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東方魔蓮記 第四十話

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「……見事なまでの化けっぷりだ。『そうなる瞬間』さえ見ていなければ、一目見ただけでは化けていると気づけないな」
ディアボロはその姿を見て感想を言った。
「お主の『それ』も、より大きい者にしか化けれぬ代わりに隠しきれぬ箇所がないのは便利じゃのう」
マミゾウも再びイエローテンパランスを纏ったディアボロの姿を見て改めて関心を示す。
「自分にしか使えないのが難点だが、こればかりは仕方がないな」
ディアボロは歩きながらそう返す。

現在二人が向かっているのは、聖人たちがいる場所。
何故そんな場所があることがわかるのかというと……信者を募集しているからである。
どうやら道場を設立したらしい。異変から数日しか経っていないのに立ち回りが早いものである。
これも妖怪たちが警戒している一因なのかどうかはわからないが、気になる情報であるのは確かだ。

「ところで一つ聞きたいが、『神霊廟』ってなんだ?」
ディアボロは記憶のDISCを何度も使用しているおかげで、日本の習慣をそのまま引き継いでいる幻想郷の生活には難なく適応している。
しかし、記憶のDISCを用いても得られない知識というのは当然ある。
故に、青蛾が最初に質問に答えたときに、あんなことを言ったのだ。
「何故『神霊廟』という名前なのかは知らぬが、霊廟(れいびょう)の意味なら知っておる。霊を祭った宮のことじゃ」
その言葉を聞いて、ふと異変当日のことを思い出した。

あの時、たくさんの霊が命蓮寺のあたりに出没していた。
当時はその霊が何故出てきたのかも、無数の霊の正体も分からずにいた。
異変が終わった後も、その件に関しては一切調べていないため、正体は未だ分かっていない。

「(もしかしてあの無数の霊……普通の霊ではなかったということか?)」
こればかりは異変の解決に直接関与した者か、異変を起こした者に聞くしかない。
少なくとも、『見ただけ』の者と、『見てすらいない』者にわかるわけがないのだ。


「さて、まずは居場所の特定だな」
「そうじゃな、位置がわからなければ向かうこともできぬからのう」
残念ながら、場所の名前は分かっていてもどこにあるのかは全然わかっていない。
そのため、その位置を知る手段を探さねばならないのだ。
「……そういえば弟子入りを志願した奴らはどうやって聖人のいる場所に向かったんだ?」
信者を募集しているというのなら、何らかしらのやり方で神霊廟の位置を知らせているはずだ。
ただ募集しているだけでどこに行けばいいのかわからなければ、信者は増えはしない。
「どこにあるのか見つけ出すのも、弟子入りの条件の一つかも知れんのう」
「俺たちは聖人の弟子になりに行くわけじゃないんだ。いざとなれば、誰かの記憶を見てでも見つけ出す」
ディアボロはそう言ったところで、あることを思いつく。
「そういえばお前が従えていた狸達は、何か知っているのか?」
「いや、何も知らぬようじゃ」
「……なら仕方ないか」
狸達は何か知っているかと思ったが、違ったようだ。
そしてディアボロはまた少し考え、今度はある疑問を持った。
「そういえばマミゾウ。化けさせた物は破壊されるとどうなる?」
「破壊されれば、化けさせた物はその姿形を維持できぬ。元に戻るだけじゃ」
マミゾウの発言を聞いたディアボロはまた考える。
「(だとすると、妖怪の山で『本物』を調達する必要があるな……)」
今彼が欲しいのはポラロイドカメラ。
ハーミットパープルによる念写を使って、神霊廟へと行く道を特定しようとしているのだ。
だが、マミゾウに化けさせた物では、念写の拍子にぶち壊してしまう。
すぐにクレイジーダイヤモンドで直す手もあるが、破壊した拍子に一瞬でも元に戻ってしまえば、写真を印刷してくれないだろう。
「マミゾウ。妖怪の山へ向かうぞ」
「何故じゃ?」
突然の目的地変更に、マミゾウは疑問を持つ。
「居場所の特定には、ある物が必要だ。それさえあれば、位置を大体特定できるかもしれない」
「……??」
そう言ってどこかに向かいだしたディアボロと、わけのわからないままついていくマミゾウ。
二人の行先は……妖怪の山。


