実況パワフルプロ野球シリーズ@2chエロパロ板まとめwiki

『ある日の思い出』

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
私は今彼と幸せに暮らしている。
同棲を始めたのは1年ほど前だが最近大きな変化があった。
おっと紹介が遅れたな、すまない。私の名は六道・・・もとい水無瀬 聖だ。
とまぁそういうことだ、今私の指には彼から贈られた指輪が光っている。
普段の日常生活では肌身離さず身につけているが野球をしているときはさすがに仕方ないので
ネックレスにして首から下げている。みずきにとっての三日月のペンダントくらい私には大切なものだ。
さて、今回は一風変わったエピソードをお届けすることになる。

『ある日の思い出』

さて、”たいむ・とらべる”という言葉は耳にしたことがあるだろうか?
そう、今自分のいる時代を越え、過去や未来に移動するという現実的にはありえない話。
なんと私は、私たちはそれを体験することとなる。
いや、正確には実際に時代を越えたわけではないのだが・・・




ある晴れた日の午前のこと。私は彼と散歩に出ていた。
予想がついていたかもしれない。あの公園でである。
私と彼は公園のベンチに腰を下ろし、会話を楽しんでいた。
「せっかくいただいたんだから行こうよ」
彼が私の目の前に二枚の紙切れをちらつかせ言う。
「もうそんなところへ行く歳でもないだろう?」
子供がいるわけでもないし、というのは心の中の言葉だ。私はまだ彼の球を受けていたい。
・・・まぁ子供が欲しくないと言えば嘘になるがな。
その紙切れを彼から取ると私はぼんやりとそれを眺めた。
みずきが結婚祝いにとくれた新しくオープンしたばかりの遊園地の一日フリーパス。
「そうかなぁ? 僕結構そういうの好きなんだけど」
彼が言う。言動は控えめだが私には分かる。こういうときは彼がなかなか退かないことを。
彼と一緒なら私はどこでもいいといいたいところだったが遊園地はな・・・いや、深い事情が人にはあるものだ。
私が悩んでいるときだった。

「へーーイ! ソコノオ2人サーーン。ソウイウコトナラ私ニ任セテクダサーーーイ!」

不意に不思議なイントネーションの男の声が公園に響き渡った。
「うわぁっ! びっくりしたぁ!!」
彼が驚きのあまりベンチから飛び上がる。私も声こそ発しなかったが彼とほぼ同じ行動をとった。
私たちが座っていたベンチの真後ろにいかにも胡散臭い白衣をまとった中年の男が立っていたのだ。
「アナタガタハーツマリ若クナリタイトイウコトデスネ!?」





不意に現れて見知らぬ夫婦に大声で話しかけるなど通報されてもおかしくない。
だがこのときは彼も私もその男の凄み(?)に負けて身動きひとつとれなかった。
しかも私たちの会話を盗聴していたらしいその男は的を得ているようで微妙にずれた発言をしている。
いや、若くなりたいとかそういう問題じゃなくてだな。
確かに野球やるなら体は若い方がいいが・・・

私は彼に意見を求めようとして彼のほうを見た・・・が彼はその場に倒れ、寝息を立てていた。
え?! ど、どうしたんだ!
う、うわ! 来るなっ!!
・・・・・・・・そこで私の意識はいったん途切れた。


「――り!! ―じり!! 起きて!」
徐々に意識が覚醒していく。私を呼び起こす声はもはや聞き飽きるほど聞いた声だが違和感を感じる。
若干・・・声のトーンが・・・高い?
ふとあたりを見回す。先ほどまでと変わらず場所は公園。ではなぜ私はこんなところで彼に起こされている?
「色々混乱しているかもしれないけど、僕の顔と自分の顔をよく見てくれる? はい鏡」
私はわけも分からず鏡を手に取り、自分を見た。
「―――――っ!!?」
そこに映っているのは私であって私ではなかった。




「なんかよくわかんないけど僕たち体が高校生くらいのときに戻っちゃったみたいなんだ」
彼が困ってるけどどうしようもないといった表情で私に言う。そんな彼の顔は初めて会ったときより幼かった。
目の前の彼と鏡に映った私の姿。思わず自分の頬をつねる。・・・痛い・・・現実か。
しかし体が若返るなんてそんなばかな。どこぞの名探偵のように元に戻れないのだけは困るぞ。
「なんか一日経てば戻るってそこに書置きがあったよ」
一安心。思ったより冷静に今の現実を受け止められている自分に驚きつつも彼を見る。
彼もそんなに危機感を覚えてはいないようだ。幸い記憶はそのまま継続しているようだし。今日は特に大事な用もない。
一日くらいなら特に問題なく過ごせるだろう。
私が思慮にふけっていると不意に彼が立ち上がり、私に手を差し伸べると言った。
「じゃ、行こうか」
「は? どこにだ?」
思わず間抜けな返事をしてしまう私。
「どこって、遊園地。聖の言ってた問題も解決したわけだし」
しまった―と口にする前に私は手を引かれ、彼に連れられて歩き出した。
遊園地デートを断る唯一の口実だった年齢的問題が解決されてしまったのだ。
そして私はここで第2の異変に気づく。
「!? なんだその格好は!?」
「分かんない。目が覚めたらこうだったんだ。ついでにその言葉、そっくり返すよ?」
「え?・・・・・っ!?」
今日の私は驚いてばかりだと思う。でも無理もないだろう? いきなり体が若返ったかと思ったら・・・
・・・いつの間にか高校時代の制服を着ていただなんて。
そう彼も私も制服姿だったのだ。どうして彼はこんなに冷静でいられるんだろう?




