どうした物か考えながら歩いていると広場に出た。
噴水まで設えてある豪華な広場だ。
端々では色々な芸をする人が日銭を稼いでいる。
ふとその一つに目を向けてみる、どうも手品を披露しているようだ。
彼の手並みは見事だった、まるっきり何をしているか見えない。
僕はお腹が空いているのも忘れてひとしきり芸を終えた彼に話し掛
けた。
「凄いね、何をやってるかさっぱり見えなかったよ。」
彼はにこやかな表情を見せた。
「タネは?もちろん仕掛けが有るんでしょ?」
もちろん教えてくれる事なんて期待していない、飯のタネを人に教
えるはずがない。
しかし予想外にも彼はあっけらかんと答えた。
「タネか、有るにはあるよ、でも仕掛けと言えるかな?仕掛けと言
うには物を使わない。」
よく解らなかったが多分彼の手品は手先の器用さを活かすのだろう、
そう思った。
「それ僕にも出来るかな?教えてくれない?」
もちろんこれも期待していない、気軽にやると決めたから気軽に聞
いただけだ。
でも彼は答えた。
「出来ないんじゃないかな、これには才能がいるんだ。」
彼はそう言いながら自分の右手から指輪を外した。
「これを付けて頭の中にこれを思い浮かべてごらん。」
そう言いながら彼は地面に英字の羅列を書いた。
噴水まで設えてある豪華な広場だ。
端々では色々な芸をする人が日銭を稼いでいる。
ふとその一つに目を向けてみる、どうも手品を披露しているようだ。
彼の手並みは見事だった、まるっきり何をしているか見えない。
僕はお腹が空いているのも忘れてひとしきり芸を終えた彼に話し掛
けた。
「凄いね、何をやってるかさっぱり見えなかったよ。」
彼はにこやかな表情を見せた。
「タネは?もちろん仕掛けが有るんでしょ?」
もちろん教えてくれる事なんて期待していない、飯のタネを人に教
えるはずがない。
しかし予想外にも彼はあっけらかんと答えた。
「タネか、有るにはあるよ、でも仕掛けと言えるかな?仕掛けと言
うには物を使わない。」
よく解らなかったが多分彼の手品は手先の器用さを活かすのだろう、
そう思った。
「それ僕にも出来るかな?教えてくれない?」
もちろんこれも期待していない、気軽にやると決めたから気軽に聞
いただけだ。
でも彼は答えた。
「出来ないんじゃないかな、これには才能がいるんだ。」
彼はそう言いながら自分の右手から指輪を外した。
「これを付けて頭の中にこれを思い浮かべてごらん。」
そう言いながら彼は地面に英字の羅列を書いた。
#include<stdio.h>
int main(void){
printf("hello, world\n");
return 0;
}
printf("hello, world\n");
return 0;
}
おや?見慣れた物が出てきたぞ?
いくらプログラミングが楽しくて仕方ないにしても夢にまで見る事
無いだろうに。
内心で苦笑しながら頭の中でハローワールドを思い浮かべた。
ついでだからちょっと書き換えてみる。自分の名前でも印字させて
みようか。
「思い浮かべた?そうしたらその指輪を地面に触れさせてみて。」
彼の指示通り地面に指輪を触れさせる。
するとまるでさっき彼が指でなぞった様に土がえぐれていく。
そしてちゃんと
いくらプログラミングが楽しくて仕方ないにしても夢にまで見る事
無いだろうに。
内心で苦笑しながら頭の中でハローワールドを思い浮かべた。
ついでだからちょっと書き換えてみる。自分の名前でも印字させて
みようか。
「思い浮かべた?そうしたらその指輪を地面に触れさせてみて。」
彼の指示通り地面に指輪を触れさせる。
するとまるでさっき彼が指でなぞった様に土がえぐれていく。
そしてちゃんと
hello, world!
