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あねくろ@臨時まとめ
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あねくろ@臨時まとめ

ちょっと一息耳かきタイム

最終更新:

匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
「なんだか、お店ばっかりの街だね」
「ああ、そうだな……」
アスキアの街。
二人が小旅行じみた旅の果てにたどり着いたのが、この街である。
「ルネの話では、職人の街だっけ」
このアスキアは、腕のいい職人たちが作り出す様々な高品質の品物で栄えてきた街である。
よくよく観察すれば、大通りに並んだほとんどの商店が小売店ではなく、工房を備える直売店だった。
「舞人、それより早く用事済ませないと」
「あ、ああ。そうだった」
旅路でもセクロス三昧だったため忘れがちだったが、旅の目的は別にあったのだ。
「……ねぇ舞人」
「なんだ?」
「そういえば、レベルアップのために旅に出たのに、初日以来モンスターと戦ってないような気がするんだけど」
「気のせいだ!」
「え、でも……」
「何を言ってるんダ。二日目もブッチョとかいう自爆モンスターとも戦ったし、今日も街に着く直前にハイチューとかいうスケベネズミを倒したじゃナイか!」
妙にカクカクした様子で志乃に言い聞かせる舞人。
「……そういえば、そんな気もするような」
「だろ? じゃあほら、最初の目的を……」
舞人は強引に話を終わらせ、四次元サイフに手を突っ込む。
そこから取り出したのは、一通の封筒だった。
封蝋が施してあり、王家の紋章が印されている。
「これをどこに届ければいいんだっけ?」
「もう……舞人、しっかりしてよぅ。キーン工房のシャアさんっていう職人さんのところだよ」
「そうそう、そいつそいつ。なんか三倍の速さで動きそうな人だっけ」
「そこに届けて、代わりに頼んでいた品物っていうのを受け取るんだよ」
「わかったわかった。んじゃ、さっさと行こうぜ。そんで観光でもしよ」
「まったく……舞人は遊ぶことしか考えてないんだからぁ」
やれやれとばかりにため息をつく志乃。
思えば、最近はラブラブしているイメージばかりで、こうしてマイペースな舞人を志乃がてきぱきと引っ張っていく光景を見たのも久しぶりな気がする。
「ほら、舞人。こっちだよ」
「あ、ああ」
さっそく道を間違えそうになる舞人の手を引き、心なしか嬉しそうに歩き出す志乃だった。

