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信仰は全人類の幸福のために

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匿名ユーザー

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バグオオア!!

「ガボッ…!!」

ドグシャアァ!!

鬼神陰陽玉をくらい、激しく吹き飛ばされるプッチ神父。
神父の身体はそのまま守矢神社の境内の上空を舞い、賽銭箱に叩き込まれる。

ゴグシャァァァ!!

「ガハッ!!うっ…あっ…
う、うう…」
神父は破損した賽銭箱に手足を挟まれ、身動きがとれなくなった。
「無…無重力巫女に…重力反転は…効かない…か…」
ガクリと首を仰け反らせ 、動かなくなる神父。
「や、やりましたか?」
「いや、まだ『上』がアイツのままだぜッ!
能力が解除されてないってことは、ヤツはまだピンピンしてるってことだ…」
重力が反転したことで、霊夢みたく自由に飛ぶことが出来ない者は、早苗のように諏訪子の造り出した地面に垂直な『足場』に立つか、魔理沙のようにホバリングして、ことの成り行きを見守っていた。
「……長々やるのも面倒臭いし、ちゃっちゃとのされてくれないかしら?
もっとも、それ以外出来ることもないでしょうけど。」
霊夢がさらにスペルカードを掲げようとする。
「ちょっと待て!あいつをのすのには大賛成だけど、これ以上の神社への被害は勘弁願いたいね!!」
「言われなくても分かってるわよ、神奈子。
被害は賽銭箱だけに抑えておくわ。」
霊夢が少し注意を逸らした時だった。
「――――――違うな…巫女…」
ハッと一同は神父に視線を向ける。
プッチ神父は賽銭箱に突っ込まれた状態で、空を仰いでいた。
「『運命』はやはり…このわたしに『試練』を与え『味方』してくれるようだ。
わたしに力を貸してくれるのはその異教徒どもだったッ!」
神父の目が、ギンッと鋭く輝く。
「この箱に突っ込ませられて!
空を仰いだ時!
意味がわかったッ!
わたしの味方はやはり異教徒どもだったッ!」

グワアァァァ………


「な、なんだとォォオオ!?」
「神父の野郎が空中に浮いていくぜッ!!」
「『重力』はわたしを中心に働いている…
つまり…わたしが箱の中に入れば箱は!わたしごと宙に持ち上がるッ!
そしてッ理解したぞDIOッ!
君の『天国へ行く方法』に欠けていたものッ!
それは『重力』よりもっと超自然的な力、『満月』の魔力ッ!
そして『満月』は待たなくていいッ!
完成した能力はもう手に入ったッ!」
神父は賽銭箱に入ったまま宙に浮き、妖怪の山の麓へと降りていく。
「このまま空中に浮いて同じ魔力の条件を体で感じて探せばいいッ!
『満月』と同じッ!
魔力の影響の位置をッ!」
「私達の神社で暴れてくれて、逃がすと思うのかっ!!」
「どこまでも悪あがきしやがる野郎だぜ!!」
「あいつ何かブツブツ言ってるわ!」
「重力はそのままですッ!
地面の重力は垂直に戻りませんッ!!」
神奈子、魔理沙、咲夜、早苗は反転した重力の中強引に飛んで神父を追う。
その後ろから諏訪子と霊夢が追い付く。
「我がメイド・イン・ヘブンの能力がッ!
完璧になれるポイントがあるはずだッ!
落ち着け!
位置を探すのだッ!
…素数を数えて落ち着け!
13… 17… 19…」
「山の大将、あいつを撃ちなさい。」
咲夜の台詞に、神奈子がギッと睨む。
「人間に指図されるまでもないねっ!!」
神奈子がスペルカードを掲げる。
「神祭『エクスパンデッド・オンバシラ』!!」
巨大な木の柱が宙を飛ぶ神父を撃墜せんと迫る。
そして―――――――

ドオォォ――――z――ン………
「ようこそ、私の世界へ。」
神父が、柱が、霊夢達が、動くことを止めた。
風や音すら、押し黙る。
そしてこの時間を認識できるのは、この世界で動けるのは、たった一人、咲夜のみ。
「さあ、どのあたりからが丁度良いかしら…」
咲夜はぐるりと迂回し、神父の真横の位置に来ると、
「『ルミネスリコシェ』」
超高速に加速されたナイフを神父の頭部目掛けて投げる。
ナイフはピタリと空中に留まり、引き絞られた矢の如く獲物に切っ先を向けて、解き放たれる瞬間を待ちわびている。
「貴方はこのナイフの動きに気付かない」
「5…4…」
手を掲げ、指を折り、神父の脳髄が禿げ山の復興に貢献するまでの時間をカウントする。
「…3…2…」
また襲って来るであろう反転した重力に備え、身構える。
「1…」

ギィィイン!!

「!!!?」
止まった時の中で、神父と咲夜の視線が較差した。
直後、時は動き出す。



「『C―MOON』!!」
敵にスタンド使いがいないため、容易に霊夢達に接近していた『C―MOON』が柱に触れ、柱はメキメキと悲鳴を上げて裏返っていく。
「うおおおおおおおおおおおおおッ!!」
超高速ナイフは神父の耳を削り取っただけで、かわされてしまった。
オンバシラも発射直後に触れられたため、神父に届く前に砕け散ってしまった。
「そ、そんな…私の、時の止まった世界に…立ち入られるなんて…」
咲夜が驚きに茫然としていると、
「ちょっとちょっと!
あいつ、何をするつもりなのよ!」
「賽銭箱を壊して…飛び下りたぜ!!」
神父が落ちていく先には…
「間欠泉地下センターだッ!」
「神父が非想天則に乗り込んだわ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

「あいつ…ただ逃げようとしているだけじゃあない…
まさか…あいつ…ヤツに与えてはならない何かを知ったんじゃあ…!?
あいつの能力を完成させる条件を…」
霊夢が最悪の事態を想定する。
一号機に比べて小型で、風船ではなく合金製の非想天則二号機に乗り込み、神父は『位置』を探す。
「このプッチを押し上げてくれたのはおまえらだ。
わたしの味方はこの世界に流れ着いた時からおまえらだったのだッ!」
神父の身体が眩い光を放つ。
それはまさしく神の下僕、天使の降臨を彷彿とさせる。
「感じたぞッ!
『位置』が来るッ!!
今メイドがナイフを撃ち込んで来たあの位置で感じたッ!
わたしを押し上げてくれたのは異世界の異教徒共だった!!」
「はっ!?」
早苗が何かに気付き、声をあげる。
「魔理沙ですッ!
ロボットの外壁に既に乗ってますッ!!」
魔理沙がコクピットの中に向けて八卦炉を突き出す。
「くらえッ!
恋符『マスタースパーク』ッ!!」
だが、彼女の十八番が放たれる直前、神父の放つ光が魔理沙の視力を奪った。
ピカッ――――――

カアアアァァァ――――――!!

「うおおおおおおおおおォォオーッ!?」
「もう『C―MOON』ではない…『天国の時』はついに来た…
完成だッ!
魔力のパワーがッ!この体を貫いて来るぅぅッ!」
太陽を目の前に突き出されたかのような光に網膜を焼かれながらも、魔理沙は『マスタースパーク』を発射しようとする。
「地獄へ落ちろッ!
このゲス野郎ォオオオーッ!!」

ゴオオオオォ―――!!

「ああああああああああ…………………―――







「……こ…これ…は…?」
霊夢が気付いた時、彼女は地面に突っ伏していた。
辺りを見回すと、他の面子も倒れ、起き上がっているところだった。
「じ、重力は元に戻ったみたいですね…」
「し、神父は何処だ!?
まさか逃げられたのかい?」
「分かった!
あいつ『天国へ行く方法』とか言ってたけど、本当はただのハッタリで、何処かに隠れて能力の『完成』を待ってるのよ!!」
神奈子と諏訪子が飛び上がり、辺りを見渡す。
が、何処にも神父の姿は見えない。
「――――――…いや、違うわ…」
咲夜が独り言のように呟いた。
彼女は自分の懐中時計を凝視している。
他の面子も覗きこむ。
「な…なんだい…?これは…?」
「と、時計の長針が…秒針みたく回ってるぜ!」
「いいえ…加速しているのは時計の針じゃないわ…空をご覧なさい。」
咲夜の言葉に一同は夜空を見上げる。
「…神奈子、あんた天候弄ってないよね?」
「ああ、私は何もしてない…」
「じゃあ、これは何なのよ…?」
雲が、早送りで再生された観察記録のように、メチャクチャな速さで流れていた。
「いろんなものが早く動いている…
この世のものが…と…時計だけじゃあなく す…全てのものがッ…
まさかッ!これが能力の『完成』!!?」
霊夢の予感は、的中してしまった。
神父は光に包まれ、完全な姿になったのだ。
全人類を幸福へと導く『天国へ行く方法』を実行するために。
「――――――あ、あの…皆さん…?」
と、早苗が遠慮がちに声をあげた。
「今、空を見上げていて気付いたんですが………その……」
おずおずと顔を上げ、夜空を指差す。
「月って、あんなに小さかったでしたっけ…?」
皆、ハッと早苗の指差す方角に目を向ける。その先には…

「………………
…………………………………
………………………………………………………」

皆、唖然とした表情で固まってしまった。満月が、一回り小さくなっていたのだから。



―――――――――――――――――――――――
―――――地上で神父が『C―MOON』を発動した直後の月の都――
『生』を拒絶したことによって『死』を遠ざけた者達が住まう、科学と魔法の楽園は、今や見る陰もなく破壊されていた。
ほんの数分前までは閑静な住宅街だったのだろう。
耐震性なぞ歯牙にも掛けず設計された建造物群の成れの果ての瓦礫の通りは、恐らく月文明始まって以来だろう、『死』への恐怖と『生』への渇望の阿鼻叫喚が渦巻く地獄の様相を体現していた。
「あああ、これは…何が起こってるの!?」
「わ、分かりません!
こんな…こんな出鱈目な縦揺れ、いったいどんな力が…!?」
綿月姉妹は倒壊した自宅から飛び出し、月の都の上空を旋回していた。
「なんでもいいわ!
なにか分からないの?」
「…神は言っています、『地震』ではないと。」
「そんなこと分かってるわよ!!
『地震』は大地の『穢れ』の具現、『穢れ』なき月の大地で起こるはずないじゃない!!
いいから、この惨劇の原因を言いなさい!」
「待ってください、今なにか知ってそうな神を降霊して…、…………………ッ!?」
依姫の顔から、血の気が引いた。
「な、なに?何か分かったの?」
硬直していた依姫が、やっと口を開いた。
「…お姉さま…今、気付いたんですが…その…」
が、ぎこちなく空を見上げて、指差す。
「…太陽って、あんなに小さかったでしょうか…?」
はっと見上げる 。
「た、確かに、心なしか小さく見える…、
はっ!?
まさか…!!」
「ええ、どうやらそのまさかのようです。」
ごくりと唾を飲む姉妹。
「月が…地上から…」
「そして…太陽から…」

「「離れていっている……」」



――――――――――――――――――――――――――――――

―――――茫然自失して、小さく離れていく月を見上げる地上の一同。
「――――――…なっなんということでしょう!
プッチ神父の『C―MOON』の重力反転によって、月がぶっ飛ばされてしまいました!!
しかもご丁寧に『時間加速』まで付け加えて、さらに速く月が離れていきます!!
こっこれはとんでもないことをしてくれました!!
これから お月見はどうしたらいいのでしょうか!!
もう月見だんごも食べられません!!
狼男も変身できません!!
風情もくそもなくなってしまいました!!!
恐るべし西洋の神の力!!
彼の目指した『天国』、その実態は、『月の無い世界』だったようです!!
これで『満月の光』を糧に生きる妖怪は絶滅!
幻想郷は破滅!
異教徒滅ぶべし!!
彼の世界の完成です!!!」
月が恒星並みの明るさになってから、目に見えるほどの速さで日が登った幻想郷の空の下、早苗の渇いた声だけが空しく響いていた……………………………




おわれ

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