「都会の夜はキラキラの星空よりギラギラのネオンだぜ~」
喧騒にざわめく繁華街の片隅で、男は同期の奥居と飲みに行った時の事を思い返していた。
素顔を隠すブランドサングラス(貰い物)、ストライプが入ったブランドスーツ(貰い物)、
銀のブランド腕時計(これだけ自前)を身に付けた、それなりに身だしなみを整えた青年。
名を「血河」。これでもプロ野球選手だ。そして今夜はデートだ。
しかし10分遅れようが20分遅れようがフランクな態度を変えない彼女は未だ現れず…。現れず……。
「血河さんっ!」そしてこのムード×な大声も相変わらず……。
「すいませんお待たせしちゃって!でもやっぱりこういう時は今来たと……むぐぐっ!」
「……少し黙れ。おまえの声は特徴がありすぎる。変装の意味がない」
口を塞がれ、血河の腕の中でじたばた暴れる「やかま系」。
名を「愛」。これでもスポーツキャスターだ。そして今夜はデートなのに見事に遅刻した。
喧騒にざわめく繁華街の片隅で、男は同期の奥居と飲みに行った時の事を思い返していた。
素顔を隠すブランドサングラス(貰い物)、ストライプが入ったブランドスーツ(貰い物)、
銀のブランド腕時計(これだけ自前)を身に付けた、それなりに身だしなみを整えた青年。
名を「血河」。これでもプロ野球選手だ。そして今夜はデートだ。
しかし10分遅れようが20分遅れようがフランクな態度を変えない彼女は未だ現れず…。現れず……。
「血河さんっ!」そしてこのムード×な大声も相変わらず……。
「すいませんお待たせしちゃって!でもやっぱりこういう時は今来たと……むぐぐっ!」
「……少し黙れ。おまえの声は特徴がありすぎる。変装の意味がない」
口を塞がれ、血河の腕の中でじたばた暴れる「やかま系」。
名を「愛」。これでもスポーツキャスターだ。そして今夜はデートなのに見事に遅刻した。
「うわー綺麗ですね!すごく綺麗ですね!」
「まあ汚くはないな」
「むー、そういう時は君の方が綺麗だよって言ってくださいよ!」
目に心地よくないギラギラネオンも上から見下ろせば見事な夜景となる。
ここは血河が先輩に教えてもらった44階建てビルの最上階レストラン。またの名を、
「これで落ちない女はいない!女殺しの必殺デートスポット100選」の1つ。
「…だそうだ」
「ええっ!?わたし殺されちゃうんですか!?」
「……例えだよ。例え。俺が愛を傷つけるわけないだろう」
「!!!???ぽ~~(赤面)」
呼び名が「おまえ」から「愛」に変わったのを聞き逃さなかった愛は恥ずかしさと嬉しさに顔真っ赤になる。
(こういう恥ずかしい台詞がたまにポロッと出てくるのがツボなんだよなぁ~)
「まあ汚くはないな」
「むー、そういう時は君の方が綺麗だよって言ってくださいよ!」
目に心地よくないギラギラネオンも上から見下ろせば見事な夜景となる。
ここは血河が先輩に教えてもらった44階建てビルの最上階レストラン。またの名を、
「これで落ちない女はいない!女殺しの必殺デートスポット100選」の1つ。
「…だそうだ」
「ええっ!?わたし殺されちゃうんですか!?」
「……例えだよ。例え。俺が愛を傷つけるわけないだろう」
「!!!???ぽ~~(赤面)」
呼び名が「おまえ」から「愛」に変わったのを聞き逃さなかった愛は恥ずかしさと嬉しさに顔真っ赤になる。
(こういう恥ずかしい台詞がたまにポロッと出てくるのがツボなんだよなぁ~)
口数が少ない男と口数が多すぎる女という、漫画みたいな凸凹カップルである血河と愛。
そんな二人の馴れ初めは数年前に遡る……。
そんな二人の馴れ初めは数年前に遡る……。
パワフルスポーツの人気キャスター「楓」嬢が寿退社し、後任を決めている最中のことだった。
高年棒のプロ野球選手を我が物にする好機! ということもあり、
女子アナ業界では「ころしてでもうばいとる」仁義なき戦いが水面下で繰り広げられていた。
そんな中、見事その地位をゲットしたのが若干23歳、女子アナ歴2年の「愛」だった。
なぜ彼女が!? どんな腰テクを使ったんだ!? と雌豹達は騒然としたが、決定的だったのは、
「ほら、「あい」って覚えやすいじゃん。やっぱ誰でも覚えられる分かりやすさが云々」
というお偉いさんの独断だったらしい。ちなみにこのお偉いさん、その後姿を見たものはいないという…。
高年棒のプロ野球選手を我が物にする好機! ということもあり、
女子アナ業界では「ころしてでもうばいとる」仁義なき戦いが水面下で繰り広げられていた。
そんな中、見事その地位をゲットしたのが若干23歳、女子アナ歴2年の「愛」だった。
なぜ彼女が!? どんな腰テクを使ったんだ!? と雌豹達は騒然としたが、決定的だったのは、
「ほら、「あい」って覚えやすいじゃん。やっぱ誰でも覚えられる分かりやすさが云々」