………
……
…


「ここがキーン工房だね」
「ここにそのシャアさんとやらがいるのか?」
「そのはずだよ」
「……」
舞人は黙ってその工房を眺め、
「いや、いないだろ」
「ど、どうして……?」
「だってこの工房、赤くもないし角もないじゃないか」
「………まいと」
「じょ、冗談だよ!? そんな目で見るな!」
引き気味な志乃に可哀想なものでも見るような目で見られ、舞人は慌てて志乃に追いすがる。
「まったくもうー」
志乃は腰に手を当て頬を膨らませながら、改めて工房を一瞥する。
こぢんまりとしているが、老舗の風格が感じられる頑強で渋みのある外装。
どうやら装飾品を扱う店のようだ。
「それじゃあ、入ろっか」
「お、おう」
くすんだ色の木製のドアを開け、中に入る。
見た目どおりの狭い店内が、陳列棚が並んでいるせいで余計に狭く感じられる。
どの棚にも、素晴らしい作品が並んでいる。
ネックレス、イヤリング、リング、ティアラ、サークレットetc…。
いかにもファンタジーなデザインで、質素過ぎず派手過ぎない程よい装飾が好感を抱ける。
「いらっしゃい」
「あ、ども」
店の奥のカウンターに腰掛けていた人物に突然声をかけられた。
視線を向けると、20台半ばくらいだろうか。金髪でシャキーンとつりあがった眉が特徴的な男が腰掛けていた。
「あ、あの。お邪魔してます……わたしたち、こちらの工房のシャアさんに御用があって」
志乃が律儀にお辞儀をしつつ、要件を切り出した。
「ほう。私がこの工房の主、シャア・キーンだが……どういった用件かな?」
「あなたが……」
志乃は意外そうに呟き、シャアの姿を無礼にならない程度に上から下まで観察した。
この渋みのある店の主である割りには若すぎる印象が第一だった。
しかし、落ち着いた喋りや雰囲気は、相応の風格が感じられる。
「あんたがシャアか……」
一方の舞人は、無遠慮にもじろじろとその姿を観察していた。
金髪はいいのだが、マスクもしていなければ角の突いたヘルメットをかぶっているわけでもなく、服も赤くない。
「まいとっ!」
「うぐふっ!」
その考えが見透かされたのか、志乃から肘をもらって悶える舞人。
「ははは……面白い人たちだね。それで、用件というのは?」
「そ、そうでした。こちらを……」
志乃は舞人の手から封筒を引ったくり、シャアに差し出す。
「ルネーニの国王、ルネさん……あ、いえ。ルネ様からのお届け物です」
「ははぁ。とすると、君たちが今年の配達屋さんというわけか」
「今年の……っていうと、毎年やってることなんですか?」
志乃たちは、特に何も聞かされず、用件だけを伝えられていた。
「なんだ。知らなかったのかい? まぁ、知らなくても問題はないからいいんだけれどね」
シャアはそういって快活に笑いながら、封筒をカウンターの引き出しの中にしまいこんだ。
そして変わりに、高級そうな桐の箱に収められた何かを取り出した。
「さぁ、これが代わりの品物だ。壊れ物だから気をつけて運んでほしい」
「あの……中身は何なんですか?」
「それはルネーニに戻ってからのお楽しみだよ」
そういって微笑むシャア。
「……わかりました。気になりますけど、楽しみは後に取っておいたほうがいいですしね」
「そういうことさ」
笑いあう志乃とシャア。
「う……ぐぅ」
その足元で、腹に肘を食らった舞人が潰れた蛙のようなうめき声を上げ続けているのであった。
「メメタァ……」


(暗転)



「………」
「……ね、ねぇー」
「………」
「ま、まいとー……怒ってる?」
「別にーぃ」
仕事も終え、舞人の希望通り観光に繰り出したはいいのだが……。
「………」
舞人はすっかり不貞腐れていた。
先ほどの扱いを気にしているのが、目に見えてわかる。
「さ、さっきは仮にもルネさんから頼まれたお仕事だったから、つい……」
「つい、ねぇ。つい咄嗟にしてはめちゃくちゃ痛かったなぁー」
抉られた脇腹をさすりながら、恨みがましい目で志乃を見る舞人。
「あぅ……だから、本当にごめんなさいって……」
ますます小さくなる志乃。
「許してよぅ、舞人……なんでもお願い聞くから、ね?」
舞人も志乃の謝罪の気持ちはひしひしと感じていたし、言うほど怒っているわけでもなかった。
だが、その言葉を聴き、舞人の瞳が怪しくキュピーンと光る。
「なんでも?」
「う……うん。なんでも」
若干の後悔を感じつつ、志乃はこっくりと頷いて見せた。
「じゃあ、前から彼女が出来たら一度やってもらいたかったこと、あったんだよなー」
舞人はさっきまでのどん底テンションはどこへやら、妙にうきうきとした顔で志乃を見つめた。
「な、なぁに……?」
「あそこあそこ。あそこで売ってるあれを……」
職人の街らしく、そのブツはさほど時間をかけて探すこともなく見つかった。
舞人はスキップでその商店に駆け寄り、それを購入する。
「で、これをあそこの公園で……」
「え、ええぇー!?」
志乃は舞人が買ってきたものを見て、赤面した。
「で、でもでもぉ、公園でって……人に見られちゃうよぉ」
「大丈夫だって。それに、もし見られたら逆に見せ付けてやればいいって」
「そ、そんなぁー……恥ずかしいよぅ」
頬に手を当て、いやいやするように頭を振る志乃。
「うっ……さっき殴られたところに激痛がっ!!」
「……はぅー。殴るなんて人聞き悪いよぅ……そんなつもりじゃなかったもぅん」
舞人のわざとらしい演技に、困ったような表情をしてから、
「……もー。わかったよぅ」
「ktkr!!」
はぁぁぁ、と大きなため息をつきながらも、その表情にはどこか嬉しそうな色が浮かんでいた。


