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ディスクブレイカー☆フラン第六話

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匿名ユーザー

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 寺小屋が終わると、フラン、チルノ、ナランチャの3人はすぐに紅魔館へと駆け出した。
 湖で大妖精も誘い、4人で紅魔館の扉を開く。
 地下へと続く階段を下り、図書館を通ってフランの部屋に入る。
「さて、今回は作戦の打ち合わせをするわよ」
 フランは、壁に幻想郷の地図を張り出した。
「最初の作戦はこうよ」
 フランは赤いチョークを取り出し、紅魔館と人里を矢印で結ぶ。
「まずは『春水晶』を寺子屋に運び込むわ」
 3人は地図に目を向けた。
「でも、どうやってバレないように運ぶんだよ」
 ナランチャは、ベッドの下を指差した。
 フランは、策士の笑みを浮かべた。
「何も、うちの『春水晶』を持ち出さなくてもいいじゃない」
 フランは、青いチョークで白玉楼、妖怪の山、博麗神社を丸で囲む。
「要は、相手の持つ『春水晶』を奪っちゃえばいいのよ」
「「なるほど~」」
 フランの作戦に、チルノとナランチャはうなづいた。外から、大きな音がした。
「でも、どうやって私たち4人で『春水晶』を取るんですか? 戦力不足ですよ」
 大妖精が地図を指差した。
「その点については大丈夫よ。上手くお姉様をそそのかして『春水晶』を取りに向かわせるわ」
 フランは胸を張って答えた。
「それに、『春水晶』を横取りしようとしているのは他だって同じだしね」
 フランは青のチョークで紅魔館と他の勢力を結ぶ。
「一番気を付けたいのが、風見幽香ね。たった一人で『勢力』と言えるほど強い上に、一人だから自由に動けるわ」
 チョークで風見幽香の文字を書き、それを丸で囲む。
「風見幽香……ああ、アイツね……」
 チルノは、幽香の顔を思い出して苦い表情を浮かべた。外の大きな音は、近づいてくる。
「なあ、そいつが自由に動けるなら、一番襲撃の可能性が高いじゃないか」
 ナランチャが、地図に描かれた『風見幽香』の文字を指差す。
 それを見て、大妖精がはっとなって気付く。
「もしかしたら、一番襲撃されやすいのって、ココじゃないですか?」
 大妖精の発言に、誰もが視線を彼女に集めた。
 彼女は赤いチョークを持って、地図の前に立つ。
「幽香さんがいつも出没しているのは太陽の畑です」
 大妖精が、チョークで太陽の畑をさす。
「そこから一番近いのは太陽の畑から北に行った博麗神社ですが、そのにいる霊夢さんは幽香さんに何度も勝っているという噂なので、そこを襲う線は薄いでしょう」
 太陽の畑から博霊神社へとチョークを引き、その線の上からバツ字を押す。
「次に、白玉楼ですが、あそこは元々行くのが面倒なので、幽香さんは他勢力との戦闘で自滅するのを待つでしょう」
 同じように、チョークで線を描き、上からバツ字を押す。
「最後に、妖怪の山とここですが、直線距離で測った場合、明らかに妖怪の山よりもここの方が近いです」
 そして、赤いチョークの直線で紅魔館と太陽の畑が結ばれた。
 それと同時にフランの部屋のドアが激しくノックされた。
 フランはすぐにドアに近づく。
「赤い雲が西から流れてゆくこんな夜には」
 フランがドアにささやくと、
「優しさなんて邪魔なだけに思えるから」
 と、男の声が返ってくる。
 フランはすぐにドアを開けた。
 入ってきたのは、ディアボロ。彼は、息を切らしていた。
「ゼェ……ゼェ……襲撃だ。風見幽香がやってきた」
 彼の報告に、場の4人は互いの顔を見た。
 4人の行動は、早かった。
「噂をすれば、なんとやらね」
 フランは壁に立てかけて置いた時計の針のような杖を手に取る。
「へへッ! たった一人の『勢力』か……燃えてきたぜ!」
 ナランチャは、立ち上がって眼前にレーダーを出現させる。
「いよいよもってあたいがさいきょーだって証明される時が来たのね!」
 チルノも立ち上がり、目に炎を浮かべた。
「あわ、あわわわわ……」
 大妖精は、慌てふためきながらも、昨日ディアボロから渡されたDISCを手に立ち上がる。
 五人は、走ってフランの部屋を後にした。


 ボスッ、と音を立てて、白い日傘が3本のナイフを弾いた。
「その程度かしら?」
 日傘の主、風見幽香は余裕の表情で持って咲夜を眺める。
「いえ、まだまだよ!」
 咲夜の瞳が赤く輝く。
 次の瞬間、幽香の周囲360°に大量のナイフが現れ、それが幽香に向かって収束していく。
「甘いわ」
 幽香は冷静に、周囲に大量の霊力を放出して全てのナイフを弾き返す。
「……霊撃か」
 咲夜は歯噛みし、ナイフを5本投げる。
 幽香はそれを傘でガードする。
 次の瞬間、咲夜が幽香の頭上に現れた。
「WRYYYYYYYYYYYYY!」
 咲夜は大量のナイフを投げつける。
 が、幽香はそれを華麗なステップで回避すると、咲夜に傘を向ける。
「これでお終いよ」
 傘の先から光が溢れ、咲夜を廊下の果てまで突き飛ばした。
「咲夜! しっかりして! 咲夜! 咲夜ァァァ!」
 咲夜の懐にある水晶玉から、パチュリ―の声がするが、咲夜は返事をしない。
 そこに、フランたちが駆け付けた。
「咲夜! 咲夜、しっかりして!」
 咲夜の姿を見つけたフランはすぐに彼女に駆け寄り、体を起こす。
「くっ……妹様、侵入者はすぐそこまで迫っています。気を付けてください」
 咲夜は息も絶え絶えに風見幽香の方向をさす。
 そこには、白い影があった。
「その声は妹様ね! 気を付けて! 強力なエネルギー反応が迫っているわ!」
 水晶玉からパチュリ―の声がした途端、白い光が迫ってきた。
「みんな危ない!」
 すぐにチルノが前に出て、氷で光を拡散させる。
 拡散した光は廊下のランプを割り、壁に穴を開ける。
 氷が割れると、6人の眼前に幽香の姿が現れた。
「次はあなた達ね? 叩き飛ばしてからゆっくりと春水晶を奪ってあげるわ」
 閉じた日傘が、振り下ろされる。
「このDISCを持っていてよかった……キング・クリムゾン!」
 ディアボロが『キングクリムゾン』を出し、傘を受け止める。
「禁忌『レーヴァテイン』ッ!」
 次に、杖を赤い剣に変えたフランが幽香に斬りかかる。
 幽香は傘を滑らせ、剣を受け止める。
「はあぁぁッ!」
 フランは、気合を入れて剣を再び振り下ろした。
 幽香は傘で剣を逸らせ、返す刀でフランへと傘で斬りかかる。
「ふっ!」
 間一髪でそれを躱したフランは、剣を横なぎに振るう。
「攻撃が直線的すぎるわ」
 バックステップで剣を避ける幽香。その目の前にディアボロが割って入る。
「敵が複数だってことを忘れたか?」
 ディアボロは『キング・クリムゾン』の拳を幽香の体に向ける。
 とっさに幽香は腕を十字に組み、拳を受け止める。
 流石の幽香をもってしても『キング・クリムゾン』のパワーを受け止めるのは難しく、大きく後退してしまう。
「今だッ!」
 ここぞとばかりにナランチャが『エアロスミス』を出し、
「ボラボラボラボラボラボラ……ボラーレ・ヴィーア!」
 バルカンを浴びせるついでに爆弾を投下する。
 もうもうと立ち上がる煙。
「大ちゃんはそこのメイドさんを安全な場所に連れて行って!」
 チルノが大妖精を下がらせ、煙に向かって弾幕を撃ちこむ。
 それを見て、ディアボロとフランが煙の中へ突っ込んでいく。
「やああああ!」
 気合を入れ、フランが剣を振るう。
「『キング・クリムゾン』ッ!」
 ディアボロは『キング・クリムゾン』の拳を振るう。
 だが、剣も拳も傘に止められた。
「甘い。甘い甘い甘すぎる……」
 煙の中、幽香の瞳がぎらついた。
「なっ……」
 直感で殺気を感じ取ったディアボロは、すぐに離れる。
 その直感は的中した。
 振るわれた傘がフランを廊下の奥――2人が元来た場所へと吹き飛ばす。
「フラン!」
 ディアボロがフランの方を向く。
「あら、ボディが甘いわよ」
 振り向いたディアボロの腹に、幽香の拳がめり込む。
 鳩尾を抉られ、ディアボロはそこにうずくまる。
「キ……『キング・クリムゾン』……」
 振り下ろされる幽香の足を『キング・クリムゾン』の腕で辛うじて受け止める。
 しかしその衝撃は凄まじく、ディアボロの腕をへし折ってしまう。
「な……なんて奴だッ!」
 歯噛みするディアボロの上で、幽香は目を光らせて嗤う。
「さっきの一撃を防がなければ、楽に気絶できたものを……」
 ディアボロの眼前には、光を湛えた傘の先があった。
「これは……まるで……」
 ディアボロの顔に、光が降り注いだ。
 次に、幽香は指を鳴らす。
 吹き飛ばされて壁に張り付けにされたフランの体を、ツタが縛る。
「フラン!」
 ナランチャはナイフを取り出し、フランからツタをはがそうとする。
「無駄よ。このツタは人間の力では刃物を使っても切ることはできないわ」
 煙の中から、余裕の表情を浮かべて幽香が歩いてきた。
「来るわよ! 氷符『アイシクルフォール』!」
 チルノは左右に氷の弾幕を展開。さらに正面から光弾を放つ。
「3方向から攻撃するってのは、いいアイデアだけど威力がお粗末ね」
 幽香は余裕の笑顔を浮かべながら傘で弾幕を払う。
「上ががら空きだぜッ! 『エアロスミス』ッ!」
 傘で弾幕を払う幽香の頭上から、『エアロスミス』が弾幕を放つ。
「上から放つタイミングが少し遅かったんじゃないの?」
 幽香は傘をさしてそれを防ぐ。
 そして走ってチルノの前まで躍り出て、
「足元がお留守よ」
 足をすくい取る。
 そのまま足首を持って、ジャイアントスイングに移行する。
「はい、さようなら~」
 竜巻のような大回転を持って投げられたチルノは、ナランチャにぶつかり、2人そろって目を回させる。
「はい、これで終わりね。さ~て、春水晶でも探しますか」
 パンパン、と手を叩いて幽香は歩き出した。
 その目の前に、立ちはだかる少女がただ一人。
「あら、まだいたの? あのメイドの手当てしてたんじゃなかったの?」
 幽香の目の前には、大妖精が立っていた。
 暴力の化身を前にして、大妖精は息をのむ。
「……そこの幽香さん、止まりなさい!」
 目をカッ! と見開いて、大妖精は幽香を見た。
「………………いい度胸ね」
 幽香は、微笑んだ。
 風見幽香を前に、大妖精は手を後ろに回した。
 手の中には、一枚のスタンドDISC。
「残っている『フー・ファイターズのDISC』は5発分か……咲夜さんの治療でだいぶ使っちゃったなぁ……」
 そっと後頭部にDISCを当てて、装備する。
 目の前には、歩いてこちらに来る幽香。
 その後ろには虫の息のディアボロ。
「接近戦は絶対に避けなければならないわ……かといって弾幕も防がれてしまう……」
 幽香は大妖精から50メートル手前の所で止まる。
「うふふ……あなたの言うとおり止まってあげたわよ」
 微笑みを崩さない幽香に対して、大妖精は手のひらを向ける。
「まずは視界を塞ぐのが先ッ!」
 大妖精は弾幕を展開。
 幽香は傘を盾にして、弾幕を防ぐ。
「う~ん、弾幕は無駄だってわからないかなぁ?」
 弾幕を防ぎきった幽香が傘を挙げると、
「……あら? 逃げたのかしら?」
 弾幕を放っていた大妖精の姿が消えていた。
 幽香の後ろで、銃声がした。
 振り向くと、倒れているディアボロに指を向ける大妖精の姿が。
「何をしているのかしら? 仲間に弾幕なんて放って」
「あなたには関係の無い話です」
 大妖精は幽香の方を見ると同時に『ペット・ショップのDISC』を頭に当てて姿を消す。
「ちっ……逃げたわね……」
 姿を消した大妖精を前に幽香は歯噛みする。
「ま、いっか♪」
 気を取り直し、幽香は振り返って歩き始める。
 と、足元に数発の光弾が突き刺さる。
「!? まだ誰かいるわね……」
 幽香は一瞬で警戒態勢を取る。
 次は、数発のレーザーが飛んでくる。
 幽香はすぐに傘でレーザーを防ぎ、廊下の奥を見る。
「このッ! 離れなさいよ!」
 両の手のひらと胴体を縛られ、壁に張り付けにされたフランがあがいているだけだ。
「目の前の吸血鬼が弾幕を放てるわけないわよね」
 幽香は息を吐いて、廊下を歩きはじめる。
 廊下の曲がり角を曲がったところで、ディアボロは立ち上がった。
「さて、あらかじめチルノからくすねていた無線機を大妖精に渡したが、心配だな」
 目を回すナランチャの懐から、無線機を取るディアボロ。
 折れた両腕が、ずきずきと痛む。
「『ストーン・フリー』があれば骨を縫い合わせることができるんだがな……大妖精、聞こえるか? 今から作戦の内容を伝えるぞ」
「作戦、ですね。まずはフランちゃんを助けるんですよね」
「フランを助けることは合っている。だがそれは後回しだ」
「それって、どういう……?」
「フランだけでは奴に勝てない。フランを勝たせるためにも、幽香にあることをしなければならない」
「あること……?」
「お前はさっきと同様に風見幽香の気を引き付けていろ。俺が幽香に仕掛ける」
「はい。では、御武運を」
 大妖精との通信が切れた。
 ディアボロは懐から『メタリカのDISC』と『ゴールド・エクスペリエンスのDISC』を取り出す。
「他にあるDISCは『エコーズact3』と『ホルス神』が20発ぶんか……厳しいな」
 廊下の奥から飛んでくるレーザーを傘で防ぐ。
 なんてことないただの作業だ。
「曲がるレーザーって厄介よね」
 多角的に飛んでくる光弾とレーザーを傘で防ぎ、ステップで避け、時には霊撃で吹き飛ばす。
 幽香はこの一連の動作の中で、ある一つの法則を見つけた。
「うん……変な角度で飛んでくる光弾とレーザーの仕掛け、見抜いたわ」
 幽香は、廊下に並ぶ燭台の1つを撃ち抜く。
 すると、燭台に向かっていたレーザーは軌道を曲げず、壁に焦げ目を作る。
「光弾とレーザーはいわゆる光の一種。燭台が発する熱は廊下の空気との温度差で屈折現象を起こすわ。それを利用して弾を撃ちこむなんて、あなた本当に妖精?」
 幽香は、次々と燭台を破壊していく。
「げっ……」
 廊下の角に隠れる大妖精は、冷や汗を浮かべた。
「多分、そこね」
 幽香は廊下の角へ向けて傘を向ける。
 角の壁ごと大妖精を撃ち抜くつもりらしい。
「いちか……バチか!」
 大妖精は、曲がり角から躍り出て弾幕を放つ。
「いい決意ね!」
 幽香は傘の向きを変え、極太ビームを大妖精へ向けて発射する。
 光の奔流は大妖精が放った弾幕を飲み込み、大妖精をも飲み込まんとする。
 壁が破壊され、夕焼けの光が入ってくる。
「ちょっとやりすぎちゃったかしら?」
 傘を畳んだ幽香は、それを肩に担ぐ。
「遅いですね」
 その背後に、大妖精は姿を現す。
「あら、いつの間に背後に回り込んだのかしら?」
 幽香は、振り返らない。
「足の速さには自信があるんです」
「それっていわゆる超スピードってやつ? あなたのはそんなチャチな代物じゃないでしょう?」
 幽香の言葉に、大妖精は汗を流す。
「動体視力が悪いだけじゃないんですか?」
「あら、レーザーが発射されて見切るだけの動体視力はあるわよ」
「時を止めて動いているとか」
「さっきのメイドじゃあるまいし」
 幽香は振り返ると共に、傘を振るう。
 傘は、宙を切り裂いた。
「あぶない、あぶない。近づくのは厳禁でしたね」
 大妖精は幽香の背後から25メートルの所に姿を現し、クナイの弾幕を放つ。
「今もして見せたけど、それってワープでしょ?」
 幽香の質問に、大妖精は黙ったままクナイと光弾の混じった弾幕を放つ。
「今度はクナイの光の反射でレーザーを曲げるつもり?」
 あっさりと大妖精の意図を見切った幽香は、クナイを弾幕でたたき落とす。
「さ~て、お遊びはおしまいにしますか」
 幽香はレーザーを傘で防ぐと、指を鳴らした。
「背後を取られた気分は、どう?」
 大妖精は、自分の背後から幽香の声を聴いた。
「え?」
 大妖精はあっけにとられた。
「ど、どういうこと……?」
 目の前には幽香がいる。
 しかし、背後からも幽香の声と気配がする。
 そっと大妖精は振り向いた。
 幽香がいた。
「びっくりした? びっくりしたでしょ」
 幽香は悪戯が成功した妖精のような笑みを浮かべて、傘の先を大妖精に向ける。
 極太レーザーが2本、大妖精に襲い掛かる。
 大妖精は姿を消した。
「ここは目の前の幽香を盾にしてレーザーを防ぐッ!」
 大妖精は、分身ではない幽香、つまり彼女の正面25メートル先に立つ幽香の背後に姿を現した。
 姿を現した途端、あっかんべーをしている幽香と目が合った。
「残念ね♪」
 盾にしたはずの幽香は、消えた。
 防ぐ物失った大妖精は、幽香の極太レーザーを全身に浴びてしまう。
 強力無比な光の洪水を浴び、大妖精はその場に倒れこむ。
 幽香は分身を消して、大妖精の前まで歩いてくる。
「ただの妖精なのに、ここまでやれたのは流石ね」
 傘をさし、完全な勝利ムードを醸し出していた。
 大妖精は、黙って幽香を見つめる――正確には、幽香の背後を。
「その視線……何か考えているわね!」
 大妖精の視線に気づいた幽香は、振り向いた。
「もう遅いッ! 『メタリカのDISC』の効果でそっと近づかせてもらった!」
 背後には、ディアボロが立っていた。
 ディアボロは、折れた腕を振るって、手に持つ『ゴールド・エクスペリエンスのDISC』を幽香の頭に押し付ける。
「お前は……! まだ気絶していなかったのね!」
 幽香は再び分身。
 分身幽香がディアボロを思いっきり殴り飛ばす。
「ぐうッ!」
 ディアボロはバットでたたかれたボールのように吹き飛び、壁に叩き付けられる。
「走れ! 準備はできた! 後はフランを開放するだけだッ!」
 ディアボロは『キング・クリムゾン』で幽香に足払いをかける。
 幽香はマンガのように転倒する。
 が、もう一人の幽香が走って大妖精を追いかけようとする。
「逃さん!」
 走る幽香に向かって、ディアボロは『ホルス神のDISC』から氷弾を放つ。
「くッ! しつこい男は嫌われるわよ?」
 足元を凍らされた幽香は、その姿を変化させる。
「とっておきよ。霊魂化なんて希少なスキルなんだから」
 光の玉と化した幽香は、ものすごいスピードで大妖精を追い始める。
「霊魂化がどうした! 凍らせてやるッ!」
 ディアボロは幽香に狙いを定め、氷弾を撃ちこむが、氷弾は幽香に命中しない。
「無駄よ。今の私に物理攻撃はおろか、魔法や精神攻撃の類も効かないわ」
 立ち上がった分身幽香はディアボロをあざ笑いながら、ディアボロに向けて足を振るう。
「ぐッ……仕方がない。ここは防御を捨てるしかないッ!」
 ディアボロは、防御用に装備している『スパイス・ガールのDISC』を取り出す。
 DISCが崩れて消えると、ディアボロの体は一瞬で柔らかくなり、幽香の蹴りを受け止める。
「何かの魔法を使ったのかしら? 干されたシーツを蹴ったような心地がするんだけど」
「教えるわけがない。俺の役目は幽香の分身であるお前を倒すことだ」
 ディアボロは『キング・クリムゾンのDISC』をあろうことか攻撃用から防御用に付け替えた。

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