「それで、おぬしはここで何をするのじゃ?」
「カメラが必要だ。貸してもらうだけでいい」
ここに来る過程で、一度イエローテンパランスを解除して装備しているDISCを変更している。
エアロスミスとスタープラチナを、別のDISCに変えている。
その理由は、これからするべきことのために必要だからだ。
「……とはいえ、カメラを天狗が今ここにいるとは限らないんだがな」
会って言えば貸してくれるかもしれないが、残念ながらこの場所ではディアボロとマミゾウは侵入者扱いを受けるだろう。
その状態で彼の発言を聞いて態々(わざわざ)取りに行ってくれる天狗はいない。
それは即ち、眼前の怪しい者をわざと見逃すのと同義だからである。
そしてディアボロも、それに文句を言うわけにはいかない。
彼も組織の頂点に立った者だ。指示に従わぬ部下を見過ごすわけにはいかないのはよくわかる。
……彼の場合、『自分について探る部下も容赦はしない』が加わるが。

ディアボロがマミゾウと会話していると、突如弾幕が二人に襲い掛かる。
だが、ディアボロはイエローテンパランスを展開して難なく防御する。

イエローテンパランスは、攻防において弱点らしい弱点が見当たらない。
衝撃のエネルギーを分散することで物理的に強く、温度変化にも特殊な反応を引き起こす。
具体的にいうと、熱すれば飛び散ってして広がり、冷やせばスパイク状になると同時に硬化して触れたものを突き刺す。
ザ・ハンドといいこれといい、頭が悪い者は単純な思考を持つ故に単純かつ強いスタンドが発現しやすいのだろうか……?

そして、妖怪が撃つことが多いあの光弾のタイプの弾幕は、主にぶつかった時の衝撃でダメージを与える。
だが前述のとおり、イエローテンパランスにはエネルギーを分散されてダメージをかき消されてしまう。
文字通り、『相性が悪い』のだ。ディアボロ側が攻めるには別の手を講じる必要はあるが。

「警備員のお出迎えか。しかし、俺たちが進まなければこれ以上きつくなることはないはずだ」
警備の天狗が再び放った弾幕を、ディアボロはイエローテンパランスを操って再び難なく防いでのける。
今度は先ほどよりも弾幕が濃く、少しずつ距離を詰めていくことで大量の弾幕が当たるようにするのだが、どれだけ撃って来ようともこのタイプの弾幕では結果は同じである。
「無駄だ。その弾幕ではこれを破壊することはできないぞ」
ディアボロはそう言って、再びイエローテンパランスを引っ込める。
警備の天狗もその発言に納得したらしく、3度目の弾幕発射はなかった。
「俺はある天狗に用があって此処に来た。大人しく下がってくれ」
その名を聞いた警備の天狗は……この場を離れない。
「やはり警備の役割を優先したか」
ディアボロはマミゾウに聞こえるように言って少し考える。
「(面倒事を起こし、要注意人物に位置づけられても困るが……)」
警備が存在する以上、情報共有は行われていてもおかしくない。
もしもこの天狗に『要注意人物』と認識された場合、この情報が共有されて今後この山での行動が困難になるだろう。
「さて、あやつは退く気がなさそうじゃが、どうするかのう?」

この場からは進めない。しかし下がれば、用を済ませられない。
ならば進むしかないのだ。

「(確かにあの様子じゃ話を聞く気も退く気もなさそうだ。文を呼んできてもらうつもりだったが……)」
この山の警備の者は、侵入者が自分たちの手に余るようだと、上司に当たる大天狗に報告を行うために戻るのだ。
「……仕方がない。お前に『取ってきてもらう』ことにしよう」

ディアボロは万が一の天狗の逃走を阻止すべく、イエローテンパランスを発動させると、それを伸ばして天狗の足元に絡ませようとする。
しかし、イエローテンパランスは肉と同化しているためにスタンド使い以外でも見えるスタンドだ。
「!?」
自らに迫りくるイエローテンパランスを見た天狗は、驚きながらもそれをうまく飛んで回避した。
仮にも警備を務めれるほどの実力はあるのだ。迫りくる物体を避けるのは難しくはない。
現在のディアボロの装備で、遠距離戦を問題なくこなせるスタンドはウェザーリポートぐらいである。
そのウェザーリポートも捕縛を行うには向いていないし、一撃を加えるにも威力が強いうえに攻撃が目立ちやすい。
装備している残り1枚のDISCに入った能力……
「(ヘブンズ・ドアーも射程範囲外か。だとすればまずいな……)」

