プログラマーがファンタジー世界に召還されますた(非公式まとめ)

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『鳥と普通に話してる。 しかも、ちゃんと会話が成り立ってる。』
マコトではなく、マサキから言葉が返ってきた。
言葉に包み隠す要素は無く、直球だ。
『・・・。 そう?』
そうボクは返したが、コレはボクの昔からの変な癖として身についていて、少し変なことにも気づいている。
ボクは稀に、動物や物に語りかける癖があるのだ。
独り言の延長に近い。
何度か止めるように言われたこともあるが、なんとも止める事が出来ない。
それにこの語りかけは、ボクなりちゃんと動物達に通じていると思っている。
『ヴィシーにも、幾人か鳥を扱う人が居るけれど、大抵は主従関係に置いている。 そのほうが、取り扱いの面において便利だからな。』
そうマコトが言ってきた。
『お互いの不十分な所を補ってもらう意味で、ボクはこのソラを友達として見てる。 そんな主従関係に置くなんて真似する気は無いよ。』
そう断言しながら、ソラに手を当てる。
ソラがボクに体を寄せてくる。
マコト達が驚愕の表情を見せる。
『スゲェ・・・。』
ヒイラギの口から漏れた。
『ああ、たった数日でココまで信頼を築けるなんてなぁ。』
マコトの口からも言葉が漏れてきた。

ココは、あの宿場町から東に三日ほど進んだ地点だ。
道は真っ直ぐに伸びている。
後ろを見ても、前を見ても道しかない。
その道の真中で、僕らは休んでいた。

『ねぇ。』
暫く驚愕の表情を見せた後、ヨモギが口を開いた。
『話は変わるけれど、貴方、何で魔法が使えるの?』
本当に、一気に話の方向が変わった。
『そうそう。 あの、宿場町で魔法のことだろ。』
マコトが加わってくる。
『そう。 ウチは、学校で習った基礎的な魔術しか使えないし、マコトは魔術研究所で教わったって聴いたけれど。 』
ヨモギが続く。
『ああ、あの魔法って、ボクが・・・その、今まで居た世界で使っていた、とある言語形態によく似てるんだ。』
ボクが返す。
『とある言語形態って、ブイシーとか言っていたヤツか? ヴィシーと発音が少し違っていたけれど。』
あの時、あの場で唯一ボクの言った言葉を聞いていたマコトがそれに返してくる。
『そう。 で、ボクはソレを趣味で使っていて、まぁ、正しい使い方とは言えないけれど、一応扱えるんだけれど。』
『ふーん。 ヴィシーにも、偶に独学の魔術塾みたいなものが在るけれど、ソレと同じようなものね。』
ヨモギが納得している。
そう言えば、僕も気になったことがあった。
『ねぇ。』
納得顔のヨモギに聞いてみる。
『ん? 何?』
『魔法を使うのに、なんか、オブジェクトを呼ぶ種類があったり、無かったりするみたいなんだけれど、どんな差があるの?』
どうしても気になった点だ。
初めて会ったときマコトは”炎のオブジェクト”を呼んでいた。
ヨモギの使っていた魔法をコピーして、ボクが作った”リカバリ”にはそんな部分は見当たらない。
『ああ、それならオレが答えてやる。』
マコトだ。
『オブジェクトって言うのは、実体魔法を使うときに呼び出すんだ。』
『たとえば、炎や氷、水なんてのもそうだな。 それらを呼び出して、対象に対して直接影響を与える。』
『もう一方のは間接魔法。』

『こっちは、お前が使った二つの魔法系だな。』
『魔法関数を使って状態を変化させ、その状態の変化により、対象に対して間接的影響を与える。』
なんだか難しい。
『良く判らないんだけれど。』
ボクはそう言う。
『そうね、たとえを言いましょう。』
ヨモギが割ってきた。
『実体魔法って言うのは、さっきも言っていたように、物体とかそれに類するものを呼び出すの。』
『たとえば氷を呼び出して、ソレを敵にぶつける。 そうすると痛いでしょう?』
『もう一方の間接魔法はちょっと難しいわ。』
『そうねぇ・・・貴方が使った魔法で言うと、温度操作の魔法ね。』
『敵の付近の温度を下げるとするでしょう? そうすると敵は強烈な寒さに襲われる。』
『大抵の敵は、コレで活動を鈍らせることが出来るし、敵によってはそれ自体で生命活動を停止するわ。』
『この場合は、”温度を下げた”ことによる”寒さ”で敵に何らかの障害を与えているの。』
さっきよりは大分解り易い説明だった。
『へぇー。 なるほどなぁ。』
ボクは感心する。
マコトが更に続けてくる。
『魔法の種類は、直接魔法よりも、間接魔法の方が多い。』
『直接魔法は、オブジェクトを使い対象に強い影響を与える反面、そのオブジェクトの扱い方で魔法詠唱に制約が出てくる。 消費する魔力も高い。』
『間接魔法は、一度に対象に与える影響は弱いが、魔法関数を使用し複雑な詠唱をすることが出来る。 消費する魔力も少ない。』
マコトが得意げに説明している。
『プッ。 何得意げになってるんだよ。 その魔法基礎は学校で誰でも習うだろうが。』
ヒイラギが突っ込みを入れている。
『あ、コラ言うな! せっかくカッコ良く決まったのに。』
マコトがそう言いながらヒイラギを追いかけ始めた。
ドッとパーティーが笑いに包まれる。
長い旅になりそうだけれど、彼らと、ソラを連れているなら、面白い旅になりそうだ。

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