クラフト・ワークは動かせない
第二話「ゲーム開始!リアル鬼ごっこ」
咲夜とサーレーは長い廊下を淡々と歩いていく。会話など無い。
あるのは周りに漂う奇妙な雰囲気のみだった。
「(一体なんだってんだ?ランチだと?まあいいか、ハラ減ってるしよ)」
危機管理能力に優れ、危険だと思えばすぐ身を引くのがサーレーの良いところなのだが…どうにも深く考えるのが苦手なようだ。
「ねぇ、サーレー」
「ん?何だ?」
ようやく咲夜が口を開いた。少し緊張が走る。
「鬼ごっこは知っているかしら?」
「……………は?」
一瞬で緊張の糸が切れた。
「鬼ごっこよ、鬼ごっこ。知っているでしょう?ほら、あの追いかけ…」
咲夜はちょっと楽しそうに説明を始めた。サーレーは呆れ顔で説明を止める。
「いや、鬼ごっこは分かる。けどよ……何でだ。何で鬼ごっこなんだ。身構えたオレは馬鹿だったのか?」
サーレーの反応と疑問は至極当然なものではある…が、
「知ってるならいいわ」
答えになっていない答えが返ってくると考えるのもバカらしくなってくるだろう。
「(こいつ…アレか?隙がなさそうに見えて意外と抜けてるしよ…天然ってヤツか)」
その後会話も何も無くただひたすらに歩き続け、ついに紅い悪魔の待つ広間の前まで来たのだ。
「お嬢様、失礼いたします。お客様をお連れしました」
咲夜がノックして大きな扉に手をかける。サーレーはゴクリと唾を飲み込む。
ギィィィ―――
―紅い扉を開けた先にはまた紅が、しかしそこにはより深い紅が待っていた。
長い机の最奥に座っているちんまい女の子。彼女こそこの紅魔館の主…レミリア・スカーレットであった。
「(…おい、咲夜。何だあのちっこいガキは。まさかあれが『お嬢様』なんて言わねーよな?)」
サーレーはこっそり話しかける。
「(あら、知っているの?我が主、レミリア・スカーレット様よ)」
「(何だお前…ガキに仕えてんのか?マフィアより大変だな)」
レミリアは子供に見えても実際500歳は超えている。ただしそれ相応に精神成長しているかは謎だが。
2人がごちゃごちゃ言っていると『お嬢様』が口を開いた。
「うー☆」
「…………」
ギィィ―――バタン!
サーレーは黙って扉を閉めた。咲夜が怪訝そうに尋ねる。
「どうかしましたか?」
「…なんかよ…おまえの説明と違ってよ…『カリスマ』ってのが足りねーんじゃあねーか?「うー☆」って言ったぞ」
「そんなことないですよ。失礼します(「うー☆」って可愛いじゃないですか)」
ギィィィ―――
扉が重く開く。またが『お嬢様』が口を開く。
「うっうー☆」
ギィィ―――バタン!
扉を閉めつつサーレーが息を吸い込んだ。そして叫ぶ!
「あのクソガキのせいでシリアスムードが台無しだッ!緊張の糸がムンムン切れたじゃあねーかッ!おいッ!」
緊張の糸とともに堪忍袋の緒も切れたようだ。しかし仕えている主人をけなされて黙っている咲夜ではない。
「誰だろうとお嬢様を罵倒するのは許さないわ!表に出なさい蟹頭!」
二人とも意外と短気だった。低レベルな口論が始まる。
「ああやってやる!つーかそもそもテメーがァ…」「かかってきなさい!逆サボテンにしてあげる…」
ギィィ―――
「私を無視して何遊んでるのよ!せっかく場を和ませるために言ったのに!混ぜなさいよ!というかそのために呼んだのよ!」
彼らの低レベルかつ同レベルな口論は、扉を開き現れたレミリアが叫んだことで止まった。
「そのために?……どういうことだ」
――――――――――――――――――――――――
―――――――――
「…つまりアレか?オレは暇つぶしの道具になるためにここにいるのか?え?おい」
蟹男が不服そうに料理をつついている。無理はない。
『お嬢様』――レミリアによってたった今説明された事は何とも身勝手な内容だったからだ。
一言で言うなら『暇だったから』なのである。『暇だったから』。大事なことなので二回言いました。
「そうよ。最近退屈すぎるのよ。モケーレムベンベごっこはもう飽きたし。ねえ咲夜?」
