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  • 《英雄》と《絆》と《正義》

真贋バトルロワイヤル

《英雄》と《絆》と《正義》

最終更新:2025年04月27日 09:01

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だれでも歓迎! 編集
――この宇宙に《英雄》はいない。



私は長年、母国の為に尽くして来た。
我が国は上流階級の貴族・軍人と下流階級の庶民・労働者に分かれており、貴族が下層階級の者達を労働力として―奴隷として使役していた。

しかし、その様な階級制度に対する不満が高まり、『民は皆、平等』という言葉の元、下層階級から待遇の改善を求める運動が続いた。

日々、その活動は高まり、政府も彼らの要求を飲まざるを得なくなり、
下流階級に代わる新たな労働力―または彼らの下の被差別階級を作る為、
他国―他の星から奴隷を徴集する事となった。

だがそれまでに、苛烈となった運動の結果、内戦が起こり、我々政府に仕える軍人の手で多くの下層階級の者を葬った。

彼らは死ぬ前に「いつか、我等を救う英雄が現れる。」と口々に言った。

私は彼らに言った。
「英雄などおらん。弱者の抱く、妄想に過ぎん。」と。

しかし、その考えは否定される事となった。

労働力を徴集する為に訪れた惑星。
そこでは、種族の違いを越え、一体のロボットが戦力にもならない筈の子供を率いて、数万を超える我が軍勢とまともに戦ったのだ。

―その光景を見て、私は考えを改めた。

この遠い辺境の地に―、《英雄》は存在したのだ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



湖のほとりから市街地に向かう道を三人の―、いや三体の人外が歩いていた。

真ん中の赤い兜の様な装束の人物―《総司令官》が右側の白いワンピースの少女―《ロボ子》に現在のメカトピアの国情について、説明していた。

「素晴らしいお話ありがとうございます。
最後に出て来た“英雄”とやらが、仲間にしたいと仰られた“地球のロボット”ですか?」

「その通りだ。地球の全戦力が奴一人とは思わん。…恐らく、忠誠心が高い為、地球軍が体勢を整えるまでの時間稼ぎに指名されたのであろう。
しかし、奴は殆ど一人で我等《鉄人兵団》を一時的とはいえ、追い詰めたのだ。
その策略、行動、全てが賞賛に値する。
味方に付けたいと考えるのも当然の事だ。」

「…それで宜しいかと。敵であろうと相手の力量を正確に評価し、自軍に取り入れようとするなど、流石は総司令官様。懐が広いですわね。」

すかさず、主を讃えるロボ子。
しかし、内心は穏やかではなかった。

(総司令官様にここまでのお褒めの言葉を貰えるなんて、そのロボットは羨ましいわ。
でも、そこまでの評価を受けて、一度は誘いを断るなんて許せないわ!
リルルとかいう尻軽女を騙した手口といい、そんなタヌキみたいなロボットに私はなびかないわよ!!)

近い未来での雇い主に、心の中で悪態をつくロボ子。

そんなに二人の様子を見ているのか見ていないのか分からないパンダの様な外見の怪物―《シャチパンダヤミー》は彼らの左側におり、赤子の泣き声のような足音を出しながら、ついて来ていた。

「此度の殺し合い、地球での任務を一時放棄する事になるとは不甲斐ないが、私は必ず生還する。この殺し合いで得られる異世界の情報と主催陣の首を持ってな。
その時はロボ子よ。貴様も私と共に我が母星に迎えてやるぞ。」

「…はい!!」

総司令官に共に帰る事を約束され、ロボ子の先程の怒りは収まった。

彼ら新生《鉄人兵団》はしばらく街道を歩いていた。

総司令官自身は空を飛べるのだが、二体の配下は飛べず、また空中に長くいる事で敵に見つかるリスクを避ける為、地上を進む事を選んだのだった。

やがて先頭の総司令官は足を止めた。

「さて、着いたか。」

彼らの数メートル先には民家が立ち並ぶ市街地が存在していた。

総司令官は、ホットラインを取り出し、メニューから地図を選び、画面上のコーカサスカブト城を指差す。

「市街地を探索した後、この城に向けて出発するぞ。」

市街地の入り口からでも、コーカサスカブト城の荘厳な姿はハッキリと見える。

放送前には通り過ぎた城だったが、手下を増やし、敵にも備えた総司令官は、まずは市街地を調べ、それから城内も探索する事を考えていた。

「ロボ子、何が起こるか分からん。ここは戦闘体勢に入れ。」

「はい。」

ロボ子は腰にレイドライザーを装備し、ファイティングジャッカルプログライズキーのボタンを押す。

『レイドライザー!ハント!』

機械による音声が響いた後、重低音の電子音が流れ、ロボ子はプログライズキーをライザーにセットする。

「実装!!」

『レイドライズ!ファイティングジャッカル!

"Deciding the fate of a battle like a Valkyrie."』

ライザーによる音声の後、機械の少女の立っていた位置に猫を思わせる黒の怪人が現れる。

「では、行きましょう。」

ロボ子―ファイティングジャッカルレイダーは生成した大鎌を右手に持ち、市街地に向け、足を踏み出す。

―それを総司令官は止める。

「待て、少し策を練って行った方が良いかも知れん。」

◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇

時間は最初の放送前に遡る。

「ひゃー!!気持ちいいーー!!!!!」

「あんまり、動くなよ。下に落ちても知らないぞ。」

眼下に大きく広がる湖。

その湖の上を二人の女性を乗せた物体が、風を切って飛んでいた。

その物体とは何か。
小型飛行機か。
プロペラ機か。

全く違う。
それは、普段なら乗り物ではないモノ。

――自動販売機である。

幾つかの缶が入った自動販売機が横になり、二人の女性―普通(?)の女子高生、満艦飾マコと諸事情で女体化してしまったキズナレッドこと浅垣灯悟を乗せて、空中を飛行していた。

何故そうなったのか、そこから話そう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

時は更に遡る。

"太古の魔竜"《リメインズ・ドラゴン》を倒した後、元気良く駆け出したマコであったが、すぐにUターンして戻って来た。

見ると森のあちこちに恐竜―いや、“怪獣”達がウヨウヨしていた。

嘴のように尖った口と襟巻きを持つ怪獣。

炎の様な服を纏った黒い恐竜の様な怪獣。

そして大きな口と、両手が口になった緑色の怪獣。

それらが、森を徘徊していた。

灯悟の負傷の事もあり、流石に相手には出来ないと、一行は木々の中を隠れながら移動する。

「あ~あ、私にもヒーローになれる道具が支給されているのに。」

小声で愚痴を呟くマコ。

それに対し、灯悟の着ている学生服―《鮮血》が変身アイテム《キズナブレス》を介して、答える。

『マコ、私も灯悟も君に戦ってほしくはないんだ。
如何に戦いに慣れた者でも、状況によっては命を落とす事も有り得る。
マコには、私達が危機的状況に陥った時に手助けして貰いたいんだ。』

「でも、リュックの中のあの支給品、最初の広間の人みたいに仮面ライダーになれるって書いてあったよ。あれになったら少しは楽になるんじゃない?」

『……あの道具は、見た目からして禍々しい。使う場面は選ばないと、変身者に良からぬ事が返ってくるかもしれない。』

やがて、一行は湖の畔へと出る。

『森の中は危ない。湖を渡り反対側へ行こう。何か湖を渡れる物はないか。』

鮮血の助言を受け入れ、支給品を確かめるキズナレッド一行。

そこでリュックの中から出て来たのが自販機であった。
名前は《ライドベンダー》といって説明書によると、バイクにも変形できるらしいが、変形の仕方が分からない。

普通の自販機と同じく硬貨を入れる穴はあるが、当然ながら誰も小銭を持っていない。
また持っていたとしても、それでバイクに変わるかは分からなかった。

次にリュックから出て来たのは、飛行機の操縦桿の様な物だった。

説明書を読むと《なんでもそうじゅう機(飛行機タイプ)》と書かれてあった。

最初の自販機を横にして、前方に取り付けると、宙に浮き、空を飛べる体勢となった。

「何も変わってないけど、飛行機になった!
ハイ、変わった~!」

「取り敢えず、不格好だけど乗り物が出来たな。では行くか。」

灯悟は自販機に跨り、操縦桿を握る。
後ろにマコと2人分のリュックを詰め込むと、自販機は空高く動き始めた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


キズナレッド一行が湖の向こう岸への移動中、主催による一回目の放送が始まった。

何故か羂索ではなく隣にいたクルーゼと名乗った仮面の男が行っており、本格的な殺し合いはこれからで、強力なNPCを送り込んで来ると話していた。

放送が終わり、マコは直ぐ様、ホットラインの名簿を確認する。知り合いが参加させられていないか調べる為だ。
キズナレッドも脇見運転はいけないなと思いつつ、ホットラインを開く。
と鮮血がそれを察し、『知っている者がいたら後で教えてくれ。』と画面を見て名簿を読み上げる。

名簿の確認が終わり、一同は情報交換に入る。

『やはり流子も来ているのか…。しかし、鬼龍院羅暁まで…。
私は羂索らの後ろに羅暁率いるREVOCSコーポレーションが絡んでいると思ったのだが…。』

「でも良かった~!!流子ちゃんが居てくれて。私だけじゃ、皐月様のお母さんに敵わないよ。」

『うむ、鬼龍院皐月や生徒会四天王が居ないのは残念だが、こんな殺し合いに知り合いは少ない方がいい。…灯悟、君の方はどうだった?』

「俺の知っている人物はイドラだけだ。でも…、」

名簿に気になる名前を見つけた。
キズナブラック。

その名は自身の、キズナレッドの強化形態だった筈だ。
自分の強化形態の名前が何故名簿に載っているのか?
ブラックへの変身も他の者では出来ない筈だ。

運転をしながら考え込む灯悟に対し、後ろからマコの声が聞こえた。

「ねぇ、最初に広間で説明していた梔子ユメっていう女の子の名前が載っているよ。
自分で殺し合いを開いたのに何で参加するのかなぁ。」

『いや、梔子ユメは主催――羂索ではないだろう。
君達の話を聞くと奴は脳だけの生命体と見た。
恐らく、彼女の身体を捨て、違う身体に乗り移ったのだろう。
馴染む迄に時間がかかる為、放送はクルーゼに頼んだと推測出来る。
⋯だが今のマコの様に彼女を主催の一味と勘違いする者もいるかも知れない。』

「じゃあ、急いでユメちゃんを探さないと!」

『だが、彼女が何処に飛ばされたかは分からない。ここは慎重に行かなければ。まずは君達の安全を確保し、近くにいる参加者を助ける事を考えなければ。』

二人の話を聞きながら、灯悟は今はキズナブラックの事を考えるべきではないと思い直した。

鮮血の言う通りだ。
殺し合いが進む前に、他の参加者を守る為に動かなければ。

と、再びマコが口を開く。

「ねぇ、私、お城に行きたい!この近くにあるって!!」

マコが指差したのはホットライン上で【コーカサスカブト城】と表示された所だった。

『丁度この先にあるな。どうする、灯悟?』

灯悟は迷ったが、
「構わない。ただその前に代わりの服を探したい。」と話した。

彼―今は彼女だが、運転中も、慣れないスカートや下着も付けてない状態に違和感を感じて、気持ちが落ち着かなかった。
鮮血によると城の手前に市街地があるので、住民には悪いがそこで衣類を拝借しようと考えたのだった。

「取り敢えず、男に戻った時の為に服を探したい。城に行くのはそれからでいいだろう?」

マコは城に早く行きたくて不満そうだったが、渋々納得してくれた。

こうしてキズナレッド一行は市街地へと自販機を飛ばしたのだった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◇◆


「……誰も居ませんね。」

市街地に入ったファイティングジャッカルレイダー―ロボ子は民家や商店等の建物を見て回り、主人に報告を行う。

「ふむ……、これほどの街なら人がおらずとも、生活の様子が窺えるのだが、それもない…。まるで“地球のロボット”が偽の街を、世界を作った時のようだ。」

側にいた総司令官はロボ子の報告を受け、彼女と共に道を進む。

しばらく行くと道の端に人間の使う銃器―P90が落ちているのを見つける。

近くには破壊された黒い乗用車があり、そこで戦いがあった事を伺わせる。

乗用車の近くには、全てガラス窓が破壊されたファミリーレストランがあった。
…その先からは異臭が漂っていた。

「…総司令官様、私が先に。」

P90をリュックに入れ、大鎌を持ったロボ子はレストランの先へと進む。

そして、道に人間の死体が放置されているのを見つける。

無精髭を生やした人間の男で右肩から左腰にかけて斜めに両断されて横たわっていた。
顔は銃弾を受け、あちこちに穴が空き、喉には鋭利な刃物で切られた跡が見られた。
近くに下半身も見つけたが、此方は事故でもしたのか、骨折の跡が見られた。

「……幾ら敵対する人間だからといってここまでするとは理解出来ませんわ。」

「うむ…、どうやら殺した後、死体を盾にして戦ったようだが、確かに耐久性の低い肉塊を使うとは正しい考えとは言えんな。
異常な思考回路を持った“欠陥品”の人間がこの惨状を作ったようだ。」

総司令官は手首を確かめる。
そこには無傷のレジスターが装着されたままだった。

総司令官はしばらく考えていたが、やがてロボ子に指示を出す。

「ロボ子よ、この者をお前のリュックに詰め込むぞ。
貴様の身体が入っていたのだ。少なくとも人間一人は入れられる筈だ。
…機会を見て、遺体を解剖、もしくはレジスターを外し、“バグスターウィルス”とやらの駆除方法を探らなければな。
主催を追い詰めたのはいいが、鎮静剤切れまで逃げられては困るのでな。」

「分かりました。流石は総司令官様、後々の事もよく考えていますね。」

「世辞はいい。私は一刻も早く帰る手段を模索しているだけだ。」

上司に促され、ロボ子は自分のリュックに遺体を詰め込んだ。
(流石にそのまま入れる気持ちにはなれなかったので、遺体はレストランにあったゴミ袋に包んでから入れた。)

その時だった。

黒の学生服と白の学生服を着た女子高生と思われる女性二人が来たのは。

◇◇◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

市街地に辿り着いた浅垣灯悟は自販機をリュックに直し、衣類を探そうと、どの建物に入るか迷いながら、マコと足を進める。

その時に壊れた乗用車が放置され、近くのレストランの窓が破壊されている事に気が付く。

『これは…。』

「ああ、どうやら戦闘があったみたいだ。注意して。」

そして二人と一着は目撃する。

ゴミ袋に包んだ遺体をリュックに詰め込んでいる二人の人物を。

丁度、向こうも気が付いたようで目が合う。

相手の外見は、昆虫を思わせる羽と兜を持った赤い鎧の人物と黒い猫の様な装束を纏った女性と思われる人物。

女性の方を見て、浅垣灯悟は目を丸くする。
それは異世界にて行動を共にしていたエルフの少女、ラーニヤが変身する仮面の戦士《太陽の森の防人アメン》に似ていたからだ。

「お前…、ラーニヤか?」

「ラーニヤ?ロボ子の事か?知り合いなのか?」

総司令官は傍らの少女ロボに訊ねる。

「誰だが存じませんが、人違いですわ。私は総司令官様以外の方は知りません。」

言われて見ると確かに目の前の女性戦士は《アメン》に似ているが、細かい部分が違うようだ。

「そうか、なら済まなかった。……所でさっき、あんた達死体をリュックに詰めていたな。…殺したのか?」

「我々が来た時にはこの二人は死んでいた。
…遺体を回収したのは羂索の言うウィルスとやらを調べる為だ。」

二人の話に耳を傾けながら、マコは小声で鮮血に話し掛ける。

「なんか、悪の組織の首領と女幹部みたいな人達だね。」

『人を見た目で判断するのは良くないぞ。……確かに善人には見えないが。』

マコ達の会話を聞きながら、灯悟は目の前の怪しい人物達が嘘を付いている様子には見えず、引き続き話を続ける。

「…俺は浅垣灯悟。戦えない人々を守り、犠牲を出さずにこの殺し合いを破壊したいと思っている。」

灯悟の自己紹介に対し、相手の赤い鎧の方が名乗りを上げる。

「…私は《総司令官》。我が母星、メカトピアに所属する軍隊《鉄人兵団》の指揮を任された者だ。」

「“そーしれーかん”?それって、名前じゃなくて役職じゃないの?お名前は?」

相手の威圧感に物怖じせず、マコが尋ねる。

「……名前など、貴様らに教える必要もなかろう。私の立場のみ伝えるだけで充分だ。」

「あっ、ひどい!名前を聞いてるだけなのに!!」

頬を膨らませるマコの横にプンスカという文字が現れる。

それをなだめる鮮血。

マコに構わず、灯悟は質問を続ける。

「…お前はこの殺し合いに乗っているのか?」

「……愚問だな。他人を拉致し従わせる、あの様な輩に従う理由はなかろう。
寧ろ我々は主催に対抗する為に兵を集めている。私には急いで戻らればならん理由があるのでな。貴様らも我等と共に来ないか?羂索に対する憤りがあるのは同じであろう。」

目の前の相手は協力を持ち掛ける。
しかし、浅垣灯悟は長く戦って来た経験か、総司令官の発言に不穏な物を感じた。

「……その急いで戻らなくちゃならない理由って何なんだ?」

赤いヒーローは、機械の軍隊の長に自分の疑問を尋ねる。

「知れたこと。我が母星メカトピアの為に地球征服を行い、人間を奴隷に堕とし、労働力として搾取する事よ。」

「そうか…。ならアンタはここで止める…!」

浅垣灯悟はマコからキズナブレスを貰うと物陰に隠れる様に促し、二体のロボットに対峙する。

「愚かな事よ。個人の思惑は兎も角、今は手を組むのが得策であろう。」

総司令官は相手の判断を憐れむ言葉を発する。

「…今じゃなくても、いずれ地球の人々の平和を脅かす存在を俺は《ヒーロー》として見過ごす訳にはいかない!」

浅垣灯悟―キズナレッドは総司令官―鉄人兵団を秘密結社ゼツエンダーや異世界の魔王達と同じく、人々に災いをもたらす存在と判断する。

そして、例え違う世界の地球の話であっても顔も知らない人々の為に戦う事を宣言した。

その言葉を聞いた総司令官は訝しげな表情を見せた後、空に向かって顔を上げ、大きな声で笑い出す。

「クハハハハハ……、貴様の様な女が“英雄”だと!!…………大軍と対峙した事もなく、一人で自国の行く末までも背負った事のない者が抜け抜けと………、巫山戯るのも大概にしてもらおうか…!!!!!」

笑い声から一転、怒気を込めた声で浅垣灯悟を睨みつける。

「ロボ子よ、気が変わった。
奴を痛め付けろ。……“英雄”を名乗る資格があるのか確かめて見せろ。」

「御意。」

ロボ子―ファイティングジャッカルレイダーは大鎌を構え、浅垣灯悟に対峙する。

と、次の瞬間、黒の女怪人の姿は灯悟の視界から消えていた。

先手必勝。

ファイティングジャッカルレイダーは相手の目にも止まらず、間合いを詰める。

(もらった!)

ロボ子が大鎌を灯悟の首目掛けて、振り下ろそうとした瞬間――



「人衣絆創――」




「――神衣鮮血!!!!!」

相手が何やら大声を出したかと思うと爆発が起き、爆風でロボ子の身体は建物の壁に叩きつけられる。

(爆発!?何処から!?)

ロボ子が立ち上がると、先程の女が居た場所に
、四肢と肩のアーマーを除けばかろうじて豊満な胸と股間を隠したような極端に露出度の高い姿をした痴女が立っていた。

背後に何故か過剰なほどに大きな文字で、「人衣絆奏」「神衣鮮血」という赤い文字がデカデカと映し出されていた。

「⋯⋯姑息な真似を!その様な衣装で総司令官様を誑かそうとは!!
総司令官様!目をつぶって下さい!この衣装は毒です!!!!」

「何?生体兵器なのか?よく分かるな。」

上司と多少ズレた会話を行うが、目の前の相手には警戒を怠らない。

目の前の相手は、続いて腕にはめたブレスレットに何かをセットしている。
『ぺっTURN!!』


「絆装チェンジ!」

「燃え盛る熱き友情の戦士!!」

「キズナレッド!!」

 その瞬間、背後には「燃え盛る熱き友情の戦士キズナレッド」と書かれた文字がドン!と現れると共に、先程より強力な爆発と爆風が起きる。
背後の破壊された乗用車等数メートル飛ばされていた。
相手はヘルメットを被った姿に変わったものの、身体は先程の痴女衣装のままだ。

ロボ子は爆風の中でも、相手と距離を縮めようと、前進する。

「絆創拘束(バンソウバインド)!!」

二段変身を終えたキズナレッドは腕のブレスレットより大型の絆創膏を作り出し、ロボ子に向かい、放つ。

(動きを封じるつもり?舐めないで!!)

