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  • 真贋バトルロワイヤル
  • ファントムパレード(前編)

真贋バトルロワイヤル

ファントムパレード(前編)

最終更新:2025年06月04日 18:05

匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
「拙者が倒れても豊臣は不滅なり……!」
「わぁーったわぁーった。良いから死んどけって」

時代錯誤な相討ち覚悟を鼻で笑い、無慈悲な刃を振り下ろす。
見上げる程の大男と言えども肉体構造は人間のソレに変わりない。
首を刎ねれば生命活動も停止。
崩れ落ちた標的から興味無さ気に視線を外し、ざっと見回すと死体が複数転がっている。
軽装の鎧に刀や槍、時代劇の撮影現場でしかお目にかかれない恰好の骸だった。
これらもまたNPCの一種。
覇王率いる豊臣軍、或いは覇王亡き後に凶王が率いた石田軍の兵。
参加者として登録済の秀吉ならともかく、他の生者は等しく敵。
女子供だろうと見境なく襲う、まるでかの第六天魔王の軍勢の如き暴挙へ出た。
と言っても襲った相手は術師殺しの魔人。
文字通り千切っては投げであっさり全滅、残ったのは物言わぬ肉袋と粉砕された得物の数々。
その中で唯一、他とは明らかに違う長刀のみ。

「終わったか?」
「おう。この程度の連中相手なら追加料金は取らないでやるよ」

軽薄な笑みと共に言われた龍園は、不機嫌そうに舌打ちを一つ返す。
むせ返るような死臭が立ち込めており、意識せずとも険しい顔付きとなった。
NPCとはいえ見た目は人間。
カラスに突かれたゴミ袋の中身のように、血やら内臓やらが散乱していれば笑顔になろう筈もない。
今更この程度で怖気づく男でもないが。

レン達との情報交換を終えテレビ局に向かう道中、NPCの一団に襲われた。
起きたことを説明するならそれが全て、肝心の結果は見ての通り。
数だけ揃えた所でグラファイトやかの呪霊操術使い、若き最強に遠く及ばない連中へ遅れを取る訳がなく。
名だたる一騎当千の武将にも劣らぬ豪快さで、全滅へ追いやったのである。

「二人共ちょっといい、か……」

龍園に遅れる形で顔を出し、目に入った惨状へ姫和も顔を顰める。
刀使の活動を続ける中で時には「間に合わなかった」事態も無いとは言えず、凄惨な光景を見るのが初めてとは言わない。
しかし、進んで見たいかどうかは別。
死体へ興奮を覚える趣味は持ち合わせておらず、NPCだと分かっても良い気分にはならなかった。

「偵察に向かわせた玉犬が戻って来た。参加者を見付けたみたいだ」

今日初めて戦いの場に駆り出された少女でない以上、動揺も長続きはしない。
あくまでNPCと割り切り、途切れた内容の続きを伝える。
機動力を活かし攻撃へ用いる以外にも、玉犬の使い道は多い。
甚爾がNPCを蹴散らす最中、エリア内の探索を頼んでおいた。

「数は?」
「一人らしい。間違いないか?」

確認を取ると黒い毛並みを揺らし、肯定するように吠える。
働きへの労りを籠めて姫和に撫でられる式神を横目に、龍園は次の動きを即座に決定。
情報や交渉次第で武器の入手、若しくは相手との協力を得られる。
参加者との接触によるメリットは大きい。
「乗っている」側の可能性も考慮しつつ、無視する選択は最初からない。

「ああ待った、先にこいつを持っとけ」

出発前に甚爾から長刀を投げ渡され、チラと死体の山を見やる。
ルールにもあったドロップアイテムとやらか。

「お前の言う御刀とかってのじゃないようだがな。気に入らないなら突っ撥ねても良いぜ?」
「…いや、慣れた得物があるのは有難い。受け取っておこう」

鞘から抜き軽く振るうと、写シとは違うも力が漲る感覚があった。
加えて見覚えの無い技の出し方が次々に浮かび、ソードスキルの一種と驚かずに受け入れる。
刀使の術は使えずとも、やはり刀剣類が手元にあればやれることも多い。
これなら調伏の難易度もある程度下がり、時間を見付けて一気に手数を増やせるかもしれない。
慣れた得物を姫和が持つのには、龍園からも反論はない。

劇的と言うには大袈裟だが戦力強化は叶った。
後はこれから会う参加者がどう出るか。
式神の案内に従い、三人は骸に背を向け歩き始めた。


◆◆◆


どれくらい走ったか、城を逃げ出しどれ程経ったか。
そういったものを考える余裕は微塵もなく、焦りと恐怖に手を引かれさとうは駆ける。
持ち得る走力とスタミナの限界を超え尚も止まらない。
少しでも遠ざからなくては、一刻も早く見付けなくては。
逸る感情がさとうの中から疲労の二文字を消し去り、油をたっぷり差した歯車の如く動かす。

