ジョジョの奇妙な東方Project@Wiki

東方魔蓮記 第十話

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
この幻想郷に来てから、ディアボロは暇つぶしに何処かに出かけることが多くなった。
組織のボスという地位から離れ、コソコソする必要もなくなったからだろう。
……暇つぶしになる道具を亀の中に入れておかなかったせいでもあるが。

現在彼が向かっているのは『白玉楼』と呼ばれる場所。簡単に言ってしまえば、『あの世』の一部である。
「(生きているうちに『あの世』を見てみるのも悪くないかもしれないな……まぁ、死ぬのはずっと先だろうが)」
そう思いながら白玉楼を目指すディアボロ。だが、気配を感じて後ろを振り返る。
そこには小傘がいて、突然ディアボロが自分のほうを向いたのに少し驚いていた。
「あらら、驚かす前にバレちゃった」
「お前、気配を隠しきれていないぞ」
ちょっと悔しがる小傘。それを見て呆れるディアボロ。
気配の正体が小傘であることを確認したディアボロは、再び白玉楼に向かって歩き出す。
「あっ……ちょっと待ってよー」
それを見た小傘は慌ててディアボロを追いかける。

「ねぇ、どこに行くの?」
「白玉楼だ。……別にそこに用があるわけじゃない。暇つぶしに行ってみるだけだ」
「ふーん」
そうこうして会話をしているうちに、白玉楼の前についた。
そこから続く長い階段を、小傘とディアボロは見る。
「(この階段を上るのか?そんなことやっている最中に攻撃されたら面倒だな……)」
そう思い、階段の一段目に右足を乗せるディアボロ。
それを見た小傘は首を傾(かし)げてディアボロに質問する。
「え?この階段を上っていくの?飛んでいったほうが……」
その質問に対して、左足を階段の一段目に乗せ、ディアボロは振り返らずに答える。
「地上を歩くほうが俺は慣れている」
ディアボロはそう答えて、左足を二段目に乗せる。
ザ・フールを使えば、一応飛ぶことはできる。 ……だが、彼は飛行することに慣れてはいない。
不意打ちなどを想定した場合、スタミナを消耗するものの、階段を上っていくべきだとディアボロは判断したのだ。

階段を上り続けるディアボロ。それを浮遊しながら追いかける小傘。
ディアボロは階段を上りながら、エピタフで未来を見る。
「(やれやれ、戦いは避けられないな……)」
見えてしまった光景にため息をつく。だが、そうしている余裕は無い。エピタフの予知はすぐに的中する。
階段を上った先を見るディアボロ。見えた光景には、2本の剣を持つ白髪の少女と一つの魂。
その少女は、二つの剣のうちの大きい方……『楼観剣』を鞘から抜く。
「無言の威嚇、というわけか。一歩でも前に進んだら斬りかかって来るかもな」
「…………・・」
無言になる小傘。振り返って、ディアボロは声を掛ける。
「だが、威嚇で立ち止まる俺ではない。俺はこの先に進む」
その言葉に小傘は驚く。 斬られる可能性があるのを承知で進むのだから。
「え!?斬られるかもしれないのに!?」
「嫌なら下がれ……巻き添えをくらうぞ」
その言葉を聞き、戸惑いながらも後ろに下がる小傘。
「(階段で戦っていては不利なのは容易にわかる。だったら……!)」
そう思って、走り出すディアボロ。勿論、それを見た少女はディアボロに向かって飛びかかってくる。
ディアボロは階段を駆け上がり、少女は加速して楼観剣を構える。
エピタフの未来予知を使い、見た光景を元にタイミングを計る。
ディアボロと少女の間の距離は後10段ほどにまで詰まる。
「(今使わないと確実に斬られる!)」
ディアボロはキングクリムゾンの能力を発動し、そのまま振り返ることなく駆け上がる。
少女は何も無い空間を斬り、楼観剣を鞘に収めて戻ろうとしている。
その速度は、用を済ませたためかゆっくりだった。全力で走ったディアボロに追いつくことは無い。
そのまま上りきり、振り返った後、キングクリムゾンの能力を解除する。

