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秘めてる想い

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 神楽坂グループ。合格率一パーセントとされており、特に野球部は名門と呼ばれていた。
 しかしこの数年で力を伸ばしてきたTOJOインターナショナルに幾度と敗北。苦汁を嘗め続けてきた。
 そして遂には神楽坂CEOの雷が落ち、この一年で結果が出なければ廃部という決断を下される。
 意気消沈する中、児波という野球青年が一人、荒く息を吐いていた。

 彼はチーム全体の火付け役となり、やる気のなかった神楽坂光彦らを目覚めさせる。
 それは徐々にチーム内に広がっていき、やがて覚醒し予選を楽に突破するまでの爆発力を生んだ。
 その勢いは全国大会にも及び、ミゾットら強豪を撃破し決勝まで辿り着いた。
 決勝こそ黒獅子重工の前に敗れ去ったものの、チームが覇気を取り戻すには十分過ぎる程。
 次こそは、と練習に励む神楽坂野球部。その次の予選が近づいてきた。



「ふぅー、今日も疲れたな……っと」
 流した汗をタオルで拭いながら一息付く児波。外のグラウンドは照明が付いて辺りはもう暗い闇に包まれている。
 更衣室の中に居る者は残り少ない。児波はかなりの時間練習に励んでいたよう。
 時間が経つのが思ったより早い、と携帯電話に表示されている時間を見て児波は思う。
 シャワーを浴びて早く帰ろう、児波がバッグに携帯に入れようとしたその時。

『夢を掴み取れ僕らの目指す未来は必ずここから続いているから〜♪』

 着信が鳴り響く。音量MAX。残っていた部員の視線が児波に集中した。
 児波は皆に一言謝り携帯を開き、着信の送り主の名前を見る。
「おっ」
 思わず声を漏らす児波。すぐに返信メールを打ち送信。足早に児波はシャワールームへと消えた。

 シャワールームから出てきた児波は急いで着替え更衣室を着替えている最中、横から馴染みのある声が聞こえた。
「何をそんなに急いでいるでやんすか?」
 視線を横にやるとそこには分厚い眼鏡を掛けた友人がいた。矢部昭雄である。
「ああ、ごめん矢部くん。急用が出来たんだ」
「そんなにさっきのメールが重要だったんでやんすか」
「まあ、ね。じゃあお先に失礼!」
「っていつの間に着替えたんでやんすかー?!」
 矢部も驚く脅威のスピードで着替えた児波は、颯爽と更衣室を後にした。

「待ち合わせはこの公園だったよな……」
 携帯に送られてきたメールには、確かにここの場所で待ち合わせという文章が送られてきていた。
 まだ来ていないようなので、児波は近くのベンチに座る事にした。
 しかし、数分待ってみたが現れる気配は無い。
 手を擦り合わせる。朝見てきた天気予報によると、今日の夜はかなり冷え込む模様。
 少し寒い、とその手に息を吹き掛けると共に、視線の上のほうから缶コーヒーが差し出されていた。
 児波は顔を上げる。そこには分厚い眼鏡を掛けた野球人がいた。
 その分厚い眼鏡を外すと、彼女はふと柔らかに微笑んだ。
「遅れてすまない、少しバタバタしていたんだ」


 秘めてる想い




「いや、全然待ってないよ」
「その割には結構寒そうにしているように見えたぞ」
「そりゃあ今日は冷え込むって聞いたから」
「む、そうなのか。……すまない、そんな日に呼び出してしまって」
 眼鏡を掛けていた野球人——六道聖は少し落ち込んだ表情を見せると否や「大丈夫大丈夫」とにこやかに笑んでみせる児波。
 缶コーヒーを受け取り、彼女をベンチの横に座らせた。
 児波は飲料を喉に流し込みほっと一息つく。吐く息は白く冷え込む夜空に消えていった。
「それにしても聖ちゃん、随分とメール打つの上達したね」
「あんな感じでいいのか?めーるなんて全然使った事なかったからな」
「うんうん、あれ位文章打てるようになったら上出来だよ」
「そうか…」
 聖は野球に関してはの知識は素晴らしいが、日常生活にとっては超がつくほどのアナログ人間だった。
 メールはおろか、パソコンや携帯電話、更にはテレビさえ殆ど見ない、情報源は新聞などなど。
 児波が初めて聖に出会い、彼女から指導を受ける際に連絡先として電話番号を聞こうとして返ってきた答えが「ボタンが多いから持ってない」ときた時は驚きを隠せなかった。
 今時持ってないほうが少ない。児波の反応は極普通。そんなその頃の事を思い出しながら苦笑する児波。
「多分俺と聖ちゃんが会ってなかったら、きっと聖ちゃん携帯もつことなかったよね」
「うむ、お前と出会ってからまた新しく学んだ事が多い。……感謝しているぞ」
 薄っすら頬を染める聖。あまり見せることのない彼女の表情に児波は照れ隠しする。
「そ、そう言えば聖ちゃん、今日は何で俺を公園に誘ったの?」
「そうだ、お前に頼みたい事があるんだ」
 聖は児波の目を見つめあう。そして訪れる沈黙。
「………」
「………」
 突然の張り詰めた空気により児波に緊張が襲い掛かる。
 沈黙の間、二人の間に夜の冷たい風が二人の間を通り過ぎて言った。
 数十秒後。沈黙を破ったのは聖の唇が動いた瞬間。
「キャッチボール、してくれないか?」
「……キャッチボール?」