ロボ子は難なく避ける。
と、再度大型の絆創膏が迫って来る。

同じ技―と思えば、絆創膏は錐状へと変化し、黒の女戦士に降り注ぐ。

「パイル・カットバンカー!!」

ロボ子は大鎌を振るい、相手の攻撃を跳ね返す。

そのまま、ロボ子は地面に鎌を突き立て、地面を削り、土やアスファルトの瓦礫をキズナレッドに向けて放る。

瓦礫と土埃でキズナレッドの視界が塞がる。

その間に死の神―アヌビスの形を持った女戦士は赤い戦士の背後へと回る。

(今度こそ⋯!)

ロボ子は大鎌をキズナレッドの頭部に振り下ろす。
―それをキズナレッドは片手で受け止める。

「な!?」

そのまま、鎌ごとロボ子を地面に放り投げる。

「ぐっ⋯!」

地に叩きつけられるロボ子。
幾ら怪力を持ち、レイダーによる俊敏性を身に付けたとはいえ、ロボ子は戦闘の素人。

長くゼツエンダーと戦い、異世界で冒険者として過ごしたキズナレッドとは経験・技量が違う。

キズナレッドの方は女性―しかも知り合いに似ているとあって、ある程度の手加減をする余裕があった。

「ふむ、貴様の実力は分かった。確かに“英雄”とほざくだけの力は持っているようだ。」

ロボ子の敗北を受け、素直に相手に賞賛の言葉を贈る総司令官。

「それはどうも。実力が分かった所で、部下に任せるのもそこまでにして、そろそろアンタ自身が出て来たらどうだ。」

「勘違いするなよ、娘。私が認めたのは力の方で、知能の方は落第点だ。」

「何!?」

「たーすーけーてー!!」

戦闘に巻き込まれない様に隠れている筈のマコの声が響き、キズナレッドは後ろを振り向く。

見ると、黒と白の模様の生物――パンダのような怪物がマコを抱き締めている所だった。

「あ~。」

「ちょっ、このパンダさん!お目々が人の顔になってる!なんか、怖いんだけど!!」

マコは目玉が飛び出んばかりのリアクションをとった後、何とか逃げ出そうと、手足をジタバタ動かす。

―総司令官は街に入る前にシャチパンダヤミーには物陰に隠れ、少し離れて着いて来る様に命じていた。
そして、合図で動くようにと指示を出した。

殺し合いに乗った強者を想定し、不意打ちを行わせる為にとった策であったが、
此度のように人質を取る事にも功を奏したようだった。

「娘よ。戦場では伏兵を潜ませるのが常よ。よく覚えて置け。」

「……卑怯だぞ。」

「陳腐な言葉だな。貴様は他の参加者と一対一の殺し合いを想定しているようだが、私は主催との“戦争”を想定している。
戦の場ではあらゆる手段が許される。
寧ろ、策を労せずに正面から来る等、愚物のする事よ。」

総司令官は赤いヒーローへの話の後、リュックからきびだんごを取り出す。

「さて、貴様にはこの食物を食べて貰おう。
心配するな、毒は入っておらん。
我々と羂索を倒す同盟を結んだ証の様なものだ。」

毒が入ってないのは理解が出来る。
殺すつもりならそんな回りくどい事をせずに、直接殺せばいい。

それなのに、これを食べろという事は―

(洗脳か。)

キズナレッドは相手の思惑に気付いた。
洗脳し、手駒として使うつもりだと。
恐らく、マコを人質にとったパンダの怪物も同じ手法で洗脳したのだろう。

正義のヒーローが悪の組織の手先になる。
それだけは避けなければ。

キズナレッドはこの場をどう切り抜けるか思考を巡らせる。

令呪を使い、マコを助けるか。

しかし、相手は三人。
パンダの怪物はNPCだろうが、敵に令呪を持った者が二人もいるのだ。
ここで使っても助けられる保証はない。

―正確には、敵方で令呪を持っているのは総司令官だけなのだが、
ロボ子は変身していて、参加者の証の令呪・レジスターが見えず、灯悟は彼女も参加者と誤認していた。

手をこまねいているうちにロボ子―ファイティングジャッカルレイダーが立ち上がり、近付いて来る。

「まずは変身を解きなさい。そうしなければ、あの小娘のどこを傷つけて欲しいのかしら?」

「……分かった。」

ファイティングジャッカルレイダーの言葉に従い、浅垣灯悟はキズナレッド及び鮮血の変身を解く。

「素直なのは、良い事だ。では…。」

総司令官は灯悟に近付き、きびだんごを渡そうとする。

と、より灯悟に近かったロボ子がそれを止める。

「総司令官様、その前に…。目を背けて下さい。」

そう言ったロボ子―ファイティングジャッカルレイダーは地面に落ちた自身の大鎌を拾う。
と、次の瞬間、灯悟の着ていた学生服・鮮血は二つに千切れ、地に落ちる。
浅垣灯悟は一糸纏わぬ全裸となるが、その事に気を取られる事はなかった。

「鮮血!!!!!」

『私の事は……、大丈夫…だ。再…生出来る。それより…、マコの事を……頼む。』

千切れた鮮血を尻目にロボ子は総司令官に視線を向ける。

「…同盟を結ぶ前にこの女の心を折りたいと存じます。
見えないだけで武器や能力を隠し持っているかもしれません。
また、心を弱らせる事で貴方により忠実になると思われます。
……失礼ながら、お見苦しい所を見せる為に、総司令官様は暫し、離れて頂きたく存じます。」

ロボ子はその場に跪き、総司令官に許しをこうた。

「……いいだろう。好きにしろ。
確かに“地球のロボット”ではない紛い物の英雄など、躾けてやった方が良いかも知れんな。
それと、私の事なら気にするな。人間がいくら搾乳器官を晒そうとそれに劣情を抱く事はない。」

総司令官は、先程の戦闘でロボ子は不甲斐ない所を見せたので、挽回したいのだろうと判断した。
機械の軍隊の長は自身の装備している杖をロボ子に投げて渡す。

「使い方は分かるな。其奴を死なぬ程度に電流で痛め付けろ。私は近くを見回ってくる。数分で戻るぞ。」

総司令官はそう話すと、ファミレスの奥の店舗へと入って行った。

「総司令官様、有り難う御座います。さて…。」

ロボ子―ファイティングジャッカルレイダーは赤く輝く瞳を赤いヒーローへと向ける。

「我等と“同盟”を組む前に、上下の区別を教えなければね…。」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ぐうっ!がぁっ!!」

浅垣灯悟はファミレスから持って来た椅子に座らされ、手足を縛られ、杖から出る電流に耐えていた。

「案外打たれ弱いのね?“英雄”を名乗るからには強いと思っていたわ。」

ロボ子による“調教”が始まって数分―。

時間にしては僅かだが、浅垣灯悟の身体には電流による火傷の跡が所々付いていた。

一方、戻って来た総司令官もファミレスから椅子とテーブルを持ってきて、それに腰掛け、拷問の様子を見ていた。

「強情な奴だ。手を組みたいという我等の誠意を無下にするつもりか。」

総司令官が訪れたファミレスの奥の店舗はロボット専用のレストランであった。

そこから好評と書かれた《純生石油十億年物》のポリタンクを持って来ており、レストランから拝借したグラスに注いでいた。

「不味いな、私の口には合わんぞ。」

石油の味に文句を言いながら、灯悟とマコのリュックの支給品を確認する。
が、期待通りではなかった為、テーブルの上に放置する。

そこでチラリと、人質の小娘と、それを抑えている配下に目をやる。

小娘―マコの方は最早抵抗せずに、目に涙を浮かべ、キズナレッドと名乗った娘の“調教”を見守っている。
反対に気になったのは、クマ科の下僕―シャチパンダヤミーの変化であった。

マコを抱き続けている間、シャチパンダヤミーの体内でのコアメダルは増え続け、ロボ子との戦闘での負傷は回復し、更に技の強化も進んでいた。

(あのクマ科の動物は女を抱くと体内の硬貨が増え、傷が回復するのか…。変わった性質だな。)

シャチパンダヤミーの体質についてはロボ子も推測していたが、ここで総司令官も把握する事となった。

そして、ロボ子が千切った衣類にも目をやる。

支給品の説明書で確認した《鮮血》という戦闘用の衣類との事で、2つに千切れたにも関わらず、再生している。
ただ制限の為か完全に再生した訳ではなく、継ぎ接ぎの様な見た目で無理矢理引っ付けた様な不格好だ。

加えて、《鮮血》は血液がないと戦えないという。
娘―キズナレッドを助ける者はこの場にいないという事だ。

しかし―、キズナレッドこと浅垣灯悟はしぶとくその肢体に傷が幾らつきようとも、唸り声を上げるだけだった。

拷問を受けても屈しない力強さを見た総司令官は、言葉で堕とそうと、灯悟に近付く。

「……貴様の支給品の説明を読んだぞ。
“絆”とやらがないと作動せぬ欠陥品ではないか。」

ピクリと赤い戦士の顔が上がる。

「私が戦い、認めた“英雄”は違う。
その様な道具など頼らずとも、策略で数万もの軍勢を封じ込めたのだ。
……手駒に子供を使ってな。」

「何…だと?」

「聞こえなかったのか?
それこそ貴様の言う“絆”を使い、奴は子供を兵士とし、自分の手足として使ったのだ。
子供の方も調教が行き届いているのか、疑念の様子も見せず我が兵と戦ったわ。
素晴らしいであろう。正規の軍隊を使わずに捨て駒で戦力を削ぐ。
まさに“絆”が紡ぎ出す美しい戦法よ。
貴様も私と絆を育み、共に主催を倒そうではないか。」

浅垣灯悟に向け、手を差し出す総司令官。
それに対し、灯悟は顔を背ける。

「…そんなずる賢いタヌキみたいな奴のやり方なんて…俺は…認めない…。」

「残念だ。未だ地球が我等《鉄人兵団》に蹂躙されていないのはそやつのお陰だと言うのに。
奴はこの会場にも呼ばれている。
地球を命懸けで守った者には酷だが、会ったら直接批判して貰おうか。」

総司令官は会話は終わりと灯悟から離れようとするが―、

「もうやめて!なんでこんな事をするの。あの脳ミソの人を倒したいのなら、素直に仲良くすればいいじゃない!!」

シャチパンダヤミーに拘束されたままのマコが涙ながらに大声を上げる。
彼女は、悪の首領にいがみ合いを止めるように嘆願する。

「…小娘。それは出来ぬ相談だ。確かに羂索を倒す為、他の参加者と手を組まねばならん。
しかし、問題はその後、羂索を倒す際の話だ。
」

機械の軍隊の長は、白い服の女子高生を諭すように話す。

「この殺し合い、奴らも反攻を受ける事は承知の上。参加者に対する戦力も確保しているだろう。
恐らく、奴らを倒したとしても、生き残るのは一握りの者だけだ。
……皆、その中に入りたい筈だ。その事で、仲間内で揉めては話にならん。
……誰かが皆を纏め、一致団結せねばならん。
それを考えている者がこの場に何人いるかは知らんが、私は私に忠実な者達で纏めたい。それに従わぬ者など邪魔者でしかない。」

「……ふん、偉そうな事を言いながらも、参加者グループの主導権を握り、結局は自分だけが生き残りたいだけじゃないか。」

マコと総司令官の話に入り込む浅垣灯悟。

それに対し、顔色を変えず総司令官は答える。

「減らず口は立派だな。貴様の言う通りだ。だが、それに何の問題がある?
有象無象の人間の命等、我等ロボットに比べれば生かす価値のないものだ。
それを主催一味を狩る為に役立てる――犠牲になってもらうだけだ。
ゴミに役目を与えるのだ。有り難いと思われても良いと思うのだがな。」

「……間違っている。お前のように他者を差別し、人の命を何とも思っていない…。寧ろ、犠牲になるのが当然だと思う考えが!!
そんな“絆”を否定する様なやり方、俺は認めない…!!!!」

赤いヒーローは悪の組織の首領の発言に対し、真っ向から反論する。

「ほう…、では聞こうか。一人の犠牲もなく、この場から百五十人近い参加者を逃がす方法を。」

「それは………。」

「どうした?答えないのか?
貴様も本心では分かっているだろう。能力が制限されている中…、『百人以上も救うのは、無理だと。』。」

「加えて、貴様が陥っているこの状況…。
あの小娘の命を無視すれば、助かるものを。
戦闘において、勝利には常に犠牲が伴う。
敵方の兵、味方の兵、…お前も“英雄”を名乗るからには、犠牲を払って勝って来たのではないのか?」

総司令官の言葉は否定出来なかった。

キズナシルバーこと二階堂天理。

灯悟の想い人であったが、絶縁王との戦いで自分を庇って、命を落としてしまった。

また冒険者となってからでの戦い。
そこでも、多くの人々の死を見てきた。
戦いの影には味方であれ、敵であれ、犠牲がついて回った。

「娘よ、改めて言おう。
あの小娘は死ぬ。何の力も持たない者なぞ、この場所に呼ばれた時点で死は確定している。
今、助かっても、次の放送、その次の放送、そして主催との決戦…。
どうだ、そこまであの小娘を守り続ける自信はあるのか?」

「それは……、」

「貴様が“英雄”としてすべき事は、あの小娘を見捨て、強者のみを集め、主催を打倒する事だ。…でなければ、第二、第三の殺し合いが起こるかも知れんぞ?そうなれば、今以上に人が死ぬ。……我が《鉄人兵団》としても採取する労働力が減るのを避けねばならんのでな。貴様が協力してくれると助かるのだが。」

「断る!誰がお前達の仲間なんかに……」

そこで総司令官は振り向く。後ろにロボ子が来ていたからだ。

「総司令官様、続きを…。」

「済まなかったな、お前の出番を取ってしまう所であった。」

「では…。」

総司令官は後ろに下がり、
再びロボ子は調教の名目で、キズナレッドを痛め付ける。 


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◆◇◇◇◇◆◇◆◆◆◆


それから数分、再びキズナレッドは拷問を受ける事となる。

この様な絶望的な状況の中で彼女達にとって運が良かったのは総司令官が近くにいた事だ。

女性に嫉妬し、憎むロボ子にとって、この二人も殺害の対象であった。

しかし、総司令官が仲間を募っている今、無闇に殺す事は出来ない。
そんな事をすれば、たちまち総司令官の信頼を失う。

だからこうやって痛め付けて、憂さを晴らしている部分もあった。

「こんな破廉恥な服を着て、何人の男を誘惑したのかしら!よりにもよって、総司令官様も毒牙にかけようとするなんて!!」

始めと比べ、痛め付ける力にも言葉による暴力にも熱が入るロボ子。

「俺は…、男だ……。」

辛うじて、否定の言葉を捻り出す。

その言葉にロボ子はハッとする。
確か、奴らの支給品の中に性別を変える物があったと気付く。
しかし―、それがなんだというのか?
筋力低下を狙い敵を女体化するならまだ分かる。
だが、コイツは自分自身に使っている。
戦闘で自ら性転換する理由が見当たらない。
つまりコイツは自らの歪んだ性的嗜好の為に使っている。
“英雄”どころかとんだ変質者だ。

説明書には載っていない《鮮血》に適応する為に性転換したとは知らず、ロボ子は憤りを覚える。

「へぇ、そう。……男をやめてまで、総司令官様と見初められたかったの。添い遂げたかったの。」
「………ん、」

敢えて猫撫声を出し、身体を屈め、灯悟の右乳房に手を当て、軽く優しく揉みしだく。
これまでと違い、優しい物言いと攻め方に歴戦のヒーローも動揺を覚える。

気持ちいい――

戦いの中で性という物に疎い、灯悟にとっては新しい感覚だった。

これまでの“調教”で、灯悟の肌は敏感になっていた。

「はぁ…、はぁ…。」

快感に吐息が漏れる。
優しい愛撫の虜になりそうになる。
灯悟は女性になったといっても、これまで胸部が膨れ、体格が変わったくらいしか自覚していなかったが、乳房を揉まれ、初めて“乙女”の快感と恥じらいを味わっていた。

「貴方の気持ち、分かるわ。格好良いものね。……低俗な人間の――男のままではいられなくなるわよね。」

灯悟の乳房の輪郭に沿って、指を這わせる。
ロボ子は顔を灯悟に近付け、耳元で囁く。


「図に乗るな。人間の分際で、あのお方の気を引こう等と。」


次の瞬間、ロボ子は、右側の乳首を指で摘んで――潰す。



「―――っ!!!」



「これじゃ、愛しい総司令官様に吸ってもらえないわね。
…片方だけじゃ可哀想だから、もう一方も失くしてあげる。」

もう片方の乳首も潰そうと乳房に指を這わせるが…。


「……その位にしておけ。これ以上、負傷させると使い物にならなくなる。」

総司令官はロボ子が何を言っているかは聞こえない。
しかし、灯悟の身体に傷が増えているのが見え、“駒”としての価値が下がるのを心配したのだった。

「……そうですね、では。」

ロボ子はキズナレッドが捨てたきびだんごを拾うと、それを自身のつま先――地面へと落とす。
そして、浅垣灯悟を縛っている手足の紐を解く。

「下等な人間……、口で拾いなさい。
人間が犬にするように。主人に媚びて、忠実になる証を受け取りなさい。」

分かっている。
この食物は先程考えた通り、相手を従える・洗脳する物だと。

正義を志す浅垣灯悟にとって、悪に屈し、また悪の組織の一員として悪事に加担する訳には行かない。

しかし―チラリとマコを見る。

マコは口を塞がれて苦しそうな状態であった。
パンダの怪物の腕の力も徐々に強まり、マコの体力の消耗も見て分かった。

「……分かった。」

赤いヒーローは―、キズナレッドは敗北を受け入れた。

殺し合いの序盤にて、何も成せずに悪に下る事はヒーローとして許されない。

――しかし、たった一人の危機も救えられない等、ヒーローとしても人間としても失格だ。

身も心も悪に屈したヒーローは犬のようにかがみ、悪の首領への忠誠の証に唇を付けた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


痴女―キズナレッドがきびだんごを口に入れた。
間もなく、総司令官様の忠実な下僕となるだろう。

(さて、次は…。)

次はパンダの怪物が捕まえているあの小娘だ。

足元の痴女は戦力になるから生かすと妥協しても、何の役にも立ちそうもない小娘は生かしておく必要はない。

痴女に再三、小娘を処分する様に説いていたが、時間を置けば、総司令官様はあの小娘までも仲間にすると言いかねない。

それは困る。
あの方に仕える女性は私一人のみ。
他の女は殺すか、洗脳し、捨て駒とする。

総司令官様の指示が出る前に――その前に首を刎ねる。

あの小娘が戦力にならない事は、目に見えて分かる。

殺した後なら、いくらでも言い訳が思い付く。

そう考えた後、目にも止まらぬ速度で、小娘の前へ来る。

後は首を刎ねるのみ――。

その時だった。

緑色の電撃が私とパンダさんに降り注いだのは。

「あ~。」

衝撃でパンダさんは小娘を抑えていた手を離してしまう。

「だ、誰!?」

辺りを見渡すと近くの民家の屋根に人影が見えた。

「トゥ!!!!!!」

掛け声と共に、その人影が降りてくる。

その人物は全身が緑色で昆虫の様な触覚が頭にあり、脇腹には虫の様な脚が存在していた。

まるで人間と昆虫を組み合わせたその化け物は 小娘を守るかの様に私の前に立ち、ハッキリとした声を出した。

「悪い奴は許さない。」

異様な外見に加え、リュックも無く、手にはレジスターも令呪もない。

―それは明らかに参加者ではない、本来主催の手駒である筈のNPCモンスターであった。

(何故、NPCが参加者の味方を!?)

チラリと小娘に目をやる。
彼女は怪物が助けに来たのが信じられない様子だった。
此方のパンダさんと違って、洗脳されている訳ではないようだ。

だが問題はない。
新たに配下になったキズナレッドを向かわせればいい。

キズナレッドもそれに応えるかの様に立ち上がり、落ちていたセーラー服を拾う。

「キズナレッド!!貴方も総司令官様の下僕になったのなら、コイツを…。」

言い終わる前に、私の顔面に何か生温かいモノがかかる。

下を見ると唾液の付いたきびだんごが落ちていた。

キズナレッドはきびだんごを口に含んだものの、飲み込まず、乱入者が来て幸いと吐き出したようだ。

「人衣絆創――」

「――神衣鮮血!!!!!」

キズナレッドは変身し、乳房の露出した痴女の格好になる。

「この痴女が…!!素直に総司令官様の奴隷になれば良いものの…!!!!!!」

怒りの余り、手に持った総司令官様の杖を落としてしまう。

「落ち着け、奴は手負いだ。」

激昂する私に対し、後ろから総司令官様が落ち着いた声で助言を送る。

私はその声で冷静になる。

彼女は私に対し、戦闘の構えを取る。
今度は二段階目の変身は行わないようだ。
私は宙より、大鎌を生成し、戦闘に備える。

「その《鮮血》の説明文も読んだが…、生物の血液を必要とする欠陥品だったな。
2度の欠陥品に続き、動向者が無力な小娘では先が思いやられるな。」

「勝手に欠陥品と決めつけるなよ…!皆の、《絆》の力を見せてやる…!」

相手が何かをほざくが私に―、私達には関係がない。

私と総司令官様には唯一無二の力―

《愛》があるのだから。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◆◇◇◆◆◇◆◇


一方、《鉄人兵団》の一員であるシャチパンダヤミーは、乱入して来たNPCと対峙していた。

「あ~。」

「悪い奴は許さない。」

この殺し合いで初めてのNPC同士の戦い。
そして、説明は後になるが、これは同族同士での戦いでもあった。

シャチパンダヤミーは右手の爪を伸ばし、攻撃を仕掛ける。

対する緑色の怪人は避けて、反撃の糸口を伺うが相手にその様子は見えない。
逆に少しずつ爪の切っ先が当たり始めた。

ならばと怪人の方は、触覚から電撃を出し、相手と距離を取ろうとするが、相手も空中から回転するヒレを繰り出し、電撃を弾いてしまう。

シャチパンダヤミーの技の威力や体術等はロボ子と戦った時より上がっていた。
長く女性を抱き、体内のセルメダルから得る力は膨大。
緑色の怪人は灯悟達の助太刀に来たものの、なす術のない状態であった。

「あ~。」

パンダの怪物は大きな頭を、緑色の怪人に押し付け、後退させる。
その際にすかさず、右手の爪を怪人の脇腹に刺す。
また頭上から、鋭利なヒレを召喚し、両肩に刃を喰い込ませる。

「ゔぅ…。」

怪人は脇腹や肩の傷口から硬貨の様な物をこぼしながら、後退する。
膝さえつかなかったものの、負傷は酷く、立っているのもやっとの様子だった。

浅垣灯悟の様子も悲惨な物であった。
ロボ子の尋問による怪我と総司令官の言葉責め。
精神と体力を消耗した状態では、先程とは違い、明らかにロボ子に押されていた。

「さっきの勢いはどうしたのかしら!」
「くっ…!」

鮮血も拷問による体力の消耗を察して、血液の摂取を余り行わなかった。
また絆エネルギーが少なく、キズナレッドへの変身も行えない。
それが戦闘力の大幅な減少を招いていた。

緑色の怪人もパンダの怪人に押されて、テーブルの近くへと倒れ伏す。

「虫さん!!!!!」

今迄は戦闘の恐怖で動けなかったが、身体の自由を得たマコは辺りを見渡す。

幸いな事に総司令官の視線は、浅垣灯悟の方へ向けられていた。

また彼は自身の杖を回収する為、ロボ子側へ動いていた為、テーブルからも多少の距離が出来ていた。

マコは駆け出し、テーブル上のリュックから、最後の支給品を取り出し、怪人に駆け寄る。

「お願い、虫さん!レッドさんを助けて!!」

マコは支給品のスイッチを押すと緑色の怪人に押し付ける。
すると、支給品は怪人の身体に入り込み、次の瞬間黒い影が怪人を包んだ――。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ハッピー・バースデイ!新しい■■■■の誕生だ!!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


――黒い靄が晴れ、緑色の怪人が立っていた所に三色のヒーロー、いや新たな怪人が立っていた。


鷹のような鋭い瞳に嘴。
虎のような長く鋭い爪。
飛蝗のような筋肉質の両脚。


そこにはそれぞれの動物の力を模した存在、《仮面ライダーオーズ》が居た。


――正確には、それはオーズではない。

アナザーオーズ。

タイムジャッカーという時間を操る者達によって、本来の変身者からオーズの資格を取り上げ、別の人物に無理矢理資格を与えた、英雄を否定した怪人であった。

最後の支給品の名は《アナザーオーズウォッチ》。
タイムジャッカーが使うライダーの力を奪い、分け与える道具である。

「最後の支給品か。私とした事が見物などせずに、最初に取り上げればよかったな。」

流石に総司令官は気付き、杖を構え、自身も参戦しようとする。

「あ~!あ~!」

その前にシャチパンダヤミーが動き出す。

「ほう、獲物を私に取られたくないか。全く血の気の多い手下共よ。」

軽口をたたきながら、総司令官は再び傍観に入る。

アナザーオーズとなった緑色の怪人は再度パンダの怪物と向き合う。

「あ~!!」

シャチパンダヤミーにとっては姿は違えど、元々の敵である《オーズ》との邂逅。

意志はなくとも容赦する事はなく、空中からのヒレの乱射で、仕留めようとする。

「トゥ!!!!」

オーズの名を持つ怪人は、空中に飛び上がった後、鋭利な爪でヒレを一つずつ落としていく。

パンダの怪物は、地上で迎え撃とうとし、右手の爪を伸ばすが、相手は地に足が付いたと同時に跳躍し、敵との間合いを詰めさせない。

アナザーオーズの下半身は昆虫である。
緑色の怪人にとって、慣れた足技で相手を翻弄する。

「悪い奴は⋯許さない。」

今度はオーズから仕掛ける。

跳躍を続け、相手の間合いを詰めていく。
そして、虎の鋭い爪で相手の身体を抉っていく。

「あー!あー!」

アナザーオーズの俊敏性は、シャチパンダヤミーのトリッキーな動きを封じ、防戦一方にしていた。

偽りの王の爪が動く時、パンダの怪物のメダルの鎧が少しずつ剥がれていく。

防戦だったレッドも助っ人の―アナザーオーズの善戦の様子を見て、希望の光を見出す。

―しかし、その希望を破壊せんと、戦闘中のキズナレッド達の背後から、数発のミサイルが飛んでくる。

反応が遅れたキズナレッドは躱しきれず、何発かの攻撃を受けてしまう。

「ぐはっ!!」

地に倒れる赤い戦士。

ミサイルは続けて発射され、今度は満艦飾マコを狙う。

「やめろ!!!!!」

ダメージを受けたキズナレッドはすぐに立ち上がれない。

しかし、隣のアナザーオーズはその跳躍を生かし、マコとミサイルの間に滑り込む。

そして―その身全てにミサイルの集中砲火を受けた。

「お前⋯!!」「虫さん!!!!!」

ミサイルの直撃を受けたアナザーオーズの変身は解除され、元の緑色の怪人がマコの前に横たわる。
側にはカランと《アナザーオーズウォッチ》が転がる。

「すまんな、伏兵が一人とは言ってなかったな。」
悪ぶれもなく、総司令官は言葉を発する。
キズナレッド達の背後からブリタニア帝国最強のナイトメアの一角、《パーシヴァル》が現れる。

市街地に入る前、総司令官は自身の支給品《サイコントローラ》で《パーシヴァル》を遠隔操作し、シャチパンダヤミーと行動を共にしていた。

そして、頃合いを見て、シャチパンダヤミーをマコの背後に回る様に誘導し、パーシヴァルはロボ子とシャチパンダヤミーが敗北した時の為に、隠していたのだ。
ハドロン砲を使わず、ミサイルで攻撃したのは浅垣灯悟を生かして手に入れる為であった。

