デュークの懸念が晴れないまま、連合軍の総攻撃の時が訪れた。
革命軍側は輸送艦を中心とした艦隊である。
数的には連合軍が圧倒的に優位であったが、革命軍側はアステロイドベルトの小惑星に潜み、
その姿を隠している。
ウィラードは、革命軍が潜んでいると思われる宙域を包むように、左翼の第4艦隊と
右翼の第8艦隊を潜行させ先にアステロイドにとり付かせた。
やがて連合軍の大艦隊を構成する5つの艦隊の艦首砲から、数百門の砲門が悠然と
革命軍が潜む小惑星帯の方へ向いた。
全砲門のエネルギーチャージの終了を待ってウィラード司令官が号令をかけた。
連合軍艦隊の主砲・艦首砲の一斉射撃による幾千もの閃光は、
射線上の小惑星を次々と蒸発させた。
あらわになった革命軍の艦隊に向け、連合軍の艦隊が前進する。
その隊列は一糸の乱れもなく、整然であり、荘厳ですらあった。
革命軍は隠れていた小惑星が破壊されると近くの岩礁を探し、また隠れようとした。
どうやら、小惑星を盾に逃げようとしているらしい。
その後を連合軍は傘にかかって攻め寄せた。
連合軍の艦隊が猛然と小惑星帯を進んで行くと、不意に小惑星の影から
革命軍の輸送艦が前線目掛けて突撃してきた。
ウィラード大将はこれをデコイと察した。
“デコイ”とは囮のことであるが、これに強力な爆弾を積み、接近してきた敵を攻撃する戦法がある。
ウィラードは前線部隊にレーザーでの集中砲火を命じ、デコイと思われる輸送艦を撃破した。
ウィラードは革命軍の狙いがこの奇襲だったと悟ると、思わず余裕の笑みを浮かべた。
まさかこの程度の小細工で我々の艦隊に勝利するつもりではないだろう。
ということは、敵は逃げることしか考えていないはずだ。
ウィラードは率いる各艦隊にさらなる追撃を命じた。
その時、革命軍の爆撃部隊が異形のミサイルを発射した。
その姿は従来のミサイルと比べるとはるかに巨大であった。
連合軍はレーザーで迎撃しようとするが、命中しても破壊することはできなかった。
実は革命軍が突撃させた輸送艦にはレーザー拡散物質の微粒子が満載されていた。
輸送艦が撃破されたことでこれが広がり、この宙域を通るレーザーは威力が減衰していたのだ。
革命軍の全てのミサイルは打ち落とされることもなく連合軍の艦船に命中し、
たちどころに3隻を撃沈させた。
艦隊は大混乱となった。
最終更新:2011年07月31日 11:23