ディスクブレイカー☆フラン
OPテーマ キングクリムゾン『RED』
紅い月の輝く夜、紅魔館の屋根の上に、一人の男が立っている。
フランは時計の針に似た形の杖を握り、その男と相対している。
フランは懐から一枚のDISCを取り出す。
「やっと見つけた……あなたがこの『記録』っていうのをばら撒いていた犯人ね!」
DISCは、目の前に立つ男の顔を映す。
「私はついに手に入れた……真に究極の生命を!」
男は腕を掲げて叫ぶ。
周囲から、『族長! 族長! 族長!』とガヤが沸き起こる。
男の顔は、仮面で隠されていた。
灰色の石でできた、禍々しい仮面。
戦いの始まりを告げるかのように、12時を告げる鐘が鳴った。
OPテーマ キングクリムゾン『RED』
紅い月の輝く夜、紅魔館の屋根の上に、一人の男が立っている。
フランは時計の針に似た形の杖を握り、その男と相対している。
フランは懐から一枚のDISCを取り出す。
「やっと見つけた……あなたがこの『記録』っていうのをばら撒いていた犯人ね!」
DISCは、目の前に立つ男の顔を映す。
「私はついに手に入れた……真に究極の生命を!」
男は腕を掲げて叫ぶ。
周囲から、『族長! 族長! 族長!』とガヤが沸き起こる。
男の顔は、仮面で隠されていた。
灰色の石でできた、禍々しい仮面。
戦いの始まりを告げるかのように、12時を告げる鐘が鳴った。
それと同時に、フランがベッドから転げ落ちた。
「……夢?」
どうやら夢だったらしい。
壁にかけてある柱時計を見る。ガラスで出来た、仕掛けも無いのに動く時計。
その針は、ガラス板に刻まれた12の文字を指している。
「夜かな? 昼かな?」
フランの部屋は地下にあるため、今が昼なのか夜なのか確かめることが出来ない。
ともあれ、昼なのか夜なのかを確かめるために部屋を出ると、
「むきゅぁ~! その体たらくでは我が七曜格闘魔術を受け継ぐことは出来んぞ小悪魔!」
「ま、まだまだ!」
目の前で何故かパチュリーと小悪魔が肉体言語を語っていた。
「…………」
フランは考えるのをやめた。
「よし、幻だねこれは」
フランは目の前の光景をただの幻と決め付けると、足早に図書館から出て行こうとした。(図書館の中にフランの部屋はある。恐らく設計ミス)
本棚の間を走っていると、だんだんおかしな音が聞こえてきた。
「……なんだろう?」
よく耳を済ませると、それは音楽のように規則性を持っていた。
「いつからうちは12時の鐘を音楽に変えたのかな?」
出口へ歩いていくと、その音はだんだん大きくなっていく。
図書館のドアを開ける。
人気の無い廊下を歩くと、かちりと言う音がした。
「……まさか」
昨日見た光景をフランは思い出した。
確かディアボロと名乗る男がこれを踏んだ後、頭から何かが飛び出して青いのに殴られて飛んでいったっけ。
静かに、足元を見てみる。
「……夢?」
どうやら夢だったらしい。
壁にかけてある柱時計を見る。ガラスで出来た、仕掛けも無いのに動く時計。
その針は、ガラス板に刻まれた12の文字を指している。
「夜かな? 昼かな?」
フランの部屋は地下にあるため、今が昼なのか夜なのか確かめることが出来ない。
ともあれ、昼なのか夜なのかを確かめるために部屋を出ると、
「むきゅぁ~! その体たらくでは我が七曜格闘魔術を受け継ぐことは出来んぞ小悪魔!」
「ま、まだまだ!」
目の前で何故かパチュリーと小悪魔が肉体言語を語っていた。
「…………」
フランは考えるのをやめた。
「よし、幻だねこれは」
フランは目の前の光景をただの幻と決め付けると、足早に図書館から出て行こうとした。(図書館の中にフランの部屋はある。恐らく設計ミス)
本棚の間を走っていると、だんだんおかしな音が聞こえてきた。
「……なんだろう?」
よく耳を済ませると、それは音楽のように規則性を持っていた。
「いつからうちは12時の鐘を音楽に変えたのかな?」
出口へ歩いていくと、その音はだんだん大きくなっていく。
図書館のドアを開ける。
人気の無い廊下を歩くと、かちりと言う音がした。
「……まさか」
昨日見た光景をフランは思い出した。
確かディアボロと名乗る男がこれを踏んだ後、頭から何かが飛び出して青いのに殴られて飛んでいったっけ。
静かに、足元を見てみる。
「……げげっ」
そこに書かれているのは、『対魔理沙』の文字。
少し前の光景が蘇る。
――「これでよい」
――パチュリーはどこか嬉しげな表情を浮かべて、それを床に置いた。
――「それ、何?」
――フランがそれを指差して質問すると、パチュリーは、
――「これは魔理沙対策の罠よ……これに引っかかった者は触手に捕らえられて……ウフフ」
――妖しげに嗤って応える。
――「ココに置いておくから注意なさい」
思い出すのが終わる頃、魔方陣がフランの頭上に光り、そこから何本もの触手が出てくる。
「うわぁぁぁ! このままじゃ一気に18禁にーッ!」
叫ぶのもつかの間、手が触手に絡め取られる。
「た、助けてーッ!」
涙目になりながら、フランは叫ぶ。
すると、廊下の暗闇の奥から一本のナイフが、回転しながら飛んで来た。
それは触手を切り裂き、フランを触手から解放させる。
触手はひるみ、魔方陣の奥へと消えていくと魔方陣ごと消滅した。
「やれやれ。騒音の原因を探していたら、まさか君に出会うとはね」
暗闇の奥から姿を現したのは、本を手に持つ一人の少年。
少年は壁に刺さったナイフを抜き、懐にしまう。
フランは彼を指差し、
「えっと……地味な人!」
驚きの声を上げた。
「いや、僕の名前は『地味な人』じゃなくて、『蓮見琢磨』って言う名前があるんだけどね」
地味な人といわれた少年こと、蓮見琢磨は困ったかのような表情を浮かべて手元の本を閉じた。
手元の本は驚くことに消失し、彼の手元は自由になった。
「ところで、図書館の様子は見たか?」
琢磨に質問されたフランは、うなづいた。
「それなら良かった。あの二人はどこからどう見てもおかしいだろ」
「うん。おかしい」
「アレには原因があるんだ」
「原因があるの?」
「あるんだ」
目を丸く見開くフランに、うなづく琢磨。
「どうも、二人が変になった原因は、さっきから鳴り響いている音楽らしい」
「音楽って、今聞こえているこれ?」
「ああ。ただ、この原因の正体がわからないんだ」
悩み顔で、手を顎に添える琢磨。
「でも、何でこの音楽が原因だって、分かるの?」
フランは首をかしげた。
「昨日まではこんな音楽は流れていなかったし、あの二人もまともだった。今日になってこのみょんな音楽が流れ始めて二人がおかしくなったんだ。どう見てもこの音楽が原因だと考えるだろ」
そこに書かれているのは、『対魔理沙』の文字。
少し前の光景が蘇る。
――「これでよい」
――パチュリーはどこか嬉しげな表情を浮かべて、それを床に置いた。
――「それ、何?」
――フランがそれを指差して質問すると、パチュリーは、
――「これは魔理沙対策の罠よ……これに引っかかった者は触手に捕らえられて……ウフフ」
――妖しげに嗤って応える。
――「ココに置いておくから注意なさい」
思い出すのが終わる頃、魔方陣がフランの頭上に光り、そこから何本もの触手が出てくる。
「うわぁぁぁ! このままじゃ一気に18禁にーッ!」
叫ぶのもつかの間、手が触手に絡め取られる。
「た、助けてーッ!」
涙目になりながら、フランは叫ぶ。
すると、廊下の暗闇の奥から一本のナイフが、回転しながら飛んで来た。
それは触手を切り裂き、フランを触手から解放させる。
触手はひるみ、魔方陣の奥へと消えていくと魔方陣ごと消滅した。
「やれやれ。騒音の原因を探していたら、まさか君に出会うとはね」
暗闇の奥から姿を現したのは、本を手に持つ一人の少年。
少年は壁に刺さったナイフを抜き、懐にしまう。
フランは彼を指差し、
「えっと……地味な人!」
驚きの声を上げた。
「いや、僕の名前は『地味な人』じゃなくて、『蓮見琢磨』って言う名前があるんだけどね」
地味な人といわれた少年こと、蓮見琢磨は困ったかのような表情を浮かべて手元の本を閉じた。
手元の本は驚くことに消失し、彼の手元は自由になった。
「ところで、図書館の様子は見たか?」
琢磨に質問されたフランは、うなづいた。
「それなら良かった。あの二人はどこからどう見てもおかしいだろ」
「うん。おかしい」
「アレには原因があるんだ」
「原因があるの?」
「あるんだ」
目を丸く見開くフランに、うなづく琢磨。
「どうも、二人が変になった原因は、さっきから鳴り響いている音楽らしい」
「音楽って、今聞こえているこれ?」
「ああ。ただ、この原因の正体がわからないんだ」
悩み顔で、手を顎に添える琢磨。
「でも、何でこの音楽が原因だって、分かるの?」
フランは首をかしげた。
「昨日まではこんな音楽は流れていなかったし、あの二人もまともだった。今日になってこのみょんな音楽が流れ始めて二人がおかしくなったんだ。どう見てもこの音楽が原因だと考えるだろ」
「と、とりあえず上に行ってみて、他におかしな所が無いか探してみようよ」
フランは一歩を踏み出して、琢磨のほうを向く。
「それもそうだな。こうも雑音が鳴り響いていたら、読書に集中できない。読書の邪魔をする奴は重罪だってことを知らしめてやらねば」
琢磨と、フランは歩き始めた。
小さな魔法の火だけの薄暗い廊下を歩き、階段を登る。
一階へとたどり着くと、
「「え……」」
二人は衝撃を受けた。
働いているのだ。賑やかし役同然の妖精メイドたちが。
しかも、嫌々とか言う雰囲気ではなく、てきぱきと、素早く、かつ精密に。
「どういうことなの……」
フランは、呆然として目の前の出来事を見つめていた。
その間にも妖精メイドたちはシーツを運び、慌しく廊下を飛ぶ。
「これは……いよいよ以ておかしくなってきたぞ……さっきの光景なら二人のお遊びと解釈できるが……さすがにこれは……異常すぎる」
琢磨もさっきまでの凛とした表情を崩し、呆けた顔で妖精メイドの働きを見る。
「とりあえず、咲夜を探そう。咲夜ならなんとかしてくれる……かも」
フランは目の前の異常事態に対し、メイド長の咲夜に助けを求めることにした。
いそいそと動く妖精メイドの一人を捕まえ、咲夜は今どこにいるかを聞く。
だが、帰ってきた答えは
「お楽しみ中です」
の一言であった。
「「は?」」
妖精メイドのそっけない一言に、そろって首をかしげる二人。
「ですから、先ほどお嬢様が咲夜殿の部屋に向かわれ、鍵をかけられました。今頃は二人でお楽しみ中かと」
それだけを言って、妖精メイドは歩き去っていく。
「お楽しみって……何やってるんだろ?」
頭上に疑問符を浮かべるフラン。
「あの二人は……こんな非常時に何やってんだ……」
ひどい頭痛に襲われたかのように頭を抑える琢磨。
「気を取り直して、他におかしな所が無いか探してみよう」
頭を振り、琢磨は歩こうとする。
「えー。咲夜が何やってるか見に行かないのー?」
フランが駄々をこねる。
琢磨はバランスを崩してこける。
「あのな、今さっきメイドが鍵をかけたって言っただろ? 今言ってもドアは開かないよ」
「ドアを壊せばいい」
「……はぁ」
再び頭を抱える琢磨。
「待て待て。そこはまだ最後で良いだろ。次は門の方に行こう」
「……ちぇっ」
琢磨の提案に、フランはつまらなさそうな顔をして、歩き出す。
門の方向を目指し、エントランスホールまでたどり着く。
「……さっきよりも音は離れているな。とりあえず、美鈴はどうなっているか確かめよう」
琢磨はドアを開く。
二人の目の前に、月明かりに照らされた庭園が現れる。
どうやら今は真夜中の12時らしい。
中央の石畳を歩き、門まで近づくと、案の定門番の美鈴が爆睡していた。
「寝てるね」
鼻提灯を作る美鈴の横顔を、フランが覗き込む。
「ああ。いつも通りだな」
フランの横で、うなづく琢磨。
「起こす?」
「いや、面倒なことになるから止めておこう」
二人は、踵を返してエントランスホールのドアへと向かう。
重厚な造りのドアを開くと、
「「うわっ!」」
突如押し寄せてきた音の津波に耳を塞いだ。
音楽もここまで来るとただの雑音。
気が狂いそうになるほどの音量に二人はただただ耳を塞ぐことしか出来ない。
音源の方に目を向けると、そこには人影が。
「あ、アレは……」
フランが目を凝らして見ると、その人影は大きな箱のようなものを抱えていた。
人影は、箱の横から伸びるレバーをくるくると回している。
だが、両手で耳を塞いでいる今ではどうしようもない。
「このままでは、殺られてしまう!」
琢磨は、なんとかこの状況を打開しようと模索する。
フランは一歩を踏み出して、琢磨のほうを向く。
「それもそうだな。こうも雑音が鳴り響いていたら、読書に集中できない。読書の邪魔をする奴は重罪だってことを知らしめてやらねば」
琢磨と、フランは歩き始めた。
小さな魔法の火だけの薄暗い廊下を歩き、階段を登る。
一階へとたどり着くと、
「「え……」」
二人は衝撃を受けた。
働いているのだ。賑やかし役同然の妖精メイドたちが。
しかも、嫌々とか言う雰囲気ではなく、てきぱきと、素早く、かつ精密に。
「どういうことなの……」
フランは、呆然として目の前の出来事を見つめていた。
その間にも妖精メイドたちはシーツを運び、慌しく廊下を飛ぶ。
「これは……いよいよ以ておかしくなってきたぞ……さっきの光景なら二人のお遊びと解釈できるが……さすがにこれは……異常すぎる」
琢磨もさっきまでの凛とした表情を崩し、呆けた顔で妖精メイドの働きを見る。
「とりあえず、咲夜を探そう。咲夜ならなんとかしてくれる……かも」
フランは目の前の異常事態に対し、メイド長の咲夜に助けを求めることにした。
いそいそと動く妖精メイドの一人を捕まえ、咲夜は今どこにいるかを聞く。
だが、帰ってきた答えは
「お楽しみ中です」
の一言であった。
「「は?」」
妖精メイドのそっけない一言に、そろって首をかしげる二人。
「ですから、先ほどお嬢様が咲夜殿の部屋に向かわれ、鍵をかけられました。今頃は二人でお楽しみ中かと」
それだけを言って、妖精メイドは歩き去っていく。
「お楽しみって……何やってるんだろ?」
頭上に疑問符を浮かべるフラン。
「あの二人は……こんな非常時に何やってんだ……」
ひどい頭痛に襲われたかのように頭を抑える琢磨。
「気を取り直して、他におかしな所が無いか探してみよう」
頭を振り、琢磨は歩こうとする。
「えー。咲夜が何やってるか見に行かないのー?」
フランが駄々をこねる。
琢磨はバランスを崩してこける。
「あのな、今さっきメイドが鍵をかけたって言っただろ? 今言ってもドアは開かないよ」
「ドアを壊せばいい」
「……はぁ」
再び頭を抱える琢磨。
「待て待て。そこはまだ最後で良いだろ。次は門の方に行こう」
「……ちぇっ」
琢磨の提案に、フランはつまらなさそうな顔をして、歩き出す。
門の方向を目指し、エントランスホールまでたどり着く。
「……さっきよりも音は離れているな。とりあえず、美鈴はどうなっているか確かめよう」
琢磨はドアを開く。
二人の目の前に、月明かりに照らされた庭園が現れる。
どうやら今は真夜中の12時らしい。
中央の石畳を歩き、門まで近づくと、案の定門番の美鈴が爆睡していた。
「寝てるね」
鼻提灯を作る美鈴の横顔を、フランが覗き込む。
「ああ。いつも通りだな」
フランの横で、うなづく琢磨。
「起こす?」
「いや、面倒なことになるから止めておこう」
二人は、踵を返してエントランスホールのドアへと向かう。
重厚な造りのドアを開くと、
「「うわっ!」」
突如押し寄せてきた音の津波に耳を塞いだ。
音楽もここまで来るとただの雑音。
気が狂いそうになるほどの音量に二人はただただ耳を塞ぐことしか出来ない。
音源の方に目を向けると、そこには人影が。
「あ、アレは……」
フランが目を凝らして見ると、その人影は大きな箱のようなものを抱えていた。
人影は、箱の横から伸びるレバーをくるくると回している。
だが、両手で耳を塞いでいる今ではどうしようもない。
「このままでは、殺られてしまう!」
琢磨は、なんとかこの状況を打開しようと模索する。
人影が、迫る。
「腹をくくるか」
琢磨は鼓膜が破れるのを覚悟し、懐からナイフを取り出して、人影へと走り始めた。
そうして一歩を踏み出した瞬間、踏みしめた足が浮かぶような感覚を覚えた。
まるで旋律が心の隙間にねじ込まれているよう。
魂が音階につれて揺れ動くような心地。
天地が逆転し、前後左右が不覚になる。
思考が、消えて行く。
琢磨の体が、床に崩れ落ちた。
「た、琢磨……? どうした……?」
フランは、耳を塞ぎながら倒れこんだ琢磨を見つめた。
倒れている琢磨の元に、人影がやってきた。
フランは、その人影の正体を見る。
「あ、あなた……」
フランの目に入ったのは、手回しオルガンを持つ老人。
オルガンのハンドルが回転するたび、肩の上に乗っかっているスピーカーが音楽を垂れ流す。
「そう。わしこそがこの音楽を流している犯人」
老人は、にやりと笑ってオルガンの演奏を止める。
「なんでそんなことを!」
「答えは簡単じゃ。老後の楽しみじゃからよ」
飄々とした老人の笑みに、フランは自分を重ねた。
――目の前の老人は、私と同じように狂っている。
そして、一つの考えが浮かび上がった。
――目の前の狂った老人が自分の音楽を聞いて平気なら、自分もこの音楽を聞いて平気なはず。
両手を耳から外し、時計の針を模した杖を取り出す。
「おひょひょ? いいのか? 音楽は知性ある者を揺さぶる。音楽は知性ある者の心を支配する。音楽は音楽は原始の衝動! わしの『ストレイジ・リレイション』が奏でる音楽を聴いて狂わぬものはいないッ!」
老人は、手回しオルガンを廻し始めた。
「立ち上がれ! スタンド使いの少年よ! 目の前の小娘を惨殺しろッ!」
老人の号令と共に、倒れていた琢磨が立ち上がった。
「タリラ~リリイィィ~『The・Book』」
琢磨は、死んだ魚の目をして己のスタンド、『The・Book』を発現。
そのページを開く。
すると、琢磨の目に光が戻った。
「……ハッ! 僕は今まで何を!」
琢磨はあっけにとられながら、周りを見る。
「な、何じゃと! こいつ、わしの『ストレイジ・リレイション』の術中から自力で逃れたじゃと!?」
老人は、驚愕してしりもちをつく。
だが、その驚きの表情はすぐににやけた顔に変わる。
「……じゃがこれで証明された。わしの『ストレイジ・リレイション』は未だ健在ッ! 吸血鬼だの魔法使いだの名乗っていたガキどもは少しおかしくなるだけじゃったが、スタンド使いは完全に操ることが出来るッ!」
老人は立ち上がり、手回しオルガンに手をかけた。
琢磨の『The・book』のページがめくれ始める。
目指すページは唯一つ。
あの雪の振る、鮮烈な戦いの最期。
今ココで奴を即死させるにはそれしかない。
「フラン、奴を足止めしろッ! 奴に音楽を奏でさせるなッ!」
琢磨が叫ぶ。
フランは杖を振り上げ、老人へと走りこむと、
「何も音楽を奏でるだけが『ストレイジ・リレイション』ではないッ!」
老人のオルガンが震えた。
次の瞬間、フランと琢磨にガラスが降り注いだ。
老人のオルガンから出たのは音楽ではなく、人の可聴音域を超えた音、超音波。
この音のせいでエントランスホールのドアの上にある、豪奢なステンドグラスが砕けたのだ。
「うおッ!」
フランと琢磨はガラスのシャワーを浴びた。
体のいたるところにガラスが突き刺さる。
「さあ再び狂うがいいスタンド使いの少年よ!」
老人は再びオルガンを廻す。
「腹をくくるか」
琢磨は鼓膜が破れるのを覚悟し、懐からナイフを取り出して、人影へと走り始めた。
そうして一歩を踏み出した瞬間、踏みしめた足が浮かぶような感覚を覚えた。
まるで旋律が心の隙間にねじ込まれているよう。
魂が音階につれて揺れ動くような心地。
天地が逆転し、前後左右が不覚になる。
思考が、消えて行く。
琢磨の体が、床に崩れ落ちた。
「た、琢磨……? どうした……?」
フランは、耳を塞ぎながら倒れこんだ琢磨を見つめた。
倒れている琢磨の元に、人影がやってきた。
フランは、その人影の正体を見る。
「あ、あなた……」
フランの目に入ったのは、手回しオルガンを持つ老人。
オルガンのハンドルが回転するたび、肩の上に乗っかっているスピーカーが音楽を垂れ流す。
「そう。わしこそがこの音楽を流している犯人」
老人は、にやりと笑ってオルガンの演奏を止める。
「なんでそんなことを!」
「答えは簡単じゃ。老後の楽しみじゃからよ」
飄々とした老人の笑みに、フランは自分を重ねた。
――目の前の老人は、私と同じように狂っている。
そして、一つの考えが浮かび上がった。
――目の前の狂った老人が自分の音楽を聞いて平気なら、自分もこの音楽を聞いて平気なはず。
両手を耳から外し、時計の針を模した杖を取り出す。
「おひょひょ? いいのか? 音楽は知性ある者を揺さぶる。音楽は知性ある者の心を支配する。音楽は音楽は原始の衝動! わしの『ストレイジ・リレイション』が奏でる音楽を聴いて狂わぬものはいないッ!」
老人は、手回しオルガンを廻し始めた。
「立ち上がれ! スタンド使いの少年よ! 目の前の小娘を惨殺しろッ!」
老人の号令と共に、倒れていた琢磨が立ち上がった。
「タリラ~リリイィィ~『The・Book』」
琢磨は、死んだ魚の目をして己のスタンド、『The・Book』を発現。
そのページを開く。
すると、琢磨の目に光が戻った。
「……ハッ! 僕は今まで何を!」
琢磨はあっけにとられながら、周りを見る。
「な、何じゃと! こいつ、わしの『ストレイジ・リレイション』の術中から自力で逃れたじゃと!?」
老人は、驚愕してしりもちをつく。
だが、その驚きの表情はすぐににやけた顔に変わる。
「……じゃがこれで証明された。わしの『ストレイジ・リレイション』は未だ健在ッ! 吸血鬼だの魔法使いだの名乗っていたガキどもは少しおかしくなるだけじゃったが、スタンド使いは完全に操ることが出来るッ!」
老人は立ち上がり、手回しオルガンに手をかけた。
琢磨の『The・book』のページがめくれ始める。
目指すページは唯一つ。
あの雪の振る、鮮烈な戦いの最期。
今ココで奴を即死させるにはそれしかない。
「フラン、奴を足止めしろッ! 奴に音楽を奏でさせるなッ!」
琢磨が叫ぶ。
フランは杖を振り上げ、老人へと走りこむと、
「何も音楽を奏でるだけが『ストレイジ・リレイション』ではないッ!」
老人のオルガンが震えた。
次の瞬間、フランと琢磨にガラスが降り注いだ。
老人のオルガンから出たのは音楽ではなく、人の可聴音域を超えた音、超音波。
この音のせいでエントランスホールのドアの上にある、豪奢なステンドグラスが砕けたのだ。
「うおッ!」
フランと琢磨はガラスのシャワーを浴びた。
体のいたるところにガラスが突き刺さる。
「さあ再び狂うがいいスタンド使いの少年よ!」
老人は再びオルガンを廻す。
「今度はスタンドを使わず、ナイフだけで小娘を切り刻めッ!」
琢磨の目から光が消え、
「タリラアァ~リラァ~」
千鳥足でフランの方を向く。
「う……どうしよ……」
ゆっくりとこちらに向かってくる琢磨を前に、後ずさりするフラン。
「さ、最大のピンチ……」
後ずさりを続けて、ついに背中を壁にくっつけるフラン。
容赦なく迫ってくる琢磨。
「タリラリラァ~」
ナイフを振り上げる琢磨。
フランが目をつぶり、腕を上げた瞬間、琢磨の足元に一枚の鏡が滑り込んだ。
「タリ?」
鏡から手が伸び、琢磨の足を掴むと、一気に鏡の中に引きずり込む。
引きずりこまれた琢磨の代わりに鏡から出てきたのは、
「俺、参上」
緑色の斑点のついたピンク色の髪。
網のような服に包まれた筋肉質な肉体。
ご存知ジョジョキャラ一死ぬのが似合う男、ディアボロであった。
琢磨の目から光が消え、
「タリラアァ~リラァ~」
千鳥足でフランの方を向く。
「う……どうしよ……」
ゆっくりとこちらに向かってくる琢磨を前に、後ずさりするフラン。
「さ、最大のピンチ……」
後ずさりを続けて、ついに背中を壁にくっつけるフラン。
容赦なく迫ってくる琢磨。
「タリラリラァ~」
ナイフを振り上げる琢磨。
フランが目をつぶり、腕を上げた瞬間、琢磨の足元に一枚の鏡が滑り込んだ。
「タリ?」
鏡から手が伸び、琢磨の足を掴むと、一気に鏡の中に引きずり込む。
引きずりこまれた琢磨の代わりに鏡から出てきたのは、
「俺、参上」
緑色の斑点のついたピンク色の髪。
網のような服に包まれた筋肉質な肉体。
ご存知ジョジョキャラ一死ぬのが似合う男、ディアボロであった。
ディアボロは立ち上がり、手回しオルガンを廻す老人に視線を向けた。
「お前が、『ストレンジ・リレイション』だな?」
彼が手に持つのは一枚のDISC。
『マン・イン・ザ・ミラーのDISC(3)』だ。
「この前の『スタープラチナのDISC』がどうなったかと思ってここまで来てみたら、こんなレア物に出会えるなんてな」
ディアボロは、一歩老人へと歩を進める。
「お前の持っている手回しオルガンは正に『ストレンジ・リレイション』! そのDISC、戴く」
ディアボロは懐から鉄球を取り出して、老人へと投げつけた。
「むっ!」
老人はすぐに『ストレンジ・リレイション』を廻し、音を出す。
すると、ディアボロが投げた鉄球はぶるぶると震え、老人にではなくその背後の壁にめり込む。
「なるほど。音の共振作用で鉄球を共振させ、弾道を逸らしたか」
しかしディアボロは慌てず、『ホルス神のDISC(5)』を取り出す。
「ならばお前を固めてから、叩き壊してやるッ!」
そして老人へと狙いを定める。
当の老人は、狙いをつけられたにも関わらず落ち着いた様子で、
「お前はこのオルガンが――『ストレンジ・リレイション』が見えるのだな? お前はどうやらスタンド使いかそれに類する物を持っているようじゃな。ならば、狂え」
手元のハンドルを廻し、狂気の音色を奏で始める。
だが狂気の音色を耳にしたディアボロは、ケロリとした顔で、
「残念だが俺は今スタンド使いじゃない」
手元の『ホルス神のDISC(5)』を老人へと発射した。
ツララの弾が三つ、老人へと飛んでいき、老人の足を貫いて氷結させる。
「言うなればスタンドDISC使いだ」
ディアボロは拳を握り締め、老人へと走りこむ。
対する老人は、肩から吊り下げている『ストレイジ・リレイション』を掴んで大きく振り上げて、
「馬鹿め! 何も奏でるだけが『ストレンジ・リレイション』ではないわ!」
殴りかかってきたディアボロを返り討ちにする。
ディアボロが頭上に星を浮かべている間、老人は足に絡みつく氷を振り払って、そのまま館の奥へと駆けていく。
「お前が、『ストレンジ・リレイション』だな?」
彼が手に持つのは一枚のDISC。
『マン・イン・ザ・ミラーのDISC(3)』だ。
「この前の『スタープラチナのDISC』がどうなったかと思ってここまで来てみたら、こんなレア物に出会えるなんてな」
ディアボロは、一歩老人へと歩を進める。
「お前の持っている手回しオルガンは正に『ストレンジ・リレイション』! そのDISC、戴く」
ディアボロは懐から鉄球を取り出して、老人へと投げつけた。
「むっ!」
老人はすぐに『ストレンジ・リレイション』を廻し、音を出す。
すると、ディアボロが投げた鉄球はぶるぶると震え、老人にではなくその背後の壁にめり込む。
「なるほど。音の共振作用で鉄球を共振させ、弾道を逸らしたか」
しかしディアボロは慌てず、『ホルス神のDISC(5)』を取り出す。
「ならばお前を固めてから、叩き壊してやるッ!」
そして老人へと狙いを定める。
当の老人は、狙いをつけられたにも関わらず落ち着いた様子で、
「お前はこのオルガンが――『ストレンジ・リレイション』が見えるのだな? お前はどうやらスタンド使いかそれに類する物を持っているようじゃな。ならば、狂え」
手元のハンドルを廻し、狂気の音色を奏で始める。
だが狂気の音色を耳にしたディアボロは、ケロリとした顔で、
「残念だが俺は今スタンド使いじゃない」
手元の『ホルス神のDISC(5)』を老人へと発射した。
ツララの弾が三つ、老人へと飛んでいき、老人の足を貫いて氷結させる。
「言うなればスタンドDISC使いだ」
ディアボロは拳を握り締め、老人へと走りこむ。
対する老人は、肩から吊り下げている『ストレイジ・リレイション』を掴んで大きく振り上げて、
「馬鹿め! 何も奏でるだけが『ストレンジ・リレイション』ではないわ!」
殴りかかってきたディアボロを返り討ちにする。
ディアボロが頭上に星を浮かべている間、老人は足に絡みつく氷を振り払って、そのまま館の奥へと駆けていく。
「うぐぐ……あいつめ、まさか楽器で殴りやがるなんて……」
「大丈夫?」
頭を抱えるディアボロに駆け寄るフラン。
頭を抑えてうずくまるディアボロに、フランが歩み寄る。
「大丈夫なわけあるか! 今の一撃で体力が七割ほど持っていかれたぞッ!」
「それ位の大声出せるなら大丈夫だね」
「それよりも耳をすませてみろ」
ディアボロの言うとおりに、フランは耳をすませた。
すると、ある事実に気がついた。
「音楽が、止まってる」
フランの言葉に、ディアボロは当然といわんばかりに頷く。
「さっき俺を殴ったときに、どこかのパーツがイカれたんだろ。楽器はデリケートだからな。しかし、油断は出来ない。楽器と言えどスタンドだ。時間がたてば元に戻るかも知れん。今の内に片付けるぞ」
ディアボロは立ち上がり、懐から『エアロスミスのDISC』を取り出し、
「今から奴の呼吸を探すッ!」
頭に差し込む。
彼の目元にレーダーが表示され、黄色い点の群れと動き続ける赤い点が表示される。
「そこに向かうのだな!」
館の奥へと向かう赤い点の後を追い、走り出す。
「この下り階段……向かう先は地下ッ!」
勢いよく階段を下りていくディアボロ。
その様子を見てフランが思い出したかのように、
「そういえば地下の廊下に……」
と呟くと、地下からディアボロの悲鳴が聞こえてきた。
「あー……引っかかっちゃったかぁ」
今頃、誰が見ても嬉しくない18禁シーンが地下で展開されているに違いない。否、限られた性癖をお持ちの方なら喜ぶかもしれないが。
「どうしよっかな」
フランは周りをきょろきょろと見渡す。
すぐに琢磨の姿は見つかった。床に突っ伏してぐったりしている。
「琢磨ー。おきろー」
体を揺さぶると、琢磨はすぐに目を覚まして立ち上がった。
「……また僕はやられていたのか。あのスタンド使いに」
琢磨は手に持つナイフを懐に仕舞いこむ。
「だとしたら、お礼参りをしなくてはならんな。取って置きの記憶を読ませてやる」
ナイフの代わりに、『The・book』を手元に出現させる。
「あのジジイはどこに行った?」
ものすごい殺気を放ちながら、フランに質問する。
「た、たぶん地下の方に……」
殺気に当てられて、引きつった顔で答えるフラン。
「よし。行くぞ」
それだけを言って琢磨はドスドスと大きな足音を立てて歩き出す。
今の琢磨も十分怖いが、この状況で一人ぼっちはもっと怖いのでフランは琢磨についていく事にした。
「大丈夫?」
頭を抱えるディアボロに駆け寄るフラン。
頭を抑えてうずくまるディアボロに、フランが歩み寄る。
「大丈夫なわけあるか! 今の一撃で体力が七割ほど持っていかれたぞッ!」
「それ位の大声出せるなら大丈夫だね」
「それよりも耳をすませてみろ」
ディアボロの言うとおりに、フランは耳をすませた。
すると、ある事実に気がついた。
「音楽が、止まってる」
フランの言葉に、ディアボロは当然といわんばかりに頷く。
「さっき俺を殴ったときに、どこかのパーツがイカれたんだろ。楽器はデリケートだからな。しかし、油断は出来ない。楽器と言えどスタンドだ。時間がたてば元に戻るかも知れん。今の内に片付けるぞ」
ディアボロは立ち上がり、懐から『エアロスミスのDISC』を取り出し、
「今から奴の呼吸を探すッ!」
頭に差し込む。
彼の目元にレーダーが表示され、黄色い点の群れと動き続ける赤い点が表示される。
「そこに向かうのだな!」
館の奥へと向かう赤い点の後を追い、走り出す。
「この下り階段……向かう先は地下ッ!」
勢いよく階段を下りていくディアボロ。
その様子を見てフランが思い出したかのように、
「そういえば地下の廊下に……」
と呟くと、地下からディアボロの悲鳴が聞こえてきた。
「あー……引っかかっちゃったかぁ」
今頃、誰が見ても嬉しくない18禁シーンが地下で展開されているに違いない。否、限られた性癖をお持ちの方なら喜ぶかもしれないが。
「どうしよっかな」
フランは周りをきょろきょろと見渡す。
すぐに琢磨の姿は見つかった。床に突っ伏してぐったりしている。
「琢磨ー。おきろー」
体を揺さぶると、琢磨はすぐに目を覚まして立ち上がった。
「……また僕はやられていたのか。あのスタンド使いに」
琢磨は手に持つナイフを懐に仕舞いこむ。
「だとしたら、お礼参りをしなくてはならんな。取って置きの記憶を読ませてやる」
ナイフの代わりに、『The・book』を手元に出現させる。
「あのジジイはどこに行った?」
ものすごい殺気を放ちながら、フランに質問する。
「た、たぶん地下の方に……」
殺気に当てられて、引きつった顔で答えるフラン。
「よし。行くぞ」
それだけを言って琢磨はドスドスと大きな足音を立てて歩き出す。
今の琢磨も十分怖いが、この状況で一人ぼっちはもっと怖いのでフランは琢磨についていく事にした。
薄暗い地下の廊下を歩くと、案の定ボロボロのディアボロが倒れいていた。
琢磨とフランの二人は、それを呆然と立ち尽くして見つめている。
ディアボロは動かない。
不審に思った琢磨が、その蒼白な首筋に指を置くと、
「死んでる……」
一言だけ呟いた。
「やっぱり……」
フランは予想通り(Notデスノ)と言いたげな表情で、廊下に伏すディアボロを見る。
「フラン、確かこの先にはパチュリーが仕掛けた罠があったな」
「うん。たぶんディアボロはそれに引っかかったんだと思う」
「しかたがない。僕が先頭になる」
琢磨はため息をつき、歩き出す。
お約束と言えばお約束なのだが、琢磨の足は見事に第一歩でスイッチを踏む。
当然、パチュリーの仕掛けた罠が起動し、天井に魔法陣が現れ、そこから無数の触手が出てくる。
その触手は琢磨に絡みつき、彼を捉える……はずだった。
ギラリ。琢磨の鋭い眼光が触手の群れを貫く。
触手の動きが一瞬だけ止まると、「調子に乗ってすいません」と言わんばかりに魔法陣の中へ引っ込んでいく。
「おお……すんばらしいー」
後ろでフランはただただ拍手を送るのみ。
「さて、あのオルガン野郎は図書室か?」
何事も無かったかのように奥へと進む。
やがて、二人にとって見慣れた扉が姿を現した。図書館の扉だ。
無言で扉を開ける琢磨。
扉の奥には……
「むきゅー」
「か……体全体が痛い……」
涙目になって床に倒れんでいるパチュリーと小悪魔の姿が。
ちなみにうつぶせ。
原因は、言うまでも無く筋肉痛である。
「二人とも、大丈夫?」
フランが心配そうに二人を見つめる。
「むきゅー」
「だ……大丈夫じゃないです」
パチュリーと小悪魔は動けない。
「さっき、この辺りに手回しオルガン抱えたジジイが来なかったか?」
琢磨の問いに、パチュリーの指が上がった。
その指は、『A-10』と『A-11』のプレートが張ってある本棚の間を指差して、
「むきゅ~」
力尽きた。
「……気絶したか」
パチュリーを見下ろす琢磨。
「お約束だね」
パチュリーをつつくフラン。
「僕はあのジジイを追いかける。フランは二人を頼む」
そう言って、琢磨はパチュリーが指差した方向へと向かった。
「行っちゃった…」
フランは彼を見送ると、パチュリーの体を持ち上げ(といっても身長差のせいで腰から下が床についているのだが)、そのままパチュリーの部屋へと向かう。
苦労してパチュリーをベッドに乗せると、どこからか大きな音がした。
フランは、ハッとなって振り返った。
琢磨とフランの二人は、それを呆然と立ち尽くして見つめている。
ディアボロは動かない。
不審に思った琢磨が、その蒼白な首筋に指を置くと、
「死んでる……」
一言だけ呟いた。
「やっぱり……」
フランは予想通り(Notデスノ)と言いたげな表情で、廊下に伏すディアボロを見る。
「フラン、確かこの先にはパチュリーが仕掛けた罠があったな」
「うん。たぶんディアボロはそれに引っかかったんだと思う」
「しかたがない。僕が先頭になる」
琢磨はため息をつき、歩き出す。
お約束と言えばお約束なのだが、琢磨の足は見事に第一歩でスイッチを踏む。
当然、パチュリーの仕掛けた罠が起動し、天井に魔法陣が現れ、そこから無数の触手が出てくる。
その触手は琢磨に絡みつき、彼を捉える……はずだった。
ギラリ。琢磨の鋭い眼光が触手の群れを貫く。
触手の動きが一瞬だけ止まると、「調子に乗ってすいません」と言わんばかりに魔法陣の中へ引っ込んでいく。
「おお……すんばらしいー」
後ろでフランはただただ拍手を送るのみ。
「さて、あのオルガン野郎は図書室か?」
何事も無かったかのように奥へと進む。
やがて、二人にとって見慣れた扉が姿を現した。図書館の扉だ。
無言で扉を開ける琢磨。
扉の奥には……
「むきゅー」
「か……体全体が痛い……」
涙目になって床に倒れんでいるパチュリーと小悪魔の姿が。
ちなみにうつぶせ。
原因は、言うまでも無く筋肉痛である。
「二人とも、大丈夫?」
フランが心配そうに二人を見つめる。
「むきゅー」
「だ……大丈夫じゃないです」
パチュリーと小悪魔は動けない。
「さっき、この辺りに手回しオルガン抱えたジジイが来なかったか?」
琢磨の問いに、パチュリーの指が上がった。
その指は、『A-10』と『A-11』のプレートが張ってある本棚の間を指差して、
「むきゅ~」
力尽きた。
「……気絶したか」
パチュリーを見下ろす琢磨。
「お約束だね」
パチュリーをつつくフラン。
「僕はあのジジイを追いかける。フランは二人を頼む」
そう言って、琢磨はパチュリーが指差した方向へと向かった。
「行っちゃった…」
フランは彼を見送ると、パチュリーの体を持ち上げ(といっても身長差のせいで腰から下が床についているのだが)、そのままパチュリーの部屋へと向かう。
苦労してパチュリーをベッドに乗せると、どこからか大きな音がした。
フランは、ハッとなって振り返った。
琢磨は、『A-10』の棚と『A-11』の棚の間にある通路を歩く。
「この先に、いるはずだが……」
琢磨の右手にはナイフが一本のみ。
静かな図書館の中に、琢磨の足音だけが響く。
どこから来るかわからない敵に備え、ナイフを握りなおす。
もうしばらく歩くと、腹の底を震わせる様な重低音が辺りから聞こえ始めた。
それと同時に本棚が、揺れ動く。
「くそ……超音波の次は共振動か!」
共振動。それは振動の力で離れたものが動く現象である。
物体には揺れ動く『周波数』が決まっている。