「さて、貴様の手札は尽きたようだな。
これが最後の機会よ。我が《鉄人兵団》に加われ。
今なら、その小娘と虫ケラの狼藉も許してやろう。寛大であろう?」

寛大とは程遠い、傲慢な物言いに正義のヒーローが首を縦に振るはずもなかった。

再び、負傷を押して立ち上がり、悪の首領と対峙する。

「その心意気は良いな。…私自ら、最後の兵団の入団試験をしてやろう。」

総司令官は《パーシヴァル》を自分の側まで移動させるとそれを纏い、自身の杖を赤い戦士に向ける。

今度こそ、勝たなければ。
鮮血も、あの善良なNPCも、そしてマコも終わる。
こうなったら令呪を使うしかない。
最悪の場合、ここで全部使い切る。


命を掛けても――。

キズナレッドが死を覚悟して戦いを臨もうとした―


―その時だった。
地面が大きく揺れたのは。

「な、何だ!!」

「地震か!?こんな時に……。」

地面からの大きな振動に両陣営とも動きが止まる。

そして――、轟音がその場を支配した。

「み、見て!!お城が!!!!!」

マコが、街の外れを指差す。

そこにはコーカサスカブト城が立っていた。

しかし、その外装には火の手が上り、外から見える窓は全て溶け落ちていた。

そして――、彼らは、見た。

荘厳な城が頂上から崩れ、倒壊する様子を。

その後―、爆音と共に、強風が両陣営に襲いかかる。

「おのれ…!!」「きゃあーー!!!!!」

総司令官は杖を、ロボ子は鎌を地面に突き立て、耐えようとするが勢いは凄まじい。
まるで台風の中に放り込まれたようだ。

「あー!あー!」

その時、総司令官の目に、地面に爪を立てて耐えるシャチパンダヤミーの姿が映った。

「クマ化の下僕よ!!ロボ子を抱け!!!急げ!!!!!」

「あー!!!!!」

欲望の力か、シャチパンダヤミーは這いつくばった姿勢でも素早くロボ子に辿り着いた。

「総司令官様!何を……キャア!!!」

ロボ子を抱くシャチパンダヤミー。
すぐに体内にはメダルが生成される。

「そのまま、背中を風の方に向けろ!!ロボ子も出来るだけ弱い力で抱け!!!」

総司令官の指示に従うシャチパンダヤミー。
メダルの重さで風除けが出来、総司令官は影に隠れる。

「……総司令官様の為のこの身体……、二度も三度もケダモノに………。」

何やらロボ子がブツブツ言っているが、取り敢えずは耐えれそうだ。



一方、キズナレッド側は《鉄人兵団》側より余裕がなかった。

戦闘によるダメージで、浅垣灯悟の身体は限界であり、
鮮血共々、最早動けない状態であった。

と、同じく負傷し動けない筈の緑色の怪人が何とか這って、マコを抱き締める。
そのまま激しい爆風の中、キズナレッドにも近づき同じく抱き締める。

「やめろ⋯、やめてくれ⋯。」

思い人の二階堂天理の件も含め、庇われる行為に良い思い出のない浅垣灯悟はそれを拒絶する。

しかし、緑色の怪人はそれに構わず、強く力で抱く。

「悪い奴は、許さない。」

瞬間―緑色の怪人の重量が増え、シャチパンダヤミーと同じく、自らを風の盾としていた。

(奴も女を抱くと体重が増えるのか?)
(…なんて嫌らしい種族…。)

総司令官とロボ子も横目で彼等の様子を見るが今は構っている場合ではない。

その場にいる者達はただ風が止むのを待った。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


キズナレッド―浅垣灯悟は裸体のまま、拷問を受ける以上に恥辱を感じていた。

誰も倒せず、何も守れない。

ヒーローとして失格な行為を続けた自分。
それに対し、緑色の怪人はマコや自分を守り続けている。

己の無力さ、不甲斐なさを感じながら、押し潰されそうな心で暴風に耐えていた。


◆◇◇◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆◇◇


数分間、彼等は地に伏せ、風が止むのをただ待った。

ある程度、爆風が落ち着き、顔を上げると城のあった所には爆煙が立ち昇っていた。

周りを見ると爆風により、幾つかの民家・建物は倒壊し、見るも無残な様子になっていた。
辺りの乗用車はあちらこちらに飛ばされ、ファミレスも鉄骨が残るだけの無残な様子となっている。

誰もが動けない中、最初に言葉を発したのは総司令官だった。

「……撤退だ。早くここから離れるぞ。
城を破壊した連中が此処に来るかも知れん。」

「…は、はい。」「あー…。」

機械の軍隊の長はそう言うと、二体の配下と共に城の反対側へと進む。

「……ま、待て。」

浅垣灯悟は彼らを呼び止める。
それに応えるかのように総司令官は足を止める。

「……娘、いや、《キズナレッド》よ。貴様を“英雄”として認める訳にはいかんが優れた“戦士”としては認めてやろう。
そして忠告だが、あの城には近付かん方がよかろう。
無論、生存者もいるかも知れん。しかし、あの爆発ではまともに動ける者はおるまい。
負傷者の様な足手まといを庇うと貴様も羂索に名前を呼ばれる者の中に入るぞ。」

「な!?」

「そして、意地をはるな。
先程の食物を食べずとも、私と手を組む事が生存率を高める事になる。
私が唯一認めた“英雄”にも言ったが、我が《鉄人兵団》への入団、気長に待っているぞ。
……出来れば、そこの役立たずを自らの手で“処分”している事を願うがな。」

その言葉と共に、部下を引き連れ、機械の軍隊の長はその場を離れた。

対するヒーローは何もせず、立ち尽くしていた―。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


数分後、キズナレッド一行は近くの民家にいた。
いや―、民家だった廃屋にいた。

皆、手負いの為、その場を動けなかった。
城の倒壊から数分間は警戒したが、城の方角から危険人物は来る事はなく、怪我の手当てと休息の為、ある程度形を残した近くの民家へと移る事にした。
皆を救った緑色の怪人も着いてきた。

「取り敢えず、悪の組織の人達から助かって良かったね。
でも、お城を壊した人達もいるし、もっと強い仲間を集めないと。」

マコは再度、《キズナブレス》を介して鮮血と会話を行う。
灯悟の方は、疲れたのか壁にもたれ掛かって、座り込んだままだ。

『仲間…、私は総司令官の話にあった奴の世界の“英雄”が気になるのだが…。』

異世界の侵略者、宇宙規模の軍隊・鉄人兵団。
数万の軍勢と一人で対峙した存在。
本当なら、まさしく《英雄》に値するが…。

「でもその人、子供を戦わせて相手の戦力を削っていたんでしょ?そんなずる賢いタヌキみたいな人と組んだら、私達なんかあっという間にボロ雑巾みたいに使われて捨てられちゃうよ。」

『しかし、それはあの男、総司令官の話だ。嘘を付いているとも…。』

「そんな風に見えなかったけどなぁ。」

実際、嘘は付いてないのだが、敵からの視点で見え方が違う事に、この場の人物達は気付いていなかった。

『…ところでマコ。自販機の事だが、先程のパンダの怪物やこの虫の怪人が負傷した時に出て来たメダル…。ひょっとして、あれが使えるんじゃないのか?』

鮮血は移動の際に拾った数枚のセルメダルを見せる。

「ないない。そんな出来の悪い二次創作じゃなんだから、都合の良い事なんて起きないよ~。」

『ん、そうか…?しかし、試しに使ってみてもよいのでは?どう思う、灯悟――。』

と頭上の赤いヒーローに呼び掛けて気付く。

その瞳が何も映ってなく、真っ暗な事に。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◆


キズナレッド、浅垣灯悟は失意の中にいた。

ロボ子の拷問の傷も痛い。
しかしそれ以上に総司令官の言葉の刃がキズナレッドの臓腑に突き刺さっていた。

この殺し合いで誰も犠牲にせず、戦えない者を守ってみせる?
馬鹿な事を。
―既に犠牲は出ているのだ。

最初の広間での二人の見せしめ。
市街地にて総司令官と配下のロボットが持っていった遺体。
そして、目の前で起こった城の爆発。
これで何人亡くなっただろうか。
―彼らはもう大切な人と“絆”を紡ぐ事は出来ない。

分かっていた。
自分は何も守れていない。
殺し合いを破壊するどころか、今の所、羂索やクルーゼの目論見通り、殺し合いは進んでいる。

総司令官との戦いでも、自分は役立たずだった。
決して判断を誤らなければ、勝てる筈だったのに。
自分達が生きているのは、善良なNPCがいたからだ。

奴の―総司令官の言う通りだ。
自分一人で、全ての人間を救う事は出来ない。

なら、参加者の事は諦め、主催陣を倒す事に専念すべきでは――。



「レッドさん…。ダメだよ、そんな顔しちゃ。」


ハッと我に返る。
目の前には不安そうなる顔をしたマコの姿があった。

「今のレッドさん、あの“そーしれーかん”と一緒。皆を助ける事を諦めて、脳ミソの人を倒す事だけを考えている。」

「大丈夫。今、殺し合いに乗っているのは元の世界でも悪かった人だけだよ。
…でも、こんな事が続いたら、他の参加者も悪い人達に騙されて、殺し合っちゃう。
そうなったら、例え脳ミソの人達を倒しても、悪い人ばかりが生き残っちゃうよ。
レッドさんはそんな人達を助けたいの?」

善人を見捨て、悪人を見逃す?
そんな事は許されない。
許してはいけない。
弱者が泣き、悪が笑う。

そんな光景をなくす為にヒーローになったのではなかったのか。

だとしたら、危うく間違いを犯す所だった。
ヒーローの目的は相手を倒す事じゃない。
人々を救う事だ。

マコや助けを求める人々を救えないのなら、キズナレッドを辞めてもいい。

これがただの開き直りと後ろ指を刺されてもいい。
偽善と嘲笑されても構わない。

大切な物を―《絆》を守る為に、俺はヒーローになったんだ―。

「それと、ごめんなさい。私がお城に行きたいって言わなかったら、レッドさんはこんな目には…。」

「気にするな。お陰で《鉄人兵団》という危険人物達な情報も手に入れて、城を爆破出来る様な参加者も居る事も分かった訳だしな。」

謝るマコを慰める浅垣灯悟。
その顔は先程と違い、晴れやかであった。

『…どうやら、立ち直ったようだな。』
鮮血も灯悟の変化に気が付く。

「ああ、お陰で……、




俺は男を辞める決心が着いた。
俺は……、制服の似合う女子高生になる!!」





「え!?」
『何っ!?』
「悪い奴は許さない。」



レッドの言葉に三者三様、様々な反応を見せる。

一般視聴者やスポンサーからは苦情が来るであろう男児向けヒーローによる突然の大幅な路線変更。
その場にいる意思ある者達は唖然とする。

『灯悟、まさか、あの食物を口に含んだ副作用が…。
悪には堕ちなかったが、雌には堕ちていたのか…?』

「レッドさん、拷問を受け過ぎて、目覚めてしまったの!?
ダメだよ!心まで女の子になったらイドラさんはどうするの!?」

男らしいヒーローの鏡の様な人物の衝撃発言に動揺する一人と一着。
彼らはヒーローの望まぬ方向への【覚醒】を止めようとする。

「ああ、違うんだ。俺は心の中まで女の子になりたいんじゃない。
……正直、俺はこの身体になった事を恥ずかしいと思っていた。でも一番恥ずかしいのは、ここにいる参加者を守れない事だと気が付いたんだ。
もう男の衣類や下着にも拘らない。
鮮血を使いこなす為に…、制服の似合う女の子になる。
だから…、新たな戦力になるアイテムが見つかるまで、俺はこの身体で―鮮血と共に戦うよ。鮮血との絆も大切にしたいしな。」

『灯悟…。そこまで私の事を……!!!!』

(大丈夫?目覚めてる?目覚めてないよね?)