by 小鳥遊 新
by 小鳥遊 新
と言う文字列を形成した。
父の膝の上で感じたのと似た感動を覚えながら僕は彼に向き直った。
彼は驚いていた、「なんだ、知ってて冷やかしたのか、参った。」
と苦笑いを浮かべた。
「いや、これがこんな事に使えるとは知らなかった。」僕は正直に、
そして夢の住人に合わせて言った。
まぁどうせ僕の世界では~なんて説明したってとうてい解って貰え
ないだろうしね。
「そうか、変わってるね、シィは知ってるのに魔法の使い方を知ら
ないんだ。あぁそうだ、この事は内緒で頼むよ?魔法だってばれた
ら俺の芸には価値が無いからね。」
彼は相変わらずの苦笑いだ。
僕は指輪を返しながら微笑んで軽く頷いた、『C言語の事はシィっ
て言うのか』なんて考えながら。
父の膝の上で感じたのと似た感動を覚えながら僕は彼に向き直った。
彼は驚いていた、「なんだ、知ってて冷やかしたのか、参った。」
と苦笑いを浮かべた。
「いや、これがこんな事に使えるとは知らなかった。」僕は正直に、
そして夢の住人に合わせて言った。
まぁどうせ僕の世界では~なんて説明したってとうてい解って貰え
ないだろうしね。
「そうか、変わってるね、シィは知ってるのに魔法の使い方を知ら
ないんだ。あぁそうだ、この事は内緒で頼むよ?魔法だってばれた
ら俺の芸には価値が無いからね。」
彼は相変わらずの苦笑いだ。
僕は指輪を返しながら微笑んで軽く頷いた、『C言語の事はシィっ
て言うのか』なんて考えながら。
彼と別れた後考えていた、きっとあの指輪はコンパイラ見たいな物
なんだろう。
printf関数が使えたから多分標準ライブラリは含んでると思われる。
他のライブラリがどうなってるかは解らないけど多分標準ライブラ
リ関数は使えるだろう。
アレが有れば僕にも魔法とやらが使えるみたいだ。
アレは売ってる物なのだろうか?
考えてるとお腹が空いていた事を思い出した。
しまった、彼にたかっておけば良かった、それに他にも色々聞いて
おくべきだったかも知れない。
こんな所で考えててもお腹は満たされない、どうもいつ覚めるか解
らない夢だし、今やりたい事は何とかしてみよう。
どうせ夢の中だからプライドも関係無い、どこかの店に入って皿洗
いでもするか。
そう思って町中をもう一度うろつく。
さっきと違って周りに注意しながら歩いているせいだろうか?
それともさっき歩いていたときには居なかったのだろうか?
さっきは気付かなかった露天商の茣蓙が目に付く。
視界の端に何かが引っかかった、何だろう?とりあえず覗いてみる
事にする。
アレ?何かが引っかかった、そこは古ぼけた道具、意味の解らない
僕にとってはがらくたでしかない物が並んでいた。
『でも・・・』
茣蓙の端に申し訳程度に置いてある指輪に気を取られる。
何だろう?何の変哲もないリングなのに、古ぼけて輝きもない銀の
塊なのに、何か気になる。
僕はそのリングを手に取ろうとした。
しかしリングを拾い上げるより先に僕の頭の上から怒声が鳴り響い
た。
なんだろう。
printf関数が使えたから多分標準ライブラリは含んでると思われる。
他のライブラリがどうなってるかは解らないけど多分標準ライブラ
リ関数は使えるだろう。
アレが有れば僕にも魔法とやらが使えるみたいだ。
アレは売ってる物なのだろうか?
考えてるとお腹が空いていた事を思い出した。
しまった、彼にたかっておけば良かった、それに他にも色々聞いて
おくべきだったかも知れない。
こんな所で考えててもお腹は満たされない、どうもいつ覚めるか解
らない夢だし、今やりたい事は何とかしてみよう。
どうせ夢の中だからプライドも関係無い、どこかの店に入って皿洗
いでもするか。
そう思って町中をもう一度うろつく。
さっきと違って周りに注意しながら歩いているせいだろうか?
それともさっき歩いていたときには居なかったのだろうか?