 彼女が持ってきたバッグの中にはキャッチャーミット。どうやら準備は万端だったようだ。
 聖の用意周到なのは相変わらず、一度決めた事はやり遂げる。今まで児波が彼女と接してきて分かった事だ。
 簡単に肩を温めると、児波が放るとその球は聖が構えた所へ緩やかに収まる。
 幾度と繰り返すと、聖に徐々に笑みが浮かんでくるのを見て児波は疑問に思い問いかける。
「俺の顔に何か付いてる?」
「やっぱりお前の球はいいな。……他の誰でもない、お前の球が」
「何か言ったー?」
「いや、なんでもない」

 聖は言葉を濁しながらキャッチボールを続ける。
 夜は深いが、二人の頭上で光る月と、すぐ傍にある灯りによってそれほど暗くないようだ。
 乾いたミット音が二人の間で鳴り続け、もう数球繰り返すと聖は溜め込んでいた息を吐き出した。
「もうすぐ大会だよな。……本当に大丈夫なのか?」
「何が?」
「何がって……、この大会で結果を残せなければ廃部の可能性があるんだぞ!」



 聖が少し口調を強める。その力強さに児波は少し立ち往生する。
 が、次には表情を改め口から出る言葉は確信を持ったように違う。それは先程との彼とは違うように。
 児波はグローブを外し傍のベンチに置いて胸をドンと叩く。
「大丈夫。俺だって負けるつもりはないよ」
「……うむ」
「それに……」
「それに?」
「聖ちゃんのお陰だよ」
「なっ……?!」

 聖が声を出した時には、児波は彼女の手を握っていた。
 児波の手は日々の練習によってぼろぼろ。しかし非常に力強かった。
「聖ちゃんがいたからこそ今の俺がいるんだと思う。……声に出すと恥ずかしいなぁ」
「そ、そうか……ありがとう」
「それはこっちの台詞だよ。聖ちゃん、ありがとう」
「ああ。……それは分かったが、一つ聞いてほしい」
「なに?」

「手を、放してくれないか?……少し痛い」

「ご、ごめん悪気はなかったんだよ」
「分かっている、……分かっている」
 児波が手を放した次には、聖は振り向いていた。
 少し気まずくなった空気だったが、「もう大丈夫だ」と聖の一言によって戻された。
 大きく息を吐いた聖は児波から少し放れミットを構える。
「さあ、肩が冷える前に軽く投げてみないか?」
「いいの?じゃあ俺は遠慮なく投げ……!」
 聖の真正面に立った児波はマッハの速度で硬直した、先程の立ち往生とは何か違う。
 それは児波の視線の先にある。スカートの間から見える下着。
 白だ、白があった。真っ白である。
「あ、あの、聖さん」
「何だ改まって。何かあったのか?」
「……その体勢だと非常に投げづらいものがあるんですが」
 何が何だか分からない聖は自分の体勢を見直してみる。
 するとようやく気づいた様子で、少し頬を赤く染めて児波に謝る。

「……す、すまん、ズボンを穿いてくればよかったな」
「いや、俺としたら良いモノを見れたからいい。……って俺は何言っているんだ!」
 一人で突っ込む児波を他所に、聖はぶつぶつとなにやら呟いていた。



 神楽坂グループ本社からそれほど遠くない所に聖の住んでいるアパートがある。
 その彼女の部屋は非常にシンプルなものだった。
 本棚には野球関連の本がギッシリ隙間なく並べられてあった。
 あまり使われていないテレビの上はテレビ棚の上。埃は殆ど残っていない。
 決して無機質な部屋ではないが、生活に必要最低限の者しか揃っていないようだ。

 部屋に帰ってきた聖は、すぐさま風呂に浸かった。心なしかいつも以上に体に染みるようだった。
 風呂から上がった彼女はパジャマ姿ですぐにベッドに横たわる。これも心なしかいつも以上にふかふかで気持ち良い。
「………」
 あの後。児波のボールを受けたのはキャッチボール程度。帰宅時の会話も以前より少なくなって気まずかった。
 聖自身、別に怒ってなどいなかった。いつもならあっけらかんと答えていたはずだ、彼女の性格なら。
 だが違った。いつものように答えられなかった。
(何故、あの時…急に恥ずかしくなったのだろう……)

 そして今は体が熱い。風呂上がりのこともあるが違う、純粋に体が熱いのだ。
 心が熱い、どんな表現をしていいか聖自身分からない。少なくともそれは児波に手を握られてから続いている。
(何だこの気持ちは?野球をしている時とは違う……)
 思い返してみてもこのような心が熱くなった事はない。野球で心が熱くなるとはまた違った熱さ。
 起き上がって考えてみる。が、結局その熱さによって考えは遮られてしまう。
 再びベッドに横たわりころころと転がる。すると聖の口からふと言葉が漏れた。
「児波くん…、……熱いよ」

 漏らした刹那、ボッと顔が真っ赤に染まりベッドから飛び起きた。
「なっ、なーっ!何を言っているんだ私は!!何であいつの名前を口にした!?」
 恥ずかしさのあまり悶える聖。それを抑え込むのにかなりの時間を用いた。