老人のスタンド『ストレンジ・リレイション』はあらゆる『音』を出すことが出来る。
それは即ちあらゆる『周波数』を出すことが出来るという事。
老人は本棚の『周波数』と同じ『周波数』を持った『音』を出すことにより、本棚のバランスを崩しているのだ。
「まずは本棚に押しつぶされないことが先決だな」
揺れ動く本棚の間を、琢磨は走り始めた。
この状況ではいつ本棚に潰されてもおかしくない。
本棚から落ちた本が、琢磨に命中する。
地面に落ちている本が、琢磨の足を絡め取る。
ぐらつく本棚が、大きな音を立てて琢磨めがけて同時に倒れこんできた。
「ヤバイッ!」
目を剥いて、思わず上を向く。
だが、琢磨は本棚に押しつぶされなかった。
幸運にも、二つの本棚がつっかえて、支えあっているのだ。
「……危ないところだった」
どさどさと降ってくる本の中、琢磨は安堵の息を吐く。
「く~ッ! 惜しいッ! もう少しだったーッ!」
悔しげな老人の声が、どこからか聞こえてくる。
「いい加減出てきたらどうだ?」
「出て来いと言われて出てくるバカがいるかーッ! このままお前を操り倒してくれる!」
「そうかい! じゃあ足元見てみな!」
「足元ォォ?」
次の瞬間、隣の通路から悲鳴が聞こえてきた。
「ビンゴ。『A-10』と『A-9』の本棚の通路か」
してやったり、という表情で彼は走り始めた。
なんと、彼はあらかじめ両隣の通路に『The・Book』のページを大量にばら撒いていたのだ。
どの『記憶』に引っかかったかは彼には解らないが、これで老人に大きな隙を作ることが出来た。
「『The・Book』ッ! コイツで止めを刺してやるッ!」
手元に革表紙の本を出し、『禁止区域』のページを開く。
目指すのは『禁止区域』の最後のページ。
月夜と、雪の降る記憶。
老人がいるであろう本棚に着くと、そこには血まみれで立つ老人の姿が。
「しまったッ!」
しかしその姿を見た琢磨は、立ち止まった。
何故なら、老人は『ストレンジ・リレイション』のハンドルに手をかけていたから。
「引っかかったなバカめ!」
老人がハンドルを廻すのと琢磨がページをめくりなおすのは同時だった。
すぐに琢磨は安全な区域のページを見始める。
心のスキマに入り込むように、音楽が耳に入り込む。
普通ならここで前後不覚に陥り、全てを音楽にゆだねてしまうだろう。
しかし、琢磨はそうではなかった。
この音色の対策はもう知っていた。
ページを読み、今までの自分を想起する事により『ストレンジ・リレイション』の術から脱出することができる。
エントランスホールで学んだことだ。
「くぅぅ~ッ! こいつ粘るのう……」
そうとも知らずに老人はハンドルを廻し、狂気の音色を垂れ流し続ける。
琢磨は一心不乱に『The・Book』のページを読み、今までの自分を想起し続ける。
そんな琢磨の行動を見た老人は、ニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「そうかそうか。こいつはワシの攻撃を防ぐ間は何も出来ないのか」
老人はハンドルを廻しながら、琢磨へと近づく。
琢磨自身も、歩み寄ってくる老人の姿を目の端に入れて、危機感を覚える。
が、今『ストレンジ・リレイション』の攻撃を防ぎ続けている自分には動くことすら許されない。
「再びこの手段を採るのは業腹だが……くらえィ!」
老人が『ストレンジ・リレイション』を振り上げ、琢磨の頭に叩き付けようとしたその時、
「させるもんかあぁぁ!」
琢磨の背後からフランが飛んできて、老人の頭に開いた魔道書を被せる。
開かれた魔道書はガジガジと老人の頭を齧り、
「いででででででで!」
老人を悶絶させる。
「琢磨、大丈夫?」
「ああ、何とも無い……が」
「が?」
「いや、本当に何とも無い」
目の前で魔道書相手に格闘する老人を見て、琢磨は頭を抱えた。
手に持っている『The・Book』の背表紙には、テープで『禁止区域』のページを貼り付けてあった。
もう少しで、相手の目にそれが飛び込む筈だったのに。
「どうして、こうもタイミングが合わないんだ……」
背表紙に貼り付けたページを剥いで、くしゃくしゃに丸めて放り投げる。
「だが、チャンスなのには変わりない」
すぐに『禁止区域』のページを開く。
「フラン、この戦いは僕が決めさせてもらう」
「えー」
「えー、じゃない」
「だって、このままだと私、前回に続いて活躍の場が無いよ」
「我慢しなさい。次回はきっと出番あるはずだから」
「しょーがないなー」
フランとの他愛の無い会話を終えると、琢磨は走り出した。
「……よし! やっと取れた!」
老人が魔道書との格闘に勝利し、視界を取り戻すと同時に、琢磨は『The・Book』のページを見せ付ける。
「なッ……!」
ページを見せ付けられた老人が見たのは、薄暗い図書館の光景ではなかった。
その時は、真っ暗な夜だった。
そこは、静かに雪が降り、時間とあいまって神秘的な光景を生み出していた。
目の前には、個性的な髪型をした学生服の少年が、古代の拳闘士にも似た風貌の大男を従えて立っている。
目の前の少年が、走り出した。老人は何も出来ずに立っている。
次の瞬間、
「ドララララララララララララァーッ!」
拳の弾幕が老人に降り注いだ。
「この先に、いるはずだが……」
琢磨の右手にはナイフが一本のみ。
静かな図書館の中に、琢磨の足音だけが響く。
どこから来るかわからない敵に備え、ナイフを握りなおす。
もうしばらく歩くと、腹の底を震わせる様な重低音が辺りから聞こえ始めた。
それと同時に本棚が、揺れ動く。
「くそ……超音波の次は共振動か!」
共振動。それは振動の力で離れたものが動く現象である。
物体には揺れ動く『周波数』が決まっている。
老人のスタンド『ストレンジ・リレイション』はあらゆる『音』を出すことが出来る。
それは即ちあらゆる『周波数』を出すことが出来るという事。
老人は本棚の『周波数』と同じ『周波数』を持った『音』を出すことにより、本棚のバランスを崩しているのだ。
「まずは本棚に押しつぶされないことが先決だな」
揺れ動く本棚の間を、琢磨は走り始めた。
この状況ではいつ本棚に潰されてもおかしくない。
本棚から落ちた本が、琢磨に命中する。
地面に落ちている本が、琢磨の足を絡め取る。
ぐらつく本棚が、大きな音を立てて琢磨めがけて同時に倒れこんできた。
「ヤバイッ!」
目を剥いて、思わず上を向く。
だが、琢磨は本棚に押しつぶされなかった。