というお偉いさんの独断だったらしい。ちなみにこのお偉いさん、その後姿を見たものはいないという…。
かくしてマシンガントークが売りという新人女子アナの愛が与えられた始めての仕事は、
春季キャンプ真っ最中の「仙台ジェンキンス」の突撃取材だった。
春季キャンプ真っ最中の「仙台ジェンキンス」の突撃取材だった。
「へっへ~、おいら今年は100試合登板を目指すぜ」
「……100敗しないようにしろよ」
球場の隅っこで今年の意気込みを語る二人の若手。
右が「血河」。プロ初打席で代打逆転サヨナラホームランという厨展開で鮮烈デビューを果たした
期待のスラッガー。性格は奥居いわく「鉄仮面」。
左が「奥居」。先発で150球投げた翌日に中継ぎで大車輪するタフネスぶりで昨年は89試合に登板した
鉄腕ピッチャー。性格は血河いわく「ムードメーカー」。
「……100敗しないようにしろよ」
球場の隅っこで今年の意気込みを語る二人の若手。
右が「血河」。プロ初打席で代打逆転サヨナラホームランという厨展開で鮮烈デビューを果たした
期待のスラッガー。性格は奥居いわく「鉄仮面」。
左が「奥居」。先発で150球投げた翌日に中継ぎで大車輪するタフネスぶりで昨年は89試合に登板した
鉄腕ピッチャー。性格は血河いわく「ムードメーカー」。
「おはようございます!」
「……?」
愛の目的はこの二人、特に血河の胸中を聞き出すことにあった。
「この度、パワフルスポーツの新キャスターになった佐倉愛です!よろしくお願いします!」
「おおっ、可愛い新人じゃん!どうぞどうぞ、あなたが望むなら根掘り葉掘り、赤裸々に語り尽くしちゃうぜ~」
「……そうか。じゃあ奥居の相手でもしていてくれ。俺は走りこみをする」言って去ろうとする。
血河の本音を聞き出す、それは平本にストライクを投げさせるも同然の無理難題だった。
口数少ない、表情変えない、そんな血河はマイクを向けてもカメラを向けても終始無愛想の極み。
ほとんどの場合、適当に相槌を棒読みで返すだけ。
奥「こんな奴よりおいらのインタビューを」「呼んでねえよ」はお決まりの黄金パターンだった。
あまりの愛想のなさにマスコミに叩かれることもしばしばだが、本人はいたって普段どおり。揺さぶりにもならない。
2ちゃんねるのプロ野球板には「血河はわざとカメラを避けている」「仙台の血河はツンデレ」スレが立っていたり。
だが愛は一歩も退くわけにはいかない。初めての取材が失敗では局の雌豹にいびられるは必然。
血河の背後のカンペには「逃がすな!喰らいつけ!」のメッセージが。
「……?」
愛の目的はこの二人、特に血河の胸中を聞き出すことにあった。
「この度、パワフルスポーツの新キャスターになった佐倉愛です!よろしくお願いします!」
「おおっ、可愛い新人じゃん!どうぞどうぞ、あなたが望むなら根掘り葉掘り、赤裸々に語り尽くしちゃうぜ~」
「……そうか。じゃあ奥居の相手でもしていてくれ。俺は走りこみをする」言って去ろうとする。
血河の本音を聞き出す、それは平本にストライクを投げさせるも同然の無理難題だった。
口数少ない、表情変えない、そんな血河はマイクを向けてもカメラを向けても終始無愛想の極み。
ほとんどの場合、適当に相槌を棒読みで返すだけ。
奥「こんな奴よりおいらのインタビューを」「呼んでねえよ」はお決まりの黄金パターンだった。
あまりの愛想のなさにマスコミに叩かれることもしばしばだが、本人はいたって普段どおり。揺さぶりにもならない。
2ちゃんねるのプロ野球板には「血河はわざとカメラを避けている」「仙台の血河はツンデレ」スレが立っていたり。
だが愛は一歩も退くわけにはいかない。初めての取材が失敗では局の雌豹にいびられるは必然。
血河の背後のカンペには「逃がすな!喰らいつけ!」のメッセージが。
「分かりました!ではわたしも一緒に走ります!」
「いや……ついて来るのは無理だぞ」
以前も似たような状況があった。その時血河は全速力でインタビュアーをまいた。今度も同じように…
「大丈夫です!わたし血河さんに肩車してもらいますから!」
「……は?」あまりの超展開に周囲が固まる。だが愛は本気だった。
「ほら、重い物背負って走って足腰を鍛えるってあるじゃないですか!それと同じです。
血河さんもいい練習になるし、わたしも取材ができる。一石二鳥です!」
「……あ……え、おまえ、本気で言って…」
「ふむ、確かにそれはいいアイディアだな」そこへ現れたのは、よりにもよって監督とコーチ…。
督「おまえには一流の選手を目指してもらわければならないからな。足腰の鍛錬にはいい練習方法だ(ニヤニヤ)」
コ「血河、おまえもそろそろ愛想よく振舞うことを覚えたほうがいいな。勉強させてもらえ(ニヤニヤ)」
奥「へっへ~、今回ばかりはババを引いたな血河。同情するぜ~(ニヤニヤ)」
「いや……ついて来るのは無理だぞ」
