デッドマンズQ ~幻想郷~
―東方魂録書―
―東方魂録書―
ここ白玉楼は、転生とか成仏を告げられた死者が幽霊となってそれを待つ場所らしい。
あいつの言う『あの世』はここにあった。よかったな。惜しむことは実際にあるかどうかを
あいつ自身でなくわたしが確かめたことだが。そんなことを考えながらわたしの雇い主である
幽々子の元へ行った。
「おはよう、吉影。今日もいい天気ねぇ。」
「ああ、おはよう。」
挨拶を返す。今日も呑気な顔をしていた。ま、いい天気だという点では同意だが。
「ところでね、吉影、早速だけど頼みたいことがあるの。」
と彼女は言ってきた。つまり仕事の依頼である。わたしは彼女からの仕事をする代わりに
部屋を借りて、ある程度の賃金をもらっている。だから断る必要もないし意味もない。
「あなたにね、探し物をしてもらいたいの。」
今回の仕事は探し物をすることらしい。一体何を探せばいいのだろうか。旬の食べ物とかか。
「あら、あなたきっと『食べ物でも探して来いとでも言いそうだな』とか思ってたでしょ?失礼ね。」
なぜかばれてしまった。考えていることでもわかるのだろうか。
「まったく、妖夢もあなたも失礼しちゃうわね。」
…そういうわけでもないらしい。どうやら妖夢もいつも苦労してるようだ。
わたしはここに来て数週間ほどしか経っていないが、幽々子の性格はなんとなくわかってしまった。
幽霊のくせに食い意地が張ってるという評価は間違いじゃあなさそうだ。だがどこか侮れない部分がある。
のほほんと呑気にしていて、決して食えない奴。あの女坊主以上にだ。
あいつの言う『あの世』はここにあった。よかったな。惜しむことは実際にあるかどうかを
あいつ自身でなくわたしが確かめたことだが。そんなことを考えながらわたしの雇い主である
幽々子の元へ行った。
「おはよう、吉影。今日もいい天気ねぇ。」
「ああ、おはよう。」
挨拶を返す。今日も呑気な顔をしていた。ま、いい天気だという点では同意だが。
「ところでね、吉影、早速だけど頼みたいことがあるの。」
と彼女は言ってきた。つまり仕事の依頼である。わたしは彼女からの仕事をする代わりに
部屋を借りて、ある程度の賃金をもらっている。だから断る必要もないし意味もない。
「あなたにね、探し物をしてもらいたいの。」
今回の仕事は探し物をすることらしい。一体何を探せばいいのだろうか。旬の食べ物とかか。
「あら、あなたきっと『食べ物でも探して来いとでも言いそうだな』とか思ってたでしょ?失礼ね。」
なぜかばれてしまった。考えていることでもわかるのだろうか。
「まったく、妖夢もあなたも失礼しちゃうわね。」
…そういうわけでもないらしい。どうやら妖夢もいつも苦労してるようだ。
わたしはここに来て数週間ほどしか経っていないが、幽々子の性格はなんとなくわかってしまった。
幽霊のくせに食い意地が張ってるという評価は間違いじゃあなさそうだ。だがどこか侮れない部分がある。
のほほんと呑気にしていて、決して食えない奴。あの女坊主以上にだ。
「それじゃあ探し物について順に説明するわね。」
彼女の説明が始まった。どうやら珍しく食べ物関連のことではないらしい。
「冥界にはね、閻魔様に転生や成仏を命じられた幽霊がいるの。その閻魔様は死者の生きてる間の行いを見て
地獄に行くべきか、成仏すべきかを判決するの。」
冥界があるのだから地獄があるのだろうとは予測していたが、本当にあったらしい。
あいつは死んだらどっちに行くのだろうか?
「それでね、閻魔様は『浄玻璃の鏡』を使って死者の行いを見るの。ほとんどの死者はそれで
地獄か成仏かが決まるんだけど…」
「それで見れない死者が現れたよ。前代未聞の出来事ね。映らないと地獄行きか成仏かも判断できないもの。
その代わり、映ったのはある場所。」
「閻魔様は考えたわ。きっとそこに死者の人生について何か手がかりがあると。だからあなたにはそこに行って
死者の人生を知るのに手がかりになりそうなものを探して欲しいの。」
「おいおい、何を探してきて欲しいかはわかったが、どうしてオレが行かなきゃ行けないんだ?
死者を裁くのはその閻魔様の仕事なんだろ?だったらその閻魔様が探せばいいじゃないか!?」
別に仕事をするのが嫌なのではない。『仕事』を『生きがい』にしておけば幸福になれるかもしれない。
だが他人のすべき仕事を押し付けられるのは納得がいかない。
「その閻魔様が忙しいのなら部下にでも頼めばいいだろうに。」
「うーん、それなんだけどね、あそこも色々厄介なのよ。一人の死者に色々施すのも不公平、というのもあるし、
そもそも裁けない死者なんて本当に前代未聞の出来事なのよ。だからあまり公に動くことできないらしいのよ。」
「だから代わりにこっちが動くのか。」
「そういうこと。ここも幽霊という死者を扱ってるしね。」
「…ま、いいさ。依頼人の立場なんてオレはどうでもいい。」
どこの世界も組織というのは面倒なものらしい。それは外の世界も幻想郷も地獄も変わらない。
だけど死んで『魂』だけになった自分に組織なんて何の価値もない。バカな上司にヘーコラする気も、
アホな部下に怒鳴る気もさらさらない。そんなものは心の平穏からは最も遠いものだ。
「それでオレはどこに行き、どうすればいい?手がかりって言ったって具体的に何を探せばいいんだ。」
「そうね、その閻魔様が言うには鏡には紅魔館という館の図書館が映っていたらしいわ。
図書館、というからには本じゃあないかしら?もしかしたらその死者の日記でもあるのかもしれないし。」
図書館に日記はないだろうと思ったが、世の中には偉人の人生をまとめた伝記というのがある。
そういうものでも探せばいいのだろうか。だが伝記になるような人間なのに裁けないとはどっかおかしい気がする。
いや逆にそういう人間だから裁けないのか?しかしそんなことはわたしには関係ない。
「それで紅魔館はどこにあるんだ?図書館に行くにはどうしたらいい?」
「そうね、紅魔館は……霧の湖のそばだったかしら?たしかその辺にあったと思うわ。
まあ地図を渡すからそっちで確認しておいてね。図書館は館の地下にあるらしいわ。」
「……まあいいさ。地図があるならな。それでそこの住人はどうなってる?」
「主はレミリア・スカーレットという吸血鬼ね。あとは妖精のメイドがたくさんいて
それを束ねているのは人間のメイド長、十六夜咲夜よ。彼女は人間だけど能力を持ってるわ。
時間を操る程度の能力だったかしら。図書館には魔法使いが住んでるわ。たしか
パチュリー・ノーレッジという名前ね。あとは紅魔館の門を守る門番もいたわね。」
吸血鬼にメイドに魔法使い……まさしく幻想郷って世界だな。
「特に気をつけてほしいのは時を操るメイド長さんね。時を操られたら厄介だもの。
…そういえばあそこにはもう一人吸血鬼がいるらしいわ。なんでも
ありとあらゆるものを破壊する程度の能力をもってるって噂よ。ありとあらゆるものってことは
幽霊でも破壊しちゃうのかしら?そしたら危ないから気をつけて探してきてね。」
つまり今回の仕事は初めての危険な仕事ってわけか。厄介そうだが何とかなるだろう。
探し物さえすればいいわけだからな。しかし本当に呑気そうにしゃべるな。
自分がやるわけでないからそんなに呑気なんだろうか?
「死者の特徴はどうなんだ?そいつがどんなやつかわからないと手がかりも何もないからな。」
「うーんそうね、だいたい20歳前後くらいで死んだ若い男の子らしいの。
閻魔様から聞いた情報はこれくらいしかないわ。」
あまり大した情報はないらしい。ないからこうして探す必要があるのだろう。
「……まあ、大体のことはわかった。つまり紅魔館の図書館に行き、その男の人生の手がかりを
探せばいいわけだな。」
「そういうことね。お願いできる?」
「そういう『契約』だからな。オレはただ『仕事』をするだけさ。」
彼女の説明が始まった。どうやら珍しく食べ物関連のことではないらしい。
「冥界にはね、閻魔様に転生や成仏を命じられた幽霊がいるの。その閻魔様は死者の生きてる間の行いを見て
地獄に行くべきか、成仏すべきかを判決するの。」
冥界があるのだから地獄があるのだろうとは予測していたが、本当にあったらしい。
あいつは死んだらどっちに行くのだろうか?
「それでね、閻魔様は『浄玻璃の鏡』を使って死者の行いを見るの。ほとんどの死者はそれで
地獄か成仏かが決まるんだけど…」
「それで見れない死者が現れたよ。前代未聞の出来事ね。映らないと地獄行きか成仏かも判断できないもの。
その代わり、映ったのはある場所。」
「閻魔様は考えたわ。きっとそこに死者の人生について何か手がかりがあると。だからあなたにはそこに行って
死者の人生を知るのに手がかりになりそうなものを探して欲しいの。」
「おいおい、何を探してきて欲しいかはわかったが、どうしてオレが行かなきゃ行けないんだ?
死者を裁くのはその閻魔様の仕事なんだろ?だったらその閻魔様が探せばいいじゃないか!?」
別に仕事をするのが嫌なのではない。『仕事』を『生きがい』にしておけば幸福になれるかもしれない。
だが他人のすべき仕事を押し付けられるのは納得がいかない。
「その閻魔様が忙しいのなら部下にでも頼めばいいだろうに。」
「うーん、それなんだけどね、あそこも色々厄介なのよ。一人の死者に色々施すのも不公平、というのもあるし、
そもそも裁けない死者なんて本当に前代未聞の出来事なのよ。だからあまり公に動くことできないらしいのよ。」
「だから代わりにこっちが動くのか。」
「そういうこと。ここも幽霊という死者を扱ってるしね。」
「…ま、いいさ。依頼人の立場なんてオレはどうでもいい。」
どこの世界も組織というのは面倒なものらしい。それは外の世界も幻想郷も地獄も変わらない。
だけど死んで『魂』だけになった自分に組織なんて何の価値もない。バカな上司にヘーコラする気も、
アホな部下に怒鳴る気もさらさらない。そんなものは心の平穏からは最も遠いものだ。
「それでオレはどこに行き、どうすればいい?手がかりって言ったって具体的に何を探せばいいんだ。」
「そうね、その閻魔様が言うには鏡には紅魔館という館の図書館が映っていたらしいわ。
図書館、というからには本じゃあないかしら?もしかしたらその死者の日記でもあるのかもしれないし。」
図書館に日記はないだろうと思ったが、世の中には偉人の人生をまとめた伝記というのがある。
そういうものでも探せばいいのだろうか。だが伝記になるような人間なのに裁けないとはどっかおかしい気がする。
いや逆にそういう人間だから裁けないのか?しかしそんなことはわたしには関係ない。
「それで紅魔館はどこにあるんだ?図書館に行くにはどうしたらいい?」
「そうね、紅魔館は……霧の湖のそばだったかしら?たしかその辺にあったと思うわ。
まあ地図を渡すからそっちで確認しておいてね。図書館は館の地下にあるらしいわ。」
「……まあいいさ。地図があるならな。それでそこの住人はどうなってる?」
「主はレミリア・スカーレットという吸血鬼ね。あとは妖精のメイドがたくさんいて
それを束ねているのは人間のメイド長、十六夜咲夜よ。彼女は人間だけど能力を持ってるわ。
時間を操る程度の能力だったかしら。図書館には魔法使いが住んでるわ。たしか
パチュリー・ノーレッジという名前ね。あとは紅魔館の門を守る門番もいたわね。」
吸血鬼にメイドに魔法使い……まさしく幻想郷って世界だな。
「特に気をつけてほしいのは時を操るメイド長さんね。時を操られたら厄介だもの。
…そういえばあそこにはもう一人吸血鬼がいるらしいわ。なんでも
ありとあらゆるものを破壊する程度の能力をもってるって噂よ。ありとあらゆるものってことは
幽霊でも破壊しちゃうのかしら?そしたら危ないから気をつけて探してきてね。」
つまり今回の仕事は初めての危険な仕事ってわけか。厄介そうだが何とかなるだろう。
探し物さえすればいいわけだからな。しかし本当に呑気そうにしゃべるな。
自分がやるわけでないからそんなに呑気なんだろうか?
「死者の特徴はどうなんだ?そいつがどんなやつかわからないと手がかりも何もないからな。」
「うーんそうね、だいたい20歳前後くらいで死んだ若い男の子らしいの。
閻魔様から聞いた情報はこれくらいしかないわ。」
あまり大した情報はないらしい。ないからこうして探す必要があるのだろう。
「……まあ、大体のことはわかった。つまり紅魔館の図書館に行き、その男の人生の手がかりを
探せばいいわけだな。」
「そういうことね。お願いできる?」
「そういう『契約』だからな。オレはただ『仕事』をするだけさ。」
わたしは幽々子からここから紅魔館までの地図を受け取ると、早速紅魔館に出向くことにした。
幽々子は朝ごはんを食べていかないかと誘ってきたが、あいにく彼女と違ってわたしは食べ物を口に
する幽霊ではなかったので遠慮することにした。それに今日は天気がとてもいい。
春の陽気も相まって、歩いて出かけるにはちょうどいい日だった。こんな日を少しでも多く味わいたい。
だからわたしはゆっくりと桜の香りと春風を受けながら、まずは霧の湖を目指す。
幽々子は朝ごはんを食べていかないかと誘ってきたが、あいにく彼女と違ってわたしは食べ物を口に
する幽霊ではなかったので遠慮することにした。それに今日は天気がとてもいい。
春の陽気も相まって、歩いて出かけるにはちょうどいい日だった。こんな日を少しでも多く味わいたい。
だからわたしはゆっくりと桜の香りと春風を受けながら、まずは霧の湖を目指す。
吉良が白玉楼を出たあと、朝食を終えた幽々子達が庭で会話を楽しんでいた。
妖夢は役目を終えた桜の花びらを掃除している。その中には幽々子の友人である
八雲紫の姿があった。彼女は境界を操る妖怪である。厄介ごとを持ち込む能力もあるとかないとか。
「それじゃあ、紫、よろしくね~。」
幽々子は紫に何か頼みごとをしたようだ。胡散臭く、信用ならない性格の彼女に
頼み事なんてできるのは呑気で惚けた性格を持ち、彼女の友人である幽々子ぐらいである。
「わかったわ。そんな面白そうなこと見逃すわけにはいかないしね。」
そう言うと紫は楽しそうに空中にスキマを開けて、中に入る。彼女の姿が消えると同時に
スキマも消え、そこには何もなかったようにいつもの風景を映し出していた。
「幽々子様、紫様に何を頼んだのですか?」
「吉影の初めてのお使いだから、陰ながら見守って欲しいって頼んだの。」
「吉影さんは子供でもないし、初めてでもありません。」
妖夢は呆れながらつっこんだ。
「いいえ、これは初めてなのよ。」
幽々子は惚けて微笑みながら、しかしながら何か狙いがあるような油断ならない雰囲気でつっこみ返した。
「でも大丈夫ですかね。紅魔館も変わった人たちが多いからちょっと心配です。」
幻想郷で数少ない素直で常識人(?)、それ故にいじられ易い妖夢は吉影を心配した。
「大丈夫よ、貴女みたいに半人前じゃないし。」
そしてやっぱり幽々子に弄られる。
「それにしてもどうなるのかしらね?『記録のない』幽霊が『記録のない』死者を助けるなんて……。」
そう言いながら、心配でなく楽しそうな表情で、お茶を啜っていた。
妖夢は役目を終えた桜の花びらを掃除している。その中には幽々子の友人である
八雲紫の姿があった。彼女は境界を操る妖怪である。厄介ごとを持ち込む能力もあるとかないとか。
「それじゃあ、紫、よろしくね~。」
幽々子は紫に何か頼みごとをしたようだ。胡散臭く、信用ならない性格の彼女に
頼み事なんてできるのは呑気で惚けた性格を持ち、彼女の友人である幽々子ぐらいである。
「わかったわ。そんな面白そうなこと見逃すわけにはいかないしね。」
そう言うと紫は楽しそうに空中にスキマを開けて、中に入る。彼女の姿が消えると同時に
スキマも消え、そこには何もなかったようにいつもの風景を映し出していた。
「幽々子様、紫様に何を頼んだのですか?」
「吉影の初めてのお使いだから、陰ながら見守って欲しいって頼んだの。」
「吉影さんは子供でもないし、初めてでもありません。」
妖夢は呆れながらつっこんだ。
「いいえ、これは初めてなのよ。」
幽々子は惚けて微笑みながら、しかしながら何か狙いがあるような油断ならない雰囲気でつっこみ返した。
「でも大丈夫ですかね。紅魔館も変わった人たちが多いからちょっと心配です。」
幻想郷で数少ない素直で常識人(?)、それ故にいじられ易い妖夢は吉影を心配した。
「大丈夫よ、貴女みたいに半人前じゃないし。」
そしてやっぱり幽々子に弄られる。
「それにしてもどうなるのかしらね?『記録のない』幽霊が『記録のない』死者を助けるなんて……。」
そう言いながら、心配でなく楽しそうな表情で、お茶を啜っていた。
霧の湖に着くと、地図を広げて紅魔館の場所を確認する。それにしても今日はとても暖かい。
気温は外で眠っても空気が布団になってくれそうな温度であり、湿度はその暖かさを保持できるように
かつ不快な気分になんてさせてくれなさそうなちょうどいい塩梅であった。こんな日は寝っ転がって昼寝を
楽しみたい。そんなことを考えながらわたしは紅魔館に向けて歩き出した。
紅魔館の姿が霧の中から出てきた。どうやらもうすぐ紅魔館だ。ここまでくることに問題はない。
たとえどんな妖怪が出てこようとわたしは幽霊だ。わたしが恐れるのはそんな不可思議なものでない。
紅魔館の前まで来ると、わたしは幽々子が門番がいる、と言っていたことを思い出した。
門番という存在は面倒だ。それはつまり主の魂が館に入ることを『許可』しないという明確な意思であり、
わたしのような存在にとっては非常にはた迷惑な存在だということだ。
だが、目の前にいる門番はわたしと違って仕事をしていなかった。今日の陽気に包まれて、
暖かい日光の下で器用にも立ちながら眠っていた。羨ましい。しかし都合がいい。
わたしは門番から離れ、適当な位置で"壁から"屋敷の敷地内に侵入する。
眠っている、ということは扉を開けっ放しにしておくようなもんだ。そんな奴を門番にするなんて
この館はそんなに平和なのか、それともそんな奴しか雇えなかったのか…。
しかし、そんなことはわたしには関係ないしどうでもいい。館の周りを誰かに見つからないように
探索しながら誰もいないような部屋を探し出し、そこからまた館の内部に入り込んだ。
気温は外で眠っても空気が布団になってくれそうな温度であり、湿度はその暖かさを保持できるように
かつ不快な気分になんてさせてくれなさそうなちょうどいい塩梅であった。こんな日は寝っ転がって昼寝を
楽しみたい。そんなことを考えながらわたしは紅魔館に向けて歩き出した。
紅魔館の姿が霧の中から出てきた。どうやらもうすぐ紅魔館だ。ここまでくることに問題はない。
たとえどんな妖怪が出てこようとわたしは幽霊だ。わたしが恐れるのはそんな不可思議なものでない。
紅魔館の前まで来ると、わたしは幽々子が門番がいる、と言っていたことを思い出した。
門番という存在は面倒だ。それはつまり主の魂が館に入ることを『許可』しないという明確な意思であり、
わたしのような存在にとっては非常にはた迷惑な存在だということだ。
だが、目の前にいる門番はわたしと違って仕事をしていなかった。今日の陽気に包まれて、
暖かい日光の下で器用にも立ちながら眠っていた。羨ましい。しかし都合がいい。
わたしは門番から離れ、適当な位置で"壁から"屋敷の敷地内に侵入する。
眠っている、ということは扉を開けっ放しにしておくようなもんだ。そんな奴を門番にするなんて
この館はそんなに平和なのか、それともそんな奴しか雇えなかったのか…。
しかし、そんなことはわたしには関係ないしどうでもいい。館の周りを誰かに見つからないように
探索しながら誰もいないような部屋を探し出し、そこからまた館の内部に入り込んだ。
その頃居眠りをしていた門番は、ハッと自分が寝ていたことに気づいた。そして前に
だれか人間が立っていることに気づいた。彼女はそれが館を仕切っているメイド長だと思い、
「眠ってなんかいませんよ!ええ眠ってなんか。ただちょっと暇だったんでウツラウツラしてただけなんです。
本当なんです信じてください。」
と誰も何も言っていないのに言い訳を言い始めた。これはどう見ても逆効果である。
「なんだ。別に寝てて良かったのに。その方が簡単に入れたんだがな。」
どうやら目の前の人間は咲夜ではなかったようだ。その点で言えば良かったことである。
だが悪いことは目の前の黒い魔法使いが、この館に"また"侵入しようとしていることである。
「あ、また貴女ですか。いい加減にして下さい!貴女のせいで何回ご飯抜きになったと思うんですか!」
「いいじゃあないか、妖怪なんだから。別に腹が減っても死にはしないだろう?
いざとなったら人を食えばいいだろうに。」
「そんなことしたら紅白の巫女に退治されるじゃないですか!!」
「そしたら線香ぐらいはあげてやってもいいぜ。」
なんとも物騒な、その巫女が聞いたら呆れ怒りそうな会話を続けていた。
「今日という今日は侵入させませんよ!させませんったら!!」
「う~~ん、面倒だな。しょうがない、これを使うか。」
何がしょうがないのかよくわからないが、その魔法使い、霧雨魔理沙は懐から八卦炉を取り出すと
「行くぜ!全力全開!!『恋符』マスタースパアアァァク!!!」
と流石に本当に全力は出していなかったが、かなりの威力の光線が門番と門に襲い掛かった。
その威力は絶大な爆発音と共に周囲に、門が破壊され、門番が吹っ飛ばされたことを知らせていた。
「い、いきなり撃つなんてひきょうだぁ~。」
「スペルカードルールにいきなりボムを撃っちゃあいけないなんてルールはないぜ。」
と誇らしげに、吹き飛ばされて息たえたえな門番に魔理沙は言い放った。
だれか人間が立っていることに気づいた。彼女はそれが館を仕切っているメイド長だと思い、
「眠ってなんかいませんよ!ええ眠ってなんか。ただちょっと暇だったんでウツラウツラしてただけなんです。
本当なんです信じてください。」
と誰も何も言っていないのに言い訳を言い始めた。これはどう見ても逆効果である。
「なんだ。別に寝てて良かったのに。その方が簡単に入れたんだがな。」
どうやら目の前の人間は咲夜ではなかったようだ。その点で言えば良かったことである。
だが悪いことは目の前の黒い魔法使いが、この館に"また"侵入しようとしていることである。
「あ、また貴女ですか。いい加減にして下さい!貴女のせいで何回ご飯抜きになったと思うんですか!」
「いいじゃあないか、妖怪なんだから。別に腹が減っても死にはしないだろう?
