実況パワフルプロ野球シリーズ@2chエロパロ板まとめwiki

無題(part11 109-116)

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
高校三年、最後の夏
夢の甲子園まであと一歩の地区大会決勝
相手は名門あかつき高校だ

「ごめん…ごめんねみんな……」

謝りながら泣いているのはチームメイトの早川あおい
泣いている理由は先程の回で失点してしまったからだ

――先程の回7回表、あかつきの4番に先制ソロホームランを打たれた
0対0の均衡から一変して0対1
最終回まであと三回しかない攻撃チャンスで、あかつきのエース猪狩 守から2点を奪わなければならない

「泣くなよ早川」

「そうでやんす!まだ試合は終わってないでやんす!」

泣いている早川に声をかけるが、涙は止まらない
スリーアウト、チェンジ!
と主審が告げ、試合は8回表へ
戦意喪失した早川の代わりに俺はマウンドに向かった

「先輩」

今年入った一年の捕手
こいつが入ったおかげで俺は投手に復帰できた

「僕、絶対捕るんで。思いっきり投げて下さい!」

いつも俺が本気で投げると捕れなかったこいつ
でも何故か今なら捕ってくれる気がした

「分かった。頼むぜ?」

「はい!」

公式戦で投げるのはいついらいだろうな…
そんなことを考えながら足場をつくる
一人目は・


一人目は相手の6番打者
振りかぶって一球目、内角高めのストレート
ストライク!
主審の声が響く
相手は目が追いつかないみたいだ
それもそのはず、今の俺の球は150km/h
早川のストレートが最速130km/hとしたら約20km/hも差がある
その後もストレートで押し、最後は決め球スライダーで空振りにとった

「ふう…」

久しぶりにしては上々の立ち上がりだ
息をついてグローブをつけていない方の手――左手でボールを握る
「(さあ、次も決めるぜ)」

8回は三者連続三振で切って抑えた



8回裏、恋恋高校の攻撃
先頭打者は7番
ここいらで点を取りたい

「早川、まだ泣いてんのか?」

三塁側ベンチの奥で、早川はうずくまっている

「気にすんなよ。お前のせいじゃないからさ」

「っでも…ボクが、打たれて……!」

泣いている早川の頭を軽く叩く
アウト!
主審の声がした

「なぁ早川」

できるだけ優しく名前を呼ぶ

「な…に?」

「前に…言ったよな?『俺が甲子園連れていく』って」

コクリ、
早川は小さく頷いた
ツーアウト!
グランドから声が聴こえた

「今から俺が甲子園への切符、取ってきてやる。俺は…約束を守る男だからな!」

スリーアウトチェンジ!
俺は再びマウンドへ向かった




『9番ピッチャー猪狩くん』

来たな…
心の中で、そう呟いた
猪狩 守
俺と同じく超高校級と言われる投手だ
打者としても侮れない相手
一球目、外角低めのストレート
猪狩はぴくりとも動かない
判定はボール
二球目、同じコースから内に入る高速シュート
これは見逃しでストライク
カウント1-1
三球目、肩口から折り曲がるスライダー
これに当てるがファール

「(当てたか……)」

俺のスライダーを初見で当てたのは猪狩が初めて
捕手のサインに首を振り、次の球のストレート

――ギィィィン――

鋭い金属音、打球はレフトへ飛び、そのまま左へ切れた
特大のファール

「危なかった…」

新しい球を受け取り、セットポジションにつく

「(やるか…あの球)」

右手のグローブの中で今までとはまったく違う握りをする
捕手にサインを出し、五球目を投げた
ストライーク!バッターアウト!
空振り、三振
猪狩は悔しそうにベンチへ戻って行った
俺が投げたのはスローカーブ
速さは約90km/h
ストレートとの差は60km/h
当然目が追いつくはずがない
その後の二人の打者を抑え、9回表を終えた