「……!?なっ……!」「(あ……あれ?いつの間に二人の位置が変わっている……?)」
少女は驚き、小傘は困惑する。
すぐに少女は全速力で飛んでディアボロを追いかけ、小傘も慌てて飛んで追いかける。
それを見たディアボロは一枚はアヌビス神とクレイジーダイヤモンドのDISCを取り出して入れる。
『旦那……あのものすごい速さでこっちに飛んでくるあの少女を倒せばいいのか?』
『そうだ。……・気をつけろよ』
アヌビス神にそう話しながら、少女の攻撃をかわすディアボロ。
少女はそのままディアボロを通り過ぎ、地上に下りる。
「なるほど……俺を階段まで追い込んで落とすつもりか?」
後ろを振り返り、少女を見るディアボロ。
「貴方……なぜ私がいることを知りながらあの階段を上ろうとしたのですか?」
「簡単に言ってしまえば……興味本位だ」
その言葉に唖然とする少女。数秒の沈黙と、小傘が追いついたのと同じタイミングで少女が言葉を発する。
「私の『楼観剣』に斬れない物は殆どありません。去る気が無いのならば」「死んでもらう、か」
その言葉を聞き、鼻で笑うディアボロ。
「やってみな。但し……」
そう言って、鞘を握っていた左手の親指で鍔(つば)をはじき、右手で柄を握って刀を一気に抜く。
「それができるならな!」

突然の雰囲気の変化に驚く少女。
しかし、すぐに冷静になると、楼観剣で斬りかかる。
『油断するな。下手をすれば逆に刀を斬られるぞ!』
その言葉に動揺もせず、アヌビス神も斬りかかる。

少女は侮っていた。
相手は一振りで幽霊10匹分の殺傷力を持つ楼観剣に、普通の刀で挑もうとしている。
そんなことをしたところで、無意味なのだと考えていた。

楼観剣と刀がぶつかりあい、二人とも後ろに跳躍して下がる。
「(……ありえない。楼観剣が普通の刀を斬ることができないはずが無い!)」
少女は動揺し、アヌビス神も驚いていた。
「(今までのどんな刃物よりも切れ味が鋭い……。しくじったら……!)」
舌打ちをするアヌビス神。再び斬りかかるも、少女は冷静にその攻撃を楼観剣で受け止める。
そのまま鍔迫り合いになり、二人とも後ろに跳躍して下がる。
「……お前、名前は?」
「……魂魄 妖夢(こんぱく ようむ)」
突然のアヌビス神の質問に、妖夢は不思議に思いながらも、質問に答える。
「魂魄 妖夢か……確かに覚えたぜ」
そう言って不敵な笑みを浮かべるアヌビス神
『おい……落ち着いて行動しろよ。油断すると負けるぞ』
嫌な予感がしたディアボロは、アヌビス神にキングクリムゾンを使ってそう言う。
『分かっているさ旦那』
その言葉と共に斬りかかるアヌビス神。対する妖夢は楼観剣で受け止める。
受け流し、斬りかかるも、アヌビス神は一瞬時間を消し飛ばして回避する。
「(今、斬ったはずなのに斬れた感触が無かった……?)」
不思議に思っていた矢先……

「おいおい、本気出しているのかぁ?」
アヌビス神が妖夢を挑発した。しかも刀を鞘に収めた。
『おい馬鹿!挑発するなら相手を選べ!しかも刀を鞘に収めるな!』
焦るディアボロ。余裕の笑みを浮かべるアヌビス神。
アヌビス神の取った行動と挑発に、身体を震わせる妖夢。直後、無言で短いほうの剣……『白楼剣』を鞘から抜く。
「(あわわわわ……・あれ完全に怒っているよ……)」
二人の戦いを見ていた小傘はそう思うが、二人の戦いに割って入ることができない。
理由は単純。巻き添えをくらいたくないからだ。
『あんな奴は感情に流されやすい……』
妖夢はアヌビス神に向かって走りだす。
『……そういう奴はまだまだ甘いってわけよ』
それを見たアヌビス神は、カウンターを狙って、柄を握って構える。

