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リリィ編 > 6



「何者だ」
服の下に冷や汗をかきながら、俺は問う。
何か危険だ。まるでシルスクラツィームと対峙した時のような。
「俺ハ、“機関・第二十八席次・ジュセル”」
「……よりによって番号付きかよ」
俺は瞬時に撤退を選択した。番号付き。つまり席次がある者は機関に属する腕利きの者達。
クロスに代表されるような機関の精鋭たちだった。
俺が顔を動かさず目だけで扉の位置を再確認していると、ジュセルが言葉を紡ぐ。
「何ヲしに機関ニ進入しタ?コの隕石ノ欠片が目的カ?」
隕石の欠片?ジュセルの視線を追うと、彼が立ち上がった手術台の隣に、黒いビー玉のような物があった。
正八面体に切り取られた黒い宝石の輝きに、俺は視線を奪われた。
「……とコろデ、オ前。“能力を否定スる能力”を持ッテいるソウだな」
男の言葉で意識を取り戻す。
「何故それを」
情報が漏れている。……いや、仕方ないか。バフ課と機関は協力関係だったな。
「そノ能力で……コノ俺と、遊んデミルか?」
瞬きをした瞬間、奴は俺の目の前に居た。

「……!!!!!!」

“比翼連理”!
左右に構えた短剣の電力を最大限に発生。双剣から発生し、融合した雷の流れがジュセルの首を襲う!
電流の鞭をジュセルは後退することで回避。さらに追撃するも、包帯男の残像を叩くだけ。
「っ、速い!」
「機関でハこノ位、当たり前ダ」
俺の雷撃が空しく緑色の機械を破壊したときには、ジュセルは壁、そして天井を蹴っていた。
強烈な跳び蹴りを胸に喰らい肋骨が歪む。衝撃で右の短剣を手放し、電流が消滅する。
「がっ」
呼吸が出来ず、がむしゃらに振った左手の短剣は宙を切った。
「……弱イな」
俺の動きを冷静に観察していたジュセルは回し蹴りを胸に放つ。
俺の身体が浮かび上がる程の鋭く重い一撃。
受身を取るも、胸郭が軋んで息が出来ない。這いつくばったままの姿で無様に包帯男を睨み付ける。
「……こレが“ドグマ”?お前ノ他の仲間モ程度が知れルナ」
「……ざけんな、てめぇ」

“能力を否定する能力”!

青い霧が俺の周囲から広がり、研究室全体まで広がる。
これでジュセルがどんな能力を持っていようが、この能力の効果範囲内で刺せば死ぬ。
全身を貫く痛みや、仲間を侮辱された怒りで脳髄が沸騰していた。
自分自身で、この精神状態はおかしいと感じながらも機能を発動させた。

「“固有磁場”発動……死ね」

赤い血が跳ねた。
包帯男の厚い胸板を、一本の黒い短剣が貫かれていた。
研究室の中央で黒い宝玉が鈍く輝いた。

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最終更新:2011年01月02日 20:52
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