守り抜く不撓の剣 - ressenrowa @ ウィキ

死んでしまった存在の蘇生、前例はないはずである。
この闘いの舞台に呼ばれる前の自分はもちろん
誰も信じたりしないだろう。

「本当に…どうして生きているの…？」

だが現に自分は地に足を付けている。
上弦の弐に負わされた致命傷も完全に治癒している。
あの死にゆく感触はまやかしだとは到底思えない。

本当に蘇生した事実に鬼殺隊の花柱の
胡蝶カナエはさすがに動揺を抑えることは不可能であった。

それともまさかここはあの世なのか？
しかし今は考えても何か解決するわけでもないため
思考を敢えてやめた。

レインボーロケット団に所属する謎の男サカキが開いた生存競争、
人を襲う鬼がいれば鬼殺隊として頸を切るしかないが
人を守り抜く使命を背負う者として受け入れる訳にはいかない。

蘇生したことに驚愕しながらもまずカナエは支給されたバッグを開き
渡されている道具などを確認しようとした
まずはポケナビで名簿の確認を行った。
ポケナビという全く知らない機械を見た時は
機械に関する知識は皆無なため一瞬戸惑ったが説明書をすぐに見つけ
それを参考にして操作した。

名簿画面にはカナエにとって極めて重大な名は並んでいた。

「しのぶ…不死川くん…」

一つは最愛の妹で胡蝶カナエともに鬼殺隊に入り一緒に戦ってきた胡蝶しのぶ
二つは風柱の不死川実弥、一見ツンツンして誤解されやすいが根は優しく温かい人物だ。
そして三つ目は下弦の壱だった鬼との闘いで殉職したはずの粂野匡近であった。

「粂野くん…！？」

自分の大切な人たちまで呼ばれてしまっている、しかもその内の一人は
亡くなったはずだが自分と同様に蘇生しているようだ。

名簿を見てますます驚愕するカナエに対して突如
とある参加者が話しかけてきた。

「おい女、貴様に聞きたいことがある。」

独特な逆立った髪型で目つきの悪い少年に話しかけられた
質問してきた少年はカナエが見たこともない
肩当ての付いた奇妙な服を身につけている。

「あなたも…この催しに呼ばれたの？」

少年も参加者の証である首輪を付けられている。
まさかこんなに幼い子供まで巻き困られているとは…

「そんな首を見ればわかるだろう、さっさと答えてもらうぞ
サカキとかいう眉なし野郎の情報や首輪の外し方を知っていればとにかく教えてくれ」

この少年は殺し合いを開いたサカキに関する情報を求めているようだ。
しかし何も知らず情報を求めているのはカナエも同じ、
死者を当たり前のように復活させる能力をもつあの男は何者なのか。

「いいえ、ごめんなさい私も何も知らないのよ、その首輪に関しても外し方もわからないわ」

「なんだそうなのか」

「じゃあ死ね！！」

極悪な笑みを浮かべながら少年は
年齢に不相応な悪意に満ちた台詞を吐き捨て
右手の一刺し指を突き出し
反応が全くできないほどの早さで光線を二連続で放ち
カナエの右足を消し飛ばし、
腹部にコイン程度の大きさの穴を開けた。

本当に何が起きたのか一瞬わからないほどで
あまりの早さに苦痛への反応が遅れるほどだ。
今の光線は血鬼術によるものか
それともカナエの知らない未知の技術による攻撃なのか
そういった考察をする暇などもなかった。

「ああっ…！」

欠損したカナエはもう両手で腹の傷口を反射的に押さえ込み
地べたへ崩れ落ち、もだえ苦しむ。

「どうやら科学にたずさわってもいないようだな、」

少なくとも首輪の外し方を探すことができる科学者などであれば
生かすつもりだったができぬのならば殺すまでだ。
カナエを殺そうとする少年、いや悪童の名はベジータ4世
彼は故郷の惑星ベジータが何らかの理由で消滅し
王位が継げなくなったことだけに不満を感じたさなか
このバトルロワイヤルに召喚された。

「言えば生かしてやってもいいんだぞ。」

この少年は生かすと言ったが嘘という
確信をカナエは持てた、今まで討伐してきた哀しい鬼たちと同様に
目元からも極悪さが理解できる恐ろしい目をしているのだ。
仮に望む情報を吐いたとしても用済みとして消しに掛かるだろう。

「し、知らないものは知らないわ…」

「そうかわかった、何も知らないというのは本当のようなんだな。」

ベジータは片手を突き出すと手から光輝く弾が発生した。
それを視界に入れてしまったカナエは自身が再び死ぬのを
嫌でも理解した。前と同じく強者になすすべなく
踏みにじられ滅びの中へ突き落とされるのだ。