感涙する鮮血に対し、複雑な表情を見せるマコ。

「それに…、俺はコイツとも絆を育みたい。」

灯悟の視線の先には、アナザーオーズ――に変身していた緑色の怪人の姿があった。

「お前のお陰で皆は助かった。感謝してもしきれない。…ありがとう。」

「悪い奴は許さない。」

礼を言う灯悟に対し、同じ言葉を繰り返す緑色の怪人。

「…きっとこの人も、元の世界ではヒーローだったんだよ。だから、NPCになって自我を失っても皆の為に戦ってくれるんだよ。」

マコはそう話すと、緑色の怪人を変身させた《アナザーオーズウォッチ》に目をやる。

「ねぇ、この人の名前が分かるまで、この支給品の名前をもらって、《仮面ライダーオーズ》って呼ばない?」

「オレは賛成だ!コイツは誰よりもヒーローらしい行動をとったんだ。それに合った名前があって当然だ!!」

『確かに⋯、名無しというのも呼びにくいしな。私は構わないが。』

「みんな、ありがとう!今から貴方の名前は《仮面ライダーオーズ》だよ。よろしくね!オーズさん!!」

「悪い奴は許さない。」

喜んでいるのかは分からないが、緑色の怪人―、《仮面ライダーオーズ》はマコの言葉に答える。

一息つき、浅垣灯悟は周りを見渡す。

マコに鮮血、そして自分。
皆、生き延びた。

そして新しい仲間に、善良な―いや、《正義》のNPC・仮面ライダーオーズが加わった。

彼と《絆》を築いていけば、きっと多くの参加者を救え、主催も倒せるだろう―。

浅垣灯悟――キズナレッドは殺し合いの中で出会った《英雄》に感謝をしていた。



【E‐4/市街地の民家/ 9月2日午前7時50分 】



【浅垣灯悟@戦隊レッド 異世界で冒険者になる】
状態:女体化、ダメージ(大)、精神的なダメージ(大)[若干、回復。]、右乳首欠損、若干の火傷
服装:鮮血@キルラキル
装備:キズナブレス@戦隊レッド 異世界で冒険者になる
令呪:残り三画
道具:ライドベンダー@仮面ライダーオーズ/OOO、なんでもそうじゅう機(飛行機タイプ)@ドラえもん、セルメダル数枚@仮面ライダーオーズ/OOO、ホットライン
思考
基本:皆の絆を断とうとする主催陣営を倒し、殺し合いを止める
01:マコや《仮面ライダーオーズ》と共に行動する。彼等との“絆”を深めたい。
02:イドラやマコの仲間と合流する。または、殺し合いに反対する者達と“絆”を紡ぐ。
03:衣類には拘らない。俺はヒーローとして、《鮮血》と絆を深める為に、女子高生になる!
04:もしイドラが自分の知らない場所で死んでしまった時は……
参戦時期:少なくともキズナレッド・バースとの交戦前
備考
※女体化した後の外見はキズナレッド・バースの一人である浅垣灯子と酷似しています。
※元着ていた服はドラゴンに燃やされました。
※女体化している時のみ、鮮血を装備できます。
※情報交換し、キルラキル世界の事を多少知りました。
※纏流子を味方で、鬼龍院羅暁を危険人物と認識しています。
※総司令官と配下のロボ(ロボ子)、パンダの怪物を危険人物と認識し、警戒。
※ロボ子はファイティングジャッカルレイダーに変身していたので、外見を知りません。
※総司令官の語る“英雄”は、ずる賢いタヌキで『子供を駒にする危険人物』と思っています。


【満艦飾マコ@キルラキル】
状態:膝に擦り傷、軽傷(ヤミーに抱き締められた時のもの。)
服装:セーラー服
装備:ころころダンジョくん@Toloveるダークネス
令呪:残り三画
道具:アナザーオーズウォッチ@仮面ライダージオウ、ホットライン
思考
基本:殺し合いなんて間違ってるよ!
01:レッドさんと《仮面ライダーオーズ》さんと共に行動する。
02:流子ちゃんやイドラさんと合流する。
03:レッドさん用の服は…探さなくていいの?
レッドさん、“目覚めて”ない?
参戦時期:少なくともカバーズから救出された後
備考
※名乗った時などに背後に現れる文字は誰からも視認できます。
※キズナレッドの世界の事や転生した異世界の事を灯悟から教えて貰いました。(理解しているかは分かりません。)
※そーしれーかんと配下のロボ(ロボ子)、パンダの怪物を危険人物と認識し、警戒。
※ロボ子はファイティングジャッカルレイダーに変身していたので、外見を知りません。
※そーしれーかんの語る“英雄”は、ずる賢いタヌキで『子供を駒にする危険人物』と思っています。

[鮮血(意志持ち支給品)@キルラキル]
状態:中度の損傷(再生中)
思考
基本:仲間と共に殺し合いの打破。
01:灯悟やマコを導き、共に戦う。
02:流子と合流したい。
03:総司令官の世界の“英雄”は本当に危険人物か?
04:《仮面ライダーオーズ》…。信用出来るのか?
※キズナレッドの世界の事や転生した異世界の事を灯悟から教えて貰いました。
※総司令官と配下のロボ(ロボ子)、パンダの怪物を危険人物と認識し、警戒。
※ロボ子はファイティングジャッカルレイダーに変身していたので、外見を知りません。
※総司令官の語る“英雄”の『危険人物』と言う話を疑問視しています。


◇◆◇◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


何処かで赤い鳥が泣き、悪が嗤った―。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


傷心から立ち直った浅垣灯悟は気付かない。

己の変身アイテム―【キズナブレス】の絆エネルギーが増えていない事に。

――《仮面ライダーオーズ》に絆の力を感じない事を。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇


灯悟もマコもお互いにいがみ合った者や敵を仲間にして来た経験があった。
彼らの中に、殺し合いに乗った者や意思のないNPCモンスターでも仲間に出来るという思いが少なからずあった。

また、何度も助けてくれた《オーズ》に対し、ヒーローに対する“憧れ”がなかったとは言えないだろう。

しかし、現実はそう甘くなかった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


憧れは理解から最も遠い感情だよ――

               藍染惣右介

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ヤミー。
それは人間の欲望から生まれた怪物。
その存在は親であるグリードと呼ばれる怪人の為に、宿主となった人間の求める欲望を集め、体内でセルメダルに還元し、グリードに献上する為にある。

アナザーオーズに変身している個体――その名はバッタヤミーという。

バッタヤミーの集める欲望は《正義》。

マコや灯悟を助けたのは善意ではない―、
全ては欲望の為、セルメダルを増やす為である。
無論、NPCに意志はない。
しかし、ヤミーとしての“習性”が人助けを行えば、メダルが増えるという事を理解しており、それを行わせているのである。

そして、ヤミーには本当の意味での【正義】は理解出来ない。

例えば、善良な者が殺し合いに乗った者から身を守る為に誤って相手を殺してしまった場合。

または生者が生き残る為、死者からリュックを許可なく拝借する場合。

普通なら状況を見て善悪を判断するが、バッタヤミーは正しい判断が出来るのであろうか。

前者なら『殺した』、後者なら『盗んだ』事を引き金に善良な者にも危害を加えるのではないだろうか?

何故ならヤミーは《欲望》で動く。
バッタヤミーにとって己が《正義》を行ったという【欲望】が満たせれば、本来の善悪等どうでもよいのである。

――そして

満艦飾マコは気付かない。
オーズという名をヤミーに上げる事がその名の《英雄》を否定する事に。

浅垣灯悟は気付かない。
その名を渡す事で、彼と共にした鳥の王との《絆》を壊す事に。




〈バッタヤミー(NPCモンスター)@仮面ライダーオーズ/OOO〉
状態:中度の負傷(“正義”の欲望を叶えた事で少し回復)
服装:裸
思考(自我はなく、欲望で動く。)
基本:“正義”を行う。
00:悪い奴は許さない。
01:悪い奴は、許さない。
02:わるいやつはゆるさない。
備考
※「悪い奴は許さない。」としか喋れません。
(「トゥ!!」は掛け声です。)
※欲望を満たすと、身体を構成するセルメダルが増え、怪我の修復や、技の強化に繋がります。
※行う“正義”は主観による物で、それが本当に正しい事かは考えません。
※場合によっては度が過ぎた“正義”(暴力)を行う事があります。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「では、奴は羂索の支配下から逃れ、参加者を守ったわけではないと?」

市街地から離れながら、総司令官は自らの推測をロボ子に話していた。

「そうだ、考えても見ろ。
終盤ならまだしも殺し合いの序盤であの様なイレギュラーが出るのはおかしい。
また後の事を考えると主催にとって、反抗的な強者を最後に残したくない筈だ。
なら、NPCによる適度な介入を行い、意図的に弱者を残す様に仕向けてもおかしくはない。
私の予想では奴は弱者のグループに入り込み、頃合いを見て、本性を現す事だろう。」

「それでは、主催の言っていたNPCには意志が無い話と矛盾しませんか?
また主催側が介入を行えば、全うな殺し合いでの“優勝者”は出てきませんが…。」

「主催の話す事を全て信じるのは愚かな事よ。
またNPCに意志がなくとも、条件を満たせば裏切る様に設定すれば問題はない。
…私は恐らく主催陣は優勝者を出すつもりはないと考える。
先程の爆発、参加者の能力か支給品の力かは分からんが、各々の力量に差があり過ぎる。
これでは一人の参加者に数十人が虐殺されてもおかしくはない。
だが、その事にも意味があるのだろう。
奴らにとって我々は『実験動物』だ。
奴らがこの殺し合いを開いたのは、“最強の個人を決めたい。”のではなく、“殺し合いで奴らに得られる物”があるからではないかと私は考えている。“参加者の戦闘データの入手”か、それとも“支給品の性能を確かめる為”か、それ以外の目的かは分からんがな。」

「それでは、あの女と小娘は…、少なくともキズナレッドの方は主催のスパイにいずれ裏切られ、命を落とす可能性があるという事ですね。」
と何故か嬉しそうに話すロボ子。

「ふん…。奴が、あの虫ケラが英雄かどうかの【真贋】を見極められねば、そうなるな。」

そこで機械の軍隊の長は言葉を切る。

(そう、ここで死ぬのならそこまでの事…。)

総司令官は後ろを振り返り、今はなきコーカサスカブト城があった位置を見る。そこではまだ空高く煙が立ち上っていた。

(最初の邂逅…、あの“地球のロボット”は私の後から来ていただろう…。
位置的にあの城へ先に行き、今の爆発に巻き込まれた可能性があるな…。)

これほどの爆発、巻き込まれれば、普通なら一溜りもなく命を落とすであろう。

(だが奴は、我が鉄人兵団での戦いでも幾度の窮地に陥った筈だ。それを生き延びた。
…奴は“英雄”だ。
同伴していた人間の軍人は駄目でも、あ奴は生き延びているかも知れん。
……いや、必ず生きている!!)