………
……
…


「や、やっぱりちょっと恥ずかしいよ」
「気にしたら負けだぞ。早くしてくれよ」
舞人が楽しそうに笑いながら、志乃を煽る。
「うー……じゃ、じゃあするよ?」
「おう」
舞人は志乃に身をゆだねた。
「そーっと……」
志乃はわざわざ口に出しながら、舞人のそこに手を伸ばす。
まずはじめに、若干のくすぐったさ。
「志乃、くすぐったい」
「わ、ご、ごめん……こういうの、やったことなくて」
「でも、気持ちいい……」
「ほんと? えへへ」
目を細める舞人の様子に、嬉しくなって微笑む志乃。
幸い、まだ公園のその一角に人影はない。
そのことが、志乃の手を積極的に動かさせていた。
「調子よくなってきたじゃないか」
「そうかな?」
巧みに気持ちいい場所を突いてくる志乃。
「おおう……そこそこ、そこがいい」
「ここ?」
「あ、あと周りも頼む」
「周りって……このへん?」
「そうそう、そこがいいんだ」
舞人の要求を素直に受け入れる志乃。
手を動かすたびに舞人が心地よさそうにしてくれるのが嬉しくて、ついつい志乃の手に力がこもる。
「いてっ」
「あっ、ご、ごめんね舞人……大丈夫?」
強くしすぎたのだろう、舞人がびくんと小さく震えた。
咄嗟に手を離した志乃は、患部にふーふーと優しく息を吹きかけた。
「うひょおおお……そ、それはかなりいいぞ」
「そ、そうなの?」
「ん。痛いのも吹っ飛ぶくらいに」
目を細めて、今度は別の意味でぞくぞくと震える舞人。
「もう痛いの大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。あ、あと裏のほうも頼む」
「ええー? う、裏もぉ?」
「オフコース」
舞人は無駄にさわやかな笑顔で、ぐっと親指を立てる。
結局志乃はそれ以上文句を言わずに、律儀に裏側をなぞり始める。
「んー……気持ちいいー……天国だー」
「大げさだよぅ」
そういいつつも、微笑みながら続ける志乃。
その目前を、不意に散歩中らしい人が通りかかる。
「っ!!」
一瞬だが、こちらに視線を向け、照れたように笑いながら早足で立ち去っていく通りすがりA。
「はうー……どうしよう、舞人。みられちゃったよぅ」
耳まで真っ赤になり、熱くなったほっぺたを押さえて悶える志乃。
「いいじゃん、別に見られて減るもんじゃなし」
「減らないけど恥ずかしいよぅー」
「それだって、何日もこの街にいるわけじゃなし。旅の恥はなんとやらって」
「で、でもぉー!」

ぐさぁぁ!!

「ぎゃああああ!!」
「ひゃあああ!? ご、ごめんねまいとっ!!」
思いがけず力を込めてしまった志乃が、舞人の奥深くを抉ってしまっていた。
志乃の膝枕の上で悶え苦しむ舞人。
「うごおおおお……」
「し、しっかりして、舞人っ」
志乃は手にしていた耳かきを放り出し、舞人の頭を抱きかかえる。
「ふおおお……や、やっぱり見かけによらず強力兵器だぜ……」
先ほどまでの天国のような心地よさから一転、地獄のような痛みである。
膝枕の心地よさと耳に与えられる刺激が病みつきになる反面、こうした不慮の事故が起こるのも耳かきというものである。
舞人はそのことを改めて痛感し、悶え苦しんだ。
「ごめん、ごめんね舞人っ……ふーふー」
「あぁ……でもやっぱ天国かも」
だが結局、耳に吹きかけられる志乃の吐息を感じ、舞人はさらに志乃の太ももを味わうように、すりすりと頬擦りをするのであった。
「ふー、ふーっ」
そんな舞人を、痛みのあまり悶絶していると思っている志乃。
次第に増え始めた散歩客たちの好機の視線を浴びて真っ赤になりながらも、甲斐甲斐しく舞人の耳に息を吹きかけ続けていた。

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