兼山のハマグリは土佐の海に定着しました
2017年1月20日の衆議院での施政方針演説の一節。
「兼山のハマグリは土佐の海に定着しました。そして、三百五十年の時を経た今も高知の人々に大きな恵みをもたらしている。まさに、未来を拓く行動でありました」
「兼山のハマグリは土佐の海に定着しました。そして、三百五十年の時を経た今も高知の人々に大きな恵みをもたらしている。まさに、未来を拓く行動でありました」
兼山のハマグリとは、土佐藩家老の野中兼山が江戸から持ち帰ったハマグリを「末代までの土産」と全て海に投げ入れたのをきっかけに、土佐湾でハマグリ養殖が始まったという逸話。現在も高知県はハマグリ養殖が盛んで地元に恩恵をもたらしていると晋さんは述べている。しかし、地元の高知新聞が漁業関係者に取材した結果、演説は現実とかけ離れていると報じている。
以下、2017年1月21日付の高知新聞の記事から引用。
高知県漁業振興課「漁獲量はピーク時の4%未満」
しかし高知県はハマグリの水揚げが元来少なく、「ハマグリは全くなじみがない」と地元漁業者。高知県の海岸部では魚介資源の減少も顕著で、現実と懸け離れた演説内容に異論が飛び交った。(中略)高知県漁業振興課によると、高知県内はもともとハマグリの天然種苗が少なく、全盛期の漁獲量は1986年の約11トンで、アサリのわずか250分の1。環境悪化などで漁獲量も減少の一途で、(中略)主要産地の合計は400キロ近くに減少した。
地元漁業者「戦後は影も形もない」
1948年から高知市の浦戸湾で漁業を営む橋田さん(84)は「今も兼山の恵みがあるとかいうたら、そりゃウソじゃねえ」と苦笑いだ。 「昭和10年代までは千松公園(高知市種崎)そばの砂浜にぽつぽつハマグリがおったらしいが、戦後は影も形もない。アサリが多く採れた時期はありましたが」
直販所「中国産のハマグリを売っている」
魚介類の直販所を切り盛りする西村さん(32)の店では、いけすで中国産のハマグリを売っていた。「ハマグリ? こっちでも採れませんね。最近はアサリすら採れないのに。高知の貝というなら、ナガレコやチャンバラ、ニナ貝なら分かるけど」夏場などに千葉産の天然ハマグリを並べるが、普段は中国産を三重県で育てて太らせたものを売るという。
居酒屋「高知にはハマグリを食べる文化があまりない」
「高知にはハマグリを食べる文化があまりない。だからこそ店を出した」と話すのは、ハマグリを売りにする高知市の居酒屋の店長。貝は千葉県の九十九里浜から仕入れるという。「どこに兼山のハマグリが?」「施政方針演説じゃろ。軽いねえ」。漁業者の“引いた声”も聞かれた。
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44:00あたりから
文字ソース
議事録 第193回国会 衆議院 本会議 第1号 平成29年1月20日
高知新聞 高知はハマグリ乏しい 安倍首相の演説「今も兼山の恵み」ウソ?(アーカイブ)
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