さっきは気付かなかった露天商の茣蓙が目に付く。
視界の端に何かが引っかかった、何だろう?とりあえず覗いてみる
事にする。
アレ?何かが引っかかった、そこは古ぼけた道具、意味の解らない
僕にとってはがらくたでしかない物が並んでいた。
『でも・・・』
茣蓙の端に申し訳程度に置いてある指輪に気を取られる。
何だろう?何の変哲もないリングなのに、古ぼけて輝きもない銀の
塊なのに、何か気になる。
僕はそのリングを手に取ろうとした。
しかしリングを拾い上げるより先に僕の頭の上から怒声が鳴り響い
た。
「誰に断ってここで商売しとんじゃ(゚Д゚)ゴルァ」
思わず力が抜けた、今時そこらのちんぴらでも言わないセリフだ。
僕はそそくさと逃げ出す、自慢じゃないが喧嘩は弱い、君子危うき
に近寄らず、ここは素直に逃げるべきだ。
しかしあの指輪が気になってしょうがない。
あのちんぴらが居なくなればもう一度アレを見る事が出来るかも知
れない。
しかし追い払うにも僕は喧嘩に全く自信がない、そこで策を弄して
みる事にする。
僕は大きく息を吸うと思いっきり叫んだ。
「衛兵さん!こっちです!ちんぴらが露天商を脅してまーす!」
子供だましだが有る意味伝説的なセリフを吐くウブなちんぴらだ、
上手くすれば引っかかってくれるだろう。
ちんぴらが足早に去っていく、なにやら捨てセリフを吐いてる様だ
が、それがかえって間抜けさを演出している。
「大丈夫ですか?」ちんぴらが去った後僕は露天商のおじさんに話
し掛けた。
「あぁ、さっきのは君かね、助かったよ。」
おじさんは笑って手を差し出した。
僕が手を握り返すとおじさんはにこやかに言った。
「礼には足りんかも知れんがうちの物一つ持って行って良いぞ。ど
うだ?この銀の指輪なんかは磨けばまだ彼女へのプレゼントにも使
える品だ。」
おじさんが指し示したのはさっきのとは違うリングだった。
僕はさっきのリングを手に取ってみる、するとさっき広場で初めて
魔法を使ったのと似た感覚を憶える。
思わず力が抜けた、今時そこらのちんぴらでも言わないセリフだ。
僕はそそくさと逃げ出す、自慢じゃないが喧嘩は弱い、君子危うき
に近寄らず、ここは素直に逃げるべきだ。
しかしあの指輪が気になってしょうがない。
あのちんぴらが居なくなればもう一度アレを見る事が出来るかも知
れない。
しかし追い払うにも僕は喧嘩に全く自信がない、そこで策を弄して
みる事にする。
僕は大きく息を吸うと思いっきり叫んだ。
「衛兵さん!こっちです!ちんぴらが露天商を脅してまーす!」
子供だましだが有る意味伝説的なセリフを吐くウブなちんぴらだ、
上手くすれば引っかかってくれるだろう。
ちんぴらが足早に去っていく、なにやら捨てセリフを吐いてる様だ
が、それがかえって間抜けさを演出している。
「大丈夫ですか?」ちんぴらが去った後僕は露天商のおじさんに話
し掛けた。
「あぁ、さっきのは君かね、助かったよ。」
おじさんは笑って手を差し出した。
僕が手を握り返すとおじさんはにこやかに言った。
「礼には足りんかも知れんがうちの物一つ持って行って良いぞ。ど
うだ?この銀の指輪なんかは磨けばまだ彼女へのプレゼントにも使
える品だ。」
おじさんが指し示したのはさっきのとは違うリングだった。
僕はさっきのリングを手に取ってみる、するとさっき広場で初めて
魔法を使ったのと似た感覚を憶える。
『もしかしてこれ・・・』
無意識にそれを指にはめ込んだ。
とりあえずさっきと同じ物を・・・
指輪を地面に触れさせる。
するとそこが石畳なのにも関わらずさっき広場で見たのと同じ文字
列を刻んだ。
驚いて目を剥いているおじさんに僕は言った。
「じゃあ、これを貰うよ。」
その時の僕は今までの人生で見せた事のない最高の笑顔をしていた
んじゃないかな。
無意識にそれを指にはめ込んだ。
とりあえずさっきと同じ物を・・・
指輪を地面に触れさせる。
するとそこが石畳なのにも関わらずさっき広場で見たのと同じ文字
列を刻んだ。
驚いて目を剥いているおじさんに僕は言った。
「じゃあ、これを貰うよ。」
その時の僕は今までの人生で見せた事のない最高の笑顔をしていた
んじゃないかな。