 落ち着きを取り戻した聖は再度ベッドに転がる。しかし結局この熱さの意味が分からないまま。
(どうしたんだろうな……私らしくない)
 そう言えば先程から股間の方にも違和感があるのだ。もぞもぞしてて落ち着かない。
 聖の右手は自然と下半身に伸びていく。その動きはスカートの中のショーツに指がかかった時止まった。
 指を動かす。いくらアナログ人間の聖だが、ショーツが濡れている事が何を示すのかは知っている。
 だが分からない。何で今こんなに濡れている事が。


「……まさか」
 欲情しているか、彼に、児波に。せっかく元に戻った顔がまた赤らみを増していく。
 下半身に下ろしていた右手を唇に当てる。その指はショーツの湿り気を帯びていた。
「………」

 落ち着かない。せっかく先程落ち着いたというのに。
 聖の手は再度ショーツへ伸びていき、濡れている部分をなぞり始める。
「……ッ!」
 身体が震える。だが指の動きはゆっくりと、しかし確実に彼女に官能的な刺激を与えていく。
 プチプチと左手でパジャマのボタンを外す。その隙間から小振りの胸を優しく弾ませる。
 人差し指と中指を合わせ、ショーツの上から擦り付ける。
「ぁ…、ふぁっ……!」
 次第に甘い声を漏らし始める。ショーツにはどんどんと染みが広がっていく。
 暫くその行為が続き、遂には聖の腰が動き始める。共に無意識に両手の動きが激しくなる。
 左手は胸。乳房を弾ませながら、二本の指で突起をこね回す。
 右手は下半身。幾度繰り返すごとに上下運動は強さを増していき、指はショーツの中に侵入した。

「ッ!」
 思わず右手を引き戻し、聖の視線はその右手へ。
 指を動かしてみると、彼女の蜜の粘液が伸びて次にはぷつりと切れた。
(こ、こんな……、嘘だ……)

 もう一度右手を侵入させる。そこは彼女の思っている以上に愛液で濡れていた。
 そしてもう一つ。彼女の思っていた以上に押し寄せる興奮。膨らんだ陰核を合わせた指で擦っていく。
「あっ、や、やぁっ……!」
 あまりの気持ちよさに口から涎が出る。その事に彼女は気づいていたが、そんな事を構っている余裕はないようだ。
 指の動きは愛液と絡み滑らかに、上下に擦るスピードは絶頂に近づくたびに速くなっていく。
 勿論それは意識していないのにも関わらずだ。彼女の指が自分を求めているのだ。
「っあ!…くっ……!」
 近づいてくる快楽の頂を我慢するかのように歯を食いしばるが、中から溢れてくる痺れは彼女の思考を麻痺させる。
 ずっと胸を揉み続けていた左手は、いつの間にかベッドのシーツをギュッと握り締めていた。


「や、あっ…!だ、駄目だ……ッ!これいじょう…は……っ!」
 口でそう言うものの、その声は既に荒々しく、艶めきを帯びている。
 手の動きはやむ事を知らない、彼女を頂へ上らせるまで続いていく。
「——ッ!も、もう……っ!!」
 もう声を出すのもやっとのよう。
 腰を突き上げる。今の彼女には冷静な表情を見せるいつもの姿の微塵もない。

「……こ、こなみ……くん……っ!……っああ!!」

 絶え間無い痙攣が続き、遂に彼女は絶頂を迎えた。
 彼女の中から迸る蜜は穿いている下着を汚し、シーツをも汚していく。
 持ち上がっている腰が漸く下りた頃、聖はオーガズムの余韻に浸っていた。



「………」
 落ち着いた後、再びシャワーを浴びに浴槽へ入る聖。髪はボサボサに乱れており、とてもいつもの彼女には見えない。
 汚したショーツを脱ぎ捨てる。「洗うものが増えた」と小さい声で呟いた。
 だが今の彼女にとってそんな事はどうでもいい。
 シャワーを浴びる聖。ボサボサだった髪は水分を含みストレートに、体中に掻いた汗が流れていく。
 そんな中、聖はモヤモヤとした気持ちに包まれていた。
「私は……どうしたんだ。……児波の事が好きだというのか?」
 思い当たる節はある。自慰行為に耽っていた時、身体が熱くなった時、そして彼の手を握った時。
 それらは全て児波が関連している。今の聖には分かる。
 恐らくキャッチボールのとき、普段どおりに返答できなかったのもそのせいだろう。
 児波に見られている羞恥心が。いつもなら見せる事が無い心が。
「………」
 聖はキュッとシャワーの蛇口を閉め、タオルを握り締め浴室から姿を消した。


 翌日。空は生憎の曇り模様、いつも頭上を照らす太陽はたまに見える程度で、大体は灰色の雲で覆われている。
 10月下旬の朝は思ったより寒い。そんな中、児波は溜め息を二度付きながら神楽坂グループに出社した。
 彼にはいつもの表情は無く、いかにも何か考えているような複雑そうな顔。理由は勿論昨日の出来事。
(聖ちゃんに会うのが非常に気まずい……)
 その入った曲がり角でばったりと目が会ったのは、紫色の髪をして分厚い眼鏡を掛けた彼女。
 なんとまあバッドタイミング。
「あ……」
「………」
 まさに今考えていた相手、六道聖が目の前に立っていた。
 児波は表情を悟られないように無理やり笑顔を作って聖に話しかける。
「…お、おはよう!聖ちゃん」
「ああ」
「き、昨日はごめん!俺……」
「平気だ。気にしていない」
「そ、そう……」
「うむ。じゃあまたな」
 聖は振り向くとツカツカと向こう側へ歩いていった。
 一人残された児波。頭を抱えながら後悔する。
(ああ……、やっぱり怒っているよー……)
 どうやったら許してくれるのか。児波の悩みは膨らむばかりだった。