以前も似たような状況があった。その時血河は全速力でインタビュアーをまいた。今度も同じように…
「大丈夫です!わたし血河さんに肩車してもらいますから!」
「……は?」あまりの超展開に周囲が固まる。だが愛は本気だった。
「ほら、重い物背負って走って足腰を鍛えるってあるじゃないですか!それと同じです。
血河さんもいい練習になるし、わたしも取材ができる。一石二鳥です!」
「……あ……え、おまえ、本気で言って…」
「ふむ、確かにそれはいいアイディアだな」そこへ現れたのは、よりにもよって監督とコーチ…。
督「おまえには一流の選手を目指してもらわければならないからな。足腰の鍛錬にはいい練習方法だ(ニヤニヤ)」
コ「血河、おまえもそろそろ愛想よく振舞うことを覚えたほうがいいな。勉強させてもらえ(ニヤニヤ)」
奥「へっへ~、今回ばかりはババを引いたな血河。同情するぜ~(ニヤニヤ)」
「……………………冗談だろ?」
「あれから俺はしばらく初対面の女の股間に顔をうずめる変態って言われたんだよな…」
「わたしもしばらく初対面の男の顔を股間にうずめさせる売女って言われましたよ!」
結局、世の中何が幸いするか分からないと身をもって知った血河は観念したように取材に協力し、
愛のインタビューは周りがドン引きするほどの大成功となった。
「わたしもしばらく初対面の男の顔を股間にうずめさせる売女って言われましたよ!」
結局、世の中何が幸いするか分からないと身をもって知った血河は観念したように取材に協力し、
愛のインタビューは周りがドン引きするほどの大成功となった。
それから約半年、「仙台ジェンキンス」は悲願の優勝を果たす。
ビールかけ会場に突撃した愛は早々に酒を飲まされ、暴走。
部屋の隅でちびちび飲んでいた血河を壇上に引っ張り上げ、日本酒2リットルを一気飲みさせたりした。
そして翌日、自分の想いに気付いた愛は電話で血河に告白し、今に至る…。以上説明終わり。
ビールかけ会場に突撃した愛は早々に酒を飲まされ、暴走。
部屋の隅でちびちび飲んでいた血河を壇上に引っ張り上げ、日本酒2リットルを一気飲みさせたりした。
そして翌日、自分の想いに気付いた愛は電話で血河に告白し、今に至る…。以上説明終わり。
「早いですよね!初めて会ってから一年半ですか?」
「……今日でちょうど500日だ」
特等席の豪華な料理を談笑混じりに平らげていく二人。勢いでむせて、フィンガーボールの水を飲ませようとして
「マナー違反ですよ!騙されませんよ!」と突っ込まれる血河。
ベタベタの付き合いではないものの、二人は今のところ健全なカップルでいられた。
愛は語る。「わたし以前言われたんですよ!女子アナに純愛などありえないって!」
「……今日でちょうど500日だ」
特等席の豪華な料理を談笑混じりに平らげていく二人。勢いでむせて、フィンガーボールの水を飲ませようとして
「マナー違反ですよ!騙されませんよ!」と突っ込まれる血河。
ベタベタの付き合いではないものの、二人は今のところ健全なカップルでいられた。
愛は語る。「わたし以前言われたんですよ!女子アナに純愛などありえないって!」
一晩で5人のプロデューサーと寝た女がいた、男好きが高じて女好きにもなった女がいた、
息子(6さい)の童貞喰った女もいた、下衆と外道と鬼畜の恋愛劇がこの業界のスタンダートだと、
自分は平凡な相手と結婚できてむしろよかったと、先輩の楓は言っていた。
「だからわたしすっごく嬉しいんですよ!血河さんとこうしていられるのが!」
しかし、そんな愛にも不満はある。(私たちって、キスもまだなんだよなぁ)
単純にプライドもあるのだろうが、血河は肉欲を表に出すことを恥辱と考える男だと愛も感じていた。
プラトニックな恋愛も悪くない。でも愛にだって性欲はあるし、好きな人に全てを捧げたいという想いもある。
息子(6さい)の童貞喰った女もいた、下衆と外道と鬼畜の恋愛劇がこの業界のスタンダートだと、
自分は平凡な相手と結婚できてむしろよかったと、先輩の楓は言っていた。
「だからわたしすっごく嬉しいんですよ!血河さんとこうしていられるのが!」
しかし、そんな愛にも不満はある。(私たちって、キスもまだなんだよなぁ)
単純にプライドもあるのだろうが、血河は肉欲を表に出すことを恥辱と考える男だと愛も感じていた。
プラトニックな恋愛も悪くない。でも愛にだって性欲はあるし、好きな人に全てを捧げたいという想いもある。
(せっかくいい雰囲気なんだし、押し倒しちゃおうかな…)
願望と欲望の境界線でピンク妄想に浸る愛。だが、先に動いたのは血河の方だった。
「……愛」
「!? はいっ!何ですか!?」
血河は懐からルームキーを取り出す。選ばれた予約者だけが利用できるスウィートルームの鍵だ。
「え、え、それって……」