「はい、お嬢様。そんなことよりもなぜ退屈だったのかということをしっかり説明されてはどうですか?彼にとっても重要なハズです」
「モ、モケーレ?…いや、そんな事はどうでもいい。話を聞いてるとオレが暇つぶしの道具にされる明確な理由があるようだな。しかもオレに関係ありそうだしよ」
傍から見れば和気あいあい?とした昼食風景だが、これがこれから幻想郷に巻き起こる大異変の一端になろうとは誰も思わない。
そしてレミリアは今幻想郷に起こっている小さな…だが重要な異変について語り始めた。
「咲夜から聞いたと思うけど、ここ幻想郷には外の世界の物が流れ着くわ。たまに人も来てしまうけど…あなたみたいにね。まあそれでね、一週間くらい前だったかしら…外の世界から大量の物品があちこちに流れ着くという異変が起こったの」
「外って事は、オレがもともといたところだな」
幻想郷の仕組みについては、咲夜から聞いているのだ。
「この辺りにも流れ着いていてね。小さいレコードみたいなのとか、変な仮面とか…とにかくよく分からないものばっかりだったのだけれど、それが流れついてからあちこちで小さい事件が起き始めてね。だから触ってないわ」
この時咲夜は何故か一瞬硬直した。サーレーがちらっと見ると、顔を逸らした。
「その事件ってのはね。人間が突然好戦的になって殺しあったり、頻繁に天候がかわって雨が降ったり、急に誰かがいなくなったり…とかなのよ。雨が頻繁に降るから外出できない、だから暇なのよ」
ワイングラスを手で弄りながら退屈そうに話すレミリアにサーレーは納得の表情を見せる。
「なるほど。それでオレにとって重要なことっつーのは?」
サーレーにとっての第一の疑問解決。しかしまだ疑問はあった。
「それはね、咲夜が買い物に行ったときに聞いたのだけれど…その店に外来人が来たらしくってね。あなたみたいに見えない腕で商品を掴んだように見えたらしいわ。さらに賭けをしようと持ちかけてきて、勝ったそいつはタダで商品を持って行ったのよ」
「そいつはスタンド使いの可能性があるな…どんな能力か知らねーが…その時期に来たっていうのがクセーな。何か知ってるかも知れねー」
「能力って…そういえば貴方のには無かったのね」
クラフト・ワークに能力が無いというのは嘘だが、まだ咲夜にバレてはいないようだ。とにかく第二の疑問解決。
「まあ分かった。だが…オレが暇つぶしの道具になる理由にはなってねーな」
そう。そこが蟹頭の最も知りたいところなのだ。
「ふふ、別にただ貴方をどうにかしようという訳では無いわ。ちょっとしたゲームをしようと思っているの、もちろん条件付きでね」
「ゲーム?条件だと?」
「ええ、貴方が勝ったら貴方の言う事をいくらか聞いてあげるし住むところも提供するわ」
「………お前等が勝ったら、どうなるんだ?」
サーレーにはこの後に発せられる言葉がロクでもない事だと分かった。だが時すでにお寿司…いや遅し。
「私たちが勝ったら……貴方にはここで働いてもらうわ!」
「………は?」
思わずマヌケな声を出してしまったサーレー。ただそんな事お構いなしに説明を続けるレミリア。
「物足りない?…じゃあついでに異変の解決に協力してもらおうかしら。咲夜ー!ゲームの詳細を説明してー!」
「はい。お嬢様。じゃあゲームの説明をするわね。ゲームは鬼ごっこ。貴方一人を私、お嬢様、妹さま、パチュリー様の四人が追いかけるわ。フィールドは紅魔館全域。制限時間は2時間。逃げ切れれば貴方の勝ち、動けなくなったら私たちの勝ちよ」
「ちょっと待てえええッ!何勝手に決めてんだッ!何も言ってねーだろーがッ!しかも圧倒的に不利じゃあねーかッ!」
またしてもサーレー爆発。幻想郷に来てロクなことが1つも無い不運な男だった。
「…今お前動けなくなったらって言わなかったか?」
―――――――――30分後――――――――――――
「動けなくなったら貴方の負けよ。動けるうちは負けて無いから追われ続けるわね」
「さ、逃げて逃げてー!5分後に開始だからね!」
「言われなくたって逃げるぜ」
咲夜とフランの言葉を聞いて、サーレーは颯爽と紅魔館の暗闇に消えていった。
「むきゅ…なんか今のセリフ聞いた事あるわ…」
「魔理沙じゃないの?」
今ここにいるのは暇を持て余した紅魔館ボスメンバー。美鈴?知らないなあ。
と、それは置いといて…今回の鬼ごっこはルールが少し違う。『動けなくなったら』負けなのだ。動けるうちは弾幕でも肉弾戦でも何でもくるのである。
よく考えてみてほしい。ここに集まっているのは時を止めるメイドに魔法使い、そして吸血鬼が二人。まさに『リアル鬼ごっこ』だ。
フィールドは自分たちが住む館。『動けなくなったら』負けのルール。…人間に勝たせるつもりは微塵もないのだろう。甲子園優勝チームに、茶道部かなにかが挑戦するようなもの…負け確定だ。しかし、
「言わなくて良かったーッ!」
サーレーは暗い廊下を駆けながら叫ぶ。スタンドの『能力』を明かさなかった事に心底安堵しているのだ。クラフト・ワークの能力は『固定』。
『動けなくなったら』負けという事は鬼に触れてもいいという事。鬼も弾幕も『固定』する事が出来ればもはやこの鬼ごっこは成立しない。
「このゲームでオレが負けるワケねェーッ!」
それがサーレーに大きな希望を抱かせていた。
「情熱を持ってあいつらから勝利を奪ってやれるぜーッ!」
リアルな鬼4人VS物体を固定する人間。どちらも互いの実力を知らない。
今ここに、前代未聞の奇妙な『リアル鬼ごっこ』が始まった。
次回予告
―――――――――――――
「ぎゃおー!たーべちゃーうぞー!」
「クソッ!化け物め!」
コツコツコツコツ
「厨房の方から足音…咲夜か!?」
「ドーピングコンソメスープだッ!」
曲がり角から咲夜っぽい筋肉質の巨人登場!
「化け物ォォォォォッ!?」
「咲夜!?一体どうしたのその体!?」
「私の長年の研究の成果…の副産物よ」
「パチェ!?貴女一体…」
パチュリーは一体何者なのか!?そしてどうなるサーレー!
次回 第三話「紅・魔・暴・走」
お楽しみに!
…嘘予告です。冗談です。
第二話「ゲーム開始!リアル鬼ごっこ」
咲夜とサーレーは長い廊下を淡々と歩いていく。会話など無い。
あるのは周りに漂う奇妙な雰囲気のみだった。
「(一体なんだってんだ?ランチだと?まあいいか、ハラ減ってるしよ)」
危機管理能力に優れ、危険だと思えばすぐ身を引くのがサーレーの良いところなのだが…どうにも深く考えるのが苦手なようだ。
「ねぇ、サーレー」
「ん?何だ?」
ようやく咲夜が口を開いた。少し緊張が走る。
「鬼ごっこは知っているかしら?」
「……………は?」
一瞬で緊張の糸が切れた。
「鬼ごっこよ、鬼ごっこ。知っているでしょう?ほら、あの追いかけ…」
咲夜はちょっと楽しそうに説明を始めた。サーレーは呆れ顔で説明を止める。
「いや、鬼ごっこは分かる。けどよ……何でだ。何で鬼ごっこなんだ。身構えたオレは馬鹿だったのか?」
サーレーの反応と疑問は至極当然なものではある…が、
「知ってるならいいわ」
答えになっていない答えが返ってくると考えるのもバカらしくなってくるだろう。
「(こいつ…アレか?隙がなさそうに見えて意外と抜けてるしよ…天然ってヤツか)」
その後会話も何も無くただひたすらに歩き続け、ついに紅い悪魔の待つ広間の前まで来たのだ。
「お嬢様、失礼いたします。お客様をお連れしました」
咲夜がノックして大きな扉に手をかける。サーレーはゴクリと唾を飲み込む。
ギィィィ―――
―紅い扉を開けた先にはまた紅が、しかしそこにはより深い紅が待っていた。
長い机の最奥に座っているちんまい女の子。彼女こそこの紅魔館の主…レミリア・スカーレットであった。
「(…おい、咲夜。何だあのちっこいガキは。まさかあれが『お嬢様』なんて言わねーよな?)」
サーレーはこっそり話しかける。
「(あら、知っているの?我が主、レミリア・スカーレット様よ)」
「(何だお前…ガキに仕えてんのか?マフィアより大変だな)」
レミリアは子供に見えても実際500歳は超えている。ただしそれ相応に精神成長しているかは謎だが。
2人がごちゃごちゃ言っていると『お嬢様』が口を開いた。
「うー☆」
「…………」
ギィィ―――バタン!