「……あっ!」

とはいえ、肉体的にさとうはどこまで言っても常識の範囲内を出ない。
誤魔化しは長続きせず、足がもつれアスファルトと顔が一気に接近。
咄嗟に手を突き出し転倒は防ぐも、思い出したように全身が重くなる。
制服の下に汗が浮かび、ベタつく感触が気持ち悪い。
はっはっと犬のような荒い呼吸を繰り返せば、喉が渇き水分不足を訴えて来た。

(落ち着かないと……)

突き付けられた疲労は無視できず、逸る心を幾分鎮める。
駆けずり回ってでもしおを見付けたいのに変わりはない、しかし体が使い物にならなくなっては元も子もない。
思うようにいかない現状へ苛立っても、しおがひょっこり顔を出す展開にはならない。
少しの間だけでも休み、息を整えねば。

民家の一つへ足を踏み入れ、無人なのを確認。
外から見られない位置へ腰を下ろし、ふっと息を吐く。
動悸の激しさも徐々に治まり、ややあって台所へ移動。
適当なコップに水を汲み口を付けると、一気に飲み干した。
自分で思ってた以上に喉が渇いていたらしく、二杯目も同様に流し込む。

「ふぅ……」

潤いを取り戻し小さく息を零す。
そのまま床に座り込んで、ぼんやり天井を見上げる。
ゆっくり自分の胸に手を当てると、一定の感覚で伝わる鼓動。
大丈夫、まだ生きている、しおを残して死んだりなんかしていない。
死んでもおかしくない目に遭ったが、そうはならなかった。
唯一無二の愛を奪われそうになった恐怖は、忘れたくても忘れられない。
けれど未遂に終わり、自分の瓶には甘い砂糖菓子が詰まったまま。
体だって散々弄ばれたけど、心は微塵も――


「……っ」

魔女の憎たらしい笑みが浮かび、歯をキツく噛み締める。
あの女はここにいない、自分の体に触れていない。
しかし一度与えられた快楽は、心で拒否しても体には染み付いてしまった。
既に感度上昇の魔具は取り除かれたというのに、下着で隠した箇所が疼く。
胸の突起は硬く尖り、内から熱が漏れショーツの色を濃くする。

「最悪……」

吐き捨てても快楽の残滓は纏わり付き消えない。
羽毛で優しく撫でられるような、絶頂には程遠くもどかしい感覚。
自分で慰め達すればマシになるかと考えるも、すぐに嫌悪が滲み出す。
家主不在の家なら文句は言われまい、乱暴に冷蔵庫を開けて物色。
カップアイスを頂戴し、スプーンで掬い無言で口へ。
ミントの爽やかさとチョコチップの甘さ、それに冷たさが今は有難い。
体を苛む熱を少しでも誤魔化すのに丁度良い。
最後の一口を舌で溶かし、唇に残る甘さをチロリと舐め取り、

「おやつタイムに邪魔しちまったか?」
「っ!?」

聞こえる筈のない声に両肩が跳ね上がる。
バッと見上げれば一体全体いつからそこにいたのか、知らない男が一人。
長身なうえに服越しでも分かる逞しい肉体。
その気になればさとうなど容易く押さえ付けられるだろう男は、何をするでもなく見下ろしている。
いつ入って来た、ここまで接近されるまでどうして気付けなかった。
湧き出す疑問への答えはなく、代わりに聞こえたのは眼前の男とは別の声。

「こいつは…当たりを引いたってとこか?」

男の後ろから顔を出す、これまたさとうの知らない参加者。
不良染みた外見の少年と、ロングの黒髪が特徴的な年下の少女。
こちらを見つめる二人の顔には、驚きが表れていた。

ポケットのデッキを意識しつつ身構えるさとうへ、瞳を細め少年が口を開く。
少なくとも、今はまだ事を荒立てるつもりはない。

「まずは座ってから始めようや。誰彼構わず喧嘩売るのが、賢くないってくらいは分かるだろ?松阪さとう」


○


息が詰まりそうな光景だった。
家族団欒の食卓の場である筈の、キッチンテーブルを挟んで睨み合う男女。
さとうの赤い瞳に射抜かれても動じた様子はなく、龍園はリラックスした体勢。
隣では姿勢を正す姫和、唯一立ったままの甚爾は他人事のように壁へ寄り掛かっている。

「……」

貝の如く口を閉じ、湧き上がる苦みと疑問へ頭を悩ませる。
さとうは目の前の連中と一切面識がない、にも関わらず向こうは初対面でこちらの名前を言い当てた。
唯一名乗ったアーリャはとっくに死んでおり、聞き出すのは不可能。
では誰から聞いたのか、思い当たる節は一つ。
自分の探し人であり、失われるなどあってはならない唯一無二のあの子。
しおと接触しこちらの情報を聞き出したのだろうか。

「そう睨むなよ。別にお前を襲おうって訳じゃねぇんだ。最初の二人と違ってな」
「……」

ピクリと、ほんの僅かに肩が揺れ動く。
最初の二人が指すのは須藤とニーナ、見せしめに選ばれた不幸な少年と少女。ではない。
「襲おうとした」、そんな言い方をされては流石に分かる。
会場に解き放たれて間もない頃、性欲の捌け口で自分を狙った男達。

(見られてた……?)