「今夜の…愛の時間を俺にくれ」
「くぁzrtgf¥@:;ふじこ!?」
「……落ち着け」
「す、す、す、すいません!急にやらないかがきたので内側でおっけしようと思ったら外側で動転しちゃって」
「日本語でおk」
この時血河は思った。自分も所詮ムード×の男なのだと。
「すまない…空気の読めない男で」
「そんなことないですよ!わたしは血河さんのそんなところが大好きなんですから!」
一瞬で乾いた喉をフィンガーボールの水一気飲みで癒し、愛は立ち上がる。
「さあ行きましょうすぐ行きましょういま行きましょう!」
願望と欲望の境界線でピンク妄想に浸る愛。だが、先に動いたのは血河の方だった。
「……愛」
「!? はいっ!何ですか!?」
血河は懐からルームキーを取り出す。選ばれた予約者だけが利用できるスウィートルームの鍵だ。
「え、え、それって……」
「今夜の…愛の時間を俺にくれ」
「くぁzrtgf¥@:;ふじこ!?」
「……落ち着け」
「す、す、す、すいません!急にやらないかがきたので内側でおっけしようと思ったら外側で動転しちゃって」
「日本語でおk」
この時血河は思った。自分も所詮ムード×の男なのだと。
「すまない…空気の読めない男で」
「そんなことないですよ!わたしは血河さんのそんなところが大好きなんですから!」
一瞬で乾いた喉をフィンガーボールの水一気飲みで癒し、愛は立ち上がる。
「さあ行きましょうすぐ行きましょういま行きましょう!」
「わぁこのベッドふかふかですよ!あ、でも回ったりしないみたいですね…おお、シャワー室が二つも!
えーとこっちは軽食に酒に…おおお!?」
部屋の装飾には目もくれず、愛は独身男性が隠したエロ本を捜索するかのように部屋で物色を始める。
とはいえ、真っ赤な顔で緊張が丸分かりなので、血河も大目にみることにした。
「見てください血河さん!こんなの見つけました!」
愛が手にした箱には「バキュラも貫く超威力!マムシコロリお徳用10本入り」と書かれていた。
「さすがスウィートルームですね!支援物資は充実しまくりです!」
「……下世話なアシストだな。……で、これを飲めと?」
「はい!どうせならひと箱全部いっちゃってください!」
「……なぜ」
「ほら、緊張すると勃たないっていうじゃないですか!10本飲めば大丈夫ですよ!ささ、ぐいーっと!」
「…………(俺、バカにされてる?)」
えーとこっちは軽食に酒に…おおお!?」
部屋の装飾には目もくれず、愛は独身男性が隠したエロ本を捜索するかのように部屋で物色を始める。
とはいえ、真っ赤な顔で緊張が丸分かりなので、血河も大目にみることにした。
「見てください血河さん!こんなの見つけました!」
愛が手にした箱には「バキュラも貫く超威力!マムシコロリお徳用10本入り」と書かれていた。
「さすがスウィートルームですね!支援物資は充実しまくりです!」
「……下世話なアシストだな。……で、これを飲めと?」
「はい!どうせならひと箱全部いっちゃってください!」
「……なぜ」
「ほら、緊張すると勃たないっていうじゃないですか!10本飲めば大丈夫ですよ!ささ、ぐいーっと!」
「…………(俺、バカにされてる?)」
シャワーで念入りに身を清め、タオル一枚だけを巻いて愛は浴室を出る。
血河は既にガウンを着て愛が出てくるのを待っていた。
「待たせちゃいました?」
「いや、全然」
見つめ合う二人。お互い、頬が紅潮している。それが恥ずかしくて、切なくて、二人はその場で抱きしめ合う。
「んっ……」
血河の体温を感じながら、愛は身を委ねる。
「今夜は、いっぱい甘えさせてください」
「……ああ」
一旦離れ、二人は二度見つめ合う。血河の目は、愛に「どうしてほしい?」と語っていた。
「それじゃあですね、お姫様だっこでベッドまで」
「分かった……」言うなり、血河はひょいっと愛を抱きかかえる。
流石はプロ野球選手、日々のウエイトトレーニングの賜物だ。
「あ…」ちょうど愛の耳が血河の胸の部分に重なる。
「血河さんのドキドキが聞こえてきますよ。どくん、どくんって。緊張してるんですね。なんか嬉しいです」
そこにはマシンガントークが売りの口やかましい愛はどこにもいなかった。
付き合い初めて一年半、初めて彼女のしおらしい姿を見て、血河は自然に笑みをこぼす。
こんな一面もあるんだな、邪険にせずに付き合ってきてよかったな、と。
「…わたしね、さっきシャワーを浴びながら考えてたんです。どうして私たちってこんなに相性がいいのかなって」
「答えは…出たのか」
「はい。それはですね、私たちって恋愛に駆け引きを持ち出さないからだったんです」
会うだけで、話すだけで癒される仲。ずっとそばにいたいと想い合える間柄。
某くらたまが「だめんず」呼ばわりする俗物まがいの恋愛とは無縁だから、二人は惹かれ合った。