 一方、聖はと言うと……。
(……眼を、合わせられなかった)
 分厚い眼鏡のお陰で児波に悟られなかったが、聖自身ここまで重症だったとは思いもせず。
 聖は後方へ振り向いてみたが彼の姿はもう見えない。
(……児波、くん)
 胸が熱い、高鳴っている。胸を優しく擦る聖。
(どう考えてもこの気持ちは……)
 今まで彼と接してきた日々を思い返す。
 彼と共にする事で野球に対する情熱を取り戻し、確かに聖は彼を野球のパートナーとして最高の人だと感じていた。
 だがこの気持ちは紛れもない恋愛感情。野球のパートナーだけじゃない。
(………)
 複雑な感情のまま、聖は自分の勤務する経理部へ戻っていった。





 その日以降、二人は何かしら距離をとるようになっていた。
 いや、児波が謝ろうと聖の方に向かうのだが、聖が一方的に会おうとはしないのだ。
 児波の野球の練習にはちらほらと姿を現すが、児波が声をかけようとするとすぐに踵を返して姿を消す。
 そういう日々が幾度も続き、気が付けば地方大会決勝の日になっていた。

 決勝戦当日。太陽は天に昇り空は青空を見せる。誰がどう見ても快晴の空。
 神楽坂グループの相手、それは勿論TOJOインターナショナルだ。先発はどうやら児波ではなく神楽坂光彦のよう。
 児波は憮然とした面持ちをしながらベンチで腕を組んでいた。
 試合前、ベンチに座る児波に話しかけてきた人物がいた。対戦相手の御曹司、東條小次郎だ。
 東條は鋭い眼で児波を睨みつけながら口を開く。
「夏は負けたが今回はそうはいかんぞ児波。前回の借りをしっかりと返してやる」
「…ああ」
「……腑抜けた返事だな。試合でもそんな顔を見せる気か?」
「………」
「ふん、精々足掻くんだな。そのような覇気の無い顔じゃ俺に勝てはしないだろうが」

 東條が去っていくと共に児波は深い溜め息を吐く。悩みは拭えず、決勝戦にまで持ち込んでいた。
 彼女と話せない日々が続くにつれて、児波の曇り空のようなもやもやは増えるいっぽう。
 遂には野球や日常生活にまで影響を及ぼした。神楽坂CEOに減給されたり、男前田監督に二軍落ち一歩手前宣言されたり、腰巾にパシりをやらされたり。
 光彦や矢部にまで、「児波らしくない」と言われる始末。前の彼なら見せる事なかった姿、全てあの日を境に狂い始めのだ。
 そんなボロボロな児波がよくよく考えて出した結論。
(俺には彼女が……必要だ)
 給料日に初めてあった、野球を諦めた野球人。
 自分に投手のあり方を教えてくれた捕手。
 そしてあの日まで苦楽を共にしてくれたパートナー。

(聖ちゃん……。もう一度だけ話す機会が欲しいよ……)

 試合はTOJOインターナショナルが優勢に進めていた。
 先発の神楽坂光彦の甘く入った球を東條がスタンドに放り込む。
 途端に光彦の球が荒れだし3失点。スコアは1対3、TOJOが二点リードのまま児波が登板した。
 その児波の瞳に炎は灯っていない。奮起したあの頃の彼とはまるで違う。
 バッターボックスには東條、バットを児波へ突きつけるように前に出す。

「失望したぜ。夏に対戦した時は変わったと思っていたが、やはりこの程度のようだな」
「………」
「何か悩んでいるようだが俺には関係ない。お前を打ち砕くだけだ」
 児波の力の無い球を東條は思いっきり引っ張る。それは物凄い速度でポール横のスタンドに飛び込む。
 数センチずれていれば本塁打。東條らしいパワフルな打球だった。
「覚悟しろ、次は逃さん」
 途轍もない大きな壁が児波の前に立ちふさがる。その壁に児波は絶望する。



(……駄目だ。聖ちゃんに言われていた事が出来ない。もう…俺は)
 その時、スタンドを見渡していた児波が一瞬映った紫色の髪の毛。
 眼を凝らして眺める。間違いない、彼女がいた。
(聖ちゃん……見ていてくれたんだね。彼女が見てくれている所で無様な姿は見せなれない……っ!)