（しのぶ…不死川君…粂野君…ごめんなさい、
何も役に立てなくて…本当に…ごめんね…）

妹をはじめとした仲間たちと合流し
殺し合いに立ち向かうはずが、
開始早々に見知らぬ少年によって殺され再び死ぬ
以前上弦の弐に殺された時はある程度の情報を残せたが
今はそれすらもできない。誰も救えず
何も守ることができず己の無力さに絶望すらしてしまいそうだ。

そして光弾が手から打ち飛ばされた瞬間とほぼ同時であった。

美術の作品のように優雅で凄絶な剣を咥え
背と頭部に山吹色の防具をまとい
見た者に神話に登場する英雄のような
威厳と神秘を感じさせる碧の狼が現れたのだ。

狼はカナエの前に素早く立ち激突寸前の光弾を剣の一振りで切りとばした。

飛ばされた光弾はあらぬ方向へ飛び地面にぶつかり
爆発と轟音をたたき起こしクレーターを作った。

「なんだ少し驚いたぞ、この殺し合いにはこんな犬っころまで呼ばれているのか」

今現れた狼に対してベジータは
人型以外の参加者もいるのかと
多少程度にしか驚かなかった。

「あ…あなたは…？」

カナエから見て少なくとも敵ではないことだけはわかる
そして鬼狩りに所属する自分を一切の迷いなく
助けたことから異形の存在ではあるがかといって鬼かどうかまではわからない
だがもし鬼であったら？カナエの夢の一つである
鬼とも仲良くしたいという願いが…

「……」

片方の足を消し飛ばされ腹に穴を作られた事による出血多量と
ダメージの深さが原因なのかカナエは
疑問を抱きながら失神してしまった。

狼は戦意に溢れた眼差しでベジータをにらみつけている。

「ウルォーード!!」

そのけたたましい咆哮は今起こる戦闘の合図でもあった。
その瞬間にザシアンの力が奮いみなぎり
ベジータ目がけてとびかかり
首を右へ水平に曲げて剣で切り裂かんとした。

それ見たベジータはとっさに高く跳躍することで
回避し右手を下に向けてから光弾を飛ばした。

「そおら！面白いものやるよ！」

放たれた光線はザシアンに直撃し大爆発を巻き起こす。
それにより深い煙幕に辺りが包まれた。

爆発によって巻き起こる煙が徐々に晴れていく、
煙がだいぶ薄くなり影が見えたがその影の形は狼ではなかった。

「何？なんだあれは？」

煙が晴れた場所にいたのは糸目で
緑色のかわいらしい人形だけであった。

「なんだこの人形は！？奴はどこににげた！」

一度地面に降りて周囲をベジータが見渡すが
狼の姿はどこにも見えない。
こんなときにスカウターがあればすぐに発見できると思ったが
狼は決して逃走などしていないのだ。

正確に言えば防御に徹したのだ
ザシアンが今使った技はみがわり
体力を敢えて削ることで分身を召喚し
本体は一部の技を除いて相手の攻撃から身を守ることができる。

このみがわりの分身を破壊するにはある程度の
威力がある攻撃をたたき込めば良いだけだが、
気づく手段がないベジータはまだ辺りを無意味に見渡している。

その隙をザシアンは見逃さず
倒れていたカナエを背に乗せてその場から急いで離れた。

戦闘から離脱したことが原因なのか
みがわりの分身は離れたのとほぼ同時に消滅し、
上昇した力も元に戻った。

このままベジータと戦えば倒すことはできるかも知れないと踏んでいたが
戦っている中でこの少女を人質にされる可能性を考慮したザシアンは
倒すことよりも少女の安全を優先したのだ。

ザシアンの目的は弱き者を生かし守ることであり
敵を滅すること自体はあくまでも被害の拡大を防ぐためだ。
敵の討伐そのものは最優先の目的ではない。

「なにっ！！？いつから現れたんだ！」

ベジータはみがわりの消滅と同時にザシアンの姿を見たが
あまりにも離れていてあっという間に視界から失せてしまった。

「ちっ…あの野郎ども…！！今度見つけ次第ぶっ殺してやる！」

見失ったことが原因でベジータは走って追いかけるのをしなかった。
がむしゃらに追跡して体力が無駄に失われるのを防ぐためだ。
ベジータはバトルロワイヤルの舞台に呼ばれたのとほぼ同時に
戦闘力がとんでもないほど弱体化していることに
生まれついてのエリートサイヤ人としての戦闘への
卓越したカンゆえかすぐに気づくことができた。

それは間違いではなく試しに飛んでみれば体が重く感じ
短時間しか飛べぬ事を悟り、光弾を試し打ちしてみたら
威力が明らかに低下していたのだ。

「ちっ…！どいつもこいつも癪に障るやつしかいないな…！」

苛立ちを抑えきれない
サイヤ人の王子である己を無礼にも殺し合いへ放り込んだサカキ
何の情報ももっていない役立たずの長髪の女
そしてその女の殺害を邪魔したあの犬畜生。
こいつらのせいでいちいち腹が立ってしまう。

「だが今はまあ良い、ここにいる参加者を
全て殺して最後にはこのベジータ様が願いを叶えてやる！」

殺し合いにおいてもやることは今まで行っていた
地上げという名の侵略とかわらない。
雑魚どもを一人残らず殺して思うがままにするだけだ。

そしてベジータの願いとは惑星ベジータの復活である。
惑星崩壊を知らされた時に王にはもう慣れなくなったことのみを
残念に思ったが仲間や父であるベジータ3世の死には何の感情も芽生えなかった。

サイヤ人は例外もいるが同族意識が皆無な者は珍しくない。
現にポケナビの名簿確認で同世代のラディッツの実父ことバーダックも
優勝のために殺すつもりである。
邪魔になる愚か者は知り合いの親父だろうが
例外ではない、消し飛ばしてくれる。
やはり王にはなりたい、そのため優勝した際の願いで
惑星ベジータを復活させようと目論んだのだ。

◆

カナエを背にして今、荒野を駆け抜けるザシアンは思った
このバトルロワイヤルはなにかがヤバイ、それこそ
ガラル地方を守るために暴走したムゲンダイナに
仲間たちとともに立ち向かった時と同じくらいだ。

あのサカキを食い止めなくては多くの者たちが災厄に見舞われる。
一刻も早くバトルロワイヤルを破綻させ守るべき者たちを守り抜き
元のガラル地方にいて自分がいなくなったことに困惑しているであろう
主人のポケモントレーナーの元へ生還するのだ。

記憶が正しければランクバトルに挑む直前に召喚されたはず
勝ちまくってランクをとことんあげるはずだったのに
前触れもなく突如姿を消したのだから主人は自分が
姿を消したことで計画が狂い大いに迷惑しているはず、

生還し万物を守り抜く使命を改めて誓ったザシアンであった。

【E-2/未明/一日目】
【胡蝶カナエ＠鬼滅の刃】
[状態]：右足欠損、腹部にビームによる穴、出血多量、気絶。
[装備]：特になし。
[道具]：基本支給品。ランダム支給品1～3
[思考・状況]基本行動方針：みんなと一緒に殺し合いを破綻させる。
1：………
2：しのぶや不死川くん、粂野くんたちとの合流を目指す。
[備考]
死亡後の参戦です。

【ザシアン＠ポケットモンスターソード】
[状態]：健康、けんのおう。
[装備]：くちたけん。
[道具]：基本支給品。ランダム支給品０～２
[思考・状況]基本行動方針：守るべき者たちを守り殺し合いから生還する。
1：背に乗せている少女（カナエ）を安全な場所へ送るか誰か善良な者に預ける。
［備考］
主人公のトレーナーの手持ちになってからの参戦です。
覚えている技はみがわり、きょじゅうざんです。
残り二つの技は後続の書き手様にお任せします。

【ベジータ＠ドラゴンボール超 ブロリー】
[状態]：健康、
[装備]： リット星人用の戦闘ジャケット。
[道具]：基本支給品。ランダム支給品０～２
[思考・状況]基本行動方針：優勝して、いずれ王になるために惑星ベジータを復活させる。
1：参加者は見つけ次第殺す。
2：あの女（カナエ）と犬（ザシアン）はまた会ったら殺す。
３：首輪を外せるほどの技術を持つ奴は生かしておいてやる。用が済んだら殺すけどな。
４：名簿にラディッツの親父の名前があったが関係ない、願いを叶えるためにも殺す。

［備考］
惑星ベジータの消滅を知った直後から参戦です。
制限によって超弱体化しています。飛行は短時間しかできません。

［支給品解説］

【くちたけん＠ポケットモンスターソード】
はるか昔のガラル地方で英雄が災厄を打ち払ったと伝えられている剣。
ザシアンに持たせることで剣の王の姿になる。
ザシアンからくちたけんを失わせるのは
トリックやはたきおとすなどの持ち物を
交換したり落としたりする技でも不可能である。

【リット星人用の戦闘ジャケット＠ドラゴンボール】
名の通り小柄な体格のリット星人専用の戦闘ジャケット、
伸縮性がとても優れており、肩当てがあるため一見腕が
動かしにくくなるように見えるがそんなことはなく
衝撃にもとても強い優れた防護ジャケットである。

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