9回裏、恋恋高校最後の攻撃
一番打者である矢部に声をかける

「矢部!絶対出ろ、返してやる!」

「がってんでやんす!」

矢部は大きく頷いてベンチを飛び出して行った

「早川、ちょっと失礼」

「ちょっ…わっ!?」

うずくまっていた早川を抱き抱え、一番前のベンチに座らせる

「泣いてないでここでしっかり見とけ」

「でも…」

「でもも何もねぇよ!いいから黙って見とけ」

――キィン――

グランドを見ればぼてぼての内野ゴロで矢部が出塁
さすがはうちの特攻隊長、俊足は伊達じゃないってか

「円谷ぁ!でかいのはいらねー。きっちり送れ」

「はい!」

俺の指示通り送りバントを決めた円谷
そしてコール

『3番、ピッチャー神谷くん』

チームメイトからの声援をうけ、グランドへ進む




「神谷くん!頼んだでやんすよ!」

「おう!」

左のバッターボックスに入り、猪狩を睨む
はっきり言って、ここで俺が点を取らないと勝ち目はない
後に控えている4番はもう疲れていて打てそうにない

「(いっちょ狙うか、サヨナラホームラン)」

猪狩の一球目、かなりノビのあるストレート
空振り
二球目、俺の決め球と同じスライダー

――キィン――

ファール

「(やべーな…もう後がない)」

一旦バッターボックスから出て息を整える
正面の三塁側ベンチに、真っ赤な目でこっちを見る早川の姿があった

「(約束、守らないとな)」

バッターボックスに入り、バットをライトスタンドへ向ける
俗に言う、ホームラン予告

「(こいつは賭けだ…!)」

挑発すれば猪狩はきっと決め球を投げてくる
そう…あのストレートを

「(絶対打つ!!)」

予想通りのかなりノビのあるストレートが、俺の胸元に飛び込んできた

――ギィィィン!!!――

快音、と一時の静寂
打球は弧を描き、ライトスタンドへ
恋恋高校側の応援席がいっそう盛り上がった


それからのことはよく覚えてない
ホームで待っていたチームメイトたちに手荒い歓迎をうけ、あかつき高校と礼をした後だ
確か矢部が祝勝会をすると言って、みんな着替えに行って……
俺はまだグランドに立っていて………

「あの…神谷くん?」

「いっ!?あれ、早川?何でここに」

「何でって…キミが連れて来たんじゃないか」

どうやら俺は無意識のうちに早川の手を握っていたらしい

「っと悪い!もしかしてずっと握ってた?」

早川は声に出す代わりに頷いた
何故か急に恥ずかしくなってきた

「ありがとう…」

「へ?」

早川の小さな呟きにクエスチョンマークを浮かべる

「ボクの失点を取り返してくれて、甲子園に行く、約束も守ってくれて……。ボクはみんなの、あしでまといだったのに………」

辛そうな顔でうつ向く早川
そんな彼女が愛しくて、俺は彼女を抱きしめた

「か、神谷くんっ!?」

早川は俺の手から逃れようともがくが、俺はもっと力をこめて強く抱きしめる

「礼を言うのは俺の方だ」

「え?」

少しだけ力を弱め、早川と目を合わせる

「あの時、早川の泣き顔見て、勝ちたいって思った。勝って…いつもみたいに笑って欲しかった」


早川の目に、新しい涙が浮かんだ

「ありがとう、神谷くん」

「泣くなよ早川…俺が泣かせたみたいじゃん」

「だって…神谷くんが」

なかなか止まらない涙を見て、俺は小さなイタズラを思いついた
もう一度早川を抱き寄せて、その瞳に軽く唇を落とした

「なっ…ななな…何を……!?」

「早川顔真っ赤ー」

「誰のせいだと思って…」

クスクスと声を殺して笑う
早川は拗ねた様に顔を背けるとそのまま言った

「だいたい、こうゆうのは好きなコにしかやっちゃいけないでしょ!勘違いする人だっている訳だし…」

「ふーん、で早川は勘違いしてくれた訳?」

「なっ……」

さっきよりも真っ赤になる早川
俺は意地の悪い顔で笑いかける

「だ、誰が神谷くんなんかに…。この女ったらし!」

「女ったらして……俺実は一途なんだけどな」

「信じられないよ!」

やれやれ、と肩をすくめる俺
早川は着替えのためにロッカールームに向かおうとするが、その肩をつかんで止めた

「何?」

軽く怒気を含む声で俺を睨みつけて来る早川


いつものへらへらした顔じゃなく、試合の時の真剣そのものの顔で早川の目を覗き込む
軽く息をついて、言葉を放つ

「好きだ、早川」

「え…?ええぇぇえぇ!?」

…かなり驚かれた

「そんなに驚かれるとへこむんだけど…」

「だって神谷くんが…!うそ…」

「うそじゃねーよ。一年のころからずっと早川が好きだった」

照れ隠しに頭を掻く

「で、返事は?できれば今すぐ聞きたいんだけど」

「え、と……ボクも神谷くんが好き、だよ…」

顔を赤らめて微笑んだ早川
そっと抱きしめて、唇が重なりそうになったその時

――おい、押すなよ!
だって見えないから…
あ、危ない!
倒れるでやんす~!?――

――ガッシャーン!!――

「よう、お前ら。俺の150km/hの餌食になる覚悟は出来てるんだろーなぁ…?」

「か、神谷くん…」

「キャプテン…これは、眼鏡にそそのかされて」

「あっ!ずるいでやんす!!」

「問答無用!!!」

その日、地方球場に3つの断末魔が木霊した…



END

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー