主あお エロ薄(172氏)
169 名前:主あお エロ薄[sage] 投稿日:2006/01/29(日) 09:44:46 ID:P6oKzDV4
カーテンから朝日が漏れる。若干遅く起きたが、今日は完全オフなので問題ない。
今朝はやたらと体が重い。当たり前かもしれない。何故なら昨日、あれだけ激しく
動いたのだから。
カーテンから朝日が漏れる。若干遅く起きたが、今日は完全オフなので問題ない。
今朝はやたらと体が重い。当たり前かもしれない。何故なら昨日、あれだけ激しく
動いたのだから。
監督に呼びかけられたのは、丁度ランニングを終えて休憩しようというところだった。
「あおいちゃんを口説く?!」
「そうだ。今からここにあおいクンを呼んできたまえ。甘い言葉で」
強化指定選手に選ばれたのは良かったが、初めての練習があおいちゃんを
グラウンドへ誘うこと。しかも口説いて。
難しいのか簡単なのかはっきりしない。監督は本気なのだろうか。
「じゃあ……行ってきます、世渡監督」
「おう。上手くやれよ、小波」
納得しないまま、俺は室内へ向かった。
しかし、いきなり連れて来ると言われても、早々に本人が見つかるわけではない。
あてもなく探したところで何時見つかるかは分からない。
あおいちゃんなら今、何処にいるだろう。彼女は野球に対しては非常に熱心だ。
これは普段見ていても、女性でありながらプロでいるという事実からも明確だ。
室内練習場かもしれない。恐らく投げ込んでいるのだろう。俺は室内練習場への道を歩く。
扉を空けると、予想通りあおいちゃんの姿があった。
「あおいちゃんを口説く?!」
「そうだ。今からここにあおいクンを呼んできたまえ。甘い言葉で」
強化指定選手に選ばれたのは良かったが、初めての練習があおいちゃんを
グラウンドへ誘うこと。しかも口説いて。
難しいのか簡単なのかはっきりしない。監督は本気なのだろうか。
「じゃあ……行ってきます、世渡監督」
「おう。上手くやれよ、小波」
納得しないまま、俺は室内へ向かった。
しかし、いきなり連れて来ると言われても、早々に本人が見つかるわけではない。
あてもなく探したところで何時見つかるかは分からない。
あおいちゃんなら今、何処にいるだろう。彼女は野球に対しては非常に熱心だ。
これは普段見ていても、女性でありながらプロでいるという事実からも明確だ。
室内練習場かもしれない。恐らく投げ込んでいるのだろう。俺は室内練習場への道を歩く。
扉を空けると、予想通りあおいちゃんの姿があった。
170 名前:主あお エロ薄[sage] 投稿日:2006/01/29(日) 09:45:20 ID:P6oKzDV4
凛とした表情で投げる彼女のしなやかなフォームは、一言で言えば美しく、もう一つ加える
ならば、しなやかだ。
変則的な下手投げから放たれる白球。鳥の飛翔に似た軌道は、プロでは珍しい。
あおいちゃん、真剣なはずなのに可愛い。率直な感想だった。一生懸命な彼女を見ていると、
胸からじわりと不思議な感情が浮かんでくる。
しかし、今は彼女に見惚れている場合ではない。早くあおいちゃんに声を掛けてグラウンドに
来てもらおう。
今からここにあおいクンを呼んできたまえ。甘い言葉で。
監督の言葉が過ぎる。
口説くって、どうすれば良いのだろう。
「あおいちゃん。ちょっとこっちに来てくれるかな」
「ん?なーに?」
やっぱり可愛い。単なる返事がとても愛くるしい。
「え、えーと、ちょっとお茶しない?」
「は?どうしたの急に」
あおいちゃんは困惑してこちらを見ている。俺が言いたいのはこんなことではない
はずだ。
「あおいちゃん。君って良く見ると可愛いね」
ごめん。良く見なくても可愛いよ。
「え、え、どういう……意味……」
彼女の頬が、薄く紅潮した。視線が反らされた。口説くというより、まるで告白だ。
「いつも思うんだ。頑張ってるあおいちゃんって素敵だなって。練習が終わって話したり
すると、すごく楽しいなって」
あおいちゃんは何も言わない。瞳が潤んでいる様にも見える。
そして、自分が信じられなかった。口が自然と動く。当初の目的を忘れかけていた。
このまま、自分の想いを全て伝えたい。
「えっと、場所、変えようか」
「うん……」
凛とした表情で投げる彼女のしなやかなフォームは、一言で言えば美しく、もう一つ加える
ならば、しなやかだ。
変則的な下手投げから放たれる白球。鳥の飛翔に似た軌道は、プロでは珍しい。
あおいちゃん、真剣なはずなのに可愛い。率直な感想だった。一生懸命な彼女を見ていると、
胸からじわりと不思議な感情が浮かんでくる。
しかし、今は彼女に見惚れている場合ではない。早くあおいちゃんに声を掛けてグラウンドに
来てもらおう。
今からここにあおいクンを呼んできたまえ。甘い言葉で。
監督の言葉が過ぎる。
口説くって、どうすれば良いのだろう。
「あおいちゃん。ちょっとこっちに来てくれるかな」
「ん?なーに?」
やっぱり可愛い。単なる返事がとても愛くるしい。
「え、えーと、ちょっとお茶しない?」
「は?どうしたの急に」
あおいちゃんは困惑してこちらを見ている。俺が言いたいのはこんなことではない
はずだ。
「あおいちゃん。君って良く見ると可愛いね」
ごめん。良く見なくても可愛いよ。
「え、え、どういう……意味……」
彼女の頬が、薄く紅潮した。視線が反らされた。口説くというより、まるで告白だ。
「いつも思うんだ。頑張ってるあおいちゃんって素敵だなって。練習が終わって話したり
すると、すごく楽しいなって」
あおいちゃんは何も言わない。瞳が潤んでいる様にも見える。
そして、自分が信じられなかった。口が自然と動く。当初の目的を忘れかけていた。
このまま、自分の想いを全て伝えたい。
「えっと、場所、変えようか」
「うん……」
171 名前:主あお エロ薄[sage] 投稿日:2006/01/29(日) 09:45:51 ID:P6oKzDV4
俺はあおいちゃんをグラウンドへは連れて行かなかった。
ここは、ロッカールーム。殺風景だが、この時間なら誰も入ってこないだろう。俺達は練習を
抜け出してここにいる。
空気が重苦しい。窒息しそうだ。時計の音がする。他にこの場を賑わすものはなく、気が狂いそうな
沈黙が続いた。
「さっきの続き、言うよ」
あおいちゃんは小さく頷き、俺を真っ直ぐに見た。視線が交錯する。自分の呼吸、心臓の鼓動が
異常な程聞こえる。
「俺はやっと一軍になれて、最近先発に使われるようになった。でも、あおいちゃんはもっと前から
一軍にいて、中継ぎ固定も早く決まっよね」
「それは、僕にスタミナがないから……」
「今は中継ぎでちゃんと投げてるじゃないか。押しも押されもせぬ人気選手だし。俺は悔しかったよ。
でも、すごいと思った。毎日残って練習するのも見てた。いつからか分からないけど、意識してた。
だから頑張った。頑張れた」
あまり上手くは伝えられない。立派な台詞なんて言えない。だから、思ったことは確実に口にしたい。
本当はこんな前置き、飛ばしてしまいたい。
「負けられないっていう気持ちより、一緒の立場になりたいって強く思ったんだ。二軍のままじゃ
格好が付かないから」
彼女は黙って聞いてくれた。何も言えないのかもしれない。自分でも急だと感じた。我慢出来なかった。
あおいちゃん。彼女の存在は、俺にとって掛け替えのないもの。それを言葉にすればいい。