ヘブンズ・ドアーの文字飛ばしも届く範囲の外では意味なしである。
ちなみに、ヘブンズ・ドアーとイエローテンパランスでは、肉の量にもよるが、基本的にはイエローテンパランスの方が射程が長い。


突然、天狗は何か身体の一部が冷たくなってきていることに気づき、左足の太ももあたりを見ると、そこにはいつの間にか氷の輪が出来ていた。
気が逸れている隙をついて、ディアボロがホルス神で太ももを締め付けるような感じで氷輪を作ったのだ。

しかも密着するように構成されているため、溶け出していない今は天狗の力でも動かない。
それだけならばまだ驚くだけで済んだだろう。
だが、その氷輪とつながるように、氷がディアボロのいる方向に出来始めたのならば話は変わる。
ホルス神の能力射程はイエローテンパランスよりも広い。十分氷とイエローテンパランスを繋げることができる範囲だ。

相手の能力が二つ判明し、それへの対策に思考を巡らせていた天狗は、自らの体が引っ張られていることに気づいて状況を把握し直しだす。
見れば、考え事をしている隙に、氷とイエローテンパランスの肉が結ばれていた。
氷は細長くも細部まで凍っており、少々の力を加えたところで些細なヒビすら入らないようにできている。
氷という冷たい物に絡みついたそのスタンドは、本体の精神力によって『冷却による温度変化』を一部分のみ引き起こすことを許される。
それにより、『氷に絡みついた部分のみ』スパイク状となって、解けるのをより困難なことにする。
そして、イエローテンパランスを操って自分のもとに引き寄せる。

流石にもう自分では止められないと判断したのか、天狗も必死になって距離を取り、せめて大天狗に報告しようと逃げようとするが……

「(あやつ……逃げることに必死になって重要なことに気づいておらぬな……)」

マミゾウは理解していた。
今、イエローテンパランスは意図的にピンと張った状態になっている。
こうすることで、相手がこれ以上距離を取られるのを防いでいる。
そしてディアボロと天狗を繋ぐものができてしまっている以上、仮に逃げられたとしてもディアボロが引っ張られてくる。
どうやら必死になっているためか、この天狗はそうなることに気づいていないようだ。

そこに、天狗が逃げようとする方向から突風が吹いてきた。
ディアボロが再びウェザーリポートを使って風を吹かせたのだ。
少々の向かい風ならば天狗は難なく突破できるだろうが、この風の強さは普段吹く風とは違って暴風と言えるほど強かった。
地上でも踏ん張りながら進むしかないほどの風の強さに、空中に浮いている天狗は耐えきれるわけもなく吹き飛ばされる。
『天狗と同じ高さ』にだけ暴風を吹かせたため、この暴風の被害を受けるのはこの天狗のみ。
そうでもしなければ、自分もマミゾウも巻き添えにするただの無差別攻撃になってしまう。

吹き飛ばされ、天狗が体勢をもう一度整える前に、ディアボロはイエローテンパランスを操り、自ら天狗のもとに引き寄せられる。
別に天狗を強引に引き込んだりする必要はない。『距離を詰めれれば』それでいいのだ。
「(後は本にするのみ!)」
ヘブンズ・ドアーを出してせまりくるディアボロを見た天狗は、とっさの判断で左足の太ももにできている氷輪に光弾を撃ち始めた。
先ほどのことで逃げられないと理解したのだろう。
氷輪を破壊して自身から引き離すことで、イエローテンパランスによる接近を防ごうとしているようだ。

だが、それだけで自身の策が失敗するほどこの男は甘くない。
それを見たディアボロは、イエローテンパランスの触手をもう一つ作って今度は天狗の右足首をぐるぐる巻きにして拘束する。
しかしこれでもぎりぎり届いた程度だ。ヘブンズ・ドアーの能力を届かせるには、もう少し距離を詰めておきたい。

