プログラマーがファンタジー世界に召還されますた(非公式まとめ)

特濃師匠 ◆sisyoumI6U-03

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それからはお腹が空くと魔法を使って手品を見せたり。
そこらの日雇い労働でこっそりと魔法を使いながら楽してみたり。
そんな事をして日々を過ごしていた。
最初の頃は『この夢はいつ覚めるんだろう?』等と考えていた。
しかし、長く生活している内にほとんど確信のレベルで『夢ではない』と思う様になった。
となると元の生活に戻る方法を探さなければならない。
しかしそんな大それた事よりも、日々のおまんまを得る事の方が切実で、何かを調べてい
る余裕もない。
さらにそれももう限界のようだ。
都会の人は熱しやすく冷めやすい。
僕の手品はもう見慣れた物で、お金を払う価値は無いらしい。
おかげで三日も何も食べてない・・・
このまま死ぬ訳には行かない、何とかして元の生活に戻れないだろうか?
RPGならそこらにヒントが転がってるのに、そう考える余裕もなく、路地の隅でしゃがみ
込んで塞いでいた。

その僕に一人の男が話しかけた。
「君が評判の手品師かね?」
男は質素ながらも質の良さそうな生地の服を着ている。
そこらを歩いている人達と見た目はそう変わらない。
でも見え隠れする高級感に少し気後れした。
どうも貧乏に慣れすぎたらしい。
内心で苦笑しながら僕が頷くと彼は続けた。
「私にも一つ見せては貰えないか?忙しくて今まで見に来られなかったのだ。」
予想通りの言葉、この男なら多少は多めにお捻りをくれるだろうか?
僕は今日のご飯のためにいくつもの芸を披露した。
お腹が空いて、魔術とばれないようにこなせたか自信がない。
彼はつぶやいた。「ふむ、やはりそうか。」
何のことか解らなかった、とにかく早くお金をくれないかとやきもきした。
彼は言った、僕が想像もしていなかった意外な言葉を。
「私の名はシィ・ワン、私の元で修行してみる気はないかね?」
僕は何かのヒントが得られるかも知れない、そう思って頷いた。

僕がシィ・ワン先生の元で修行するようになって早一ヶ月。
先生にシィプ・ラプラの基礎を一通り教えられた。
もちろん、それだけで使いこなせるほど甘くない、まだまだ憶える事は沢山ある。
シィプ・ラプラと言うのは元の世界で言うC++の事らしい。
生憎僕はC++の経験が無かったので一から学んでいる状態だ。
今日の課題はエスジ・ィアィのエ・スティ・エル・ポゥトの定着(ビルド)。
エ・スティ・エルと言うのはライ・ブラリの一種らしい。
シィプ・ラプラが、標準的に使用出来るよう定められた、必ず準備すべきライ・ブラリの
一つだ。
そもそもライ・ブラリと言う物がどの様な仕組みなのかとかはよく解ってないんだけども。
多分Cマガのどこかで見かけたSTLと言う物に相当するのだろう。
他の弟子達から先生がこれをビルドしろと言うのは、自分の環境を持って良いと言う印な
のだと聞いた。
僕はうきうきしながらビルドする、先生に聞いた手順通り。
特に詰まる所も無い。
メイクの魔法が走っている最中に僕はふと思った。
『デ・ジタル・マァズの指輪の分もビルドしてみよう。』
こうして、僕は余計な苦労を背負い込んだ。

結局朝から始めて、完了したのは昼過ぎだった。
先生の部屋を訪ねる、「今日はシェーダの研究をする予定だ。」とおっしゃっていたので
部屋に居るだろう。
ノックをして入る、そのまま僕は口を開いた。
「先生、ビルドが終わりまし・・・た?・・・・何をなさっているんです?先生。」
先生は床を拭いている、テーブルの上にティーポットが有る。
どこかで見たような形だ、クラインの壺?
また魔法でお茶を入れようとしたんだろう、そして失敗した。
先生でも失敗することが有るんだなぁ、と思いながら僕は床を拭くのを手伝うのだった。
(参考: >>395)

午後はエ・スティ・エルの勉強をしていた。
「先生、このベ・クタとイテ・レータのサンプルなんですが・・・」
と、いつもの様に先生に質問していた時だった。
突然学習室のドアが勢い良く開く。
「シィ・ワン殿!皇帝からの伝達です!」
鎧を着ている、兵士だろうか?
「深刻なお話の様ですね、僕は失礼します。」
本当は兵士の顔が真剣で、その場から逃げ出したかっただけだった。

僕は自室に戻った、胸騒ぎがする、何か大きな物を失う予感。
僕のこの手の予感は、幸いながら未だ当たった試しがない。
今回も気のせいであって欲しい。
僕は自分を落ち着かせる為にお茶を飲む事にした。
先生を真似てD3DXCreateTeapotでも使おうか?
少しでも不安を振り払うため、そんな馬鹿な事を考えて見る。
少し落ち着いた、しかし、それすらもかき消すかのようにノックが響く。
「シィ・ワン殿が貴様に話が有るとおっしゃっている。」
不躾な声だった、さっきの兵士だろうか?
ざわざわと黒い霧のような感覚、さっきから僕の心は何を訴えようとしているのだろう?

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