「……成る程な。目から鱗だ。俺も、ここまで愛しいと思える女性はいなかった」
「じゃあ、好きって言ってくれます?」
「ああ、今ならはっきり言える。俺は…愛が好きだ。ずっと側にいてほしいほどにな」
遂に聞けた。想い人の「好き」の一言が。それが嬉しくて、嬉しくて、愛は涙をこぼす。
「それじゃ、想いが通じたところで本番いっちゃいましょうか!」
「ああ…お手柔らかに頼む」
血河は愛の体をそっとベッドに置くと、体重をかけないように上に乗る。
「んっ…血河さぁん…」
血河は既にガウンを着て愛が出てくるのを待っていた。
「待たせちゃいました?」
「いや、全然」
見つめ合う二人。お互い、頬が紅潮している。それが恥ずかしくて、切なくて、二人はその場で抱きしめ合う。
「んっ……」
血河の体温を感じながら、愛は身を委ねる。
「今夜は、いっぱい甘えさせてください」
「……ああ」
一旦離れ、二人は二度見つめ合う。血河の目は、愛に「どうしてほしい?」と語っていた。
「それじゃあですね、お姫様だっこでベッドまで」
「分かった……」言うなり、血河はひょいっと愛を抱きかかえる。
流石はプロ野球選手、日々のウエイトトレーニングの賜物だ。
「あ…」ちょうど愛の耳が血河の胸の部分に重なる。
「血河さんのドキドキが聞こえてきますよ。どくん、どくんって。緊張してるんですね。なんか嬉しいです」
そこにはマシンガントークが売りの口やかましい愛はどこにもいなかった。
付き合い初めて一年半、初めて彼女のしおらしい姿を見て、血河は自然に笑みをこぼす。
こんな一面もあるんだな、邪険にせずに付き合ってきてよかったな、と。
「…わたしね、さっきシャワーを浴びながら考えてたんです。どうして私たちってこんなに相性がいいのかなって」
「答えは…出たのか」
「はい。それはですね、私たちって恋愛に駆け引きを持ち出さないからだったんです」
会うだけで、話すだけで癒される仲。ずっとそばにいたいと想い合える間柄。
某くらたまが「だめんず」呼ばわりする俗物まがいの恋愛とは無縁だから、二人は惹かれ合った。
「……成る程な。目から鱗だ。俺も、ここまで愛しいと思える女性はいなかった」
「じゃあ、好きって言ってくれます?」
「ああ、今ならはっきり言える。俺は…愛が好きだ。ずっと側にいてほしいほどにな」
遂に聞けた。想い人の「好き」の一言が。それが嬉しくて、嬉しくて、愛は涙をこぼす。
「それじゃ、想いが通じたところで本番いっちゃいましょうか!」
「ああ…お手柔らかに頼む」
血河は愛の体をそっとベッドに置くと、体重をかけないように上に乗る。
「んっ…血河さぁん…」
「んっ……ちゅぅ…ん…んん…んー……ちゅっ…」
抱き合い、唇を重ねる。互いの興奮が高まるのを感じながら、頃合いをみて舌を挿入する。
(キスってこんなに気持ちいいものだったんだ…)
濃厚な大人のキスと熱い唾液の味を楽しむだけで、胸が幸せでいっぱいになっていく。
でもこれだけでは終われない。愛はさらなる快感を得るため、名残惜しそうに唇を離し、トロンとした目を向ける。
胸も気持ちよくして、愛はそう語っていた。血河は何も言わず、乳房の愛撫を始める。
指先で優しく乳首をいじりながら、丹念に胸を揉みしだく。もう片方は口に含み、舌をもって乳首を舐め回していく。
「あっ……ああ…ひゃん……ああ………あああ…い、いいです、血河さん、気持ちいいです。
おっぱいが…血河さんのでどんどん気持ちい……ああん!」
血河の愛撫が止まらない。絶妙な力加減でひたすら胸の性感帯を刺激していく。
(ああ…凄い。わたしの感度が上がっていくよぉ……気持ちいい…気持ちいい…ああ!)
快感が強すぎて愛はいやいやと首を振るが血河の目には入らない。とうとう軽く達してしまった。
「あああん!………んんっあ……ああぁ…」
全身の痙攣に血河も流石に気付いたか、一旦動きを止め、愛を見やる。
抱き合い、唇を重ねる。互いの興奮が高まるのを感じながら、頃合いをみて舌を挿入する。
(キスってこんなに気持ちいいものだったんだ…)
濃厚な大人のキスと熱い唾液の味を楽しむだけで、胸が幸せでいっぱいになっていく。
でもこれだけでは終われない。愛はさらなる快感を得るため、名残惜しそうに唇を離し、トロンとした目を向ける。
胸も気持ちよくして、愛はそう語っていた。血河は何も言わず、乳房の愛撫を始める。
指先で優しく乳首をいじりながら、丹念に胸を揉みしだく。もう片方は口に含み、舌をもって乳首を舐め回していく。
「あっ……ああ…ひゃん……ああ………あああ…い、いいです、血河さん、気持ちいいです。
おっぱいが…血河さんのでどんどん気持ちい……ああん!」
血河の愛撫が止まらない。絶妙な力加減でひたすら胸の性感帯を刺激していく。
(ああ…凄い。わたしの感度が上がっていくよぉ……気持ちいい…気持ちいい…ああ!)
快感が強すぎて愛はいやいやと首を振るが血河の目には入らない。とうとう軽く達してしまった。
「あああん!………んんっあ……ああぁ…」
全身の痙攣に血河も流石に気付いたか、一旦動きを止め、愛を見やる。
「んんっ……はぁ……はぁ、血河さん…わたし胸だけでイッちゃいました」
「……多感症なんだな」
「そう……かもしれません。ほら、こっちも……」
愛の手が自身の秘部に触れる。既にそこはトロトロに溶けるほど愛液で満たされ、ヒクヒクと痙攣していた。
ピンク色の花弁は美しく花開き、男の侵入を待っているかのようだった。
「凄いな……こんなに濡れるものだとは思わなかった…」
現実離れした光景に、血河もしばし素に戻る。
とはいえ、下手上手の極みのような単純な愛撫でここまで感じてくれたのは正直嬉しかった。
大切な人が感じてくれた、気持ちいいと言ってくれた、こういう愛情表現もありなんだな、と。
「愛……」
血河が目線を送る。挿れさせてほしい、ひとつになりたいと瞳で語る。
しかし愛は迷う。快感を得たいという想いは強い。今すぐにでも受け入れたい。
だが痛いと聞く破瓜の不安もある。でも焦らすのも気が引ける。
だから、承諾はせず、弁解はせず、愛は一言だけ…、
「わたしもしたいですけど、まだ不安だから…こっちもよくしてください…」
「……多感症なんだな」
「そう……かもしれません。ほら、こっちも……」
愛の手が自身の秘部に触れる。既にそこはトロトロに溶けるほど愛液で満たされ、ヒクヒクと痙攣していた。
ピンク色の花弁は美しく花開き、男の侵入を待っているかのようだった。
「凄いな……こんなに濡れるものだとは思わなかった…」
現実離れした光景に、血河もしばし素に戻る。
とはいえ、下手上手の極みのような単純な愛撫でここまで感じてくれたのは正直嬉しかった。
大切な人が感じてくれた、気持ちいいと言ってくれた、こういう愛情表現もありなんだな、と。
「愛……」
血河が目線を送る。挿れさせてほしい、ひとつになりたいと瞳で語る。
しかし愛は迷う。快感を得たいという想いは強い。今すぐにでも受け入れたい。
だが痛いと聞く破瓜の不安もある。でも焦らすのも気が引ける。
だから、承諾はせず、弁解はせず、愛は一言だけ…、
「わたしもしたいですけど、まだ不安だから…こっちもよくしてください…」
「ああっ!す、す、すごい!血河さぁん…だ、だめぇ!刺激が…刺激が強すぎですっ…あああっ!」
指を潜り込ませ、広げるように、優しく、時には激しく、緩急をつけて愛撫していく。
愛の秘部は一層淫らに愛液を垂れ流し、血河の指をきゅうきゅうと絞めつける。
「ああっ!だめぇ…だめです…わたしまたイっちゃいます!いやぁ…血河さぁ……あああああん!」
こみ上げる快感に歯止めをかける術を知らない愛は、本日二度目の絶頂を迎える。
広げてもらえれば大丈夫かも、と思っていた愛だが、自分の体の多感っぷりはいささか想定外だったようだ。
愛も限界だった。こうなれば当たって破れろだ。
「血河さん、いいです。来てください」
「ああ……痛かったら言えよ」
指を抜き、自らの男根を愛の秘部にあてがう。そしてできるだけ水平に…潜るように…、
「んんっ…!」
指を潜り込ませ、広げるように、優しく、時には激しく、緩急をつけて愛撫していく。
愛の秘部は一層淫らに愛液を垂れ流し、血河の指をきゅうきゅうと絞めつける。
「ああっ!だめぇ…だめです…わたしまたイっちゃいます!いやぁ…血河さぁ……あああああん!」
こみ上げる快感に歯止めをかける術を知らない愛は、本日二度目の絶頂を迎える。
広げてもらえれば大丈夫かも、と思っていた愛だが、自分の体の多感っぷりはいささか想定外だったようだ。
愛も限界だった。こうなれば当たって破れろだ。
「血河さん、いいです。来てください」
「ああ……痛かったら言えよ」
指を抜き、自らの男根を愛の秘部にあてがう。そしてできるだけ水平に…潜るように…、
「んんっ…!」
ずぷっ!