天狗は氷輪の破壊を断念し、ディアボロに弾幕を撃ち始める。
仮に先に氷輪を破壊したところで、既に右足首にイエローテンパランスが巻きついてしまっているため、彼を撃ち落すことができないからだ。
だが、残念なことにそれも容易く肉の壁に防がれてしまう。
そしてそのままイエローテンパランスに引き寄せられ、距離を詰めていき、ある程度距離を詰めたところで、肉の壁を動かす。
自身と天狗の間を遮るものは何もなくなり、ヘブンズ・ドアーは手を伸ばしながら天狗に接近していく。

まだ大丈夫。『見えるものだけ』ならばそう言い切れるだろう。
この状況で風を操ってはこない。確かにその判断は正しい。
何故肉壁を自ら取り除いたのか。今はそんなことを考えている場合ではない。
彼は何をするつもりなのか。そんなことは分からない。

攻撃を妨げる壁が取り除かれたのだ。今が最大の攻撃のチャンスである……!

そう思ってしまったのだろう。天狗はディアボロを撃墜すべくより密度の高い弾幕を撃ち始めた。
もしもディアボロが同じ立場だったなら、自身に絡みついているこの肉を、絡みついている箇所ごとスタンドで切り捨て、反撃か距離を取る行動をとっただろう。
ただ、そんなことを実行できる『決意』とそれを実現できる『手段』を持たないことが、この天狗にとっての災難だった。

弾幕を強引に耐え抜き、ヘブンズ・ドアーの手を天狗に触れさせる。
その瞬間、天狗の身体はその能力によって構成を書き換えらたことに驚くが、どうすることもできず、原型を保ったまま本のようになってしまう。
それと同時に二人が空中にいられた要素が無くなったことで、双方が同時に落下し始める。
だが、二人ともその直後に少し弾み、何かが支えているかのように二人とも落下しなくなった。

「ほう……」
マミゾウには何が起きたのか、すぐに理解できた。
ディアボロは本にした天狗も無事に『受け止めれた』ことを確認して、一息ついた。

空気の塊によるクッションが、二人を受け止めていたのだ。
それだけならばストレイキャットでもできるのだが、これ以外にも能力の幅が広いのがこのスタンド、ウェザーリポートの特徴でもある。

ディアボロはそれを操り、地上にゆっくりと下ろしていく。
そして、落下することなく地に足を下せる程度の高さまで空気の塊を下ろすと、本になった天狗を回収してマミゾウのもとに近寄る。
「いつ見ても恐ろしい能力じゃのう……」
「……俺もその意見には賛成だ」
こうして第三者に使われているのを見て、改めてヘブンズ・ドアーの恐ろしさを二人は理解するのであった。


天狗の記憶に命令を加え、ヘブンズ・ドアーの能力を解除する。
加えた命令は二つ。
『誰にも怪しまれないように天狗の住処からカメラを取って筆者に渡す。取ってくるカメラはポラロイドカメラを優先とし、この命令は最優先で実行する』

『筆者との戦闘及びこの命令に関する記憶とマミゾウが見ていたことは、筆者とその仲間が自ら去って視界から消えたら忘れる。それまで筆者と仲間に関する情報を口にすることはできず、誰にも伝えることはできない』
天狗はヘブンズ・ドアーによって与えられた命令を、本来の役割を放棄して実行に移す。
飛び去っていく天狗を見届けて、ディアボロは緊張の糸を緩める。
「これで後は戻ってくるのを待つだけだな」
「おぬし、カメラを使って何をするつもりじゃ?」
マミゾウに質問され、ディアボロは無言で彼女の方に振り向く。
「神霊廟への道を見つけ出す」
「……………」
彼は真顔でそんなことをいうものだから、マミゾウは言っている意味がわからず、思わず沈黙してしまった。
その理由を察したのか、彼は一枚のDISC……ハーミットパープルのDISCをケースから取り出す。
「このDISCには念写の能力が封じられている。荒いやり方でしか念写ができないが、こいつを使えばある程度の情報は手に入るはずだ」
「成程、確かにその方法ならば色々とわかりそうじゃ」
ディアボロの説明を受け、マミゾウは理解し、納得した。
「さて、あの天狗が戻ってくるまですることはなくなったな……」
「肩の力を抜くにはいいタイミングじゃ。しばし休むがよいぞ」
「……そうさせてもらうとしよう」
マミゾウの提案を受けて、ディアボロは天狗が戻ってくるまでの間、休憩することにした。

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