サーレーは黙って扉を閉めた。咲夜が怪訝そうに尋ねる。
「どうかしましたか?」
「…なんかよ…おまえの説明と違ってよ…『カリスマ』ってのが足りねーんじゃあねーか?「うー☆」って言ったぞ」
「そんなことないですよ。失礼します(「うー☆」って可愛いじゃないですか)」
ギィィィ―――
扉が重く開く。またが『お嬢様』が口を開く。
「うっうー☆」
ギィィ―――バタン!
扉を閉めつつサーレーが息を吸い込んだ。そして叫ぶ!
「あのクソガキのせいでシリアスムードが台無しだッ!緊張の糸がムンムン切れたじゃあねーかッ!おいッ!」
緊張の糸とともに堪忍袋の緒も切れたようだ。しかし仕えている主人をけなされて黙っている咲夜ではない。
「誰だろうとお嬢様を罵倒するのは許さないわ!表に出なさい蟹頭!」
二人とも意外と短気だった。低レベルな口論が始まる。
「ああやってやる!つーかそもそもテメーがァ…」「かかってきなさい!逆サボテンにしてあげる…」
ギィィ―――
「私を無視して何遊んでるのよ!せっかく場を和ませるために言ったのに!混ぜなさいよ!というかそのために呼んだのよ!」
彼らの低レベルかつ同レベルな口論は、扉を開き現れたレミリアが叫んだことで止まった。
「そのために?……どういうことだ」
――――――――――――――――――――――――
―――――――――
「…つまりアレか?オレは暇つぶしの道具になるためにここにいるのか?え?おい」
蟹男が不服そうに料理をつついている。無理はない。
『お嬢様』――レミリアによってたった今説明された事は何とも身勝手な内容だったからだ。
一言で言うなら『暇だったから』なのである。『暇だったから』。大事なことなので二回言いました。
「そうよ。最近退屈すぎるのよ。モケーレムベンベごっこはもう飽きたし。ねえ咲夜?」
「はい、お嬢様。そんなことよりもなぜ退屈だったのかということをしっかり説明されてはどうですか?彼にとっても重要なハズです」
「モ、モケーレ?…いや、そんな事はどうでもいい。話を聞いてるとオレが暇つぶしの道具にされる明確な理由があるようだな。しかもオレに関係ありそうだしよ」
傍から見れば和気あいあい?とした昼食風景だが、これがこれから幻想郷に巻き起こる大異変の一端になろうとは誰も思わない。
そしてレミリアは今幻想郷に起こっている小さな…だが重要な異変について語り始めた。
「咲夜から聞いたと思うけど、ここ幻想郷には外の世界の物が流れ着くわ。たまに人も来てしまうけど…あなたみたいにね。まあそれでね、一週間くらい前だったかしら…外の世界から大量の物品があちこちに流れ着くという異変が起こったの」
「外って事は、オレがもともといたところだな」
幻想郷の仕組みについては、咲夜から聞いているのだ。
「この辺りにも流れ着いていてね。小さいレコードみたいなのとか、変な仮面とか…とにかくよく分からないものばっかりだったのだけれど、それが流れついてからあちこちで小さい事件が起き始めてね。だから触ってないわ」
この時咲夜は何故か一瞬硬直した。サーレーがちらっと見ると、顔を逸らした。
「その事件ってのはね。人間が突然好戦的になって殺しあったり、頻繁に天候がかわって雨が降ったり、急に誰かがいなくなったり…とかなのよ。雨が頻繁に降るから外出できない、だから暇なのよ」
ワイングラスを手で弄りながら退屈そうに話すレミリアにサーレーは納得の表情を見せる。
「なるほど。それでオレにとって重要なことっつーのは?」
サーレーにとっての第一の疑問解決。しかしまだ疑問はあった。
「それはね、咲夜が買い物に行ったときに聞いたのだけれど…その店に外来人が来たらしくってね。あなたみたいに見えない腕で商品を掴んだように見えたらしいわ。さらに賭けをしようと持ちかけてきて、勝ったそいつはタダで商品を持って行ったのよ」
「そいつはスタンド使いの可能性があるな…どんな能力か知らねーが…その時期に来たっていうのがクセーな。何か知ってるかも知れねー」
