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リリィ編 > 1


あの頃の俺は無力な子供だった。
チェンジリングデイ。俺の全ての元凶。
隕石が堕ちたあの日、俺は怪我をした幼馴染を背負って家に帰っていた。
街は燃えていたが、それでも俺は彼女をおぶってその熱気の中を歩いた。
隕石の衝撃をまともに受けた俺たちは吹き飛ばされ、俺は柔らかな泥の中に落ちたことで軽い怪我ですんだ。
幼馴染はひどい怪我をしていて、声を掛けても返事がなかった。
焦りながらも俺は彼女を家に連れて帰ろうとした。
たぶん、考えれる中で一番良い方法だった、と思う。
建物は崩れ、電柱は道路に倒れ、とてもじゃないが救急車などが来れるはずがなかった。
俺はその倒れた電信柱をくぐり、ひたすら家へと歩いていった。
ようやく自宅までたどり着いたとき、両親が出てきた。
いつもと変わらない様子で、まるで外で起こった惨事など聞こえなかったかのように正装をして。
俺は急いで彼女を両親にせた。父は彼女の首筋に手を当て、こう言った。
「これはもう駄目だ。捨てなさい、ヨシユキ」


「ヨシユキ?」
呼ばれる声で目が覚めた。
俺を真上から見下ろす深く黒い瞳をみて、俺は優しく微笑む。
「どうした?リンドウ
「うなされてたわよ」
「……そうか」
大きく息を吸い、吐く。寝汗が気持ち悪い。
「嫌な夢を見ていた。ただ、それだけだ」
半身を起こして左腕に巻かれた三本のうち、一番手前の腕時計を見る。
「午前二時。時間か」
「時間に遅れるなんて珍しいのね、ヨシユキ」
「たまには、な」
最近、嫌な悪夢を見ることは黙っておこう。無駄に心配させる必要もない。
ベットから降り、黒の外套を羽織る。藍色のマフラーを首に巻き口元を覆い隠す。
「それで、今日の仕事は?」
リンドウに尋ねると、写真を手渡された。
「コード:エデン。今回はこの人を殺すことが仕事よ」
真剣な眼差しでリンドウは俺にそう告げた。

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最終更新:2011年02月19日 22:59
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