「ひやぁあああああっ!」
「……!?」
愛のヴァギナが急激に絞まる。…どうやら挿れた瞬間イッたようだ。これで本日3度目である。
「愛、イキすぎだぞ。最初の締め付けでもっていかれそうだったんだが…」
「そんなこと言われても、血河さんの太いの凄すぎ…あぁん!」
しかし絶頂が幸いしたか、愛はほとんど傷みを感じないまま破瓜を終えた。
神経を結合部分に集中させる。異物を咥え込んだような感じだが、痛みはあまりない。
いける! そう確信した愛は血河に懇願する。
「血河さん、わたし大丈夫そうです。だから、好きに動いてください。いっぱい気持ちよくなって…ほしいから」
「……ああ、分かった」
それだけ聞ければ充分だ。血河は負担の掛からないという座位に変えゆっくりと律動を開始した。
「んっ…ああ! あん! ああ! いいぃ…あああっ! いやぁ…だめ…だめぇ…あっ!」
抱き寄せられながら、愛は血河の胸の中で声高に喘ぐ。
二人の体が上下するたびに、愛の柔肉が突き刺さったペニスを存分にしゃぶってくる。。
「くっ…愛、激しすぎだ…!」
(なんて膣だ…。全身の力が吸い取られていく……これじゃ長くはもたないか)
「愛、すまない……そろそろ……!」
「ああっ!血河さん! …んっ!あん!…わたしのことは気にしないで…あんっ!」
「………くっ!」
「いつでもイって……イッちゃっていいですからあああぁっ!あああっ!」
「……!?」
愛のヴァギナが急激に絞まる。…どうやら挿れた瞬間イッたようだ。これで本日3度目である。
「愛、イキすぎだぞ。最初の締め付けでもっていかれそうだったんだが…」
「そんなこと言われても、血河さんの太いの凄すぎ…あぁん!」
しかし絶頂が幸いしたか、愛はほとんど傷みを感じないまま破瓜を終えた。
神経を結合部分に集中させる。異物を咥え込んだような感じだが、痛みはあまりない。
いける! そう確信した愛は血河に懇願する。
「血河さん、わたし大丈夫そうです。だから、好きに動いてください。いっぱい気持ちよくなって…ほしいから」
「……ああ、分かった」
それだけ聞ければ充分だ。血河は負担の掛からないという座位に変えゆっくりと律動を開始した。
「んっ…ああ! あん! ああ! いいぃ…あああっ! いやぁ…だめ…だめぇ…あっ!」
抱き寄せられながら、愛は血河の胸の中で声高に喘ぐ。
二人の体が上下するたびに、愛の柔肉が突き刺さったペニスを存分にしゃぶってくる。。
「くっ…愛、激しすぎだ…!」
(なんて膣だ…。全身の力が吸い取られていく……これじゃ長くはもたないか)
「愛、すまない……そろそろ……!」
「ああっ!血河さん! …んっ!あん!…わたしのことは気にしないで…あんっ!」
「………くっ!」
「いつでもイって……イッちゃっていいですからあああぁっ!あああっ!」
「ああっ!わたし…イッちゃう!またイッちゃいます!」
「愛……愛っ!」
「血河さぁん…好きです!大好きです…ああっ駄目ぇ!」
「……っ!」
「血河さ……あああぁぁぁ…あああああああん!!」
愛が四度目の絶頂を迎えた瞬間、血河も限界に達し、愛の膣に精液を盛大にぶちまける。
2度、3度と射精を繰り返し、その間、愛の膣はヒクヒクと呻きながらペニスを優しくなだめていく。
「あああ……出てます。血河さんのがいっぱい、子宮の奥の奥まで…凄い…」
体験したことのないマシンガン絶頂4連打、それも最後は同時イきという最高の結果で、
愛は想い人との初SEXを終えた。虜にされるほど、萌えた。
「愛……愛っ!」
「血河さぁん…好きです!大好きです…ああっ駄目ぇ!」
「……っ!」
「血河さ……あああぁぁぁ…あああああああん!!」
愛が四度目の絶頂を迎えた瞬間、血河も限界に達し、愛の膣に精液を盛大にぶちまける。
2度、3度と射精を繰り返し、その間、愛の膣はヒクヒクと呻きながらペニスを優しくなだめていく。
「あああ……出てます。血河さんのがいっぱい、子宮の奥の奥まで…凄い…」
体験したことのないマシンガン絶頂4連打、それも最後は同時イきという最高の結果で、
愛は想い人との初SEXを終えた。虜にされるほど、萌えた。
(ああ…しあわせぇ…)
「……愛、恍惚としているところ悪いんだが…どうしてくれるんだ、これ?」
「えっ?」
愛が二人の結合部分を見つめる。そこには未だ突き刺さったままのペニスがあった。
血河の男根は萎えるどころか脈打つように固く、熱くなり、愛の膣内を広げようと肥大化していく。
「…………」
「…………」
「ガソリンタンクですね!」
「違う。ドーピングだ」
先程の薬物の過剰摂取の効能か、血河のバットは解き放たれたブライアントと化していた。
「で、どうしましょうかこれ!?」
「……決まってるだろ。これじゃ寝るに寝れないからな。こいつが萎むまで付き合ってもらうぞ」
「えええっ!あんなにしたのに全然足りないんですか!?気持ちいいのは大歓迎ですけどわたしがもた…」
「では…延長戦開始だ」
「わわっ!ちょっと待……あああああっ!」
「……愛、恍惚としているところ悪いんだが…どうしてくれるんだ、これ?」
「えっ?」
愛が二人の結合部分を見つめる。そこには未だ突き刺さったままのペニスがあった。
血河の男根は萎えるどころか脈打つように固く、熱くなり、愛の膣内を広げようと肥大化していく。
「…………」
「…………」
「ガソリンタンクですね!」
「違う。ドーピングだ」
先程の薬物の過剰摂取の効能か、血河のバットは解き放たれたブライアントと化していた。
「で、どうしましょうかこれ!?」
「……決まってるだろ。これじゃ寝るに寝れないからな。こいつが萎むまで付き合ってもらうぞ」
「えええっ!あんなにしたのに全然足りないんですか!?気持ちいいのは大歓迎ですけどわたしがもた…」
「では…延長戦開始だ」
「わわっ!ちょっと待……あああああっ!」
結局、この後愛は抜かずの16連射で心の闇を撃たれまくったのだった。
愛、後に語る。「まさにベッドインヘヴンでした!」
愛、後に語る。「まさにベッドインヘヴンでした!」
その年のオフ、二人はせいだいなるファンファーレのあらし!の中めでたくゴールインを果たす。
そしてまた春季キャンプがやってくる。
「みなさんこんにちわ!今年も愛の突撃キャンプレポートの時間がやってきました!