総司令官はロボットに相応しくない感情的な思考を巡らせる。

(“地球のロボット”よ。
私は自身の安全を確保しなければならん為、城には行かんが、同伴者がいなければ我が元に来い。
……全く、人間を守る等、不可解な行動をしよって…。
直接何体手をかけたのかは知らんが、貴様の策で我が兵団員をとうに百五十体以上破壊しているではないか…!
貴様がその気になれば、この場にいる有象無象等、自由に操り、好きに殺す事も可能であろうに…。
同族は殺し、他種族は生かす等、通りが通らぬ!
私の“英雄”よ…。人間との“絆”を捨てろ。そして、メカトピアの…ロボットの“正義”に従うのだ!!)

機械の軍隊の長は、自身の唯一の“英雄”に対し、生存の望みと憤りを見せていた―。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


本格的な殺し合いが始まって、間もなく2時間。

参加者達はそれぞれの《英雄》を求め、
他者との《絆》を育み、
各々の《正義》を実現しようとする。

しかし、彼らは忘れていた。

他者を蹴落とし、自らの生存が優先される
このバトルロワイアルにおいては、

《英雄》の称号は無価値に等しく、
《絆》はいずれ破壊され、
《正義》は存在しないのだから。


【E‐4/市街地の外れ/ 9月2日午前7時50分 】

【総司令官@ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団~はばたけ 天使たち~】
状態:正常(爆風により、ボディに若干の傷あり)
服装:ロボットなので服は着ない
装備:総司令官の杖@ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団~はばたけ 天使たち~
令呪:残り三画
道具:パーシヴァルの起動キー、サイコントローラー@ドラえもん のび太と鉄人兵団、桃太郎印のきびだんご〔50個入り〕(残り43個)@ドラえもん、純生石油十億年物@ドラえもん のび太とブリキの迷宮、ホットライン
思考
基本:元の世界に戻り、地球人の奴隷化計画を進める。
00:戦力を集め、羂索を打倒する。
01:ロボ子と共に使える者を探す。他の参加者に配下に加わらないか交渉する。また人間なら奴隷として使役する。
02:交渉が決裂、もしくは出来ない場合、きびだんごを食べさせ、洗脳する。NPCモンスターでも使えそうならきびだんごを食べさせる。
03:“バグスターウィルス”を調べる為、市街地にて回収した遺体(渋井丸拓男)の解剖及び腕のレジスターが外れないか確かめる。
出来れば、専門の医師・技術者を探したい。
04:地球のロボット(ドラえもん)の腕を買っている。出来れば仲間にしたい。大爆発の中でも生きていると信じたい。
05:ロボ子の忠誠心が高い事を気に入る。これからの働きに期待する。
06:キズナレッドは“戦士”として使えると判断。“緑色の怪人”に騙されない事を願う。
参戦時期:鉄人兵団の援軍が来て、ジュド(ザンダクロス)やドラえもん達を圧倒していた所から。〔消滅前〕
備考
※将来、鉄人兵団が消滅する事は知りません。
※様々な世界から参加者を集めたとは知らず、ナイトメアフレームの事を元々のドラえもん世界の物だと思っています。
※ロボ子に自分が見た殺し合いの開幕から、カラレスを殺した事までを話しました。
※ドラえもんの名前を知りません。
※ロボ子の本性を知りません。
※シャチパンダヤミーの特性を知りました。
また、羂索が作ったものと勘違いしています。
※羂索の事を寄生生物と思っています。
※浅垣灯悟の事を元から女性だったと思っています。
※参加者に戦力差があるので、主催は“優勝者”を出すつもりはなく、殺し合いで何らかの“得るもの”(データ収集)を目的としているのではと考察しています。


[トモダチロボット ロボ子(意志持ち支給品)@ドラえもん]
状態:軽度の負傷
服装:ワンピース
装備:レイドライザー&ファイティングジャッカルプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
道具:カラレスのホットライン、セルメダル約50枚(シャチパンダヤミーの身体から出た物)@仮面ライダーオーズ/OOO、桃太郎印のきびだんご(5つ)、P90@現実、渋井丸拓男の遺体@DEATH NOTE(上半身と下半身に分かれている物をゴミ袋に包んでいる。)
思考
基本:総司令官に従い、配下を集め、羂索率いる主催陣を討伐する。
00:総司令官様を慕う。どんな事でも従う。
01:総司令官の指示ではないが、女性の参加者を排除する。
02:地球のロボット(ドラえもん)を警戒。人を騙すんだから、タヌキみたいな外見をしていると評しています。
03:キズナレッドという変質者を警戒。主催のスパイ(バッタヤミー)に殺されてほしい。
04:リルルへの怒り。総司令官様を裏切ったクソ女を八つ裂きにしたい。
参戦時期:ドラえもんがロボ子をレンタルする前。
備考
※総司令官から、殺し合いの開幕から、カラレスを殺した事までの話しを聞きました。
※また名前は知りませんが、ドラえもんと卜部巧雪の外見の情報を総司令官から教わりました。
※総司令官はリルルの裏切りでのショックを引きづっていると思い込みました。
※思い込みで勝手な行動を取る事があります。
※シャチパンダヤミーの特性と女性に執着がある事に気付きました。
※浅垣灯悟を女性になりたい願望のある変質者と思っています。


〈シャチパンダヤミー(洗脳されたNPCモンスター)@仮面ライダーオーズ/OOO〉
状態:中度の負傷(アナザーオーズ〔バッタヤミー〕との負傷)、きびだんごによる洗脳(洗脳解除まで、残り11時間10分)
服装:裸
思考(自我はなく、欲望で動く。)
基本:女性を抱き締める。総司令官に従う。
00:あー
01:あ~
02:あぁ―
備考
※「あ~」しか喋れません。
※欲望を満たす(〔殺すまでいかなくとも〕女性を抱く)と、身体を構成するセルメダルが増え、怪我の修復や、技の強化に繋がります。

【地図情報】

※【E‐4/市街地】にバッタヤミーとシャチパンダヤミーの体内から出たセルメダルが数十枚、浅垣灯悟が吐き出したきびだんご(一つ)が落ちています。


【支給品紹介】

【ライドベンダー@仮面ライダーオーズ/OOO】
2つの形態を持つライダーマシン。

一つは《マシンベンダーモード》と呼ばれる自販機偽装形態。
内部にはカンドロイドが各種収納されており、セルメダルを投入し、ディスプレイから目的のカンを選択する事でカンドロイドを排出。
(今ロワでは、カンドロイドが搭載されているかは次回の方に任せます。)

もう一つは《マシンバイクモード》と呼ばれる大型バイク形態。
《マシンベンダーモード》にセルメダルを投入し、中央部の黒い大型ボタン「マルチTaSセンサー」を押すことで変形出来る。


【なんでもそうじゅう機(飛行機タイプ)@ドラえもん】
レバー型の飛行機の操縦桿の様な道具。
これを取り付けたものを飛行機のように飛行させる効果がある。


【アナザーオーズウォッチ@仮面ライダージオウ】
《アナザーオーズ》に変身する為の道具。
本人か、他者にウォッチを埋め込む事で変身出来る。

《アナザーオーズ》
タカ・トラ・バッタの力を持った仮面ライダーオーズと同じスペックの怪人。

戦闘能力以外にも参加者やNPCに、メダルを埋め込む事で、《屑ヤミー》に似た怪人を使役する事が出来る。
《屑ヤミー》に似た怪人は戦闘力は無いが、強度が高く、変身させられた者は倒されるまで、解除される事はない。


【純生石油十億年物@ドラえもん のび太とブリキの迷宮】
正確には支給品ではなく、市街地のロボット専用レストランにある物。劇中では話だけ出ていた。
チャモチャ星製のロボット達には好評だが、メカトピア星製の総司令官には口に合わなかったようだ。



【NPCモンスター紹介】

《森の中の三匹の怪獣》

【強化地底怪獣エリマキテレスドン@ウルトラマンZ】
某怪獣王に似た怪獣の付けている襟巻きを着けた地底怪獣。

【ゴジロ@僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~】
某怪獣王に似たプロヒーロー。一応、怪獣ではない。

【暗黒種デーボス@獣電戦隊キョウリュウジャー】
某怪獣王とは関係ない。
デーボス軍の首領・デーボスが恐竜を滅ぼした時の姿。


【バッタヤミー@仮面ライダーオーズ/OOO】

司法試験の合格を目指す男性《神林進》の『世に蔓延る悪い奴を懲らしめたい』と言う欲望から生まれた昆虫系ヤミー。

始めはひったくりから鞄を取り返す等の善行を行っていたが、暴走族や悪徳政治家の賄賂等を取り締まる内に彼等に過剰な暴力を振るうようになる。

飛蝗の能力を生かした高い跳躍能力、頭の触覚からの電撃、ライダーキック(?)等の多彩な技を持つ。

042:三者三葉 投下順 044:命の冒涜者
036:白のキングはまだ見えない 時系列順 028:痛み が 重なったら/闇に光を、罪に罰を
016:アイのカタチ 総司令官 073:アナザーオーズ
シャチパンダヤミー
候補作137:既製品(レディメイド)な今日を脱ぎ捨てて キズナレッド 058:ファントムパレード(前編)
満艦飾マコ
GAME START バッタヤミー

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