 児波はこのイニングを何とか切り抜ける。東條には内角低めいっぱいの直球で三振を決めた。
 だがベンチ裏に消える児波の眼はまだ生き返っていない。
 足りない。これだけじゃ全然満ち足りない。
(聖ちゃん…会いたいよ、話したいよ、ボールを受けてほしいよ……)
 すると児波のバッグから携帯が振動する音。どうやらバイブを消すのを忘れていたようだ。
 おもむろに携帯を取り出し開く。どうやらメールの様子だ。
 メール先は……六道聖。内容は———


「ふん、ようやく開き直ったようだな」
「………」
 神楽坂グループは打線が繋がり同点に追いついた。九回表、TOJOインターナショナルの攻撃。
 児波はランナーを四球で出し、走者が一塁。勝ち越しの場面の場面で次の打者は四番の登場。
「さて。見せてもらおうか、お前の本当の力を……。そして、本当に神楽坂が目覚める事が出来たのか……」
 東條がバッターボックスで構えると同時に、児波はグッと深く帽子を被りなおす。
「見せてみろ、神楽坂グループの児波……!!」
 児波はボールの縫い目に指を掛ける。それは六道聖と共に研究したあの球。
 もう東條を見て壁を感じることは無い。いつも通りに投げる。いや、聖に教わった通り投げる。それだけだ。
 長い腕を撓らせながらボールを投げる児波。その白球は東條のバットから逃げるように重力に負けた。


「お前…いや、お前らの力は本物だったようだな。……完敗だ」
 九回裏の攻撃で神楽坂グループは完全復活を遂げた。所謂サヨナラ勝ちだ。
 試合後。児波は背後に気配を感じ振り返ると、そこには東條が立っていた。
 開幕時とは違い、東條に威圧感はない。そこにあるのは試合を戦い終えた野球人の姿だった。
「すまない、最後まで力を出せずに」
「関係ないな。俺は全力で戦い、そして負けた。お前の力にな」
「東條……」
「…その……、なんだ……」
「?」
「……コジロー、頼む」
 その言葉と共に、いつもの東條の表情は消え柔和な面持ちの東條が現れた。
 児波はそいつのことを知っている。東條はどうやらもう一つの人格を持っているようだ。
 それは雰囲気で分かる。全く性格や面持ちが違うから、誰が見ても分かりやすい。
「また熱い勝負をしようって。どこへ行っても俺とお前はライバルだってさ」
 思わず噴出す児波に鋭い眼光が突き刺さる。どうやら人格が替わった模様。
「……何故笑う」
「何言ってんだよ、そんなの当たり前じゃないか!」
「……そうだな、そうだったな」
 児波はこちらの人格で笑う東條を初めて見たような気がした。





 そして辺りは闇に包まれる午後八時。祝賀会を早めに抜けた児波はあの公園にやってきた。
 快晴だった昼間とは違い、静けさが増して風は肌寒い。天気予報によるとどうやら夜はかなり冷えるようだ。
 傍にあるベンチに座る児波。ふぅと大量に貯めていた息を吐いた。
(何か……あの時みたいだな)
 あの時とは状況は違うけど光景は似ている。
 あの時は缶コーヒーを差し出されたんだっけ、と思い返している児波にずっと聞きなじみのあった声。
 酷く久しぶりに聞いたその声。顔を上げると、分厚い眼鏡を掛けた女の子がいる。
 眼鏡を外す彼女。一瞬だけ目を逸らしたが、再びその瞳は児波の方向へ見開いていた。
「久しぶり、……だな」
「……うん」
「隣、いいか?」
 児波は無言で頷くと、聖はスカートを掴みながらベンチに座った。
「………」
「………」
「………」
「………」
 聖が座った途端無言になる二人。非常に気まずい空気になってしまった。
 時たま身体を細かく動かす。だが視線が合うと意気消沈してしまう。
 そんな流れが数分続いたのち、聖が語り始める。
「……お前の顔が、見れなかったんだ」
「………」
「私の決意が足りなかったんだ。お前を見るとどうしても口を塞いでしまっていたんだ」
「………」
「どうして私は求めてしまうんだ……。野球に関しても……お前に関しても」
「聖ちゃん……」
 聖の眼の縁に涙がうっすらと浮かんでいる。声が涙声になりつつも、聖は言葉を続ける。
「お前は優しすぎる……、優しすぎるんだ……!」
「………」
「教えてくれ……。何故お前は私にここまで優しくするんだ……?」
 遂に聖の涙の決壊が崩壊し、大粒の雫がスカートへ染みこむ。そして児波にもたれかかる。
 児波は聖が落ち着くまで彼女の頭を優しく撫でていた。


「すまない。……ようやく落ち着いた」
「うん…」
 ようやく顔を上げた聖の眼は赤く充血している。その顔は先程の問いに答えてくれるか不安の顔。
 だが次には吹っ切れたかのような笑みがあった。
「別に今すぐ答えてくれなくても良い。今はあの時出来なかった事をやりたいからな」
 すると聖はあの時のようにバッグからキャッチャーミットを取り出した。
 そしてボールを手渡し、彼から少し離れてそこに座った。
「お前のボールを受けたい。あの球を投げてほしい、今日の最後に投げたあの球を」
「………」



 児波はベンチから立ち上がりゆっくりと離れていき、約18メートル離れた位置に立つ。
 だがそこからずっと投げない児波に聖は首を小さく捻る。
「どうした?私は早くお前の球を受けたいぞ」
「聖ちゃん!!」
 刹那、聖に向かい走る児波。
 そして彼女の目の前に立ちそして抱きつく。聖は驚いた面持ちを隠せないでいた。
「こ、児波…くん?」
「ありがとう。また俺の球を受けてくれるんだね……」
「……うん」
「先程の質問に答えるよ。……俺の素直な気持ちだ」
「……!」
「君が好きだからだ、聖ちゃん!」
「っ!」
「俺には君がいないと駄目なんだ。どんな時も、いかなる時も。君が好きだから……!」
 その瞬間、再び彼女の瞳に涙が湧き出てきた。児波に抱きしめられながら、涙声になりながら聖は彼を抱きしめ返す。
「…わ、私も……大好きだぞ…!児波くん……!」
「聖ちゃん……!」
 力をこめていた腕を放す。自然と二人の視線は見詰め合うように。
 夜の肌寒さなど、今の二人には感じられないほどに暖かみを感じていた。
「児波くん……」
「眼を瞑って、聖ちゃん」
 ハッと驚きの面持ちで顔を上げる聖。だが次には頬を染めながら眼を瞑る。
「う、うむ……。は、恥ずかしいから早くしてくれ……」
 鼓動が高鳴っているのが自分でも分かる。この感情はあの時以来。
 唇に感触が伝わる。細く眼を開けると彼の顔がいっぱいに広がっている。
 聖は再び眼を瞑る。感じ取っていた。今、自分は幸せだと。

 接吻が終えると児波は唐突にこのような言葉を繰り出した。
「聖ちゃん、俺の部屋来ないか?」
「……な、なーーー!?」
 流石に驚く聖。児波は後頭部を書きながら反省の言葉を含める。
「やっぱ駄目かな?今まで俺の家に入れたこと無いからなぁ」
 だが次に聖は柔らかな笑みを浮かべながら言った。
「……いや、ちょっと驚いただけだ。いいぞ、児波…くんの部屋を見てみたい」


「ちょっと待ってね、今片付けるから!」
 バタバタと先に部屋の中に入っていく児波に聖は思わず微笑んだ。
 数分後、ドアから児波の顔が現れて「どうぞ」と聖を招く。
「お邪魔します」と共に聖が彼の部屋に入る。確かに今掃除したような後が窺える。
 だが児波も自分と同じ野球人。野球の雑誌や参考書など、本棚にギッシリと並べられていた。
 嬉しくなる。また小さく微笑むと児波に首を傾げられた。

 聖は冷蔵庫に入っていた残り物で児波に料理を揮った。
 彼が祝賀会を途中で抜けてきたので小腹が空いたといっていたのだ。
 簡単に作った料理でも彼はペロリと平らげる。彼の笑顔が何を意味しているのかは言わずとも分かる。
 次に聖は浴槽を借りた。借りたといっても簡単なシャワーだけだが。
 しかし今日の掻いた汗は十分にシャワーの水滴へ流し落とした。色んな意味を含んだ汗を。
 次に児波がシャワーを浴びる。児波は聖に「くつろいでいていいよ」と一言。
 だが今の聖にくつろげといわれてもくつろげない。今聖は児波の部屋にいる、胸の鼓動がバクバク言っている。
(児波…くんの部屋)
 物珍しげにキョロキョロする聖。好きな人の部屋、興味ないはずが無い。
 児波がタオルで髪を拭きながら浴槽から上がる。するとそわそわしている聖がそこにいた。
 かなり珍しい光景をみた児波。聖は児波の視線に気づくと共にそわそわを止め頬を赤らめていた。



 その後、ベッドに凭れかかり寄り添う二人。すぐ横にあるのは二人の合わせられた手。
 胸の鼓動はなりっぱなし。視線と視線が合うと二人微笑み合う。
「児波くん。好きだ、大好きだ……」
 もう一度自分が彼を好んでいる事を口にして、眼を瞑る。
 児波も「うん」と頷き、本日二度目の口付けを交わす。それは公園でしたキスよりもずっと長いもの。
「んふっ……ちゅっ……」
 唇を放しては重ね、放してはまた重ね。二人は求め合うように舌を絡める。
 繰り返したキスを終えまた微笑む。聖は自らベッドの横になる。
 聖が着ているのは彼に借りたカッターシャツ一枚。それ以外の衣類は着用していない。
「聖ちゃん……いいの?」
「うむ……。本当は恥ずかしくて堪らないのだが、児波くんなら…いいぞ」
 ぶかぶかのカッターシャツを着用した聖は、顔を真っ赤に染めながら頷いた。
 もう一度唇を塞ぎ、それから児波の唇は聖の耳、首筋へ伝わっていく。
「ん…ふっ……」
「シャツ外すよ、聖ちゃん」
「…あ、ああ」
 プチプチとボタンが音を立てて、聖の肌を唯一守っていたカッターシャツが脱がされた。
 片手で胸を隠し、もう一つの片手で股間を隠す。そんな聖の顔は火を噴きそうなほど顔を真っ赤に染まり、明後日の方向へ向いていた。
「は、恥ずかしいからあまりじろじろと見るな……」
「ごめん。でも聖ちゃんが可愛くてつい」
「馬鹿……」
「手をどかして。優しくするから」