「うんまぁ色々と突っ込みたいところはあるだろうけど仕方ないから楽しもう?」
「そうする。これ以上考えても頭が痛くなるだけな気がしてきたからな」
遊園地の入り口にて、はたから見れば高校生のデートにしか見えないだろう。
彼がじっと私の顔をみつめている。ど、どうしたんだ? 顔に何かついているか?
「うん、高校時代からやっぱ可愛かったんだって」
「なー! も、もういいから行くぞっ!」

「よしっ! 行こう聖ちゃん」
さらに驚愕。い、今なんて言った・・・?
「いやぁせっかく体が高校生になったわけだしなんとなくだよ」
屈託のない笑顔を見せる彼。その表情は私が知ってるものより幼くて思わずドキッとする。
って何を考えているんだ私! よもや心まで高校生になったわけではないだろう?
そう言い聞かせても鼓動はますます速くなる。
・・・もういい、このわけの分からないどきどきも含めて楽しんでやることにする。
「分かった。行こう水無瀬くん」
この私の返答に彼は一瞬呆けた後に
「な~んだ案外ノリノリじゃん」
と笑顔で私の手を取ってきた。もうこの行為にはとうの昔に慣れた。
そのはずなのに私の心臓が落ち着きを取り戻すことはなかった。







さて、話したところで誰にも信じてもらえそうにないどっかの名探偵よろしくな事態に僕たちは陥ってしまった。
まぁ小学生くらいまで戻らなかっただけよかったのかな。
どうしようもなさそうなので素直に遊園地デートを楽しませてもらうことにしよう。
今回僕が遊園地をやたら推したのはひとつ、確かめたいことがあったのだ。
何を? と聞かれて偉そうに答えをのたまうことなど出来そうにない些細な疑問だ。
”聖ちゃん(!)はホラーが案外苦手なんじゃないか?”という疑問。
昔何度か映画に誘ったことがあったが何度も誘ったにも関わらず一度も誘いに乗らなかったのはホラーもののみ。
これだけで確信づけるのはどうかと思うけど気になりだしたら止まらないのですよ。
そういう魂胆で今回のみずき選手のプレゼントに便乗したんだけど・・・

「分かった。行こう水無瀬くん」

この一言にはなんかクラッと来た。
おかしい・・・昔は当たり前のように呼ばれてたのに・・・心まで高校生じゃあるまいし。何を考えてるんだ僕は!
そしていざ入場しようと彼女の手を取ったとき、自分の心拍数が異常に上昇しているのが分かった。
記憶はそのままなのに心は高校生とでも言うのか? なんとも滑稽だな。
じゃあそろそろ行くとしますか。

遊園地デートに来たならジェットコースター、お化け屋敷、観覧車あたりはもはやお約束だろう。
しかし、今回の目的はお化け屋敷なのでこれは最後のほうにとっておく。
せっかくなので観覧車も後ろのほうに回しておこう。






野球選手はオフシーズンとはいえ、平日の遊園地はそこまで人はいない。
どのアトラクションも大した待ち時間を要さずに楽しむことが出来た。
そしてやってきた本日のお楽しみ、お化け屋敷。

「次はあそこ行こうよ」

僕がそう言った瞬間彼女の表情が一瞬引きつったのを見逃さなかった。
これは僕の予想通りでいいってことですかね? 聖ちゃん。
「わ、分かった」
微妙に震えている声に萌えてしまったのは秘密だ。

お化け屋敷に入ってみると僕の疑問は確信に変わった。
道中でお化けや仕掛けに出くわすたびに握った彼女の手に力が入るのがとても可愛らしい。
手はほんのりと汗ばんでいる。ちなみに僕はこういうのは結構大丈夫なタイプだ。
お化けやギミックを軽くスルーし、目の前の女の子の観察に徹している。
自分はSではないと思っているけどこういう状況のときに少し意地悪をしたくなるのは誰にだってありえるんじゃないかな。
ここで僕が驚かせる役に回りたいけど手を握ってるうえにいつもよりくっついてくる彼女がいるのでなかなかに難しい。
単に大声を上げるのも芸がないというものだ。何かいい案はないかな。
そんなことをのんびりと考えていたら目の前の井戸らしきものから女の幽霊らしきものが飛び出してきた
「ひっ・・・!?」
必死に声を抑える彼女。同時に握る手の力が増す。って、そんなにくっつかれると動けないのですが?
「し、仕方ないだろうっ・・・!」
ギャップっていうのは怖いね、クラクラする。
ここで僕はちょっとした悪戯を思いついた。いきなり背後から大声を出すくらいありがちな方法。