排除を決めるまでに時間は掛からなかったが、あの時周囲に他の参加者はいなかった筈。
どちらか片方が生き残ってあれこれ言い触らしたならまだしも、両方死んだ以上有り得ない。
ならどうやって、と考えるも自分がこれまで会って来た常識外れの者達を思い出す。
超人、或いは化け物と呼ぶ他ない参加者。
カードデッキや起動鍵など未知の技術が組み込まれた支給品。
そういったモノが存在する以上、姿や気配を隠し殺害現場を見ていた者がいても不思議はない。

「あそこにいたの?」
「さあな、ひょっとすりゃ透明人間に教えてもらったのかもな?」

ふざけた言葉ではぐらかされ、瞳が鋭さを増す。
気弱な相手ならこれだけで縮み上がるものだが、生憎龍園はこの程度で動じない。
殺気だった視線を受け流し、直球で本題に移る。

「重要なのは、お前が二人参加者を殺したって俺らが知ってることだ。まあこんな状況でテメェの性欲を優先する奴らは、どの道長生き出来なかったろうけどよ」
「…それで?私への脅しに使うつもり?」
「交渉の材料には使うつもりだな。まどろっこしいの抜きで言うが、俺らと手を組む気はあるか?」

共闘の提案に口を噤む。
手を組んで他の参加者を殺して回る、ということではないだろう。

「こんなふざけた場所で死ぬ気はないが、脱出しようにも一人でやるのは現実的じゃねぇ。それくらいはお前も分かってんだろ?」
「だから私を引き入れたいってこと?」
「嫌なら断っても構わねぇがな。ただ――」

一旦区切ってホットラインを取り出す。
手早く操作し望みの画面を表示、一点を指でコツコツと叩く。
人差し指の先にある名前に、ギシリとさとうは奥歯を噛み締める。

「相手の男どもがクソだったとしても、速攻で殺せる奴は警戒されて当然だ。他の参加者にも知られたらこう思うんじゃねぇのか?
 『こんなヤバい女が探してるしおちゃんも、危険な奴に違いない』ってな」
「…………」
「それか、運良く保護されたとしてもお前の話を聞いたら『松坂さとうのような危険人物にしおちゃんは会わせられない』ってなるかもな」

くだらない戯言とはあしらえない。
さとうは愛の為ならあらゆる手を使うのに躊躇はないが、自身の行いが世間一般の倫理から外れているのも自覚している。
例えば先のアーリャが運良く生き延びしおを見付けた場合、素直にさとうと引き合わせようとするだろうか。
そんなのは有り得ない、むしろさとうから保護しようとするに違いない。

自分が脅しを掛けられる場面は殺し合いの前からあった。
そういった時は社会的制裁を盾に優位へ立ち回ったが、ここは法もなにもない殺し合いの場。
情報面と暴力、その両方でさとうは相手に後れを取っている。
しおとの再会を阻む龍園達へ向ける瞳は、抜き身の刃のように鋭い。
当の相手は至って涼しい顔のまま、片方へ不利な交渉を続ける。

「こっちに手を貸すなら、少なくとも俺らからは大っぴらに言い触らさねぇよ。他の参加者に警戒されても、ある程度は擁護してやる」
「……あなた達も賛成なの?」

龍園から視線を外し、ここまで口を挟まなかった二人へ問う。

「手を組むこと自体は構わない。お前が無暗に人を殺さないよう、近くで監視もできる」
「俺はあくまで雇われてる身だ、依頼人(クライアント)の方針にケチは付けねぇさ」

片や少々複雑そうに、片や軽い調子を崩さずに言う。
さとうを襲おうとした二人組を庇う気は姫和にもない。
ただ些細な切っ掛けで殺しのスイッチが入るだろう少女だ、下手をすれば善人にまで凶行が及ぶかもしれない。
それならいっそ監視の為に引き入れるのも、悪い手ではない。

甚爾の方は言った内容が全て。
話が纏まるにしろ決裂するにしろ、どちらだろうと構わなかった。

(さて、どう出る?)

再び黙り込んださとうを前に、龍園も答えを待つ。
同行が無理なら、カードデッキをこちらへ譲渡出来ないかに切り替え再度交渉に臨む。
もし自分達三人を暴力で退けようとするなら、それでもいい。
むしろ力づくで装備を全て奪えるチャンスなのだから。
とはいえこちらに人手が足りないのもまた事実、リスクはあるが協力者を得られるならそれに越したことはない。

急かさず答えを待ち、ややって言うべき内容が組み上がったのだろう。
さとうの口がゆっくりと動き、





「――――――――――――え」





体が凍り付いたように動かなくなった。

おかしい、自分は今龍園に提案への返答を言おうとしたのに。
なのに言葉らしい言葉が出ず、代わりに漏れるのは震える吐息のみ。
急に何故こうなったのか、もしや龍園達が何かしでかしたのか。

「おい……こいつ、は……」

疑いはすぐに晴れた。
龍園もまた顔を強張らせ、まともに動けずにいる。
声を絞り出すのにも一苦労し、まるで病弱な老人のよう。

何が起きているのか分からない、正体不明の現象が自分達を襲う。

「うそ…………なん、で……また……」

違う、さとうは知っている。
知らない筈がない、忘れるなんて不可能。
言葉一つ紡ぐことすら困難を極める、圧倒的な存在感。
コレの正体を、消えることのない恐怖(トラウマ)を刻み付けたモノを、さとうは知っていた。

いる。
姿は見えなくとも、気配だけで理解せざるを得ない。
自分からしおの記憶を奪おうとした男が、魔女との闘争で地獄もかくやの光景を生み出した男が。

神がいる。
自分達をハッキリと視ている。

四人のいる民家が吹き飛んだのは、そう理解した直後だった。


○


気が付けば体が宙に浮いていて。
気が付けば来る衝撃に備え、体を鉄に変えて。
気が付けば背中から地面に倒れ、少女が自分に覆い被さっていた。

頭でどう動こうと考える前に、体の方が勝手に動きを見せたというのか。
民家が吹き飛び、ほぼ同じタイミングで龍園はさとう共々屋外へと投げ出された。
背を鉄に変え激突のダメージを軽減し、遅れて落ちて来た少女を受け止めた。
助けた理由に思いやりだのは一切含まれていない。
平田や一ノ瀬ならともかく、そういったお優しい行動を期待されても困る。
さとうからはまだ交渉の答えを聞いていない、協力か拒絶か、若しくは異なる形での妥協すら不明。
まだ自分にとっては生かす価値があると、そう判断しただけのこと。

「……」

やや雑に彼女をどかすも、さとうから抗議の類は聞こえて来ない。
へたり込んだまま呆然と龍園の背後を見つめ、声を掛けるも返答なしだ。

その顔が徐々に青褪めていくのが何故かは、聞かなくても分かる。
振り返らなくとも気配で理解せざるを得ない。
唾を飲み込むことすら憚れる程の、絶大なプレッシャー。
後ろを見る、それだけの行為にこうも勇気がいるなど初めて。
自分が今どのような顔なのかを、龍園は知りたくなかった。

「――――っ」

男が、そこにいた。
黒い裸身を晒し、色を失って尚輝く髪が揺れる。
地上へ降り立ち、少年少女を見下ろしている。
神に「視られた」ことがどれ程の意味を持つか、詳細を知るカルデアの二人はいない。

神の名がアルジュナと知る由もなく、龍園に出来るのは歯が砕けんばかりに噛み締めるだけ。
そうしなければ、体中の震えを誤魔化せない。
嘗て恐怖を刻んだ綾小路の暴力が霞む程に、目の前の男は恐ろしい。
人の形をしていながら到底人とは呼べぬ、魂を掌握されるが如き恐怖。
今の自分は蛇を殺した恐いもの知らずのガキじゃあない。
あの時周りで慄いていた他の子ども達と、同じにまで成り下がった。

(ふ――ざけんじゃねぇ……!)

だが龍園は、恐怖への完全な屈服だけは断じて受け入れない。
コレがどう足掻いても、自分が太刀打ちできる相手でないのは分かる。
そもそも人間の領域で抗う自体が間違いだろう。

それでも、自分が折れて再起不能になる末路だけは認められない。
ちっぽけでつまらないプライドと言われれば、良い訳のしようもない。
しかし龍園にとっては、自分が自分である為の譲れないもの。
己を支える柱に亀裂が入ろうと、決して砕けさせはしないと神を睨み返す。

「う……あ……」

最後の一線だけは譲らない龍園を余所に、さとうは恐ろしさで言葉らしい言葉も出せない。
自分としおの生還を阻み、ハッピーシュガーライフを破壊せんとする敵。
敵意を、嫌悪を、殺意をぶつけるのが正しい。
しおとの愛を引き裂く存在なのだから、許しておける存在に非ず。

だというのに、抱く感情は恐怖一つだけ。
既に一度己が目で見、己が身で味わってしまったのだ。
自らの愛を壊される感覚を、自らの愛では届かない絶望的な力を。

(逃げ、なきゃ……)

