ワニワニパニック - ressenrowa @ ウィキ

「いくら我らジュラル星人がおよげるからって…
初っぱなから海に放り投げる奴があるか！」

転送地点がC-６の海中であることに憤慨している。
不満をこぼす参加者は宇宙人にして地球の侵略者、
ジュラル星人のJ-1号であった。

J-1号は確かにチャージマン研こと泉研に敗北し
塵すらも残らず消滅したはずが、
眼が冷めたと思うと謎の地球人、
レインボーロケット団のサカキに有無を言わさず命令され
新幹部の座をかけたバトルロワイヤルに参戦させられたのだ。

「地球人なんかがジュラル星人を道具扱いしおって…！！」

研には殺され、なぜか生存していると
思いきやサカキによってバトルロワイヤルに巻きこまられる。

我ら大いなるジュラル星人の獲物にすぎぬ地球人ごときが
弄ぶとは馬鹿にするのも大概にすべきだ。

「さっさと陸に上がらねば…こんな海にずっといては疲れるだけだからな」

「陸まであとどれくらい泳げば良いのだ全く、本当にサカキは無礼で気がきかんやつだ。」

とにかく今は陸に向けてひたすら泳ぐJ-1号であった。

◆

地球上に存在する生物はシロナガスクジラのように体長が約30メートルに
達するほど巨大な生き物がいる。それほど大きい生物でも
自然のあるがままの流れ、あるいは環境対応による長い時間を
掛けた進化によって巨大になっていたのだ。

この進化に人間は特に関わってはいない、これは
人の手がなくとも強靱で巨体を誇る生物はいくらでも発生する事実を示している。

だがもし偶然であろうが必然であろうが人の手によって
生まれた生物は、あるいは進化した生物は
どのような存在となるか、少なくともろくな事にならないのはハッキリしているだろう。

そんなことはない、どういった形であれ
確かに可能性は低いが良いことだって極まれにあるだろうと思う者もいるかもしれないが
その希望的観測を木っ端微塵に砕くのが海を泳ぐ超巨体ワニのリジーである

ある事件で超越的な生命力と恐ろしいほどの回復力と凶暴性を得、
そして既存の生物ではありえぬパワーを振るい
暴虐をひたすらばらまく巨獣と化したリジーなのだ。

このリジーもかつてはフロリダ州エバーグレイズ国立公園の沼地でくらす
ただのワニ（クロコダイル）だったが
DNA編集によって作られた遺伝子サンプルを
事故で多量摂取したことで異常な進化を遂げたのだ。

その異常進化がリジーにとって幸か不幸かまではわからない、
しかしかよわく対抗手段がなく襲われたら死ぬしかない
一般人にとってはまちがいなく不幸だ。

背中の鱗や皮骨が異常発達し、強固な防御力を持ち、
しっぽは棍棒のように厳つくなっている。

リジーはそもそも道具を自在に扱える知能すらないため
首輪以外何も支給されてないが
凶暴性の赴くままにバトルロワイヤルでも
目に映る者すべてを壊し尽くす破壊獣として力を無軌道に振るうだろう。

泳いでいる中リジーの視界に入ったのはの紅色の体色で長い4本の触手が映えた。
人型の生き物だった。バトルロワイヤルに転送されてから一つ目の標的を見つけ
リジーは泳ぐスピードを高めた。

◆

どれほど海を泳いでいただろうか、J-１号は息を切らしつつも
ようやく上陸することができた。

「やっと陸に着けたぞ、これで名簿や渡された道具の確認ができる
名簿は確かポケナビとか言うので見れると言っていたな。」

バックからポケナビを取り出したJ-１号は
説明書に記載されているとおりに操作して名簿を閲覧した。

「研!!貴様もここにいるというのか！！」

自身を殺害した張本人泉研の名が眼に映った。
あのとんでもないガキの邪魔さえなければ
海底局が作っている新型潜水の爆破に成功し
ジュラル星人の海底基地の発見を防げたはずだ。

憎き研への怨嗟と興奮で逆上する。

Ｘ-７号をわざわざ海底局の技師と結婚させてまで
成功させようとした作戦はあと少しのところで台無しになってしまった。

だがもう後の祭り、最悪の場合
今頃その潜水艦で海底基地が発見され
いっきに叩かれることだってありうる。

そうなれば研の邪魔によってただでさえはかどらない侵略はますます
停滞し、ますます不利になってしまうのだ。

「これ以上の邪魔立てを決して許すわけにはいかん。
この俺の手で何が何でも殺してやるぞ研よ！人間どもよ！」

サカキは生き残った者は幹部にさせて
記念に願いを叶えるなどほざいていたが
そんなことは心底どうでも良い。
とにかく研を初めてとした多くの地球人を
殺し尽くしてやる。

そしてこのバトルロワイヤルの島にいる同胞たちや
我らがいだいなる魔王様とともに栄光を掴むのだ。

「サカキよ貴様とて例外ではない…何が幹部だ願いだ。信用できるか！！」

以前見返り目当てで強欲な卑劣漢が
ジュラル星人へ約３万の人命を売り飛ばそうとしたことがある。

その男の行動や存在そのものはとりわけ邪魔になるわけではなかったが
裏切りを許さぬジュラル星人からすれば、そいつは全てにおいて醜悪に思えた。
だから真っ先に殺した。同胞を平気で裏切る輩は信用に値しない。

そしてサカキもその同類であることは間違いない。

願いなどというしょうもないエサで釣って踊らせて
仕舞いには幹部も願いも反故にして消しに掛かってくるだろう
どちらにせよ奴の言うとおりに馬鹿正直に殺し合いに乗っても
ろくな結果にはならないのは確かなのだ。