さあ今年の仙台ジェンキンス、いかなるキャンプになるのか!? …おお!あそこにいるのは血河さ…じゃなくて、
血河選手です! 早速今期の抱負を聞いてみましょう! 血河選手、調子はどうですか!?」
「みなさんこんにちわ!今年も愛の突撃キャンプレポートの時間がやってきました!
さあ今年の仙台ジェンキンス、いかなるキャンプになるのか!? …おお!あそこにいるのは血河さ…じゃなくて、
血河選手です! 早速今期の抱負を聞いてみましょう! 血河選手、調子はどうですか!?」
ぽかっ。
「いたっ! 何するんですか血河さん!」
「……何する? …何するだと? そういうおまえは何故ここにいる!?」
「何ってわたしまだ現役のスポーツキャスターですよ!取材ですよ!」
「あのな……どこの世界に膨らませた腹ぶらさげて仕事する奴がいるんだ!?」
血河は愛の腹を指差す。そこは誰が見ても分かるほど大きく膨らんでいた。推定妊娠8ヶ月といったところか。
「あれほど産休取れといったのに……何故理解してくれないんだ……」
「いえいえ、まだいけますよ!大丈夫ですよ! 産気づいたら病院に戻りますから!」
「それじゃ遅いだろ! …今すぐ戻れ! 俺達二人の、初めての子供に何かあったらどうするんだ!」
「えー」
怒りを通り越して呆れ…いやむしろ悟りの領域に足を踏み入れたくなった血河は、
グラウンドのど真ん中で頭を抱える。何が悲しくてキャンプ初日にコントをやらなければいけないんだ、と…。
…いや、こんな仕事とプライベートを混同させた挙句水で薄めたような取材があるわけない。
誰かが裏で脚本(ネタ)を仕込んで愛に実行させたのだ。しかし、時既に遅し……。
「……何する? …何するだと? そういうおまえは何故ここにいる!?」
「何ってわたしまだ現役のスポーツキャスターですよ!取材ですよ!」
「あのな……どこの世界に膨らませた腹ぶらさげて仕事する奴がいるんだ!?」
血河は愛の腹を指差す。そこは誰が見ても分かるほど大きく膨らんでいた。推定妊娠8ヶ月といったところか。
「あれほど産休取れといったのに……何故理解してくれないんだ……」
「いえいえ、まだいけますよ!大丈夫ですよ! 産気づいたら病院に戻りますから!」
「それじゃ遅いだろ! …今すぐ戻れ! 俺達二人の、初めての子供に何かあったらどうするんだ!」
「えー」
怒りを通り越して呆れ…いやむしろ悟りの領域に足を踏み入れたくなった血河は、
グラウンドのど真ん中で頭を抱える。何が悲しくてキャンプ初日にコントをやらなければいけないんだ、と…。
…いや、こんな仕事とプライベートを混同させた挙句水で薄めたような取材があるわけない。
誰かが裏で脚本(ネタ)を仕込んで愛に実行させたのだ。しかし、時既に遅し……。
映像的にはおいしすぎるだろうが、これが全国ネットで流されるかと思うと悪夢以外の何者でもない。
「頑張って元気な赤ちゃん産みますから! まかせてください! ダ・ー・リ・ン(はぁと)」
「……………………はぁ」
「頑張って元気な赤ちゃん産みますから! まかせてください! ダ・ー・リ・ン(はぁと)」
「……………………はぁ」
督「…バカ夫婦だな(ニヤニヤ)」
コ「バカ夫婦だな(ニヤニヤ)」
奥「バカ夫婦だな~(ニヤニヤ)」
コ「バカ夫婦だな(ニヤニヤ)」
奥「バカ夫婦だな~(ニヤニヤ)」
おしまい。@wikiへ