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埋めネタ(part13 966)

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匿名ユーザー

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また別のネタ。パワポタ4、加藤京子。
※(r

「いい、試合だった。負けた試合で、こんな晴れ晴れとした気分になるなんて、初めてだよ」
「猪狩……」
「フッ……まぁ、ボクは負け試合の経験自体が無いからね。光栄に思えよ、小波」

あかつき大学とパワフォー大学で繰り広げられた神宮大会決勝は、パワフォー大学の辛勝で幕を閉じた。
大会のセレモニーが終わった後、神宮球場に一角で小波と猪狩は顔を合わせた。
かつてのチームメイト、そして(猪狩が一方的に宣言した)生涯のライバル同士。
二人は激闘の余韻を味わうように、言葉少なに立ち尽くしていた。

「猪狩……お前、左腕が……」
「何、ちょっとツボに鍼を打ってただけさ」
「――猪狩さんっ!」

遠くから、ライジングショットのように鋭い女性の声が飛んできた。
猪狩は振り向いた。猪狩の背中側から、ナース服を着た妙齢の女性が息せき切って走ってくる。
猪狩と向き合っていた小波には、その姿がよく見えた。

「あれ程言ったのに……早く、早く院に戻ってください!」
「猪狩、やっぱり、お前は」
「小波! この猪狩グラブは、野球工学の全てを駆使して作られたモノだ。ボクと対戦できた記念に、受け取れ!」

猪狩は再び小波に向き直ると、愛用のグラブを左腕で投げて渡した。
放物線を描くグラブ。グラブが左手から離れた瞬間、歪んだ猪狩の顔。
走り寄ってくる妙齢の女性――加藤京子。場の時が、スローモーションになっていた。
咄嗟に小波が差し出した両手に、猪狩グラブが収まると、時間が元通りになった。

猪狩ほど野球道具に強くこだわる男が、愛用のグラブを、こんな粗末に扱うはずがない――普通ならば。
ただ、小波に対して強がって見せるために、猪狩は左腕でグラブを投げて渡した。

「天才たるボクは、これからデートなんだ。これ以上、キミと話している時間は無いね」
「猪狩さん……こうなったら、腕引っ張ってでも、連れて行きますからね」
「……さらばだ、ボクの好敵手……ッッ!!」
「猪狩っ!」

京子に右腕を掴まれながら、猪狩は左腕を上げて、小波に別れを告げようとした。
その瞬間、猪狩の左腕に鋭い痛みが駆け抜けた。
試合の疲労、小波に背中を向けようとしていてズレた重心、京子の引っ張る力が重なり、猪狩はバランスを崩した。

「あっ」

主の制御を離れた猪狩の左腕は、重力と人体構造に従って降下し、その左手は吸い寄せられるように、京子の胸の膨らみに衝突した。
驚きの声と吐息が、一瞬三人の耳に届いた。京子の胸は、猪狩を受け止めるのに十分な豊かさと柔らかさを有していた。

「あ、あの、その……こ、ここじゃ、困ります……」

(そういえば、ここに走ってくる時、この女の人……すんごい揺れてたね。弾んでたね。有り得ん円運動させてたね)※

「……しろ……」
「小波?」
「肩、肘……この際、足でも腰でも構わん、爆発ッ! 爆発しろッ!」



※ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm19653728 #8:56~

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