いざとなったら人を食えばいいだろうに。」
「そんなことしたら紅白の巫女に退治されるじゃないですか!!」
「そしたら線香ぐらいはあげてやってもいいぜ。」
なんとも物騒な、その巫女が聞いたら呆れ怒りそうな会話を続けていた。
「今日という今日は侵入させませんよ!させませんったら!!」
「う~~ん、面倒だな。しょうがない、これを使うか。」
何がしょうがないのかよくわからないが、その魔法使い、霧雨魔理沙は懐から八卦炉を取り出すと
「行くぜ!全力全開!!『恋符』マスタースパアアァァク!!!」
と流石に本当に全力は出していなかったが、かなりの威力の光線が門番と門に襲い掛かった。
その威力は絶大な爆発音と共に周囲に、門が破壊され、門番が吹っ飛ばされたことを知らせていた。
「い、いきなり撃つなんてひきょうだぁ~。」
「スペルカードルールにいきなりボムを撃っちゃあいけないなんてルールはないぜ。」
と誇らしげに、吹き飛ばされて息たえたえな門番に魔理沙は言い放った。
わたしが部屋に侵入すると同時に、地震が起きたような揺れと、同時に爆発音が聞こえた。
一瞬何が起きたかよくわからなかったが、
「魔理沙接近中!魔理沙接近中!第一防衛ライン突破されました!館にいるメイドは魔理沙防衛シフトに移動
して下さい!繰り返します。魔理沙接近中!…」
とどうやらわたしと同じ侵入者が来たようだ。侵入者としては少々乱暴だがな。だが彼女のおかげで
妖精メイド達は侵入者を迎え撃つために自分の持ち場を離れたようだ。これで仕事がしやすくなる。
さて、図書館は地下にあると言っていたか。わたしは侵入者に対する防衛による戦闘音を遠くに聞きながら、
まずは地下に向かうための階段を探すことにした。
それから数十分間、妖精メイドに見つからないように慎重に歩いて、ようやく地下へ向かう階段を見つけた。
この建物は外見よりも広く感じた。そのせいかわからないが、思った以上に時間が掛かってしまった。
戦闘が終わったのか妖精メイドも戻り始めており、わたしは急いで地下の図書館に向かうことにした。
図書館は意外と階段のそばにあり、少し歩いただけで見つけることができた。しかも図書館の扉は開いており、
あらゆる者を受け入れようとしていた。だからわたしはその図書館へと入っていった。
一瞬何が起きたかよくわからなかったが、
「魔理沙接近中!魔理沙接近中!第一防衛ライン突破されました!館にいるメイドは魔理沙防衛シフトに移動
して下さい!繰り返します。魔理沙接近中!…」
とどうやらわたしと同じ侵入者が来たようだ。侵入者としては少々乱暴だがな。だが彼女のおかげで
妖精メイド達は侵入者を迎え撃つために自分の持ち場を離れたようだ。これで仕事がしやすくなる。
さて、図書館は地下にあると言っていたか。わたしは侵入者に対する防衛による戦闘音を遠くに聞きながら、
まずは地下に向かうための階段を探すことにした。
それから数十分間、妖精メイドに見つからないように慎重に歩いて、ようやく地下へ向かう階段を見つけた。
この建物は外見よりも広く感じた。そのせいかわからないが、思った以上に時間が掛かってしまった。
戦闘が終わったのか妖精メイドも戻り始めており、わたしは急いで地下の図書館に向かうことにした。
図書館は意外と階段のそばにあり、少し歩いただけで見つけることができた。しかも図書館の扉は開いており、
あらゆる者を受け入れようとしていた。だからわたしはその図書館へと入っていった。
わたしがその図書館に入るとそのあまりの大きさに驚嘆してしまった。わたしは図書館が好きだった。
あらゆる人間が出入りできて、特に許可の要らない、静かな空間をくれる図書館が好きだった。
あらゆる人間はそこで本を楽しむことができ、それでいて自由に休むことができ、そして
騒ぐことの許されない空間であった。古今東西の本が並べられて、それを自由に読むことのできる。
邪魔をすることは許されない。それはどれだけの幸福だろうか。仕事の終わったあとはよく図書館で
カフカの『変身』や『罪と罰』を読んだりもした。静かにそして好きなだけ本を読める図書館は理想であった。
そんな図書館が、まるで都会のビル全てを図書館にしたようなスケールでそこにあったのだ。
心が躍るようだった。周りはまだ戦闘中らしくて五月蝿くてかなわなかったが。
だが今の仕事を考えると喜んでいるだけにはいかなかった。
この中から死者の手がかりを探さなきゃあいけないわけだ。この膨大の書籍の中から
何を探せばいいのかわからない手がかりを探すとなるとなかなかの難易度だ。
幽霊に骨はないが、骨が折れそうだ。わたしは本の森を歩きながらそういうことを考えていると
ふと目の前に奇妙な本があることに気づいた。いや本というよりは最初は"空間"だと思っていた。
これだけ広い図書館でありながら本棚にはほとんど隙間はなく、びっしりと本が埋まっていた。
だからそこに隙間があるのはちょっとした違和感だった。しかし近づいてよく見るとそれは
本だった。半透明というには透明すぎる本だった。向こう側が良く見え、本と認識するには
近づいてみるしか方法がなかった。その本はハードカバーの単行本サイズで、ダークブラウンの革製の表紙だった。
厚さは400ページ弱くらいだろう。その本を持ったとき、直感でこれはあの死者に関する本なのではないか?
と考えた。わたしがその本を読もうとページをめくろうとした時、誰かの声がかかった。
「ちょっと、あなたそんなところで何をしているの!?」
あらゆる人間が出入りできて、特に許可の要らない、静かな空間をくれる図書館が好きだった。
あらゆる人間はそこで本を楽しむことができ、それでいて自由に休むことができ、そして
騒ぐことの許されない空間であった。古今東西の本が並べられて、それを自由に読むことのできる。
邪魔をすることは許されない。それはどれだけの幸福だろうか。仕事の終わったあとはよく図書館で
カフカの『変身』や『罪と罰』を読んだりもした。静かにそして好きなだけ本を読める図書館は理想であった。
そんな図書館が、まるで都会のビル全てを図書館にしたようなスケールでそこにあったのだ。
心が躍るようだった。周りはまだ戦闘中らしくて五月蝿くてかなわなかったが。
だが今の仕事を考えると喜んでいるだけにはいかなかった。
この中から死者の手がかりを探さなきゃあいけないわけだ。この膨大の書籍の中から
何を探せばいいのかわからない手がかりを探すとなるとなかなかの難易度だ。
幽霊に骨はないが、骨が折れそうだ。わたしは本の森を歩きながらそういうことを考えていると
ふと目の前に奇妙な本があることに気づいた。いや本というよりは最初は"空間"だと思っていた。
これだけ広い図書館でありながら本棚にはほとんど隙間はなく、びっしりと本が埋まっていた。
だからそこに隙間があるのはちょっとした違和感だった。しかし近づいてよく見るとそれは
本だった。半透明というには透明すぎる本だった。向こう側が良く見え、本と認識するには
近づいてみるしか方法がなかった。その本はハードカバーの単行本サイズで、ダークブラウンの革製の表紙だった。
厚さは400ページ弱くらいだろう。その本を持ったとき、直感でこれはあの死者に関する本なのではないか?
と考えた。わたしがその本を読もうとページをめくろうとした時、誰かの声がかかった。
「ちょっと、あなたそんなところで何をしているの!?」
どうやらいつの間にか戦闘は終わっており、この本に夢中になっている間に彼女に見つかったらしい。
紫色の長髪に紫色の瞳、服装は紫の服と帽子をかぶっている。この状況は戦うべきだろうか?
しかし下手に戦って誰かに見つかったら面倒だ。できれば穏便に済ませたい。
今回の任務は『始末』することでなく『発見』することだ。戦う必要はまるでない。
「ちょっと人に探し物を頼まれてね。この図書館で探し物をしていた。」
「…それで誰に頼まれたの?そしてこの図書館でないと駄目な物なの?」
正直に話してみたが、信じてくれるのだろうか。しかしこれ以上詳細に言うべきか?
幽々子の話だとあまりべらべらと話されたくはないようだ。しかし、これだけの書籍の中から
手がかりを一人で探すというのはあまりにも無謀だ。もし彼女がこの図書館を管理しているならば
彼女に協力を頼むというもの手だ。それに図書館であまり騒ぎたくはない。
「その質問に答えるために、失礼だが君に答えて欲しいことがある。君がこの図書館を管理しているのか?」
「……そうね、一応自己紹介しておきましょう。私はこの大図書館に住む魔女、パチュリー・ノーレッジよ。
ここの本を管理するのは私の仕事であり、私そのものよ。」
嘘をついている様子はない。それに事前に聞いた情報と一致する。一応信用して良さそうだ。
「わかった。オレは冥界の白玉楼に住む吉良吉影だ。オレはある者の頼みでこの図書館に探し物をしに来た。」
「それはさっき聞いたわ。」
「…あんたは口が固いか?誰かにベラベラと喋る様なことをするか?」
「私は何処かの鴉天狗みたいにテキトウな情報を話す気はないわ。それにあまりこの図書館からは出る気はしないわ。」
それならば彼女に協力を頼んだ方がいいか?よくよく考えたら別に閻魔様の秘密がばれたからって自分に
何か影響はあるだろうか。あまり秘密にしすぎて時間がかかりすぎても駄目だろう。物を探すとしたら誰か協力者
がいた方がいい。
「なら大丈夫か。実は閻魔様に頼まれてね。死者の手がかりを探している。………」
紫色の長髪に紫色の瞳、服装は紫の服と帽子をかぶっている。この状況は戦うべきだろうか?
しかし下手に戦って誰かに見つかったら面倒だ。できれば穏便に済ませたい。
今回の任務は『始末』することでなく『発見』することだ。戦う必要はまるでない。
「ちょっと人に探し物を頼まれてね。この図書館で探し物をしていた。」
「…それで誰に頼まれたの?そしてこの図書館でないと駄目な物なの?」
正直に話してみたが、信じてくれるのだろうか。しかしこれ以上詳細に言うべきか?
幽々子の話だとあまりべらべらと話されたくはないようだ。しかし、これだけの書籍の中から
手がかりを一人で探すというのはあまりにも無謀だ。もし彼女がこの図書館を管理しているならば
彼女に協力を頼むというもの手だ。それに図書館であまり騒ぎたくはない。
「その質問に答えるために、失礼だが君に答えて欲しいことがある。君がこの図書館を管理しているのか?」
「……そうね、一応自己紹介しておきましょう。私はこの大図書館に住む魔女、パチュリー・ノーレッジよ。
ここの本を管理するのは私の仕事であり、私そのものよ。」
嘘をついている様子はない。それに事前に聞いた情報と一致する。一応信用して良さそうだ。
「わかった。オレは冥界の白玉楼に住む吉良吉影だ。オレはある者の頼みでこの図書館に探し物をしに来た。」
「それはさっき聞いたわ。」
「…あんたは口が固いか?誰かにベラベラと喋る様なことをするか?」
「私は何処かの鴉天狗みたいにテキトウな情報を話す気はないわ。それにあまりこの図書館からは出る気はしないわ。」
それならば彼女に協力を頼んだ方がいいか?よくよく考えたら別に閻魔様の秘密がばれたからって自分に
何か影響はあるだろうか。あまり秘密にしすぎて時間がかかりすぎても駄目だろう。物を探すとしたら誰か協力者
がいた方がいい。
「なら大丈夫か。実は閻魔様に頼まれてね。死者の手がかりを探している。………」
「……つまり、その死者の記憶の手がかりがここにあるって言うの?」
「ま、そういうことになるな。」
一通りわたしが受けた任務を彼女に話した。彼女の協力があれば早く手がかりを見つけられるかもしれない。
「ふーん、なるほどね。それでその閻魔様って四季映姫って名前じゃない?」
「さあな?名前までは聞いていない。」
「でも幻想郷で閻魔様、て言ったら彼女しかいないわね。休みの日に幻想郷まで来て説教を言うぐらいだから
ちゃんと返してはくれそうね…。」
とパチュリーはなにやら考え事をしている。
「……いいわ。本を貸してあげる。本当に閻魔様からの依頼なら確認すればわかることだしね。
…嘘だったらあなたを木にしてあげるわ。」
どうやら協力してくれるようだ。だがさらっと怖いことを言ってきたような気がする。流石魔女だ。
「別にね、本を貸すぐらいならいいのよ。何も問題はないわ。でもね、ここから本を借りていくような
奴に限って言えば大問題なのよ!本を借りて借りっぱなし、死んだら返すとか。返しに来たと思えば
ほとんどの本がボロボロか、焼け焦げているか、変な薬で滲んじゃって読めなくなったようなものばかり!
果ては借りた本を香霖堂に売るって何よ!借りたものを売るっていくら幻想郷でもそんなのは
非常識よ!どうして私が図書館の本を身銭を切って買い戻さなきゃいけないのよ!!
私何か悪い事した!?」
とどうやら何か悪い物を踏んでしまったようだ。さっきの戦闘もそいつのせいなのかもしれないな。
「……ごほん、失礼したわね。私が言いたいのはちゃんと返してくれれば本は貸してあげる、ってことよ。」
「そうか、感謝するよ。」
「別にいいわ。変にテキトウな本を盗まれる方が問題になるから。でも今度は玄関から入って欲しいわ。」
「……わかった。」
門番を相手にするのが面倒だったとか寝てたからという理由でここに侵入してきたが、今度からは
ちゃんと門番に話をつけて入るか。もちろん相手がちゃんと職務を全うしていたらの話だが。
そこでわたしはこの本の事を思い出した。明らかに怪しい本である。図書館の管理人がいるのだから
早速聞いてみることにした。
「ところでこの本について聞きたい。この透明な本は一体なんなんだ?」
「本?本なんてどこにあるのよ?」
自分の手を確かめてみる。かなり透明だが、その本はそこにあった。
「この本が見えないのか?かなり透明で見づらいが、確かにここにあるぞ。」
と自分の右手にある本をパチュリーに見せてみた。しかし
「??どこにあるのよ。からかわないで頂戴。」
本当に見えないらしい。つまりわたしには見えて、彼女には見えないということになる。
これは一体どういうことだろうか。わたしが混乱していると彼女は少し考えて
「……ところでその本どこにあったの?」
「ああ、そこの本棚の…その上から4段目の赤い本と青い本の間だ。」
「……うーん、そうね………。」
と、なにやら考え込んでいる。記憶の棚から何か情報を検索しているようだ。
「そこにはね、いつも"何もなかった"の。そこに本を入れようとしてもいつの間にかその隙間が開いてたの。
本を詰めようとしてもその空間はなくならないし、その空間を操ろうとしてもその隙間だけは
どうにもできなかった。でもそこに何があるかわからなかったし、魔法でもどうにもできなかった。」
そういうと彼女は本があった本棚にいき、開いたスペースを埋めようと、本を詰めようとした。
彼女の働きによって本は綺麗につめられ、新たに本が入れられるスペースができた。
彼女は開いたスペースに、手に持っていた本を入れる。その本はぴったりとその本棚のスペースにはまり、
きちんと綺麗に収納された。無論、その本が落ちたりすることはなかった。
「……ふーん、確かにこの本棚にあった『何か』はなくなっているようね。でも私にはその本は見えないし
感じられないわ。ほんとにそこにあるの?」
わたしは再度その本を確かめる。かなり色彩は薄いが見えているし、手触りもある。わたしには
その本が存在しているとしか感じられなかった。
「ああ、確かにオレには見えているし、触っている。ここに本はある。なんなら読んでみるか?」
「…それは止めておいた方がいいわ。ここには普通の本だけでなく魔道書や怪しい本がたくさんあるわ。
むしろ普通の本の方が少ないわね。そういう本は読んだだけでダメージを受けたり、呪いがかかったりするわ。
特にあなたは幽霊だし、その影響は普通の生き物に比べて大きいと思うの。しかも私にも読めないとなると
対策もしづらいわね。だから読むことはお勧めしないわ。」
どうやら彼女に声をかけられたおかげでわたしは助かったようだ。そこも感謝しなければならない。
それにしても今日は幸運が続いている。このまま無事に仕事が終わればいいが…。
「でもそうなるとこの本が手がかりかどうかわからないな。」
「別にいいんじゃない?閻魔様ならきっとそういう本を安全に読めるようにできるでしょ。
なんていったって閻魔様なんだし。」
それもそうだ。わたしは手がかりになりそうな本を探すのが役目なんだ。それが本当に手がかりになるかどうかなんて
閻魔様にしかわからないんだからな。
「ま、そういうことになるな。」
一通りわたしが受けた任務を彼女に話した。彼女の協力があれば早く手がかりを見つけられるかもしれない。
「ふーん、なるほどね。それでその閻魔様って四季映姫って名前じゃない?」
「さあな?名前までは聞いていない。」
「でも幻想郷で閻魔様、て言ったら彼女しかいないわね。休みの日に幻想郷まで来て説教を言うぐらいだから
ちゃんと返してはくれそうね…。」
とパチュリーはなにやら考え事をしている。
「……いいわ。本を貸してあげる。本当に閻魔様からの依頼なら確認すればわかることだしね。
…嘘だったらあなたを木にしてあげるわ。」
どうやら協力してくれるようだ。だがさらっと怖いことを言ってきたような気がする。流石魔女だ。
「別にね、本を貸すぐらいならいいのよ。何も問題はないわ。でもね、ここから本を借りていくような
奴に限って言えば大問題なのよ!本を借りて借りっぱなし、死んだら返すとか。返しに来たと思えば
ほとんどの本がボロボロか、焼け焦げているか、変な薬で滲んじゃって読めなくなったようなものばかり!
果ては借りた本を香霖堂に売るって何よ!借りたものを売るっていくら幻想郷でもそんなのは
非常識よ!どうして私が図書館の本を身銭を切って買い戻さなきゃいけないのよ!!
私何か悪い事した!?」
とどうやら何か悪い物を踏んでしまったようだ。さっきの戦闘もそいつのせいなのかもしれないな。
「……ごほん、失礼したわね。私が言いたいのはちゃんと返してくれれば本は貸してあげる、ってことよ。」
「そうか、感謝するよ。」
「別にいいわ。変にテキトウな本を盗まれる方が問題になるから。でも今度は玄関から入って欲しいわ。」
「……わかった。」
門番を相手にするのが面倒だったとか寝てたからという理由でここに侵入してきたが、今度からは
ちゃんと門番に話をつけて入るか。もちろん相手がちゃんと職務を全うしていたらの話だが。
そこでわたしはこの本の事を思い出した。明らかに怪しい本である。図書館の管理人がいるのだから
早速聞いてみることにした。
「ところでこの本について聞きたい。この透明な本は一体なんなんだ?」
「本?本なんてどこにあるのよ?」
自分の手を確かめてみる。かなり透明だが、その本はそこにあった。
「この本が見えないのか?かなり透明で見づらいが、確かにここにあるぞ。」
と自分の右手にある本をパチュリーに見せてみた。しかし
「??どこにあるのよ。からかわないで頂戴。」
本当に見えないらしい。つまりわたしには見えて、彼女には見えないということになる。
これは一体どういうことだろうか。わたしが混乱していると彼女は少し考えて
「……ところでその本どこにあったの?」
「ああ、そこの本棚の…その上から4段目の赤い本と青い本の間だ。」
「……うーん、そうね………。」
と、なにやら考え込んでいる。記憶の棚から何か情報を検索しているようだ。
「そこにはね、いつも"何もなかった"の。そこに本を入れようとしてもいつの間にかその隙間が開いてたの。
本を詰めようとしてもその空間はなくならないし、その空間を操ろうとしてもその隙間だけは
どうにもできなかった。でもそこに何があるかわからなかったし、魔法でもどうにもできなかった。」
そういうと彼女は本があった本棚にいき、開いたスペースを埋めようと、本を詰めようとした。
彼女の働きによって本は綺麗につめられ、新たに本が入れられるスペースができた。
彼女は開いたスペースに、手に持っていた本を入れる。その本はぴったりとその本棚のスペースにはまり、
きちんと綺麗に収納された。無論、その本が落ちたりすることはなかった。
「……ふーん、確かにこの本棚にあった『何か』はなくなっているようね。でも私にはその本は見えないし
感じられないわ。ほんとにそこにあるの?」
わたしは再度その本を確かめる。かなり色彩は薄いが見えているし、手触りもある。わたしには
その本が存在しているとしか感じられなかった。
「ああ、確かにオレには見えているし、触っている。ここに本はある。なんなら読んでみるか?」
「…それは止めておいた方がいいわ。ここには普通の本だけでなく魔道書や怪しい本がたくさんあるわ。
むしろ普通の本の方が少ないわね。そういう本は読んだだけでダメージを受けたり、呪いがかかったりするわ。
特にあなたは幽霊だし、その影響は普通の生き物に比べて大きいと思うの。しかも私にも読めないとなると
対策もしづらいわね。だから読むことはお勧めしないわ。」
どうやら彼女に声をかけられたおかげでわたしは助かったようだ。そこも感謝しなければならない。
それにしても今日は幸運が続いている。このまま無事に仕事が終わればいいが…。
「でもそうなるとこの本が手がかりかどうかわからないな。」
「別にいいんじゃない?閻魔様ならきっとそういう本を安全に読めるようにできるでしょ。
なんていったって閻魔様なんだし。」
それもそうだ。わたしは手がかりになりそうな本を探すのが役目なんだ。それが本当に手がかりになるかどうかなんて
閻魔様にしかわからないんだからな。
その後、わたしはパチュリーからさらに数冊、死者の手がかりになりそうな本を借りた。それらの本を渡すと
彼女は
「さっき魔理沙と暴れたところを整理しなくっちゃ。」
と言って何処かへ行ってしまった。先ほどの戦闘の後片付けをしにいくようだ。こんな素晴らしい図書館なのに
ここで戦うなんてその魔理沙って奴はマジに情緒がない奴なんだな。きっとパチュリーが言っていた本を大事に
しない奴はその魔理沙なんだろう。別にわたしに被害が及ばないなら何をしようと構わないが、もし何かあるようなら
場合によっちゃあ"死んでもらう"かもしれないな。
わたしは図書館を出ると階段を上って玄関のある1階に出た。さて、メイド共の見つからないように
さっさと帰るか。帰ればわたしの任務は終了だ。あとは帰ってこの本を閻魔様に渡してもらえばいい。
そうすればまた縁側で桜の香りが楽しめる。明日晴れたら太陽の下で草原の上で昼寝でも楽しもうか。
彼女は
「さっき魔理沙と暴れたところを整理しなくっちゃ。」
と言って何処かへ行ってしまった。先ほどの戦闘の後片付けをしにいくようだ。こんな素晴らしい図書館なのに
ここで戦うなんてその魔理沙って奴はマジに情緒がない奴なんだな。きっとパチュリーが言っていた本を大事に
しない奴はその魔理沙なんだろう。別にわたしに被害が及ばないなら何をしようと構わないが、もし何かあるようなら
場合によっちゃあ"死んでもらう"かもしれないな。
わたしは図書館を出ると階段を上って玄関のある1階に出た。さて、メイド共の見つからないように
さっさと帰るか。帰ればわたしの任務は終了だ。あとは帰ってこの本を閻魔様に渡してもらえばいい。
そうすればまた縁側で桜の香りが楽しめる。明日晴れたら太陽の下で草原の上で昼寝でも楽しもうか。
吉良はそんなことを考えながら、妖精メイドの目に付かないように気をつけながら、館から脱出するのに
有用なルートを探していた。そんな吉良を見つめるメイド姿の人間が一人いた。彼女が一呼吸おくと、
時間が止まった。物質、生き物は例えどんな位置、運動をしていようともその位置に止まっていた。
それは吉良も例外でなく、その場に立って動かなくなった。この瞬間、あらゆる物は
時間の停止に束縛されていた。例外はただ一人、この館のメイド長、十六夜咲夜だった。
有用なルートを探していた。そんな吉良を見つめるメイド姿の人間が一人いた。彼女が一呼吸おくと、
時間が止まった。物質、生き物は例えどんな位置、運動をしていようともその位置に止まっていた。
それは吉良も例外でなく、その場に立って動かなくなった。この瞬間、あらゆる物は
時間の停止に束縛されていた。例外はただ一人、この館のメイド長、十六夜咲夜だった。
To Be Continued →