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プロローグ

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プロローグ

20世紀までに人類は地球全土を制覇した。またそれと同時に科学技術の発展は、インターネットや医学と情報工学の連携、そして宇宙開発、様々な発明によって我々の日常生活に幾度となく変革をもたらした。最先端の装置を用いて我々は肉体と精神の境界を突破し、科学技術の行く末はいよいよ予測不可能な時代に入っていった。意思伝達や物や金の移動は日を追うごとに加速した。こうした発展は後に誕生する「世界国家」の揺りかごとなっていくのであった。

2000年から初めの数十年間は、冷戦時代に始まった宇宙開発競争が新しい参加者を迎えて再び盛り上がりを見せた。戦略上の理由からロシア連邦がヨーロッパ連合の宇宙開発計画に参加したのだ。そして宇宙開発の分野で支配的地位を獲得していた英語圏の国々は同様の発展を見せていたアジア圏の宇宙開発計画に参加した。この国際的な対立構造は地球を越えて宇宙にまで発展することになった。

宇宙開発が重要な成果を遂げたのは2049年の時だった、その年に史上初の火星への遠征が実行されたのだ。そしてそれから30年以内に、独立した研究施設が"赤い惑星"に複数建造された。次の宇宙開拓の歴史に置かれたマイルストーンは巨大なガス惑星の衛星に建設された採掘施設だった。そこでは希少資源の採掘が行われた。2140年には新しい開拓地と地球が何百という輸送ラインで結ばれ、宇宙ステーションの数は30に達した。

太陽系の中で人類の進歩はゆっくりとしかしながら着実に進んでいった。また同時に地球の社会は根本的な変化を経験することになった。人々が古典的な消費者に変わっていくにつれて、いよいよ生産はこれに対応できなくなり、地球の容量は限界に達しようとしていたのだ。一方で国家権力の分立の構造と製造企業の権力の境界はだんだんと薄れていった。成長を続ける国家の崩壊によって国家の活動における個人の影響力は増していった。世界各地で国家権力の衰退が見られ、個人資本家はますます平然と政治活動に介入するようになった。

機能不全に陥った政府に追い討ちをかける様に新たな、そしてより重大な問題が浮き上がってきた、エネルギー危機である。新技術の研究の成果がなかなか上がらない中、再生不能資源の価格は爆発的に高騰した。第3次世界大戦は避けられないところまで来ていた。 エネルギー資源を巡り世界中で戦争が始まった。

戦争はことのほか長くは続かなかった、爆弾の破壊力よりも世界経済危機のそれの方が破壊的だったのだ。強力な国家が戦争に勝利する前に、膨れ上がった"負の投資"によって引き起こされた経済危機が傲慢と慢心に堕落した政府を崩壊させた。この伝統的な国民国家における危機は戦争を終結させたが、その後政府機関はいよいよ自国民にこれまでどおりの社会的安全を保障することができなくなってしまった。このようにして、国際的生活水準の急激な低下は同時に現行の政府に終止符を打つことになった。

国家同士が戦争している最中、巨大多国籍企業は戦略的に重要な無政府地域を次々に掌握していた。わずか100年前、革命を訴える反政府主義者達の働きは徒労に終わっていたが、これは22世紀には完全に変化していた。先の多国籍企業は議会制政治のあらゆる面、すなわち経済はもちろん、立法、行政、司法、大衆の士気をコントロールする報道機関まで全てを独占した。

世界経済の原動力は消費社会である、その復興が巨大企業の最初の目標となった。経済によって支配されているこれらの巨大な組織は人々の膨大な資源需要に応え、生活水準を安定させたとして大衆からの普遍的な支持を得た。しかし後にこの重工業の支配は、科学技術に革新を起こした施設と宇宙開発の施設によって崩されることになった。

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