幸運にも、二つの本棚がつっかえて、支えあっているのだ。
「……危ないところだった」
どさどさと降ってくる本の中、琢磨は安堵の息を吐く。
「く~ッ! 惜しいッ! もう少しだったーッ!」
悔しげな老人の声が、どこからか聞こえてくる。
「いい加減出てきたらどうだ?」
「出て来いと言われて出てくるバカがいるかーッ! このままお前を操り倒してくれる!」
「そうかい! じゃあ足元見てみな!」
「足元ォォ?」
次の瞬間、隣の通路から悲鳴が聞こえてきた。
「ビンゴ。『A-10』と『A-9』の本棚の通路か」
してやったり、という表情で彼は走り始めた。
なんと、彼はあらかじめ両隣の通路に『The・Book』のページを大量にばら撒いていたのだ。
どの『記憶』に引っかかったかは彼には解らないが、これで老人に大きな隙を作ることが出来た。
「『The・Book』ッ! コイツで止めを刺してやるッ!」
手元に革表紙の本を出し、『禁止区域』のページを開く。
目指すのは『禁止区域』の最後のページ。
月夜と、雪の降る記憶。
老人がいるであろう本棚に着くと、そこには血まみれで立つ老人の姿が。
「しまったッ!」
しかしその姿を見た琢磨は、立ち止まった。
何故なら、老人は『ストレンジ・リレイション』のハンドルに手をかけていたから。
「引っかかったなバカめ!」
老人がハンドルを廻すのと琢磨がページをめくりなおすのは同時だった。
すぐに琢磨は安全な区域のページを見始める。
心のスキマに入り込むように、音楽が耳に入り込む。
普通ならここで前後不覚に陥り、全てを音楽にゆだねてしまうだろう。
しかし、琢磨はそうではなかった。
この音色の対策はもう知っていた。
ページを読み、今までの自分を想起する事により『ストレンジ・リレイション』の術から脱出することができる。
エントランスホールで学んだことだ。
「くぅぅ~ッ! こいつ粘るのう……」
そうとも知らずに老人はハンドルを廻し、狂気の音色を垂れ流し続ける。
琢磨は一心不乱に『The・Book』のページを読み、今までの自分を想起し続ける。
そんな琢磨の行動を見た老人は、ニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「そうかそうか。こいつはワシの攻撃を防ぐ間は何も出来ないのか」
老人はハンドルを廻しながら、琢磨へと近づく。
琢磨自身も、歩み寄ってくる老人の姿を目の端に入れて、危機感を覚える。
が、今『ストレンジ・リレイション』の攻撃を防ぎ続けている自分には動くことすら許されない。
「再びこの手段を採るのは業腹だが……くらえィ!」
老人が『ストレンジ・リレイション』を振り上げ、琢磨の頭に叩き付けようとしたその時、
「させるもんかあぁぁ!」
琢磨の背後からフランが飛んできて、老人の頭に開いた魔道書を被せる。
開かれた魔道書はガジガジと老人の頭を齧り、
「いででででででで!」
老人を悶絶させる。
「琢磨、大丈夫?」
「ああ、何とも無い……が」
「が?」
「いや、本当に何とも無い」
目の前で魔道書相手に格闘する老人を見て、琢磨は頭を抱えた。
手に持っている『The・Book』の背表紙には、テープで『禁止区域』のページを貼り付けてあった。
もう少しで、相手の目にそれが飛び込む筈だったのに。
「どうして、こうもタイミングが合わないんだ……」
背表紙に貼り付けたページを剥いで、くしゃくしゃに丸めて放り投げる。
「だが、チャンスなのには変わりない」
すぐに『禁止区域』のページを開く。
「フラン、この戦いは僕が決めさせてもらう」
「えー」
「えー、じゃない」
「だって、このままだと私、前回に続いて活躍の場が無いよ」
「我慢しなさい。次回はきっと出番あるはずだから」
「しょーがないなー」
フランとの他愛の無い会話を終えると、琢磨は走り出した。
「……よし! やっと取れた!」
老人が魔道書との格闘に勝利し、視界を取り戻すと同時に、琢磨は『The・Book』のページを見せ付ける。
「なッ……!」
ページを見せ付けられた老人が見たのは、薄暗い図書館の光景ではなかった。
その時は、真っ暗な夜だった。
そこは、静かに雪が降り、時間とあいまって神秘的な光景を生み出していた。
目の前には、個性的な髪型をした学生服の少年が、古代の拳闘士にも似た風貌の大男を従えて立っている。
目の前の少年が、走り出した。老人は何も出来ずに立っている。
次の瞬間、
「ドララララララララララララァーッ!」
拳の弾幕が老人に降り注いだ。
ボン、と音を立てて、フランと琢磨の目の前で地に伏している老人は、DISCに変化した。
「コイツが今回の騒ぎの原因か」
琢磨はDISCを拾い上げる。
「僕には必要なさそうだな。フラン、いるかい? これ」
琢磨はDISCをフランに投げてよこす。
「んー、保留ってことで」
「そうかい。じゃあ僕は寝ることにするよ」
フランがDISCをポケットに入れると、琢磨は歩いて図書館の奥に消えていく。
「そういえば、琢磨はいつもどこで寝てるんだろ?」
そんなことを考えながら、寝室へと向かう。
寝室のドアを開くと、ガラス細工で出来た機械の無い時計が12時半を指している。
「……長い30分だったなー」
DISCを近くの床に放り捨て、フランはベッドに飛び込んだ。
「コイツが今回の騒ぎの原因か」
琢磨はDISCを拾い上げる。
「僕には必要なさそうだな。フラン、いるかい? これ」
琢磨はDISCをフランに投げてよこす。
「んー、保留ってことで」
「そうかい。じゃあ僕は寝ることにするよ」
フランがDISCをポケットに入れると、琢磨は歩いて図書館の奥に消えていく。
「そういえば、琢磨はいつもどこで寝てるんだろ?」
そんなことを考えながら、寝室へと向かう。
寝室のドアを開くと、ガラス細工で出来た機械の無い時計が12時半を指している。
「……長い30分だったなー」
DISCを近くの床に放り捨て、フランはベッドに飛び込んだ。
翌日 日課のティータイムにて
「ねーねーお姉さま、きのう咲夜と何をしていたんですか?」
その質問に、レミリアは紅茶を噴き出し、咲夜は鼻血を噴き出した。
今日も幻想郷は平和でした。
「ねーねーお姉さま、きのう咲夜と何をしていたんですか?」
その質問に、レミリアは紅茶を噴き出し、咲夜は鼻血を噴き出した。
今日も幻想郷は平和でした。
←to be continued...
EDテーマ ふぉれすとぴれお『彼女が一番少女なのか?』
EDテーマ ふぉれすとぴれお『彼女が一番少女なのか?』