「本当はもっと活躍してから言いたかったんだけど、ちょっと焦ったかな」
「そんなことないよ。今すぐにでも聞きたいよ、小波君の気持ち。多分、僕も同じ気持ちだから」
汗が滲む。唇が乾く。初登板の緊張などとは全く違う。口が震えている。
一つ深呼吸する。そして微かに息を吸った。
俺はあおいちゃんをグラウンドへは連れて行かなかった。
ここは、ロッカールーム。殺風景だが、この時間なら誰も入ってこないだろう。俺達は練習を
抜け出してここにいる。
空気が重苦しい。窒息しそうだ。時計の音がする。他にこの場を賑わすものはなく、気が狂いそうな
沈黙が続いた。
「さっきの続き、言うよ」
あおいちゃんは小さく頷き、俺を真っ直ぐに見た。視線が交錯する。自分の呼吸、心臓の鼓動が
異常な程聞こえる。
「俺はやっと一軍になれて、最近先発に使われるようになった。でも、あおいちゃんはもっと前から
一軍にいて、中継ぎ固定も早く決まっよね」
「それは、僕にスタミナがないから……」
「今は中継ぎでちゃんと投げてるじゃないか。押しも押されもせぬ人気選手だし。俺は悔しかったよ。
でも、すごいと思った。毎日残って練習するのも見てた。いつからか分からないけど、意識してた。
だから頑張った。頑張れた」
あまり上手くは伝えられない。立派な台詞なんて言えない。だから、思ったことは確実に口にしたい。
本当はこんな前置き、飛ばしてしまいたい。
「負けられないっていう気持ちより、一緒の立場になりたいって強く思ったんだ。二軍のままじゃ
格好が付かないから」
彼女は黙って聞いてくれた。何も言えないのかもしれない。自分でも急だと感じた。我慢出来なかった。
あおいちゃん。彼女の存在は、俺にとって掛け替えのないもの。それを言葉にすればいい。
「本当はもっと活躍してから言いたかったんだけど、ちょっと焦ったかな」
「そんなことないよ。今すぐにでも聞きたいよ、小波君の気持ち。多分、僕も同じ気持ちだから」
汗が滲む。唇が乾く。初登板の緊張などとは全く違う。口が震えている。
一つ深呼吸する。そして微かに息を吸った。
「好きだよ、あおいちゃん」
体から力が抜けた。この足でしっかりと立っていることが不思議だった。
あおいちゃんの瞳に、確かな潤いがある。少しの衝撃で溢れてしまいそうだ。
「僕も好き。小波君が大好き」
一粒の雫が見えた。あおいちゃんが、気の強い彼女がこんなにも脆いことを、今知った。
好きで堪らなかった。愛しくて仕方が無かった。怒りっぽくて、優しくて、勝気で、元気で。
悩むととにかく悩む。だから、可愛い。
堪えきれずに、抱き締めた。汗を打ち消す甘い香りがする。細くて、簡単に壊れてしまいそうだ。
壊して……しまいたい。
「これ以上は、練習が終わってからにして。そしたら……ね」
俺の理性は、あっさりと抑えこまれた。抑えこまれたものは、放たれたときの勢いが激しいのに。
「どうなっても知らないよ」
あおいちゃんの瞳に、確かな潤いがある。少しの衝撃で溢れてしまいそうだ。
「僕も好き。小波君が大好き」
一粒の雫が見えた。あおいちゃんが、気の強い彼女がこんなにも脆いことを、今知った。
好きで堪らなかった。愛しくて仕方が無かった。怒りっぽくて、優しくて、勝気で、元気で。
悩むととにかく悩む。だから、可愛い。
堪えきれずに、抱き締めた。汗を打ち消す甘い香りがする。細くて、簡単に壊れてしまいそうだ。
壊して……しまいたい。
「これ以上は、練習が終わってからにして。そしたら……ね」
俺の理性は、あっさりと抑えこまれた。抑えこまれたものは、放たれたときの勢いが激しいのに。
「どうなっても知らないよ」