 聖が頷き、胸を隠す腕をどかすと彼女の小さな乳房が露わになる。
 児波の人差し指はゆっくりと聖の肌を伝わっていき、そして胸の膨らみを優しく撫でていく。
「柔らかい……」
「そ、そうか。そんな事思ったことなかったぞ……」
「うん。聖ちゃんの胸、凄く柔らかい」
「っ…!よかった……あ…っ!」
 次に児波はその乳房の突起を苛めていく。指で、口で、舌で。
 二本の指で捏ね繰り回したり、口で吸い舌で刺激する。
 求めるだけ求める。その行為を何度も繰り返す児波を聖は笑みながら頭を撫でる。
「児波くん…、何か赤ん坊みたいだ……」
「ん、そうかな?」
「ああ。良く分からないが、その……、可愛いぞ」
「……なーんか普通、言う立場逆じゃない?」
「ふふっ。……っつぁ!」
 一瞬笑った聖の表情はすぐに砕けた。児波がお仕置きだと言わんばかりにと、行為を激しくし始めたからだ。
 指は突起をこね回すだけではなく摘んで押しつぶしたり。
 口は卑猥な音を立てるように強く吸ったり甘く噛んだりする。
 しつこくねちっこい責めは、聖の快楽を徐々に目覚めさせていく。
 彼女の肌は紅潮し、声は甘く艶めき荒れていく。
「こ、児波…くん……っ!い、痛い…ぞ……っ!」
「ごめんごめん、優しくするからね」
「う、うむ……」
 行為が再開する。
 ねちっこい責めは変わらないが、先程とより優しく丁寧に。
 傷つけないように優しく、乳房を優しく撫で、揉み、突起をくすぐるように責める。
「ひ、ひゃぁ…く……っ!」
 聖はもう耐えられなかった。
 先程からずっと胸ばかり刺激を与えられ、下半身は切なく児波を求めている。
 くねくね動かし内股を擦り合わせて、今か今かと待ちわびている。
「も、もう胸はこれくらいにしてくれ。……もう耐えられん…ぞ」
「分かった。じゃあ次はここだね」




 児波は聖にもう一度キスをする。その間に彼の片手は彼女の下半身の割れ目へ伸びていく。
 くにくにと入り口を弄ると聖の身体が大きく震える。その反応が好んだのか、児波は指を上下にゆっくり擦る。
 幾度擦り続けると下半身からは彼女の蜜が溢れ、それを指に絡めながら執拗に苛める。
 これ以上我慢ならなくなった聖は、切なげな面持ちで児波に訴えかける。
「こ、これ以上、じ、焦らさないでくれ……っ!」
「聖ちゃんが気持ち良くなっていく顔が可愛かったからつい」
「な…ななな……っ!」
「でも聖ちゃんのお願いだから、もう焦らさないよ」
 すると児波の二本の指は、聖の膣中に侵入していく。それは指の第一関節に達した時止まる。
「っ!ううっ…!」
「聖ちゃんの中……、結構狭いね……」
「そ、そんな事、い、言うな……!うあ……っ!」
 ただでさえこんな状態なのに、児波の言葉で更に羞恥を煽られた聖の中は児波の指をきつく締め付ける。
 そんな中で児波の指はゆっくりと動く。
 もう片方の手は再び胸の方へ持っていき、乳房の突起をくりくりと苛める。
 その突起をまた舌で舐めたり吸ったり摘んだり。おもちゃのように弄ぶ。

「ん、んふっ……、っあ……!」
 児波は彼女の表情をじっと眺めている。
 これほどまで性感に狂う聖、今まで見た事無い女になった彼女の姿。
 表情は先程よりまして悶え紅潮し、声は艶めき嬌声を喘ぐ。
 もっと彼女を気持ちよくさせたい。そしてこの後彼女と一つになる思うと興奮し早く実行したくなる。
「こ、児波…くん……っ!やっ、は、激し……っ!」
 声が思ったように出せないほど性感を感じ喘ぐ聖。
 児波の手を掴み何とか離そうとするが、快楽によって力が全く入らない。
 結局すぐ手を離し、児波に身をゆだねる事にした。
「くっ……や、やめ……っ!」
「好きだよ、聖ちゃん」
 耳元で囁く児波の言葉。
 聖は何とか笑顔で答えようとするが、どうしても顔が崩れてしまう。
「わ、私も…好きだ……っ!ひゃあぁっ!!」
「大好きだ」
 何度も確認しながら聖の体中を苛める。
 しつこく胸と股間に刺激を与え続けられている聖はもう限界のよう。体は絶え間なく痙攣し始める。
 そんなのはお構いなしだと言わんばかりに苛め続けるのは児波。
 少しだけ入った指は彼女に快楽の頂へと上り詰めさせる。

「や、や…も、もう駄目だ……っ!」
「分かった、いっぱい気持ち良くなってよ」
「あっ…、こ、児波…くんっ!!」
 膣はぐちゅぐちゅと卑猥な音をたてながら指の動きを受け入れている。
 彼女の胸を苛めていたもう片方の手はようやく動きを止め、聖の下半身へ伸びてくる。
 そして彼女の勃起した陰核を押しつぶした。
「やっ…!あぁっ…!っあああああぁぁぁぁっ!!」
 体が仰け反る。共に大きな嬌声を上げて聖は頂点に達した。
 幾度となく震え、膣は侵入している児波の指をキュッと締め付ける。
 次には聖の体はベッドの上に崩れ落ちた。
 呼吸が乱れている。口からは涎がシーツにしみこませていた。そんな涎など気にしている余裕など今の聖には無い。
 今の聖はいつも凛としている彼女ではない。大人の女だ、恋人同士、大好きな人といる姿。
「イッちゃったんだね、聖ちゃん」
「あ…ああ……。気持ち…良かった…ぞ……」
 児波は聖の頭を優しく撫でる。その横で彼女は絶頂の余韻に浸っていた。





 呼吸を整えた聖はキスを求め、児波はそれに答える。
 舌を混じり合わせ唇が塞ぎあう。離しあう頃には二人の唾液の糸が繋がりあいぷつりとシーツへ消えた。
 聖は笑みを浮かべながら胸を擦る。
「すごいな……、まだ胸が鳴っているぞ」
「……俺もだよ」
「児波くん……」

 児波は聖の頭を撫でながら衣服を落としていく。
 この部屋にあるのは二人の生まれた時の姿。違うのは赤ん坊の頃と今。
 そして児波にあるのは、我慢できないほどに膨れ上がった肉棒が。
「聖ちゃん。いいかな」
「……うん」
 聖の足を擦りながらゆっくりと股を広げさせていく。
 足が広がったところで、児波は今まで自分の指が挿入されていた秘所をまじまじと見つめる。
 彼女の秘所は今にも自分を受け入れてくれそうなほど蜜で十分と濡れている。
 指で肉棒を持ち上げ入り口へぐりぐりとこすり付ける。
「…っ、あぅ……!」
 そして割れ目をこじ開けるように挿入を始める。
 だが彼女の膣中は狭い。指を挿入れていたときよりもそれ以上に狭く感じる。
 肉棒の先だけを挿入したが、児波が性感を得るには十分。
 今までずっと性感を感じ取っている彼女の魅力的な姿を見て我慢できるはずない。
 少し気を抜けば出してしまう。堪えながら児波は聖に言う。

「好きだ……、聖ちゃん好きだ!」
「うん…私も……だ……!」
 徐々に押し上げていく児波。ゆっくりだが確実に。
 度々口付けを交わす。そのつど彼女は安心させ身の力を抜いていく。
 そして遂に彼女の膣に肉棒が突き刺さる。
「っ!あっく……!!」
「………っ!」
 性感に狂う聖に言葉が出せる余裕は児波にもなかった。
 先っぽだけで出してしまうほどだったのに、彼女の膣中はギュウギュウと肉棒に絡みついてくる。
 ただでさえ堪えるのに精一杯。
「ごめ……ちょっとまずいかも……!」
「児波……くん!」
 そんな状態な児波の背中に手を回し、聖は耳元で囁く。



「う、動いていいんだぞ……」
「ひ…聖ちゃ……うっ!」
 児波が顔をゆがめると思えば、聖が腰を動かしているのだ。
 決して満面の笑みとはいえない笑顔、必死の作り笑い。
 聖はキスをして更に言葉を続ける。
「出して、いいんだぞ……。私は…お前の、大切な…パートナー、だからな……っ!」
 押し寄せる快楽の波はあっという間に飲み込んでしまう。
 その一言が引き金となり、児波は腰を動かし始める。
「ひ、聖ちゃん、聖……っ!!」
「うあっ!い、いきなり……激し、すぎだ……ぞっ!!」
 上下に動き、重なり合う。
 二人の入り口は卑猥な音を立てながら擦れ合い、性感を感じていく。
 蜜は動くたびにあふれ出し、シーツに流れ落ち汚していく。
 何度も膣内へ往復するが、もちそうもなかった。
「やば…も、もう……、出すよ…聖……っ!」
「ああ……!児波くん…、来てくれ……!」
 膣が縮小していく。まるで児波に出してくれと催促するかのように。
 児波が彼女の奥へ突き刺したその瞬間、爆発し白い白濁液を吐き出した。
 聖は仰け反り、次には児波にもたれかかった。

 ゆっくりと児波が逸物を膣から抜き出すと、そこからは大量の白濁があふれ出してきた。
「こ、児波くんのものが……!私の…中に……」
 恍愡な表情を浮かべる聖。股間に手をやって白濁液を掬うと満足そうに微笑んだ。
 二人はキスを求め合う。何度しても良い、愛し合うキス。
「……聖ちゃん」
「児波くん……」
 何度したかも忘れたほどキスを繰りかえし、二人の意識は消えた。
 ただその消え行く意識の中で二人が覚えている事、それは幸せだという事。





「う……」
 窓から入ってくる朝日に眼を眩ませながら、児波は眼を覚ました。
 二、三秒ほど寝ぼけた顔でいて、次には隣に寝ている聖に眼をやった。
(そっか……)
 昨日の出来事が瞬時に再生する。
 そしてこれから彼女とずっと一緒にいる事が出来る。それだけで眠気は吹っ飛んでいった。
「……む」
「あ、起きた?」
「ああ……おはよう。こ…児波くん」
「はは、今更恥ずかしがる事無いのに」
「す、すまん。今まで呼んだ事がなかったから急に……」
 思いっきり笑う児波に聖は頬を少し赤らめながら笑んで見せた。
「今日は休みだから、ゆっくりしていくといいよ」
「すまない、そうさせてもらうぞ。……そ、それとだな」
「?」


「ふつつかのものだが、宜しくお願いするぞ……児波くん」
 おしまい。

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