城から脱出した時と同じく、ミラーワールドへ入れば良い。
カードデッキを翳し、鎧を纏ってガラスの中へ飛び込む。
難しい手順ではないのだ、躊躇を感じる理由はない。

それができない。
神の目に射抜かれ、取るべき行動へ何一つとして移れない。

ポケットからデッキを取り出す為の手は、脳の命令を受け付けず固まったまま。
逃げる為の足は立ち上がれず、地面に根を張り微動だにしない。
このままでは神の命じるまま動く人形にされると、分からない筈がないのに。
恐怖がこの世のどんなものより強固な鎖と化し、絡み付いて逃がさなかった。

「ガキをビビらせるのがそんなに面白いか?もっとマシな趣味見付けろよ」

神の支配下に置かれた空気を切り裂く、不遜な人間の声。
放つ蹴りは顔面を麩菓子より簡単に砕くも、当たればの話。
靴底が頬へ触れる寸前で、標的の姿が一瞬で消失。
あっちこっちへ目をやり探すのは、どうぞ好きにしてくださいと隙を見せる愚行に他ならない。
何より、わざわざ視界に頼るまでもなく敵の位置は判明。
隠す気の無い強大な気配が間近に迫れば、猿でも気付く。

「随分速ぇのな」

死角から攻撃すれば仕留められると、そう高を括る馬鹿の相手なら楽だ。
先手を打たれたとて何ら問題にはならない。
裏拳一発で敵の得物を砕き、ついでに命も頂戴する。
なれど今回、甚爾が取る手は回避一択。
理由は至ってシンプル、甚爾をしても避けるのに意識を割かねば死は免れない速さだから。
下手に迎撃を選択したが最後、呆気なく散らされる。
宙を泳ぐように跳び間合いから離れ、神の突き出した手刀は空振りで終わった。

どうせすぐに追い付かれるだろうが、一先ずはこれでいい。
第一優先は依頼人の安全確保。
アルジュナを引き付けるという最もリスクの高い役目を甚爾が行い、その隙にもう一人が動く。
式神の怪鳥が龍園を、召喚主の少女がさとうを運びアルジュナから遠ざける。
適材適所を姫和も甚爾も見誤らない。

「無事、かは聞くまでもないか」
「当たり前だ。個性が使えなけりゃ骨の一本はイってたかもしれねぇがな」

咄嗟に甚爾が龍園とさとうを投げ飛ばした為、民家共々吹き飛ばずに済んだ。
姫和の方は甚爾程ではないが、長刀の効果で身体能力強化の恩恵を受けた身。
自分一人くらいならどうにか逃げられた為、こうして生きていられる。

「なっ、待て!」

自分を運んだ姫和の手を振り解き、さとうは逃げるように駆け出す。
背に掛かる声も動きを止めるだけの効果は発揮されない。
アルジュナの視線が外れ、ようやっと震えたままでも動けるようになった。
ここから協力し神を打ち倒す、なんて命知らずな真似に出る気はなし。
暴れたいなら勝手にやっていればいい。

死ねばしおには二度と会えない。
彼女をこんな異常極まる島から連れ出せない、自分達二人だけの部屋には帰れない。
この場でアルジュナを倒せばしおとの生還が即座に叶うならまだしも、そうじゃないなら命を張る理由にはならなかった。
近場の民家に駆け寄り、ガラス窓から逃げるべくカードデッキに手を伸ばし――

「ごふっ…!?」

腹部に衝撃が走ったと思えば、直ぐ近くに膨大な熱が放たれる。
神が周囲へ漂わせた光球を一つ飛ばし、熱線により民家共々消し飛ばそうとした。
そう分かったのは玉犬を使って強引にさとうを逃がし、更には龍園を抱え再度飛び退いた姫和のみ。
機動力に優れた式神だからギリギリ逃れられたのだ、さとう一人の足では今頃死体も残ってはいまい。

「散れっ!」

抜き放った長刀を振るい、闇を纏った斬撃を飛ばす。
光球を切り裂く寸前で対象が消失、神の元へと一瞬で戻る。
仮に当たった所で破壊出来たかは怪しいが、僅かながら危機は遠ざけた。
次の手に出るなら今しかない。

「こいつは……」

運ばれた先でさとうを見れば、頭でも打ったのか気を失っている。
だが龍園の視線が向かうのは傍に転がった赤い機械。
衝撃でリュックサックの口が開いたのか、支給品の一つが落ちてあった。
気絶中の持ち主へ構わず拾い、姫和に投げ渡す。

「おいこれは彼女の……」
「起きたら詫びの一つくらい入れてやるよ。むしろ面倒掛けさせられてんだから、礼代わりに貰っても文句言われねぇだろ」

悪びれず言う協力者に呆れるも、道徳的観念を持ち出す余裕はない。
仕方ないかと自分を納得させる刀使を尻目に、龍園はここからの最適解を急ぎ弾き出す。
率直に言って、アルジュナとこのまま戦うのは分が悪過ぎる。
撃破でなく撤退がベスト、自分でさえこう考えるのだから甚爾はとっくに辿り着いてるだろう。
が、簡単に逃がしてくれる相手でないのも事実。
背を向けようものなら再び光球が現れ、丸焦げになるまで熱線を放つに違いない。
どうにかしてアルジュナを怯ませ、逃げれるだけの隙を作り出す。
恐怖は完全に無くなっていないが腹を括り、やれる事を全力でやるまでだ。

「十条、お前はソレを伏黒に渡せ。俺らの中で一番に力付けさすならアイツだ」
「異論はないが…お前はどうする?私か式神が護りに付くか?」
「いらねぇ、こっちはアレを使って何とかする。テメェの力の使い所はテメェ自身で判断しとけ」

戦闘に関しての判断は刀使である姫和の方が上。
なら自分へ縛り付けるのは悪手だ、幸い最後の支給品を使えば機動力と火力は手に入る。
こちらのお守りへ意識を割かずに済むなら、姫和もアルジュナ相手に集中出来る筈。
有無を言わせぬ口調で伝えれば、迷う素振りを一瞬見せるも首を縦に振った。
いらぬ口論に発展するのは自分達全員の死に繋がり兼ねない。

二人が話す間も絶えず動き続けるのは甚爾。
そこかしこから襲う熱線を躱す度に、付近の建造物が消し飛び地面が溶ける。
発揮する運動機能のみならず、肉体の強度も甚爾は常人と比べものにならない。
なれどコレは無理だ、掠めるだけでもこちらの力を大きく削ぐ。
そこらの一般人(パンピー)が銃弾一発で重傷を負うように、アルジュナの攻撃に対しては甚爾ですら同じ。
故に当てさせない、動きを止めれば死へ直結。

言うだけなら簡単でも実行に移せる者は一握りあるかどうかも怪しいが、その枠に入るのが甚爾だ。
真横を通り過ぎた熱線には目もくれず、真正面の神へ距離を詰める。
手には対生命繊維の得物、片太刀バサミ。
強度と切れ味は既に把握済み、持ち前の膂力を乗せ神の脳天を叩き割るべく振り下ろす。

「マジかよ」

思わず呆れ笑いを零すも、眼前の光景は全く笑えない類。
刀身が素手で受け止められ、それ以上動かせない。
引っこ抜こうにもビクともせず、アルジュナの褐色の肌には赤い線一本見当たらなかった。
刀剣類の性質上当然だが、攻撃を確実に当てるには必要な距離を詰める必要がある。
仕留められるなら問題無しでも、失敗したら自ら敵の間合いへ飛び込んだ状況へと一変。
武器一つに拘れば死ぬ、それが分からない男ではない。
柄から手を離し大きく後退、己が心臓を射抜く拳が放たれたのは直後のこと。
一安心するには気が早過ぎる、赤い影が一直線に向かうのを瞳が捉えた。

「おっと…!」

得物を投げ返され、身を捩って串刺しを回避。
再び柄を掴むも後方へ引っ張られ体がよろける。
自分の力を以てしてもこれだ、あの細い腕にどれ程のパワーがあるのやら。
とんだ外れを掴まされたと、改めて苦笑いが浮かぶ。

「話もしないでいきなり襲うなんざ、人間様の言葉で常識知らずって言うって知ってたか?」
「生まれながらに……戦火を引き寄せ……死を招く肉体……汝もまた……私の世界に存在してはならない…………」
「会話くらいしろよ。生憎望んでこういう体になったんじゃねぇ、文句は猿に素敵なプレゼントをくださった神様に言っとけ」

皮肉に返答らしい返答はなく、代わりに周囲の光球が熱を帯びる。
お喋りに興じる暇もくれないらしい。
30秒にも満たない休憩時間を終え再び脚に力を籠めた時、自分を呼ぶ声を耳が拾う。
姫和の方を見ないまま、投げ渡された機械をキャッチ。
赤い見慣れぬ道具と、同じ色のUSBメモリ。
使い方を詳しく聞いてる暇はなく、とにもかくにも試すしかあるまい。

「シッ――!」

その為の猶予を稼ぐのは、機械を届けた刀使が請け負う。
数十歩は必要な距離を瞬時に詰め、アルジュナへと長刀が奔る。
西軍総大将にして凶王の異名を持つ戦国武将、石田三成の得物こそ姫和が持つ刀。
元の使い手へ近付けるように敏捷性を大きく引き上げ、ソードスキルとして複数の技を使用可能。
今やったのは三成が最も得意とする移動方法、刹那。
瞬間移動と見紛う速度で敵の懐に潜り込み、反撃を許さず斬滅する。

骨まで軋ませるプレッシャーを受け、姫和も敵が人ならざる者ととっくに理解している。
敵対の意志が無いのであれば刀は抜かないが、現実にはこの通り。
であれば斬るのに躊躇を持ち込んではいられない。
迷えば死ぬ、故に迷わず刃を突き立てる。
合戦場へ数百数千の血を流した刀が、今宵は神の血肉を貪り尽くす。

「なっ……!?」

といった展開にならなかったのは、姫和が息を呑んだ事からも明白。
刀身は黒い胴体へ当たった、しかしそれだけ。
剥き出しの肌へ傷は微塵も付いていない。
自身へ迫る刃はアルジュナもしかと認識し、防ぐのも躱すのも容易い。
にも関わらず何故そうしなかったか答えは単純。
姫和の刀では殺す所か、そもそも神の肉体に傷を付けるのすら不可能。
そう分かっていたからこそ、何の動きも見せなかった。

(まずい――――!)

一瞬の硬直すらアルジュナ相手には致命的だ。
急ぎ離れようとするも、喉を食い千切る手刀が間近へ迫りつつある。
写シ使用中にも劣らぬ能力があろうと、アルジュナの速さを追い越すには至らない。

『ACCEL!』

「変身、ってな」

『ACCEL!』

だが姫和が稼いだほんの数秒で、甚爾も必要な強化を終えた。
バイクのハンドルを思わせる機械、『アクセルドライバー』を装着。
けたたましく名を叫ぶのは、加速の記憶が封じられたガイアメモリ。
ドライバーへ装填するやグリップを捻り、エネルギーを全身に纏わせる。
タコメーター状のエフェクトが浮かび、必要な工程を終え変身が完了。

屈強な術師殺しの肉体は、赤いスーツと装甲へ早変わり。
頭部もまた人間のソレと異なり、ブレードの突き出たヘルメットに変化。
青い複眼が光を発し、重低音のエンジンが鳴り響く。
名は仮面ライダーアクセル、復讐心を振り切り風の都を守った戦士。
いずれ父になる若き刑事の変身ツールは、何の因果か父だった男の元へ渡った。

元はアーリャに支給されたものの、取り出す暇もなく八神に襲われリュックサックの奥深くへ眠ったまま。
残念ながら彼女が使う機会は終ぞ訪れなかったが、所持者を変え日の目を見た。

元は誰の物かは甚爾の知った事でなく、早速アクセルの力を使わせてもらう。
足首の増幅器官が走力を爆発的に引き上げ、間合いを詰めるや蹴りを見舞った。
常人には赤い影がほんの一瞬映ったとしか分からないだろう、脅威的な速度。
加速を乗せた蹴りの威力も最早、打撃どころか砲撃と言っても過言ではない。
尤も、神の腕を破壊する程ではないが。
なれど衝撃を与えるのには成功、手刀が僅かに止まり姫和が離れる時間は作れた。
チラ、と横目で赤い戦士を見やり熱線を発射。
そう来るのは予想出来たことだ、地を蹴り焼かれる前に後退。

「ヒーローごっこはとっくに卒業したつもりなんだけどな」

軽口を叩きつつも感心が声色に含まれていた。
使用者の肉体をドーパントに変化させるガイアメモリの性質は、仮面ライダーにも適用される。
ボディースーツや装甲に見えるアクセルの姿も、実際は変身者の体が変化したもの。
自分の体が人とかけ離れた状態になったにも関わらず、何ら違和感を感じない。
元の肉体を動かすのと同じ感覚で戦える。

加えて、アクセルに変身するに辺りベースとなったのは天与呪縛を受けた甚爾の体。
呪力と引き換えに得た力は生前から変わっておらず、生身のままでもグラファイトとの戦闘を可能にする程。
開発者が設定した基本スペックを遥かに超え、照井竜の変身時以上の能力を持つ。
それが今の仮面ライダーアクセルだった。

自分でなくともお手軽に超人になれるのだ。
確かに表裏問わずどこの組織も、喉から手が出る程欲しがるだろう。
禪院の連中が知ったらどう思うやら、といった雑念は切り捨て戦闘へ集中。
アクセルになったからと言って、容易く打ち破れる相手ではない。

アスファルトが砕け散る程に踏みしめ疾走、熱線を紙一重で躱しつつ接近。
持ち前の腕力に加え、アクセルの増幅器官もプラス。
以上二つを乗せた片太刀バサミの威力たるや、本来の使い手である纏流子にも一切引けを取らない。
ただの一振りでありながら必殺の刃と化す。

しかし届かない。
あっさりと乗り越えられる壁でないから、神は神なのだ。
廻剣を組み替え弓を装備、片断ちバサミを弾き返す。
両手で握り渾身の力を籠めるまでもない、ただ小蝿を振り払うような仕草。
それ一つで斬撃を防がれ、だが甚爾も一々動揺を抱きはしない。
この程度で倒せる相手でない事くらい、遠目に見た時から分かり切っている。

