自動車会社というのは、子会社孫会社まで含めると、超巨大組織です。
例えば、トヨタ自動車は連結で32万人もの人が働いています。
こうした業界が求める人材、それはずばり、
マジメで、協調性のある人間
です。これに尽きます。
企業は、大きくなればなるほど、人間一人の仕事が組織に与えるインパクトは小さくなります。
「会社の歯車」という言葉がありますが、
会社が大きくなればなるほど、より細かい部品になってしまうわけです。
トヨタで言えば、一人の仕事は会社全体の32万分の1になるわけです。
こうした環境下では、人は何に不満を感じるのでしょうか?
それは、退屈と他部署との衝突です。
一般に、分業が進めば進むほど、仕事というのはつまらなくなります。
一人で車をゼロから組み立てるのと、何台もの車のドアの接合を延々とやるのでは、前者の方が一般的には面白みのある仕事といえるでしょう。
しかし、分業をしないと効率性が上がらないため、どうしても「ドアの接合を延々と」系の仕事をやらざるをえなくなります。
これはジレンマです。
もちろん、一定のポジションに昇進していけば、巨大な組織へインパクトを与える仕事ができるという意味で、やりがいは出てくるはずですが、
そこまでの下積みは退屈です。マジメでないとできません。
次に、分業が進むと、他部署と衝突が起きやすくなります。
例えば、ニーズに柔軟にこたえるために色の種類を増やしてほしい営業部門と、最低限の色にしてコストを抑えたい管理部門がぶつかるということがよくあります。
まだ2部門の衝突なら比較的シンプルですが、実際にはもっと多くの部門が複雑に絡み合います。
こうした場面でも、協調性を発揮して、絡んだ糸をほぐせる人物が求められているわけです。
さらに言えば、他者を利することに喜びを感じる位の人物が理想です。
上2つをふまえ、自分をアピールしてください。
つまり、エントリーシートも、面接も、何を問われたとしても、マジメで協調性があることを必ず埋め込んでアピールするのです。
具体例を挙げると、
- 大学時代頑張ったこと → 共同作業で、自分なりのアプローチで、チームに貢献した場面を書きましょう
- 志望動機 → 大きな組織で力を発揮したい。周囲の人をまとめあげるリーダーになりたい、とアピールしましょう
- 会社で実現したいこと → ~~に取り組むことで、自分を成長させると同時に周囲を成長させ、世の中の人の喜ぶような仕事がしたい
一方で、受けが悪いのは、
- 良くも悪くも個性的な感じがする(自分の価値観を優先するタイプは向きません)
- 自分の考えを言う(大組織では、他部門の意見を聞いて調整する能力が最も重要です。自分の考えを声高に言う存在は大きなリスクになります)
といったところです。
なお、「自分を押し殺すことが絶対に嫌だ」という人には、自動車産業は向きません。
一方で、安定志向で、自分の属するコミュニティを自然と愛するタイプの人には、非常に向いています。
草食系の業界といえるでしょう。(肉食系の人は、証券会社など、金融業界が向いています)
以上、自動車業界でした。
最終更新:2010年03月22日 19:21