「ほら、怖いなら早く行かなきゃ終わらないよ?」
「ち、ちがうっ、私は断じて怖がってなどいないっ!」
この期に及んでまだ意地を張りますか。まぁ体は素直に歩を進めることを再開したようだけど。
・・・さて、どのタイミングがいいかな。

そんなこんなでお化け屋敷に入って結構な時間が経過し、そろそろ出口じゃないかというところまで来た。
いよいよ最後といえそうなちょっと大掛かりなセットを通過し、出口らしきものが見えてきた。
彼女が小さくふぅと息をついたのを聞き逃さない。それでも握る手の力が緩まないあたりが可愛いが。
そんな完全に油断しきった彼女の耳のあたりにこっそりと顔を近づけ・・・息を吹きかけた。
「ひゃわぁっ!?」
普段は全く想像できない高い奇妙な声をあげる彼女。
全身が一瞬ピンと張り詰めたあと、一気に脱力して僕の体にもたれてくる。
「なるほどね~ホラーものが聖ちゃんの弱点か~」
わざとらしく少し大きめの声で僕は彼女に言う。
「う、うるさいっ!」
「あっはっは、可愛いよ聖ちゃん」
そういうと彼女は悔しそうにう~と言いながら僕の胸に顔をうずめてきた。
暗くてよく見えないけど顔は多分真っ赤だろう。

大の大人がちゃんづけ、くんづけで一体なんのプレイだと思うかもしれないが、
不思議なことに今はこの状態に違和感は感じなかった。



最後に私と彼は観覧車に乗って今日一日について振り返っていた。
黄昏の光が世界を茜色に染め上げる。きれいだ。
・・・まだ手が少し震えている。だから嫌だったのに・・・
でも悪くはなかったなと思えている自分がいる。
「なんか今すごく不思議な気持ちなんだ。何度もしてきたはずのデートなのに今日初めてした気がして」
彼もやはりそう感じてしたのか・・・うん。私もそう思うぞ。
「久々のちゃんづけも案外すぐに僕の中で落ち着いちゃってさ、嫌だったかな?」
「そんなことはないぞ。・・・水無瀬くん」
水無瀬くん・・・か。ひどく懐かしい響きなのになぜか一種の初々しさを感じずにはいられない。
彼はこの私の返事に少しくすぐったそうに笑った。
「あ、もうすぐてっぺんだね。・・・ちょっとありがちな話をしていいかな?」
「・・・? なんだ?」
「・・・・・・・・・」
私が許可したにもかかわらず、彼は話をしようとしない。外の観覧車が動くさまを眺めているばかりである。
そして私たちを乗せた観覧車が頂上へ達した瞬間だった。
「――――――っ」
唇に熱い感触。やっぱり不思議。これがファーストキスな気さえしてきた。
体が火照る、今日中激しく動いていた心臓はますます活発に動く。
「ぷはっ、てっぺんでキスしたカップルは幸せになれるんだってさ。ね? ありがちでしょ?」
顔を赤く染めた彼が私に笑いかける。
「・・・これ以上幸せになってどうするんだ」
大好きな野球が出来て、最高のパートナーがいる。これ以上の幸せは私にはない。
私が笑い返す。私も顔は真っ赤だと思う。
そして再び私たちは唇を重ねた―――



「いよいよ暗くなってきたし、帰ろうか。もしこの体が突発的に元に戻ったら大騒ぎだよ」
「そうだな」
私たちは観覧車を降りた後、再び手を取り合い、入り口へと歩き出した。
「はーい! そこのお二人さん! 今日の記念に一枚どう?」
もうすぐ出口というところでスタッフらしきカメラを抱えた男に私たちは呼び止められた。
「これはありがたく写らせてもらうしかないでしょ」
彼が言う。そうだな、私も同感だ。

こうして私たちは私たちが出会う以前の状態(外見的には)の写真を手に入れた。
奇妙だけど、決して悪い気はしないな。私も彼も笑顔でなかなかいい写真だと思う。
こうして高校生の私たちの一日限りのデートは幕を閉じた。

帰り道の記憶はなぜかひどく曖昧だった。もと来た道をたどり、あの公園まで来たことは覚えているのだが・・・
気がつけば私と彼は家で眠っていたのだった。外の明るさを見るともう朝のようだ。
「あれ? ・・・夢、だったのか?」
『今日ハ楽シカッタデスカ~?』
何だ今のは幻聴か?
目が覚め、鏡を見る。映っているのは紛れもなく”今”の私。服もいつの間にか戻っている。
夢だったのだろうか・・・彼はすぐそばにいるというのにひどい喪失感に襲われた私はそばにあったバッグをあさる。
そしてすぐに安心する。私は一人で微笑み、まだ眠っている彼を起こさぬように寝室を出た。

ベッドに置かれた一枚の紙には幸せそうな笑顔を浮かべた高校生カップルが写っていた。

おしまい

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー