておめでとう、直接お話しするのは初めてね? 活躍はいつもテレビで見てるよ。水無瀬くん、六道さん。」
「ありがとうございます。偶然とはいえ、お会いできて光栄です。」
彼があおいさんと挨拶を交わす、私もそれに返答しつつ私はそばにいた小波選手に挨拶をする。
小波選手とはオールスターのときに会ったきりだ、私のささやき戦術をものともせず、彼のスライダーを打ち砕いた選手。
初見で打たれたのは小波選手が今のところ最初で最後だ。
「おめでとう。これからも選手としても一人の人間としても仲良くな。」
普通の、決まり文句のような挨拶だったのに私は頭を下げて礼をせずにはいられなかった。
私たちの未来さえも見据えてる気がしてしまう強い眼差しを見て私は小波選手の人としての器の大きさを感じた。
「はい。・・・ありがとうございます。」

ふと彼のほうをみる。私と同様に頭を下げてあおいさんに礼を述べているようだった。
彼も私が小波選手から感じたものに近いものを感じたに違いない。そう思えた。
挨拶もそこそこに私たちは二人に別れを告げ、みんなが待つほうへ向かった。

ここから先、何があるかは分からないけど大丈夫。
私には彼がいる。彼には私がいるから。
私はそばを歩く彼をいったん呼びとめ、軽く口付けをした。

死ぬまであなたを愛すことを誓うから・・・ね。

おしまい

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