「能力って…そういえば貴方のには無かったのね」
クラフト・ワークに能力が無いというのは嘘だが、まだ咲夜にバレてはいないようだ。とにかく第二の疑問解決。
「まあ分かった。だが…オレが暇つぶしの道具になる理由にはなってねーな」
そう。そこが蟹頭の最も知りたいところなのだ。
「ふふ、別にただ貴方をどうにかしようという訳では無いわ。ちょっとしたゲームをしようと思っているの、もちろん条件付きでね」
「ゲーム?条件だと?」
「ええ、貴方が勝ったら貴方の言う事をいくらか聞いてあげるし住むところも提供するわ」
「………お前等が勝ったら、どうなるんだ?」
サーレーにはこの後に発せられる言葉がロクでもない事だと分かった。だが時すでにお寿司…いや遅し。
「私たちが勝ったら……貴方にはここで働いてもらうわ!」
「………は?」
思わずマヌケな声を出してしまったサーレー。ただそんな事お構いなしに説明を続けるレミリア。
「物足りない?…じゃあついでに異変の解決に協力してもらおうかしら。咲夜ー!ゲームの詳細を説明してー!」
「はい。お嬢様。じゃあゲームの説明をするわね。ゲームは鬼ごっこ。貴方一人を私、お嬢様、妹さま、パチュリー様の四人が追いかけるわ。フィールドは紅魔館全域。制限時間は2時間。逃げ切れれば貴方の勝ち、動けなくなったら私たちの勝ちよ」
「ちょっと待てえええッ!何勝手に決めてんだッ!何も言ってねーだろーがッ!しかも圧倒的に不利じゃあねーかッ!」
またしてもサーレー爆発。幻想郷に来てロクなことが1つも無い不運な男だった。
「…今お前動けなくなったらって言わなかったか?」
―――――――――30分後――――――――――――
「動けなくなったら貴方の負けよ。動けるうちは負けて無いから追われ続けるわね」
「さ、逃げて逃げてー!5分後に開始だからね!」
「言われなくたって逃げるぜ」
咲夜とフランの言葉を聞いて、サーレーは颯爽と紅魔館の暗闇に消えていった。
「むきゅ…なんか今のセリフ聞いた事あるわ…」
「魔理沙じゃないの?」
今ここにいるのは暇を持て余した紅魔館ボスメンバー。美鈴?知らないなあ。
と、それは置いといて…今回の鬼ごっこはルールが少し違う。『動けなくなったら』負けなのだ。動けるうちは弾幕でも肉弾戦でも何でもくるのである。
よく考えてみてほしい。ここに集まっているのは時を止めるメイドに魔法使い、そして吸血鬼が二人。まさに『リアル鬼ごっこ』だ。
フィールドは自分たちが住む館。『動けなくなったら』負けのルール。…人間に勝たせるつもりは微塵もないのだろう。甲子園優勝チームに、茶道部かなにかが挑戦するようなもの…負け確定だ。しかし、
「言わなくて良かったーッ!」
サーレーは暗い廊下を駆けながら叫ぶ。スタンドの『能力』を明かさなかった事に心底安堵しているのだ。クラフト・ワークの能力は『固定』。
『動けなくなったら』負けという事は鬼に触れてもいいという事。鬼も弾幕も『固定』する事が出来ればもはやこの鬼ごっこは成立しない。
「このゲームでオレが負けるワケねェーッ!」
それがサーレーに大きな希望を抱かせていた。
「情熱を持ってあいつらから勝利を奪ってやれるぜーッ!」
リアルな鬼4人VS物体を固定する人間。どちらも互いの実力を知らない。
今ここに、前代未聞の奇妙な『リアル鬼ごっこ』が始まった。
次回予告
―――――――――――――
「ぎゃおー!たーべちゃーうぞー!」
「クソッ!化け物め!」
コツコツコツコツ
「厨房の方から足音…咲夜か!?」
「ドーピングコンソメスープだッ!」
曲がり角から咲夜っぽい筋肉質の巨人登場!
「化け物ォォォォォッ!?」
「咲夜!?一体どうしたのその体!?」
「私の長年の研究の成果…の副産物よ」
「パチェ!?貴女一体…」
パチュリーは一体何者なのか!?そしてどうなるサーレー!
次回 第三話「紅・魔・暴・走」
お楽しみに!
…嘘予告です。冗談です。