学習指導要領
まず、学習指導要領とは、
文部省が告示する(告示であるが、
法的拘束力をもつとされている。)
教育課程の基準のことである。
概要
学習指導要領は、
小学校、中学校、中等教育学校、
高等学校、盲学校、聾学校、
養護学校の各学校と各教科で実際に教えられる内容とその詳細について、
学校教育法施行規則の規定を根拠に定めている。国立学校、公立学校、私立学校を問わずに適用されるが、実際の状況では、公立学校に対する影響力が強い一方で、私立学校に対する影響力はそれほど強くない。なお、幼稚園では、学習指導要領に相当するものとして
幼稚園教育要領がある。
学習指導要領の内容
学習指導要領の内容は、校種によって若干の変化はあるが、
1.総則
2.教科
3.道徳
4.
特別活動
から成り立っている。
ただし、高等学校においては道徳を扱わない。盲学校、聾学校及び養護学校においては上記のほかに
自立活動が含まれる。
また、2002年(平成14年)に小学校中学校から高等学校に創設された“
総合的な学習の時間”は、1の総則の中で規定されている。
学習指導要領の内容は、学校をめぐるさまざまな事件、受験戦争の激化、
不登校、校内暴力などや、特に歴史などでは近隣の国々と日本の間との過去の関係やその理由の仕方などで、変化してきている。
学習指導要領の法的位置づけ
各教科の単元の構成やその詳細が指示されているが、法令ではない。しかし、学校教育法施行規則に基づいて定められているため、その効力については議論があるが、裁判所の判例によると、一部法的拘束力とるには不適切な表現があるものの、全体としては法的拘束力を有する、と判断されている。(伝習館高校事件判例)ただし、伝習館高校は公立高校であり、本判例が、学習指導要領が私立学校までもを拘束する趣旨であるかどうかは微妙である。
学習指導要領のおおまかな歴史のながれ
1947年、
国定教科書制度が廃止され、最初の学習指導要領が試案として発行され、各学校が教育課程を編成する際の指針・手引きとされた。
※昭和22年(1947年)の学習指導要領試案
『戦後の混迷から民主教育への出発』というスローガンのもと…
- 往来の修身、日本歴史及び日本地理を廃止し、「社会科」を新設するとともに、男女共に学習する「家庭科」を設ける。
- 自動の自発的活動を促進するために、「自由研究」を設ける。
- 各教科の年間総授業数と週授業数を併せ示す。
というようなことを制定した。
その後昭和26年に改訂のための学習指導要領の試案が出された。
これは、教科を4つの経験領域に分け、教科間の関連を図ることを目的としたものであった。
※昭和26年学習指導要領の試案の特徴
●従来の「教科課程」の語を,「教育課程」と改めた。
- 教科を、学習の基礎となる教科(国語・算数)、社会や自然についての問題解決を図る教科(社会・理科)、主として創造的な表現活動を行う教科(音楽・図画工作・家庭)、健康の保持促進を図る教科(体育)の4つの経験領域に分ける。
- 毛筆学習は、国語の一部として、第四学年から課するようにする。
- 自由研究を発展的に解消し、「教科以外の活動の時間」を設ける。
- 道徳教育は、学校教育のあらゆる機会に指導すべきであるとした。
- 書く経験領域に充てる授業時間数うぃ、教科の総授業時数に対する比率でしめした。
しかし58年の3回目の改訂(2回目の全面改訂)では文部省告示として官報に公示され、法的拘束力が強調され、戦後教育の軌道修正が図られた。また、道徳の時間の新設や教科内容の現代化など大きな変化がみられた。
※昭和33年の改訂(教育課程の基準として規定)
『
経験主義を是正し、系統学習の重視と基礎学力の育成』
- 学習指導要領は教育課程の基準として文部大臣が公示するものであるとした。
- 道徳の時間を特設し、道徳教育の徹底を図る。
- 基礎学力としての国語、算数の充実と、科学技術教育の向上を図るために算数、理科の充実。
この改訂では、各教科の系統性を重視し、目標及び内容の精選と基本的事項の学習に重点を置いたことが、特色である。
その後昭和43年の改訂などを経て、ほぼ10年ごとに全面改訂されてきた。
※昭和43年の改訂
『調和と統一のある教育課程の編成と実施』をスローガンとして、
- 小学校の教育課程を、各教科・道徳・特別活動の3領域と定める。
- 人間形成の上から調和と統一のある教育課程の実現を図る。
- 授業時数を、最低次数から標準次数に改める。
などの特色がある。
しかし、77年の改訂では落ちこぼれや校内暴力等の教育問題の増大を背景に「ゆとりと充実」がスローガンに掲げられ、教育内容の精選、授業時数の削減、ゆとりの時間(学校裁量時間)の導入が行われ、また「君が代」が国歌と規定された。
※昭和52年(1987年)の改訂
『児童の生活に、ゆとりと充実をもたせる』をスローガンとし、
- 知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな自動の育成を図る。
- 各教科の基礎的・基本的事項を重視し指導内容を精選し、創造的能力の育成を図る。
- ゆとりと充実した学校生活を実現するために、各教科の標準次数を削減する。
- 各教科等の目標・内容を中核的な事項に止め、学校や教師の創意工夫ができるようにした。
などの特色がある。
また、89年の5回目の全面改訂では情報化・国際化等の社会変化を背景に「教育の個性化と多様化」が掲げられ、小学校低学年での社会科・理科の廃止と
生活科の新設、中学校での選択履修幅の拡大、高校社会科の地理・歴史と公民への再編、「日の丸」「君が代」を国旗・国歌として入学式や卒業式で掲揚・斉唱することの義務づけ等が行われた。
※平成元年(1989年)の改訂
『新しい学力観に立つ教育と個性重視の教育』をスローガンとして、
- 教育活動全体を通じて、豊かな心をもち、たくましく生きる人間の育成を図る。
- 基礎・基本の重視と個性教育の推進を図る。
- 文化と伝統の尊重と、国際理解の推進を図る。
- 低学年に、新教科として「生活科」を新設し、社会科・理科を廃止する。
- 学級会活動と学級指導を統合して「学級活動」とする。
などの特色がある。
また、96年発足の教育課程審譲会は、2002年からの学校週5日制の完全実施に備え、教育内容の厳選、授業時数の削減、「総合的な学習の時間」の導入などを検討し、1998年7月に答申を行った。
ja.wikipedia.org/wiki/学習指導要領 - 68k –
www.bunkei.co.jp/sidouan/kaite_pt.xhtml - 19k - から一部引用
参考資料
教育学/中野光・平原春好/有斐閣
www.ichinoseki-net.jp/oyaji/keyword/youroku.html - 4k -
benesse.jp/blog/20060112/p1.html - 27k –
りえ
最終更新:2008年06月15日 18:42