◆

支給品の確認も終えたJ-１号は人間どもを一切残さず滅ぼすため歩み始めた。
具体的にどこへ行けばいいかまでは全然わからない。
かといってそんなことは動かない理由にはならないし今後も同じだ。

「ふふふふチャージマン研よ待っていろ。
このアトスメヒで跡形も残らず消し去ってやるわ！」

支給された道具の中にはかつてK-１号を
絶望と恐怖の中で葬り去ったアトスメヒがあったのだ。

その威力はパワーアップすれば生物は
どろどろに溶けてしまうほどの威力と危険性を秘めている。

これさえあればだれが相手になろうとも圧勝できるにちがいない。
研を殺害するイメージを絶えずついしてしまいにやけがとまらなかった。

「これさえあれば以前とは違い真っ正面からでも奴を始末できるぞ！笑いが止まらんわ！」

浮かれているＪ-１号をよそに
背後の海面から突如巨大な水しぶきがあがった。

「な、なんだ！？」

みずしぶきから巨大ななにかが現れた。イノシシのようなキバ
見るからに強靱そうなせびれ、エリマキトカゲすら驚愕するほどのヒレ
こんぼうのような形状の強靱な尾
そして長くて厳つい口からワニであることと首輪からしてバトルロワイヤルの
参加者であることがかろうじてわかった。

そしてそいつはワニにしてはあまりにも巨大であった。
突然変異でもこんな巨体は滅多に、いやほぼ誕生しないはずだ。
何者かによる遺伝子操作によって誕生したことは間違いない。

「一体何だ貴様は！！なんでこっちにくるんだ！！」

巨大ワニのリジーは脇目もふらずにＪ-１号めがけて走り出した。
走る速度自体は早いとまではいかないものの巨体に相応している歩幅で

距離をどんどん縮めていく。

「こんなに早く使うことになるとは！」

リジーの鼻部を狙いＪ-１号はアトスメヒを
最大にパワーアップして発射した。
泡藤色の膨大な火炎が一直線に放たれリジーの鼻部を直撃した。
鼻は神経が集中しているため、殆どの生物にとっては弱点である。
それをJ-１号はピンポイントで狙い見事直撃させたのだ。

「どうだこの威力は！そのままドロドロになれ！！」

ひるんだすきに全速力で走り抜いて逃げたが
リジーは苦痛にもだえおもわず
叫びを天に向けてあげるもすぐに体勢をととのえ
さらに激高しつつ憤慨の叫びをあげてふたたび突進してきた。
下手に手負いにしたことでさらに獰猛化してしまったのだ。

「なに！？」

威圧的な雄叫びと、どんどんと大砲のような足音を耳にして反射的に振り返る。
苦痛にたじろぐどころかますます逆上して
襲いかかる恐ろしい怪物の姿であった。

「おい!？なぜだなぜ通用しないのだ！？」

アトスメヒによる攻撃そのものは通用し
多少ひるみはした。しかしそれは異様なほど凶暴になり
高い回復力と優れた耐久力を得ているリジーからすれば致命傷にはほど遠く
鼻の溶解は全然軽い方ではあるが、手負いの獣となりますます怒り凶暴になったのだ。
アトスメヒによって一部醜く溶解された顔がリジーをより
無慈悲でおぞましい化け物に仕立て上げているように見える。

猛り狂うワニの化け物は痛みに苦しむまでもなく
脇目も振らずひたすら目の前の標的を叩き殺さんと
速度をさらに上げて追いかけてきた。

「なぜだ！？いったいなんでこんな目に遭わなくてはならないのだ！？」

恐怖に屈さず逃げつつも再びアトスメヒを撃ち
さらにダメ押しと言わんばかり眼から緑色の光線を放った。
だが激しい動揺と死への多大な恐怖が冷静さと銃撃の精度を激しく劣化させ
標準がぶれてまともに当たることはなかった。
緑色の光線を運良く鼻に当られたが
さっきのようにもだえてひるむことすらない。

ただ全力で激情のままに殺そうと突っ込んでくる。

「うびゃ」

とうとう追いつかれ、高く振り上げた右前足で何度も何度も
執拗にアトスメヒもろとも叩き潰された。ジュラル星人は基本的に
銃撃にも余裕で耐えられるほど丈夫な種族であり（例外はある）
もし何の変哲もないただのワニに襲われても難なく返り討ちにできるだろう。
だがこんな化け物に対してはどんな武器を用いても無力であった…

さらに哀れなことにジュラル星人は死亡すると
跡形もなく消滅してしまう。遺体はもちろん血すらも残らないのだ。
例に漏れず潰れた果実の如く
ぐちゃぐちゃにたたきのめされた
J-１号は全て残らず消えてしまいただ残ったのは
参加者の証である頑強でとても壊れにくい首輪と持ち主を失ったバックだけであった。

怨敵の逆襲、人類虐殺、地球の掌握、
全てにおいて何もなせず
同胞の役にも、首領である魔王の役にも立てない
無力な宇宙人は再び地球の生き物にうち負かされたのであった。

肥大化した凶暴性に支配された変異海洋生物リジー
治りが常時より遅いもののに摂取したサンプルによって
回復中ではあるが中途半端な傷の影響で
ますます獰猛となり、ただ残った首輪や潰れたバックに興味を示すこともなく
さらに獲物を求め破壊と蹂躙のためにも破壊の現場を後にした。

【J-１号＠チャージマン研！　死亡】

【リジー＠ランペイジ 巨獣大乱闘】
[状態]： 手負いによる激高、鼻部の溶解（小程度）
[装備]：特になし。
[道具]：支給品はなし。
[思考・状況]基本行動方針：凶暴さの赴くまま大暴れ。
1：とにかく暴れて破壊しまくる。
[備考]
Ｃ-６にＪ-１号の首輪とバックが放置されています。

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