「チャンバラがしたいんなら、もっと良い相手紹介するぜ?」

数時間前に会った戦闘狂(バトルジャンキー)共を思い浮かべつつ、得物を振るう手は休めない。
剛腕により暴風が巻き起こり、弓との衝突で周囲に振動が走る。
なれど神には未だ一撃も届かない、掠めさせてももらえず常に弾かれる。
威力と速度、その両方がアクセルに変身中の甚爾でも超えられない。

更に甚爾を狙うのは浮遊させた複数の光球。
元から高い魔力が更に上昇、熱線の発射まで間もないと知らせる。
アクセルに変身してるのだから当たっても大丈夫、などと楽観的には考えない。
当たれば死ぬ、その認識は変えず回避へと移行。
打ち合いを中断し真横へ跳び、着地した先を読んでいたのか二つの光球が待ち構えてあった。

「させるか!」

戦闘を甚爾のみに任せる気はなく、姫和が技を放つ。
前方広範囲を薙ぎ払う斬撃が光球に命中。
破壊は出来ずとも、弾いて狙いを外すくらいは不可能じゃあない。

そこへ加わるのは重く響く銃撃音。
鋼鉄が群れを成して、全身ミンチにすべく神へ殺到。
等身大の標的一人を仕留めるには過剰威力でも、神からすれば砂埃と変わらない。
弾は当たるも黒い肉体には傷一つ付かず、視線すら寄越されなかった。
ただ完全に無視を決め込む気もないらしく、光球一つから熱線が襲い来る。

「っぶねぇ…!」

冷や汗を掻きながらハンドルレバーを操作し、機体の速度を上げる。
乗り込んだ支給品がこのまま鉄の棺になる末路は避け、一息吐く間もなく銃口を合わせた。
狭いコックピット内には龍園と、意識を失ったままのさとう。
本来は一人乗りの場所へ無理やりもう二人目を乗せたのだ、必然的に密着した体勢となる。
元Dクラスの山内なら鼻の下を伸ばすだろうが、そんな能天気な愚行に出る気は龍園に一切ない。

龍園に与えられた三つの目の支給品こそ搭乗中の機体、モビルワーカー。
参加者の一人、マクギリス・ファリドの出身世界で製造された車両型マシン。
主に鉄華団が運用した機体は旧型だが機動性に優れ、おまけに主催者の手で操作システムをある程度簡易に調整済みだ。
エリア移動中のちょっとした練習で龍園も動かせるようになり、攻撃を避けつつの援護を行えていた。

「人の見た目してんなら、ちったあ人らしい反応しろよ…!」

大口径のマシンガンの直撃を受けて無反応。
化け物なのは分かり切っているが、いざ目の当たりにすると悪態の一つや二つでは言い足りない。
背後から放たれた熱線を辛くも躱しつつ、効かないと分かってもトリガーを引き続ける。

(マズい状況だな……)

鞘に納めた長刀を口に加え疾走、という独自の技で戦場を駆ける。
見た目の奇抜さはともかく発揮する走力は迅移にも引けを取らず、熱線を避けるのに持って来いだ。
すぐ横の建造物が吹き飛ばされ、冷や汗を掻きながら姫和は現状に眉を顰める。

甚爾はアクセルで強化を果たし、自分は長刀の恩恵で元々に近い戦いが可能になり、龍園はモビルワーカーを操縦。
ここまでやっても事態は一向に改善の兆しを見せず、逃げる隙を作れない。
さとうが起きてライダーに変身し加勢、に期待するのは無理だ。
そもそも彼女の助けがあっても、良い方向に向かうとは限らない。

野獣が爪で獲物を引き裂くように刀を振るうも、アルジュナには当たらず一瞬で背後を取られた。
割って入った甚爾の妨害もあり呆気なく終わりにはならず、短く礼を告げ距離を取る。
光球を斬り弾いて熱線の狙いを逸らしながら、再び疾走。
自分や龍園よりも実力が上の甚爾に対しては攻撃の勢いもそれだけ大きい。
だからこそ自分達へ放たれる熱線の数は減り、危うい所で死から遠ざかっているのだが。
しかしこのまま甚爾へ負担が向くのも良いとは言えず、あと一つでも現状を変えるナニカがあれば――



「その戦い、ちょっと待った!!!」



加速の戦士とは違う赤が現れたのは、正にその瞬間だった。

057:C♯0 投下順 058:ファントムパレード(中編)
078:最後 の 五道化 時系列順
037:YOU GOTTA RUN 龍園翔
十条姫和
伏黒甚爾
015:linkage ─そしてラグナロクは続く─ 松坂さとう
アルジュナ・オルタ
043:《英雄》と《絆》と《正義》 キズナレッド
満艦飾マコ
バッタヤミー
026:Double-Action Full throttle エンヴィー

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