妖夢がアヌビス神に斬りかかった瞬間。
刀が鞘をすり抜け、一瞬だけ白楼剣と楼観剣を受け止め。

―そのまま二つとも斬った

そのまま右に移動して、落下する白楼剣と楼観剣の刃を回避する。
地面に落ちた白楼剣と楼観剣の刃を見て、妖夢は呆然とした。
『ま、こんなものかな……旦那。そろそろ代わるぞ』
そう言って鞘に刀を収めるアヌビス神。
「……おい、どうした?」
妖夢の手から力が抜けたのだろう。白楼剣と楼観剣も地面に落ちる。
「私が……剣術の勝負で……負けた…………」
その様子を見た小傘が、妖夢とディアボロに近寄る。
「完全に落ち込んでいるね……敗北が強く応えたみたい」
「幽々子様……私は……」
『……気持ちは分かる。旦那、あの剣直してやりなよ。』
『しょうがないな』と返事をし、クレイジーダイヤモンドで楼観剣と白楼剣を直す。
「(本来はこの刀を斬り捨てられたときのために入れていたんだけどな……)」
ディアボロはそう思いながら、楼観剣と白楼剣を拾う。
「……ほらよ」
その言葉に妖夢は顔を上げ、ディアボロを見る。その目には、涙がこぼれていた。
妖夢はディアボロから楼観剣と白楼剣を無言で受けとり、鞘に収める。
ディアボロはアヌビス神のDISCを取り出し、ケースに入れる。


「なかなか良い戦いだったわよー」
その言葉に、ディアボロと小傘と妖夢がふりかえる。
「ゆ……幽々子様!?いつから見てたんですか!?」
主が見ていたことに驚く妖夢。そして動じないディアボロ。小傘は少し下がる。
「(幽々子……西行寺 幽々子か。妖夢が仕える人物……いや、亡霊か)」
「桃色の長い髪に斑点模様……貴方が噂に聞く『ディアボロ』ね」
そう言って笑みを浮かべる幽々子。だがディアボロはその笑みが油断できないものであると判断した。
「(こいつ……紫みたいに何を考えているのかわからない笑みを浮かべていやがる……)」
警戒するディアボロを見て、妖夢は再び身構えるが、幽々子は態度を変えない。
「そんなに警戒しなくてもいいでしょう?」
「……………………(警戒せずにいられるか。お前の能力は面倒なんだよ)」
「(俺は『結果からいうと効かない』が、一度死んでいる間何をされるか考えたくも無い)」
無言で、警戒を解くことも無いディアボロ。それを見て、幽々子はちょっと不機嫌になる。
「せっかくだからゆっくりしていきなさいよー」
「……………………(こいつ……絶対何か企んでいる……あの目は絶対何か企んでいる目だ)」
「(……俺を殺してここに住まわせようと考えているような気がする)」
ディアボロは警戒を解く気はない。それに気がついた幽々子は一つ質問をする。
「もう……そんなに私が怪しく見えるの?」
「怪しいとは言ってない」
そう言って幽々子に背を向けるディアボロ。
「そろそろ帰る。機会があったら、また会おう」
そう言ってディアボロはその場から立ち去っていく。
「あ……ちょっと待ってー」
そう言って小傘もついて行く。

白玉楼に続く階段を下りて、しばらく移動した小傘とディアボロ。
「ねぇ、あんな態度とって良かったの?」
小傘がディアボロの顔を覗き込んでそう言った。
「何を考えているか分からない奴ほど面倒だ……」
ふとある二人の人物を思い出し、嫌な顔をする。
「ふーん……(これ以上聞くのは止めとこ……なんだか嫌なことを思い出したみたいだし)」
そう思った後、宙に浮く小傘。
「それじゃ、私はどっかに行くから」
「ああ、気をつけろよ」
空に去っていく小傘を見送ると、ディアボロは人里に戻るために歩き始めた。


「大丈夫よ妖夢。負けるときもあるんだから」
そう言いながら妖夢の頭を撫でる幽々子。妖夢はまだ落ち込んでいる。
「ですが……ですがっ……!」
しかも今度は泣きそうになっている。己の敗北を主に見られていたからだ。
「ほら、しっかりしなさい。」
そう言って妖夢の肩を軽く叩く。
「……はい」
その言葉に、妖夢は頷いて応えた。

「それにしても、あの男は一体……?刀を抜いた瞬間から、まるで別人のような雰囲気に変わりましたが……」
「ディアボロのことね。私が知っているのは全て紫から聞いたものだけど……」
落ち着いた妖夢から尋ねられ、幽々子は紫から聞いたことを話した。

紫が彼を幻想郷に連れてきたこと、CDと呼ばれる外の世界の道具にそっくりな道具を使うこと。
実力は高く、風見幽香に勝ったことがあること。

「だけど、別人格の存在は聞いたこと無いわね……」
そう言って悩む幽々子。しかし数秒も経たずに考えるのをやめた。
今考えても意味は無いから。今は、戻ってきた平穏を再び楽しむことを一番に考えたから。

穏やかに吹く風を感じながら、幽々子はのんびりとしていた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー